JPH07133249A - 高純度酢酸の製造方法 - Google Patents

高純度酢酸の製造方法

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JPH07133249A
JPH07133249A JP127194A JP127194A JPH07133249A JP H07133249 A JPH07133249 A JP H07133249A JP 127194 A JP127194 A JP 127194A JP 127194 A JP127194 A JP 127194A JP H07133249 A JPH07133249 A JP H07133249A
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acetic acid
distillation column
ozone
distillate
reactor
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JP127194A
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Yoshiyuki Harano
嘉行 原野
Yoshiaki Morimoto
好昭 森本
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 反応器内でメタノール及び/又は酢酸メチル
水溶液を一酸化炭素と連続的に反応させる工程、反応器
から反応液を連続的に取り出す工程、取り出された反応
液を蒸発槽で蒸発させ、それによって得られる酢酸を含
む蒸気成分を蒸留塔で蒸留し、蒸留塔の塔頂から留出液
を取り出す工程を含む酢酸の製造方法において、前記留
出液をオゾン処理することを特徴とする高純度酢酸の製
造方法。 【効果】 還元性物質が微少量しか含まれず、過マンガ
ン酸還元性物質試験において良好な値を示す高純度の酢
酸が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高純度な酢酸の工業的
な製造方法に関する。本発明は、特に、還元性不純物含
有量の少ない酢酸の連続的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】酢酸
は、石油化学工業、有機化学工業、医薬農薬製造工業、
高分子化学工業などにおいて多量に使用される基礎化学
品の一つである。
【0003】酢酸の工業的な製造方法は種々知られてい
るが、中でも、メタノールと一酸化炭素を連続的に反応
させて酢酸を製造する方法(Herbert D. Grove., Hydro
carbon Process No.11, 76 (1972)参照)が工業的には
最も優れた方法である。この方法によれば、生産性が高
いばかりでなく、不純物の副生量も少ない。従って、こ
の方法で酢酸を製造すれば、他の方法で酢酸を製造した
場合に比べて、純度の高い酢酸が得られる。
【0004】しかし、この方法を採用しても、微少量の
不純物が副生する。従って、この方法による酢酸の製造
においても、長時間の連続運転を行うと、副生した不純
物が製品である酢酸に混入し、製品の品質を悪化させ
る。そのため、この方法を採用している場合であって
も、酢酸の精製に多大な設備とエネルギーが使用されて
いる。
【0005】近年、生産性の高い工業的な酢酸の製造方
法として、ヨウ化物塩等の触媒安定化剤を添加するとい
う、酢酸製造用触媒の改良に係る方法や、従来の条件よ
りも低水分条件下でメタノールを一酸化炭素と反応させ
る方法が提案されている (特開昭60-54334号公報、特開
昭60-239434 号公報) 。これらの方法の内の何れかを単
独で、あるいはこれらの方法を組み合わせて採用する
と、二酸化炭素やプロピオン酸といった副生物は減少す
るとされている。しかし、微少量副生する、二酸化炭素
およびプロピオン酸以外の不純物の中には、酢酸の生産
性の増加と共にその生成量が増加するものがある。その
ため、上記した触媒の改良や反応条件の変更で酢酸の生
産性を上昇させた場合、二酸化炭素およびプロピオン酸
以外の不純物量が増加し、酢酸の品質が悪くなることが
ある。
【0006】過マンガン酸還元性物質試験 (過マンガン
酸タイム) と呼ばれる、酢酸中に極く微少量存在する還
元性不純物の量を調べる品質試験においては、今日の高
度な機器分析をもってしても定量が困難であるような、
微少量存在する不純物の量の微少な増加が検出できるの
で、当該試験により、還元性不純物が酢酸の品質を悪化
させることが明らかとされた。このような不純物とし
て、アルデヒド類、特に不飽和アルデヒド類が挙げられ
る。アルデヒド類には、多様の化合物が含まれるが、一
つ一つを分離し除去することは現実的ではない。特に、
アセトアルデヒドの脱水縮合物であるクロトンアルデヒ
ド、2−エチルクロトンアルデヒド等は、酢酸の沸点に
近似した沸点を有するので、微少量のこれら不純物を、
蒸留によって酢酸から分離することは困難である。
【0007】従来、酢酸の精製法として、微少量の上記
還元性不純物を含む粗酢酸をオゾン(特公昭61-2052 号
公報)や酸化剤 (特公昭56-10297号公報) で処理すると
いう技術が開示されている。しかしながら、オゾンや酸
化剤での粗酢酸の処理では、処理され得る不純物の濃度
や種類に限度があるという問題がある。例えば、オゾン
処理について述べると、 (1)オゾンで処理され得る化合
物は、不飽和化合物のみであり、飽和のアルデヒド類
は、オゾン処理では分解され得ないこと、 (2)不飽和化
合物のオゾン処理による分解生成物は、飽和のアルデヒ
ド類であるが、これらのアルデヒド類も還元性を有して
おり、過マンガン酸タイムを悪化させる化合物にほかな
らないという問題がある。そのため、粗酢酸をオゾンで
処理した後に、更に、飽和のアルデヒド類を除去するた
めに活性炭で処理するなどの精製が必要となる (特開平
1-211548号公報) 。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、酢酸中に
微少量混在する還元性不純物を除去する方法を検討し
た。その結果、プロセス中において、過マンガンタイム
悪化の原因物質である不飽和化合物が最も濃縮される液
をオゾン処理すれば、最も効果的に還元性不純物を除去
し得ることを見いだし、その知見に基づき、本発明を完
成した。
【0009】即ち本発明は、反応器内でメタノール及び
/又は酢酸メチル水溶液を一酸化炭素と連続的に反応さ
せる工程、反応器から反応液を連続的に取り出す工程、
取り出された反応液を蒸発槽で蒸発させ、それによって
得られる酢酸を含む蒸気成分を蒸留塔で蒸留し、蒸留塔
の塔頂から留出液を取り出す工程を含む酢酸の製造方法
において、前記留出液をオゾン処理することを特徴とす
る高純度酢酸の製造方法に関する。
【0010】前記留出液のオゾン処理は、蒸留塔の塔頂
から取り出された前記留出液が水相と有機相に分離した
後、有機相または水相についてのみ行われるものであっ
てもよい。
【0011】本発明においては、触媒としてロジウム化
合物を用い、助触媒としてヨウ化メチルを用いるのが好
ましい。
【0012】即ち、本発明は、ロジウム化合物を触媒と
し、ヨウ化メチルを助触媒として用い、連続的にメタノ
ール及び/又は酢酸メチル水溶液と、一酸化炭素とを反
応させて、酢酸を製造する方法において、反応器から反
応液を連続的に取り出し、蒸発缶で蒸発させた製品酢酸
を含む蒸気成分を蒸留塔で蒸留し、蒸留塔の塔頂から得
られる留分をオゾン処理することを特徴とする高純度酢
酸の製造方法を包含する。
【0013】この場合、前記留出液のオゾン処理は、蒸
留塔の塔頂から取り出された前記留出液が水相と有機相
に分離した後、下層であるヨウ化メチルを主体とする有
機相または上層である水を主体とする水相についてのみ
行われるものであってもよい。
【0014】粗酢酸中の還元性物質は、その混在量が極
めて微量でも、過マンガン酸タイムに悪影響を及ぼし、
また、それがある程度以上の濃度で粗酢酸に混入してい
る場合には、粗酢酸をオゾン処理しても、過マンガン酸
還元性物質試験において満足な結果を示す酢酸が得られ
ないことはすでに述べた。これに対し、本発明の方法に
おいては、酢酸製造プロセス内で、不飽和化合物が最も
濃度が高く存在している液をオゾン処理するので、当該
オゾン処理により、粗酢酸中の還元性不純物量が減少す
る。そして、本発明の方法を採用すれば、オゾン処理後
に蒸留等の簡単な精製操作を行うだけで、高品質な酢酸
が製造できる。
【0015】本発明の方法は、従来法である例えばモン
サント法に、一工程(オゾン処理工程)を加えることに
よって実施可能である。まず、図1を参照しながら、モ
ンサント法について説明する。
【0016】メタノールと一酸化炭素を原料とし、連続
的に酢酸を製造する方法は、モンサント社によりそのプ
ロセスが開示されている。
【0017】原料であるメタノールと一酸化炭素は、反
応器(あるいは反応槽) (1) に連続的に仕込まれ、所定
の温度、圧力下で連続的に反応させられる。一般的に
は、温度は 150〜250 ℃、圧力は15〜40atm の範囲内で
反応が行われる。なお、反応器(1) 内には、通常、原料
に加え、触媒、助触媒、溶媒、反応促進剤等も添加され
る。
【0018】触媒は、反応条件下で、上記した原料等お
よび反応生成物からなる反応液(反応混合物)中に可溶
であるものであれば、特に限定されない。触媒として
は、ロジウム化合物、パラジウム化合物、パラジウム錯
体、モリブデン化合物およびニッケル化合物等が挙げら
れる。また、コバルト、イリジウム、白金、オスミウム
およびルテニウムからなる群から選ばれる1種以上の化
合物を含有する化合物も、触媒として使用できる。触媒
は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよ
い。なお、触媒としては、ロジウム化合物を用いる場合
は、一般に、反応液に可溶であり、かつ、ロジウムカル
ボニル種を形成し得るものが用いられる。
【0019】本発明において使用可能なロジウム化合物
の例を挙げると、RhX3(式中、X は、Cl、Br又はI を示
す)、RhX3・3H2O (式中、X は、Cl又はBrを示す)、
Rh2(CO)16 、Rh2(CO)5、Rh2(CO)4X2(式中、X は、Cl、
Br又はI を示す)、Rh(CO)X[(C6H5)3M]2(式中、X は、
Cl、Br又はI を、M は、P 、As又はSbを示す)、Rh(CO)
2X[(C6H5)3M](式中、X は、Cl、Br又はI を、M は、P
、As又はSbを示す)、RhCl[(C6H5)3P]2(CH3I)2、Rh(Sn
Cl3)[(C6H5)3P]3、RhX[(C6H5)3P]3(式中、X は、Cl、B
r又はI を示す)、RhCl[(C6H5)3P]3H2 、Rh[(C6H5)3P]2
(CO)I、HRh(CO)[(C6H5)3P]3、[(C6H5)3P]3Rh(CO)H、[Rh
(C2H4)2Cl]2、K4Rh2X2(SnX3)4(式中、X は、Cl、Br又
はI を示す)、Rh[(n-C4H9)3P]2(CO)X(式中、X は、Br
又はI を示す)、[(n-C4H9)4N][Rh(CO)2X2] (式中、X
は、Cl、Br又はI を示す)、[(n-C4H9)4As]2[Rh2(CO)2X
4](式中、X は、Br又はI を示す)、[(n-C4H9)4P][Rh
(CO)I4]等、及び、特公昭47-3334 号公報記載のロジウ
ム化合物がある。
【0020】本発明において使用可能なパラジウム化合
物の例を挙げると、塩化パラジウム、臭化パラジウム、
ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、
酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウムおよびイソ酪
酸パラジウム等がある。
【0021】本発明において使用可能なパラジウム錯体
の例を挙げると、パラジウムアセチルアセトネート、テ
トラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラ
ジウム酸カリウム、テトラヨードパラジウム酸カリウ
ム、[Pd(CO)Cl2]2、[(n-C4H9)4P]2(PdCl4)、Pd[(C6H5)3
P]2(CO)Br 、Pd[(C6H5)3P]2I2 及び Pd[(n−C
P]等がある。
【0022】本発明において使用可能なモリブデン化合
物としては、ヘキサカルボニルモリブデン等が、ニッケ
ル化合物としては、ヨウ化ニッケル、塩化ニッケルおよ
び酢酸ニッケル等が挙げられる。
【0023】上記触媒は、随意に、さらに、アミン、リ
ン、ホスフィン、アルシン、スチビン等の配位子を含ん
でいてもよい。
【0024】触媒は、通常、反応液中に 100〜10,0
00ppm の濃度となるように、好ましくは200〜1,000ppm
の濃度となるように用いる。
【0025】助触媒は、触媒の種類に応じて選択され
る。助触媒の例を挙げると、ヨウ化メチルがある。助触
媒は、反応液中に5〜20重量%となる量を用いる。
【0026】反応液中には、上記の他、通常、溶媒であ
る水が 0.1〜15重量%含まれ、また、反応生成物であり
かつ溶媒である酢酸が、残部の主成分として含有され
る。また、この反応は連続反応であるので、原料である
メタノールが酢酸と反応して生成する酢酸メチルが、反
応液中に 0.1〜30重量%の範囲で存在する。
【0027】さらに、必要に応じ、反応促進剤が用いら
れる。反応促進剤としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナ
トリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化
セシウム、N−メチルイミダゾールヨージド、メチルト
リブチルホスホニウムヨージドなどのヨウ素化合物、酢
酸リチウムなどのリチウム化合物、アルミニウム化合物
やクロミウム化合物などのルイス酸性金属化合物、N−
ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのア
ミド化合物が挙げられる。反応促進剤の添加量は、触媒
としてロジウム化合物を用いる場合は、ロジウム化合物
中のロジウムに対して、通常は5〜100 倍モル、好まし
くは5〜50倍モルである。なお、触媒としてロジウム化
合物を用い、反応促進剤としてアルミニウム化合物を用
いる場合は、アルミニウム化合物をロジウムに対して10
〜20倍モル程度添加すると、効果が大きい。
【0028】反応促進剤としてアルミニウム化合物を用
いる場合は、反応促進剤の安定化のために、さらに、ホ
ウ素化合物を添加してもよい。ホウ素化合物としては、
ホウ酸、メタホウ酸などが挙げられ、アルミニウム化合
物中のアルミニウムに対して1〜10倍モルが添加され
る。また、反応促進剤として、アルミニウム化合物、リ
チウム化合物やルイス酸性金属化合物を用いる場合に
は、触媒の安定化剤として、さらにヨウ素化合物を添加
することもできる。
【0029】反応液は、反応器(1) から連続的に抜き出
され、反応圧力よりも低圧に管理された蒸発槽(2) に導
入され、そこでフラッシュ蒸発される。蒸発槽で蒸発せ
られた成分は、蒸留塔(3) に導入され、ここで蒸留され
る。なお、この蒸発槽で蒸発せられた成分中には、酢酸
が含有されている。
【0030】この蒸留塔(3) では、低沸点成分および高
沸点成分が分離除去される。すなわち、蒸留塔(3) の塔
頂から、低沸点成分である留出液(塔頂液)は分液槽
(4) に導入され、一方、高沸点成分は、一般に塔底部か
ら抜き出され、反応器(1) に戻される。ここで、分液槽
(4) に導入された留出液は、二層に分離する。上層は、
酢酸を含む水相であり、下層は、酢酸と酢酸メチルを含
む有機相(助触媒としてヨウ化メチルを用いた場合は、
ヨウ化メチルを主体とする有機相)である。これら二相
は、共に、反応器(1) に戻される。
【0031】また、製品となる酢酸を含む蒸留塔(3) の
サイドカット液は、次の蒸留塔(5)に導入される。蒸留
塔(5) は、脱水塔とも呼ばれる。蒸留塔(5) では、脱水
処理がなされ、得られた粗酢酸は、塔底から抜き取ら
れ、次の蒸留塔(6) に導入される。蒸留塔(6) でも蒸留
が行われ、低沸点成分および高沸点成分が分離除去され
る。すなわち、蒸留塔(6) では、高沸点生成物であるプ
ロピオン酸と微少量の高沸不純物が塔底から抜き取ら
れ、低沸点不純物が塔頂から抜き取られる。製品の酢酸
は、蒸留塔(6) のサイドカットで得られる。場合によ
り、蒸留塔(6) を脱高沸塔と脱低沸塔に分けて、それに
より、酢酸をさらに精製することもできる。
【0032】一方、反応器(1) のオフガス、及び蒸発槽
(2) や蒸留塔(3) 、(5) から出るオフガス(ベントガ
ス)には、有用成分の他に、アセトアルデヒド等の不純
物が微量含有されている。このアセトアルデヒド等の不
純物は、ヨウ化メチルなどのオフガス中の有機成分と分
離されることなく、共に吸収系(7) で回収され、反応器
(1) に戻される。
【0033】上記のモンサント法によって、現実的な、
酢酸の長時間の連続製造を行うと、反応液中には、微量
不純物、即ち、アセトアルデヒドと、クロトンアルデヒ
ドや2−エチルクロトンアルデヒドなどの不飽和アルデ
ヒド類が蓄積する。また、近年開示された生産性の高い
条件においては、反応液中の水分濃度が低い状態で酢酸
合成反応を行うが、この条件下で反応を行うと、上記微
量不純物のうち、不飽和アルデヒド類の副生量が増大す
ることが分かった。これらの不飽和アルデヒド類は、還
元性化合物であり、製品酢酸に混入して、酢酸の過マン
ガン酸タイムを悪化させる。従って、反応プロセスから
のこれらの化合物の除去が重要である。ところで、クロ
トンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド等の不
飽和アルデヒド類は、蒸留塔(3) の塔頂液、即ち、分液
槽(4) の上下層に最も濃縮される。従って、蒸留塔(3)
の塔頂液を反応器(1) に戻さなければ、反応プロセスか
らある程度の量の不飽和アルデヒド類を除去することは
可能である。しかし、蒸留塔(3) の塔頂液には、酢酸や
酢酸メチルが含まれているため、塔頂液は反応器(1) に
戻され、再利用される。その結果、反応液中には、不飽
和アルデヒド類がますます蓄積される。
【0034】そこで、本発明者らは、反応プロセスから
のこれらの化合物の効率的な除去について検討した。そ
の結果、通常の酢酸合成プロセスに、不飽和アルデヒド
類が最も濃縮された蒸留塔(3) の塔頂液、即ち、分液槽
(4) の上下層をオゾン処理してその中に含まれる不飽和
アルデヒド類等の還元性化合物を分解除去する工程を追
加すると、高純度の酢酸が得られることが明らかとなっ
た。即ち、本発明では、分液槽(4) の上層液及び/又は
下層液を、オゾン、オゾンを含む空気又はオゾンを含む
酸素と窒素の混合気体に連続的に接触させ、当該液をオ
ゾン処理する。オゾン処理された分液槽(4) の上層液及
び/又は下層液は、気液分離器を経て、過剰のオゾン、
オゾンを含む空気又はオゾンを含む酸素と窒素の混合気
体と分離され、反応器(1) に戻される。使用するオゾン
の量は、分液槽(4) の上層液及び/又は下層液に含有さ
れる不飽和化合物の総モル数の等モル以上である。オゾ
ンのプロセス中の濃度は1ppm 以上が好ましい。
【0035】本発明の方法によって製造される酢酸中に
は、還元性物質が微少量しか含まれておらず、従って、
本発明の方法によって製造される酢酸は、過マンガン酸
還元性物質試験において良好な値を示す。しかし、さら
に高純度の酢酸を得るために、製品酢酸のオゾン処理
や、さらなる蒸留などの精製操作を行ってもよい。
【0036】
【実施例】以下の実施例を参照しながら、本発明をより
詳細に説明する。ただし、当該実施例は、本発明の範囲
を限定すると考えるべきではない。
【0037】実施例1 図1に示す連続試験製造設備での酢酸の製造例を示す。
当該プロセスの概要は、以下の通りである。原料である
メタノールと一酸化炭素は、ロジウムが450ppm、ヨウ化
メチルが13重量%およびヨウ化リチウムが 4.5重量%
(それぞれ、反応液中の濃度)仕込まれた反応器(1) に
連続的に仕込まれ、温度 187〜189 ℃、圧力28kg/cm2
で連続的に反応させられる。反応液は、反応器(1) から
連続的に抜き出され、反応圧力よりも低圧の蒸発槽(2)
に導入され、フラッシュ蒸発される。蒸発槽(2) で蒸発
した成分は、蒸留塔(3) に導入され、蒸留される。この
蒸留塔(3) では、低沸点成分が主に分離される。蒸留塔
塔頂の留出液は、分液槽(4) に導入され、ここで二相に
分離する。上層は酢酸を含む水相であり、下層は酢酸と
酢酸メチルを含む有機相(ヨウ化メチル相)である。こ
れら二相は反応器(1) に戻されるが、これらのうちの下
層は、下記の如くオゾン処理された後に反応器(1) に戻
される。蒸留塔(3) の高沸点成分も反応器(1) に戻され
る。製品となる酢酸を含む蒸留塔(3) のサイドカット液
は、次の蒸留塔(5) に導入される。蒸留塔(5) で脱水処
理されて得られる粗酢酸が、蒸留塔(5) の塔底から抜き
取られ、次の蒸留塔(6) に導入され、そこで蒸留され
る。蒸留塔(6) では、高沸点生成物であるプロピオン酸
と微少量の高沸点不純物が塔底から抜き取られ、低沸点
不純物が塔頂から抜き取られる。製品の酢酸は、蒸留塔
(6) のサイドカットで得られる。一方、反応器(1) のオ
フガス、蒸発槽(2) 、蒸留塔(3) 、(5) から出るオフガ
ス中の有機成分は、吸収系(7) で回収され、反応器(1)
に戻される。
【0038】このプロセスで、毎時5kgの酢酸を製造す
る試験製造プラントにおいて連続反応を行った。この製
造条件下で、水 0.9重量%、酢酸 3.5重量%、ヨウ化メ
チル90.6重量%、酢酸メチル 5.0重量%からなり、微少
量のクロトンアルデヒドおよび2−エチルクロトンアル
デヒドを含む分液槽(4) の下層液に、 2000ppmのオゾン
を含む空気を毎時50リットル吹き込み、オゾン処理を行
った。オゾン処理後の下層液は、気液分離器を経て、オ
ゾン−空気混合気体から分離された後、ポンプで反応器
(1) に戻された。このプロセスで得られた酢酸の過マン
ガン酸タイムは240分以上であった。また、酢酸中に
は、クロトンアルデヒドおよび2−エチルクロトンアル
デヒドが、その合計量で、高々0.1ppmしか含まれていな
かった。
【0039】実施例2 実施例1と同様のプロセス、反応条件下で、連続的に酢
酸を製造した。ただし、オゾン処理は、分液槽(4) の下
層液ではなく、上層液について行った。すなわち、水48
重量%、酢酸45重量%、ヨウ化メチル7重量%からな
り、微少量のクロトンアルデヒドおよび2−エチルクロ
トンアルデヒドを含む分液槽(4) の上層液に、 2000ppm
のオゾンを含む空気を毎時50リットル吹き込んだ。オゾ
ン処理後の上層液は、気液分離器を経て、オゾン−空気
混合気体から分離された後、ポンプで反応器(1) に戻さ
れた。このプロセスで得られた酢酸の過マンガン酸タイ
ムは240分以上であった。また、酢酸中には、クロトン
アルデヒドおよび2−エチルクロトンアルデヒドが、そ
の合計量で、高々 0.08ppmしか含まれていなかった。
【0040】比較例 実施例1と同様のプロセス、反応条件下で、ただし、分
液槽(4) の下層液をオゾン処理せずに、連続的に酢酸を
製造した。得られた酢酸の過マンガン酸タイムは 100分
であり、クロトンアルデヒドおよび2−エチルクロトン
アルデヒドが、その合計量で約1ppm 程度含有されてい
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】酢酸を連続製造する本プロセスを示すフロー図
である。
【符号の説明】
1 反応器(反応槽) 2 蒸発槽 3 低沸蒸留塔 4 分液槽 5 蒸留塔 (脱水塔) 6 酢酸蒸留塔 7 吸収系

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応器内でメタノール及び/又は酢酸メ
    チル水溶液を一酸化炭素と連続的に反応させる工程、反
    応器から反応液を連続的に取り出す工程、取り出された
    反応液を蒸発槽で蒸発させ、それによって得られる酢酸
    を含む蒸気成分を蒸留塔で蒸留し、蒸留塔の塔頂から留
    出液を取り出す工程を含む酢酸の製造方法において、前
    記留出液をオゾン処理することを特徴とする高純度酢酸
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 蒸留塔の塔頂から取り出された前記留出
    液が水相と有機相に分離した後、有機相をオゾン処理す
    る請求項1記載の高純度酢酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 蒸留塔の塔頂から取り出された前記留出
    液が水相と有機相に分離した後、水相をオゾン処理する
    請求項1記載の高純度酢酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 触媒としてロジウム化合物を用い、助触
    媒としてヨウ化メチルを用いる請求項1記載の高純度酢
    酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 蒸留塔の塔頂から取り出された前記留出
    液が水相と有機相に分離した後、下層であるヨウ化メチ
    ルを主体とする有機相をオゾン処理する請求項4記載の
    高純度酢酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 蒸留塔の塔頂から取り出された前記留出
    液が水相と有機相に分離した後、上層である水を主体と
    する水相をオゾン処理する請求項4記載の高純度酢酸の
    製造方法。
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