JPH0713920Y2 - 油圧プレスのスライドレベリング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、樹脂材やFRP材の油圧プレスのスライドレベ
リング装置に関し、特に実用上支障のない精度で、安価
に樹脂材やFRP材をプレス成形できる油圧プレスのスラ
イドレベリング装置に関する。

従来の技術 従来、油圧プレス装置のスライドを水平に保持し金型の
平衡を保って樹脂材をプレス成形するのに、ベッド部や
金型装置部の４隅部に油圧支持シリンダーをそれぞれ設
置し、この４本の油圧支持シリンダーを連通管で連通し
て油圧支持シリンダーの支持を同調することが知られて
いる。

しかし、上記の従来の方法では、概略的にスライドを水
平に保持して支持できるものの、精度よくスライドを平
衡に支持制御することができず、また精度よくスライド
の速度同調制御や位置同調制御ができないもので、金型
へ成形材料が不均一に供給されると成形材料を金型キャ
ビティに均一状に流動して充填することは困難で、精度
のよい樹脂製品やFRP製品を成形することができないも
のであった。

考案が解決しようとする課題 そのため、出願人は、ベッド部にサーボ制御で高精度に
同調できる平衡支持装置を配設した油圧プレス装置を開
発し、実用に供している。

本装置によれば、スライドを平衡支持装置で高精度に平
衡に支持できて成形樹脂材料を金型キャビティに均一状
に流動充填でき、高精度の成形品を得ることができてい
る。しかし、装置が高価となるもので、成形品の用途に
よっては精度として実用上問題ない程度で、コストダウ
ン上から安価な油圧プレス装置を要望されることもあっ
た。

課題を解決するための手段 本考案は上記のような点に鑑みたもので、プレス装置の
ベッドの４隅部に垂設したスライドを平衡に支持するた
めの油圧支持シリンダーに、筒内部をピストンで４等分
してそれぞれの油圧支持シリンダーに同一の油量を分配
して同調制御する同調油圧シリンダーを配管接続すると
ともに、上記同調油圧シリンダーの同調作動用ピストン
ロッドに油圧サーボ制御のサーボ駆動装置を接続し、上
記同調作動用ピストンロッドの位置を検出可能に位置検
出器を同調油圧シリンダーに配設するとともに、上記油
圧支持シリンダーの支持力を検出可能に支持圧力検出器
を上記油圧サーボ制御のサーボ駆動装置部に配設し、成
形開始時に上記油圧支持シリンダーの支持ロッドを上限
位置に上昇するとともに油圧支持シリンダーおよび同調
油圧シリンダーの油もれを補給するための油圧補給回路
を油圧支持シリンダーの供給回路に接続したことを特徴
とする油圧プレスのスライドレベリング装置を提供する
にある。

作用 本考案によれば、油圧プレスのスライド平衡支持用の油
圧支持シリンダーに接続の筒内部を等区分した同調油圧
シリンダーを介して４本の油圧支持シリンダーに同一の
油量を分配でき、油圧支持シリンダーを実用上問題のな
い程度の精度で同調制御することができる。

また、上記の同調油圧シリンダーのピストン作動用の同
調作動用ピストンロッドに接続のサーボ駆動装置を駆動
することによって、上記１個所の位置検出器のピストン
ロッドの位置を検出することによって、４本の油圧支持
シリンダーの位置を同時に制御することができるととも
に、１個所の支持圧力検出器で４本の油圧支持シリンダ
ーの支持力の合計を検出できて、その支持力の合計と基
準設定力とを比較して加圧シリンダーを制御することが
できる さらに、成形開始時に油圧補給回路から油圧油を補給し
て油圧支持シリンダーを上限位置に上昇させることによ
って、４本の油圧支持シリンダーの原点調整が行え、ま
たこのとき油圧油の供給によって油圧支持シリンダーや
同調油圧シリンダーの油もれによる同調不良となる原因
を排除できる。

実施例 以下、本考案を実施例にもとづいて説明する。

第１図、第２図は、本考案の一実施例である。プレス装
置１は油圧プレスのもので、第１図のように上部の上フ
レーム２に所要の加圧シリンダー３を配設し、油圧サー
ボポンプ（図示せず）を介してスライド４を下部のベッ
ド５側へ摺動自在に配設している。下部のベッド５の４
隅部には、図のように両側ロッド突き出し型の油圧支持
シリンダー６をそれぞれ垂設しており、この油圧支持シ
リンダー６に内部を等間隔に４つに仕切ってピストン７
を介して油量を等分配する同調油圧シリンダー８を油圧
供給管９を等長として配管接続し、４本の油圧支持シリ
ンダー６を同調して所要のストロークにわたって平行に
昇降できるようにしている。同調油圧シリンダー８の実
効面積は等分配する油圧支持シリンダー６の実効面積と
同一とし、位置制御や速度制御を行いやすくしている。

また、上記同調油圧シリンダー８のピストン作動用の同
調作動用ピストンロッド10は、図のように側端から所定
量側方へ突き出しており、この突き出した同調作動用ピ
ストンロッド10に油圧サーボシリンダーのサーボ駆動装
置11を一体的に接続し、油圧サーボバルブ12を介してサ
ーボ駆動装置11を駆動して同調油圧シリンダー８のピス
トン７の速度制御、位置制御を行ってスライド支持の４
本の油圧支持シリンダー６の速度制御、位置制御を行え
るようにしている。13は、上記サーボ制御用のリニアス
ケールのようなピストンロッドの位置検出器である。ま
た、上記油圧サーボシリンダーのサーボ駆動装置11のピ
ストン接続側にはロードセルのような支持圧力検出器14
を接続し、４本の油圧支持シリンダー６の支持力の合計
を１個で検出できて加圧シリンダー３の速度制御を行え
るようにしている。

さらに、同調油圧シリンダー８から油圧支持シリンダー
６に接続の油圧供給管９には、第１図のように逆止弁15
を介して油圧補給管16を接続している。そして、第２図
のように成形開始時に、この油圧補給管16を介して油圧
補給回路17から所定の圧力の圧力油を供給し、油圧支持
シリンダー６の支持ロッド18をそれぞれ上限位置に上昇
して原点調整を行えるようにしているとともに、油圧支
持シリンダー６および同調油圧シリンダー８に油圧油を
補充するようにして油もれによる誤差が生じないように
している。

なお、油圧支持シリンダー６の原点調整、油圧油の補給
は毎回行うことなく、定期的や必要に応じて行ってもよ
いものである。

しかして、スライド下面、ベッド上面に取着の成形しよ
うとする金型装置19に合わせて油圧支持シリンダー６の
支持ロッド18の上端部に所定の厚さのスペーサー20を取
着し、油圧補給回路17から油圧支持シリンダー６に油圧
油を供給し、支持ロッド18を作動して上限に上昇させ、
スライド４を下降して金型装置19を閉塞し、所要の樹脂
材を注入して金型キャビティ21に流動してプレス成形を
開始するものである。

その際、スライド４の閉塞時の加圧力に対して油圧補給
回路17から油圧支持シリンダー６に十分な圧力で供給す
ると、油圧支持シリンダー６がスライド４のストッパー
の役目となって、従来生じていた材料供給時にスライド
が浮き上がるのを防止することができるものである。特
に、図示のように金型装置19に成形材料の注入孔22が多
数偏在している場合にスライドが偏きやすいのを防止で
きて好ましい。

プレス成形にあたっては、予め計測の樹脂材の変形抵抗
にもとづいて設定したプレスプログラムにしたがってス
ライド４を下降し、サーボ駆動装置11を駆動して油圧支
持シリンダー６を下降制御して樹脂材を金型キャビティ
21に均一状に流動充填してプレス成形していくものであ
る。油圧支持シリンダー６には同調油圧シリンダー８を
介して油圧油が等分配されるので、４本の油圧支持シリ
ンダー６が実用上問題のない精度で同調して下降し、ス
ライド４を平衡に支持できるものである。特に、従来の
高精度の平衡支持装置のように４本の油圧支持シリンダ
ーをそれぞれ油圧サーボ装置で同調制御することなく、
１個の同調油圧シリンダーのピストンの駆動制御でもっ
て４本の油圧支持シリンダーを精度よく制御できるの
で、装置を経済的に製造でき、かつ制御が容易で好まし
いものである。また、４本の油圧支持シリンダーの支持
力の検出についても、１個のサーボ駆動装置部で支持力
を検出することができ、プレスプログラムに基づいて設
定の基準設定力と検出した支持力とを比較してスライド
を油圧支持シリンダーに離れることなく追従できるよう
に加圧シリンダーの加圧速度を速めたり、遅くしたり簡
単に制御できてプレス成形できるものである。

上記実施例では、樹脂材のプレス成形について説明した
が、FRP等の流動性材料についても同様に適用できる。

また、本考案は上記のようになインジェクション成形の
ように材料注入のプレス成形に限ることなく、シート状
の樹脂材、FRP材のプレス成形についても同様に適用で
きるものである。

考案の効果 以上のように本考案にあっては、１個の同調油圧シリン
ダーで４本の油圧支持シリンダーに同一油量を分配制御
でき、油圧支持シリンダーを実用上問題のない精度で同
調制御することができるとともに、同調作動用ピストン
ロッドに接続したサーボ駆動装置の１軸制御で４本の油
圧支持シリンダーの位置制御と速度制御の４軸制御がで
き、装置を安価に、かつ制御を容易に行えるものであ
る。そして、上記１個所の位置検出器のピストンロッド
の位置を検出することによって、４本の油圧支持シリン
ダーの位置を同時に制御することができるとともに、１
個所の支持圧力検出器で４本の油圧支持シリンダーの支
持力の合計を検出できて、その支持力の合計と基準設定
力とを比較して加圧シリンダーを制御することができ
る。

またさらに、成形開始時に油圧支持シリンダーの支持ロ
ッドを上限位置に上昇して原点調整できるとともに、油
圧補給回路から油圧油を補給できるので、油圧支持シリ
ンダーおよび同調油圧シリンダーの油もれによる誤差を
防止でき、スライドの支持精度を保持できて常に精度よ
くプレス成形できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の概要図、第２図は同上の加
圧シリンダー、油圧支持シリンダーの行程線図である。 １……プレス装置、３……加圧シリンダー、４……スラ
イド、５……ベッド、６……油圧支持シリンダー、８…
…同調油圧シリンダー、10……同調作動用ピストンロッ
ド、11……サーボ駆動装置、17……油圧補給回路、18…
…支持ロッド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プレス装置のベッドの４隅部に垂設したス
   ライドを平衡に支持するための油圧支持シリンダーに、
   筒内部をピストンで４等分してそれぞれの油圧支持シリ
   ンダーに同一の油量を分配して同調制御する同調油圧シ
   リンダーを配管接続するとともに、上記同調油圧シリン
   ダーの同調作動用ピストンロッドに油圧サーボ制御のサ
   ーボ駆動装置を接続し、 上記同調作動用ピストンロッドの位置を検出可能に位置
   検出器を同調油圧シリンダーに配設するとともに、上記
   油圧支持シリンダーの支持力を検出可能に支持圧力検出
   器を上記油圧サーボ制御のサーボ駆動装置部に配設し、 成形開始時に上記油圧支持シリンダーの支持ロッドを上
   限位置に上昇するとともに油圧支持シリンダーおよび同
   調油圧シリンダーの油もれを補給するための油圧補給回
   路を油圧支持シリンダーの供給回路に接続したことを特
   徴とする油圧プレスのスライドレベリング装置。