JPH0713461Y2 - 芝刈機のカッター装置における固定刃 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、回定刃と固定刃との作用で芝生をカットする
構成の芝刈機のカッター装置における固定刃に関するも
のである。

〔従来の技術〕

本考案の対象であるカッティングユニットＵは、第１図
に示されるように、トラクタ10に多連状態で装着して使
用されたり、或いは小型の動力車に単体で装着して使用
される。このカッティングユニットＵは、フレーム１の
前部の両端にそれぞれ前輪２が取付けられ、フレーム１
の後部に後ローラー３が取付けられている。第２図及び
第５図に示されるように、このフレーム１に回転刃Ａと
固定刃Ｂ′とが取付けられ、この実施例では、フレーム
１に対する前記後ローラー３の上下方向の位置の調整に
より、芝生の刈高が定められるようになっている。

第２図及び第３図において、回転刃Ａは、回転体４に複
数本の刃体５が位相をずらしてらせん状に取付けられ、
この回転体４がフレーム１に回転可能に支持されたもの
であり、油圧により駆動回転される。フレーム１には、
回転刃Ａの回転軸６と平行に支点軸７が取付けられ、こ
の支点軸７の両端部にブラケット８が回動可能に取付け
られ、支点軸７の両端部に取付けられた一対のブラケッ
ト８の下面に固定刃Ｂ′が固着されている。固定刃Ｂ′
の刃先は、回転刃Ａの刃先に近接している。

一方、前記各ブラケット８には、それぞれアーム９がほ
ぼ垂直に固着されていて、その上端部は調整ロッド11に
連結されている。調整ロッド11の先端部は、フレーム１
に水平に取付けられたピン12に枢着され、この調整ロッ
ド11に圧縮スプリング13が弾装されている。このため、
調整ロッド11に螺合されている調整ナット14を緩めて、
圧縮スプリング13の圧縮量を小さくすると、固定刃Ｂ′
は、支点軸７を中心にして矢印Ｐの方向に僅かに回動
し、これにより固定刃Ｂ′の刃先は回転刃Ａに近づくよ
うになっている。

そして、トラクタ10が矢印Ｑの方向に進行して、回転刃
Ａが矢印Ｒの方向に回転し、これにより回転刃Ａと固定
刃Ｂ′との間で芝生がカットされる。固定刃Ｂ′は、軟
鋼からなる板状のシャンク15の先端部に高速度鋼などか
ら成る刃片16′がロー付けにより固着されており、使用
によりこの刃片16′は摩耗する〔摩耗の状態が第５図
（ロ），（ハ）に示されている〕。この場合には、前記
調整ナット14を緩めて、支点軸７を中心にして固定刃
Ｂ′を矢印Ｐの方向に僅かに回動させて、その刃先を回
転刃Ａに近づけた状態で、回転刃Ａを逆回転させて、固
定刃Ｂ′の刃片16′をラッピングして刃合わせを行って
いる。ところが、従来の固定刃Ｂ′の先端部に固着され
ている刃片16′は、第５図（イ）に示されるように、そ
の幅Ｗ′が厚さＴ′に比較して大きい。このため、刃合
わせ時における固定刃Ｂ′の刃片16′のラッピング量が
多くなって、多くの時間を要すると共に、回転刃Ａの刃
先の摩耗量も多くなる欠点があった。また、固定刃Ｂ′
の刃片16の幅Ｗ′が、その厚さＴ′に比較して大きいた
めに、カットされた芝生との接触面積が大きくなって、
摩擦による発熱量が多くなる。この発熱により、カッタ
ーの切味が急激に低下する。

なお、回転刃Ａを逆回転させて、固定刃Ｂ′の刃片16′
をラッピングして刃合せする際に、回転刃Ａの刃先も同
時にラッピングされる。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、上記した従来の固定刃の有する欠点に鑑み、
固定刃の刃片の形状の変更のみにより、刃合せを短時間
で行うことができて、しかも切味を長期にわたって持続
できるようにすることを課題としてなされたものであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

この課題を解決するために本考案の採用した手段は、カ
ッティングユニットのフレームに回転可能に支持されて
いる回転刃と、該フレームに前記回転刃の回転軸と平行
であって、しかも該回転刃の刃体に近接して取付けられ
ている固定刃とから成り、該固定刃は、板状のシャンク
の先端部に刃片が固着されていて、前記回転刃の回転軸
と平行な支点軸を中心に僅かに回動して回転刃に近づく
ように構成されている芝刈機のカッター装着において、
前記固定刃を構成している前記刃片の幅を、その厚さよ
りも小さくしたことである。

〔実施例〕

以下、実施例を挙げて、本考案を更に詳細に説明する。
なお、「従来の技術」の項目で説明した部分との重複説
明を避けて、本考案の特徴的部分についてのみ説明す
る。

第２図ないし第４図において、固定刃Ｂの先端部にロー
付けにより固着される刃片16の幅Ｗは、その厚さＴより
も小さくなっている。実際に使用した刃片16は、高速度
鋼から成って、その幅と厚さと長さが、それぞれ2.5mm,
4.5mm,770mmのものであった。シャンク15の厚さに対し
て刃片16の厚さがある程度必要であるのは、ロー付けに
よるシャンク15に対する刃片16の固着強度を確保する必
要があると共に、ラッピングすることにより繰り返して
使用可能にして、その寿命を長くするためである。

回転刃Ａと固定刃Ｂとで芝生をカットする場合には、固
定刃Ｂの部分においては、その刃片16の先端の刃先16a
のみがカット作用に寄与しているので、刃片16の幅Ｗを
小さくしてもカット作用には、全く影響がない。

このように、固定刃Ｂの先端部に固着される刃片16の幅
Ｗを、その厚さＴよりも小さくすると、カットされた芝
生との接触面積が小さくなって、摩擦による発熱を抑え
ることができて、固定刃Ｂとしての切味を持続できる。
また、刃片16が一定量以上摩耗した場合に回転刃Ａを逆
回転させて、第４図（ロ），（ハ）に示されるように、
この刃片16をラッピングして刃合せを行う場合におい
て、そのラッピング量が少なくなって、短時間で刃合せ
が行えると共に、回転刃Ａの摩耗量も少なくなる。

〔考案の効果〕

このように本考案は、固定刃を構成している刃片の幅
を、その厚さよりも小さくするいう、刃片の形状の変更
のみにより、切味を持続させることができると共に、刃
片が減った場合に行う刃合せを短時間で行うことがで
き、しかも刃合せ時における回転刃の摩耗も少なくでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、トラクタ10にカッティングユニットＵを装着
した状態の側面図、第２図は、回転刃Ａと固定刃Ｂの部
分の側面図、第３図は、同じく部分背面図、第４図
（イ），（ロ），（ハ）は、それぞれ本考案に係るカッ
ター装置を構成している固定刃Ｂの刃片16の摩耗状態を
示す部分側面断面図、第５図（イ），（ロ），（ハ）
は、それぞれ従来の固定刃Ｂ′の刃片16′の摩耗状態を
示す部分側面断面図である。 本考案を構成している主要部分の符号の説明は以下の通
りである。 A:回転刃、B:固定刃 U:カッティングユニット W:刃片の幅、T:刃片の厚さ 1:フレーム、4:回転刃の回転体 5:回転刃の刃体、6:回転刃の回転軸 7:支点軸、15:固定刃のシャンク 16:固定刃の刃片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カッティングユニットのフレームに回転可
   能に支持されている回転刃と、該フレームに前記回転刃
   の回転軸と平行であって、しかも該回転刃の刃体に近接
   して取付けられている固定刃とから成り、該固定刃は、
   板状のシャンクの先端部に刃片が固着されていて、前記
   回転刃の回転軸と平行な支点軸を中心に僅かに回動して
   回転刃に近づくように構成されている芝刈機のカッター
   装置において、 前記固定刃を構成している前記刃片の幅を、その厚さよ
   りも小さくしたことを特徴とする芝刈機のカッター装置
   における固定刃。