JPH08243696A - 連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造方法

Info

Publication number
JPH08243696A
JPH08243696A JP4969095A JP4969095A JPH08243696A JP H08243696 A JPH08243696 A JP H08243696A JP 4969095 A JP4969095 A JP 4969095A JP 4969095 A JP4969095 A JP 4969095A JP H08243696 A JPH08243696 A JP H08243696A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slab
nozzle
sectional area
molten steel
solidification
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4969095A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinori Tanizawa
好徳 谷澤
Koji Takatani
幸司 高谷
Kozo Ota
晃三 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP4969095A priority Critical patent/JPH08243696A/ja
Publication of JPH08243696A publication Critical patent/JPH08243696A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)
  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】中心偏析のない鋳片を得ることができる連続鋳
造方法の提供。 【構成】浸漬ノズルを用いて行う溶鋼の連続鋳造方法で
あって、ノズルの底部と横部とに下記式の関係を満足
する溶鋼吐出孔を備えたノズルを用いて鋳造し、続い
て、鋳片の未凝固領域を連続的に圧下する連続鋳造方
法。S1 =(α・S2 ・S3 )/(W・T・V)・・・
・・ただし、S1 :ノズル底部吐出孔開孔部の断面積
又は投影断面積(m2) S2 :ノズル横部吐出孔開孔部の断面積又は投影断面積
(m2) S3 :ノズル本体内孔の断面積(m2) α:0.5 〜40.0の範囲の値をとる係数(m/min) W:鋳型幅(m) 、T:鋳型厚(m) 、V:鋳造速度(m/mi
n) 【効果】凝固のクレータエンド形状を制御して最適に改
善し、鋳片の未凝固領域における圧下を効果的に行うこ
とができ、鋳片幅方向全域において均一組成で、かつ中
心偏析のない鋳片の製造が達成可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶鋼の連続鋳造に際
し、鋳片中心にみられる微量元素の偏析を防止し、均質
な製品を得るために、鋳片内に残留する未凝固溶鋼(以
下、残溶鋼という)の流動を制御することができる浸漬
ノズルを用いる連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造は、鋳型内に注入された溶鋼を
鋳型内の冷却水により一次冷却して外皮に凝固シェルを
形成し、続くガイドロール群内で二次冷却して凝固を促
進し、完全に凝固した鋳片をピンチロールで引き抜いて
連続的に鋳片を製造する方法である。このような連続鋳
造方法においては、しばしば中心偏析と呼ばれる内部欠
陥が問題となる。
【0003】中心偏析は、鋳片の厚み方向中心部(最終
凝固部)でC、S、SiおよびMnなどの溶鋼成分が正
偏析する現象である。この現象は厚板用素材において特
に深刻な問題であり、偏析部分における靭性の低下や水
素誘起割れの原因となることが知られている。
【0004】このような中心偏析は、凝固末期における
デンドライト(樹枝状晶)間の残溶鋼が、鋳片の凝固収
縮あるいは凝固シェルのバルジング等の原因により、最
終凝固部のクレータエンドに向かってマクロ的に移動す
ること、および濃化溶鋼が局部的に集積するために起こ
ることがわかっている。
【0005】従って、中心偏析防止対策としては、凝固
先端部付近をロール、金型などを用いる何らかの方法で
圧下するなどして残溶鋼の移動や濃化溶鋼の集積を阻止
する方法があり、種々の思想に基づく方法が提案されて
きた。
【0006】例えば、特開昭63−252655号公報
では、鋳片表面に噴射される二次冷却水量を増量するこ
とにより、鋳片最終凝固部の鋳片表面温度を700〜8
00℃の温度範囲とし、凝固シェル厚さを厚くすること
によりロール間バルジングを抑制し、さらに軽圧下ロー
ル群で毎分0.2〜0.4%の歪み速度の圧下力を鋳片
に加えることにより濃化溶鋼の流動を阻止し、中心偏析
を防止する方法が提案されている。
【0007】上記の圧下ロール群による軽圧下では、鋳
片長手方向に対して点状にしか圧下できないので、凝固
収縮やバルジングを十分に防止することができない。ま
た、各圧下が集中荷重として働くので凝固界面に内部割
れが発生し易く、圧下量を大きくとれない欠点がある。
【0008】鋳片の凝固完了点近傍を平面状の金型で連
続的に鍛圧加工する方法では、設備コストが非常に高く
なり、また圧下量が大きいため、濃化溶鋼が鋳片中心部
に入りにくくなって逆に負偏析を生じ易いという欠点が
ある。これを解消する方法として、特開昭61−424
60号公報の連続鋳造方法が提案されている。
【0009】上記特開昭61−42460号公報の方法
は、凝固完了点の上流側に設置した電磁撹拌装置あるい
は超音波印加装置を用いて溶鋼流動によりデンドライト
を切断し、クレータエンド付近に等軸晶域が形成される
ようにした上で、凝固完了点直前に配置した一対の圧下
ロールにより3mm以上の大圧下を与えて強制的に凝固
完了点を形成し、割れを発生させることなく中心偏析を
解消するようにしたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の中心偏析改善方法は、ロール圧下または金型圧下
のいずれの手段を採用しても、鋳片の幅方向の凝固不均
一がある場合、鋳片幅方向で均一な圧下ができないた
め、凝固が遅れた鋳片幅方向両端部で中心偏析が悪化す
るという欠点を有している。図5により、この問題を詳
述する。
【0011】図5(a) は、従来の連続鋳造装置の縦断面
図、図5(b) は浸漬ノズル、鋳片および凝固の進行を示
す斜視図、図5(c) は図5(b) に示す(c) 位置での鋳片
の横断面図、図5(d) は鋳片の凝固が完了した後の鋳片
の横断面図である。図5において、1’は浸漬ノズル、
1’aは横部吐出孔(2孔)、2は鋳型、3は溶鋼、
4’は鋳片、Wは鋳型幅、Aは中心偏析、Bは未凝固領
域(残溶鋼部)、SHは凝固シェル、CE’はクレータ
エンド、Fodは溶鋼下降流、Fouは鋳片4’の中心を上
昇する溶鋼上昇流、Fo は大きな溶鋼循環下降流であ
る。
【0012】図5(b) において、矢印を付けた波状の線
は、鋳片の該当部における厚み方向中央部での凝固速度
分布を示すものである。上向きは凝固速度がプラス方向
で凝固が進行すること、下向きはその逆で遅くなること
を意味する。溶鋼3の凝固は、鋳片幅方向に冷却が均一
であっても、図5(b) に示すような残溶鋼の流動が上昇
流(Fou)となっている幅方向中央部では速く、下降流
(Fod)となっている幅方向端部では遅く、幅方向で不
均一に進行する。
【0013】このように鋳片4’の幅方向に凝固不均一
がある場合、図5(c) に示すように、幅中心部(1/4
幅〜3/4幅)に比較して幅端部(1/4幅〜エッジ
側、3/4幅〜エッジ側)において凝固の進行が遅い場
合、鋳片幅方向で均一な圧下ができないため、凝固が遅
れた鋳片幅方向の両端部で図5(d) に示す中心偏析Aが
悪化する。
【0014】この鋳片幅方向の凝固不均一は、図2(a)
に示す従来の連続鋳造機において、通常、二つの吐出孔
1’aを鋳片幅方向の外側に向けて若干下向きに形成し
た2孔ノズルと呼ばれる浸漬ノズル1’を使用している
ために生ずる。すなわち、この2孔の浸漬ノズル1’か
ら鋳型2内に溶鋼3を吐出すると、鋳片4’の短辺に沿
って下降する下降流Fod、および鋳片4’の中心を上昇
する上昇流Fouからなる大きな循環下降流Fo が未凝固
領域B内に形成され、この循環下降流Fo により鋳片
4’内の均一な冷却が不可能になることによる。
【0015】これにより、未凝固領域Bの最終凝固部に
おける凝固シェルSHの厚さが、図5(c) に示すように
鋳片幅方向の中央部では厚く、両端部では薄くなる。こ
のため、クレータエンドCE’の形状が、図5(b) に示
すように鋳片幅方向の中央部で鋳込み上流側に凹み、両
端部で鋳込み下流側に突出して不均一となる。この状態
で、鋳片4’が図示しない圧下ロール群で圧下を受ける
と、鋳片4’の幅方向両端部で凝固収縮に見合った圧下
力が得られず、この両端部に濃化溶鋼が流入、集積し
て、図5(d) に示す中心偏析Aが生ずることになるので
ある。
【0016】特開平5−185186号公報には、この
ような鋳片幅方向の凝固不均一を解消して中心偏析を改
善する方法として、図6の側面方向の縦断面図に示すよ
うに鋳型2の長辺2aの鋳片幅方向中央部に長辺2aの
長さの50〜80%の範囲にわたり、深さ1.0〜5.
0mmの凹部2bを形成し、鋳片4’の幅方向中央部に
形成された凸部により、鋳片幅方向にわたって均等な残
溶鋼部Bの厚みを確保する方法が提案されている。
【0017】しかし、この方法で十分な効果を得るため
には、鋳片凸部を3mm以上に設定することが必要であ
るため、鋳片のパスラインの設定が困難となり、また段
差部での鋳片バルジングにより、内部割れが誘発され易
い。
【0018】材料とプロセス、Vol.2(1989)、P.1159あ
るいは特開平1−178355号公報には、図7(a) に
示すように、ガイドロール群5’のガイドロールの鋳片
厚さ方向の間隔を段階的に増加させることにより、鋳片
4’に強制的にバルジングを起こし、鋳片4’の厚さを
鋳型2の短辺の2〜3倍としたクレータエンド付近で圧
下ロール群6’の小径ロールにより軽圧下を行い、バル
ジングにより濃化溶鋼を浮上拡散させると共に、この軽
圧下により濃化溶鋼の降下を阻止して中心偏析を防止
し、その後さらにピンチロール群7’で圧下する方法が
提案されている。
【0019】図7(b) は、図7(a) の (1)〜(3) の位置
における鋳片の横断面と上記のバルジングを示す図であ
る。
【0020】しかしこの方法では、凝固末期において、
図7(b) の (3)に示すように横断面が太鼓型の鋳片4’
をピンチロール群7’で圧下する必要があるため、鋳片
幅中央部の圧下量が大きくなり、幅方向で均一圧下を行
うことは困難である。
【0021】その他の中心偏析改善方法として、電磁撹
拌を特定範囲で加える方法(特開平63−157749
号公報)や超音波振動を鋳片に印加する方法(特開平1
−113157号公報)があるが、いずれも鋳片幅方向
に不均一凝固がある場合には根本的な解決には至らなか
った。
【0022】本発明は、上述のような問題点を解消すべ
くなされたものである。本発明の目的は、溶融金属の流
動、特に鋳片両短辺に沿う下降流に起因する鋳片幅方向
の不均一凝固を解消し、最適な未凝固領域、すなわちク
レータエンド形状を形成させることにより、中心偏析の
ない鋳片を得ることができる連続鋳造方法を提供するこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の連
続鋳造方法にある。
【0024】浸漬ノズルを用いて行う溶鋼の連続鋳造方
法であって、ノズルの底部と横部とに下記式の関係を
満足する溶鋼吐出孔を備えた浸漬ノズルを用いて鋳造
し、続いて、鋳片の未凝固領域を連続的に圧下すること
を特徴とする連続鋳造方法。
【0025】 S1 =(α・S2 ・S3 )/(W・T・V)・・・・・ ただし、S1 :ノズル底部吐出孔開孔部の断面積または
投影断面積(m2 ) S2 :ノズル横部吐出孔開孔部の断面積または投影断面
積(m2 ) S3 :ノズル本体内孔の断面積(m2 ) W:鋳型幅(長辺側内のり幅)(m) T:鋳型厚(短辺側内のり幅)(m) V:鋳造速度(m/min) α:0.5〜40.0の範囲の値をとる係数(m/mi
n) 上記の浸漬ノズルのS1 およびS2 は、独立した複数吐
出孔構造の場合には断面積、一体型吐出孔構造の場合に
は投影断面積を用いる。
【0026】この発明は、浸漬ノズルから鋳型内に供給
した溶鋼を冷却しつつ引き抜いて鋳片を連続的に製造す
るに際し、浸漬ノズルの底部にも鋳込み方向の吐出孔を
設け、その断面積または投影断面積S1 が上記の関係を
満足するような構造のノズルを用いることにより、クレ
ータエンドの形状を適切に制御するとともに、鋳片の未
凝固領域における凝固シェル厚を鋳片幅方向に最適化し
つつ、この未凝固領域を連続的に圧下し、中心偏析を防
止するものである。
【0027】
【作用】本発明に係わる浸漬ノズルと、このノズル使用
時の作用効果を、図1および図2よって説明する。
【0028】図1(a) は、本発明方法で用いる浸漬ノズ
ルの構造例を示す一部破断縦断面図である。図示するよ
うにこの浸漬ノズル1の場合は、鋳片短辺に向けて若干
下向きに形成された一対の横部吐出孔1a(開孔部断面
積S2 )と鋳込み方向(下流)に向けた一つの底部吐出
孔1b(開孔部断面積S1 )とを備えている。ノズル本
体内孔の断面積S3 は、図1(a) に示す浸漬ノズル1の
本体内孔の内径d部の断面積である。
【0029】横部吐出孔1aおよび底部吐出孔1bの開
孔部断面の形状は、成形加工性を良好とするため角状、
ノズル本体内孔の断面の形状は、成形加工性向上、強度
向上および介在物付着によるノズル詰まり防止を目的と
して丸状、とするのがそれぞれ望ましい。
【0030】図1(b) は、上記ノズル1を用いて溶鋼を
供給(以下、給湯という)し、連続鋳造する場合を示す
縦断面図、図1(c) は浸漬ノズル、鋳片および凝固の進
行を示す斜視図である。
【0031】図1(b) 、図1(c) において、f1 は鋳型
2の短辺近傍での溶鋼上昇流、F1は鋳片4の幅方向中
央部での比較的強い下降流、V1 は鋳片4の幅方向中央
部の凝固が鋳込み方向(下流)に向かって凸状に進む速
度分布を意味する。
【0032】図 1(b) に示すように、給湯時の溶鋼流動
パターンでは、鋳片4の幅方向中央部で比較的強い下降
流F1 、短辺近傍で上昇流f1 となり、鋳片4の幅方向
中央部の凝固が鋳込み方向(下流)に向かって凸状に進
む速度分布V1 が得られる。
【0033】鋳片4の幅方向中央部での比較的強い下降
流F1 の作用によって、図1(c) に示すように、幅方向
中央部で下流側に向かって一つ凸状を有するクレータエ
ンドCEが形成され、図5(b) に示すような、鋳片幅方
向の中央部で鋳込み上流側に凹み、両端部で鋳込み下流
側に突出して不均一となるようなクレータエンドCE’
は形成されない。
【0034】図1(d) は、上記の効果により、鋳片4の
最終凝固部において凝固シェルSHの厚さが鋳片幅方向
中央部で薄く、両端部で厚くなる状況を示す鋳片4の横
断面図である。
【0035】本発明方法では、上記のような鋳込み状況
を効果的に達成するために、下記実験式で定める関係
を満たす構造の、図1(a) に示す浸漬ノズルを用いるの
である。
【0036】 S1 =(α・S2 ・S3 )/(W・T・V)・・・・・ ただし、S1 :ノズル底部吐出孔開孔部の断面積
(m2 ) S2 :ノズル横部吐出孔開孔部の断面積(m2 ) S3 :ノズル本体内孔の断面積(m2 ) W:鋳型幅(長辺側内のり幅)(m) T:鋳型厚(短辺側内のり幅)(m) V:鋳造速度(m/min) α:0.5〜40.0の範囲の値をとる係数(m/mi
n) ここで下降流F1 が大きすぎると、すなわち底部吐出孔
の開孔部の断面積S1が大きすぎると、図1(c) に示す
湾曲型連続鋳造機の場合、下降流F1 が凝固シェルSH
の下(地)側に衝突し、凝固シェルSHの再溶解により
ブレークアウト等のトラブルが生じる。また、湾曲型連
続鋳造機以外でも、横部吐出孔からの吐出流が小さくな
りすぎることによりメニスカスへの熱供給が不充分とな
り、皮張りやパウダー流入不足等による品質トラブルが
発生する。
【0037】係数αの最大値が40.0となるのは、上
記のトラブル発生を防止するためであり、実験によって
得られた値である。
【0038】逆に、下降流F1 下が小さすぎると、すな
わち底部の吐出孔断面積S1 が小さすぎると、溶鋼流動
パターンが鋳片幅方向中央部で適切な効果を与える下降
流にならず、従来法と同様の上昇流となり、目的とする
効果が得られなくなる。さらに、溶鋼金属の種類によっ
ては浮遊している介在物が付着し、底部の吐出孔を詰ま
らせるトラブルも発生する。これが、係数αの最小値を
0.5とする理由であり、この値も実験によって得られ
た値である。
【0039】以上の方法により、図1(d) に示すよう
に、未凝固領域Bの最終凝固部における凝固シェルSH
の厚さが鋳片幅方向中央部で薄く、両端部で厚くなり、
未凝固領域Bの横断面形状は最適な防錘型となる。
【0040】図2は本発明方法で用いる浸漬ノズルの他
の構造例を示す図である。図2(a)は一部破断縦断面
図、図2(b) は横部吐出孔形状を示す横方向の投影図、
図2(c) は底部吐出孔形状を示す下方向の投影図であ
る。図示するようにこの場合では、浸漬ノズル1は、鋳
片短辺に向けて若干下向きに形成された横部吐出孔と鋳
造方向に向けた底部吐出孔とが一体となった構造を有し
ている。
【0041】横部吐出孔の横方向開孔部の投影断面は、
図2(b) に示すようにβ、γおよびδの各寸法からなる
形状を有し、斜線部が横部吐出孔の開孔部投影断面積S
2 となる。一方、底部吐出孔は、図2(c) に示すように
η、εおよびζの各寸法からなる形状を有し、斜線部が
底部吐出孔の開孔部投影断面積S1 となる。浸漬ノズル
1の本体内孔の断面積S3 は、前述の図1(a) の場合と
同様である。
【0042】上述の図2に示す浸漬ノズルを用いる場合
においては、下記実験式で定める関係を満たす構造と
する。
【0043】 S1 =(α・S2 ・S3 )/(W・T・V)・・・・・ ただし、S1 :ノズル底部吐出孔開孔部の投影断面積
(m2 ) S2 :ノズル横部吐出孔開孔部の投影断面積(m2 ) S3 :ノズル本体内孔の断面積(m2 ) W:鋳型幅(長辺側内のり幅)(m) T:鋳型厚(短辺側内のり幅)(m) V:鋳造速度(m/min) α:0.5〜40.0の範囲の値をとる係数(m/mi
n) ここで、αの限定理由は前述と同じである。
【0044】図3は、図2に示す浸漬ノズル1を用いて
給湯し、連続鋳造する場合の浸漬ノズル、鋳片および凝
固の進行を示す斜視図である。図3において、f2 は鋳
型の短辺近傍での溶鋼上昇流、F2 は鋳片4の幅方向中
央部で比較的均一化された下降流、V2 は鋳片4の幅方
向中央部の凝固が鋳込み方向(下流)に向かって滑らか
な凸状で進む速度分布を意味する。
【0045】図3に示すように、この場合の給湯時の溶
鋼流動パターンでは、特に底部の吐出孔の開孔部形状が
図1の場合と異なるため、下降流F2 は鋳片幅方向に比
較的均一化された下降流となり、鋳片4の幅方向中央部
の凝固が下流に向かって滑らかな凸状で進む速度分布V
2 が得られる。鋳片4の幅方向中央部での比較的均一化
された下降流F2 の作用によって、図3に示すように、
鋳片幅方向中央部で下流側に向かって滑らかな凸状のク
レータエンドCEが形成され、この場合も同様に図5
(b) に示すような、鋳片幅W方向の中央部で鋳込み上流
側に凹み、両端部で鋳込み下流側に突出して不均一とな
るようなクレータエンドCE’は形成されないのであ
る。
【0046】図4は、本発明方法を適用する湾曲型連続
鋳造装置の構成例を示す概略の側面方向の縦断面図であ
る。この装置は、図示するように、図1(a) および図2
に示す構造の浸漬ノズル1、鋳型2、サポートロール群
5、圧下ロール群6およびピンチロール7を備えている
ものである。この装置では、溶鋼3が浸漬ノズル1によ
り鋳型2内に鋳込まれ、鋳型2内の一次冷却により鋳型
2表面に凝固シェルSHが形成される。鋳片4は続くサ
ポートロール群5でのスプレー水等による二次冷却によ
り凝固が促進され、圧下ロール群6の範囲内で完全凝固
し、ピンチロール7で引き出される。
【0047】前述の図1(c) 、図1(d) および図3に示
すような未凝固領域Bを持つ鋳片4は、その凝固収縮量
に応じた圧下が可能となり、凝固末期において圧下ロー
ル群6で圧下を受けると、鋳片4はその凝固収縮に見合
った圧下力で圧下され、この圧下力により濃化溶鋼の流
入、集積が阻止され、中心偏析が防止される。本発明方
法では、前記のような構成からなる装置であれば、湾曲
型連続鋳造装置だけでなく、垂直型に適用しても、上記
と同じ効果を得ることができる。
【0048】なお、給湯に使用する浸漬ノズルの本数、
底部吐出孔と横部吐出孔の個数、吐出位置、吐出角度お
よび形状を変更することにより、未凝固領域内の下降
流、すなわち未凝固領域Bの最終凝固部における凝固シ
ェルの横断面形状を種々に制御することができる。
【0049】さらに、鋳型内への給湯では、作業性や製
造コストの面から通常、1本の浸漬ノズルが用いられて
いるが、2本以上を用いることもできる。例えば、浸漬
ノズルを1本使用する場合には、鋳型内での不均一防止
の観点から、浸漬ノズルの浸漬位置は、図1に示すよう
に鋳型の幅と厚さとのいずれにおいても中央部にあるの
が望ましい。
【0050】底部吐出孔の個数、位置および形状は、鋳
型幅1/2面と鋳型厚1/2面とのいずれに対しても対
称であるのが望ましい。これは、浸漬ノズルを2本以上
使用する場合においても同様である。
【0051】望ましい浸漬ノズルの構造と鋳造条件の範
囲は、次のとおりである。
【0052】 (イ)図1(a) に示す構造の場合 ノズル本体内孔の内径:30.0〜150.0mmφ 横部吐出孔形状:20.0〜150.0×20.0〜150.0mm角 底部吐出孔形状:5.0〜100.0×5.0〜100.0mm角 (ロ)図2に示す構造の場合 ノズル本体内孔の内径:30.0〜150.0mmφ 横部吐出孔形状:β=5.0〜100.0mm γ=5.0〜150.0mm δ=5.0〜150.0mm 底部吐出孔形状:η=5.0〜100.0mm ε=50.0〜300.0mm ζ=1.0〜50.0mm 溶鋼過熱度ΔT:10〜60℃ 鋳造速度:0.4〜3.0m/min 凝固末期未凝固域圧下:圧下ゾーン長=1.0〜10m、 圧下勾配=0.2〜30.0mm/m
【0053】
【実施例】図1(a) と図2とに示す浸漬ノズル1を、図
4に示す湾曲型連続鋳造装置に組み込んで、厚板用炭素
鋼鋳片を鋳造した。
【0054】鋳造では、レードル、タンディッシュを経
た溶鋼を、図4に示すように、浸漬ノズル1により鋳型
2内に注入し、鋳型2内の一次冷却により鋳片4の表面
に凝固シェルSHを形成させ、続くサポートロール群5
内でスプレー水等による二次冷却により凝固を促進し、
圧下ロール群6内で完全凝固させた。次いで、凝固末期
のクレータエンド部分をその前後の所定範囲にわたって
圧下ロール群6により軽圧下を行いながら、ピンチロー
ル7で引き出した。
【0055】上記試験の具体的鋳造条件を次に示す。
【0056】 (1)装置仕様、鋳造条件 連続鋳造機:湾曲型連鋳機(湾曲半径:12.5m) 鋳片サイズ:250mm(厚み)×2000mm(幅) 鋼種:〔C〕=0.15〜0.20%、厚板用40 k鋼 溶鋼過熱度ΔT:20℃ 鋳造速度 :0.8m/min 凝固末期圧下:圧下ゾーン長5m、圧下勾配1mm/m (2)浸漬ノズルの仕様 (イ)本発明例1(図1(a) に示す構造の場合) ノズル本体内孔の内径:85mmφ 横部吐出孔形状:80×80mm角 底部吐出孔形状:40×40mm角 (ロ)本発明例2(図2に示す構造の場合) ノズル本体内孔の内径:80mmφ 横部吐出孔形状:β=20mm、γ=40mm、δ=80mm 底部吐出孔形状:η=20mm、ε=150mm、ζ=1.0mm αの値は、(イ)では8.8m/min、(ロ)では3
1.3m/minを用いた。
【0057】比較例として、下記構造の底部吐出孔のな
い従来の2孔浸漬ノズルによる連続鋳造を行い、この場
合も圧下ロール群で凝固末期軽圧下を行った。
【0058】ノズル本体内孔の内径:85mmφ 横部吐出孔形状:75×75mm角 評価は、完全凝固後の各鋳片厚み方向中心における鋳片
幅方向の炭素(C)偏析度分布で行った。表1にこの結
果を示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1から明らかなように、本発明例では鋳
型内への給湯方法を変更することにより、凝固のクレー
タエンドの形状を改善し、鋳片の未凝固領域における圧
下を効果的に行うことができ、比較例と比べて鋳片エッ
ジに近い部分の中心偏析が大幅に改善され、幅方向に均
一な組成の鋳片を製造することができた。
【0061】
【発明の効果】本発明方法によれば、鋳片の未凝固領域
における鋳片幅方向中央部に適正な下降流を形成するこ
とにより、凝固のクレータエンド形状を制御して最適に
改善し、鋳片の未凝固領域における圧下を効果的に行う
ことができる。この結果、鋳片幅方向全域において均一
組成で、かつ中心偏析のない鋳片の製造が達成可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実現するための装置と本発明方法
の例を説明する図である。(a)は浸漬ノズルの構造例を
示す一部破断縦断面図、(b) はこのノズルを用いて連続
鋳造する場合を示す縦断面図、(c) は浸漬ノズル、鋳片
および凝固の進行を示す斜視図、(d) は凝固後鋳片の横
断面図である。
【図2】本発明方法で用いる浸漬ノズル構造の他の例を
説明する図である。(a) は浸漬ノズルの一部破断縦断面
図、(b) は横方向の投影図、(c) は下方向の投影図であ
る。
【図3】図2に示す浸漬ノズルを用いる場合の、浸漬ノ
ズル、鋳片および凝固の進行を示す斜視図である。
【図4】本発明方法を実現するための連続鋳造装置の構
成例を示す概略の側面方向の縦断面図である。
【図5】従来の連続鋳造装置と方法を説明する図であ
る。(a) は縦断面図、(b) は斜視図、(c) は鋳片の横断
面図、(d) は中心偏析を示す鋳片の横断面図である。
【図6】従来の、鋳片幅方向の凝固不均一を解消するた
めの鋳型と鋳片を示す水平断面図である。
【図7】従来の、鋳片幅方向の凝固不均一を解消するた
めの連続鋳造装置と方法を説明する図である。(a) は装
置の側面方向縦断面図、(b) は鋳片の横断面図である。
【符号の説明】
1,1’:浸漬ノズル、 1a,1’a:横部吐出孔、
1b:底部吐出孔、2:鋳型、 2a:鋳型長辺、
2b:凹部、 3:溶鋼、4,4’:鋳片、 5:サ
ポートロール群、 5’:ガイドロール群、6,
6’:圧下ロール群、7,7’:ピンチロールまたはピ
ンチロール群、A:中心偏析、 B:未凝固領域、
CE,CE’:クレータエンド、SH:凝固シェル、
W:鋳型幅、 d:ノズル本体内孔の内径、f1
ou:溶鋼上昇流、 F1 ,F2 ,Fod:溶鋼下降流、
o :溶鋼循環下降流、 V1 ,V2 :凝固速度分布
図2において、S1 :ノズル底部吐出孔開孔部の投影断
面積、S2 :ノズル横部吐出孔開孔部の投影断面積、
η,ε,ζ:S1 を示す寸法、β,γ,δ:S2 を示す
寸法

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】浸漬ノズルを用いて行う溶鋼の連続鋳造方
    法であって、ノズルの底部と横部とに下記式の関係を
    満足する溶鋼吐出孔を備えた浸漬ノズルを用いて鋳造
    し、続いて、鋳片の未凝固領域を連続的に圧下すること
    を特徴とする連続鋳造方法。 S1 =(α・S2 ・S3 )/(W・T・V)・・・・・ ただし、S1 :ノズル底部吐出孔開孔部の断面積または
    投影断面積(m2 ) S2 :ノズル横部吐出孔開孔部の断面積または投影断面
    積(m2 ) S3 :ノズル本体内孔の断面積(m2 ) W:鋳型幅(長辺側内のり幅)(m) T:鋳型厚(短辺側内のり幅)(m) V:鋳造速度(m/min) α:0.5〜40.0の範囲の値をとる係数(m/mi
    n)
JP4969095A 1995-03-09 1995-03-09 連続鋳造方法 Pending JPH08243696A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4969095A JPH08243696A (ja) 1995-03-09 1995-03-09 連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4969095A JPH08243696A (ja) 1995-03-09 1995-03-09 連続鋳造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08243696A true JPH08243696A (ja) 1996-09-24

Family

ID=12838187

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4969095A Pending JPH08243696A (ja) 1995-03-09 1995-03-09 連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08243696A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1177269A (ja) * 1997-09-10 1999-03-23 Kobe Steel Ltd 連続鋳造方法
JPH11347701A (ja) * 1998-06-12 1999-12-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造方法および連続鋳造機

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1177269A (ja) * 1997-09-10 1999-03-23 Kobe Steel Ltd 連続鋳造方法
JPH11347701A (ja) * 1998-06-12 1999-12-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造方法および連続鋳造機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100208699B1 (ko) 박주편의연속주조방법
JP6947737B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP6365604B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JPH08243696A (ja) 連続鋳造方法
CN109689247B (zh) 钢的连续铸造方法
US4582114A (en) Continuous casting apparatus for the production of cast sheets
CN109794589A (zh) 一种预防csp连铸坯纵裂缺陷的工艺控制方法
JP2867894B2 (ja) 連続鋳造方法
JP3526705B2 (ja) 高炭素鋼の連続鋳造方法
US4298050A (en) Process for continuous casting of a slightly deoxidized steel slab
JP2000033461A (ja) 連続鋳造鋳型
JPH09192806A (ja) スラブの連続鋳造方法
JPH0947852A (ja) 連続鋳造法および浸漬ノズル
JPH11156511A (ja) 鋼スラブ連続鋳造方法
JP3111954B2 (ja) 連続鋳造方法
JPH07178526A (ja) 連続鋳造方法および装置
JPH09122861A (ja) 連続鋳造スラブの二次冷却方法
JP3077572B2 (ja) 連続鋳造方法
JP3114679B2 (ja) 連続鋳造方法
JP3111953B2 (ja) 連続鋳造方法
JPH11192539A (ja) 耐内部欠陥に優れたクロム含有溶鋼の連続鋳造方法
JP3042324B2 (ja) 広幅薄鋳片連続鋳造用ダミーバヘッド
JP2991073B2 (ja) 広幅薄鋳片の鋳造方法
JPH0760424A (ja) 連続鋳造方法
JPS63126651A (ja) ベルト式連続鋳造方法