JPH07151184A - ダイナミックダンパ付き防振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイナミックダンパを加硫接着手段を用いず
に形成させる。 【構成】 防振ゴム材等にて形成されるインシュレータ
２２と、当該インシュレータ２２を保持するブラケット
２１等からなるマウンティング部２を設ける。このマウ
ウンティング部２の上記ブラケット２１と一体的に、ダ
イナミックダンパ１を保持するホルダ１３を設ける。ホ
ルダ１３内にダイナミックダンパ１を圧入する。ダイナ
ミックダンパ１は、中心部に金属製のブロック等からな
るマス１１と、当該マス１１を包含するように形成され
たゴム材等からなる弾性体１２とにて形成される。この
ようなダイナミックダンパ１をホルダ１３内に圧入する
に際して、その圧入代を調整することによって所定のバ
ネ定数が形成される。 【効果】 ダイナミックダンパ１は圧入手段によって形
成（装着）されることとなったので、加硫接着に用いら
れる金型等が不要となり、製造工程が簡素化された。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ダイナミックダンパを
有する防振装置に関するものであり、特に、当該ダイナ
ミックダンパの部分を加硫接着手段を用いずに形成させ
るようにしたダイナミックダンパ付きの防振装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】最近の自動車における防振装置、特にエ
ンジンマウント等においては、種々の周波数の振動・騒
音を遮断するために複雑な構成が採られている。ところ
で、最近の自動車、特に乗用車においては、４００Ｈｚ
前後の振動に起因するこもり音が問題となっており、こ
のこもり音の車室内への侵入を遮断するために防振装置
（エンジンマウント）等にダイナミックダンパを設ける
ようにした構成が採られている。このダイナミックダン
パを有する防振装置（エンジンマウント）としては、図
７に示すようなものが、既存のものとして存在する。こ
のものは、筒状防振ブッシュ３０と、当該筒状防振ブッ
シュ３０を保持するブラケット５０と、からなるもので
ある。そして、このブラケット５０は、板金製の成形品
によって形成された円筒部６０と、当該円筒部６０を保
持する板金製の脚部７０と、からなるものである。これ
ら円筒部６０と脚部７０とを、すみ肉溶接等の溶接手段
により一体化し、これによってブラケット５０が形成さ
れているものである。このような構成のブラケット５０
の上記円筒部６０内に、円筒状の防振ブッシュ３０が圧
入等されることによって防振装置が形成されているもの
である。そして、このような防振装置の上記円筒部６０
の外側に、バネを形成するゴム等の弾性体９０及び特定
の質量を有するマス１０が装着され、これによってダイ
ナミックダンパが形成されるようになっているものであ
る。すなわち、これらによってダイナミックダンパ付き
の防振装置が形成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ダイナ
ミックダンパ付きの防振装置は、金属製の内外筒を有す
る筒状防振ブッシュ３０を初めとして、当該筒状防振ブ
ッシュ３０の装着（圧入）されるブラケット５０、更に
はダイナミックダンパを形成するマス１０等、すべて重
量（質量）の重いものである。従って、この従来のダイ
ナミックダンパ付きの防振装置は、質量が重いという問
題点を有する。また、上記ダイナミックダンパを形成す
る弾性体９０及びマス１０は、上記ブラケット５０の円
筒部６０の外側に加硫接着手段により取り付けられてい
るものである。従って、これらダイナミックダンパを形
成するゴム等の弾性体９０及びマス１０を加硫接着にて
設けるに当っては、その部分をも含めた大形の加硫接着
用金型を用意しなければならないという問題点がある。
このような問題点を解決するために、小形で、軽量化の
図られた、かつ、加硫接着手段を用いずに形成されるよ
うにしたダイナミックダンパ付きの防振装置を提供しよ
うとするのが、本発明の目的（課題）である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては次のような手段を講ずることとし
た。すなわち、ダイナミックダンパを有する防振装置に
関して、振動体からの振動を遮断するインシュレータ
と、当該インシュレータを保持するブラケットとからな
るマウンティング部を有するとともに、当該マウンティ
ング部の上記ブラケットに一体的に設けられたホルダを
有し、更に、当該ホルダ内に圧入手段によって装着され
るものであって、所定の質量を有するマスと、当該マス
を包含するゴム材等からなる弾性体とにて形成されるダ
イナミックダンパを有してなる構成を採ることとした。

【０００５】

【作用】上記構成を採ることにより、本発明において
は、次のような作用を呈することとなる。例えば、図１
に示すような防振装置が、取付部２４に設けられた連結
金具２５を介して車体側に取り付けられ、一方、内筒２
３を介してエンジン等の振動体側に連結されると、当該
振動体側からの振動は、その大部分がインシュレータ２
２のところで遮断され、車体側へは伝播されない。しか
しながら、一部の振動、特に、当該防振装置（エンジン
マウント）を支持するメンバの共振によって生ずる４０
０Ｈｚ前後の振動については、これら防振装置では吸収
（遮断）されずに、当該メンバを介して車体側に伝播さ
れるおそれがある。これに対して、本発明においては、
上記インシュレータ２２を保持するブラケット２１に連
続してダイナミックダンパ１が設けられていることよ
り、このダイナミックダンパ１が、上記４００Ｈｚ前後
の周波数の振動に作用して、当該周波数の振動を吸収し
てしまうこととなる。その結果、当該４００Ｈｚ前後の
周波数の振動に起因するこもり音等は、本発明にかかる
防振装置（エンジンマウント）のところで遮断されるこ
ととなり、車体側、延いては車室内へは伝播されないこ
ととなる。

【０００６】このような機能を発揮する本発明の防振装
置において、上記ダイナミックダンパ１の部分は、図２
に示すような構成からなるものである。すなわち、マウ
ンティング部２のブラケット２１と一体的に形成された
ホルダ１３内に設けられたマス１１と、所定のバネ定数
を有する弾性体１２とからなるものである。そして更
に、このような構成からなるダイナミックダンパ１は、
図３に示す如く、金属ブロック等からなり、特定の質量
を有するマス１１と、当該マス１１を包含するように形
成されたゴム等からなる弾性体１２とにて形成されるも
のであり、このように形成されたダイナミックダンパ１
が、上記ホルダ１３内に圧入手段等により装着されてい
る構成からなるものである。従って、本発明にかかる防
振装置、特に、上記ダイナミックダンパ１に関する部分
は、従来のものにおいて行なわれていた加硫接着等の特
別の手段が施されていない。そのため、本発明において
は、上記ダイナミックダンパ１の部分をも含めた大形の
加硫接着用の金型等を要せず、製造工程が簡素化される
こととなる。そして、これによって製造コストの低減化
等が図られるようになる。

【０００７】また、樹脂化等により、マウンティング部
２を形成するブラケット２１とホルダ１３とが一体的に
形成されているので、ブラケット２１を初めとして、本
防振装置（エンジンマウント）全体の軽量化が図られる
こととなる。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例について、図１ないし図６を
基に説明する。本実施例の構成は、図１に示す如く、防
振ゴム材等の弾性体からなり、振動体側からの振動を遮
断するインシュレータ２２と、当該インシュレータ２２
を保持するブラケット２１とからなるマウンティング部
２を主体として、当該マウンティング部２の上記ブラケ
ット２１に、当該ブラケット２１と一体的に設けられた
ホルダ１３、及び当該ホルダ１３内に装着されるマス１
１及び弾性体１２からなるダイナミックダンパ１等から
なることを基本とするものである。

【０００９】このような基本構成において、上記インシ
ュレータ２２にはエンジン等の振動体（図示せず）に連
結される内筒２３が設けられているとともに、このよう
なインシュレータ２２は、図１に示す如く、マウンティ
ング部２を形成するブラケット２１内に圧入等により装
着されている構成となっている。また、このような構成
からなるインシュレータ２２の装着されるブラケット２
１は、プラスチック材あるいは板金プレス成形品等にて
形成されているものである。また、このようなブラケッ
ト２１と一体的に設けられるホルダ１３は、プラスチッ
ク材からなり上記ブラケット２１とインジェクション成
形等により一体的に成形されてなるものであるか、ある
いは板金プレス成形品等からなり、上記ブラケット２１
に溶接手段等により一体的に設けられてなるものであ
る。

【００１０】このような構成からなるホルダ１３内に、
図３に示す如く、所定の質量を有する金属ブロック等か
らなるマス１１及び当該マス１１を包含する弾性体から
なるダイナミックダンパ１が圧入等により挿入（装着）
されることによって、いわゆるダイナミックダンパの部
分が形成されるようになっている。すなわち、このよう
な圧入工程を経ることによって、図２に示すような構成
のダイナミックダンパ１が形成されることとなる。な
お、このダイナミックダンパ１を形成する上記弾性体１
２は、ゴム材等からなり、上記ホルダ１３内に上記マス
１１とともに圧入されることによって、所定のバネ定数
が得られるようになっているものである。すなわち、上
記ホルダ１３内への圧入代、弾性体であるゴム材の肉
厚、更にはその硬度等を適宜調整することによって、所
定のバネ定数が得られるようになっているものである。

【００１１】上記構成からなるダイナミックダンパ１に
ついての他の実施例について、図４ないし図６を基に説
明する。このものは、図４及び図５に示す如く、マス１
１の部分が前のものと比べて異なっている点である。す
なわち、前のものが主に丸棒からなる金属材等を切断す
ることによって得られる構成からなるものであるのに対
して、本実施例のものは、四角形の断面形態を有するも
のからなるものである。このような四角形状の直方体か
らなるマス１１が、図４及び図５に示す如く、ホルダ１
３内に弾性体１２を介して圧入されている構成からなる
ものである。なお、これら構成からなるマス１１を包含
するゴム材等からなる弾性体１２は、図４に示す如く、
マス１１の一部分を露出させている構成からなるもの
と、図５、図６に示す如く、マス１１の全体を被うよう
にした構成からなるものとが考えられる。この全体を被
うようにしたものの場合、金属ブロック等からなるマス
１１の表面に防錆処置等の表面処理を施さないですむと
いう利点を有することとなる。

【００１２】このような構成からなるダイナミックダン
パ１をホルダ１３内に挿入（装着）するに当っての、当
該ダイナミックダンパ１の保持方法について、その具体
例を図５及び図６に基づいて説明する。まず、図５に示
す方法は、ホルダ１３の一部（内側）に、ダイナミック
ダンパ１を形成する弾性体１２の一部が係合される係合
部１３１、１３１’を設けるようにした構成からなるも
のである。従って、この場合には、ダイナミックダンパ
１を上記ホルダ１３の上記係合部１３１、１３１’の肩
のところを越えるように挿入（圧入）すれば、その後
は、上記ダイナミックダンパ１は、上記係合部１３１、
１３１’の肩の部分で保持されることとなる。

【００１３】次に、図６に示すものは、ダイナミックダ
ンパ１を形成する弾性体１２の一部（外周部）に、リセ
ス溝１２１を設けておき、このリセス溝１２１のところ
にホルダ１３を係合（嵌合）させるようにするものであ
る。この場合には、ダイナミックダンパ１を上記ホルダ
１３の内径内に圧入し、上記リセス溝１２１とホルダ１
３とを係合（嵌合）させることによって、ダイナミック
ダンパ１の装着が行なわれることとなる。

【００１４】このような構成からなる本実施例の作用等
について説明する。まず、図１に示すような防振装置
が、取付部２４に設けられた連結金具２５を介して車体
側に取り付けられるとともに、一方、内筒２３側はエン
ジン等の振動体側に連結されると、当該振動体側からの
振動は、その大部分がインシュレータ２２のところで遮
断され、車体側へは伝播されない。しかしながら、一部
の振動、特に、エンジンマウントを支持するメンバの共
振現象によって生ずる４００Ｈｚ前後の振動について
は、通常の防振装置では吸収（遮断）されず、上記メン
バを介して車体側に伝播されるおそれがある。この点に
関して、本実施例においては、上記インシュレータ２２
を保持するブラケット２１に連続してダイナミックダン
パ１が設けられていることより、このダイナミックダン
パ１が、上記４００Ｈｚ前後の周波数の振動に作用し
て、当該周波数の振動を吸収する。その結果、当該４０
０Ｈｚ前後の周波数の振動に起因するこもり音等は、本
実施例にかかる防振装置（エンジンマウント）のところ
で遮断されることとなり、車体側、延いては車室内へは
伝播されて来ない。

【００１５】このような機能を発揮する本実施例の防振
装置において、上記ダイナミックダンパ１の部分は、図
２に示すような構成からなるものである。すなわち、マ
ウンティング部２のブラケット２１と一体的に形成され
たホルダ１３内に設けられたマス１１と、所定のバネ定
数を有する弾性体１２とからなるものである。そして更
に、このような構成からなるダイナミックダンパ１は、
図３に示す如く、ホルダ１３内に圧入手段等により装着
されている構成からなるものである。この圧入代及びゴ
ム材の硬度等を調整することによって、ダイナミックダ
ンパ１のバネ定数を適宜値に調整することができる。ま
た、本実施例にかかる防振装置、特に、上記ダイナミッ
クダンパ１に関する部分は、従来のものにおいて行なわ
れていた加硫接着等の特別の処理が施されていない。そ
のため、本実施例においては、上記ダイナミックダンパ
１の部分をも含めた大形の加硫接着用の金型等を要せ
ず、製造工程が簡素化されることとなる。そして、これ
によって製造コストの低減化等が図られることとなる。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、ダイナミックダンパを
有する防振装置に関して、振動体からの振動を遮断する
インシュレータと、当該インシュレータを保持するブラ
ケットとからなるマウンティング部を有するとともに、
当該マウンティング部の上記ブラケットに一体的に設け
られたホルダを有し、更に、当該ホルダ内に圧入手段に
よって装着されるものであって、所定の質量を有するマ
スと当該マスを包含するゴム材等からなる弾性体とにて
形成されるダイナミックダンパを有してなる構成を採る
こととしたので、ダイナミックダンパを含めた本防振装
置を加硫接着手段を用いずに形成させることができるよ
うになった。従って、ダイナミックダンパの部分を含め
た大形の加硫接着用金型等を不要とし、従って、製造工
程の簡素化を含む、製造コストの低減化を図ることがで
きるようになった。また、樹脂化等により、ダイナミッ
クダンパを保持するホルダを、インシュレータ等を保持
するブラケットと一体的に形成させることとしたので、
本防振装置全体の軽量化を図ることができるようになっ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の全体構成を示す断面図である。

【図２】本発明の主要部をなすダイナミックダンパの構
成を示す部分断面図であり、図１のＡＡ断面図である。

【図３】本発明の主要部をなすダイナミックダンパのホ
ルダへの装着方法（圧入）を示す図である。

【図４】本発明の主要部をなすダイナミックダンパにつ
いての他の実施例を示す縦断面図である。

【図５】本発明の主要部をなすダイナミックダンパのホ
ルダへの装着方法についての他の実施例を示す部分断面
図である。

【図６】本発明の主要部をなすダイナミックダンパのホ
ルダへの装着方法についてのもう一つの他の実施例を示
す図である。

【図７】ダイナミックダンパを有する防振装置について
の従来例の全体構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ダイナミックダンパ １１ マス １２ 弾性体 １２１ リセス溝 １３ ホルダ １３１ 係合部 １３１’ 係合部 ２ マウンティング部 ２１ ブラケット ２２ インシュレータ ２３ 内筒 ２４ 取付部 ２５ 連結金具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 振動体からの振動を遮断するインシュレ
   ータと、当該インシュレータを保持するブラケットとか
   らなるマウンティング部を有するとともに、当該マウン
   ティング部の上記ブラケットに一体的に設けられたホル
   ダを有し、当該ホルダ内に圧入されるものであって、所
   定の質量を有するマスと、所定のバネ定数を有する弾性
   体とからなるダイナミックダンパを有する構成からなる
   ことを特徴とするダイナミックダンパ付きの防振装置。