JPH07148880A - 耐火パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐火１時間以上の耐火性を有し、かつ軽量で
断熱性があり、施工性、防水性を大幅に改善した強度の
ある耐火パネルを提供することである。 【構成】 長尺状の金属薄板からなる表、裏面材２、１
８間に難燃性のプラスチックフォーム２５からなる芯材
２４を一体に介在し、その長手方向の両側縁に雄、雌型
連結部２７、２９を形成した耐火パネル１において、
雄、雌型連結部２７、２９を一重の連結構造として施工
と製造を容易にし、かつ防火ボード２６を雄型連結部２
７、２９内側にのみ配設すると共に無機パッキング材３
２を雄、雌型連結部２７、２９の当接部３１で有効に、
寸法調整的な機能をも発揮するように植設し、その上防
水パッキング材３３も嵌挿溝１５の角に植設して連結部
の防水性、耐火性をも改善した耐火パネル１である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は耐火性能を必要とする建
築、構築物の内壁材、外壁材、屋根材、天井材、床材、
間仕切り材、あるいは耐火戸等として使用でき、かつ軽
量で、機械強度のある長尺状の耐火パネルに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】建築基準法上、防火地域、準防火地域等
において耐火構造を必要とする建築が多々あり、これに
適用する部材としてはＡＬＣ板で厚さが１００〜１５０
ｍｍのもの、中空セメント板で厚さが５５ｍｍ以上のも
の等が使用されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ＡＬＣ
板、中空押出セメント板は共に１ｍ² 当たりの重さが約
５０ｋｇを超え、非常に重量物なので、施工する階層が
上がるにつれ、クレーン等の機械設備が大掛かりにな
り、労力も多大なものであった。また、壁下地への取付
け、施工の際はアンカーやＺクリップ等の取付金具を必
要とし、板本体と取付金具を一体化するために、施工現
場で板本体にドリル等で穿孔しなければならず、非常に
手間のかかるものであった。さらに、化粧面の仕上げと
して、耐候性と防水性のため別途仕上塗装を施さなけれ
ばならず、しかも、５〜６年の周期で定期的な仕上塗装
の塗り直しを必要とし、施工性、メンテナンス性に欠
け、かつトータルコストが高くなる欠点があった。

【０００４】さらに、プラスチックフォームを芯材とし
た耐火パネルとしては、表、裏面材間にフェノールフォ
ームを主成分とする難燃フォームを芯材とするパネルも
提案されているが耐火１時間（ＪＩＳ−Ａ−１３０４）
の試験に連結部が弱点となり不合格となった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような欠点
を除去するため、芯材としてフェノールフォーム樹脂に
水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウム、グラフ
ァイト、珪酸カルシウムあるいは炭酸カルシウム等の無
機材を混入したプラスチックフォームとすると共に、雄
型連結部の主要部に防火ボードを一体に介在して防火
性、圧縮強度および係合力の強化を図り、耐火１時間に
十分に合格し得る性能を有し、その上係合が容易で、し
かもメンテナンスフリー、軽量化と防水性、断熱性の大
幅向上を図った耐火パネルを提案するものである。

【０００６】

【実施例】以下に、図面を用いて本発明に係る耐火パネ
ルの一実施例について詳細に説明する。図１は上記耐火
パネルの代表的な一例を示す一部切り欠き斜視図で、１
は耐火パネルで表面材２と裏面材１８間に芯材２４を一
体に介在させたサンドイッチ構造体であり、かつその長
手方向の両側縁に雄型連結部２７、雌型連結部２９を設
けた構成である。

【０００７】すなわち、表面材２、裏面材１８は金属薄
板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタ
ン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラ
ッド鋼板、ラミネート鋼板（塩ビ鋼板等）、サンドイッ
チ鋼板（制振鋼板等）等（勿論、これらを各種色調に塗
装したカラー金属板を含む）の一種をロール成形、プレ
ス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、
あるいは無機質材、もしくは裏面材としてアスベスト
紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔（Ａ
ｌ、Ｆｅ、Ｐｂ、Ｃｕ）、合成樹脂シート、ゴムシー
ト、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不
織布等の１種、または２種以上をラミネートしたもの、
あるいは防水処理、難燃処理されたシート等の一種より
なるものである。

【０００８】また、表面材２の形状は例えば図２（ａ）
に示すように横長状の化粧面部３は水平面状の化粧面４
と、化粧面４の長手方向の両側縁を内方に屈曲した側縁
５、６と側縁５の下端を外側方へ延長した目地底面７と
からなり、目地底面７の先端を外側方へ延長してガイド
条８を形成し、かつ目地底面７とガイド条８間に固定具
打設用の凹溝９を設けた上面部１０とガイド条８の下面
８ａの先端を外方へ屈曲した当て片１１とから形成した
ものである。

【０００９】さらに、表面材２の他端には側縁６の下端
を内側方に化粧面３と平行に延長し、途中から外方へ屈
曲して傾斜面１２を形成した裏面１３を有するカバー部
１４と、傾斜面１２の先端をほぼ逆コ字状もしくはガイ
ド条８の形状に合致させて嵌挿溝１５を設け、嵌挿溝１
５の下面１６の先端を内方に屈曲し立ち下げたガイド片
１７とから形成したものである。

【００１０】裏面材１８は例えば図２（ｂ）に示すよう
に化粧面部３と対面する横長状の底面１９と、底面１９
の一端を立ち上げたガイド片２０とその根元の突リブ２
１と無機パッキング材３２の載置面２２と、他端を立ち
上げたガイド片２３とを形成したものである。

【００１１】なお、当て片１１、ガイド片１７、２０、
２３は図２（ａ）、（ｂ）に示す表面材２と裏面材１８
を図１に示すように積層する際に、積層位置がずれない
ようにし、耐火パネル１の寸法精度の向上と製造時の芯
材２４原料の漏洩を防止するためのものである。

【００１２】芯材２４はプラスチックフォーム２５と、
防火ボード２６を少なくとも一端部に介在させた構成で
あり、プラスチックフォーム２５は主に断熱材、耐火
材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化
材等として機能するものである。

【００１３】プラスチックフォーム２５としてはレゾー
ル型、あるいはノボラック型のフェノールフォームに、
発泡剤、水酸化アルミニウム（Ａｌ（ＯＨ）³ ）、ポリ
リン酸アンモニウム、グラファイト、硬化剤、珪酸カル
シウムあるいは炭酸カルシウム等の無機材等を混入し、
発泡、硬化させ、仕上がり密度で５０〜３００Ｋｇ／ｍ
³ 位に形成したものである。

【００１４】レゾール型、あるいはノボラック型のフェ
ノールフォーム（以下、単にフェノールフォームとい
う）は、主に連続式の発泡成形方法により製造されるも
のであり、他の合成樹脂発泡体（プラスチックフォー
ム）に比べて不燃性、低発煙性、低毒性の性能を有する
ものである。また、このフェノールフォームを金属板に
サンドイッチして形成された金属サイディング材は、単
体でＪＩＳ−Ａ−１３０１（建築物の木造部分の防火試
験方法）、ＪＩＳ−Ａ−１３０２（建築物の不燃構造部
分の防火試験方法）の防火構造試験に合格する防火性能
を有するものである。

【００１５】発泡剤はフェノールフォームの原液を１０
０重量部とすると、このフェノールフォームの原液に対
して２〜５０重量部混入させるものであり、例えば、メ
チレンクロライド、炭酸塩（粉末）等である。

【００１６】水酸化アルミニウムはフェノールフォーム
の原液を１００重量部とすると、このフェノールフォー
ムの原液に対して５０〜３００重量部混入させるもので
あり、難燃材、耐火材、耐熱材、防錆材として有用なも
のである。例えば、その組成としては水分率が０〜３０
％、粒度が１０〜１００μ、純度９０％以上のものであ
る。特に、水酸化アルミニウムは防錆効果にも役立つも
のである。

【００１７】ポリリン酸アンモニウムはフェノールフォ
ームの原液を１００重量部とすると、このフェノールフ
ォームの原液に対して１〜２５重量部混入させるもので
あり、反応調整材、難燃化材として有用なもので粒度は
３０〜１００μである。

【００１８】グラファイトはフェノールフォームの原液
を１００重量部とすると、このフェノールフォームの原
液に対して２〜３０重量部混入させるものである。その
効果としては、火災時にフェノールフォームが炭化し空
隙が形成されるが、この空隙を加熱により膨張したグラ
ファイトが塞ぎ、肉痩せによる耐火性能の低下を防止す
るものである。

【００１９】硬化剤はフェノールフォームの原液を１０
０重量部とすると、このフェノールフォームの原液に対
して１０〜５０重量部混入させるものであり、有機リン
酸系、あるいはリン酸系とＰＳＡ系の混合物である。

【００２０】珪酸カルシウムあるいは炭酸カルシウム等
の無機材は、プラスチックフォーム２５の保形性、耐火
性を向上するために混入したものである。

【００２１】また、防火ボード２６は図３に示すような
ものであり、後記する連結部γの防火性の強化のため用
いるもので、例えばケイ酸カルシウム板、炭酸カルシウ
ム板、石膏ボード、パーライトセメント板、ロックウー
ル板、スレート板、ＡＬＣ板、ＰＣ板、その他の無機質
軽量体、無機質軽量発泡体、あるいはこれらの複合板の
１種以上、もしくはノボラックタイプのフェノールフォ
ームに無機繊維、セメント等を押出し成形した角材、板
材、型材等からなり、これを雄型連結部２７、雌型連結
部２９に一体に介在させたものである。

【００２２】雄型連結部２７は上面部１０と、当て片１
１とガイド片２０、突リブ２１、載置面２２とからなる
切り欠き部２８と、プラスチックフォーム２５、防火ボ
ード２６とを一体に形成したものであり、上記上面部１
０の目地底面７は化粧面部３の一側縁を上記化粧面部３
より一段低く、すなわち、雌型連結部２９のカバー部３
０が化粧面部３から突出せず、ほぼ面一に収納し得る断
面としたものである。

【００２３】雌型連結部２９は嵌挿溝１５、カバー部３
０、当接部３１とプラスチックフォーム２５とを一体に
形成したものであり、前記雄型連結部２７のガイド条８
を嵌挿すると共に上面部１０のほぼ全面を覆うものであ
る。

【００２４】３２は無機パッキング材であり、例えばロ
ックウールフェルト、セラミックウール、ゴム系を成分
として不燃化したもの等よりなり、耐火構造試験時に連
結部γ間に間隙が形成されるのを防止して火炎の浸入を
遮断し、主に耐火材、気密材等の機能として有用なもの
である。

【００２５】また、３３は防水パッキング材であり、例
えばポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホ
ン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファ
ルト含浸ポリウレタン系等の一般的に市販されているも
のであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なも
のである。勿論、防水材の形成のみで防水性が確保でき
る部分には必要がない。

【００２６】次に施工例について簡単に説明する。いま
図１に示すような耐火パネル１を用いて図４に示すよう
に施工すると仮定する。なお、図示する鉄骨下地よりな
る躯体αの最下端には図示しないが水切り、スタータ等
を固定しておく。そこで、図示するように第ｎ段目の耐
火パネル１を凹溝９に固定具βを躯体αに対して打設す
ることにより躯体α上に固定する。

【００２７】次に上段となる第ｎ＋１段目の耐火パネル
１の雌型連結部２９を耐火パネル１の雄型連結部２７に
装着する。従って、外壁を形成するには上記のような工
程を順次、土台から軒に向かって行えば良いものであ
る。

【００２８】この耐火パネル１の防火性を確認するた
め、ＪＩＳ−Ａ−１３０４の耐火構造試験の耐火構造１
時間の試験を実施したところ合格する性能を得た。な
お、この際の仕様は表、裏面材２、１８が０．５ｍｍ厚
のカラー鋼板、プラスチックフォーム２５はフェノール
フォーム（密度１６０Ｋｇ／ｍ³ 位）、防火ボード２６
は１０ｍｍ厚のケイ酸カルシウム板で、総厚さが６０ｍ
ｍ位であった。また連結部γにはロックウールフェルト
よりなる無機パッキング材３２を連続で形成したもので
ある。

【００２９】図５はその他の実施例でガイド条８の先端
部に凹条８ｂを設け、このガイド条８に防火パッキング
材３３ａを一体に植設した耐火パネル１であり、図６は
当接部３１の裏面に防火ボード２６を介在した耐火パネ
ル１である。

【００３０】図７（ａ）〜（ｆ）および図８（ａ）〜
（ｆ）はその他の実施例を示す説明図であり、化粧面部
３、雄、雌型連結部２７、２９を各々変形した耐火パネ
ル１である。

【００３１】

【発明の効果】上述したように本発明に係る耐火パネル
によれば、耐火パネルの機械強度が従前より大幅に向
上する。建築構造部分の耐火構造試験（ＪＩＳ−Ａ−
１３０４）、建築用防火戸の防火試験（ＪＩＳ−Ａ−１
３１１）、耐火庫（ＪＩＳ−Ｓ−１０３７）等の耐火試
験に合格する性能を有する。表面材、裏面材と芯材間
の接着が強固であり、部材間の剥離が全くない。表面
材、裏面材に膨れ、反り等の変形が表れない。防火ボ
ードを雄型連結部にのみ形成したため、連結部の耐火性
能を大幅に向上できる。雄、雌型連結部の嵌合を簡単
な形状としたため、従前より重い耐火パネルも極めて容
易に連結できる。無機パッキング材、防水パッキング
材を連結部の最適位置に植設したため防火性と防水性を
施工時に十分に得られる。等の特徴、効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る耐火パネルの代表的な一例を示す
一部切り欠き斜視図である。

【図２】本発明に係る耐火パネルに用いる表面材、裏面
材の一例を示す断面図である。

【図３】本発明に係る耐火パネルに用いる防火ボードの
一例を示す一部切り欠き斜視図である。

【図４】本発明に係る耐火パネルを用いて形成した壁の
連結部を示す縦断面図である。

【図５】本発明に係る耐火パネルのその他の実施例を示
す説明図である。

【図６】本発明に係る耐火パネルのその他の実施例を示
す説明図である。

【図７】本発明に係る耐火パネルのその他の実施例を示
す説明図である。

【図８】本発明に係る耐火パネルのその他の実施例を示
す説明図である。

【符号の説明】

１ 耐火パネル ２ 表面材 ３ 化粧面部 ４ 化粧面 ５ 側縁 ６ 側縁 ７ 目地底面 ８ ガイド条 ８ａ 下面 ８ｂ 凹条 ９ 凹溝 １０ 上面部 １１ 当て片 １２ 傾斜面 １３ 裏面 １４ カバー部 １５ 嵌挿溝 １６ 下面 １７ ガイド片 １８ 裏面材 １９ 底面 ２０ ガイド片 ２１ 突リブ ２２ 載置面 ２３ ガイド片 ２４ 芯材 ２５ プラスチックフォーム ２６ 防火ボード ２７ 雄型連結部 ２８ 切り欠き部 ２９ 雌型連結部 ３０ カバー部 ３１ 当接部 ３２ 無機パッキング材 ３３ 防水パッキング材 ３３ａ 防水パッキング材 α 躯体 β 固定具 γ 連結部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺状の化粧面部３を有する板材の表、
   裏面材２、１８間に難燃性のプラスチックフォーム２５
   からなる芯材２４を一体に介在し、その長手方向の一側
   面に雄型連結部２７、他側面に雌型連結部２９を設けた
   耐火パネル１において、前記雄型連結部２７は長尺状の
   化粧面部３の一側縁下端を外側方へ延長し、その先端面
   をガイド条８とすると共に、その途中に固定具打設用の
   凹溝９を設け、該凹溝９の化粧面４側の上縁と前記側縁
   下端間を目地底面７とした上面部１０と、前記ガイド条
   ８の下面８ａ先端と裏面材１８の一側端を内方に屈曲し
   立ち上がらせて当て片１１を設けた切り欠き部２８と、
   該切り欠き部２８に植設した無機パッキング材３２とか
   ら形成し、また雌型連結部２９は前記目地底面７の一部
   と凹溝９とガイド条８の一部を覆い、かつ目地底面７と
   凹溝９と対面する裏面を目地底面７とほぼ平行に延長
   し、その先端を外方に屈曲し、次に前記ガイド条８表面
   に沿わせたカバー部３０と、該カバー部３０の先端を外
   方に屈曲して凹条に形成し前記ガイド条８を収納する嵌
   挿溝１５と、前記切り欠き部２８と無機パッキング材３
   ２と対面する当接部３１とから構成し、少なくとも前記
   雄型連結部２７のガイド条８と凹溝９の裏面に防火ボー
   ド２６を一体に介在したことを特徴とする耐火パネル。