JPH071367Y2 - 建築物の気密蓄断熱構造 - Google Patents

建築物の気密蓄断熱構造

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JPH071367Y2
JPH071367Y2 JP1988088135U JP8813588U JPH071367Y2 JP H071367 Y2 JPH071367 Y2 JP H071367Y2 JP 1988088135 U JP1988088135 U JP 1988088135U JP 8813588 U JP8813588 U JP 8813588U JP H071367 Y2 JPH071367 Y2 JP H071367Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、建築物の気密蓄断熱構造に関する。
考案の技術的背景ならびにその問題点 近年、住宅の気密化、断熱化及び冷暖房化が進むにつれ
て、住宅の壁内における結露の発生が大きな問題となっ
ている。そこで、この結露の発生を防止する手段とし
て、壁内に通気層を設けた技術が知られている。
雑誌「建築技術」No.401,1985年1月号,株式会社建築
技術発行、第115〜127ページには、住宅等の建築物の内
部結露を防ぐための技術が述べられている。そして、こ
の文献の第123〜127ページに、通気構法と空気循環構法
とが紹介されている。通気構法にあっては、壁の外装材
側に空間を設け、この空間を上下に通気させ、水蒸気を
屋外に放出させようとしている。具体的には、壁の室内
側を断熱層とし、室外側を通気層とすることが提案され
ており、断熱材の通気側の面には失熱防止のための防風
層を設けることが必要とされている。
この通気構法では次のような問題点が指摘されている。
通気構法における空気移動のエネルギー源には、風力と
太陽熱とがある。2階建住宅においては通気抵抗が相当
大きくなるため、風力換気はあまり期待できず、もっぱ
ら温度差換気、それも日射側の換気しか期待できない。
従って、非日射側では思ったような効果が生じ難い。ま
た、外気を直接壁から導入する場合、壁の取入口付近の
温度が低下するため、この部分に結露が発生する虞があ
る。また、日中には屋根裏内に多くの蒸気が存在するこ
とがわかっている。従って、屋根裏に面する非日射側の
壁の木材は、乾燥することがない。
そこで、上述の通気構法の有する問題点を解決するため
に、空気循環構法が提案されている。空気循環構法は、
冬には、壁面、屋根面で、太陽熱を吸収し、その熱で住
宅の躯体内の空気を循環させて、その結果屋根裏にある
暖かい空気を北壁、床下面等の冷えた部位に回すことに
よって、熱を室内に供給し、温度を高めようとするシス
テムである。また、夏には、壁面及び屋根面に吸収され
た日射熱を通気によって排熱するシステムになる。この
空気循環構法は、住宅内の結露を防止すると共に、自然
のエネルギーによる冷暖房効果を得ることができる。
第10図は従来の空気循環構法の第1の例を示す部分垂直
断面図であって、同図において、壁内の通気層80は、床
下空間82及び小屋裏空間84と連通しており、さらに1階
86と2階88の間の通気層90とも連通している。壁の外装
材92および屋根材94には、多くのポケット部材96が設け
られており、このポケット部材96は上方では開口して下
方で閉じている。したがって、ポケット部材96内に暖め
られた空気は開口部を通過して上昇するが、ポケット部
材96内で冷えた空気はポケット部材96内にとどまるよう
にされている。この従来例は、冬の寒冷地では外装材92
及び屋根部材94に照射する太陽熱を部屋の暖房に有効に
利用できる。しかし、夏には、太陽熱によって暖められ
たポケット部材96内の暖気が通気層80に入り、内装材10
6の温度が上昇して室内に熱が放出されることになるの
で、この空気循環構法は夏の温暖地には適さない。
そこで、このような欠点を改善した空気循環構法の第2
の例として、第11図(a)、(b)に示すように、壁を
構成する外装材92と内装材106との間に内外二重の通気
層98,100が形成された壁構造が提案されている。すなわ
ち、室外側の通気層98と室内側の通気層100とは、板状
の断熱材102によって仕切られた壁構造になっている。
このように住宅等の建築物の壁内部を断熱材102によっ
て仕切り、二重の通気層98,100を形成することにより、
日射や温度等の外気条件の影響をいったん室外側の通気
層98のみに伝達した後に、各通気層98,100内の空気を循
環させ、小屋裏空間84もしくは床下空間82で混合させる
ようにしているので、壁表面もしくは壁内の湿気を有効
に取り除き、各室12内を均一に夏は涼しく冬は暖かくす
ることが理論的には可能である。
しかし、このような二重の通気層98,100を有する空気循
環構法でも、外側通気層98と内側通気層100とが床下空
間82および小屋裏空間84で互いに連通しているので、夏
の日中に外側通気層98と屋根材94の内側で暖められた暖
気の一部が第11図(a)に示す如く小屋裏空間84を通っ
て内側通気層100に流れたり、冬の夜間に外側通気層98
と屋根材94内側で冷却された寒気が第11図(b)に示す
如く床下空間82及び小屋裏空間84を通って内側通気層10
0に流れる。したがって、各部屋104の内装材106が夏の
日中には暖められ、冬夜間は冷やされることになり、断
熱保温性能の面で十分でなかった。
また、こうした建築物においては、居住空間から相当の
熱エネルギーが生じており、この居住空間から発生する
内部熱エネルギーは、有効に利用されることなく、排出
されていた。この居住空間から発生する内部熱エネルギ
ーを有効に蓄え、必要な時に取り出すことができれば、
建築物の熱効率は向上する。しかしながら、従来の空気
循環方法では、太陽熱等の外部熱エネルギーを有効利用
しようとすることが主眼点に置かれていたため、外部エ
ネルギーを取り入れる際に居住空間で発生した内部熱エ
ネルギーが建築物外に放出されており、内部熱エネルギ
ーの有効利用は図られていない。
本考案者は、こうした内部熱エネルギーを有効に利用す
るためには、この内部エネルギーを有効に蓄熱するため
の新たな手段が必要であると共に、過剰に蓄熱された熱
エネルギーを放出させるための新たな手段が必要である
との知見を得て本考案に到達した。
考案の目的 本考案の目的は、上述した問題点を有効に解決すべく創
案するに至ったものであって、空気循環構法および通気
構造の利点を生かしつつ、その断熱保温性能を向上させ
ると共に、内部熱エネルギーを有効に利用するための建
築物の構造を提供することにあり、内側通気層を、外側
通気層を貫通した部分を設ける事等により、建物内の室
内の環境をよりよく制御することによって、好ましい室
内温熱環境を形成することにある。
考案の概要 上述した目的を達成するために、本考案の第1の建築物
の気密蓄断熱構造は、外壁材および屋根材の室内側に、
断熱材により区分された外側通気層と内側通気層とを有
する建築物の気密蓄断熱構造であって、 該2つの通気層を流通する空気は壁体部分を含む建築物
内では実質的に流通せず、かつこの内側通気層を流通す
る空気は、該断熱材により建築物の屋根材と断熱区画さ
れた屋根裏空間で常時連通すると共に、外側で断熱され
た外周り基礎に囲まれた基礎部分に打設されたべた基礎
と、外回り基礎の内部に該外回り基礎とは不連続に該べ
た基礎上に立設された基礎体とを有する床下空間で該べ
た基礎と接触しながら常時流通し、 そして、該内側通気層と外気とを直接連結する連結路
が、前記外側通気層を貫通して設けられていることを特
徴としている。
また、本考案の第2の建築物の気密蓄断熱構造は、外壁
材および屋根材の室内側に、断熱材により区分された外
側通気層と内側通気層とを有する建築物の気密蓄断熱構
造であって、 該2つの通気層を流通する空気は壁体部分を含む建築物
内では実質的に流通せず、かつこの内側通気層を流通す
る空気は、該断熱材により建築物の屋根材と断熱区画さ
れた屋根裏空間で常時連通すると共に、外側で断熱され
た外周り基礎に囲まれた基礎部分に打設されたべた基礎
と、外回り基礎の内部に該外回り基礎とは不連続に該べ
た基礎上に立設された基礎体とを有する床下空間で該べ
た基礎と接触しながら常時流通し、 そして、前記床下空間と外気とが、地中に配設された連
通パイプを通して連通されることを特徴としている。
さらに、本考案の第3の建築物の気密蓄断熱構造は、外
壁材および屋根材の室内側に、断熱材により区分された
外側通気層と内側通気層とを有する建築物の気密蓄断熱
構造であって、 該2つの通気層を流通する空気は壁体部分を含む建築物
内では実質的に流通せず、かつこの内側通気層を流通す
る空気は、該断熱材により建築物の屋根材と断熱区画さ
れた屋根裏空間で常時連通すると共に、外側で断熱され
た外周り基礎に囲まれた基礎部分に打設されたべた基礎
と、外周り基礎の内部に該外周り基礎とは不連続に該べ
た基礎上に立設された基礎体とを有する床下空間で該べ
た基礎と接触しながら常時流通し、 そして、前記外側通気層を貫通して、内側通気層と外気
に接する熱交換部内とを連通する連通路を有することを
特徴としている。
上述の如く構成することにより、外側通気層と内側通気
層は、断熱材によって完全に遮断されて相互対流がなく
なるとともに熱移動も抑制されるので、各部屋の断熱保
温性が各段に向上する。しかも外側通気層が外壁材およ
び屋根材の内側にくまなく行渡り、また内側通気層が各
部屋周囲をくまなく取りかこむ構成となっているので、
壁、屋根もしくは床下に結露が生じるのを有効に防止で
きる。また、居住空間で生成した内部熱エネルギーは、
内側通気層を循環して床下空間に導入され、この床下の
コンクリートで形成された基礎に蓄熱される。そして、
本考案では、柱状に形成されているために対流空気の流
通を妨げられることがない。
さらに、内側通気層を外側通気層と独立して温度制御可
能なため、たとえば、内側通気層を、土中の冷温を利用
するためのクール・チューブ等と接続したり、内側通気
層の上方部を外気と連通することにより、夏季におい
て、床下冷気を内側通気層に通して各部屋の均一な自然
冷房を図ることができる。また、内側通気層を太陽熱と
の熱交換機能を有する熱交換部と連通路を通して連通す
ることにより、冬季において太陽熱で暖められた空気を
内側通気層に導入して各部屋周辺を均一な自然暖房でコ
ントロールすることが出来る。
考案の具体的説明 以下、本考案を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明
する。
第1図は本考案の一実施例に係る建築物の断熱構造の概
略断面図、第2図は同実施例に係る棟下換気口付近を示
す要部断面図、第3図は同実施例に係る基礎構造の平面
図、第4図は第3図に示すV−V線に沿う断面図であ
る。
第1図に示すように、本実施例に係る建築物2では、建
築物の外壁材4aおよび屋根材4bに室内側に、外側通気層
6と内側通気層7とが相互に連通しないように、しかも
当該内側通気層7が屋根裏空間20および床下空間16と常
時連通するように、断熱材8が面方向に張り巡らされて
気密構造を形成している。外壁材4aとしては、モルタル
壁、サイディング壁、コンクリート壁等が例示される
が、その他の壁材であっても良い。また、屋根材4bとし
ては、かわら屋根材、スレート屋根材、金属板平ぶき屋
根材等が例示されるが、その他の屋根材であっても良
い。
断熱材8としては、合成樹脂発泡断熱板が好ましく、ポ
リスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹
脂を発泡させて得られた独立微細構造の発泡板が好まし
い。なかでも高度の剛性と断熱性および透湿抵抗の高い
ポリスチレンの押出し発泡板を用いるのが効果的であ
る。しかしながら、断熱材8としては、上記した合成樹
脂発泡板に限らず、グラスウール、ロックウール等を板
状に形成させた繊維系のものも使用できる。但し、この
様な繊維系断熱材を使用する場合は原則として断熱材の
室内側へ密着させて防湿層を併用しないと結露が発生し
やすくなる。
このような断熱材8は、建築物2における各部屋10を包
括的に囲繞するように、しかも外側通気層6と内側通気
層7とが相互に連通しないように張設される。断熱材8
は、第1図に示すように一層だけ張設するようにしても
良いが、二層以上積層されるように張設しても良い。
このような断熱材8の室外側に形成される外側通気層6
は、壁および屋根内側を隈なく行き渡っており、その下
端部もしくは上端部の少なくともいずれか一方が外気に
開放している。第1図に示す実施例では、外側通気層6
の下端部に形成された通孔6aおよび上端部に形成された
棟換気口6bを通して、外側通気層6は外気に常時開放さ
れている。
また、内側通気層7は、各部屋10の周囲を隈なく行き渡
っており、断熱材で外側通気層とは区画された床下空間
16および屋根裏空間20とも連通して実質的な気密空間を
形成している。各部屋10間の内側通気層7aは間仕切り間
に形成される。在来の木造建築物構造にあっては、間仕
切り間に必然的に隙間が形成され、その隙間が床下空間
16と連通し、内側通気層7aが自然に形成される場合もあ
る。なお、ツーバイフォーによる建築物にあっては、間
仕切り間に形成される隙間がそのままでは床下空間と連
通しないことから、その部分の床に孔を開ける等して間
仕切り間に積極的に内側通気層7aを形成する必要があ
る。
本実施例では、建築物2の土台下部に、床下換気口12が
形成してある。床下換気口12は、室外側空間と床下空間
16とを適宜連通するためのものである。
床下換気口12には、第2図に示すように、床下開閉ダン
パ24が回動自在に装着してある。床下開閉ダンパ24は、
板状の断熱材で構成されるのが好ましい。この床下開閉
ダンパ24は断熱性として貫通流率(k)がk=2.5kcal/
m2h℃以下、気密性能がJIS A 1516建具の気密性試験方
法の気密性等級に記載される2等級以下が好ましい。こ
れらの性能は寒冷地で使用されている2層ガラス入り塩
ビ枠サッシ(断熱サッシ)、例えばエクセルウインド
(鐘淵化学工業(株)製)と同程度の性能であり、換気
口が閉ざされた状況では、断熱サッシ同様、断熱気密上
の問題が発生することがなくなるからである。この様な
性能を有する床下開閉ダンパ24としては、第2図に示す
様に、枠、框を塩ビ製とし、本体部分に断熱材をサッド
イッチとしたパネルを使用し、開閉部には気密材を用い
ることで製作することが出来る。
床下開閉ダンパ24を遠隔操作により開閉するために、こ
のダンパ24には開閉駆動手段としてのワイヤーやモータ
等を連結するようにしても良い。
床下換気口12の室外側には、網状体26を張設することが
好ましい。網状体26は、虫や小動物等が床下空間16に入
り込まないようにするためのものであり、網戸等に用い
られる網状等が用いられ、取り外し自在とすることが好
ましい。
このような本実施例に係る建築物2における床下空間16
を構成するための基礎構造は、次に示す構造を有してい
ることが好ましい。
第3,4図に示すように、本実施例に係る基礎構造は、地
盤上に面方向に伸延するようにコンクリートが打設され
て形成されたべた基礎体30と、 このべた基礎体30の周囲にコンクリート打設によって、
一体に形成された断面L字形状の外周り基礎体31と、 この外周り基礎体31の内側に、外周り基礎とは不連続に
所定間隔でべた基礎上に立設され、前記べた基礎体30と
コンクリート打設によって一体に形成された柱状体32と
から成っている。
このような基礎構造を構築する場合には、まず根切りを
行ない、割栗石33を施工する。その後、割栗石33には目
つぶし砂利をかけて、割栗石33上に防湿層を形成する。
その後、線状補強体としての鉄筋34を配設する。特に柱
状体32が立設されるべた基礎30内部には、縦横方向以外
に、斜め方向にも伸延するダイヤ鉄筋を配置して補強す
るのが強度上好ましい。
次に、べた基礎体30を、コンクリート打設により形成す
る。その際に、柱状体32が立設される部位のべた基礎体
30の肉厚は、周囲の部分よりも厚肉にすることが強度上
好ましい。また、べた基礎体30の表面は、ハケ引き仕上
等の手段で粗面化処理することが好ましい。このよう
に、べた基礎体30の表面を粗面にすることによって、熱
交換面積を増大させ、コンクリートから成るべた基礎体
30に、蓄熱ないし放熱作用を有効に発揮させることがで
きる。すなわち、本実施例に係る基礎構造上に本考案に
係る断熱構造の建築物2を建てた場合には、床下空間を
利用して、冬には太陽熱と地中熱を有効に暖房等に利用
でき、夏には夜間冷気と床下冷気とを有効に冷房等に利
用することが可能になる。
次に、外周り基礎体31および柱状体32を、コンクリート
打設によって、べた基礎体30と一体に形成する。外周り
基礎体31を形成するために用いた型枠は取り除かれる
が、柱状体32を形成するために用いた形枠としての筒体
は必ずしも取り除く必要はない。例えば合成樹脂等から
成る筒体を型枠として用いた場合には、形枠を取り除か
なくとも、美感上ないし機能上何ら問題がないからであ
る。
このようにして構築された基礎構造上に建築物2の土台
を形成するには、柱状体32および外周り基礎体31の頂部
に梁36及び土台37を橋絡すれば良い。その際に、各柱状
体32間には、必要に応じて束石38を短距離で立設し、梁
36を受けるようにすれば良い。束石は、木材ないし石材
で構成されるが、その下端がコンクリート面であるべた
基礎体30によって支持されるのだ、梁36に支持される床
板に床鳴り等を生じさせることもない。
本考案では、上述したような建築物2において、第1図
に示すように、外側通気層6を貫通して、内側通気層7
と外気とを連通する連通路40が建築物2の上方に形成し
てある。この連通路40内には、送風ファン42や開閉ダン
パ等を必要に応じて装着してあり、内側通気層7内の空
気を適宜外気へ排出することができるようになってい
る。
以上のように構成された建築物では、夏季において太陽
熱や外気によって外壁材4aもしくは屋根材4bが加熱され
ると外側通気層6の空気が熱せられて上昇する。しか
し、断熱材8によって内側通気層7と外側通気層6とは
隔絶されているので、高温空気が内側通気層7内に侵入
することがなく、また断熱材8によって熱伝達も抑制さ
れる。このため、外側通気層6で熱せられた高温空気は
内側通気層7にほとんど影響を及ぼすことなく、換気口
6bから外部へ排出される。したがって各部屋10の冷房費
が節約できる。
なお、通孔6aからは比較的低い温度の外気が外側通気層
6内に導入されるので、外側通気層6内の空気温度は外
壁材4aの温度よりも低くなり、したがって、断熱材8を
外壁材4aの裏側に直接配設する場合に比べると、内側通
気層7に伝達する熱量も低減できる。
しかも、本考案は、床下開閉ダンパ24を開くと共に、連
通路40によって内側通気層7を外気と連通させることに
より、内側通気層7の通風性を向上させ、床下空間16内
の比較的冷たい空気を各部屋周囲に循環させ、この点で
も室内の冷房効率を高めることが可能になる。
次に、上述した建築物2は、冬季においては、床下開閉
ダンパ24を閉じると共に、連通路40を閉じておくことに
より、十分な保温性を維持できる。すなわち、床下換気
口24および連通路40を閉じることにより、各部屋10は、
外側通気層6、断熱材8および内側通気層7等により、
2重、3重に囲繞され、断熱性が十分に保持されるから
である。
なお、本考案は、上述した実施例に限定されるものでは
なく、本考案の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば第5図に示すように、床下換気口を設ける代り
に、床下空間16と外気とを、地中に配設された連通パイ
プ44を通して連通させるようにしても良い。この連通パ
イプ44は、クールチューブと称され、土中の冷温もしく
は暖温を有効に利用するものである。この連通パイプ44
の一端44aは床下空間16に開口し、他端44bは外気に開口
するようになっている。両端44a,44b共に、下方を向い
ていることが好ましい。水等が侵入するのを防止するた
めである。このような連通パイプ44から成るクールチュ
ーブを利用すれば、土中の冷温もしくは暖温を有効に利
用しつつ、内側通気層7内の換気を図れるのでさらに都
合が良い。
また、本考案によれば、第6図に示すように、建築物2
の上方に、第1図のような連通路40を設ける代りに、棟
下換気口14を設け、内側通気層7と外気とを、外側通気
層6および棟換気口6bを介して連通するようにしても良
い。
棟下換気口14には、第7図に示すように、棟下開閉ダン
パ28が回動自在に装着してある。棟下開閉ダンパ28は、
前述した床下開閉ダンパ24と同様な断熱性、気密性を有
するパネルで構成されることが好ましい。
棟下開閉ダンパ28を遠隔操作により開閉するために、こ
のダンパ28には開閉駆動手段としてのワイヤーやモータ
等を連結するようにしても良い。
棟下換気口14の室外側には、網状体26を張設することが
好ましい。網状体26は、虫や小動物等が屋根裏空間20に
入り込まないようにするためのものであり、網戸等に用
いられる網体等が用いられ、取り外し自在とすることが
好ましい。なお、第9図に示す実施例では、屋根外被材
4bの頂部に設けた棟換気口6bを開閉自在とするように、
この換気口6bにも開閉ダンパ29を設けてある。この開閉
ダンパ29は、棟下開閉ダンパ28とワイヤーやリンク等で
連動するようにしても良いが、独立して開閉動できるよ
うにしても良い。
このような実施例にあっても、本考案の所期の目的は達
せられる。
さらに、本考案によれば、第8図に示すように、南側の
外壁材4aの外側に太陽熱を集める熱交換部50を配設し、
この熱交換部50の上下両端部を第1連通路52及び第2連
通路54によって内側通気層7と連通するようにしても良
い。この熱交換部50は屋根材4bの上に配設しても良い。
本考案は本質的には内側通気層内にある居住空間で生ず
る内部熱エネルギーを利用するものであるが、このよう
な実施例によれば、冬季ないし寒冷地において、太陽熱
を利用して自然暖房し、暖房費の大幅削減ないし不要化
を図ることが可能になる。すなわち、熱交換部50で暖め
られた空気は、第1連通路52を通って内側通気層7に導
入され、内側通気層7内を自然対流しながら各部屋10の
内装材を暖めるので、各部屋の温度が上昇する。なお、
天気が悪いときや夜間は内側通気層7の熱が熱交換部50
から逃げないように、第1連通路52、第2連通路54に蓋
をしておくことが好ましい。
考案の効果 以上説明してきたように、本考案によれば、内部通気層
内にある居住空間で発生した内部熱エネルギーを有効に
利用することができる。即ち、建築物の壁および屋根内
に相互に連通しない内外二重の通気層を形成しているの
で、両通気層の空気の対流を防止できるとともにこれら
通気層が断熱作用をなし、加えて両通気層が断熱材で隔
絶されているので外壁材と内壁材との間の熱伝達を大幅
に低減でき、これにより厳しい外部環境を緩和した、い
わゆる二次環境を各部屋の周囲に形成できて、断熱、保
温性および通気性に優れた建築物を実現できる。また外
側通気層と内側通気層はそれぞれ建築物の壁および屋根
の裏側にくまなく行渡り、特に内側通気層は屋根裏空間
および床下空間にも連通している構成であるから、上記
断熱作用と相埃って壁材、屋根材、もしくは土台等に結
露が生ずるのを有効に防止でき、建築物の耐久性を向上
させることができる。
さらに、床下空間にある基礎構造を例えば柱状にしてい
るため、床下空間を流通する空気の流れが均一になり、
べた基礎全体を蓄熱体として有効に利用することができ
る。また、べた基礎の温度格差がなくなるのでべた基礎
上での結露を有効に防止できる。
また、いわゆるクールチューブを用いた本考案によれ
ば、土台の冷熱ないし温熱を有効に利用しつつ、内側通
気層内の換気も行なえるので、さらに都合が良い。
さらに、太陽熱との熱交換をなす熱交換部を内側通気層
に適宜連通できるようにした本考案によれば、太陽熱で
内側通気層を暖めることができ、上述した保温性と相埃
って効果的自然暖房を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例に係る建築物の断熱構造の概
略断面図、第2図は同実施例に係る棟下換気口付近を示
す要部断面図、第3図は同実施例に係る基礎構造の平面
図、第4図は第3図に示すV−V線に沿う断面図、第5,
6図はそれぞれ本考案の他の実施例に係る建築物の概略
断面図、第7図は第6図に示す実施例の要部断面図、第
8図は本考案のさらにその他の実施例に係る建築物の概
略断面図、第9図は同実施例の要部断面図、第10図は空
気循環構法に係る従来の建築物の壁の断面図、第11図
(a)、(b)は二層式空気循環構法に係る従来の建築
物の概略断面図である。 2,2a…建築物、4a…外壁材 4b…屋根材、6…外側通気層 8…断熱材、12…床下換気口 14…棟下換気口、24…床下開閉ダンパ 28…棟下開閉ダンパ、40…連通路 44…連通パイプ、50…熱交換部

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】外壁材および屋根材の室内側に、断熱材に
    より区分された外側通気層と内側通気層とを有する建築
    物の気密蓄断熱構造であって、 該2つの通気層を流通する空気は壁体部分を含む建築物
    内では実質的に流通せず、かつこの内側通気層を流通す
    る空気は、該断熱材により建築物の屋根材と断熱区画さ
    れた屋根裏空間で常時連通すると共に、外側で断熱され
    た外周り基礎に囲まれた基礎部分に打設されたべた基礎
    と、外回り基礎の内部に該外回り基礎とは不連続に該べ
    た基礎上に立設された基礎体とを有する床下空間で該べ
    た基礎と接触しながら常時流通し、 そして、該内側通気層と外気とを直接連結する連結路
    が、前記外側通気層を貫通して設けられていることを特
    徴とする建築物の気密蓄断熱構造。
  2. 【請求項2】外壁材および屋根材の室内側に、断熱材に
    より区分された外側通気層と内側通気層とを有する建築
    物の気密蓄断熱構造であって、 該2つの通気層を流通する空気は壁体部分を含む建築物
    内では実質的に流通せず、かつこの内側通気層を流通す
    る空気は、該断熱材により建築物の屋根材と断熱区画さ
    れた屋根裏空間で常時連通すると共に、外側で断熱され
    た外周り基礎に囲まれた基礎部分に打設されたべた基礎
    と、外回り基礎の内部に該外回り基礎とは不連続に該べ
    た基礎上に立設された基礎体とを有する床下空間で該べ
    た基礎と接触しながら常時流通し、 そして、前記床下空間と外気とが、地中に配設された連
    通パイプを通して連通されることを特徴とする建築物の
    気密蓄断熱構造。
  3. 【請求項3】外壁材および屋根材の室内側に、断熱材に
    より区分された外側通気層と内側通気層とを有する建築
    物の気密蓄断熱構造であって、 該2つの通気層を流通する空気は壁体部分を含む建築物
    内では実質的に流通せず、かつこの内側通気層を流通す
    る空気は、該断熱材により建築物の屋根材と断熱区画さ
    れた屋根裏空間で常時連通すると共に、外側で断熱され
    た外周り基礎に囲まれた基礎部分に打設されたべた基礎
    と、外回り基礎の内部に該外回り基礎とは不連続に該べ
    た基礎上に立設された基礎体とを有する床下空間で該べ
    た基礎と接触しながら常時流通し、 そして、前記外側通気層を貫通して内側通気層と外気に
    接する熱交換部内とを連通する連通路を有することを特
    徴とする建築物の気密蓄断熱構造。
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