JPH07132348A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents
連続鋳造用鋳型Info
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- JPH07132348A JPH07132348A JP30343293A JP30343293A JPH07132348A JP H07132348 A JPH07132348 A JP H07132348A JP 30343293 A JP30343293 A JP 30343293A JP 30343293 A JP30343293 A JP 30343293A JP H07132348 A JPH07132348 A JP H07132348A
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- slab
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 金属,特に断面長方形のスラブの連続鋳造に
おいて、鋳片の中心偏析を防止し得る鋳型を提供する。 【構成】 相対向する一対の長辺面と相対向する一対の
短辺面によって内壁が構成され、かつ内壁によって画定
される鋳造空間の断面積を入側から出側に向かって減少
させるように各辺面にテーパをつけた断面長方形のスラ
ブの連続鋳造用鋳型において、長辺面の幅をWとしたと
き、鋳込み方向の中心線を挟む1/2Wの範囲の長辺面
のテーパに対し、その両側の短辺面から長辺中心線に向
かう1/4Wの範囲の長辺面のテーパをより大きくした
ことを特徴とする。
おいて、鋳片の中心偏析を防止し得る鋳型を提供する。 【構成】 相対向する一対の長辺面と相対向する一対の
短辺面によって内壁が構成され、かつ内壁によって画定
される鋳造空間の断面積を入側から出側に向かって減少
させるように各辺面にテーパをつけた断面長方形のスラ
ブの連続鋳造用鋳型において、長辺面の幅をWとしたと
き、鋳込み方向の中心線を挟む1/2Wの範囲の長辺面
のテーパに対し、その両側の短辺面から長辺中心線に向
かう1/4Wの範囲の長辺面のテーパをより大きくした
ことを特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属、特に断面が長方
形のスラブの連続鋳造において、鋳片の中心偏析を防止
するための鋳型に関する。
形のスラブの連続鋳造において、鋳片の中心偏析を防止
するための鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法で鋳片を製造する場合には、
しばしば、中心偏析と呼ばれる内部欠陥が問題となる。
この中心偏析は、鋳片の厚み中心部(最終凝固部)で
C,S,P,Si,Mnなどの溶鋼成分が正偏析する現
象である。中心偏析は厚板用素材においては特に深刻な
問題であり、偏析部分における靱性の低下や、水素誘起
割れの原因となることが知られている。
しばしば、中心偏析と呼ばれる内部欠陥が問題となる。
この中心偏析は、鋳片の厚み中心部(最終凝固部)で
C,S,P,Si,Mnなどの溶鋼成分が正偏析する現
象である。中心偏析は厚板用素材においては特に深刻な
問題であり、偏析部分における靱性の低下や、水素誘起
割れの原因となることが知られている。
【0003】中心偏析は、凝固末期におけるデンドライ
ト樹間残溶鋼がバルジングあるいは凝固収縮等の原因に
より、マクロ的に移動することと、濃化溶鋼が局部的に
集積するために生じることが分かっている。
ト樹間残溶鋼がバルジングあるいは凝固収縮等の原因に
より、マクロ的に移動することと、濃化溶鋼が局部的に
集積するために生じることが分かっている。
【0004】中心偏析防止対策の一つとして、凝固先端
部付近を何らかの方法で圧下することにより、末期凝固
部の凝固収縮分を補償する方法が提案されている。しか
し、圧下のみによる中心偏析改善方法は、ロール圧下、
金型圧下のいずれの手段においても図4に示すようなス
ラブの幅方向の凝固不均一がある場合、すなわち、スラ
ブの幅をWとして、幅中央部(1/4W〜3/4W)に
比較して幅端部(1/4W〜短辺面(エッジ)側および
3/4W〜短辺面(エッジ)側)において凝固の進行が
遅い場合に、幅方向で均一な圧下ができないために凝固
が遅れた部分で偏析が顕著になるという欠点を有してい
た。この幅方向凝固不均一の起源は鋳型1内で生じてい
る可能性が強く、図5に示すように、浸漬ノズル2から
の溶融金属3の吐出流の当たる部分で、凝固が遅れてい
ることが原因であると考えられる。また、この凝固不均
一は2次冷却の幅方向不均一により、助長されるものと
考えられる。なお、符号4は凝固シェル、5はパウダー
をそれぞれ示す。
部付近を何らかの方法で圧下することにより、末期凝固
部の凝固収縮分を補償する方法が提案されている。しか
し、圧下のみによる中心偏析改善方法は、ロール圧下、
金型圧下のいずれの手段においても図4に示すようなス
ラブの幅方向の凝固不均一がある場合、すなわち、スラ
ブの幅をWとして、幅中央部(1/4W〜3/4W)に
比較して幅端部(1/4W〜短辺面(エッジ)側および
3/4W〜短辺面(エッジ)側)において凝固の進行が
遅い場合に、幅方向で均一な圧下ができないために凝固
が遅れた部分で偏析が顕著になるという欠点を有してい
た。この幅方向凝固不均一の起源は鋳型1内で生じてい
る可能性が強く、図5に示すように、浸漬ノズル2から
の溶融金属3の吐出流の当たる部分で、凝固が遅れてい
ることが原因であると考えられる。また、この凝固不均
一は2次冷却の幅方向不均一により、助長されるものと
考えられる。なお、符号4は凝固シェル、5はパウダー
をそれぞれ示す。
【0005】幅方向凝固不均一解消による中心偏析の改
善方法として、本願出願人の出願に係る特願平4−24
760号に示されるような鋳型長辺面の幅中央部の凝固
の進行の速い部分のみ、鋳型の厚みを大きくとる段差厚
鋳型が提案されている(図11,段差部1−g)。
善方法として、本願出願人の出願に係る特願平4−24
760号に示されるような鋳型長辺面の幅中央部の凝固
の進行の速い部分のみ、鋳型の厚みを大きくとる段差厚
鋳型が提案されている(図11,段差部1−g)。
【0006】しかし、この方法では、鋳型の段差部の厚
みを少なくとも3mm以上設定することが必要であるた
め、鋳片パスラインの設定が困難であり、段差部での鋳
片バルジングにより内部割れを誘発しやすいという問題
点を有していた。
みを少なくとも3mm以上設定することが必要であるた
め、鋳片パスラインの設定が困難であり、段差部での鋳
片バルジングにより内部割れを誘発しやすいという問題
点を有していた。
【0007】また、特開平1−178355号公報およ
び『材料とプロセス』Vol.2(1989),p1159
には強制的にバルジングをおこして、不均一な未凝固厚
みを一定な未凝固厚みにしてから、圧下する方法が示さ
れている。しかし、この方法では、バルジングという現
象が鋳片まかせであるので、未凝固厚みが安定的には一
定にならない。また、太鼓型スラブを圧下するため、幅
中央部の圧下量が大きくなり、幅方向で均一圧下をする
のは困難であると考えられる。
び『材料とプロセス』Vol.2(1989),p1159
には強制的にバルジングをおこして、不均一な未凝固厚
みを一定な未凝固厚みにしてから、圧下する方法が示さ
れている。しかし、この方法では、バルジングという現
象が鋳片まかせであるので、未凝固厚みが安定的には一
定にならない。また、太鼓型スラブを圧下するため、幅
中央部の圧下量が大きくなり、幅方向で均一圧下をする
のは困難であると考えられる。
【0008】なお、その他の中心偏析改善法として、特
開昭63−157749号公報に記載されるように、電
磁攪拌を特定範囲内でかける方法や、特開平1−113
157号公報に記載されるように、超音波振動を鋳片に
印加する方法があるが、いずれも幅方向の不均一凝固が
有する場合には根本的な解決に至らなかった。
開昭63−157749号公報に記載されるように、電
磁攪拌を特定範囲内でかける方法や、特開平1−113
157号公報に記載されるように、超音波振動を鋳片に
印加する方法があるが、いずれも幅方向の不均一凝固が
有する場合には根本的な解決に至らなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】連続鋳造鋳片における
中心偏析を改善するために、凝固末期における軽圧下鋳
造が有効であることが知られている。しかしすでに鋳型
通過後の凝固初期において、スラブの幅方向の不均一凝
固が生じている場合には、単に軽圧下鋳造を行うのみで
は、幅方向全域にわたっての中心偏析改善効果が期待で
きないという問題点を有する。本発明は中心偏析改善に
対する圧下鋳造を有効に機能させるために、スラブの幅
方向の不均一凝固を解消せんとするものである。
中心偏析を改善するために、凝固末期における軽圧下鋳
造が有効であることが知られている。しかしすでに鋳型
通過後の凝固初期において、スラブの幅方向の不均一凝
固が生じている場合には、単に軽圧下鋳造を行うのみで
は、幅方向全域にわたっての中心偏析改善効果が期待で
きないという問題点を有する。本発明は中心偏析改善に
対する圧下鋳造を有効に機能させるために、スラブの幅
方向の不均一凝固を解消せんとするものである。
【0010】そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、溶
鋼が鋳型内を通過するときの凝固および鋳型の抜熱の態
様と中心偏析との関係について下記のような知見を得
た。スラブの幅端部近傍では、後述する2つの作用の相
乗効果により、幅中央部に比べ未凝固厚みが大きい。す
なわち 浸漬ノズルからの溶鋼吐出流が短辺にあた
り、その近傍である幅端部近傍で凝固の進行が遅れる作
用と バルジングにより、幅中央部の凝固シェルは鋳
型との接触が良好であり、一方、幅端部での凝固シェル
は鋳型との接触が悪いことにより、幅端部近傍は幅中央
部よりも相対的に凝固が遅れる作用の相乗効果による。
鋼が鋳型内を通過するときの凝固および鋳型の抜熱の態
様と中心偏析との関係について下記のような知見を得
た。スラブの幅端部近傍では、後述する2つの作用の相
乗効果により、幅中央部に比べ未凝固厚みが大きい。す
なわち 浸漬ノズルからの溶鋼吐出流が短辺にあた
り、その近傍である幅端部近傍で凝固の進行が遅れる作
用と バルジングにより、幅中央部の凝固シェルは鋳
型との接触が良好であり、一方、幅端部での凝固シェル
は鋳型との接触が悪いことにより、幅端部近傍は幅中央
部よりも相対的に凝固が遅れる作用の相乗効果による。
【0011】このような鋳型内における幅方向の凝固不
均一は、凝固末期まで残存し、軽圧下による凝固収縮分
の補償を行っても凝固の遅れた部分で偏析が悪化する。
そこで、この長辺面の幅方向の凝固挙動の不均一を補正
する緩冷却作用を幅中央部に与えることができれば幅方
向全体にわたって抜熱作用を均一に維持できることとな
り、均一な圧下が可能となる。
均一は、凝固末期まで残存し、軽圧下による凝固収縮分
の補償を行っても凝固の遅れた部分で偏析が悪化する。
そこで、この長辺面の幅方向の凝固挙動の不均一を補正
する緩冷却作用を幅中央部に与えることができれば幅方
向全体にわたって抜熱作用を均一に維持できることとな
り、均一な圧下が可能となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような知
見に基づいて完成されたもので、鋳型入側から出側に向
かって鋳型空間の断面積が減少していくようなテーパを
つけ、そのうち、長辺面の幅をWとしたとき、両短辺面
から鋳込み方向に中心に向かって1/4Wまでの範囲の
テ−パを特に大きくすることを特徴とする。これによっ
て、鋳片と鋳型内壁との一様な接触をもたらし、幅方向
にわたる均一な冷却を維持してしかも浸漬ノズルからの
両幅端部への吐出流の影響下にあってもバルジングを抑
制することができるので、中心偏析の生成を抑制でき
る。
見に基づいて完成されたもので、鋳型入側から出側に向
かって鋳型空間の断面積が減少していくようなテーパを
つけ、そのうち、長辺面の幅をWとしたとき、両短辺面
から鋳込み方向に中心に向かって1/4Wまでの範囲の
テ−パを特に大きくすることを特徴とする。これによっ
て、鋳片と鋳型内壁との一様な接触をもたらし、幅方向
にわたる均一な冷却を維持してしかも浸漬ノズルからの
両幅端部への吐出流の影響下にあってもバルジングを抑
制することができるので、中心偏析の生成を抑制でき
る。
【0013】すなわち、上記の課題解決手段としての本
発明の構成は、 1. 相対向する一対の長辺面と相対向する一対の短辺
面によって内壁が構成され、かつ内壁によって画定され
る鋳造空間の断面積を入側から出側に向かって減少させ
るように各辺面にテーパをつけた断面長方形のスラブの
連続鋳造用鋳型において、長辺面の幅をWとしたとき、
鋳込み方向の中心線を挟む1/2Wの範囲の長辺面のテ
ーパに対し、その両側の短辺面から長辺中心線に向かう
1/4Wの範囲の長辺面のテーパをより大きくしたこと
を特徴とする連続鋳造用鋳型、であり、そして、さらに
具体的な実施の態様としては、
発明の構成は、 1. 相対向する一対の長辺面と相対向する一対の短辺
面によって内壁が構成され、かつ内壁によって画定され
る鋳造空間の断面積を入側から出側に向かって減少させ
るように各辺面にテーパをつけた断面長方形のスラブの
連続鋳造用鋳型において、長辺面の幅をWとしたとき、
鋳込み方向の中心線を挟む1/2Wの範囲の長辺面のテ
ーパに対し、その両側の短辺面から長辺中心線に向かう
1/4Wの範囲の長辺面のテーパをより大きくしたこと
を特徴とする連続鋳造用鋳型、であり、そして、さらに
具体的な実施の態様としては、
【0014】2. 上記1の連続鋳造鋳型において、両
側辺部テーパ量を長辺面の幅をWとしたとき、長辺面の
幅1/4Wの両幅端部のテーパを短辺面に向かうにつれ
て大きくし、かつ短辺面から中心部へ向かう幅1/10
Wの範囲内において最大とすることを特徴とする。
側辺部テーパ量を長辺面の幅をWとしたとき、長辺面の
幅1/4Wの両幅端部のテーパを短辺面に向かうにつれ
て大きくし、かつ短辺面から中心部へ向かう幅1/10
Wの範囲内において最大とすることを特徴とする。
【0015】
【作 用】上述のように、中心偏析改善に対する凝固末
期における軽圧下鋳造が有効に機能するように、スラブ
の幅方向の不均一凝固を解消することを目的として、上
記特許請求の範囲に記載の発明を完成した。請求項1に
記載する連続鋳造用鋳型1(鋳型の長辺側1’、短辺側
1”)は図1に示すように、スラブのような断面長方形
の鋳型であって、長辺面の幅をWとするとき、長辺面
1’の幅方向1/4W〜短辺面(エッジA側)および3
/4W〜短辺面(エッジB側)の凝固遅れ部のテーパ量
が1/4W〜3/4W位置1−bのテーパ量よりも大き
くなっている。なお、1/4W〜3/4W位置1−bの
テーパは弱くノンテーパでも良い。強テーパ部1−aの
テーパ量は200mm厚程度のスラブに対して、鋳型両面
で最大1mm程度設置すれば十分である。これは、図6に
示すように、鋳型出口における鋳片長辺面の総収縮量
(凝固収縮量と降温収縮量の和)に見合うテーパを付与
すれば、低テーパ部では、鋳造方向の下流側になるほ
ど、鋳型/凝固シェル間の熱伝達係数がエアーギャップ
の熱抵抗の増大に伴い減少していくのに対し、高テーパ
部では、テーパの作用により、エアーギャップが生じに
くく、鋳型/凝固シェル間の熱伝達係数が高く維持され
ることによる。これにより従来シェル厚の小さかった幅
端部はシェル厚が大きくなり、(幅中央部のシェル厚に
追いつくような格好となり)幅方向に均一なシェル厚が
得られるというものである。
期における軽圧下鋳造が有効に機能するように、スラブ
の幅方向の不均一凝固を解消することを目的として、上
記特許請求の範囲に記載の発明を完成した。請求項1に
記載する連続鋳造用鋳型1(鋳型の長辺側1’、短辺側
1”)は図1に示すように、スラブのような断面長方形
の鋳型であって、長辺面の幅をWとするとき、長辺面
1’の幅方向1/4W〜短辺面(エッジA側)および3
/4W〜短辺面(エッジB側)の凝固遅れ部のテーパ量
が1/4W〜3/4W位置1−bのテーパ量よりも大き
くなっている。なお、1/4W〜3/4W位置1−bの
テーパは弱くノンテーパでも良い。強テーパ部1−aの
テーパ量は200mm厚程度のスラブに対して、鋳型両面
で最大1mm程度設置すれば十分である。これは、図6に
示すように、鋳型出口における鋳片長辺面の総収縮量
(凝固収縮量と降温収縮量の和)に見合うテーパを付与
すれば、低テーパ部では、鋳造方向の下流側になるほ
ど、鋳型/凝固シェル間の熱伝達係数がエアーギャップ
の熱抵抗の増大に伴い減少していくのに対し、高テーパ
部では、テーパの作用により、エアーギャップが生じに
くく、鋳型/凝固シェル間の熱伝達係数が高く維持され
ることによる。これにより従来シェル厚の小さかった幅
端部はシェル厚が大きくなり、(幅中央部のシェル厚に
追いつくような格好となり)幅方向に均一なシェル厚が
得られるというものである。
【0016】上記のような幅方向テーパ量分布とするこ
とにより、鋳型−鋳片間の接触熱伝達係数は図7のよう
に、幅中央部(低テーパ部)よりも、幅端部(強テーパ
部)の方が大きくなり、従来鋳型よりも幅端部(凝固遅
れ部)の抜熱が促進される。この結果、図8のように、
凝固遅れ部のシェル厚が従来よりも大きくなるため、幅
方向の不均一凝固量が従来よりも少なくなる。
とにより、鋳型−鋳片間の接触熱伝達係数は図7のよう
に、幅中央部(低テーパ部)よりも、幅端部(強テーパ
部)の方が大きくなり、従来鋳型よりも幅端部(凝固遅
れ部)の抜熱が促進される。この結果、図8のように、
凝固遅れ部のシェル厚が従来よりも大きくなるため、幅
方向の不均一凝固量が従来よりも少なくなる。
【0017】ここで、本発明鋳型による不均一凝固緩和
効果を以下に説明する。不均一凝固量を図9に示すよう
に最大未凝固厚みDmax と最小未凝固厚みDmin の差と
して定義した場合、従来鋳型使用時の不均一凝固量Dma
x−Dmin の鋳造方向推移は図10のように示され、不
均一凝固量は、凝固初期において未凝固厚みは22mm程
度(片側シェル厚11mm)存在する。不均一凝固はメニ
スカスから凝固が遅れる部分と凝固が進む部分の伝熱抵
抗の差により、凝固が進むにつれて減少するが、軽圧下
ゾーン入り側においても、未凝固厚み10mm程度(片側
シェル厚5mm)存在する。この未凝固厚み差は最終凝固
位置の差ΔLにして(図4−a)1.0m程度に相当
し、これが軽圧下の幅方向不均一につながり、凝固遅れ
部で偏析を悪化させることになる。軽圧下を幅方向に均
一に行うべく、軽圧下ゾーン入り側で幅方向不均一凝結
量をなくすためには、凝固初期における不均一凝固量を
減少させる必要がある。
効果を以下に説明する。不均一凝固量を図9に示すよう
に最大未凝固厚みDmax と最小未凝固厚みDmin の差と
して定義した場合、従来鋳型使用時の不均一凝固量Dma
x−Dmin の鋳造方向推移は図10のように示され、不
均一凝固量は、凝固初期において未凝固厚みは22mm程
度(片側シェル厚11mm)存在する。不均一凝固はメニ
スカスから凝固が遅れる部分と凝固が進む部分の伝熱抵
抗の差により、凝固が進むにつれて減少するが、軽圧下
ゾーン入り側においても、未凝固厚み10mm程度(片側
シェル厚5mm)存在する。この未凝固厚み差は最終凝固
位置の差ΔLにして(図4−a)1.0m程度に相当
し、これが軽圧下の幅方向不均一につながり、凝固遅れ
部で偏析を悪化させることになる。軽圧下を幅方向に均
一に行うべく、軽圧下ゾーン入り側で幅方向不均一凝結
量をなくすためには、凝固初期における不均一凝固量を
減少させる必要がある。
【0018】一方、不均一凝固量を減少させるべく、本
発明鋳型を使用した場合、凝固初期における不均一凝固
量は、図10に示すように、12mm程度まで減少する。
鋳造が進むにつれてこの不均一凝固量は減少していくの
で、軽圧下ゾーン入り側で不均一凝固をほぼなくする
(2mm程度)ことが可能となる。
発明鋳型を使用した場合、凝固初期における不均一凝固
量は、図10に示すように、12mm程度まで減少する。
鋳造が進むにつれてこの不均一凝固量は減少していくの
で、軽圧下ゾーン入り側で不均一凝固をほぼなくする
(2mm程度)ことが可能となる。
【0019】また、本発明鋳型では鋳型出口における段
差Δdが高々0. 3mm程度と小さいため、パスラインの
設定も容易であり、段差部での鋳片バルジングによる内
部割れの心配もない。
差Δdが高々0. 3mm程度と小さいため、パスラインの
設定も容易であり、段差部での鋳片バルジングによる内
部割れの心配もない。
【0020】次に、本発明の実施態様2に記載する連続
鋳造用鋳型1(鋳型の長辺側1’,短辺側1”)は基本
的には請求項1の鋳型と同様、スラブ用鋳型の長辺面
1’の幅方向凝固遅れ部1−aのテーパ量を1−bのテ
ーパ量よりも大きくした鋳型であり、長辺面1’の強テ
−パ部1−aのテ−パ量を1/4W〜エッジA側および
3/4W〜エッジB側に向かって徐々に大きくしている
が、さらに、図2に示すように、1/10W〜エッジA
側および9/10W〜エッジB側のテーパ量を最大とす
る構造としている。1/10W〜エッジA側および9/
10W〜エッジB側を最大テーパ量としたのは、凝固初
期から末期にかけてこの部分の凝固遅れが最も顕著であ
るからである。
鋳造用鋳型1(鋳型の長辺側1’,短辺側1”)は基本
的には請求項1の鋳型と同様、スラブ用鋳型の長辺面
1’の幅方向凝固遅れ部1−aのテーパ量を1−bのテ
ーパ量よりも大きくした鋳型であり、長辺面1’の強テ
−パ部1−aのテ−パ量を1/4W〜エッジA側および
3/4W〜エッジB側に向かって徐々に大きくしている
が、さらに、図2に示すように、1/10W〜エッジA
側および9/10W〜エッジB側のテーパ量を最大とす
る構造としている。1/10W〜エッジA側および9/
10W〜エッジB側を最大テーパ量としたのは、凝固初
期から末期にかけてこの部分の凝固遅れが最も顕著であ
るからである。
【0021】このような、幅方向テーパ量分布とするこ
とにより、強テーパ部と低テーパ部の熱伝達係数が幅方
向で連続的に変化するため、幅方向の熱流速差に起因す
る鋳片表面縦割れを発生しにくくしている。幅方向にテ
ーパ量分布を付与する場合の初期不均一凝固の緩和量は
テーパ量分布を付与しない場合と比較してほとんど変わ
らないため、請求項1の場合と同様に、軽圧下ゾーン入
り側における未凝固厚みを一定値に制御することが可能
となる。
とにより、強テーパ部と低テーパ部の熱伝達係数が幅方
向で連続的に変化するため、幅方向の熱流速差に起因す
る鋳片表面縦割れを発生しにくくしている。幅方向にテ
ーパ量分布を付与する場合の初期不均一凝固の緩和量は
テーパ量分布を付与しない場合と比較してほとんど変わ
らないため、請求項1の場合と同様に、軽圧下ゾーン入
り側における未凝固厚みを一定値に制御することが可能
となる。
【0022】このようにして、本発明にかかる連続鋳造
用鋳型によって得られたスラブは、軽圧下ゾーン入り側
における未凝固厚みが一定値に制御された鋳片であっ
て、これに対して従来のように末期凝固部で圧下を加え
ることによって、鋳片の中心偏析は著しく改善される。
用鋳型によって得られたスラブは、軽圧下ゾーン入り側
における未凝固厚みが一定値に制御された鋳片であっ
て、これに対して従来のように末期凝固部で圧下を加え
ることによって、鋳片の中心偏析は著しく改善される。
【0023】すなわち、本発明によれば幅方向に均一に
圧下が加わるため、効果的に濃化溶鋼の流動が抑えら
れ、中心偏析が幅方向全体において改善されるのであ
る。次に、本発明を実施例によってその作用効果を具体
的に説明する。
圧下が加わるため、効果的に濃化溶鋼の流動が抑えら
れ、中心偏析が幅方向全体において改善されるのであ
る。次に、本発明を実施例によってその作用効果を具体
的に説明する。
【0024】
【実施例】本例では図1〜2に示す鋳型をそれぞれ用
い、図3に示す連続鋳造装置を使用することでスラブ形
状の鋳片の連続鋳造を行った。図3において、浸漬ノズ
ル2から鋳型1に鋳込まれた溶融金属3はサポートロー
ル群6,圧下ロール群7を経て凝固し、そしてピンチロ
ール8を経て、引き出される。
い、図3に示す連続鋳造装置を使用することでスラブ形
状の鋳片の連続鋳造を行った。図3において、浸漬ノズ
ル2から鋳型1に鋳込まれた溶融金属3はサポートロー
ル群6,圧下ロール群7を経て凝固し、そしてピンチロ
ール8を経て、引き出される。
【0025】以下、本発明を図1〜3に示す実施例に基
づいて説明する。装置仕様、鋳造条件を以下に示す。 (1)連鋳機: 湾曲型連鋳機(湾曲半径:12.5
m) (2)鋳片サイズ: 250mm厚み×2000mm幅(ス
ラブ形状) (3)鋼種: C 0.15〜0.20%厚板用40K鋼 (4)溶鋼過熱度ΔT:20℃ (5)鋳造速度: 0.8m/min (6)凝固末期軽圧下: 圧下ゾーン長5m,圧下勾配
1mm/m
づいて説明する。装置仕様、鋳造条件を以下に示す。 (1)連鋳機: 湾曲型連鋳機(湾曲半径:12.5
m) (2)鋳片サイズ: 250mm厚み×2000mm幅(ス
ラブ形状) (3)鋼種: C 0.15〜0.20%厚板用40K鋼 (4)溶鋼過熱度ΔT:20℃ (5)鋳造速度: 0.8m/min (6)凝固末期軽圧下: 圧下ゾーン長5m,圧下勾配
1mm/m
【0026】本発明実施例1は(1)〜(6)の仕様お
よび鋳造条件で,鋳型を図1に示すような構造をもつよ
うに製造したものである。
よび鋳造条件で,鋳型を図1に示すような構造をもつよ
うに製造したものである。
【0027】本発明実施例2は(1)〜(6)の仕様お
よび鋳造条件で、鋳型を図2に示すような構造をもつよ
うに製造したものである。
よび鋳造条件で、鋳型を図2に示すような構造をもつよ
うに製造したものである。
【0028】実施例1、2共に鋳型長は600mmとし、
幅方向テーパ量分布は図12に示す仕様とした。すなわ
ち、実施例1,2とも両短辺面から500mmまでを強テ
ーパ部とし、幅中央部1000mmをノーテーパ部とし
た。実施例1では、強テーパ部のテーパ量を片側0.5m
m一定とし、実施例2では両短辺面から200mmまでの
テーパ量を片側0.5mm一定とし、両エッジから200m
m〜500mmまでのテーパ量を徐々に減少させた。
幅方向テーパ量分布は図12に示す仕様とした。すなわ
ち、実施例1,2とも両短辺面から500mmまでを強テ
ーパ部とし、幅中央部1000mmをノーテーパ部とし
た。実施例1では、強テーパ部のテーパ量を片側0.5m
m一定とし、実施例2では両短辺面から200mmまでの
テーパ量を片側0.5mm一定とし、両エッジから200m
m〜500mmまでのテーパ量を徐々に減少させた。
【0029】なお、比較のために、長辺面全幅にわたっ
てテーパを付与していない場合について、上記(1)な
いし(6)の装置仕様、鋳造条件で鋳造を行った。結果
を表1に示す。
てテーパを付与していない場合について、上記(1)な
いし(6)の装置仕様、鋳造条件で鋳造を行った。結果
を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、本発明例は実施
例1、2のいずれも、比較例と比較して、短辺部に近い
側辺部分の中心偏析が大幅に改善され、幅方向に均一な
組成の鋳片を製造することができた。
例1、2のいずれも、比較例と比較して、短辺部に近い
側辺部分の中心偏析が大幅に改善され、幅方向に均一な
組成の鋳片を製造することができた。
【0032】
【発明の効果】本発明により、スラブの幅方向の不均一
凝固が解消され、凝固末期の軽圧下が幅方向に均一に行
われ、幅端部の中心偏析が大幅に改善され、幅方向全域
で均一組成であり、かつ中心偏析のない鋳片を製造する
ことが可能になった。
凝固が解消され、凝固末期の軽圧下が幅方向に均一に行
われ、幅端部の中心偏析が大幅に改善され、幅方向全域
で均一組成であり、かつ中心偏析のない鋳片を製造する
ことが可能になった。
【図1】(a)は本発明の鋳型の一例を示す横断面図で
ある。(b)は本発明の鋳型の長辺面の一例を示す図で
ある。
ある。(b)は本発明の鋳型の長辺面の一例を示す図で
ある。
【図2】本発明の鋳型の他の一例を示す横断面図であ
る。
る。
【図3】本発明の鋳型を連続鋳造方法に適用した場合の
一例を示す断面図である。
一例を示す断面図である。
【図4】スラブの不均一凝固形成の概念図を示し、
(a)は鋳造中のスラブの横断面の概念図、(b)は鋳
造中のスラブの縦断面の概念図、(c)は製品スラブの
中心偏析発生状況の概念図である。
(a)は鋳造中のスラブの横断面の概念図、(b)は鋳
造中のスラブの縦断面の概念図、(c)は製品スラブの
中心偏析発生状況の概念図である。
【図5】スラブの不均一凝固の原因の1つと考えられる
浸漬ノズルから吐出される溶鋼の流れを示す概念図であ
る。
浸漬ノズルから吐出される溶鋼の流れを示す概念図であ
る。
【図6】スラブの長辺面および短辺面の収縮量の分布図
である。
である。
【図7】本発明の鋳型における強テーパ部と低テーパ部
の鋳造方向の熱伝達係数分布図でる。
の鋳造方向の熱伝達係数分布図でる。
【図8】本発明の鋳型を使用した場合の不均一凝固改善
状況を示す概念図である。
状況を示す概念図である。
【図9】スラブの不均一凝固量の指数Dmax−Dmin の
定義図である。
定義図である。
【図10】本発明の鋳型使用時と従来鋳型使用時のそれぞ
れの未凝固厚み差(Dmax−Dmin)の鋳造後の経時的変
化を示す図である。
れの未凝固厚み差(Dmax−Dmin)の鋳造後の経時的変
化を示す図である。
【図11】本願出願人の出願に係る特願平4−24760
号の出願において提案された段差厚鋳型の概念図であ
る。
号の出願において提案された段差厚鋳型の概念図であ
る。
【図12】本発明実施例における鋳型の長辺面幅方向テー
パ分布を示す図である。
パ分布を示す図である。
1 水冷銅鋳型長辺面 1’ 水冷銅鋳型短辺面 1−a 強テーパ部 1−b 低テーパ部 1−g 特願平4−24760号の発明における段差厚
鋳型の段差部 2 浸漬ノズル 3 溶融金属 4 凝固シェル 5 パウダー 6 サポートロール群 7 圧下ロール群 8 ピンチロール
鋳型の段差部 2 浸漬ノズル 3 溶融金属 4 凝固シェル 5 パウダー 6 サポートロール群 7 圧下ロール群 8 ピンチロール
Claims (1)
- 【請求項1】 相対向する一対の長辺面と相対向する一
対の短辺面によって内壁が構成され、かつ内壁によって
画定される鋳造空間の断面積を入側から出側に向かって
減少させるように各辺面にテーパをつけた断面長方形の
スラブの連続鋳造用鋳型において、長辺面の幅をWとし
たとき、鋳込み方向の中心線を挟む1/2Wの範囲の長
辺面のテーパに対し、その両側の短辺面から長辺中心線
に向かう1/4Wの範囲の長辺面のテーパをより大きく
したことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30343293A JPH07132348A (ja) | 1993-11-09 | 1993-11-09 | 連続鋳造用鋳型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30343293A JPH07132348A (ja) | 1993-11-09 | 1993-11-09 | 連続鋳造用鋳型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07132348A true JPH07132348A (ja) | 1995-05-23 |
Family
ID=17920938
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30343293A Pending JPH07132348A (ja) | 1993-11-09 | 1993-11-09 | 連続鋳造用鋳型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07132348A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007152431A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-21 | Km Europ Metal Ag | 金属の連続鋳造用鋳型 |
-
1993
- 1993-11-09 JP JP30343293A patent/JPH07132348A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007152431A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-21 | Km Europ Metal Ag | 金属の連続鋳造用鋳型 |
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