JPH07157353A - セメント質組成物、そのセメント質硬化体及び該硬化体の製造方法 - Google Patents

セメント質組成物、そのセメント質硬化体及び該硬化体の製造方法

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JPH07157353A
JPH07157353A JP34048993A JP34048993A JPH07157353A JP H07157353 A JPH07157353 A JP H07157353A JP 34048993 A JP34048993 A JP 34048993A JP 34048993 A JP34048993 A JP 34048993A JP H07157353 A JPH07157353 A JP H07157353A
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cement
parts
unsaturated polyester
acid
unsaturated
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JP34048993A
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Mitsuhiro Maehama
充宏 前浜
Kiyoto Doi
清人 土井
Mitsusachi Mizoguchi
光幸 溝口
Hisakazu Hatsuji
尚和 初治
Masaki Hasegawa
正木 長谷川
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水硬性セメントとα,β−不飽和多塩基酸と
分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物と
不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含有するセ
メント質組成物である。この組成物を所定形状に成形
後、加熱硬化することによりセメント質硬化体製品を得
る。 【効果】 従来技術で得られるものに比し、曲げ強度が
優れ、高強度なセメント質硬化体製品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土木、建築分野を中心
に電気・電子製品、輸送機器等の広い分野において使用
することの可能なセメント質組成物、それを用いた硬化
体及びその製造方法に関するものである。さらに詳細に
は、従来技術で得られることのできない高強度なものが
得られるセメント質組成物、その硬化体及びその該製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、水硬性セメントを用いて製造され
るセメント製品は、安価であり、高い圧縮強度をもつと
いう特性があるが故に、土木・建築分野を中心に広く使
用されている。しかしながら、一般のセメント製品は曲
げ強度が50〜100kgf/cm2 程度しかないとい
う短所を合わせ持っている。そのために、その使用範囲
が限定される傾向にある。さらには、ある程度の強度を
もたせるために、厚みが必要となり、成形物の重量が大
きくなり、施工性や輸送、ハンドリング等に難を来す場
合がある。この低い曲げ強度を補うために、従来より様
々な工夫がなされてきた。例えば、コンクリートの内部
に補強材を入れることがあげられる。現行では、鉄筋が
コンクリートの補強材として広く用いられている。ま
た、鉄筋の替わりに鋼繊維、ガラス繊維、ポリマー繊
維、炭素繊維等の短い繊維を混入する場合がある。これ
は、いわゆる、繊維補強コンクリート(モルタル)であ
る。また、一般にコンクリートやモルタルなどのセメン
ト水和硬化体の高強度化の方法としては、水和の際に使
用する水の量を少なくして均質に混練りを行い、硬化体
に含まれる気孔を少なくすることが知られている。その
例として、高吸水性ポリマーを水のキャリアとして用い
ることにより、水セメント比で20数%というセメント
の水和にぎりぎりの水の量で練り混ぜ、繊維や高圧縮力
成形を必要とせずに、強度向上が図れることが知られて
いる。また、水を氷の状態にして、混練して水硬性セメ
ントを硬化させるという試みもある。さらには、セメン
ト硬化体中の気孔の最大径や割合を制限して高強度の硬
化体を得ようという技術は、1981年のバーチャル
(Birchall)らの論文から注目を浴び、様々な
研究が進んでいる。これは、いわゆる、MDF(Mac
ro−Defect−Free)セメントと呼ばれるも
のである。この関連の技術は、特公昭59−4343
1、特公平1−37345等に水セメント比で25%以
下の少ない量の水、水硬性セメント及びポリビニルアル
コールやポリアクリルアミド等の水溶性高分子を2本ロ
ールミルなどの高剪断力で練り混ぜた後に硬化させ、高
い強度を有するセメント硬化体が得られることが記載さ
れている。これが、水の量を減らし、且つセメント硬化
体中の気孔の寸法や割合を制限することにより、高強度
の硬化体を得るという技術である。また、耐水性を向上
させるために、イソシアナート化合物を親水基と反応さ
せた例がある(特開昭63−206342)。さらに
は、ポリマーセメントコンクリート(モルタル)の技術
において、液状ポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂
を用いる技術がある。これは骨材、練り混ぜ水及び水溶
性触媒と共に、不飽和ポリエステル樹脂を練り混ぜ、そ
の後、セメントと練り混ぜて作られる。この際の不飽和
ポリエステル樹脂のポリマーセメント比は30%以上が
普通である。また、不飽和ポリエステル樹脂中にセメン
トスラリーを強制攪拌しながら添加して得られる油中水
型逆エマルジョンにメチルエチルケトンパーオキサイド
等のラジカル重合開始剤を添加して硬化させる方法が知
られている(特公昭62−20223、特開昭60−3
3241)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、補強材
として鉄筋を用いた場合には、コンクリート(モルタ
ル)がひび割れを起こした場合に、塩化物イオン或は酸
性雨等の酸を含有する水分がコンクリート(モルタル)
内部に進入したり、原料中に塩分が存在すると鉄筋に錆
を生じて著しい強度劣化を引き起こすという問題があ
る。また、鉄筋の代わりに鋼繊維、ガラス繊維、ポリマ
ー繊維、炭素繊維などの短い繊維を混入する繊維補強コ
ンクリート(モルタル)の場合にも以下のような問題点
がある。ガラス繊維を用いた時にはセメントのアルカリ
によるガラス繊維の劣化による耐久性低下の問題、また
鋼繊維を用いた時には鉄筋と同様の問題等があり、充分
とは言えない。さらにはこれらの繊維を含む場合、成形
が難しいために複雑な形状のものができなく、平板状の
製品が多いという問題点がある。さらには、繊維が配向
性をもって混入された場合に成形品の異方性がでるとい
う問題点もあった。また、この繊維補強コンクリート
(モルタル)の曲げ強度も400kgf/cm2 を超え
ることは稀である。それ故、さらなる強度向上が望まれ
ているのが現状である。また、硬化の際に使用する水の
量を少なくして均質に混練りを行い、硬化体に含まれる
気孔を少なくさせるために、高吸水性ポリマーを水のキ
ャリアとして用いた場合、繊維の混入や高圧縮力成形を
必要とせずに強度向上が図れるが、それによっても曲げ
強度は、300kgf/cm2 程度である。
【0004】また、特公昭59−43431、特公平1
−37345等のように、ポリビニルアルコールやポリ
アクリルアミド等の水溶性高分子を併用して気孔の最大
径や割合を制限したMDFセメントは、確かに過去に例
を見ない程の高強度のセメント硬化体となる。しかしな
がら、水溶性高分子を比較的多量に含んでいるために、
水に浸漬すると強度が著しく低下したり、膨潤する等、
耐水性に劣るという問題点がある。この耐水性の向上の
ために、特公平4−21634や特公平2−25876
に示されるように、一度加熱成形したセメント製品にさ
らに高温の熱をかけ水溶性高分子を熱分解するという技
術があるが、これによると熱分解後さらに水和硬化させ
る必要があり、また二度も高温で加熱処理をするために
製造も煩雑であり且つエネルギーコスト的も不利であ
り、さらには初期強度よりも二次加熱後の強度が劣ると
いう問題点がある。また、特開昭63−206342に
示されるようにイソシアナート化合物を親水基と反応さ
せるということが考えられるが、イソシアナート化合物
は強い刺激臭を有し、また毒性を有するものもあること
から混練や成形をする際の作業上の問題がある。それ
故、このMDFセメントは現在のところ汎用としては実
用化されていない。
【0005】さらには、ポリマーセメントコンクリート
(モルタル)の技術において、液状ポリマーとして不飽
和ポリエステル樹脂を用いる技術も確立しているが、こ
れは骨材、練り混ぜ水及び水溶性触媒と共に、不飽和ポ
リエステル樹脂を練り混ぜ、その後、セメントと練り混
ぜて硬化する方法である。この不飽和ポリエステル樹脂
混入ポリマーセメントコンクリート(モルタル)は、ポ
リマーによる三次元網状構造により強度の増大が認めら
れるが、この硬化の際には予め練り混ぜ水を添加するた
めに、過剰な水の存在が強度の発現を制限している。す
なわち、この手法で得られるセメント硬化体の曲げ強度
も、せいぜい300kgf/cm2 程度である。ま
た、特公昭62−20223や特開昭60−33241
に示されるような不飽和ポリエステル樹脂とセメントス
ラリーとの油中水型逆エマルジョンを形成させてからラ
ジカル重合させ硬化させる方法でも、過剰な水の存在が
強度の発現を制限し、この手法で得られるセメント硬化
体の曲げ強度も、せいぜい200〜300kgf/cm
2 程度である。すなわち、水硬性セメントを用いて製
造されるセメント製品の分野では、高い曲げ強度を有
し、耐久性に富み且つ耐水性に優れたものを作り出す技
術は未だ見い出されていないが現状である。それ故、現
在、水硬性セメントを用いて製造されるセメント製品
は、その曲げ強度が弱いために、製品に厚みが必要とな
り、重量が大きくなり、輸送や施工性等の作業性に劣る
という問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決するために種々検討を行った結果、水硬性
セメントを硬化させる際に実質的に水を加えない状態
で、α,β−不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸、分子内に
少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物(以下、前
述の三種類の化合物を総称する場合は不飽和ポリエステ
ル原料単量体類という)、不飽和ポリエステル重合中間
体及び/または飽和ポリエステル重合中間体、不飽和ポ
リエステルと共重合可能な単量体とを共に練り混ぜた後
に加熱硬化させることにより、不飽和ポリエステル原料
単量体類同士と不飽和ポリエステル重合中間体及び/ま
たは飽和ポリエステル重合中間体との間の反応により生
成する縮合水を利用して水硬性セメントを硬化させ、さ
らには不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体が不飽
和ポリエステル重合中間体または不飽和ポリエステルと
硬化反応を起こしうることが可能であることを見い出し
た。そして、このようにして得られたセメント質製品
は、従来のものに比べて、耐水性に優れ且つ極めて高い
曲げ強度を有し、より軽量化できるという特性をもつ新
規なものであることを見い出し、本発明に至ったのであ
る。
【0007】すなわち、本発明は(1)水硬性セメン
ト、α,β−不飽和多塩基酸、分子内に少なくとも2個
以上の水酸基を有する化合物、及び不飽和ポリエステル
と共重合可能な単量体を含有してなるセメント質組成
物、(2)水硬性セメント、α,β−不飽和多塩基酸、
飽和多塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を
有する化合物、及び不飽和ポリエステルと共重合可能な
単量体を含有してなるセメント質組成物、(3)水硬性
セメント、α,β−不飽和多塩基酸、分子内に少なくと
も2個以上の水酸基を有する化合物、不飽和ポリエステ
ル重合中間体及び/または飽和ポリエステル重合中間
体、及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含
有してなるセメント質組成物、(4)水硬性セメント、
α,β−不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸、分子内に少な
くとも2個以上の水酸基を有する化合物、不飽和ポリエ
ステル重合中間体及び/または飽和ポリエステル重合中
間体、及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を
含有してなるセメント質組成物、(5)水硬性セメン
ト、飽和多塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸
基を有する化合物、不飽和ポリエステル重合中間体、及
び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含有して
なるセメント質組成物、(6)水硬性セメント、飽和多
塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する
化合物、不飽和ポリエステル重合中間体、飽和ポリエス
テル重合中間体、及び不飽和ポリエステルと共重合可能
な単量体を含有してなるセメント質組成物(7)セメン
ト質組成物に充填材及び/または添加剤を用いる
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)項
記載のセメント質組成物、(8)(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)又は(6)項記載のセメント質
組成物を硬化させてなることを特徴とするセメント質硬
化体、(9)セメント質硬化体が成形硬化体であること
を特徴とする(8)項記載のセメント質硬化体、(1
0)(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は
(6)項記載のセメント質組成物を加熱することを特徴
とするセメント質組成物硬化体の製造方法、(11)セ
メント質組成物に充填材及び/または添加剤を含有させ
ることを特徴とする(10)項記載のセメント質組成物
硬化体の製造方法、及び(12)セメント質組成物を所
定形状に成形後加熱することを特徴とする(10)項ま
たは(11)項記載のセメント質組成物硬化体の製造方
法を提供するものである。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。な
お、以下に記載する水硬性セメント類、化合物類等は、
一部を例示したものであり、この発明を限定するもので
はない。また、必要に応じて添加比率を%及び部で以下
に記載するが、特に記述しない限りは、すべて重量%及
び重量部である。本発明において用いられる水硬性セメ
ントは、通常用いられるものである。すなわち、以下に
記載するようなセメントを使用することができる。例え
ば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメン
ト、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランド
セメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等のポルトラ
ンドセメント類、高炉セメント、シリカセメント、フラ
イアッシュセメント等の混合セメント類、超速硬セメン
ト、アルミナセメント、油井セメント、地熱セメント、
カラーセメント、微粉末セメント等の特殊セメント類及
び各種石膏類があげられる。さらには、これら水硬性セ
メントは一種類で用いることがもちろん可能であるが、
場合により二種類以上混合して用いることもできる。次
に、本発明に用いられるα,β−不飽和多塩基酸、飽和
多塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有す
る化合物、不飽和ポリエステル重合中間体、飽和ポリエ
ステル重合中間体、及び不飽和ポリエステルと共重合可
能な単量体について説明する。
【0009】以下、α,β−不飽和多塩基酸、飽和多塩
基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化
合物、不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を総称
する場合は不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類とい
う。また、不飽和ポリエステル重合中間体及び飽和ポリ
エステル重合中間体を総称する場合は、(不)飽和ポリ
エステル重合中間体という。さらには、不飽和ポリエス
テル樹脂原料単量体類、(不)飽和ポリエステル重合中
間体及び不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類が加熱ま
たは硬化触媒の作用により硬化した場合は、不飽和ポリ
エステル樹脂という。先ず本発明に用いるα,β−不飽
和多塩基酸としては、例えば無水マレイン酸、マレイン
酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸等があげら
れる。また、飽和多塩基酸のうち飽和二塩基酸として
は、例えば無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、オ
ルソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、
ハロゲン化無水フタル酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、アジピン酸、コハク酸、無水コハク酸、セ
バシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、グルタ
ル酸、ピメリン酸、6−ヘキサジカルボン酸、ノナンジ
カルボン酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、或はダ
イマー酸のように長鎖の脂肪族ジカルボン酸、或はp−
オキシ安息香酸、p−(2ーヒドロキシエトキシ)安息
香酸等のヒドロキシ安息香酸等があげられる。また、飽
和三塩基酸としては無水トリメリット酸、トリカルバリ
ル酸、1,3,5−ナフタリントリカルボン酸などがあ
げられる。さらには、飽和四塩基酸である無水ピロメリ
ット酸やその他ポリカルボン酸などの飽和多塩基酸を用
いることができる。
【0010】さらに分子内に少なくとも2個以上の水酸
基を有する化合物としては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコ
ール類、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、2,
2’−ジ(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパ
ン、2,2’−ジ(4−ヒドロキシエトキシフェニル)
プロパン、1,3−ブタンジオール、2,2−ジエチル
−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリ
トール、ジペンタエリストリトール等があげられる。ま
た、上記のα,β−不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸及び
分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物に
ついては、一種類ずつ用いても良いが、必要に応じて各
々二種類以上の混合物を用いても良い。次に、本発明で
用いられる(不)飽和ポリエステル重合中間体とは、低
分子量の不飽和アルキッド及び飽和アルキッドをいう。
この不飽和アルキッド及び飽和アルキッドを得る手法と
しては、上記に例示したようなα,β−不飽和多塩基酸
及び/また飽和多塩基酸、及び/またはこれらのアルキ
ルエステル類とグリコール類のような分子内に少なくと
も2個以上の水酸基を有する化合物を反応させて得る方
法、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のア
ルキレンオキシドと酸無水物との開環共重合によって得
る方法等がある。この酸無水物としては、上記に例示し
たようなα,β−不飽和多塩基酸無水物である例えば無
水マレイン酸、無水イタコン酸等、及び飽和多塩基酸無
水物である例えば無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル
酸、無水コハク酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、
無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ロジン無水
マレイン酸等があげられる。すなわち、ここで言う
(不)飽和ポリエステルとは、通常の(不)飽和ポリエ
ステルのことを示している。
【0011】不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体
としては、以下のような化合物があげられる。例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレンの
ようなアルケニル芳香族単量体、α−クロロスチレンの
ようなハロゲン化芳香族単量体、(メタ)アクリル酸、
更にはメチルメタクリレートのような(メタ)アクリル
酸の低級アルキルエステル等が用いられる。また、例え
ば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレートのようにエーテル性炭
化水素成分を繰り返し単位として含有する二官能単量
体、及びジビニルベンゼン、アリルメタアクリレート、
ジアリルフタレート、ジアリルシアナミド等の二官能単
量体も高い曲げ強度を付与させるために有効である。さ
らには、ビニルトルエン、シアリルフタレート、トリア
リルシアヌレート等も用いられる。これらの単量体は、
一種類で用いることも可能であるが、適宜二種類以上混
合して用いることも可能である。なお、ここで(メタ)
アクリル酸及び(メタ)アクリレートとは、各々メタク
リル酸、アクリル酸;メタクリレート、アクリレートを
意味する。また、この不飽和ポリエステル、及び不飽和
ポリエステルと共重合可能な単量体との間で引き起こる
架橋反応は、加熱処理により進むが、以下のような公知
の硬化触媒を用いて促進することもできる。例えばラウ
ロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メ
チルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シ2−エチルヘキサエート、ジターシャリーブチルパー
オキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クメンハイ
ドロパーオキサイド等の有機過酸化物、及びアゾビスイ
ソブチロニトリル、及びジスオキシベンゾイル、フェニ
ルアセトアルデヒド、フェニルピロぶどう酸等の芳香族
カルボニル類等である。さらに、これらは単独で用いる
ことも可能であるが、硬化を促進するために、ナフテン
酸コバルトやナフテン酸マンガン等の金属石鹸類、ジメ
チルアニリンやジメチルパラトルイジン等の有機性アミ
ン類、ラウリルメルカプタン、金属キレート化合物や第
4級アンモニウム塩類等の促進剤を併用することも可能
である。
【0012】次に水硬性セメントと不飽和ポリエステル
樹脂原料単量体類との混合比率であるが、水硬性セメン
ト(充填材を含む場合は、水硬性セメントと充填材を含
めた総粉粒体成分)100部に対して、不飽和ポリエス
テル樹脂原料単量体類に含まれるカルボキシル基の総有
効部は、3〜70部の範囲が好ましい。ここでこのカル
ボキシル基の総有効部とは、α,β−不飽和多塩基酸及
び飽和多塩基酸に含まれるカルボキシル基のうち、縮合
反応で水を生成するのに関与するカルボキシル基の部の
和のことである。すなわち、酸無水物を用いた場合はカ
ルボキシル基は2個あるが、酸無水物1モルが開環した
のち縮合反応で生成する水は1モルなのでカルボキシル
基の有効部は半分となる。この際、カルボキシル基の総
有効部が上記の範囲よりも少ない場合は、生成する水の
量が少ないためにセメントの水和による硬化が充分では
なく、欠陥が生じ易くなり強度も低下する。また、カル
ボキシル基の総有効部が上記の範囲よりも多い場合は、
強度の発現も頭打ち傾向になり経済的に好ましくない。
同様に、不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類に加え
て、(不)飽和ポリエステル重合中間体を用いる場合も
水硬性セメント(充填材を含む場合は、水硬性セメント
と充填材を含めた総粉粒体成分)100部に対して、不
飽和ポリエステル樹脂原料単量体類と(不)飽和ポリエ
ステル重合中間体に含まれるカルボキシル基の総有効部
は、3〜70部の範囲が好ましい。
【0013】また、この(不)飽和ポリエステル重合中
間体は、カルボキシル基及び/または水酸基を多く含ん
でいることが好ましい。カルボキシル基については酸価
で知ることが可能であり、水酸基の量については水酸基
価で知ることが可能である。この(不)飽和ポリエステ
ル重合中間体は、酸価及び/または水酸基価の範囲が5
0以上のものが好ましく、さらには100以上がより好
ましい。この酸価及び/または水酸基価が50未満の場
合は、(不)飽和ポリエステル重合中間体に含まれるカ
ルボキシル基及び/または水酸基の量が少ないために、
発生する水の量が少なく、使用する(不)飽和ポリエス
テル重合中間体の量が多くなり経済的に好ましくない。
ここで、この酸価及び水酸基価とは通常の(不)飽和ポ
リエステルの酸価及び水酸基価のことである。すなわ
ち、酸価とは(不)飽和ポリエステル重合中間体1gを
中和するのに必要なKOHのmg数であり、水酸基価と
は同様に1g中に含まれる水酸基と同モルのKOHのm
g数で表された数値であり、(不)飽和ポリエステル重
合中間体に含まれているカルボキシル基または水酸基の
量の指標である。ここで、この(不)飽和ポリエステル
重合中間体は、そのままでも用いることも可能である
が、予め不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体中に
溶解して用いることも可能である。α,β−不飽和多塩
基酸、飽和多塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水
酸基を有する化合物及び(不)飽和ポリエステル重合中
間体の比率については、α,β−不飽和多塩基酸、飽和
多塩基酸及び(不)飽和ポリエステル重合中間体に含ま
れるカルボキシル基の総モル数に対して、分子内に少な
くとも2個以上の水酸基を有する化合物と(不)飽和ポ
リエステル重合中間体に含まれる水酸基の総モル数が
1:2〜2:1の範囲であることが好ましい。さらに
は、上記のα,β−不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸、分
子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物及び
(不)飽和ポリエステル重合中間体の総量に対する不飽
和ポリエステルと共重合可能な単量体との配合割合は、
通常、α,β−不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸、分子内
に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物及び
(不)飽和ポリエステル重合中間体の総量が20〜80
%及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体80〜
20%である。
【0014】また、本発明のセメント質組成物を混練、
成形する場合には、目的用途に応じて各種充填材を添加
することができる。その量は得られるセメント硬化体の
特性を損なわない範囲で用途等に合わせて適宜に決めら
れるが、一般的にセメントに対して0〜300%の範囲
が好ましい。充填材としては、砂類(川砂、海砂、山
砂)、砂利類(川砂利、海砂利、山砂利)、砕砂、砕
石、高炉スラグ骨材、軽量骨材、重量骨材等の骨材類、
フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、膨張材、シリカヒ
ューム、無機顔料や有機顔料等の着色材、またプラスチ
ックや紙やゴム等の難燃剤として使用される水酸化アル
ミニウム等があげられる。さらには、本発明のセメント
質組成物には、成形時に可塑性や流動性の向上を図る目
的でグリセリン、グリセロールトリアセテート、ポリエ
チレングリコール、フルフラール、ジブチルフタレー
ト、アルキルフェノール、ステアリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸マグネシウム、ロジン、ポリアミド、ポリアクリル
アミド、ポリビニルアルコール等を添加剤として加える
ことができる。これらの中で分子内に2個以上の水酸基
或はカルボキシル基をも有するものは、本発明に用いら
れる不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類及び(不)飽
和ポリエステル重合中間体が硬化する際に、一緒に硬化
して強度に寄与する場合があり、好ましい。また、ポリ
アミドは、本組成物をロールで混練したときの賦型性に
優れ、特に好ましい。また、これらの添加剤は一般に不
飽和ポリエステル樹脂原料単量体類或は(不)飽和ポリ
エステル重合中間体に直接添加して溶解或は分散させて
使用することができるが、予めメタノール、エタノー
ル、N,N−ジメチルアセトアミド等の各種溶剤に溶解
或は分散させてから使用することもできる。さらには、
これらの添加剤は一種類のみならず、二種類以上組み合
わせて使用することが可能である。また、これらの添加
剤の使用量は特に制限はなく、その目的に合わせて適宜
に決められるが、一般に不飽和ポリエステル樹脂原料単
量体及び(不)飽和ポリエステル重合中間体の総量に対
して0.5〜20部の範囲が好ましく、さらには2〜1
5部の範囲がより好ましい。
【0015】また、充填材及び/または水硬性セメント
と不飽和ポリエステル樹脂との接着力を改善し、強度や
耐久性を向上させるためにシランカップリング剤を添加
することができる。このシランカップリング剤として
は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイド
プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、n−デシルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン等が使用することができ
る。次に水硬性セメント、不飽和ポリエステル樹脂原料
単量体類、(不)飽和ポリエステル重合中間体、不飽和
ポリエステルと共重合可能な単量体、必要に応じて加え
られる充填材及び/または添加剤の混練は、アイリッヒ
ミキサーやスパイラルミキサー等の慣用の混合装置を用
いて行うことができる。すなわち、例えばニーダー、バ
ンバリミキサー、モルタルミキサー、ブレンダー、二本
ロール等の混合機を用いて、水硬性セメント、不飽和ポ
リエステル樹脂原料単量体類、(不)飽和ポリエステル
重合中間体、不飽和ポリエステルと共重合可能な単量
体、必要に応じて加えられる充填材及び/または添加剤
の混合割合により、粉体状、ペースト状或はドウ状に混
合することができる。混練したセメント質組成物は、例
えばロール成形、押し出し成形、プレス成形或は型枠へ
流し込んで所定の寸法形状に成形した後、加熱処理をし
て硬化させる。この際、混練後の材料を乾燥、粉砕、分
級したものを成形材料として、圧縮成形、押し出し成
形、射出成形した後に加熱処理をして硬化させることも
可能である。
【0016】この硬化の際の加熱温度は、100〜30
0℃の範囲が好ましく、さらには150〜250℃の範
囲がより好ましい。すなわち、100℃未満では不飽和
ポリエステル樹脂原料単量体類及び(不)飽和ポリエス
テル重合中間体の重合が進まなく、充分な強度が得られ
ない。また、300℃を超えると、経済的に好ましくな
いばかりではなく、加熱により重合して形成された三次
元網状構造が分解し、強度低下を引き起こすので好まし
くない。また、加熱時間は、加熱温度、使用される水硬
性セメント、不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類及び
(不)飽和ポリエステル重合中間体の混合割合により決
定されるが、通常30分〜21時間が好ましい。以上の
ようにして本発明によって得られるセメント製品は、そ
のままの外観でも使用することが可能であるが、使用す
る用途により、合成樹脂塗料やうるしなどで塗装を施し
たり、顔料を添加したり、化粧紙を貼ったりして、美観
を向上させた後に使用することも可能である。さらに
は、本発明のセメント質製品は、必要に応じて通常の繊
維補強コンクリートのように、鋼繊維、ガラス繊維、ポ
リマー繊維、炭素繊維等の短繊維で補強することも可能
である。ここで、本発明のセメント硬化体が、従来の強
度に比べ驚くべき高強度を有する理由としては、未だ充
分には解明されていないが、以下のように考えることが
できる。すなわち、本発明のセメント質組成物を加熱処
理することにより、まずα,β−不飽和多塩基酸、飽和
多塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有す
る化合物及び(不)飽和ポリエステル重合中間体の間で
縮合反応が起こり、縮合水が生成する。この縮合水が水
硬性セメントの水和反応を引き起こす。この際の水和反
応は、セメント粒子の表面のみを水和させる。このこと
は、セラミックスのような粒界面での均一な接着が可能
となり、非常に均質な構造を形成すると予想される。ま
た、加熱処理や必要に応じて加えられた硬化触媒の作用
により、初期に生成した不飽和ポリエステル及び添加さ
れた(不)飽和ポリエステル重合中間体は、余剰の水酸
基やカルボキシル基が脱水縮合したり、それ自身の不飽
和部分及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体の
不飽和部分が架橋反応を起こして三次元網状構造を形成
すると思われる。すなわち、反応により発生する縮合水
による水硬性セメントの水和反応と生成した不飽和ポリ
エステル樹脂の三次元網状構造の形成の相互作用によ
り、高強度のセメント質製品が得られると考えられる。
このように、実質的に水を加えなくても、縮合水のみを
用いてセメント質硬化物を得ることができる。ただし、
本発明のセメント質組成物は、事前の成形性を考慮し少
量の水を加えても構わない。
【0017】次に、本発明によって得られるセメント製
品の使用される分野であるが、高強度であり、耐水性が
あり、且つ難燃性である等の優れた特性を活かし、以下
のような分野に適応することが可能である。例えば、床
材、外壁、天井、間仕切り壁、屋根スレート、カウンタ
ー、流し、洗面台、階段の踏み板、屋根瓦、水槽、コン
クリート型枠、コンクリート補強材、カプセルハウス等
のいわゆる、建築用部材に使用することが可能である。
また、舗装材(道路用、歩道用、歩道橋用、駐車場用、
滑走路用等)、管類(下水道用、灌漑用、電力ケーブル
用、通信ケーブル用、U字管、L字管等)、マンホール
及びハンドホール(電力ケーブル管路用、通信ケーブル
管路用、ガスパイプライン用等)、シールド工法用セグ
メント、側溝ますぶた、管被覆材、道路用高欄、橋脚等
のいわゆる、土木用部材にも使用することが可能であ
る。さらには、がいし等の絶縁部品、電気設備用非電導
性非磁性支保工、IC封止材(ICパッケージやIC基
板)、パラボラアンテナ等の電気・電子製品用部材にも
使用することが可能である。船舶部品、電車や列車の床
等の車両部品、パレット等の輸送機器用部材にも使用す
ることが可能である。また、音響製品や制振材等への使
用も考えられる。ただし、以上の使用例はほんの一部で
あり、上記に例示した分野に使用が限定されるわけでは
ない。さらには、本願発明のセメント質製品は、他の様
々な材料と複合化して用いることも可能である。すなわ
ち、本発明によって得られるセメント質製品が上記に例
示したようなものに用いられた場合、従来のセメント質
製品よりも高強度、或は同一強度で軽量化が図ることが
でき、施工性や輸送、ハンドリング等の利点がある。さ
らには従来セメント質製品が用いられなかった分野への
利用を図ることができる。
【0018】
【実施例】以下、合成例、実施例及び比較例にて本発明
を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。まず、不飽和ポリエステル重合中間体の製造
方法について説明する。 合成例1 攪拌機、コンデンサー、温度計、不活性ガス導入管を取
り付けた1リッター容の四つ口フラスコに、233g
(2.2モル)のジエチレングリコール、98部(1モ
ル)の無水マレイン酸、148部(1モル)の無水フタ
ル酸を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、油浴で85
℃に加熱し、この時点で攪拌を開始した。その後、1時
間かけて温度を150℃まで上げ、更に3時間かけて2
10℃とした。210℃で1時間保ったのち、コンデン
サーをサイホンに替え100〜200mmHgの減圧に
し、さらにこの状態で反応を進め、時々サンプリングを
行い、酸価を測定した。酸価が120になった時点で温
度を下げ、重合禁止剤として約0.02gのヒドロキノ
ンを加えた。得られた不飽和ポリエステルは微黄色を呈
しており、この不飽和ポリエステルを合成物Aとし、組
成及び物性を表1に示す。
【0019】合成例2 合成例1と同様の装置の付いたフラスコを用いて、ジエ
チレングリコールの代わりに、131.7g(2.1モ
ル)のエチレングリコールを用い、137.2部(1.
4モル)の無水マレイン酸、88.8部(0.6モル)
の無水フタル酸を用いて、酸価を85にした以外は同様
の反応を行い、微黄色を呈する不飽和ポリエステルを得
た。この不飽和ポリエステルを合成物Bとし、組成及び
物性を表1に示す。
【0020】合成例3 合成例1と同様の装置の付いたフラスコを用いて、71
7.2g(2.2モル)の2,2’−ジ(4−ヒドロキ
シプロポキシフェニル)プロパン、98部(1モル)の
無水マレイン酸、118.5部(0.8モル)の無水フ
タル酸及び38.4部(0.2モル)の無水トリメリッ
ト酸を仕込んだ後に、合成例1と同様の操作を行い、酸
価105、微黄色を呈する不飽和ポリエステルを得た。
この不飽和ポリエステルを合成物Cとし、組成及び物性
を表1に示す。
【0021】合成例4 合成例1と同様の装置の付いたフラスコを用いて、8
4.8g(0.8モル)のジエチレングリコール、23
6g(1.0モル)の水素化ビスフェノールA、40.
3g(0.3モル)のトリメチロールプロパン、12
7.4部(1.3モル)の無水マレイン酸、103.6
部(0.7モル)の無水フタル酸を仕込んだ後に、合成
例1と同様の操作を行い、酸価110、微黄色を呈する
不飽和ポリエステルを得た。この不飽和ポリエステルを
合成物Dとし、組成及び物性を表1に示す。
【0022】合成例5 合成例1と同様の装置の付いたフラスコを用いて、18
4g(2.0モル)のグリセリン、294部(3.0モ
ル)の無水フタル酸を仕込んだ後に、合成例1と同様の
操作を行い、酸価90、微黄色を呈する飽和ポリエステ
ルを得た。この飽和ポリエステルを合成物Eとし、組成
及び物性を表1に示す。
【0023】合成例6 合成例1と同様の装置の付いたフラスコを用いて、合成
例2と同様の組成で反応を行い、酸価が100になった
時点で温度を下げ、重合禁止剤として約0.02gのヒ
ドロキノンを加え、さらに70%不飽和ポリエステル樹
脂溶液となるように25℃のスチレンをよく攪拌しなが
ら加えて微黄色を呈する不飽和ポリエステル樹脂を得
た。これを合成物Fとし、組成及び物性を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】実施例1 水硬性セメントとして三種混合した普通ポルトランドセ
メント(小野田セメント(株)製、徳山曹達(株)製、
三菱マテリアル(株)製)を100部、不飽和ポリエス
テル樹脂原料単量体類としてジエチレングリコール2
3.3部、マレイン酸11.6部、フタル酸16.6
部、及びスチレン20.8部、さらに滑剤としてグリセ
リン3.0部及びアルコール溶性脂肪族系ポリアミド
(アミド結合の水素をメトキシメチル基で30%置換し
たN−メトキシメチルポリアミド:帝国化学産業(株)
製、商品名トレジン)1.5部をモルタルミキサー中で
6分間混練した。この混練物を、回転比が同じ一対のロ
ール間を30回通過させて、厚さ約1.5mmのシート
状に成形し、幅25mm、長さ75mmに切り出した。
所定の寸法に切り出した10個の成形体を200℃で8
時間加熱処理を行って硬化させ、セメント質製品を得
た。この硬化供試体のうち、5個は直ちに曲げ試験を行
い、残り5個は20℃の水中で7日間浸漬後曲げ試験を
行った。なお、曲げ試験は支点間距離を50mmとし
て、JISR5201に準じて行った。結果を表2に示
す。なお、この場合のカルボキシル基の総有効部は次の
ようにして求めることができる。この実施例では、カル
ボキシル基を有する化合物としてマレイン酸11.6
部、フタル酸16.6部を用いている。マレイン酸及び
フタル酸の分子量は各々、116、166である。ま
た、マレイン酸、フタル酸は分子内に2個のカルボキシ
ル基を有している。ここで、これらが縮合反応を起こす
ことにより発生する縮合水は、理論上カルボキシル基1
モルに対して1モルである。すなわち、分子内に2個の
カルボキシル基を有するということは、縮合反応により
2個の縮合水を発生するということである。ここで、カ
ルボキシル基の分子量は45である。よって、この実施
例中のマレイン酸に含まれるカルボキシル基の有効部と
は、 (11.6÷116)×2×45=9部 同様に、フタル酸中に含まれるカルボキシル基の有効部
とは、 (16.6÷166)×2×45=9部 したがって、この実施例で用いられる不飽和ポリエステ
ル原料単量体類中のカルボキシル基の総有効部は、 9+9=18部 となる。
【0026】実施例2 不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類として2,2’−
ジ(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン2
9.4部、無水マレイン酸3.9部、無水フタル酸5.
6部、及びスチレン16.1部を用いた以外は、実施例
1と全く同様にして(同様の組成と操作で)供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
【0027】実施例3 不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類としてジエチレン
グリコール80.9部、マレイン酸81.0部、スチレ
ン41.6部、及びメチルメタアクリレート10部、ジ
ビニルベンゼン1.3部を用い、ポリアミドであるトレ
ジンを用いなかった以外は、実施例1と全く同様にして
供試体を得て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示
す。
【0028】実施例4 水硬性セメントとして実施例1で用いた三種混合した普
通ポルトランドセメントのうち50部をアルミナセメン
ト(電気化学工業(株)製)に置き換えた以外は、実施
例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0029】実施例5 水硬性セメントとしてアルミナセメントを100部用い
た以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲
げ強度を測定した。結果を表2に示す。
【0030】実施例6 ジエチレングリコール23.3部をプロピレングリコー
ル16.7部に代え、さらに合成例1で得られた不飽和
ポリエステル重合中間体である合成物Aを20部加えた
以外は実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強
度を測定した。結果を表2に示す。
【0031】実施例7 合成例2で得られた合成物Bを10部、合成例5で得ら
れた合成物Eを10部、ジエチレングリコール23.3
部、無水マレイン酸9.8部、無水フタル酸14.8
部、スチレン22.5部、メチルメタクリレート9.3
部、及び硬化触媒としてジターシャリーブチルパーフタ
レートを用い、ポリアミドを用いなかった以外は実施例
1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0032】実施例8 合成例3で得られた合成物Cを20部、無水フタル酸2
2.2部、グリセリン9.2部、及びスチレン14.3
部を用いた以外は実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
【0033】実施例9 合成例5で得られた飽和ポリエステル重合中間体である
合成物Eを20部、プロピレングリコール60.1部、
無水マレイン酸35.3部、無水フタル酸35.3部、
コハク酸14.2部、スチレン53.2部、及びジビニ
ルベンゼン2.5部を用い、ポリアミドを用いなかった
以外は実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強
度を測定した。結果を表2に示す。
【0034】実施例10 合成例4で得られた合成物Dを20部、2,2’−ジ
(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン30.
9部、無水マレイン酸6.5部、フマル酸3.3部、及
びスチレン40部を用いた以外は実施例1と全く同様に
して供試体を得て、曲げ強度を測定した。結果を表2に
示す。
【0035】実施例11 合成例6で得られた合成物Fを10部、合成例5で得ら
れた飽和ポリエステル重合中間体である合成物Eを10
部、エチレングリコール11.2部、無水マレイン酸1
4.2部、イタコン酸4.7部、及びスチレン31.2
部を用いた以外は実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
【0036】実施例12 合成例5で得られた飽和ポリエステル重合中間体である
合成物Eを20部、水素化ビスフェノールA17.7
部、フマル酸6.1部、イタコン酸2.9部、スチレン
15.6部、ジアリルフタレート1.5部、及び硬化触
媒としてジターシャリーブチルパーオキシドを用いた以
外は実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度
を測定した。結果を表2に示す。
【0037】実施例13 合成例1で得られた合成物Aを20部、合成例5で得ら
れた合成物Eを10部、エチレングリコール9.3部、
イソフタル酸7.5部、アジピン酸6.6部、トリカル
バリル酸5.9部、及びスチレン26部を用いた以外は
実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度を測
定した。結果を表2に示す。
【0038】実施例14 実施例1の組成に合成例6で得られた合成物Fを20部
を加えた以外は実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
【0039】比較例1 実施例1で使用した三種混合したポルトランドセメント
100部、水65部、細骨材(砂)200部及び粗骨材
(砂利)280部を平行二軸型コンクリートミキサーで
混練し、型枠中に流し込み、20℃で24時間放置後に
脱型し、20℃で28日間水中で養生を行った後に、J
ISR5201に準じて曲げ試験を行った。結果を表2
に示す。
【0040】比較例2 合成例6で得られた合成物Fを35部、及び硬化触媒と
してベンゾイルパーオキシド3部、及び水25部を予め
混練し、実施例1と同様の三種混合したポルトランドセ
メント100部を添加して、実施例1と同様にモルタル
ミキサー及びロールで混練、成形後、加熱処理を行い、
供試体を得て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示
す。
【0041】比較例3 不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類としてジエチレン
グリコール2.5部、マレイン酸1.3部、フタル酸
1.8部、及びスチレン1.2部を用いた以外は、実施
例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0042】比較例4 不飽和ポリエステル樹脂原料単量体類としてプロピレン
グリコール2.3部、無水マレイン酸1.4部、無水フ
タル酸1.9部、スチレン1.2部、メチルメタクリレ
ート0.5部、及び合成例2で得られた合成物Bを10
部用いた以外は、実施例1と全く同様にして供試体を得
て、曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。
【0043】比較例5 飽和ポリエステル樹脂原料単量体類としてジエチレング
リコール3.4部、アジピン酸2.2部、トリカルバリ
ル酸0.6部、及びスチレン3.1部を用いた以外は、
実施例1と全く同様にして供試体を得て、曲げ強度を測
定した。結果を表2に示す。
【0044】比較例6 アルミナセメント100部と加水分解ポリ酢酸ビニル7
部(日本合成化学工業(株)製:ゴーセノールKH 1
7S)をドライミックスして得られた混合物にグリセリ
ン0.7部を含有する水11.5部を添加した。さらに
この混合物をモルタルミキサー中で6分間混練し、この
混練物を回転比が同じ一対のロール間を20回通過させ
て、厚さ約1.5mmのシート状に成形し、温度80℃
で30kgf/cm2 の加圧下の油圧プレスで10分間
加圧した。その後、20℃で24時間放置後、80℃で
15時間加熱してシートを乾燥させた。このシートを所
定の寸法に切り出し、実施例1と同様に5個は直ちに曲
げ試験を行い、残り5個は20℃の水中で7日間浸漬後
曲げ試験を行った。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】次に、本発明で得られるセメント質組成物
を建築用部材、土木用部材、電気・電子用部材、輸送機
器部材に用いた場合を実施例、比較例にて説明するが、
用途としては膨大な量となるために、それぞれ代表的な
例にて説明する。まず、建築用部材の代表例として、以
下に本願発明のセメント質組成物を屋根瓦に用いた場合
について説明する。
【0047】実施例15 実施例1と同様三種混合のポルトランドセメントを10
0部、砂200部、不飽和ポリエステルの原料単量体と
して2,2’−ジ(4−ヒドロキシプロポキシフェニ
ル)プロパン107.6部、無水マレイン酸14.7部
及び無水フタル酸22.2部、スチレン43.3部、及
び硬化触媒としてt−ブチルパーベンゾエート、さらに
滑剤としてグリセリン3.0部、脂肪族系ポリアミドで
あるトレジン2.0部を混合し、練り混ぜた後に真空押
出成形機にて押出し圧力45kgf/cm2 の条件で型
枠中(315×305×12mm)に入れ、次にプレス
にて加圧(プレス条件:200kgf/cm2 )して成
形を行った。この成形体を200℃で8時間加熱処理を
行って硬化させ、50℃−100%RHにて7日間養生
を行い、セメント質瓦を得た。これを屋根瓦AとしてJ
ISA5402に準じて曲げ試験を行ったところ、曲げ
破壊荷重1070kgf(曲げ強度731kgf/cm
2 )であった。この結果を表3に示す。この値は、JI
Sに定められているセメント瓦の強度を大幅に越えるも
のであった。
【0048】実施例16 型枠の厚みを変えた(315×305×5mm)以外
は、実施例15と同一の押出成形及びプレス条件及び養
生条件にて、セメント質瓦を得た。これを屋根瓦Bとし
て実施例15と同様に曲げ試験を行ったところ、曲げ破
壊強さ185kgf(728kgf/cm2 )であっ
た。この結果を表3に示す。この値は、厚さが薄く軽量
化されているのにも関わらず、JISに定められている
セメント瓦の強度を充分に越えるものであった。
【0049】比較例7 三種混合したポルトランドセメントを100部及び砂2
00部、さらに水166部を混合し、練り混ぜた後に実
施例15と同一の押出成形及びプレス条件及び養生条件
にて、セメント質瓦を得た。これを屋根瓦Cとして、実
施例15と同様に曲げ試験を行ったところ、曲げ破壊強
さ183kgf(125kgf/cm2)であった。そ
の結果を表3に示す。この値も、JISに定められてい
るセメント瓦の強度を越えるものである。
【0050】比較例8 粘土瓦を得るために、三河瓦粘土100部及び水15部
を用いて、実施例15と同一の条件にて押出成形及びプ
レスを行い、さらに 100℃で30時間乾燥後、11
00℃で17時間焼成し、粘土瓦Aを得た。これを実施
例15と同一の養生を行った後に、屋根瓦Dとし同様に
曲げ試験を行い、その結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】次に、土木用部材として本願発明のセメン
ト質組成物を舗装用コンクリート平板及び道路の排水側
溝として用いられる鉄筋コンクリートU形に用いた場合
について説明する。
【0053】実施例17 実施例1と同様に三種混合したポルトランドセメントを
100部、不飽和ポリエステルの原料単量体類としてジ
エチレングリコール23.3部、無水マレイン酸9.8
部、無水フタル酸14.8部、スチレン15.6部さら
に滑剤としてグリセリン3.0部及びポリアミド2.0
部を混合し、練り混ぜた後に真空押出成形機にて押出し
圧力45kgf/cm2 の条件で型枠中(330×33
0×60mm)に入れ、次にプレスにて加圧成形(プレ
ス条件:200kgf/cm2 )を行った。この成形体
を200℃で8時間加熱処理を行って硬化させ、硬化体
を得た。これを平板AとしてJISA5304に従って
曲げ試験を行ったところ、曲げ破壊強さ29700kg
f(曲げ強度900kgf/cm2 )であった。この結
果を表4に示す。
【0054】実施例18 型枠の厚みを15mmと薄くした以外は、実施例17と
同様の操作を行い、硬化体を得て、平板Bとした。JI
SA5304に従って曲げ試験を行ったところ、曲げ破
壊強さ1860kgf(曲げ強度902kgf/cm
2 )であった。この結果を表4に示す。
【0055】比較例9 市販されている舗道用コンクリート平板(N330:寸
法330×330×60mm)をJISA5304に従
って曲げ試験を行ったところ、曲げ破壊強さ1850k
gf(曲げ強度56kgf/cm2 )であった。この結
果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】実施例19 実施例1と同様に三種混合したポルトランドセメントを
100部、不飽和ポリエステルの原料単量体類としてジ
エチレングリコール23.3部、無水マレイン酸9.8
部、無水フタル酸14.8部、及びスチレン20.8
部、さらに滑剤としてグリセリン5.2部及びポリアミ
ド1.5部を混合し、練り混ぜた後に真空押出成形機に
て押出し圧力45kgf/cm2 の条件でJISA53
05記載の鉄筋コンクリートU形の呼び名180の寸法
の型枠(本体及び2種ふた)中に入れ、次にプレスにて
加圧成形(プレス条件:200kgf/cm2 )を行っ
た。この成形体を200℃で8時間加熱処理を行って硬
化させ、硬化体を得た。これをU形本体A及びU形ふた
AとしてJISA5305に従って曲げ試験を行ったと
ころ、本体Aの曲げ破壊強さは36800kgf(曲げ
強度805kgf/cm2 )であり、ふたAの曲げ破壊
強さは95000kgf(曲げ強度779kgf/cm
2 )であった。この結果を表5に示す。
【0058】実施例20 本体の型枠の厚みを10mmと薄くし、ふたの型枠の厚
みを20mmとした以外は、実施例19と同様の操作を
行って硬化体を得て、U形本体B及びふたBとした。こ
れらを同様に曲げ試験を行ったところ、本体Bは曲げ破
壊強さ2400kgf(曲げ強度840kgf/cm
2 )であり、ふたBの曲げ破壊強さは6100kgf
(曲げ強度801kgf/cm2 )であった。この結果
を表5に示す。
【0059】比較例10 市販されている鉄筋コンクリートU形(JISA530
5記載の呼び名180の本体及び2種ふた)をU形本体
C及びU形ふたCとし、JISA5305に従って曲げ
試験を行ったところ、本体Cの曲げ破壊強さは2420
kgf(曲げ強度53kgf/cm2 )であり、ふたC
の曲げ破壊強さは5850kgf(曲げ強度48kgf
/cm2 )であった。この結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】次に、電気・電子用部材の代表例として、
以下に本願発明のセメント質組成物をICパッケージ本
体に用いた場合について説明する。 実施例21 実施例5で得られた供試体に関して、電気・電子用部材
として必要とされる項目である曲げ強度、熱電導率、体
積抵抗率、誘電率の測定を行った。この結果を表6に示
す。
【0062】実施例22 実施例5の配合に加えて、長さ10mmの耐アルカリガ
ラス繊維を10部用いた以外は同様の操作を行い、供試
体を得て、実施例21と同様の測定を行った。この結果
を表6に示す。
【0063】比較例11 一般的なICセラミックスパッケージ本体(Al2O3
86〜94%)について、実施例21と同様の項目の測
定を行った。曲げ強度、熱電導率、体積抵抗率、誘電率
の測定を行った。この結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
【発明の効果】本発明で得られるセメント質組成物は、
実施例1〜14及び表2に示したように、明らかに極め
て高い曲げ強度を有する。これは、通常のセメントコン
クリートや従来技術のポリマーセメントコンクリート
(モルタル)では到底達成出来ない程の驚くべき強度で
ある。このことは、比較例1の通常のセメントコンクリ
ート及び不飽和ポリエステル樹脂を用いた従来型のポリ
マーセメントである比較例2と比べた場合に明らかであ
る。さらには、比較例6のいわゆる、従来のMDFセメ
ントと比較してみた場合、このMDFセメントの欠点で
あった耐水性の弱さをも克服している。さらに、本発明
で得られるセメント質組成物を製品化した場合は、その
高い曲げ強度、電気的特性等により、建築用、土木用、
電気・電子用、輸送製品用等の様々な分野に応用が可能
なことが明らかである。すなわち、建築用部材の代表例
としては、実施例15、16及び比較例7、8に屋根瓦
で示した。この結果をまとめた表3をみると本発明で得
られるセメント質瓦は、従来のセメント瓦や粘土瓦より
も高強度なために薄くすることが可能である。
【0066】すなわち、同一強度で重量が半分以下にす
ることが可能となり、製品輸送や施工作業性の大きな改
善を図ることができる。さらには、粘土瓦は1100℃
程度の高温でしかも長時間の焼成が必要であるのに対し
て、本発明で得られるセメント質瓦は、エネルギーコス
ト的にも改善が図ることができる。さらに、土木用部材
の代表例としては、実施例17〜20及び比較例9、1
0に舗道用コンクリート平板及び鉄筋コンクリートU形
で示した。表4及び表5から明らかなように、本発明で
得られるセメント質組成物から得られるこれらの製品
は、内部に鉄筋を含有しない場合でも充分にJISの強
度規格を超える。さらには、厚みを1/3〜1/4に薄
くしても強度規格を超え、従来品と同様の強度がある。
これらのことは、製品輸送や施工作業性の大きな改善の
みならず、鉄筋を必要としないことから製造コストや製
造の簡略化も図ることができる。さらに、電気・電子用
部材の例としては、実施例21、22及び比較例11及
び表6に一般的なセラミックスと本発明で得られるセメ
ント質組成物から得られる製品との特性比較を示した。
機械的特性や電気的特性は、セラミックスとなんら遜色
もなく、充分代替可能となる。代替した場合、セラミッ
クスは高価であるために経済的な効果が見込まれる。す
なわち、以上のことから明らかなように、本発明のセメ
ント質製品は優れた特性を示すことから、広範囲な分野
において有用なものとなり得る。すなわち、本発明は先
に類のない程の画期的なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 24:04 24:02 24:00) 111:20 (72)発明者 初治 尚和 山口県下関市彦島迫町七丁目1番1号 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 長谷川 正木 東京都杉並区宮前二丁目26番2号

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性セメント、α,β−不飽和多塩基
    酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合
    物、及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含
    有してなるセメント質組成物。
  2. 【請求項2】 水硬性セメント、α,β−不飽和多塩基
    酸、飽和多塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸
    基を有する化合物、及び不飽和ポリエステルと共重合可
    能な単量体を含有してなるセメント質組成物。
  3. 【請求項3】 水硬性セメント、α,β−不飽和多塩基
    酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合
    物、不飽和ポリエステル重合中間体及び/または飽和ポ
    リエステル重合中間体、及び不飽和ポリエステルと共重
    合可能な単量体を含有してなるセメント質組成物。
  4. 【請求項4】 水硬性セメント、α,β−不飽和多塩基
    酸、飽和多塩基酸、分子内に少なくとも2個以上の水酸
    基を有する化合物、不飽和ポリエステル重合中間体及び
    /または飽和ポリエステル重合中間体、及び不飽和ポリ
    エステルと共重合可能な単量体を含有してなるセメント
    質組成物。
  5. 【請求項5】 水硬性セメント、飽和多塩基酸、分子内
    に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物、不飽和
    ポリエステル重合中間体、及び不飽和ポリエステルと共
    重合可能な単量体を含有してなるセメント質組成物。
  6. 【請求項6】 水硬性セメント、飽和多塩基酸、分子内
    に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物、不飽和
    ポリエステル重合中間体、飽和ポリエステル重合中間
    体、及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含
    有してなるセメント質組成物。
  7. 【請求項7】 セメント質組成物に充填材及び/または
    添加剤を用いる請求項1、2、3、4、5または6記載
    のセメント質組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5または6記載
    のセメント質組成物を硬化させてなることを特徴とする
    セメント質硬化体。
  9. 【請求項9】 セメント質硬化体が成形硬化体であるこ
    とを特徴とする請求項8記載のセメント質硬化体。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5または6記
    載のセメント質組成物を加熱することを特徴とするセメ
    ント質組成物硬化体の製造方法。
  11. 【請求項11】 セメント質組成物に充填材及び/また
    は添加剤を含有させることを特徴とする請求項10記載
    のセメント質組成物硬化体の製造方法。
  12. 【請求項12】 セメント質組成物を所定形状に成形後
    加熱することを特徴とする請求項10または11記載の
    セメント質組成物硬化体の製造方法。
JP34048993A 1993-12-08 1993-12-08 セメント質組成物、そのセメント質硬化体及び該硬化体の製造方法 Pending JPH07157353A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019506518A (ja) * 2015-12-21 2019-03-07 ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト 反応樹脂組成物、多成分系およびそれらの使用

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