JPH07157959A - 制電性長繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

制電性長繊維不織布及びその製造方法

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JPH07157959A
JPH07157959A JP5306952A JP30695293A JPH07157959A JP H07157959 A JPH07157959 A JP H07157959A JP 5306952 A JP5306952 A JP 5306952A JP 30695293 A JP30695293 A JP 30695293A JP H07157959 A JPH07157959 A JP H07157959A
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polymer
fiber
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polyalkylene oxide
nonwoven fabric
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JP5306952A
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Fumio Matsuoka
文夫 松岡
Hiroshi Nishimura
弘 西村
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不織布強力が高く、耐久性のある制電性能を
持った極細の制電性長繊維不織布及びその製造方法を提
供する。 【構成】 エステル系重合体とオレフィン系重合体とア
ミド系重合体とのいずれかからなる第1の重合体を鞘成
分とし、ポリアルキレンオキシド成分含有ブロック共重
合体と第2の重合体との混合組成物を芯成分とする芯鞘
型複合繊維から構成され、前記ポリアルキレンオキシド
成分を構成繊維中に0.1重量%以上かつ10重量%以
下含有し、複合単繊維間の点圧着部において融着されて
形態保持された制電性長繊維不織布である。この不織布
は、極めて耐久性のある制電性能を持ち、しかも強力も
高いので、こいのぼり、旗等の基布、衣料用の裏地、カ
ーペット基布、カーテン、シーツ、フィルター等の汎用
の用途に適する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制電性長繊維不織布及
びその製造方法に関する。更に詳しくは、ポリアルキレ
ンオキシド成分が芯部に配置されることで制電性を備
え、しかもその制電性につき耐久性を有した制電性芯鞘
型複合繊維からなる制電性長繊維不織布及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルなどの合成繊維製品の静電
気障害を抑制するには、ポリアルキレンオキシド系化合
物の導入が有効なことは周知のとおりである。特に、ポ
リアルキレンオキシド成分とポリエステルとからなるブ
ロック共重合体を配合したものは、耐久性のある制電繊
維布帛を得るに最適であるとされている。しかし、通常
のブレンド法で該ブロック共重合体を導入する場合に
は、ポリアルキレンオキシド成分が繊維分子中に拘束さ
れやすく、モビリティが低下し、冬期におけるような低
湿度下では静電気障害が発生しやすいという問題があっ
た。
【0003】また、繊維表面部までポリアルキレンオキ
シド成分が導入されていると、繊維の表面がフィブリル
化したり、耐光性、制電性が低下してこれらの特性につ
いての耐久性に問題が生じたりする。この問題を解決す
るために複合繊維の芯部にポリアルキレンオキシド成分
含有ブロック共重合体を導入することが知られている。
この点を開示する文献としては、例えば、特開昭51−
82018号公報や本発明者等がすでに提案している特
公平4−11650号公報がある。しかし、前者は、複
合繊維の芯部のみにポリアルキレンオキシド成分含有ブ
ロック共重合体を繊維軸方向に連続した筋状に分散させ
ているものであるが、肝心の制電性能が十分とは言いが
たいものであった。後者は、制電性能は十分であるが高
速製糸性がないため、通常のいわゆるスパンボンド法に
よる長繊維の不織布化ができなかった。このため市場に
出ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決し、特に、十分な制電性を長時間持続できてこの制
電性についての耐久性にすぐれた制電性長繊維不織布及
びその製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは,
前記問題点を解決すべく鋭意検討した結果,本発明に到
達したものである。すなわち、本発明は、(1) エス
テル系重合体とオレフィン系重合体とアミド系重合体と
のいずれかからなる第1の重合体を鞘成分とし、ポリア
ルキレンオキシド成分含有ブロック共重合体と第2の重
合体との混合組成物を芯成分とする芯鞘型複合繊維から
構成され、前記ポリアルキレンオキシド成分を構成繊維
中に0.1重量%以上かつ10重量%以下含有し、複合
単繊維間の点圧着部において融着されて形態保持されて
いることを特徴とする制電性長繊維不織布と、(2)
エステル系重合体とオレフィン系重合体とアミド系重合
体とのいずれかからなる第1の重合体を鞘成分とし、ポ
リアルキレンオキシド成分含有ブロック共重合体と第2
の重合体との混合組成物を芯成分とし、しかも、ポリア
ルキレンオキシド成分が構成繊維中に0.1重量%以上
かつ10重量%以下含有するように配して芯鞘型複合紡
糸を行い、その後、エアーサッカーで牽引し、移動する
コンベアーネット上に繊維を堆積してウェブとした後、
彫刻ロールとフラットロールと間でこのウェブを点圧着
させることを特徴とする制電性長繊維不織布の製造方法
と、を要旨とするものである。
【0006】次に、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、鞘成分として用いる第1の重合体は、エステル
系重合体とオレフィン系重合体とアミド系重合体とのい
ずれかであることが必要である。エステル系重合体の場
合は、芯成分と鞘成分とが互いに親和性を持ち、しかも
高速製糸性を持つ。その理由は、芯成分と鞘成分との境
界面で剥離が生じないためであり、剥離が生じると、繊
維強度及び不織布強力が低下するからである。オレフィ
ン系重合体の場合は、繊維とした場合にソフトな表面タ
ッチ感があり、また、融点がポリエステル、ポリアミド
に比べ低いため、バインダー成分として重要な役割を持
つ。アミド系重合体の場合は、繊維とした場合にソフト
でしなやかな風合いを持ち、織物に近い強力と高い耐ア
ルカリ性とを持つ。また、印刷、染色、ラミネート等の
優れた加工性を有する。
【0007】前述のエステル系重合体としては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
が挙げられる。更にこれらを主体成分としたうえで、イ
ソフタル酸、フタル酸、グルタール酸、アジピン酸、ス
ルホイソフタル酸、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、2,2−ビス
(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンを、共重
合成分として40モル%までの範囲で含有するものも同
等に用いてよい。この場合には、テトラクロールエタン
とフェノールの混合比率1/1(重量比)で20℃で濃
度0.5%で測定した相対粘度ηrel が1.3〜1.6
程度となる繊維グレードを適用できる。
【0008】オレフィン系の重合体としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレンを主体とする共重合
体、プロピレンを主体とする共重合体等が挙げられる。
エチレン系の重合体としては、線状低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等があ
り、その特性として、ASTM−D−1238Eの方法
で測定したメルトインデックス値が、10〜80g/1
0分であることが好ましい。メルトインデックス値が1
0g/10分未満であると、溶融粘度が高過ぎて、高速
製糸性が得られないからであり、また、メルトインデッ
クス値が80g/10分を超えると、溶融粘度が低過ぎ
て、ヌメリ感が発生したり、高強度の繊維を得ることが
できないからである。一方、プロピレン系の重合体の粘
度は、ASTM−D−1238Lの方法で測定したメル
トフローレート値が20〜100g/10分であること
が好ましい。メルトフローレート値が20g/10分未
満であると、溶融粘度が高過ぎて、高速製糸性が得られ
ないからであり、また、メルトフローレート値が100
g/10分を超えると、溶融粘度が低過ぎて、高強度の
繊維を得ることができないからである。
【0009】本発明に関し最も好ましいオレフィン系の
重合体は、プロピレンが5重量%以内で共重合されたポ
リエチレン、あるいはポリプロピレンがポリエチレン中
に25重量%以下で混合されたものである。これは特に
製糸性を向上させるために効果があるからである。
【0010】アミド系の重合体としては、アミド結合を
持つ一般的なポリアミドを適用することができる。すな
わち、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン46、ナイロ
ン66、ナイロン610など、及びこれらを主成分とす
るアミド系共重合体などである。このアミド系の重合体
は、その融点は特に限定しないが、鞘成分を構成する関
係から熱バインダー成分としての役割を持つことが好ま
しい。すなわち、芯成分よりも融点が低いことが好まし
い。芯成分よりも融点が高いと、全融型の繊維となっ
て、強力の高い不織布を得ることが難しくなるからであ
る。
【0011】次に、本発明におけるブロック共重合体
は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、
エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体など
の、ポリアルキレンオキシド成分を含有するブロック共
重合体からなる。具体的には、ポリエステルを合成する
際に、ヒドロシル基、カルボキシル基、アルコキシカル
ボニル基、アミノ基のようなエステル官能基を1個以上
(好ましくは2個)有するポリアルキレンオキシド化合
物を添加して得られるものが好適である。
【0012】ポリエステルを形成する成分の具体例とし
ては、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、グルタール酸、アジピン酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸、ナフタル酸などのジカルボン酸成分
や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、キシリレングリコールなどのジオール成分が挙げら
れる。
【0013】ポリアミドを形成する成分の具体例として
は、ε−オキシカプロン酸、p−β−ヒドロキシエトキ
シ安息香酸のごときオキシ酸成分や、ピバロラクトン、
カプロラクトンのごときラクトン類や、エチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、フェニレンジアミン、N,N’−ビス(アミノ−n
−プロピル)ピペラジン、ビス(p−アミノシクロヘキ
シル)メタンなどのジアミン成分や、アミノカプロン
酸、アミノラウリン酸などのアミノカルボン酸成分や、
カプロラクタム、ラウリンラクタム等のラクタム成分が
挙げられる。
【0014】そして、ポリアルキレンオキシド成分は、
その分子量が400〜20000、好ましくは、800
〜10000のものがよく、共重合体中のポリアルキレ
ンオキシド成分の含有量は、10〜90重量%、好まし
くは20〜70重量%がよい。
【0015】また、ポリアルキレンオキシドとして、変
性ポリアルキレンオキシド、例えば、ビスフェノール
A、ビスフェノールSなどのビスフェノール類にアルキ
レンオキシドを付加させて得た化合物は、耐熱性、制電
性向上という点から好ましい。さらに、ポリエステル形
成性成分として5−アルカリメタルスルホイソフタル酸
やN,N’−ビス(アミノ−n−プロピル)ピペラジン
の如き親水成分を用いたり、ブロックコポリマーに有機
あるいは無機の電解質その他のイオン性化合物を配合し
たりすることは、ブロック共重合体の制電活性を高める
利点があり、特に好ましい。
【0016】本発明の繊維を構成する成分である第2の
重合体は、前記ブロック共重合体を希釈し、製糸性があ
る繊維形成性重合体であれば、いかなるものであっても
よい。例えば、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン1
2、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610など
及びこれらを主成分とするポリエステル、ポリアミド
や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどこれらを主成分
とする前記オレフィン系重合体などの溶融紡糸可能な重
合体が代表的なものである。
【0017】なお、鞘成分を構成する第1の重合体と、
ポリアルキレンオキシド成分含有ブロック共重合体と、
第2の重合体とは、互いに親和性のある組み合わせがよ
い。特に第1および第2の重合体は、同種の重合体であ
ることがさらによい。これは、芯成分と鞘成分が摩擦や
熱等によって剥離するのを防止する観点にたつものであ
る。また、鞘成分を構成する第1の重合体は、ブロック
共重合体および第2の重合体よりも融点が低いことが望
ましい。この理由は、第1の重合体がバインダー成分と
して寄与することにより、よりいっそう不織布の強力向
上を図れるからである。
【0018】次に、本発明に係る不織布を構成する繊維
の具体例について示す。図1(a)(b)は、その横断
面を模式的に示した図である。第1の重合体Xが鞘成分
をなし、ポリアルキレンオキシド成分含有ブロック共重
合体がネットワーク状をなして第2の重合体中に配合さ
れた成分Yが、芯成分をなしている。そして、この形態
が、繊維軸方向に実質的に連続しているのである。
【0019】本発明においては、このようにネットワー
ク状になっていることが好ましく、このネットワーク状
とは網目状に分散していることをいう。しかも、この網
目が繊維軸方向に実質的に連続しているものをいう。具
体的には、特公平4−11650号公報に示されたごと
きものをいう。このものによれば、構成繊維をオスミウ
ム酸で染色処理し、ポリエチレンテレフタレートの部分
をo−クロルフェノールで溶解し、その後、6万倍程度
の倍率の電子顕微鏡撮影することで、ネットワーク状が
観察され、ポリアルキレンオキシド成分が含有されてい
ることを確認することができる。
【0020】本発明に係る不織布を構成する繊維は、ポ
リアルキレンオキシド成分を0.1重量%以上かつ10
重量%以下含有することが必要である。0.1重量%未
満では、構成繊維中のポリアルキレンオキシド成分が少
ないため、制電性能が満足なものでなくなる。
【0021】一方、10重量%を超えると、制電性能面
では飽和状態に達してしまい、かつ繊維物性の低下、す
なわち繊維の強度や耐熱性の低下があるのでよくない。
したがって、本発明では、構成繊維中のポリアルキレン
オキシド成分の割合は、上述のように0.1重量%以上
かつ10重量%以下であることを必要とするが、0.2
重量%以上かつ8重量%以下であることが好ましく、
0.5重量%以上かつ5重量%以下であることが最も好
ましい。
【0022】この本発明の不織布を構成する繊維の繊度
は、特に限定しない。単糸繊度が比較的小さいものは、
ソフト性を有する分野の用途に適用できる。また、単糸
繊度が大きいものは、カーペットの基布用途から、建
築、土木資材に関するまで、広範囲に適用できる。
【0023】また、本発明の不織布を構成する繊維中に
は、耐熱剤、耐光剤、耐候剤、艶消し剤、可塑剤、顔
料、染料、界面活性剤、表面改質剤、各種無機及び有機
電解質、微粉体、難燃剤などを含有することもできる。
【0024】次に、本発明の不織布は、前記芯鞘型の繊
維から構成されているが、その複合単繊維間の点圧着部
において融着され、形態が保持されている必要がある。
本発明でいう点圧着では、丸型、スリット型、十字型、
十葉型、三角型、三葉型、四角、五角、六角、八角型、
四葉、五葉、六葉、八葉型、卍型等の模様で点圧着され
る。またこの点圧着の状況は、圧着面積率で示される。
そして、この圧着面積率は、次のようにして測定され
た。すなわち、不織布の小片を用い、走査型電子顕微鏡
で拡大撮影し,最小繰返単位の面積に対して点圧着され
ている部分の面積の総和の比率を個々に10回測定し、
そのときの平均値で不織布の圧着面積率が測定された。
【0025】本発明における不織布の圧着面積率は、4
%以上かつ50%以下であることが好ましい。4%未満
であると、不織布の柔軟性は向上するが、不織布強力が
低下したり、不織布が擦れた場合に毛羽立ちが発生し易
くなったりして、実用面から問題が生じる。また、圧着
面積率が50%を超えると、不織布自体が極めて硬くな
り、ハンドリング性が悪くなる。
【0026】従ってより好ましくは、圧着面積率が5%
以上かつ40%以下であることがよい。これらの点圧着
部で融着されることによって、不織布が形態保持される
のである。しかも、その他の部分は熱圧着されないた
め、不織布の曲げ易さ、ハンドリングのよさが付与され
るのである。
【0027】本発明における不織布の目付は、特に限定
しない。低目付の不織布は、通気性を重視した分野、例
えばゴミフィルターやブックカバー等に適用できる。ま
た高目付の不織布では、カーペット基布等まで適用でき
る。したがって本発明によれば、広範な用途に展開でき
る。
【0028】次に、本発明の制電性長繊維不織布を製造
するための一方法を説明する。しかし本発明はこの具体
的な方法に限ったものでないことは言うまでもない。本
発明の制電性長繊維不織布を製造するためには、一般公
知の溶融複合紡糸によるスパンボンド法を適用すること
ができる。
【0029】まず、第1の重合体としてのオレフィン系
重合体を鞘成分とする。またポリアルキレンオキシド成
分含有ブロック共重合体と第2の重合体とを溶融個別計
量し、これらを予め静的混合器で混合した重合体を芯成
分とする。そして、これら鞘成分と芯成分とを芯鞘型複
合紡糸する。
【0030】この場合の複合紡糸口金は、通常の芯鞘型
複合口金装置を使用することができる。あるいは、複合
紡糸口金装置内で、個々の重合体をフィルターにより濾
過した後、静的混合器に導入し、芯鞘型複合紡糸を行な
う、特殊な紡糸口金装置を用いて防止してもよい。図2
は、前者の方法を模式的に示した装置概要図である。図
3は、後者の方法を適用した場合の紡糸口金装置の主要
部の断面を模式的に示したものである。なお、図2およ
び図3は単芯型複合繊維の場合について示したが、芯の
数が2〜20個程度の多芯型としてもよい。
【0031】図2において、1、2は、芯成分を構成す
るポリアルキレンオキシド成分含有ブロック共重合体と
第2の重合体のための溶融押し出し機、3は鞘成分を構
成する第1の重合体のための溶融押し出し機である。4
〜6は各重合体を貯蔵するホッパー、7〜9は溶融計量
装置、10は静的混合器、11は通常の芯鞘型複合紡糸
口金装置である。溶融計量されたポリマー流は、まずブ
ロック共重合体と第2の重合体とが静的混合器10にて
混合される。そして第1の重合体とともに複合紡糸口金
装置11内に送られ、この口金装置11内で濾材によっ
てポリマー濾過と共に混合されて芯鞘形状の複合繊維が
紡出される。引き続いて、紡出された複合繊維は、冷却
ガスの吹付装置12で冷却固化され、さらにエアーサッ
カー13に導入されて牽引される。その糸条は、開繊器
14によって開繊され、移動するコンベアーネット15
上に堆積されてウェブとなり、熱エンボス加工機16で
点圧着された後、捲取機17で巻き取られて不織布とな
る。
【0032】図3において、20は有孔板、21は中間
板、22は下部中間板、23は口金板、24は第1の静
的混合器、25は第2の静的混合器である。各溶融計量
された重合体のうち、芯成分を構成するポリアルキレン
オキシド成分含有ブロック共重合体27と第2の重合体
28が有孔板20に導入され、これら重合体27、28
のポリマー流は、中間板21に取りつけられている静的
混合器24で混合される。次にこの混合重合体は、下部
中間板22に取りつけられている静的混合器25にてさ
らに混合され、口金板23に芯成分として導入される。
一方、第1の重合体26は、有孔板20、中間板21、
下部中間板22を経て、口金板23に導入され、鞘成分
として、上記のように混合された芯成分と複合部29で
芯鞘形状に複合され、口金孔30より紡出される。
【0033】ここで、上述のような構成繊維中のポリア
ルキレンオキシド成分の0.1重量%以上かつ10重量
%の割合の含有率は、ポリアルキレンオキシド成分含有
ブロック共重合体中のポリアルキレンオキシド成分量
と、各重合体の総吐出量とから決定できる。
【0034】静的混合器10、24、25としては、ス
ルーザー社の「スルーザーミキサー」、ケニックス社の
「スタティックミキサー」、東レ社の「ハイミキサー」
等、及びラシヒリング、モランダム、金網の積層物等の
濾材、及びこれらを組み合わせたものを適用できる。静
的混合器の混練素子個数は、タイプによって個々の圧力
損失が異なるので一概に段数を決められないが、2〜1
6個が好ましい。余りにも多くの混練素子個数にする
と、ネットワークが形成されず、ポリアルキレンオキシ
ド成分含有ブロック共重合体が第2の重合体で単に希釈
されるだけの効果となって、制電性能が低下する。な
お、この混練素子は、直列や並列状態で設置してもよ
い。同様に、上述の濾材も目が細か過ぎるとブロック共
重合体分散が極めて細かくなり、ネットワークが形成さ
れず、制電効果が低下する。このことから、金網は10
〜500メッシュのものを積層したものが好ましい。
【0035】以上のごとく紡出された芯鞘型複合繊維糸
条を吹付装置12の吹付風により冷却した後、エアーサ
ッカー13で糸条を3500m/分以上に牽引し、開繊
器14により繊維を開繊する。この開繊された繊維は、
移動するコンベアーネット15上に堆積されてウェブと
された後、エンボス加工機16により点圧着される。そ
こで捲取機17にて製品を巻き取れば、不織布を製造す
ることができる。
【0036】本発明の方法において、繊維糸条のエアー
サッカー13による牽引は、糸切れが生じない範囲内で
できるだけ高紡糸速度にすることが望ましい。この理由
は、繊維の配向を高め、熱収縮性を抑え、不織布物性の
向上を図るためである。すなわち、高紡糸速度にするこ
とは、生産性の観点からも好ましく、かつ繊維の結晶配
向度を高める。熱収縮特性も低下していくため、当然耐
熱性及び寸法安定性が向上する。また繊維自体の強度も
保持されるため、不織布強力も高くなるのである。低紡
糸速度では、繊維の熱収縮率が極めて高くなり、不織布
の寸法安定性が低下したり、粗硬感が発生してくるため
よくない。このような問題が発生する低紡糸速度は、鞘
成分を構成する第1の重合体がエステル系重合体のとき
は3500m/分未満、オレフィン系重合体のときは2
000m/分未満、またアミド系重合体のときは300
0m/分未満が、それぞれ該当する。
【0037】次に、点圧着により不織布の形態を保持す
るためのエンボス加工に際しては、従来から乾式不織布
用に使用されている公知の熱エンボス加工機や超音波溶
着機などの装置を適用することができる。
【0038】例えば、熱エンボス加工機を適用した場合
の加工温度は、一般的には、熱接着成分すなわち鞘成分
の融点よりも5℃低い温度からその融点よりも50℃低
い温度までの範囲を適用できる。鞘成分の融点よりも5
℃低い温度を超えた高い温度となると、不織布の風合い
が硬くなって、ハンドリングが悪く、引裂強力の低い不
織布となる。また加工温度が高いと、ウェブが彫刻ロー
ルあるいは金属製の平滑ロールに取られ、操業性良く不
織布を製造することができない。一方、鞘成分の融点よ
りも50℃低い温度に達しない低い温度であると、ウェ
ブが熱圧着されず、不織布の形態保持性が低下する。ま
た加工温度が低いと、ウェブが彫刻ロールに取られ、操
業性良く不織布を製造することができなくなる。ここで
適用される加工温度はいずれも鞘成分の融点以下の温度
であるが、この鞘成分の軟化点がその加工温度範囲内に
あり、彫刻ロールの圧着ポイント部で圧力が付与される
ことにより、融着された状態となる。
【0039】また、不織布を製造する上では、点圧着箇
所により形成される模様が、不織布強力、柔軟性、風合
いに影響するため重要である。このため、彫刻ロールの
彫刻面積および形状が、一つのポイントとなる。彫刻面
積の基準は、熱圧着させる時の圧着面積率で示すことが
でき、本発明の不織布を得るための圧着面積率は、前述
のように4〜50%が好ましい。
【0040】更にまた、不織布を製造する上では、線圧
の付与が重要である。この熱エンボス加工機を適用した
場合の線圧としては、5〜100kg/cmを通常適用
できる。線圧が5kg/cm未満では、不織布の圧着が
不十分となり、強力の低下した不織布しか得られない。
また線圧が100kg/cmを超えると、穴あきの不織
布となり、不織布強力も低下する。したがって、より好
ましくは、線圧を10〜70kg/cmとするのがよ
い。
【0041】一方、超音波溶着機を適用した場合には、
彫刻ロールと超音波溶着機構をもった支持体との間に前
記ウェブを通布し、20kHz程度の超音波を発振すれ
ばよい。溶着状態を変更する場合には、用いる素材によ
って超音波の波長を適宜変更すればよい。この場合の線
圧としては、熱エンボス加工機と異なって0.5〜10
kg/cm程度を用いればよい。また、圧着面積率は、
同様に4〜50%が好ましい。この超音波溶着による点
圧着を施した不織布は、点圧着部以外の繊維が殆ど熱の
影響を受けないため、風合いが硬くならず、より好まし
い。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアルキレンオキシ
ド成分含有ブロック共重合体を含み、しかもこのポリア
ルキレンオキシド成分が不織布の構成繊維中に0.1〜
10重量%含有されたものであるため、耐久性のある制
電性能を持ち、しかも不織布強力が高いので、こいのぼ
りや旗等の基布、衣料用の裏地、カーペット基布、カー
テン、シーツ、フィルター等の汎用の用途に適するもの
である。
【0043】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。なお、下記の実施例における各種特性の測定及
び評価は、次の方法により実施した。 ・重合体の融点 パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用
い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を
与える温度を融点とした。 ・不織布のKGSM強力、引張伸度 東洋ボールドウイン社製、テンシロン UTM−4−1
−100を用い、JIS L−1096に記載のストリ
ップ法にしたがい、 試料幅 5cm、試料長20cmの
試料片を10個準備し、掴み間隔10cm、引張速度1
0cm/分で測定した。 その場合の個々の最大の引張強
力を平均化し、100g/m2 に換算した値をもってK
GSM強力とした。また、その時の最大伸度を平均化し
て、不織布の引張伸度とした。 ・引裂強力 JIS L−1096に記載のペンジュラム法に準じ
た。 ・厚み 厚み測定機(大栄科学精機製作所製)を用いて、印加荷
重4.5g/cm2 のもとで10秒経過した時の厚み
(mm)を測定した。 ・制電性 JIS L−1094 A法に準じて、試料片4.5 cm×
4.5 cmを5枚準備し、70℃で1時間予備乾燥後、20
℃×40%R.H.で1昼夜放置して、試料の調整を行
った。その後、スタチックオネストメーターに取り付
け、次の条件で半減期時間(秒)を測り、その平均値で
表した。
【0044】極間放電圧:10000V 電極間距離:受電20mm、放電20mm ターンテーブルの回転数:1730rpm 放電時間:30秒 実施例1〜4、比較例1〜2 テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応
で得られたオリゴマー(数平均重合度4)74重量部
と、ビスフェノール〔A〕のエチレンオキシド付加物
(平均分子量6000)23重量部と、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸のビスエチレングリコールエステル
3重量部と、三酸化アンチモン0.02重量部(エチレ
ングリコール2%溶液として使用)とを反応機に仕込
み、0.1トン、270℃,4時間の条件で重縮合して
ブロック共重合体を得た。
【0045】紡糸装置は、図2に示す装置を用いた。た
だし、静止混合器として、スルーザー社のスルーザーミ
キサーSMXを用いた。混練素子個数が5個で、かつ口
金孔が丸型の通常用いられている0.4mmφ、長さ
0.8mm、孔数162個である芯鞘型複合紡糸用口金
装置(ただしこの場合の濾材に相当する金網は300メ
ッシュ)を4個用いた。鞘成分の第1の重合体として
は、融点236℃、相対粘度1.45であるイソフタル
酸を共重合したポリエステルを用い、芯成分のための第
2の重合体としては、融点256℃、相対粘度1.38
であるポリエチレンテレフタレートを用いた。第2の重
合体との混合組成物を形成するために、前述のポリアル
キレンオキシド成分含有ブロック共重合体を用いた。
【0046】押し出し機のポリマーライン温度は、第1
の重合体、ブロック共重合体、および第2の重合体につ
き、それぞれ265、275、285℃とした。そして
静的混合器10の温度は285℃、紡糸口金装置11の
温度は285℃、単孔吐出量は1.67g/分、芯/鞘
複合比は50/50重量%として、芯鞘型の複合繊維
(単繊維繊度約3デニール)を紡出した。なお、繊維中
のポリアルキレンオキシド成分の量は、表1のごとく変
更した。
【0047】紡出された複合繊維は、吹付装置12で冷
却固化し、さらにエアーサッカーで牽引して紡糸速度が
5000m/分になるように調整し、開繊器14によっ
て開繊した。その糸条を、移動するコンベアーネット1
5上に堆積してウェブとなし、熱エンボス加工機(圧着
面積率17%,加工温度210℃、線圧50kg/c
m)16で点圧着した後、捲取機17で巻き取って、目
付が約50g/m2 の不織布を製造した。得られた不織
布の特性を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から明らかなように、繊維中のポリア
ルキレンオキシド成分が増加するにしたがって、不織布
強力がやや低下する傾向及び制電性能が良化する方向に
あるが、いずれも満足な制電性能を呈し、不織布物性的
に問題がなかった。
【0050】比較例1では、繊維中のポリアルキレンオ
キシド成分が少な過ぎて、制電性能がなかった。比較例
2では、繊維中にポリアルキレンオキシド成分が過剰に
あるため、不織布強力が低下し、制電性能は飽和の状態
にあった。したがってコスト的に余り良くなかった。
【0051】実施例5〜8、比較例3 エアーサッカー13の吸引量すなわち紡糸速度と、単孔
吐出量とを表2のごとく変更した他は実施例2と同じ条
件として、単繊維繊度3デニールの芯鞘型の複合繊維を
紡出し、不織布を得た。
【0052】
【表2】
【0053】実施例5〜8は、紡糸速度の増加と共に不
織布強力が高くなる傾向にある中で、制電性能の優れた
ものであった。比較例3では、制電性能が優れているも
のの、紡糸速度が低いため、繊維の熱収縮率が高くな
り、そのことがウェブの収縮斑につながって、不織布強
力が低下し、不織布品位的に劣ったものしかできなかっ
た。
【0054】実施例9 通常の2つの押し出し機を持つ複合紡糸機を用い、紡糸
口金装置は図3に示すものを用いた。ただし、静止混合
器24としては、ケニックス社のスタティックミキサー
を用いた。その混練素子個数は4個で、口金孔が丸型の
0.4mmφ、長さ0.8mm、孔数162個である芯
鞘型複合紡糸用口金装置(ただしこの場合の静的混合器
25としての濾材の金網は100メッシュ)を4個用い
た。第1の重合体26および第2の重合体28に相当す
る成分として、ポリエチレンテレフタレートを一方の押
し出し機に供給し溶融計量した後、図3の紡糸口金装置
で鞘成分と芯成分に二分割導入(重量比で7/6)し
た。これらは、図3に示された各重合体26、28のた
めのポリマー導入路に至った。さらに、もう一つの成分
であるポリアルキレン成分含有のブロック共重合体27
が供給され、これは、溶融計量された後、この共重合体
27のためのポリマー導入路28に至った。
【0055】なお、それぞれポリマーライン温度は28
5℃、275℃を用い、紡糸用口金装置の温度は285
℃とした。ブロック共重合体/第2の重合体の混合割合
は重量比で1/3とし、芯/鞘複合比は重量比で8/7
とし、総単孔吐出量は1.5g/分とした。このことか
ら、繊維中のポリアルキレンオキシド成分は、重量比で
3.07%となった。
【0056】この条件下で芯鞘型の複合繊維を紡出した
後、吹付装置12で冷却固化し、さらにエアーサッカー
13で牽引し、紡糸速度が5000m/分になるように
調整し、さらに開繊器14によって開繊した。その糸条
を、移動するコンベアーネット15上に堆積してウェブ
となし、熱エンボス加工機(圧着面積率17%,加工温
度240℃、線圧50kg/cm)16で点圧着し、そ
の後、捲取機17で巻き取って、目付が約50g/m2
の不織布を製造した。得られた不織布の特性を下記に示
す。
【0057】 記 KGSM強力 MD/CD 28.8/7.6 kg/5cm 引張伸度 MD/CD 28/28% 引裂強力 MD 0.8 kg 厚み 0.27 mm 制電性 13 秒 実施例10〜13、比較例4〜5 第1の重合体としてのポリマーとして、融点132℃、
密度0.96g/cm 3 、メルトインデックス値20g
/10分である高密度ポリエチレンを用いた。押し出し
機のポリマーライン温度として、第1の重合体のために
250℃を採用した。単孔吐出量は1.17g/分とし
た。これ以外は実施例1と同じ条件で、芯鞘型の複合繊
維(単繊維繊度約3デニール)を紡出した。なお、繊維
中のポリアルキレンオキシド成分の量は、表3のごとく
変更した。
【0058】紡出された複合繊維は、吹付装置12で冷
却固化し、エアーサッカー13で牽引して紡糸速度が3
500m/分になるように調整し、さらに開繊器14に
よって開繊した。その糸条を、移動するコンベアーネッ
ト15上に堆積してウェブとなし、熱エンボス加工機
(圧着面積率17%,加工温度125℃、線圧30kg
/cm)16で点圧着した後、捲取機17で巻き取っ
て、目付が約50g/m2の不織布を製造した。得られ
た不織布の特性を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】表3から明らかなように、繊維中のポリア
ルキレンオキシド成分が増加するにしたがって、不織布
強力がやや低下する傾向及び制電性能が良化する方向に
あるが、いずれも満足な制電性能を呈し、不織布物性的
に問題がなかった。
【0061】比較例4では、繊維中のポリアルキレンオ
キシド成分が少な過ぎて、制電性能がなかった。比較例
5では、繊維中にポリアルキレンオキシド成分が過剰に
あるため、不織布強力が低下し、制電性能は飽和の状態
にあった。したがってコスト的に余り良くなかった。
【0062】実施例14 実施例9の場合と同様に、図3に示される紡糸口金装置
を用いた。ただし、静止混合器24としては、ケニック
ス社のスタティックミキサーを用いた。第1の重合体2
6および第2の重合体28に相当する成分として、融点
162℃、密度0.919g/cm3 、メルトフローレ
ート値50g/10分であるポリプロピレンを一方の押
し出し機に供給して溶融計量した後、図3の紡糸口金装
置上で鞘成分と芯成分に二分割導入(重量比で7/6)
した。
【0063】それぞれポリマーライン温度は260℃、
275℃を用い、紡糸用口金装置の温度は275℃とし
た。ブロック共重合体/第2の重合体の混合割合は重量
比で1/3とし、芯/鞘複合比は重量比で8/7とし、
総単孔吐出量は1.2g/分とした。このことから、繊
維中のポリアルキレンオキシド成分は、重量比で3.0
7%となった。
【0064】他の条件は実施例9の場合と同一にして、
芯鞘型の複合繊維を紡出した後、吹付装置12で冷却固
化し、エアーサッカー13で牽引して紡糸速度が360
0m/分になるように調整し、さらに開繊器14によっ
て開繊した。その糸条を、移動するコンベアーネット1
5上に堆積してウェブとなし、熱エンボス加工機(圧着
面積率17%,加工温度152℃、線圧30kg/c
m)16で点圧着し、その後、捲取機17で巻き取っ
て、目付が約50g/m2 の不織布を製造した。得られ
た不織布の特性を下記に示す。
【0065】 記 KGSM強力 MD/CD 35.9/9.5 kg/5cm 引張伸度 MD/CD 38/38% 引裂強力 MD 0.7 kg 厚み 0.28 mm 制電性 13 秒 この不織布特性から、この実施例14の不織布は、強
力、制電性に優れたものであることが分かる。
【0066】実施例15〜18、比較例6〜7 鞘成分の第1の重合体として、融点120℃で、酸化チ
タンを1.0重量%含有し、96%の濃硫酸による25
℃で測定した相対粘度が1.92であるナイロン6とナ
イロン66とナイロン12とからなるポリアミド系3元
共重合体を用いた。静止混合器として、実施例1の場合
と同じものを同じ条件で使用し、濾材に相当する金網を
100メッシュ5枚積層品とした点だけを相違させた。
押し出し機のポリマーライン温度として、第1の重合体
のために200℃を採用した。単孔吐出量は1.27g
/分とした。これ以外は実施例1と同じ条件で、芯鞘型
の複合繊維(単繊維繊度約3デニール)を紡出した。な
お、繊維中のポリアルキレンオキシド成分の量は、表4
のごとく変更した。
【0067】紡出された複合繊維は、吹付装置12で冷
却固化し、エアーサッカー13で牽引して紡糸速度が3
800m/分になるように調整し、さらに開繊器14に
よって開繊した。その糸条を、移動するコンベアーネッ
ト15上に堆積してウェブとなし、熱エンボス加工機
(圧着面積率17%,加工温度113℃、線圧30kg
/cm)16で点圧着した後、捲取機17で巻き取っ
て、目付が約50g/m2の不織布を製造した。得られ
た不織布の特性を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】表4から明らかなように、実施例15〜1
8の不織布は、繊維中のポリアルキレンオキシド成分が
増加するにしたがって、不織布強力がやや低下する傾向
及び制電性能が良化する方向にあるが、いずれも満足な
制電性能を呈し、不織布物性的に問題がなかった。
【0070】比較例6では、繊維中のポリアルキレンオ
キシド成分が少な過ぎて、制電性能がなかった。比較例
7では、繊維中にポリアルキレンオキシド成分が過剰に
あるため、不織布強力が低下し、制電性能は飽和の状態
にあった。したがってコスト的に余り良くなかった。
【0071】実施例19 数平均分子量約4000のポリエチレングリコールをシ
アノエチル化し、更に水素添加して、両末端にアミノ基
を有する構造のポリエチレングリコールを合成した。こ
れに等モルのアジピン酸を作用させてジアンモニウム塩
を形成させたものを40重量%と、数平均分子量約40
00のポリエチレングリコールのジステアレートを2重
量%と、セバシン酸を1.37モル%と、亜リン酸を
0.2重量%と、水を2.5kgとを混合した。更に、
これらのポリエチレンオキシド成分の含有率が40重量
%となるようにε−カプロラクタムを混合し、窒素気流
中で、重合温度260℃、重合時間1.5時間で加熱し
て、これまでの実施例とは別の、ポリアルキレンオキシ
ド成分含有ブロック共重合体を得た。
【0072】このブロック共重合体を用い、混合組成物
を形成するための第2の重合体をナイロン6とした。押
し出し機のポリマーライン温度は、ブロック共重合体お
よび第2の重合体につき、それぞれ260、265℃と
した。静的混合器10の温度は265℃、紡糸口金装置
11の温度は265℃、繊維中のポリアルキレンオキシ
ド成分は2.1重量%とした。これ以外は実施例16と
全く同じ紡糸条件で芯鞘型複合繊維を紡出し、さらに同
じ条件でウェブを形成した後、不織布を作成した。得ら
れた不織布の特性を下記に示す。
【0073】 記 KGSM強力 MD/CD 52.7/14.0 kg/5cm 引張伸度 MD/CD 35/35% 引裂強力 MD 0.6 kg 厚み 0.25 mm 制電性 10 秒 この不織布特性から、この実施例19の不織布は、強
力、制電性に優れたものであることが分かる。
【0074】実施例20 通常の2つの押し出し機を持つ複合紡糸機を用い、紡糸
口金装置は図3に示す装置を用いた。ただし、静止混合
器24としては、ケニックス社のスタティックミキサー
を用い、混練素子個数が5個で、口金孔が丸型の0.4
mmφ、長さ0.8mm、孔数162個である芯鞘型複
合紡糸用口金装置を4個用いた。ただし、この場合の静
的混合器25としての濾材の金網は、100メッシュの
ものを用いた。
【0075】第1および第2の重合体26、28に相当
する成分して、融点が225℃で、酸化チタンを1.0
重量%含有し、96%の濃硫酸による25℃で測定した
相対粘度が2.53であるナイロン6を一方の押し出し
機に供給し、溶融計量した。このナイロン6は、その
後、図3の紡糸口金装置において鞘成分と芯成分とに二
分割導入(重量比で7/6)されて、それぞれのポリマ
ー導入路に至った。もう一つの成分として、実施例19
のものと同一のブロック共重合体28を供給した。これ
は、溶融計量された後、対応するポリマー導入路に至っ
た。
【0076】それぞれ押し出し機のポリマーライン温度
は265℃、260℃を用い、紡糸用口金装置の温度は
265℃とした。ブロック共重合体/第2の重合体の混
合割合は重量比で1/3とし、芯/鞘複合比は重量比で
8/7とし、総単孔吐出量は1.33g/分とした。こ
のことから、繊維中のポリアルキレンオキシド成分は重
量比で5.3%となった。
【0077】この条件下で芯鞘型の複合繊維を紡出した
後、吹付装置12で冷却固化し、さらにエアーサッカー
13で牽引して紡糸速度が4000m/分になるように
調整し、さらに開繊器14によって開繊した。その糸条
を、移動するコンベアーネット15上に堆積してウェブ
となし、熱エンボス加工機(圧着面積率17%,加工温
度200℃、線圧30kg/cm)16で点圧着した
後、捲取機17で巻き取って、目付が約50g/m2
不織布を製造した。得られた不織布の特性を下記に示
す。
【0078】 記 KGSM強力 MD/CD 58.1/14.6 kg/5cm 引張伸度 MD/CD 36/36% 引裂強力 MD 0.7 kg 厚み 0.28 mm 制電性 9 秒 この不織布特性から、この実施例20の不織布は、強
力、制電性に優れたものであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制電性長繊維不織布を構成する繊維の
具体的な横断面構造を示す図である。
【図2】本発明の制電性長繊維不織布の製造装置の一例
を示す図である。
【図3】本発明の制電性長繊維不織布を製造するための
紡糸口金装置の例を示す図である。
【符号の説明】
11 芯鞘型複合紡糸口金装置 13 エアーサッカー 15 コンベアーネット 16 熱エンボス加工機

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エステル系重合体とオレフィン系重合体
    とアミド系重合体とのいずれかからなる第1の重合体を
    鞘成分とし、ポリアルキレンオキシド成分含有ブロック
    共重合体と第2の重合体との混合組成物を芯成分とする
    芯鞘型複合繊維から構成され、前記ポリアルキレンオキ
    シド成分を構成繊維中に0.1重量%以上かつ10重量
    %以下含有し、複合単繊維間の点圧着部において融着さ
    れて形態保持されていることを特徴とする制電性長繊維
    不織布。
  2. 【請求項2】 ポリアルキレンオキシド成分含有ブロッ
    ク共重合体が繊維軸方向に実質的に連続したネットワー
    クをなして第2の重合体中に配合されていることを特徴
    とする請求項1記載の制電性長繊維不織布。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレンオキシド成分がビスフェ
    ノール類のアルキレンオキシド付加物であることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載の制電性長繊維不織
    布。
  4. 【請求項4】 エステル系重合体とオレフィン系重合体
    とアミド系重合体とのいずれかからなる第1の重合体を
    鞘成分とし、ポリアルキレンオキシド成分含有ブロック
    共重合体と第2の重合体との混合組成物を芯成分とし、
    しかも、ポリアルキレンオキシド成分が構成繊維中に
    0.1重量%以上かつ10重量%以下含有するように配
    して芯鞘型複合紡糸を行い、その後、エアーサッカーで
    牽引し、移動するコンベアーネット上に繊維を堆積して
    ウェブとした後、彫刻ロールとフラットロールとの間で
    このウェブを点圧着させることを特徴とする制電性長繊
    維不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 繊維中のポリアルキレンオキシド成分含
    有ブロック共重合体が繊維軸方向に実質的に連続したネ
    ットワークをなして第2の重合体中に配合されるように
    芯鞘型複合紡糸を行うことを特徴とする請求項4記載の
    制電性長繊維不織布の製造方法。
  6. 【請求項6】 静的混合器と濾材とを組み合わせてポリ
    アルキレンオキシド成分含有ブロック共重合体と第2の
    重合体とを混合することを特徴とする請求項4または5
    記載の制電性長繊維不織布の製造方法。
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