JPH07150664A - 外壁パネルの取り付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パネルを建築物の外壁に縦壁として取り付け
る場合に、足場の仮設や現場溶接が不要で、施工が容易
な取り付け構造を提供する。 【構成】 上下に連設される外壁パネル４を梁１の上縁
に螺着された定規アングル８に係止する外壁パネルの取
り付け構造において、パネル４の下端部に螺着された断
面が横向きＴ字状の自重受け金具５の垂直な下端部を梁
１の上縁に螺着した上向き定規アングル７に螺着し、パ
ネル４上端部近辺に螺着された取り付け金具９を梁１の
上縁に螺着した下向き定規アングル８を挟持するように
したものである。また 上下に連設された外壁パネルの
水平目地部は前記自重受け金具９の水平部よりも下方に
位置させ、その全長に亘って二重のガスケット１０、１
１で止水するようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は例えば軽量気泡コンク
リート（以下ＡＬＣという）等のパネルを建築物の外壁
に縦壁として取り付ける構造に関するものであり、特に
幅が９０ｃｍ以上のような幅広パネルを無足場で取り付
ける場合に好適な構造を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来ＡＬＣ版等の幅広パネルを建築物の
外壁として取り付ける場合の種々な構造が提案されてい
る。例えば図３のように建築物の梁１の上フランジ２の
上下面に上向き定規アングル３と下向き定規アングル１
８を溶接して固着し、この上向き定規アングル３に、隣
接する上段パネル４ａの接続部に向けて受け金具１５を
溶接してパネル４ａの下端部を支承させる。そして上段
パネル４ａの両側小口面の溝１６には、受け金具１５に
下端部が溶接された垂直な鉄筋１７が配設され、この溝
１６にセメントモルタルが充填されて固定されている。
またパネルの上端部は図３のように、幅方向の両上端部
近辺に穿孔された透孔に、ボルト１９を貫通させて、パ
ネル４の裏面にイナヅマプレート２０を取り付け、この
イナヅマプレート２０で下向き定規アングル１８を挾持
させる構造となっている。この構造はパネルの下端部が
躯体に固着され、上端部が躯体に対し水平方向に若干遊
動可能ないわゆるスライド工法で、一応耐震性も考慮さ
れている。

【０００３】しかし、この工法では下向き定規アングル
１８の溶接作業や、イナヅマプレート２０の取り着作業
は梁１の裏側なので作業性が悪いうえ、金具１５や鉄筋
１７の溶接、パネル４の座繰り及び補修作業、セメント
モルタルの充填など現場作業が多いため手数がかかり、
工期が長くなる問題があった。更にボルト係止用金具を
埋設したパネルが使用できない問題もあった。

【０００４】また、他の構造としては本出願人がさきに
出願した実願昭６３−８５８６７号（図４、図５参照）
のように、パネルの幅方向両端部近辺の梁１に定規金物
２１を固着し、この定規金物２１の切り欠き部に、下段
パネル４の上端部に取着されているイナヅマ金物２２を
挿入し、断面Ｌ字状の差し込み金物２３を逆向きに差し
込んで固定する。また断面コ字状の高さ調整金物２４を
前記差し込み金物２３に締着し、この高さ調整金物２４
に段状をした自重受け金物２５の垂直部を挾んで上段パ
ネル４ａをボルト２６でパネル４ａの埋め込み金物２７
に締着固定する。その際上段パネル４ａの下端部を自重
受け金物２５で支承し、更に自重受け金物２５の頂部の
ボルト２８を回して、この自重受け金物２５を昇降させ
て上段パネル４ａの高さを調整可能にしたものがある。

【０００５】しかし、この構造ではパネル４ａの自重に
よる回転力と風圧力を埋め込み金物２７が負担するの
で、パネルの重量、面積によっては大きな強度が必要と
なる。また、取り付け金物の形状が複雑で数も多いの
で、費用と手数がかかる問題があった。更に、他の構造
としては図６のように下段パネル４の上端部に取着され
ているイナヅマ金物２２の先端部と、梁１に固着した上
向き定規アングル３とを図７のような断面コ字状の金物
２９で挾持し、更にこの金物２９を上段パネル４ａの下
端部に取着されているイナヅマ金物３０で挾持する。そ
して上段パネル４ａの重量は別途上向き定規アングル３
に固着した図示してないアングルで支承するものもあ
る。

【０００６】しかし、この構造では下段パネル４の上端
部に取着されているイナヅマ金物２２の先端部だけが定
規アングル３に当接しているために、パネル４にかかる
大きな風圧をこのイナヅマ金物２２で負担せねばなら
ず、金物の幅や厚さを大きくする必要があり、経費と手
数がかかる問題があった。更にこれら従来の外壁構造を
形成するには建築物の外側に足場を仮設し、パネルの屋
内外側で協同作業する必要があり、また現場での溶接作
業が多いので、熟練した多数の作業員が必要で、その安
全上の問題があるほか、建築物の周囲に広いスペースが
必要であった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】この発明は前記の問題
を解消し、足場の仮設や現場溶接が不要で、施工が容易
な外壁の取り付け構造を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに本発明は、上下に連設される外壁パネルを梁の上縁
に螺着された定規アングルに係止する外壁パネルの取り
付け構造において、パネルの下端部に螺着された断面が
横向きＴ字状の自重受け金具の垂直な下端部を梁の上縁
に螺着した上向き定規アングルに螺着し、パネル上端部
近辺に螺着された取り付け金具を梁の上縁に螺着した下
向き定規アングルを挟持するようにしたものである。ま
た、上下に連設された外壁パネルの水平目地部は前記自
重受け金具の水平部よりも下方に位置させ、その全長に
亘って二重のガスケットで止水するようにしたものであ
る。

【０００９】

【作用】外壁パネルの取り付け構造を前記のように構成
することにより、上向き及び下向き定規アングルを梁に
取着する場合も、これらの定規アングルに前記自重受け
金具を螺着したり、取り付け金具を締着する場合も、屋
内側だけで作業でき、現場溶接も不要となる。また水平
目地部は自重受け金具の水平部よりも下方に位置させ、
その全長に亘って二重のガスケットで止水するようにし
たので、コーキング材の充填が不要で完全に防水でき、
外側からの作業がないので足場の仮設が不要となり、作
業の安全性も向上する。

【００１０】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面によって詳細に
説明する。図１は本発明の外壁パネルの取り付け構造を
示す縦断面図であり、図２は図１のａａ面の矢視図であ
る。パネル４の裏面に取着される自重受け金具５は断面
が横向きＴ字状をなし、屋外側に向かって水平に突起５
ａが突出しており、この突起５ａの上方にはパネルの幅
方向両端部近辺に埋設されている一対の長ナット４ａ
に、ボルト６で螺着するための透孔が穿設されている。
また突起５ａの下方には反対方向にボルト５ｃが固着さ
れている。上向き定規アングル７の水平面には梁１の上
フランジ２にボルト６で螺着するための２個の透孔７ａ
が穿設されており、垂直面には自重受け金具５のボルト
５ｃを挿通するための長孔７ｂが穿設されている。また
下向き定規アングル８は逆Ｌ字状で水平面が梁１の上フ
ランジ２にボルト６で螺着されるようになっている。

【００１１】一方上下方向に連接するパネル４の相対す
る小口面は段違いに形成され、パネルの下端外側小口面
の溝４ｂには逆Ｌ字形のゴム製ガスケット１０の突起が
嵌合して固着されている。またパネルの上端外側小口面
の溝４ｃには管状のゴム製ガスケット１１の突起が嵌合
して固着されている。更にパネル４の上端部近辺には長
ナット４ａよりも内側の裏面に開口している一対の長ナ
ット４ｄがパネル４の鉄筋（図示せず）に固着されて埋
設されており、段付きのイナヅマプレート９がボルト６
で前記長ナット４ｄに螺着されている。

【００１２】このパネル４を外壁として取り付けるに
は、パネル４の上端部近辺に埋設されている一対の長ナ
ット４ｄにイナヅマプレート９をボルト６で螺着し、下
端部に埋設されている一対の長ナット４ａに前記自重受
け金具５をボルト６で座金１２を介して螺着しておく。
またパネル４の上下小口面にはガスケット１０、１１を
接着剤等で固着しておく。このパネル４を図示してない
クレーン等で吊り込み、金具５のボルト５ｃを上向き定
規アングル７の長孔７ｂ挿通して所望高さになるよう調
整して螺着する。

【００１３】それからパネル４に螺着されているイナヅ
マプレート９に下向き定規アングル８の垂直面を挿入し
て水平面を梁１の上フランジ２にボルト６で螺着する。
このとき上下のパネル４の外面は同一垂直面を形成し、
目地部は屋内側よりも低いことと、ガスケット１０、１
１が密着するので完全な防水構造となる。そして、この
構造ではパネル上部が躯体に対してスライド可能な耐震
構造となる。尚前記の金具やボルト等の寸法は必要に応
じて適宜選定すればよく、ボルトの緩みを防止するた
め、ボルトを螺着するときにスプリングワッシャを使用
してもよく、最後に点溶接してもよい。

【００１４】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の外
壁パネルの取り付け構造では、上向き定規アングルや下
向き定規アングルを梁に取り付ける場合も、自重受け金
具を上向き定規アングルに取着する場合も屋内側からボ
ルトで螺着すればよいので、屋内だけで作業でき、現場
溶接も殆ど不要となる。また目地部は自重受け金具の水
平部よりも下方に位置させ、その全長に亘って二重のガ
スケットで止水するようにしたので、コーキング材の充
填が不要で完全に防水でき、外側からの作業がないので
足場の仮設が不要となり、作業の安全性も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の外壁パネルの取り付け構造を示す縦断
面図である。

【図２】図１のａａ面の矢視図である。

【図３】従来の外壁構造を説明する図である。

【図４】従来の他の外壁構造を説明する金具の斜視図で
ある。

【図５】従来の他の外壁構造を説明する縦断面図であ
る。

【図６】従来の他の外壁構造を説明する縦断面図であ
る。

【図７】従来の他の外壁構造を説明する金具の斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 梁 ３、７ 上向き定規アングル ４ パネル ５ 自重受け金具 ６ ボルト ８、１８ 下向き定規アングル ９ イナヅマプレート（取り付け金具） １０、１１ ガスケット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下に連設される外壁パネルを梁の上縁
   に螺着された定規アングルに係止する外壁パネルの取り
   付け構造であって、パネルの下端部に螺着された断面が
   横向きＴ字状の自重受け金具の垂直な下端部が、梁の上
   縁に螺着された上向き定規アングルの垂直面に螺着さ
   れ、パネル上端部近辺に螺着された取り付け金具が、梁
   の上縁に螺着された下向き定規アングルの垂直面を挟持
   していることを特徴とする外壁パネルの取り付け構造。
2. 【請求項２】 上下に連設された外壁パネルの水平な目
   地部は請求項１記載の自重受け金具の水平部よりも下方
   に位置し、その全長に亘って二重のガスケットで止水さ
   れていることを特徴とする外壁パネルの取り付け構造。