JPH07156782A - 路面状態検出装置およびこの装置を利用したアンチロックブレーキシステム - Google Patents

路面状態検出装置およびこの装置を利用したアンチロックブレーキシステム

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JPH07156782A
JPH07156782A JP34005293A JP34005293A JPH07156782A JP H07156782 A JPH07156782 A JP H07156782A JP 34005293 A JP34005293 A JP 34005293A JP 34005293 A JP34005293 A JP 34005293A JP H07156782 A JPH07156782 A JP H07156782A
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road
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wheel
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浩 関根
Shintaro Yokoyama
信太郎 横山
Ichiro Harada
一郎 原田
Shinkichi Asanuma
信吉 浅沼
Raiju Yamamoto
頼寿 山本
Yasushi Horiuchi
泰 堀内
Shohei Matsuda
庄平 松田
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  • Regulating Braking Force (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 リアルタイムに且つ正確に判定することが可
能な路面状態検出装置および最適な制動コントロールを
行うアンチロックブレーキシステムを提供する。 【構成】 ニューラルネットワークモデルとして、入力
層、中間層、出力層の3層構造を有し、BP学習アルゴ
リズムを採用したモデルにおいて、入力層には車速およ
び1/3オクターブバンド毎に検出された特定周波数の
音圧値が入力される。これらの入力に応じて出力層から
所望の路面状態が出力されるように、BP学習アルゴリ
ズムにより入力層から出力層への出力に対する重みが変
更され、このネットワークの状態がメモリに保存され
る。路面状態を検出するときは、車速および音圧値を検
出して、これらの情報を入力することにより、路面状態
に応じた出力値が出力される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の走行時のロード
ノイズに基づいて路面状態を検出する路面状態検出装置
およびこの装置を利用したアンチロックブレーキシステ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ロードノイズに基づいて車両が走
行している路面の状態を検出する路面状態検出装置と称
呼されるものが提案されている。かかる路面状態検出装
置として、本出願人は、ロードノイズをタイヤ近傍の車
体内側に配設されたマイクロフォンにより検出し、該検
出されたロードノイズ信号を周波数分析した後バンドパ
スフィルタを通過させることにより特定周波数の音圧値
のみを取り出し、該音圧値と、車速および路面状況によ
り予め記憶(マップ化)されたベースデータとを比較し
ながら現走行路面の状態を判定する路面状態検出装置を
提案した(特願平4−205095号)。
【0003】また、従来、急なブレーキ操作によるタイ
ヤのロックを防止するために、アンチロックブレーキシ
ステム(ABS)が一般に使用されている。この種の装
置は、車輪速度VWおよび推定車体速度VRにより制動ト
ルクのコントロールを行って車輪のロックを防止し、操
縦性と安定性とを保っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案に係る従来の路面状態検出装置では、種類の少ない路
面状態を判別するには有効であるが、多くの種類の路面
状態を判定するには記憶するベースデータ量が膨大にな
る可能性が高く、それに伴って音圧値の比較を行う特定
周波数域も増大し、さらに、使用するタイヤの種類やタ
イヤの空気圧、摩耗等の変化に応じて、比較レベルのマ
ージンの設定やチューニングが必要となる。
【0005】さらに、路面状態をより正確に判定するた
めには、蓄積されるべきデータ量を増加させたり、デー
タを検出するサンプリング時間を短縮してサンプリング
データ量を増加させなければならないので、演算時間が
増加し、リアルタイムに路面状態を検出することは非常
に困難になるという問題があった。
【0006】また、上記従来のアンチロックブレーキシ
ステムでは、制動トルクをコントロールするために用い
られるパラメータ、例えば、車輪の目標スリップ率や最
大減速加速度Gは、路面の状態に拘らず、常に一定の値
に設定されている。
【0007】図23は、制動摩擦係数−スリップ率特性
を示す図であり、同図中、曲線RA1は乾燥路での特性
曲線を示し、曲線RB1は砂利路での特性曲線を示して
いる。そして、曲線RA1,RB1における制動摩擦係
数μが最大となるスリップ率をそれぞれλA,λBとす
る。例えば、前記目標スリップ率をλAに設定して制御
する装置で、曲線RB1の特性を示す路面において制動
トルクのコントロールを行った場合には、制動摩擦係数
μ2の制動力しか得られず、曲線RB1の特性をもつ路
面で得られるべき最大制動摩擦係数μ1の制動力は得ら
れない。
【0008】図24および図25は、従来のアンチロッ
クブレーキシステムを用いて、それぞれ乾燥路および砂
利路で実際に制動トルクのコントロールを行ったときの
状態を示す図である。両図とも、縦軸は速度を示し、横
軸は時間を示している。また、曲線VA1,VB1(実
線)は、それぞれ乾燥路および砂利路での車速の推移を
示し、曲線VA2,VB2(破線)は、それぞれ乾燥路
および砂利路での推定車体速度の推移を示し、曲線VA
3,VB3(一点鎖線)は、それぞれ乾燥路および砂利
路での車輪速度の推移を示している。
【0009】推定車体速度は、車輪速度および所定のス
リップ率、即ち前記目標スリップ率λAにより算出する
ため、乾燥路では、図24のように実際の車速VA1と
推定車体速度VA2とに差異は少ないが、砂利路では、
図24のように実際の車速VB1と推定車体速度VB2
との差異は大きくなる。
【0010】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
で、種類の多い路面状態を判定する場合にもリアルタイ
ムに且つ正確に判定することが可能な路面状態検出装置
を提供することを第1の目的とし、路面状態に応じて最
適な推定車体速を得ることにより制動コントロールを行
うことが可能なアンチロックブレーキシステムを提供す
ることを第2の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、第1の発明は、車輪から発生されるロードノ
イズを検出する検出手段と、該検出されたロードノイズ
の各周波数成分のパターンからニューラルネットワーク
を利用して路面状態を判定する判定手段とを有すること
を特徴とする。
【0012】また、上記第2の目的を達成するために、
第2の発明は、請求項1に記載された路面状態検出装置
を備え、前記判定手段により判定された路面状態に基づ
いて、車輪速度と比較される基準車輪速度の車体速度に
対する比率を変化させる変化手段を有することを特徴と
する。
【0013】好ましくは、前記変化手段は、車体速度を
推定するための仮想減速加速度を変化させることを特徴
とする。
【0014】
【作用】第1の発明の構成に依れば、検出手段によりロ
ードノイズが検出され、該検出されたロードノイズの各
周波数成分のパターンから判定手段によりニューラルネ
ットワークを利用して路面状態が検出されるので、リア
ルタイムに路面状態の判定をすることができる。
【0015】第2の発明の構成に依れば、第1の発明に
より判定された路面状態に基づいて、変化手段により車
輪速度と比較される基準車輪速度の車対速度に対する比
率が設定され、また、好ましくは車体速度を推定するた
めの仮想減速加速度が設定されるので、路面状態に応じ
た最適な制動コントロールを行うことができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0017】図1は、本発明に係る路面状態検出装置の
一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【0018】同図中、1は、ロードノイズを検出するロ
ードノイズ検出手段であり、本実施例ではマイクロフォ
ンにより構成されている。ロードノイズ検出手段1の出
力側は、該ロードノイズ検出手段1により検出されたロ
ードノイズを増幅する増幅器2および該増幅器2により
増幅されたロードノイズの周波数を分析するためのフィ
ルタ3を介して、詳細は後述するが、ニューラルネット
ワークを用いることにより路面状態を判定する判定部4
の一入力側に接続され、該判定部4の他の入力側には、
車両の速度を検出する車速検出手段5の出力側が接続さ
れている。判定部4は、これら入力された2つの信号に
応じて路面状態を判定し、その判定結果を、それぞれ警
報装置および運動制御装置(ともに図示せず)に出力す
る。
【0019】図2は、前記ロードノイズ検出手段1およ
び車速検出手段5の配設位置を説明する図である。
【0020】同図において、車両Cは前置エンジン車で
あるものとし、マイクロフォンであるロードノイズ検出
手段1は、エンジン騒音の影響が少ない左右の後輪のホ
イールハウス内部の少なくとも一方に、石や水が直接当
たらないように配設され、車速検出手段5は、後輪ホイ
ール内の所定位置に左右の少なくとも一方に配設されて
いる。ここで、車速検出手段5は、車輪速度に応じた電
気的なパルス信号を発生する。
【0021】次に、判定部4が行う判定方法を、図3〜
図5に基づいて説明する。
【0022】図3は、本実施例において使用されるニュ
ーラルネットワークモデルを示す図である。本実施例で
は、ニューラルネットワークモデルとして、入力層、中
間層、出力層の3層構造を有するものを用い、その学習
アルゴリズムとして、バックプロパゲーション(Back-P
ropagation;以下「BP」という)学習アルゴリズムを
採用した。
【0023】まず、BP学習アルゴリズムの概要を説明
する。
【0024】図3の3層構造のネットワーク(以下、入
力層、中間層、出力層の順に第1層、第2層、第3層と
いう)において、第m層の細胞数をnm個、各細胞への
入力をu<m>i、各細胞からの出力をx<m>i、第m層への
結合行列(重み行列)をW<m>で表わすと、これらの関
係は、下記数式(1),(2)により与えられる。ここ
で、<m>は、“<>”内の文字mが上付き文字であること
を表している。
【0025】
【数1】 (m=2,3, i=1,…,nm) ここで、w<m>ijは、結合行列W<m>の要素(重み)を示
し、fは、出力関数を示している。一般に、関数fは下
記数式(3)で示すシグモイド関数がよく用いられる。 f(u)=1/(1+exp[−u]) …(3) 図3に示すように本実施例では、入力層の各細胞に入力
される情報は、車速と1/3オクターブバンド毎に検出
された特定周波数の音圧値であり、これらの情報は、前
記結合行列W<2>により重み付けされ、中間層の各細胞
に入力される。中間層では、前記関数fにより各細胞毎
にその出力が決定され、入力層から中間層への処理と同
様に、結合行列W<3>により重み付けされた出力が、出
力層の各細胞に入力される。さらに、出力層では、前記
中間層での処理と同様にして関数fにより各細胞毎にそ
の出力が決定される。
【0026】出力層の各細胞から出力される値は、前記
数式(3)のシグモイド関数の値であるために、0〜1
の値になる。即ち、出力層の各細胞は、「確からしさ」
を出力していることになる。この「確からしさ」の大き
さにより、路面状態のタイプTYPEnが1つ決まる。
【0027】そして、学習の目標は、第1層(入力層)
に入力(x<1>1,x<1>2,…,x<1>n1)が与えられた
ときに、第3層(出力層)の出力(x<3>1,x<3>2,
…,x<3>n3)を、現在走行中の路面状態、即ち路面状
態に応じた所望のTYPEnの確からしさに一致させる
ことである。具体的には、図4に示すように、車輪から
のロードノイズを前記ロードノイズ検出手段1によりデ
ータサンプリングし、そのサンプリングされたデータを
周波数分析した後に、図3で説明したように車速データ
とともに入力層へ入力させる。そして、現在の路面状態
と出力層からの最終出力(確からしさ)による路面のタ
イプとが一致するように、前記結合行列W<m>の各要素
(重み)を決定する。
【0028】図5は、以上説明した学習処理(以下、
「学習モード」という)および学習されたネットワーク
を実際に適用する処理(以下、「実行モード」という)
のサブルーチンの手順を示すフローチャートであり、前
記図1の判定部4に内蔵されるCPU(図示せず)によ
り実行される。
【0029】まず、ステップS1で、CPUやメモリ
(図示せず)等の初期設定を行い、ステップS2で、ニ
ューラルネットワークのタイプ(例えば、層の数や各層
の細胞数等)や最初に設定される重み(結合行列W<m>
の要素)や前記入力層に入力される情報等のパラメータ
データを入力する。
【0030】次に、ステップS3で、操作者により「学
習モード」または「実行モード」の何れのモードが選択
されているかを判別し、「学習モード」が選択されてい
るとステップS4に進み、後述するステップS5〜ステ
ップS9の処理を繰り返すべき回数αと現在の繰り返し
回数Nとを比較し、現在の繰り返し回数Nが回数αより
小さいときにはステップS5に進む。ステップS5で
は、回数Nが“0”の場合には前記ステップS2で入力
された重みを入力し、一方、回数Nが“0”以外の場合
には後述するステップS8で変更された重みを入力する
入力データ処理を行う。
【0031】続くステップS6では、前記ステップS5
で入力された重みと前記ステップS2でパラメータデー
タとして入力された入力層に入力する情報(車速および
特定周波数の音圧値)とに基づいて出力層の各細胞から
出力される出力データ(路面タイプTYPEnの確から
しさ)を計算する。さらに、ステップS7で、この計算
された各路面タイプTYPEnの確からしさ(0〜1の
値)と現在の路面状態とを比較して両者の隔たりをみる
エラーチェックを行い、ステップS8で前記ステップS
7で検出されたエラーεと所定値ε0とを比較し、エラ
ーεが所定値ε0より小さいときには後記ステップS1
1に進み、一方、エラーεが所定値ε0以上のときには
次のステップS9に進む。
【0032】ステップS9では、このエラーチェックの
結果に応じて重みを変更し、ステップS10では、繰り
返し回数Nを1だけインクリメントした後に、ステップ
S4に戻る。
【0033】一方、ステップS4の判別で、現在の繰り
返し回数Nが回数α以上になったとき、または前記ステ
ップS8の判別でエラーεが所定値ε0より小さくなっ
たときにはステップS11に進み、ネットワークセー
ブ、即ち、前記ステップS8により決定された重みに基
づいた結合行列(重み行列)W<m>を記憶し、本サブル
ーチンを終了する。
【0034】一方、ステップS3の判別で、「実行モー
ド」が選択されているときにはステップS11に進み、
前記ステップS10でセーブされたネットワークを読み
出し、ステップS12で、前記ステップS11で読み出
されたネットワークに基づいて重みを設定する。続くス
テップS13では、前記ステップS2で入力された入力
層に入力される情報と前記ステップS12で設定された
重みに基づいて出力層の各細胞のデータを計算し、ステ
ップS14で、各路面状態TYPEnの確からしさを出
力した後に、本サブルーチン処理を終了する。
【0035】さらに、本サブルーチン処理により求めら
れた路面状態(TYPEn)の確からしさから、図6に
示すタイプTYPEnと路面摩擦係数との関係を示すテ
ーブルデータにより、路面摩擦係数μm(1≦m≦k)
が決定される。なお、μmはスリップ率に対するテーブ
ルの場合もある。
【0036】以上説明したように本実施例では、路面状
態の判別にニューラルネットワークを使用したので、膨
大なベースデータから最適な路面状態を決定する必要が
なくなり路面状態の判別時間が短縮され、リアルタイム
に路面状態を判定することが可能になる。さらに、学習
モードを用いることにより、あらゆる種類の路面状態を
ネットワークに学習させることができるので、より正確
な路面状態を検出することができる。
【0037】次に、上記路面状態検出装置により検出さ
れた路面状態を利用したアンチロックブレーキシステム
の実施例を説明する。
【0038】図7は、本実施例に係るアンチロックブレ
ーキシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0039】同図において、アンチロックブレーキシス
テム(ABS)は、路面状態を検出する路面状態検出手
段Aと、ブレーキングを実際に行うABSアクチュエー
タCと、検出手段Aからの路面状態に応じてABSアク
チュエータCに対して制御情報を出力するABSコント
ローラBとから構成されている。ここで、路面状態検出
手段Aは、前述した図1の路面状態検出装置を示し、A
BSコントローラBは後述する図9の回路および図10
の論理回路群34を示し、ABSアクチュエータCは後
述する図10のインレットバルブ35およびアウトレッ
トバルブ36を示している。
【0040】まず、本実施例のアンチロックブレーキシ
ステムが行うブレーキ圧の制御方法を説明する。
【0041】(1)ブレーキ圧(漸)減(アウトレット
バルブ“ON”、インレットバルブ“ON←→OF
F”) 車輪のスリップが大きく、且つ車輪速度が更に低下中の
ときは、確実に車輪がロックする危険があるので、ブレ
ーキ圧を低下させる。但し、スリップが非常に大きいと
きは、車輪速度が確実に増速し始めるまでブレーキ圧を
低下させる。
【0042】(2)ブレーキ圧急減(アウトレットバル
ブ“ON”、インレットバルブ“ON”) 車輪の低下速度が極めて大きいときは、路面の急変、例
えば、アスファルト路面から凍結路に変化した場合等に
より、ブレーキ圧が大幅に過大であると判断できるので
ブレーキ圧を急減する。
【0043】(3)ブレーキ圧の一定保持(アウトレッ
トバルブ“ON”、インレットバルブ“OFF”) (a)車輪の低下速度が大きくても、スリップが小さい
ときにはブレーキ圧が大き過ぎる可能性もあるが、悪路
等での車輪速度のムラと区別できないので、ブレーキ圧
を一定に保持して様子をみる。
【0044】(b)スリップが大きくても、車輪速度が
低下していなければ車輪がロックする危険はない。しか
し、既にスリップは発生しているので、ブレーキを増加
することは不適当である。したがって、この期間もブレ
ーキ圧を一定に保持して様子をみる。但し、スリップが
極めて大きい場合には、車輪速度が上昇に向かうまでブ
レーキを漸減する。
【0045】(c)車輪速度が上昇しているときは、車
輪がロックする危険はない。しかし、車輪速度の上昇速
度が比較的大きい場合には、まだスリップが大きいと判
断できるので、やはりブレーキ圧を一定に保持して様子
をみる。
【0046】(4)ブレーキ圧(漸)増(アウトレット
バルブ“ON←→OFF”、インレットバルブ“OF
F”) スリップが小さく、車輪速度の増減速度も比較的小さい
ときは、車輪がロックする危険は全くないと判断できる
ので、ブレーキ圧を増加させる。但し、次の(5)
(a)の場合は除く。
【0047】(5)ブレーキ圧急増(アウトレットバル
ブ“OFF”、インレットバルブ“ON”) (a)ブレーキをかけてから、スリップが発生するまで
の期間、または車輪速度の低下速度が一定値に達するま
での期間は、ブレーキ圧が大幅に不足していると考えら
れるので、ブレーキ圧を急増する。
【0048】(b)車輪速度の上昇速度が極めて大きい
ときは、路面の急変、例えば、凍結路からアスファルト
路面に変化した場合等によりブレーキ圧が大幅に不足し
ていると判断できるので、ブレーキ圧を急増させる。
【0049】(6)その他(アウトレットバルブ“OF
F”、インレットバルブ“OFF”) 車輪速度が十分小さいときは、車輪がロックしても危険
はないので、アンチロック機能を全て停止させる。
【0050】次に、以上説明した制御を行うために必要
な信号を、図8を参照して説明する。
【0051】同図中、 λ01:第1基準スリップ率 λ02:第2基準スリップ率 λ:車輪のスリップ率 V′W:車輪の加速度 +V′W1:第1基準車輪加速度(G) +V′W2:第2基準車輪加速度(G) −V′W1:第1基準車輪減速度(G) −V′W2:第2基準車輪減速度(G) V:車輪速度(km/h) V0:基準車輪速度(km/h) を表し、各信号λ1,λ2,α1,α2,β1,β2,VS,
Bは、(内容)の欄の条件を満たしているときに出力さ
れる。
【0052】前述した制御方法(1)〜(5)を、上記
信号を用いて書き直すと、次のようになる。
【0053】(1)′ブレーキ圧(漸)減: (a)λ1とβ1が同時に発生しているとき (b)λ2が発生し、α1が発生していないとき (2)′ブレーキ圧急減:β2が発生しているとき (3)′ブレーキ圧の一定保持:α1,β1,λ1の少な
くとも1つが発生しており、上記(1)′を満たしてい
ないとき (4)′ブレーキ圧(漸)増:α1,β1,λ1が全て発
生していない期間で、ブレーキ開始後、最初のλ1また
はβ1が発生するまでを除く期間 (5)′ブレーキ圧急増:ブレーキ開始後、最初のλ1
またはβ1が発生するまで、および、λ2とα2が同時に
発生しているとき となる。
【0054】さらに、上記(1)′〜(5)′の制御方
法をインレットバルブおよびアウトレットバルブの動作
時期を決定する制御に書き直すと、以下のようになる。
【0055】(1)″アウトレットバルブ“ON”:λ
1,α1,β1の内、少なくとも1つが発生しているとき (2)″アウトレットバルブ“ON←→OFF”:ブレ
ーキ開始後、最初のλ1またはβ1が発生した後、上記
(1)″を除く期間 (3)″インレットバルブ“ON”:β2が発生してい
るとき (4)″インレットバルブ“ON←→OFF”:λ1
よびβ1が同時に発生しているか、λ2が発生しており且
つα1が発生していないとき 但し、VSが発生していないときは、いかなる場合でも
インレットバルブおよびアウトレットバルブを“OF
F”にする。
【0056】次に、以上説明した制御を行うために構成
されたアンチロックブレーキシステムを、図9および図
10を参照しながら説明する。
【0057】図9は、図8の各信号を出力するための回
路を示す回路図であり、図10は、図9の回路からの出
力信号に基づいて上記制御(1)″〜(4)″を行うた
めの回路を示す回路図である。なお、図9および図10
には、それぞれ1つの回路のみ示されているが、実際に
は前輪および後輪からの車輪速度に応じて別々に制御を
行うため、車両には2つの回路が配設されている。した
がって、前輪および後輪の車輪速度を検出するため、前
記図2で説明した車速検出手段5は、後輪だけでなく前
輪にも配設されているものとする。
【0058】図9において、図2の左右の車速検出手段
5の出力は、前述したように各車輪速度に比例した周波
数を有する交流信号(パルス)であり、周波数に比例し
た電圧に変換する左右の周波数−電圧返還回路(f−
V)11,11にそれぞれ供給され、周波数−電圧返還
回路11、11の出力信号VWR,VWLは、セレクト回路
12の2つの入力端子に供給される。
【0059】セレクト回路12は、信号VWR,VWLの内
の一方の信号を選択して出力するための回路であり、前
輪用の制御回路では信号VWR,VWLの内、信号レベルの
高い方の信号を選択し、一方、後輪用の制御回路では信
号VWR,VWLの内、信号レベルの低い方の信号を選択す
る。
【0060】セレクト回路12からの出力信号VWは、
推定車体速度V*を算出するためのV*推定処理部13
に供給されるとともに、信号VWを微分する微分回路1
4および比較回路18,19の負側入力端子に供給され
る。
【0061】V*推定処理部13からの推定車体速度信
号V*は、第1基準車輪速度を設定するVR1設定処理部
15、第2基準車輪速度を設定するVR2設定処理部1
6、および比較回路17の正側入力端子に供給される。
VR1設定処理部15およびVR2設定処理部16の出力信
号VR1,VR2は、それぞれ前記比較回路18,19の正
側入力端子に供給され、比較回路18,19は、それぞ
れ信号VR1,VR2と前記信号VWとを比較し、その結果
をそれぞれ信号λ1,λ2として図10の回路の対応する
入力端子に出力する。
【0062】このように、信号λ1,λ2は、第1基準車
輪速度VR1および第2基準車輪速度VR2と車輪速度VW
とをそれぞれ比較することにより得られる出力であり、
前述したように、それぞれ第1基準スリップ率λ01,λ
02とスリップ率λと比較することによって得られるもの
でない。これは、スリップ率λを直接求めることが困難
であるからである。したがって、本実施例では、車輪速
度VWから車両速度を推定し、これによりスリップ率に
対応する基準車輪速度VRを設定する方法を採用してい
る。
【0063】前記比較回路17の負側入力端子には、前
記基準車両速度V0の値が供給され、比較回路17は、
推定車体速度信号V*と基準車両速度V0とを比較し、
その結果を信号VSとして、図10の回路の対応する入
力端子に出力する。
【0064】また、前記微分回路14の出力信号V′W
は、比較回路20〜23の正側入力端子に供給され、比
較回路20〜23の負側入力端子には、それぞれ前記第
1基準車輪加速度+V′W1、第2基準車輪加速度+V′
W2、第1基準車輪減速度−V′W1、第2基準車輪減速度
−V′W2が供給され、各比較回路20〜23は、信号
V′Wと各回路20〜23の負側入力端子に供給された
信号とを比較し、その結果を前記信号α1,α2,β1
β2として、図10の回路の対応する入力端子に出力す
る。
【0065】図10の回路は、以上のようにして得られ
た信号α1,α2,β1,β2,λ1,λ2および前記信号
B,VSに応じてブレーキ圧を制御する。
【0066】同図中、論理回路群31には、上記信号α
1,α2,β1,β2,λ1,λ2および前記信号B,VSが
供給され、論理回路群31からの2つの出力は、それぞ
れPNPトランジスタ32,33のベースに供給され、
トランジスタ32,33のエミッタには電源34が供給
されている。また、トランジスタ32,33のコレクタ
には、それぞれインレットバルブ35およびアウトレッ
トバルブ36が接続されている。ここで、トランジスタ
32,33は、ベースに供給される電圧がロウレベルの
ときにオンになり、ハイレベルのときにオフになる。そ
して、トランジスタ32,33のオンまたはオフに応じ
て、それぞれインレットバルブ35およびアウトレット
バルブ36がオンまたはオフになる。
【0067】なお、論理回路群31内の矩形波発生回路
311は、図11に示すように、1つの入力(IN)波
形に対して複数の矩形波出力(OUT)を発生する回路
であり、矩形波発生回路312も、図12に示すよう
に、1つの入力(IN)波形に対して波数の矩形波出力
(OUT)を発生する回路である。即ち、前記制御
(4)″および(2)″におけるインレットバルブ35
およびアウトレットバルブ36の“ON←→OFF”制
御を行うためのものである。
【0068】図9の要素12〜23の処理は、CPU
(図示せず)が行う制御プログラムにより実行される。
以下、この制御プログラムにより実行される制御処理
を、図13のフローチャートに基づいて説明する。な
お、本実施例の目的は、スリップ率を路面状態に応じて
変更し、アンチロックブレーキシステムの性能を向上さ
せることにあるため、この目的に関係する処理、即ち、
要素13,15,16で行われる処理に関係するものに
ついてのみ説明する。
【0069】図13において、まず、ステップS21
で、前記路面状態検出装置により検出された路面状態T
YPEnを読み込み、図示しないRAMの領域xに格納
する。
【0070】次に、ステップS22で、図14および図
15に示すテーブルデータを用いて、読み込まれた路面
状態xに応じてそれぞれ最大減速加速度GR(x)および
目標スリップ率λ(x)を決定する。
【0071】続くステップS23では、前記ステップS
22で決定した最大減速加速度GR(x)および目標スリ
ップ率λ(x)を、それぞれ前記RAMの領域GR,λに
格納する。
【0072】ステップS24では、図9のセレクト回路
12からの出力信号である車輪速度VWを読み込み、ス
テップS25で、車輪速度VWと前回の推定車体速度V
^*とを比較し、今回の車輪速度VWが前回の推定車体
速度V^*以上であるときにはステップS26に進み、
車輪速度を下記数式(4)により微分し、その結果を前
記RAMの領域V′Wに格納する。 (V^W − VW)/Δt …(4) 続くステップS27では、車輪速度の微分値である車輪
加速度V′Wが前記ステップS23の最大減速加速度GR
より小さいか否かを判別し、小さいときにはステップS
28に進み、車輪速度VWを用いて推定車体速度V*を
更新する。
【0073】一方、ステップS25の判別で今回の車輪
速度VWが前回の推定車体速度V^*より小さいとき、
または、ステップS27の判別で車輪加速度V′Wが最
大減速加速度GR以上のときにはステップS29に進
み、下記数式(5)により推定車体速度V*を更新す
る。 V^* − GR・Δt …(5) 図16は、車輪速度と推定車体速度の推移を示す図であ
り、前記ステップS25〜ステップS29の処理を説明
するためのものである。同図中、縦軸は速度を示し、横
軸は時間を示している。また、実線で表される曲線CR
は車輪速度の推移を示し、破線で示される曲線CBは推
定車体速度の推移を示している。
【0074】時刻t0で制動を開始すると、前記車輪加
速度V′Wが最大減速加速度GRより小さいとき、即ち、
スリップがあまり生じていないときには車輪速度が推定
車体速度にほぼ等しいために、車輪速度を推定車体速度
とし(ステップS25〜ステップS28)、車輪加速度
V′Wが最大減速加速度GR以上になると、即ち、時刻t
1になると、スリップを起こしていると判別されるため
に、推定車体速度V*を、前記数式(5)により最大減
速加速度GRを用いて算出する(ステップS27→ステ
ップS29)。そして、前回の推定車体速度V^*が、
車輪速度VWを下回っている間、即ち、区間[t1
2]では推定車体速度V*を最大減速加速度GRを用い
て算出し(ステップS25→ステップS29)、時刻t
2になると(厳密には、時刻t2の後にステップS25に
処理が移行したとき)前回の推定車体速度V^*が車輪
速度VW以下であり、且つ車輪加速度V′Wは負の値であ
るために、推定車体速度V*を車輪速度VWで更新する
(ステップS25〜ステップS28)。スリップが生じ
ていないと判別されるからである。
【0075】図13のフローチャートに戻り、ステップ
S30では、図9のVR1設定処理部15の出力信号VR1
(=VR)を、下記に示す公知の数式(6)により求め
る。 VR = (1−λ)V* …(6) 続くステップS31では、前記車輪速度VWおよび推定
車体速度V*によりそれぞれ前回の車輪速度V^Wおよ
び推定車体速度V^*を更新した後に、本サブルーチン
処理を終了する。
【0076】なお、図9のVR2設定処理部16には、前
記ステップS30で求められた値VRの所定倍された値
が設定され、第2基準車輪速度VR2として出力される。
【0077】以上説明したように本実施例に依れば、最
大減速加速度GRおよび目標スリップ率λを路面状態に
応じて変更するようにしたので、推定車体速度V*が実
際の車体速度により近づき、基準車輪速度VRがよりよ
く設定でき、これによりスリップ信号λ1,λ2がよりよ
いタイミングで出力され、路面状態に応じてアンチロッ
クブレーキシステムの性能を発揮させることが可能にな
る。
【0078】次に、前記路面状態検出装置によって検出
された路面状態に応じてブレーキペダルの反力の大きさ
を変更するブレーキペダルの反力発生装置の実施例につ
いて説明する。
【0079】従来のブレーキ装置では、運転者によるブ
レーキペダルの踏み込み量に対して生ずる反力は、機械
的な構造により決定され、制動トルクに比例していた。
すなわち、ブレーキペダルの踏み込み量に対する制動ト
ルクは路面の状態とタイヤの能力に関係なく一定である
ために、例えば、雨や雪路等の制動摩擦係数の小さな路
面(以下、「低μ路面」という)で、例えば、乾燥路等
の制動摩擦係数の大きな路面(以下、「高μ路面」とい
う)と同様にブレーキペダルを踏み込むと、低μ路面の
方が高μ路面よりも早くタイヤ能力の限界に達し車輪の
ロックが生ずる。このため、低μ路面においては、ブレ
ーキペダルの踏み込み量を微妙に調節しなければならな
い。
【0080】また、ブレーキペダルの踏み込み量と反力
の大きさとの関係は、路面の状態に拘らす一定であるた
めに、特に低μ路面では車輪のロックに至るときの予知
性がない。このため、低μ路面で車輪をロックさせずに
停止するためには、高度の運転技術を要求する。
【0081】本実施例は、この問題を解決するためのも
のである。
【0082】図17は、本実施例に係るブレーキペダル
の反力発生装置の概略構成を示すブロック図である。
【0083】この反力発生装置は、ブレーキペダル41
と、ブレーキペダル41を踏み込む力(以下、「踏力」
という)を検出するトルクセンサ42と、ブレーキペダ
ル41の踏力に対してこれに抗する力である反力を発生
させる反力モータ43と、トルクセンサ42からのセン
サ出力、車輪速度、減速加速度Gを検出するGセンサ
(図示せず)からのGセンサ出力、ブレーキングを開始
した時点を示すブレーキSW出力に応じて反力モータ4
3に印加する印加電圧を出力するコントローラ44とに
より構成されている。
【0084】以下、コントローラ44が内蔵するCPU
(図示せず)が実行する制御処理を、図18および図1
9のフローチャートに基づいて説明する。図18および
図19の処理は、メインルーチン処理の一部を成してい
る。
【0085】図18は、目標トルク算出サブルーチンの
処理手順を示すフローチャートである。
【0086】まず、ステップS41で、車輪速度VWを
読み込み、ステップS42で、推定車体速度V*を算出
する。この推定車体速度V*の算出方法は、前記アンチ
ロックブレーキシステムで説明した、図13のフローチ
ャートのステップS29の方法と同様であるので、説明
を省略する。
【0087】続くステップS43では、スリップ率λを
算出する。このスリップ率λは、下記数式(7)によ
り、前記車輪速度VWおよび車体速度Vにより算出され
る。
【0088】
【数2】 さらに、ステップS44で目標反力を算出した後に、本
サブルーチン処理を終了する。
【0089】図20は、目標反力を算出するための特性
曲線を示す図であり、縦軸は反力の大きさを示し、横軸
はスリップ率を示している。なお、同図中、曲線RA2
は、乾燥路における特性曲線を示し、曲線RB2は、砂
利路における特性曲線を示している。
【0090】路面状態に応じて曲線RA2,RB2の一
方が選択されると、その選択された曲線と前記算出され
たスリップ率λとにより目標反力が算出される。ここ
で、曲線RA2,RB2は、ともに従来技術で説明した
スリップ率λA,λB、即ち、各路面状態で制動摩擦係数
を最大にするスリップ率でそれを超えると急激に反力が
上昇する特性を有している。スリップ率λA,λBまでは
スリップ率λに応じて徐々に反力を発生させ、スリップ
率λA,λB以降は急に反力を増加させることにより、運
転者にタイヤの能力の限界を容易に知らせることができ
る。
【0091】なお、ABSが作動するスリップ率λより
低いスリップ率に、目標反力が急激に上昇する地点を設
定すれば、ABSの作動位置を予測させる予知性を与え
ることができる。
【0092】図19は、トルク制御サブルーチンの処理
手順を示すフローチャートであり、コントローラ44が
反力モータ43に出力する印加電圧値を算出する処理を
示している。
【0093】まず、ステップS51で、トルクセンサ4
2のセンサ出力を読み込む。
【0094】次に、ステップS52で、前記ステップS
44で算出した目標反力(トルク)と前記ステップS5
1のセンサ出力(実トルク)との偏差から反力モータ4
3に印加する電圧の増減量ΔVを算出し、ステップS5
3で、現在の印加電圧に増減量ΔVだけ加算して反力モ
ータ43に出力した後に、本サブルーチン処理を終了す
る。
【0095】以上説明したように、本実施例に依れば、
路面状態に応じて目標反力を設定し、タイヤの能力が最
大限に引き出される位置を求めるようにしたので、ドラ
イバーはブレーキ操作を路面状態に拘りなくタイヤの能
力の範囲内で容易に行うことができる。
【0096】次に、前記路面状態検出装置によって検出
された路面状態に応じて転舵比を変更する4輪操舵(4
WS)装置の実施例について説明する。
【0097】路面状態(路面摩擦)に応じて転舵比を変
更することにより、4WSの効果をさらに向上させるこ
とができるという事実がよく知られている。即ち、低μ
路面では、高μ路面に比較して車両の運転限界が下がる
ため不安定な傾向が強く、転舵比を変更することによ
り、この状態を安定化することが可能になる。
【0098】図21は、車両の速度と最適な転舵比との
関係を示す図であり、縦軸は転舵比を示し、横軸は車速
を示している。同図中、曲線C1は低μ路面での特性曲
線を示し、曲線C2は高μ路面での特性曲線を示してい
る。曲線C1のように、曲線C2に比較して逆相転舵比
の車速域を狭くする(V1)ことにより、速やかに同相
転舵比に移行させ、操縦安定性を向上することができ
る。
【0099】図22は、ゲインと最適な転舵比との関係
を示す図であり、縦軸は転舵比を示し、横軸はゲインを
示している。同図中、破線で示す曲線C3は、低μ路面
での中高速域(V2≦V)の特性曲線を示し、実線で示
す曲線C4は、高μ路面での中高速域(V1≦V)の特
性曲線を示し、実線で示す直線C5は、低μ路面および
高μ路面での低速域(V≦V1(低μ路面)またはV≦
2(高μ路面))の特性曲線をしている。図に示すよ
うに、低μ路面および高μ路面での転舵比の切り替え
は、車両の挙動を抑えて滑らかに行うことを目的とし
て、両路面の低速域では車両のゲインが高い領域である
ので、直線C5のように逆位相から同位相への切り替え
は行わない方が理想的である。
【0100】また、路面状態が変わり、路面の摩擦係数
が急変した場合には、転舵比の変更を急激に行わず、所
定時間様子を見た上で、その間に舵角が0になるか、ま
たは左右の従輪速の差等から、車両が直進状態になった
と判断してから変更を行う。
【0101】以上説明したように、本実施例では、路面
状態に応じて転舵比を変更することにより4WSの操作
性能を向上させることが可能になる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明に依れ
ば、車輪から発生されるロードノイズを検出する検出手
段と、該検出されたロードノイズの各周波数成分のパタ
ーンからニューラルネットワークを利用して路面状態を
判定する判定手段とを有するので、膨大なベースデータ
から最適な路面状態を決定する必要がなくなり路面状態
の判別時間が短縮され、リアルタイムに路面状態を判定
することが可能になるとともに、膨大なベースデータを
記憶する必要がないために記憶容量を減少させることが
でき、コストを低減させることができる。さらに、ネッ
トワークの学習モードを用いることにより、あらゆる種
類の路面状態をネットワークに学習させることができる
ので、より正確な路面状態を検出することができる。
【0103】また、第2の発明に依れば、請求項1に記
載された路面状態検出装置を備え、前記判定手段により
判定された路面状態に基づいて、車輪速度と比較される
基準車輪速度の車体速度に対する比率を変化させる変化
手段を有し、また、好ましくは前記変化手段は、車体速
度を推定するための仮想減速加速度を変化させるので、
路面状態に応じて最適な制動コントロールを行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る路面状態検出装置の一実施例の概
略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のロードノイズ検出手段および車速検出手
段の配設位置を説明する図である。
【図3】本実施例において使用されるニューラルネット
ワークモデルを示す図である。
【図4】図3のネットワークに学習させる方法を説明す
るための図である。
【図5】学習モード処理および実行モード処理のサブル
ーチンの手順を示すフローチャートである。
【図6】図3の出力層から出力された路面状態(TYP
En)と路面摩擦係数との関係を示すテーブルデータを
表す図である。
【図7】本発明に係るアンチロックブレーキシステムの
概略構成を示すブロック図である。
【図8】アンチロックブレーキシステムの実施例におけ
る制御を行うために必要な信号の内容を説明するための
図である。
【図9】図8の各信号を出力するための回路図である。
【図10】図9の回路からの出力信号に基づいてアンチ
ロックブレーキ制御を行うための回路図である。
【図11】図10の矩形波発生回路311の入出力特性
を示す図である。
【図12】図10の矩形波発生回路312の入出力特性
を示す図である。
【図13】本実施例において実行される制御処理の手順
を示すフローチャートである。
【図14】路面状態と最大減速加速度GR(x)との関係
を示すテーブルデータを表す図である。
【図15】路面状態と目標スリップ率λ(x)との関係を
示すテーブルデータを表す図である。
【図16】車輪速度と推定車体速度の推移を示す図であ
る。
【図17】本実施例に係るブレーキペダルの反力発生装
置の実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図18】図18は、目標トルク算出サブルーチンの処
理手順を示すフローチャートである。
【図19】トルク制御サブルーチンの処理手順を示すフ
ローチャートである。
【図20】目標反力を算出するための特性曲線を示す図
である。
【図21】車両の速度と最適な転舵比との関係を示す図
である。
【図22】ゲインと最適な転舵比との関係を示す図であ
る。
【図23】制動摩擦係数−スリップ率特性を示す図であ
る。
【図24】従来のアンチロックブレーキシステムを用い
て、乾燥路で実際に制動トルクのコントロールを行った
ときの状態を示す図である。
【図25】従来のアンチロックブレーキシステムを用い
て、砂利路で実際に制動トルクのコントロールを行った
ときの状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ロードノイズ検出手段(検出手段) 4 判別部(判別手段) 15 VR1設定処理部(変化手段) 16 VR2設定処理部(変化手段)
フロントページの続き (72)発明者 浅沼 信吉 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 山本 頼寿 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 堀内 泰 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 松田 庄平 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪から発生されるロードノイズを検出
    する検出手段と、 該検出されたロードノイズの各周波数成分のパターンか
    らニューラルネットワークを利用して路面状態を判定す
    る判定手段とを有することを特徴とする路面状態検出装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された路面状態検出装置
    を備え、前記判定手段により判定された路面状態に基づ
    いて、車輪速度と比較される基準車輪速度の車体速度に
    対する比率を変化させる変化手段を有することを特徴と
    するアンチロックブレーキシステム。
  3. 【請求項3】 前記変化手段は、車体速度を推定するた
    めの仮想減速加速度を変化させることを特徴とする請求
    項2記載のアンチロックブレーキシステム。
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