JPH07147111A - 誘電体磁器材料およびその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器材料およびその製造方法

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JPH07147111A
JPH07147111A JP6114457A JP11445794A JPH07147111A JP H07147111 A JPH07147111 A JP H07147111A JP 6114457 A JP6114457 A JP 6114457A JP 11445794 A JP11445794 A JP 11445794A JP H07147111 A JPH07147111 A JP H07147111A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O
3 を主相として含有する。 ここで、s+t+u=1、 0.01≦s≦0.2、 0.5≦t≦0.6、 0.2≦u≦0.49、 0.3≦z≦0.9である。 【効果】 低温焼成性が良好であり、マイクロ波領域で
共振周波数の温度変化率が小さく、誘電率とQ・f値の
大きい誘電体磁器材料を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体磁器材料、特に
マイクロ波領域において使用される共振器等を構成する
誘電体磁器材料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信の需要の急増にともな
い機器の小型化の要求が強まっている。これらの通信に
おいて、周波数選択には、共振器素子で構成されるフィ
ルタ、ディプレクサなどの回路が使用されるが、上記通
信機器の小型化の要請にともない共振器の小型化が要求
されている。共振器は、誘電体素子を用いて構成される
が、誘電体共振器の大きさは誘電体材料の誘電率の平方
根に反比例するため、共振器の小型化には誘電率の大き
な材料が必要である。また、使用周波数の高周波数側へ
の移行に伴い、部品の充填密度が増加し、一層の小型化
を図る必要が生じ、多層誘電体基板で回路を構成するこ
とが試みられるようになっている。
【0003】これらにより、用いる誘電体材料には、マ
イクロ波領域での誘電率が大きいこと、共振周波数の温
度変化率τf が小さいことといった従来の要求の他に、
導体との同時焼成が求められるようになっている。従
来、マイクロ波誘電体材料において、Ba(Mg1/3
2/3 )O3 、Ba(Zn1/3 Ta2/3 )O3 等がマイ
クロ波領域において誘電率の大きなものとして知られて
いる。しかしながら、上記のBa(Mg1/3 Ta2/3
3 、Ba(Zn1/3 Ta2/3 )O3 等のマイクロ波誘
電体材料は、焼成温度が1300℃と高く導体と同時焼
成しようとする場合、細い配線や複雑な配線を実現する
ことは困難である。また、焼成温度の低い(ガラス+T
iO2 )系等の材料は、誘電率が10程度と小さい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、マイクロ波領域での共振周波数の温度変化率が小さ
く、誘電率とQ・f値が大きく、しかも低温焼成性の良
い誘電体磁器材料とその製造方法を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(17)の本発明により達成される。 (1)Pb、Ca、W、FeおよびNbを酸化物の形で
含有し、 (Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O3 (ここで、0.3≦z≦0.9、 s+t+u=1、 0.01≦s≦0.2、 0.5≦t≦0.6、 0.2≦u≦0.49である。)の組成の相を主相とし
て含有する誘電体磁器材料。 (2)前記s、t、uが下記の関係を満足する上記
(1)の誘電体磁器材料。 0.02≦s≦0.1 0.5≦t≦0.55 0.35≦u≦0.48 (3)さらに、(Pb1-x Cax )(Fe1/2
1/2 )O3 (ここで、0.3≦x≦0.91)、Ca
(Fe1/2 Nb1/2 )O3 、Pb3 Nb4 13のうち1
種または2種以上を異相として含む上記(1)または
(2)の誘電体磁器材料。 (4)副成分として焼結助剤を含有する上記(1)〜
(3)のいずれかの誘電体磁器組成物。 (5)前記焼結助剤がPb5 Ge3 11である上記
(4)の誘電体磁器材料。 (6)前記焼結助剤の含有量が前記Pb、Ca、W、F
eおよびNbの酸化物の10.0wt%以下である上記
(4)または(5)の誘電体磁器材料。 (7)さらに、Mnを含有する上記(1)〜(6)のい
ずれかの誘電体磁器材料。 (8)Mn含有量がMn換算で前記Pb、Ca、W、F
eおよびNbの酸化物の0.5wt% 以下である上記
(7)の誘電体磁器材料。 (9)Pb(Fe2/3 1/3 )O3 を主成分とする第1
の磁器材料と、(Pb1-X CaX )(Fe1/2
1/2 )O3 (ここで、0.3≦x≦0.91)を主成
分とする第2の磁器材料とをまず作製し、これらを混
合、仮焼、本焼成する誘電体磁器材料の製造方法。 (10)前記第1および第2の磁器材料を、 y〔Pb(Fe2/3 1/3 )O3 〕− (1−y)〔(Pb1-x Cax )(Fe1/2 Nb1/2 )O3 〕、 と表したとき、x、yがモル分率で、 0.3≦x≦0.91 0.01≦y≦0.7 となるように混合する上記(9)の誘電体磁器材料の製
造方法。 (11)0.05≦y≦0.4である上記(10)の誘電
体磁器材料の製造方法。 (12)焼成温度が1100℃以下である上記(9)〜
(11)のいずれかの誘電体磁器材料の製造方法。 (13)本焼成前に、焼結助剤を添加する上記(9)〜
(12)のいずれかの誘電体磁器材料の製造方法。 (14)前記焼結助剤がPb5 Ge3 11である上記
(13)の誘電体磁器材料の製造方法。 (15)前記焼結助剤の添加量が、前記第1および第2
の磁器材料の10.0wt%以下である上記(13)または
(14)の誘電体磁器材料の製造方法。 (16)本焼成前にMn化合物を添加する上記(9)〜
(15)のいずれかの誘電体磁器材料の製造方法。 (17)Mn化合物の添加量が、Mn換算で前記第1お
よび第2の磁器材料の0.5wt% 以下である上記(16)
の誘電体磁器材料の製造方法。
【0006】
【作用および効果】本発明では、一般式(Pb1-Z Ca
Z )(Ws Fet Nbu )O3 (以下、PCWFNと称
することがある)の誘電体磁器材料において、各成分量
を 0.3≦z≦0.9 s+t+u=1、 0.01≦s≦0.2 0.5≦t≦0.6 0.2≦u≦0.49 に規制することにより、低温焼成性が良好であり、導体
との同時焼成が可能となる。またマイクロ波領域で共振
周波数の温度変化率が小さく、誘電率とQ・f値とが大
きいので、特性の良好なマイクロ波用共振器を得ること
ができる。
【0007】また、焼結助剤として、Pb5 Ge3 11
を添加すると、さらに低温焼成性が促進される。さら
に、所定量のMnを含有させることにより、絶縁抵抗率
が上昇し、高周波回路中に用いるコンデンサの誘電体材
料としてもすぐれた特性を発揮する。
【0008】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0009】本発明の誘電体磁器材料は、主相として、
(Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O3 の組成の
相を含有することを特徴とするものである。
【0010】ここで、CaによるPbの一部置換量は、
そのモル分率をzとしたとき、 0.3≦z≦0.9 の範囲内となるように設定する。Caの一部置換量が、
上記の範囲を越えると、低温焼成性が損なわれ、一方そ
れ未満であると、共振周波数の温度変化率τf が+の方
向へ大きくなってしまうからである。
【0011】上記zは、特に 0.3≦z≦0.8、さらには 0.4≦z≦0.75 の範囲にすると、より良好な低温焼成性、高誘電率、小
さい共振周波数の温度変化率τf を得ることができる。
【0012】また、W、Fe、Nbのモル分率をそれぞ
れs、t、uと、s+t+u=1としたとき、 0.01≦s≦0.2 0.5≦t≦0.6 0.2≦u≦0.49 であることが好ましい。
【0013】このようなモル分率としたのは、次の理由
による。まず、sについては、0.01未満であると低
温焼成性が損なわれ、0.2超であると共振周波数の温
度変化率τf が+の方向へ大きくなってしまう。また、
tについては、0.5未満であると低温焼成性が損なわ
れ、0.6超であると共振周波数の温度変化率τf が+
の方向へ大きくなってしまう。最後に、uについては、
0.2未満であると共振周波数の温度変化率τf が+の
方向へ大きくなってしまい、0.49超であると低温焼
成性が損なわれる。そして、上記の組成範囲内にするこ
とによって、誘電率εが65以上となる。そして、好ま
しい態様では、65〜120、特に80〜120の値が
得られる。
【0014】なお、上記モル分率を 0.02≦s≦0.1 0.5≦t≦0.55 0.35≦u≦0.48 とすると、低温焼成性が良く、共振周波数の温度変化率
τf がより小さくなり、特に望ましい。
【0015】ここで、上記τf は0に近ければ近いほど
望ましく、一般に+100ppm/℃以上、−100ppm/℃
以下ではマイクロ波誘電体として望ましくない。本発明
では、±100ppm/℃以内、好ましい態様では±60pp
m/℃以内、特に±50ppm/℃以内、さらには±30ppm/
℃以内が得られる。
【0016】また、上記εは大きければ大きいほど望ま
しい。これは、例えば共振器においては、その大きさが
誘電体材料のεの平方根に反比例するため、小型化しよ
うとする場合には、必然的にεを大きくしなければなら
ず、したがって、εが大きいということは重要なことで
ある。
【0017】このような(Pb1-Z CaZ )(Ws Fe
t Nbu )O3 相の存在はX線回折スペクトル(XR
D)から確認される。本発明の誘電体磁器材料において
は、上記(Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O3
単相からなるものであってもよい。
【0018】本発明の誘電体磁器材料においては、上記
(Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O3 を主相と
し、(Pb1-x Cax )(Fe1/2 Nb1/2 )O3 (こ
こで0.3≦x≦0.91、特に0.3≦x≦0.
9)、Ca(Fe1/2 Nb1/2 )O3 、Pb3 Nb4
13等のPbとNbとを含有するパイロクロアのうち1
種、またはそれ以上を異相として含んでいてもよい。こ
れら異相の存在もXRDによって確認されるが、XRD
や電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)等か
ら算出される主相の量比は、通常70wt% 以上、特に8
0〜100wt% である。また、通常、主相の平均グレイ
ンサイズは0.5〜15μm 、特に1〜10μm であ
る。
【0019】本発明の誘電体磁器材料には、焼成温度を
低下できるように、副成分として焼結助剤が含有される
ことが望ましい。焼結助剤としては、一般に、ZnO、
Bi23 、CuO、PbO、PbSiO3 等の酸化物
が可能であるが、特にPb5Ge3 11を用いることが
特に望ましい。Pb5 Ge3 11の含有量は、好ましく
は前記主相および異相全体、すなわちPb、Ca、W、
Fe、Nb酸化物の総計の10.0wt%以下、より好ま
しくは誘電体材料全体の2.0〜5.0wt%である。P
5 Ge3 11の含有量が少なすぎると添加による低温
焼成効果がなくなってくる。また、含有量が多すぎると
Q・f値が低下し、また、その温度特性が悪化する。こ
れら焼結助剤は、焼結後、通常粒界に残存する。
【0020】さらに本発明の誘電体磁器材料中には、M
nが含有されていてもよい。Mn含有量はMn換算で、
前記主相および異相成分原料の全体の総計(焼結助剤は
除く)の0.5wt% 以下、特に0.4wt% 以下、好まし
くは0.05〜0.3wt% である。Mn添加により絶縁
抵抗が向上する。Mnは焼結後、通常主相、あるいは異
相中に存在している。
【0021】次に、本発明の誘電体磁器組成物の製造方
法について説明する。出発原料としては、誘電体磁器組
成物を構成する金属元素の酸化物、例えば酸化鉛、酸化
カルシウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ニオブ等
を用いればよい。また、焼成により酸化物となり得る各
種化合物、例えば、炭酸カルシウム等の炭酸塩や蓚酸塩
などを用いてもよい。出発原料の配合比率は、各金属元
素の比率が最終組成と同じとなるように選択する。出発
原料の平均粒径は0.5〜10μm 程度の平均粒径とす
る。あるいは硫酸塩、硝酸塩等の溶液として添加してよ
い成分もある。
【0022】出発原料の粉末の混合は、ボールミルなど
を用いて湿式で行なうことが好ましい。混合後、仮焼を
行なう。この混合、仮焼は、鉄・タングステン酸鉛Pb
(Fe2/3 1/3 )O3 (以下、PFWと称する)と、
Pbの一部がCaで置換された鉄・ニオブ酸鉛(Pb
1-x Cax )(Fe1/2 Nb1/2 )O3 (以下、PCF
Nと称する)とを別個に行なう。これは原料の混合、仮
焼を一度に行った場合、CaWO4 が容易に生成してし
まい、目的とする(Pb Ca)(W Fe Nb)O
3 が合成できないからである。
【0023】従って、PFWにあっては、出発原料とし
て、PbO、Fe2 3 、WO3 を使用し、一方、PC
FNにあっては、PbO、Fe2 3 、Nb2 5 、C
aCO3 を、それぞれ別個に使用する。ここで、PCF
Nにおける、C(Ca)によるP(Pb)の一部置換量
は、そのモル分率をxとしたとき、xが 0.3≦x≦0.91 の範囲内となるように設定する。
【0024】Caの一部置換量が、上記の範囲を越える
と、低温焼成性が損なわれ、一方それ未満であると、共
振周波数の温度変化率τf が+の方向へ大きくなってし
まうからである。
【0025】上記xは、特に 0.3≦x≦0.9、さらには 0.4≦x≦0.7 の範囲にすると、より良好な低温焼成性を示し、誘電率
を高め、共振周波数の温度変化率τf を小さくすること
ができる。
【0026】上記仮焼は、PFWにあっては、800〜
900℃程度の温度で、PCFNにあっては、1000
〜1200℃程度の温度で、1〜4時間程度行なうこと
が好ましい。仮焼後、それぞれボールミル等により好ま
しくは湿式粉砕する。粉砕後の平均粒径は0.7〜3.
0μm 程度とする。
【0027】次に、PFWとPCFNとを調合する。こ
のときの混合比は、PFWのモル分率をyとし、全体を
1としたとき、 0.01≦y≦0.7 の範囲に設定する。この範囲を超えると共振周波数の温
度変化率τf が+の方向へ大きくなってしまい、一方そ
れ未満であると低温焼成性が損なわれてしまう。
【0028】上記yは、特に 0.05≦y≦0.4 の範囲にすると、良好な特性が得られる。
【0029】次に、上記組成範囲のPFW、PCFNを
混合して、仮焼する。この仮焼は、通常大気中で700
〜1100℃、特に900〜1050℃、さらには90
0〜1000℃程度の温度で、1〜4時間程度行なうこ
とが好ましい。仮焼後、ボールミル等により粉砕する。
粉砕後の平均粒径は0.7〜1.5μm 程度とする。
【0030】次に、仮焼体粉末にポリビニルアルコール
等のバインダを加えて所定形状に成形する。Pb5 Ge
3 11(PGO)等の焼結助剤は、通常、成形前に仮焼
体粉末と混合される。この他、上記の2度目の仮焼にお
ける原料と混合して用いてもよい。さらには、この2度
目の仮焼きの原料と混合して仮焼し、その後さらにこれ
に他の仮焼体粉末やPGOを混合してもよい。
【0031】この際、焼結助剤としてのPb5 Ge3
11量は、PFWとPCFNとの誘電体材料全体の10.
0wt% 以下、好ましくは2.0〜5.0wt% に設定す
る。この範囲で特に低温焼成が促進されるからである。
仮焼体粉末と混合するときのPb5 Ge3 11等の焼結
助剤の平均粒径は1.0μm 以下、一般に0.5〜1.
0μm とすることが好ましい。Pb5 Ge3 11の粒径
が大きすぎると焼成温度を上げる必要が生じる。
【0032】また、Mnを含有させる場合には、Mn化
合物を添加する。Mn化合物としては、酸化物、例えば
MnO2 の他、焼成により酸化物になる化合物、例えば
炭酸塩、蓚酸塩等を用いることができる。また、他の構
成成分との複合酸化物、例えば(Pb Ca)(Mn
Nb)O3 、(Pb Ca)(Mn1/3 Nb2/3 )O3
等を用いることができる。これらの場合、平均粒径は
0.5〜1.0μm 程度とする。この他、硫酸塩、硝酸
塩の溶液添加を行うこともでき、Mn化合物の添加量は
Mn換算でPFW分とPCFN分、すなわち、Pb、C
a、W、FeおよびNbの酸化物の全量と焼結助剤との
総計の0.5wt% 以下、特に0.05〜0.3wt% とす
る。なお、Mn化合物の添加時期は焼結助剤と同じであ
る。
【0033】成形後、通常大気中で焼成する。焼成温度
は900〜1100℃、特に900〜1050℃程度と
するが、焼結助剤としてPb5 Ge3 11を用いた場合
には、900〜950℃という低温域で焼成した場合で
も緻密で機械的強度の高い焼結体を得ることができる。
なお、焼成時の温度保持時間は、通常、1〜3時間程度
とすればよい。
【0034】本発明の高周波誘電体材料を共振器に適用
する場合、上記仮焼体粉末に、有機バインダおよび有機
溶媒を含むビヒクルを加えてペースト化し、印刷法やシ
ート法などにより積層し、この誘電体層間にストリップ
線路を形成し、焼成する。内部電極層に用いる導電性材
料としては、安価な低融点金属、例えばAg系等を用い
ることができる。
【0035】本発明の誘電体材料は、共振器の他、バン
ドパスフィルタ、ディプレクサ等にも使用でき、また誘
電体層と内部電極層を交互に積層し、焼成後、外部電極
を設けたチップコンデンサ等にも適用可能である。な
お、高周波としては300MHz〜3GHz の周波数に適用
可能である。
【0036】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0037】出発原料としてPbO、Fe2 3 、WO
3 を所定量秤量し、これを混合、仮焼(表2に示す温度
で、2時間)し、PFWを得、一方、PbO、CaCO
3 、Fe2 3 、Nb2 5 を所定量秤量し、これを混
合、仮焼(表2に示す温度で、2時間)し、PCFNを
得、それぞれボールミルにより湿式粉砕した。
【0038】これらを、下記表1に示す最終組成となる
ように、下記表2に示すように秤量配合し、混合して、
表2に示す温度で2時間仮焼した。この仮焼により、
(Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O3 (以下、
PCWFNと称することがある)を主相とする仮焼物を
得た。
【0039】
【表1】
【0040】次いで、このように仮焼により得られたP
CWFNをボールミルにより湿式粉砕し、平均粒径0.
9μm (レーザー回折式粒度分布計による測定)の仮焼
体粉末とした。
【0041】さらに、焼結助剤としてのPb5 Ge3
11を、所定量の酸化鉛(PbO)と二酸化ゲルマニウム
(GeO2 )を湿式で混合したものを500℃で反応さ
せることにより得た。これをボールミルにより湿式粉砕
した。平均粒径は1.0μmであった。
【0042】次いで、このPb5 Ge3 11を上記仮焼
体粉末の3.0wt%添加し、ボールミルで湿式混合し
た。
【0043】次いで、Pb5 Ge3 11と共に混合した
仮焼体粉末に有機バインダであるポリビニルアルコール
を加えて造粒し、2ton/cm2 の圧力で成形して、直径1
2.5mm、厚さ12mmの円柱状成形体とした。
【0044】得られた成形体を、表2に示す温度で空気
中において2時間焼成した。焼成の際には、成形体およ
び共材として仮焼体粉末を匣鉢に密封し、成形体からの
Pbの蒸発を防いだ。得られた焼結体を直径10mm、厚
さ5mmに加工し、表1に示す実施例の誘電体サンプルN
o. 2〜12、14、17を得た。
【0045】なお、焼結助剤Pb5 Ge3 11を使用し
ないこと、あるいはPb5 Ge311の添加量を6.0
wt% 、10.0wt% としたこと以外は、上記と同様にし
て実施例の誘電体サンプルNo. 1、13、15、16を
得た。
【0046】以上のサンプルのうち、サンプルNo. 12
につき、X線回折により相構成を調べたところ、図1に
示すように、サンプルNo. 12は、ほぼPCWFN単相
からなるものであることが分かった。一方、図2に示さ
れているように、サンプルNo. 2は、PCWFNを主相
として含み、Ca(Fe1/2 Nb1/2 )O3 (CFN)
およびPbとNbとを含有するパイロクロアを異相とし
て含み、サンプルNo.5および6は、PCWFNを主相
として含み、PCFNおよび上記パイロクロアを異相と
して含んでいることが分かった。
【0047】また、比較例として、表1に示したよう
に、本発明の組成範囲から外れた組成で誘電体サンプル
No. 18〜21を作製した。
【0048】これらの誘電体サンプルについて、電気的
特性すなわち誘電率ε、Q・f値、共振周波数f0 、共
振周波数の温度変化率τf を円柱共振法により測定し
た。τf の算出は、−40℃から+80℃まで20℃刻
みで共振周波数を測定し、20℃の値を基準とした。結
果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2に示される結果から本発明の効果が明
らかである。すなわち、本発明を満足する組成と製造方
法により、マイクロ波領域での共振周波数の温度変化率
τfが小さく、誘電率εとQ・f値が大きく低温焼成性
の良い誘電体磁器組成物が得られた。
【0051】また、同一組成で、焼結助剤としてのPb
5 Ge3 11を用いない上記サンプルNo. 1と用いた上
記サンプルNo. 2につき、表3に示すように焼成温度を
変えて焼成を行ない、それぞれにつき密度(g/cm3 )を
測定したところ、表3に示すように、Pb5 Ge3 11
を添加した方が低温焼成性が良好であった。
【0052】
【表3】
【0053】同様に、焼結助剤としてPb5 Ge3 11
を用いない上記サンプルNo. 13と用いた上記サンプル
No. 14、15、16について、焼成温度を変えて焼成
を行い、それぞれにつき密度を測定した。結果を図3に
示す。Pb5 Ge3 11を添加した方が明らかに低温焼
成性が良好であった。
【0054】さらに、PFWとして、Pb(Fe2/3
1/3 )O3 、PCFNとして(Pb0.325 Ca0.675
(Fe1/2 Nb1/2 )O3 を用意し、y(PFW)=
0.21、1−y(PCFN)=0.79にて、、PG
Oを3.0wt% 、MnCO3 を表4に示される量添加し
て、930℃の焼成温度で前記に準じサンプルNo. 31
〜35を作製した。結果を表4に示す。Mn含有による
絶縁抵抗上昇効果があきらかである。
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】以上の本発明による誘電体磁器材料にお
いては、比誘電率εが65以上、Q・fがほぼ1300
(GHz )前後以上、共振周波数の温度変化率τf が絶対
値で50(ppm/℃)前後以下が得られた。さらに、10
00℃以下の低温で焼成が可能であるので、マイクロ波
信号の損失を低減する銀電極との同時焼成が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のサンプルNo. 12のX線回折チャート
である。
【図2】実施例のサンプルNo. 2、5および6のそれぞ
れのX線回折チャートである。
【図3】実施例のサンプルNo. 13、14、15および
16のそれぞれの焼成温度と密度との関係を示すグラフ
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】また、Mnを含有させる場合には、Mn化
合物を添加する。Mn化合物としては、酸化物、例えば
MnOの他、焼成により酸化物になる化合物、例えば
炭酸塩、蓚酸塩等を用いることができる。また、他の構
成成分との複合酸化物、例えば(Pb Ca)(Mn
1/3Nb2/3)O等を用いることができる。これ
らの場合、平均粒径は0.5〜1.0μm程度とする。
この他、硫酸塩、硝酸塩の溶液添加を行うこともでき、
Mn化合物の添加量はMn換算でPFW分とPCFN
分、すなわち、Pb、Ca、W、FeおよびNbの酸化
物の全量と焼結助剤との総計の0.5wt%以下、特に
0.05〜0.3wt%とする。なお、Mn化合物の添
加時期は焼結助剤と同じである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pb、Ca、W、FeおよびNbを酸化
    物の形で含有し、 (Pb1-Z CaZ )(Ws Fet Nbu )O3 (ここで、0.3≦z≦0.9、 s+t+u=1、 0.01≦s≦0.2、 0.5≦t≦0.6、 0.2≦u≦0.49である。)の組成の相を主相とし
    て含有する誘電体磁器材料。
  2. 【請求項2】 前記s、t、uが下記の関係を満足する
    請求項1の誘電体磁器材料。 0.02≦s≦0.1 0.5≦t≦0.55 0.35≦u≦0.48
  3. 【請求項3】 さらに、(Pb1-x Cax )(Fe1/2
    Nb1/2 )O3 (ここで、0.3≦x≦0.91)、C
    a(Fe1/2 Nb1/2 )O3 、Pb3 Nb413のうち
    1種または2種以上を異相として含む請求項1または2
    の誘電体磁器材料。
  4. 【請求項4】 副成分として焼結助剤を含有する請求項
    1〜3のいずれかの誘電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】 前記焼結助剤がPb5 Ge3 11である
    請求項4の誘電体磁器材料。
  6. 【請求項6】 前記焼結助剤の含有量が前記Pb、C
    a、W、FeおよびNbの酸化物の10.0wt%以下で
    ある請求項4または5の誘電体磁器材料。
  7. 【請求項7】 さらに、Mnを含有する請求項1〜6の
    いずれかの誘電体磁器材料。
  8. 【請求項8】 Mn含有量がMn換算で前記Pb、C
    a、W、FeおよびNbの酸化物の0.5wt% 以下であ
    る請求項7の誘電体磁器材料。
  9. 【請求項9】 Pb(Fe2/3 1/3 )O3 を主成分と
    する第1の磁器材料と、(Pb1-X CaX )(Fe1/2
    Nb1/2 )O3 (ここで、0.3≦x≦0.91)を主
    成分とする第2の磁器材料とをまず作製し、 これらを混合、仮焼、本焼成する誘電体磁器材料の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記第1および第2の磁器材料を、 y〔Pb(Fe2/3 1/3 )O3 〕− (1−y)〔(Pb1-x Cax )(Fe1/2 Nb1/2 )O3 〕、 と表したとき、x、yがモル分率で、 0.3≦x≦0.91 0.01≦y≦0.7 となるように混合する請求項9の誘電体磁器材料の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 0.05≦y≦0.4である請求項1
    0の誘電体磁器材料の製造方法。
  12. 【請求項12】 焼成温度が1100℃以下である請求
    項9〜11のいずれかの誘電体磁器材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 本焼成前に、焼結助剤を添加する請求
    項9〜12のいずれかの誘電体磁器材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記焼結助剤がPb5 Ge3 11であ
    る請求項13の誘電体磁器材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記焼結助剤の添加量が、前記第1お
    よび第2の磁器材料の10.0wt%以下である請求項1
    3または14の誘電体磁器材料の製造方法。
  16. 【請求項16】 本焼成前にMn化合物を添加する請求
    項9〜15のいずれかの誘電体磁器材料の製造方法。
  17. 【請求項17】 Mn化合物の添加量が、Mn換算で前
    記第1および第2の磁器材料の0.5wt% 以下である請
    求項16の誘電体磁器材料の製造方法。
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