JPH07161168A - テープリール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テープ巻回時の良好なテープ巻回形状を得
る。 【構成】 リールフランジ５３の最内周部にテープ接触
面５３ａに開口しかつ周方向に延在する凹部５８を設
け、この凹部５８は第２リール位置決め部５３ｂに対応
する部位に位置付けられている。このため、リール成形
後にテープ巻回領域外の凹部５８内でひけＭ₁，Ｍ₂が集
中して発生することになるから、テープ巻回時にひけＭ
₁，Ｍ₂に対する磁気テープＴの接触を回避することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばビデオテープカ
セット等のテープカセットに使用して好適なテープリー
ルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ビデオテープカセットとしては、
種々色々なものが採用されており、例えば図３および図
４に示すように構成されている。

【０００３】これを同図に基づいて説明すると、同図に
おいて、符号１で示すものは磁気テープＴが臨む開口部
２を有するカセット筐体で、各々が互いに嵌合された上
下２つのハーフ３，４からなる角箱によって形成されて
いる。

【０００４】このカセット筐体１の両ハーフ３，４のう
ち下ハーフ４は、左右方向に所定の間隔をもって並列す
る２つの第１レバー枢軸５ａ，５ｂおよびこれら各第１
枢軸５ａ，５ｂに隣接するスプリング係止軸５ｃと第２
レバー枢軸５ｄを有する底板５と、この底板５の後左右
端縁に一体に突設され右側方（正面から見て）に開口す
る貫通孔６ａを有する平面視略コ字状の壁板６とによっ
て構成されている。

【０００５】また、この下ハーフ４の底板５には、左右
方向に所定の間隔をもって並列する支軸７ａ，７ｂとガ
イドポール８ａ，８ｂが立設されている。

【０００６】一方、このカセット筐体１の上ハーフ３
は、内部確認用の透明窓９ａおよびスプリング係止用の
凹部９ｂを有する天井板９と、この天井板９の後左右端
縁に一体に突設され前記壁板６の上端面に対応する下端
面を有する平面視略コ字状の壁板１０とによって構成さ
れている。

【０００７】また、この上ハーフ３の天井板９には、後
述するリールを前記底板５に圧接するリール押えばね１
１が取り付けられている。

【０００８】１２は断面視略コ字状の蓋体で、前記開口
部２の前方を開閉する前面板１２ａおよびこの前面板１
２ａに連設され各々が互いに対向する２つの側壁板１２
ｂ，１２ｃからなり、前記壁板１０の両側部前方端縁と
前記壁板６の両側部前方端縁との間に回動自在に設けら
れている。

【０００９】この蓋体１２はトーションスプリングＳに
よって閉蓋方向に常時付勢されており、両側壁板１２
ｂ，１２ｃにはレバー押圧用の突子１３ａ，１４ａを有
する枢軸１３，１４が一体に設けられている。

【００１０】また、この蓋体１２の両側壁板１２ａ，１
２ｂのうち右側壁板１２ｂには、表裏面に開口する係止
孔１５が設けられている。

【００１１】１６および１７は各々が互いに左右方向に
所定の間隔をもって並列する２つのテープリールで、磁
気テープＴを巻装可能なリールハブ１６ａ，１７ａと、
これら各リールハブ１６ａ，１７ａの両端部に設けられ
各々が互いに対向する上下２つの上リールフランジ１６
ｂ，１７ｂと下リールフランジ１６ｃ，１７ｃとからな
り、前記カセット筐体１内に回転自在に設けられてい
る。

【００１２】これらテープリール１６，１７の上リール
フランジ１６ｂ，１７ｂおよび下リールフランジ１６
ｃ，１７ｃのうち下リールフランジ１６ｃ，１７ｃに
は、周方向に延在するリールブレーキ係合用の歯部１
８，１９が設けられている。

【００１３】２０および２１は各々が互いに左右方向に
所定の間隔をもって並列する２つのリールロックレバー
で、前記各歯部１８，１９に係合可能な爪部２２ａ，２
３ａおよび前記各第１レバー枢軸５ａ，５ｂが臨む筒部
２２ｂ，２３ｂを有するレバー本体２２，２３と、これ
ら各レバー本体２２，２３に一体に延設され前記突子１
３ａ，１４ａが押圧可能な係合片２４，２５とからな
り、前記底板５上に回動自在に設けられている。

【００１４】これら各リールロックレバー２０，２１の
レバー本体２２，２３には、前記爪部２２ａ，２３ａと
前記筒部２２ｂ，２３ｂとの間において上方に突出する
逆Ｌ字状のスプリング係止片２６，２７が一体に設けら
れている。

【００１５】２８は前記第２レバー枢軸５ｄが臨む筒部
２８ａを有するカバーロックレバーで、前記両リールロ
ックレバー２０，２１のうち右側のリールロックレバー
２１の近傍に回動自在に設けられている。

【００１６】このカバーロックレバー２８の先端部には
右側方に突出しかつ前記貫通孔６ａおよび前記係止孔１
５に挿通可能な爪部２８ｂが一体に設けられており、こ
の爪部２８ｂと前記筒部２８ａとの間には上方に突出す
る逆Ｌ字状のスプリング係止柱２８ｃが一体に設けられ
ている。

【００１７】２９は前記爪部２２ａが前記歯部１８に係
合するような方向に付勢力をもつ第１トーションスプリ
ングで、巻線部が前記両第１レバー枢軸５ａ，５ｂのう
ち左側の第１レバー枢軸５ａの周囲に巻装され、かつ両
端部が前記スプリング係止軸５ｃと前記スプリング係止
片２６に係止されている。

【００１８】３０は前記爪部２３ａが前記歯部１９に係
合するような方向に付勢力をもつ第２トーションスプリ
ングで、巻線部が前記両第１レバー枢軸５ａ，５ｂのう
ち右側の第１レバー枢軸５ｂの周囲に巻装され、かつ両
端部が前記スプリング係止片２７と前記スプリング係止
柱２８ｃに係止されている。

【００１９】３１および３２は磁気テープＴを案内する
左右２つのガイドローラで、前記支軸７ａ，７ｂに回転
自在に設けられている。

【００２０】なお、３３および３４はテープガイド、３
５および３６は仕切壁、３７はリール位置決めリブであ
る。

【００２１】このように構成されたテープカセットにお
いては、不使用時にリールロックレバー２０，２１の爪
部２２ａ，２３ａと下リールフランジ１６ｃ，１７ｃの
歯部１８，１９との係合によってテープリール１６，１
７の回転を阻止することができる。

【００２２】一方、使用時には、リールロックレバー２
０，２１の爪部２２ａ，２３ａと下リールフランジ１６
ｃ，１７ｃの歯部１８，１９との係合解除によってテー
プリール１６，１７を回転操作することができる。

【００２３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のビ
デオテープカセットのテープリールにおいては、リール
ハブ１６ａ，１７ａ（テープ巻き付け壁）が抜き勾配
（壁厚の寸法差Ｓ）をもつリールハブによって形成さ
れ、かつ下リールフランジ１６ｃ，１７ｃの最内周部に
反テープ接触面側に突出するリール位置決め部３７が設
けられており、すなわちリールハブ１６ａ，１７ａのテ
ープ巻き付け壁下方部および下リールフランジ１６ｃ，
１７ｃの最内周部の厚さが他の部分の厚さと比較して大
きい寸法に設定されているため、リール成形後に図５に
示すようにリールハブ１６ａ，１７ａのテープ巻き付け
壁下方部および下リールフランジ１６ｃ，１７ｃの最内
周部においてひけＭが発生していた。

【００２４】この結果、テープ巻回時にテープがひけＭ
に接触し、良好なテープ巻回形状を得ることができない
という問題があった。

【００２５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、テープ巻回時にひけに対するテープの接触を回
避することができ、もって良好なテープ巻回形状を得る
ことができるテープリールを提供するものである。

【００２６】

【課題を解決するための手段】本発明に係るテープリー
ルは、リールフランジの最内周部にテープ接触面に開口
しかつ周方向に延在する凹部を設け、この凹部はリール
位置決め部に対応する部位に位置付けられているもので
ある。

【００２７】本発明の別の発明に係るテープリール（請
求項２）において、凹部は複数の凹部によって構成し、
これら凹部は周方向に所定の間隔をもって配列されてい
るものである。

【００２８】

【作用】本発明においては、リール成形後にテープ巻回
領域外の凹部内でひけが集中して発生する。

【００２９】本発明の別の発明においては、テープ巻回
時に凹部の開口面より上方でテープが巻回される。

【００３０】

【実施例】以下、本発明の構成等を図に示す実施例によ
って詳細に説明する。

【００３１】図１（Ａ）および（Ｂ）は本発明に係るテ
ープリールの要部を示す断面図と平面図である。なお、
同実施例において、従来例の説明に用いた部材と同一ま
たは同等の部材は同一の符号を用いて説明する。

【００３２】同図において、符号５１で示すものは従来
における両テープリールと同様に各々が互いに左右方向
に所定の間隔をもって並列する２つのビデオテープカセ
ット用のテープリール（一方のみ図示）で、これら両テ
ープリールは略同一の構成であるため、一方のテープリ
ールについてのみ説明すると、このテープリール５１は
磁気テープＴを巻装可能なリールハブ５２と、このリー
ルハブ５２の両端部に設けられ各テープ接触側のフラン
ジ端面が互いに対向する上下２つのリールフランジ５３
（下リールフランジのみ図示）とからなり、前記カセッ
ト筐体１内に回転自在に設けられている。

【００３３】このテープリール５１のリールハブ５２
は、リール駆動軸（図示せず）が係合する爪部５４ａを
その内周面に有する環状のハブ基部壁５４と、このハブ
基部壁５４の外周面下端部にハブ底面板５５を介して一
体に設けられ壁厚が下端部から上端部に向かって小さく
なる環状のテープ巻き付け壁５６等とによって構成され
ている。

【００３４】このリールハブ５２のハブ底面板５５に
は、前記ハブ基部壁５４と前記テープ巻き付け壁５６と
の間に介在しかつハブ周方向に延在する環状の補強リブ
５７およびこの補強リブ５７の内外周面に放射方向に突
出しかつ前記ハブ基部壁５４と前記テープ巻き付け壁５
６との間をハブ周方向に画成する複数の連結リブ（図示
せず）が一体に設けられている。

【００３５】また、このハブ底面板５５には、下方に突
出する環状の第１リール位置決め部５５ａが一体に設け
られている。

【００３６】一方、リールフランジ５３は、磁気テープ
Ｔを載置可能なテープ接触面５３ａおよびこのテープ接
触面５３ａ反対側のフランジ端面に突出する第２リール
位置決め部５３ｂを有しフランジ厚が内周部から外周部
に向かって小さくなるフランジであって、前記リールハ
ブ５２の外周面下端部に一体に形成されている。

【００３７】このリールフランジ５３の最内周部には、
前記テープ接触面５３ａに開口しかつ周方向に延在する
複数の凹部５８が設けられている。

【００３８】これら凹部５８は、前記第２リール位置決
め部５３ｂに対応する部位に位置し周方向に所定の間隔
をもって配列されており、全体が前記テープ巻き付け壁
５６の外周面に連接する溝壁５８ａおよびこの溝壁５８
ａに連接する溝底５８ｂを有する断面視矩形状の凹溝に
よって形成されている。

【００３９】これら凹部５８のうち各々が互いに隣り合
う２つの凹部間には、前記テープ接触面５３ａに連接す
る上端面５９ａを有する複数のリブ５９が放射状に設け
られている。

【００４０】なお、６０は前記リールフランジ５３の外
周面に設けられ前記爪部２２ａが係合可能なリールブレ
ーキ係合用の歯部である。

【００４１】このように構成されたテープリールにおい
ては、テープ巻回領域外である凹部５８内のテープ巻き
付け壁５６およびリールフランジ５３の厚さが他の部分
の厚さと比較して大きい寸法に設定されているため、リ
ール成形後に凹部５８内でひけが集中して発生すること
になる。

【００４２】すなわち、本実施例おいては、テープ巻き
付け壁５６の壁厚が従来と同一の寸法に設定されている
ため、リール成形後に図２（Ａ）に示すようにテープ巻
き付け壁５６の下方部およびリールフランジ５３の最内
周部でひけＭ₁，Ｍ₂が発生する。

【００４３】この場合、２つのひけＭ₁，Ｍ₂は、凹部５
８の溝壁５８ａおよび溝底５８ｂに同図（Ａ）に矢印Ｘ
₁で示すハブ径方向と同図（Ａ）に矢印Ｙ₂で示すハブ軸
線方向に開口するようなひけである。

【００４４】なお、本実施例においては、リールフラン
ジ５３にフランジ厚を大きくするリブ（図示せず）が他
に設けられているが、小さいリブであることから、リー
ル成形後にひけが殆ど発生しない。

【００４５】一方、従来において発生するひけＭは、各
々が互いに連通し図２（Ｂ）に矢印Ｘ₂で示す斜め上方
および同図（Ｂ）に矢印Ｙ₂で示すハブ軸線方向に開口
するようなひけである。

【００４６】したがって、本実施例においては、テープ
巻回時にひけＭ₁，Ｍ₂に対する磁気テープＴの接触を回
避することができる。

【００４７】また、本実施例においては、テープ巻回時
にリブ５９の上端面５９ａに磁気テープＴを当接させて
凹部５８の開口面より上方で確実に巻回することができ
るから、凹部５８内に対するテープ下端部の進入を阻止
することができる。

【００４８】なお、本実施例においては、ビデオテープ
カセットに適用する例を示したが、本発明は他のテープ
カセットにも実施例と同様に適用可能である。

【００４９】また、本実施例においては、凹部５８とし
て複数の凹溝からなるものを示したが、本発明はこれに
限定されるものではなく、単一の環状溝であっても何等
差し支えない。

【００５０】この他、本発明における凹部５８の断面視
形状は、前述した実施例に特に限定されるものでないこ
とは勿論である。

【００５１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、リ
ールフランジの最内周部にテープ接触面に開口しかつ周
方向に延在する凹部を設け、この凹部はリール位置決め
部に対応する部位に位置付けられているので、リール成
形後にテープ巻回領域外の凹部内でひけが集中して発生
することになる。

【００５２】したがって、テープ巻回時にひけに対する
テープの接触を回避することができるから、良好なテー
プ巻回形状を得ることができる。

【００５３】請求項２において、凹部は複数の凹部によ
って構成し、これら凹部は周方向に所定の間隔をもって
配列されているので、テープ巻回時に凹部の開口面より
上方でテープを確実に巻回することができる。

【００５４】したがって、凹部内に対するテープの進入
を阻止することができるから、テープの変形による損傷
を阻止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）および（Ｂ）は本発明に係るテープリー
ルの要部を示す断面図と平面図。

【図２】（Ａ）および（Ｂ）は本発明と従来におけるテ
ープリールのリール成形後のひけ発生状態を説明するた
めに示す概略図。

【図３】ビデオテープカセットの全体を示す分解斜視
図。

【図４】従来におけるテープリールを示す断面図。

【図５】従来におけるテープリールのリール成形後のひ
け発生状態を示す断面図。

【符号の説明】

５１…テープリール ５２…リールハブ ５３…リールフランジ ５３ａ…テープ接触面 ５３ｂ…第２リール位置決め部 ５６…テープ巻き付け壁 ５８…凹部 Ｔ…磁気テープ Ｍ₁，Ｍ₂…ひけ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 テープを巻回可能なテープ巻き付け壁を
   有するリールハブと、このリールハブの下端部に一体に
   形成されテープを載置可能なテープ接触面およびこのテ
   ープ接触面と反対側のフランジ端面に突出するリール位
   置決め部を有するリールフランジとを備えたテープリー
   ルにおいて、前記リールフランジの最内周部に前記テー
   プ接触面に開口しかつ周方向に延在する凹部を設け、こ
   の凹部は前記リール位置決め部に対応する部位に位置付
   けられていることを特徴とするテープリール。
2. 【請求項２】 前記凹部は複数の凹部によって構成し、
   これら凹部は周方向に所定の間隔をもって配列されてい
   ることを特徴とする請求項１記載のテープリール。