JPH07136441A - フィルタエレメント取付装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱膨張の伸差を吸収可能、メインテナンスが
容易で、かつ、信頼性の高いセラミックス管フィルタエ
レメントの取付装置を提供する。 【構成】 上部仕切管板１にほゞ鉛直に管板スリーブ４
と、エレメント上部スリーブ保持スリーブ７と、エレメ
ント上部スリーブ６がほゞ同軸に設けられている。エレ
メント上部スリーブ保持スリーブ７にはエレメント上部
スリーブ６を管板スリーブ４と同軸に保持するための保
持用スペーサ８が設けられている。エレメント上部スリ
ーブ６の上部と管板スリーブ４の間隙をダストタイトに
シールするスライド式ダストタイトシーラ９が設けら
れ、エレメント上部スリーブ６の下端面はシートパッキ
ン１３を介して同軸にセラミックス管フィルタエレメン
ト５に支持されている。エレメント上部スリーブ保持ス
リーブ７を省き、エレメント上部スリーブ６に保持用ス
ペーサ８を設けたものも提供されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は化石燃料等を使用する燃
焼設備の高温含塵ガス用の除塵装置に適用されるフィル
タエレメント取付装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】８００℃ないし９００℃程度の高温含塵
ガス用の除塵装置のフィルタエレメントとして、近年多
孔質セラミックス体が使用されるようになって来ている
が、その脆くて破損し易い特有の性質から種々の技術的
解決を要する問題点が多い。除塵装置の中でセラミック
ス管フィルタエレメントは通常、ほぼ鉛直に配置されて
いる。このように置かれた管と上下の金属製仕切管板と
のシール、或いは接合に関しては、従来、金属管と金属
製仕切管板の場合に使用してきた溶接、ねじ込み、拡管
あるいは金属ベローズなどの手法が単純に使えない。高
温含塵ガス用の除塵装置において高いガス温度、伸び、
伸び差、或いは粉塵等の悪条件下で従来技術として用い
られて来た方法としては、先ずセラミックス管フィルタ
エレメントの外周部で管との間に粉体層を充填する方法
が公知であるが、これを除塵装置に使用した場合、逆洗
時に粉体が飛散していくという問題点がある。

【０００３】また、同様にセラミックス管の外周部と水
冷管板の挿通孔の間にセラミックス繊維で作られた紐状
シール材を巻き、充填してシールする方法もある。この
方法も伸び差によるプラント及び除塵装置発停時の摺動
のため、シール材が減耗してくるのでシール不充分とな
る。また逆洗時のリークによる問題も前例と同様に不具
合である。或いは、特開昭５８−２１０４８８号によ
り、セラミッククロスなどの柔軟材と硅砂などの微粒体
を用いるシール構造が提案されている。この構造は伸差
による摺動回数が多い場合には微粒体が落下する可能性
があり、シール性が必ずしも充分ではないとされてい
る。その他、この分野では特開昭６３−５６７９２号に
よる、水冷式管板に対するものではあるが、金属ベロー
ズを中心とする方法、或いは特開昭６３−３０６９２号
による、非水冷式管板に対する加熱膨張性マットを中心
とした方法等が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記、金属仕切管板と
セラミックス管のシール構造に関する従来の方法には、
シール部に破損の恐れがあったり、伸差等による摺動、
減耗などの理由によるシール部材のシール性が不充分で
あったり、高温ガスを処理する場合には管板などに冷却
部が必要となったり、或いは接合部の着脱等に困難性が
あるなど不具合な所があった。本発明は、従来のフィル
タエレメント取付装置にみられたこれらの欠点がなく、
メインテナンスの容易なフィルタエレメント取付装置を
提供することを課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段及び作用】本発明は上部仕
切管板にほぼ鉛直に設けられ、上端にフランジを持つ管
板スリーブと、同管板スリーブ内の中下部に同軸に位置
し、下端面に受け皿面を持つエレメント上部スリーブが
受け皿面にシートパッキンを介してほぼ同軸に配置され
るセラミックス管フィルタエレメントに支持されている
フィルタエレメントの取付装置における前記課題を解決
するため、前記した管板スリーブのフランジに固定さ
れ、前記エレメント上部スリーブを同軸に保持する保持
用スペーサを備えたエレメント上部スリーブ保持スリー
ブと、前記エレメント上部スリーブの上部と前記管板ス
リーブの間隙をダストタイトにシールするスライド式ダ
ストタイトシーラ及びこれを上部、及び下部でそれぞれ
固定するためのシーラ受け上部フランジとシーラ抑え上
部リング、及びシーラ抑え下部リングを備えた構成を採
用する。

【０００６】このように構成されたフィルタエレメント
に高温含塵ガスが導入されると、熱膨張によりセラミッ
クス管フィルタエレメントと管板スリーブとの間には鉛
直軸方向に伸差が生じる。スライド式ダストタイトシー
ラの変形によってこの伸差が吸収されるとともに、管板
スリーブとエレメント上部スリーブ間がダストタイトに
シールされる。また、セラミックス管フィルタエレメン
トとエレメント上部スリーブの間はシートパッキンを介
して常に圧迫されているのでダストタイトである。ま
た、この取付装置では、エレメント上部スリーブ保持ス
リーブに保持用スペーサを備えていて、この保持用スペ
ーサは管板スリーブとエレメント上部スリーブの間に狭
いクリアランスを隔てて保持するので、通常運転時、特
にエレメント逆洗時に大きい振動による同軸からのず
れ、もしくは歪みを防止し、エレメント上部スリーブは
管板スリーブと同軸に保たれる。

【０００７】また、前記した課題を解決するため、他の
本発明による装置では前記したエレメント上部スリーブ
に、これを管板スリーブと同軸に保持する保持用スペー
サが設けられ、前記エレメント上部スリーブの上部と管
板スリーブの間隙をダストタイトにシールするスライド
式ダストタイトシーラを有し、このスライド式ダストタ
イトシーラは管板スリーブの上部においてはシーラ保持
上部リングと固縛ワイヤにより、また、前記エレメント
上部スリーブの上部においてはシーラ保持下部リングと
固縛ワイヤにより行われている構成を採用する。

【０００８】この構成をもつ他の本発明による装置によ
れば、高温含塵ガスが導入されると、熱膨張によりセラ
ミックス管フィルタエレメントと管板スリーブとの間に
は鉛直軸方向に伸差が生じるが、スライド式ダストタイ
トシーラの変形によってこの伸差が吸収されるととも
に、管板スリーブとエレメント上部スリーブ間がダスト
タイトにシールされる。また、セラミックス管フィルタ
エレメントとエレメント上部スリーブの間はシートパッ
キンを介して常に圧迫されているのでダストタイトであ
る。また、この装置では、エレメント上部スリーブに保
持用スペーサを備えていて、この保持用スペーサは管板
スリーブとエレメント上部スリーブの間に狭いクリアラ
ンスを隔てて保持するので、通常運転時、特にエレメン
ト逆洗時に大きい振動による同軸からのずれ、もしくは
歪みを防止し、エレメント上部スリーブは管板スリーブ
と同軸に保たれる。

【０００９】前記した両取付装置においては、その管板
スリーブの中下部に位置する同スリーブと同軸のエレメ
ント上部スリーブの上部に、エレメント上部スリーブの
内径とほぼ等しい内径を有し、管板スリーブよりも高い
高さでダストによる侵食を防止する侵食防止プロテクタ
を備えたものとすることができる。このような侵食防止
プロテクタを備えた装置とすることにより除塵装置の上
部仕切管板からセラミックス管フィルタエレメントに高
温含塵ガスが流入する際、ダストによって管板スリーブ
やスライド式ダストタイトシーラ等に生じる侵食を防止
する作用を持つものとなる。以上のように、本発明によ
るフィルタエレメント取付装置によれば高温含塵ガス用
の除塵装置のフィルタエレメントの取付装置として、シ
ール性能が良く、かつ、高い信頼性が得られる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を図示した実施例にもとずいて
具体的に説明する。

【００１１】（第１実施例）本発明の第１実施例を示す
図１において、上部仕切管板１を構成する上部仕切管板
上板２と上部仕切管板下板３との間に、ほぼ鉛直に管板
スリーブ４が溶接接合されている。管板スリーブ４の上
端にはフランジ４’が付いている。管板スリーブ４内の
中下部にはエレメント上部スリーブ６が同軸に挿入され
ており、その下端面は受皿面６’となっており、下方に
ほぼ同軸配置されるセラミックス管フィルタエレメント
５によってシートパッキン１３を介して支持されてい
る。

【００１２】管板スリーブ４のフランジ４’に自己のフ
ランジ７’を固定し、エレメント上部スリーブ６を同軸
に保持する保持用スペーサ８を備えたエレメント上部ス
リーブ保持スリーブ７を有している。エレメント上部ス
リーブ６の上部と管板スリーブ４の間隙をダストタイト
にシールするセラミックスファイバを布状に編んだスラ
イド式ダストタイトシーラ９が配設され、このスライド
式ダストタイトシーラ９は上端部がシーラ受け上部フラ
ンジ１２とシーラ上部抑えリング１０で固定され、また
その下端部はシーラ抑え下部リング１１によりエレメン
ト上部スリーブ６に固定されている。なお、図中１４は
パッキン、１５は固定用ボルトを示している。

【００１３】以上のように構成されたフィルタエレメン
ト取付装置において、高温含塵ガスが導入されると、除
塵装置の缶体、上部仕切管板１に固定された管板スリー
ブ４とセラミックス管フィルタエレメント５間には膨張
伸差が生じる。この伸差はセラミックス管フィルタエレ
メント５の上部のエレメント上部スリーブ６と管板スリ
ーブ４で両端部を固定されたスライド式ダストタイトシ
ーラ９の蛇腹型シートの機能により完全に吸収されると
ともに、管板スリーブ４とエレメント上部スリーブ６間
のダストの漏れもこのスライド式ダストタイトシーラ９
により防止される。

【００１４】また、通常運転時、特にエレメント逆洗時
にセラミックス管フィルタエレメント５が受ける圧力変
動等による振動に対して、エレメント上部スリーブ６を
僅かなクリアランスで同軸に保持する保持用スペーサ８
を備えたエレメント上部スリーブ保持スリーブ７の働き
により同軸からのずれ、もしくは歪みが防止される。

【００１５】（第２実施例）本発明の第２実施例を図２
により説明する。上記第１実施例の上部仕切管板１にお
けるフィルタエレメントの取付装置においてはエレメン
ト上部スリーブ保持スリーブ７に保持用スペーサ８が設
けられているが、この第２実施例による装置ではエレメ
ント上部スリーブ６自身に管板スリーブ４と同軸に自ら
を保持する保持用スペーサ８部分を設け、エレメント上
部スリーブ保持スリーブ７は使用していない。また、ス
ライド式ダストタイトシーラ９の固定を管板スリーブ４
側、即ち上部においてはシーラ保持上部リング１８と固
縛ワイヤ１６により、エレメント上部スリーブ６の頂
部、即ちシーラ９の下部はシーラ保持下部リング１７と
固縛ワイヤ１６により行っている点が異なっている。そ
の他の構成は第１実施例と同じであり、同一部分には同
じ符号を付してある。

【００１６】以上において、その働きは基本的に第１実
施例の場合と実質的に同じである。管板スリーブ４側と
セラミックス管フィルタエレメント５との高温含塵ガス
流入時の伸差の吸収はスライド式ダストタイトシーラ９
により行われ、セラミックス管フィルタエレメント５の
運転中の同軸保持はエレメント上部スリーブ６に設けら
れた保持用スペーサ８によりエレメント上部スリーブ６
と管板スリーブ４の間で直接なされる。従来のように振
止めパッキンのような接触による保持ではないので、補
修時にセラミックス管フィルタエレメント５を抜き取る
ような場合、パッキンを一々取り替える必要がなく省力
されることとなる。

【００１７】（第３実施例）本発明の第３実施例を図３
により説明する。上記第１実施例及び第２実施例のフィ
ルタエレメント取付装置で、管板スリーブ４の中下部に
位置する同スリーブと同軸のエレメント上部スリーブ６
の上部に、エレメント上部スリーブ６の内径とほぼ等し
く、管板スリーブ４より高い侵食防止プロテクタ１９を
配する構成であるが、その作用は上部仕切管板１からセ
ラミックス管フィルタエレメント５に流入するダストに
よる管板スリーブ４、スライド式ダストタイトシーラ９
等の侵食、減耗を防止、緩和するものである。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、高温
含塵ガスを処理するセラミックス管フィルタエレメント
と上部仕切管板ないし除塵装置の缶体との伸差が容易に
吸収でき、かつ、ダスト漏れが防止できる。また、本発
明による装置ではセラミックス管フィルタエレメント部
の振動の問題については、振止めパッキン等のような固
体の接触による同軸保持の方法を用いずに、保持用スペ
ーサによるクリアランスをおいた保持でエレメントの歪
みが防止されるので、補修の都度パッキンを取り替える
必要が無くなり、メインテナンス上も省力効果が大き
い。更に侵食防止プロテクタを備えれば、スリーブの上
部および管板スリーブの上部の侵食、摩耗を防止するこ
とも出来る。このような効果により、高温含塵ガス用の
除塵装置のフィルタとして高い信頼性が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の構成を示す断面図であ
る。

【図２】本発明の第２実施例の構成を示す断面図であ
る。

【図３】本発明の第３実施例の構成を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 上部仕切管板 ２ 上部仕切管板上板 ３ 上部仕切管板下板 ４ 管板スリーブ ５ セラミックス管フィルタエレメント ６ エレメント上部スリーブ ７ エレメント上部スリーブ保持スリーブ ８ 保持用スペーサ ９ スライド式ダストタイトシーラ １０ シーラ抑え上部リング １１ シーラ抑え下部リング １２ シーラ受け上部フランジ １３ シートパッキン １４ パッキン １５ ボルト １６ 固縛ワイヤ １７ シーラ保持下部リング １８ シーラ保持上部リング １９ 侵食防止プロテクタ

フロントページの続き (72)発明者 小林 雅浩 長崎市飽の浦町１番１号 三菱重工業株式 会社長崎造船所内 (72)発明者 北川 雄一郎 長崎市飽の浦町１番１号 三菱重工業株式 会社長崎造船所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部仕切管板にほぼ鉛直に設けられ、上
   端にフランジを持つ管板スリーブと、同管板スリーブ内
   の中下部に同軸に位置し、下端面に受け皿面を持つエレ
   メント上部スリーブが同受け皿面にシートパッキンを介
   してほぼ同軸に配置されるセラミックス管フィルタエレ
   メントに支持されているフィルタエレメントの取付装置
   において、前記管板スリーブ４のフランジに固定され、
   前記エレメント上部スリーブ６を同軸に保持する保持用
   スペーサ８を備えたエレメント上部スリーブ保持スリー
   ブ７と、前記エレメント上部スリーブ６の上部と前記管
   板スリーブ４の間隙をダストタイトにシールするスライ
   ド式ダストタイトシーラ９及びこれを上部、及び下部で
   それぞれ固定するためのシーラ受け上部フランジ１２と
   シーラ抑え上部リング１０、及びシーラ抑え下部リング
   １１を備えてなることを特徴とするフィルタエレメント
   取付装置。
2. 【請求項２】 上部仕切管板にほぼ鉛直に設けられ、上
   端にフランジを持つ管板スリーブと、同管板スリーブ内
   の中下部に同軸に位置し、下端面に受け皿面を持つエレ
   メント上部スリーブが同受け皿面にシートパッキンを介
   してほぼ同軸に配置されるセラミックス管フィルタエレ
   メントに支持されているフィルタエレメントの取付装置
   において、前記エレメント上部スリーブ６には、これを
   前記管板スリーブ４と同軸に保持する保持用スペーサ８
   が設けられ、前記エレメント上部スリーブ６の上部と前
   記管板スリーブ４の間隙をダストタイトにシールするス
   ライド式ダストタイトシーラ９を有し、同スライド式ダ
   ストタイトシーラ９は前記管板スリーブ４の上部におい
   てはシーラ保持上部リング１８と固縛ワイヤ１６によ
   り、前記エレメント上部スリーブ６の上部においてはシ
   ーラ保持下部リング１７と固縛ワイヤ１６により行われ
   ていることを特徴とするフィルタエレメント取付装置。
3. 【請求項３】 前記エレメント上部スリーブ６の上部
   に、同エレメント上部スリーブ６の内径とほぼ等しい内
   径を有し、前記管板スリーブ４よりも高い高さでダスト
   による侵食を防止する侵食防止プロテクタ１９を備えた
   ことを特徴とする請求項１又は２記載のフィルタエレメ
   ント取付装置。