JP3111953B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造方法

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JP3111953B2
JP3111953B2 JP09327884A JP32788497A JP3111953B2 JP 3111953 B2 JP3111953 B2 JP 3111953B2 JP 09327884 A JP09327884 A JP 09327884A JP 32788497 A JP32788497 A JP 32788497A JP 3111953 B2 JP3111953 B2 JP 3111953B2
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和弘 荒井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造装置のガ
イドロールの間隔を広げて鋳片にバルジングを生じさせ
た後に圧下して、鋼鋳片の中心偏析を軽減する連続鋳造
方法に関し、特に、鋳込み開始時の操作に特徴のある連
続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法で鋼鋳片を製造する場合に
は、しばしば中心偏析と呼ばれる内部欠陥が発生し問題
となる。この中心偏析は、鋳片の厚み方向中心部の最終
凝固部に溶鋼中のC、Mn、S、Pなどの成分元素が濃化
して正偏析する現象である。この現象は、厚板鋼材にお
いて特に深刻な問題であり、偏析部分における靱性の低
下や水素誘起割れの原因となることが知られている。
【0003】このような中心偏析の発生原因は、凝固末
期における樹枝状晶間にC、Mn、S、Pなどの成分元素
が濃化した溶鋼が残り、鋳片厚み方向中心部でそのまま
凝固すること、および凝固時の収縮またはバルジングと
呼ばれる鋳片の膨れによる溶鋼流動により、最終凝固部
の凝固完了点に向かって溶鋼がマクロ的に移動すること
にある。
【0004】従来、鋳片のバルジングは、中心偏析の一
因となるから、できるだけ避けるべきものとされてい
た。しかし、近年バルジングを積極的に発生させ、その
後そのバルジング相当量を圧下することによって中心偏
析を少なくする、という発明が下記のようにいくつか提
案されている。以下、この方法を「バルジング−圧下
法」という)図7は、これまでに提案されたバルジング
−圧下法の原理を示す垂直型連続鋳造装置の模式的断面
図である。
【0005】鋳型1と鋳片2の液層線クレータエンド9a
との間で凝固シェル2aにバルジング力を作用させ、次い
で、液層線クレータエンド9aと固相線クレータエンド9
との間で鋳片に圧下を加える連続鋳造方法(特開昭60-6
254号公報参照)。
【0006】扁平比1.6以下の鋳片2の連続鋳造におい
て、鋳型1の直下に配置されたガイドロール群3の複数組
においてロール間隔を鋳型下端内側厚みよりも広くし、
鋳片厚み方向にバルジングさせ、その後方において他の
ロール5によって鋳片2を0.04〜10%圧下する鋳片の製造
法(特開昭60-21150号公報参照)。
【0007】鋳型1の直下から引き抜き方向に配列さ
れたガイドロール群3を鋳片2の厚さ方向に間隔を段階的
に増加させ、鋳片にバルジングを生じさせ、鋳片の厚さ
を鋳型短辺の2〜3倍とした後、クレータエンド9付近
で小径ロール5によって軽圧下するスラブの連続鋳造方
法(特開平1-178355号公報参照)。
【0008】鋳片2のクレータエンド9のパスラインの
位置に軽圧下ロール群5からなる圧下ゾーンを設け、こ
の圧下ゾーンの前に基準ロール間隔に対してロール間隔
を5.0〜0.5%広げたガイドロール群3からなるバルジン
グ形成ブロックを連設し、鋳片にバルジングを形成さ
せ、続いて4.0〜0.5%の軽圧下を行うブルーム連続鋳造
方法(特開平2-235558号公報参照)。
【0009】鋳片2の中心部の固相率が0.1以下の位置
でバルジングを生ぜしめ、鋳片の最大厚さを鋳型1の短
辺長さよりも20〜100mm厚くし、凝固完了点9の直前で1
対の圧下ロール5あたり20mm以上の圧下を与え、バルジ
ング量相当分を圧下する連続鋳造方法(特開平9-57410
号公報参照)。
【0010】鋳片2の未凝固厚みが30mm以上の位置ま
での間に鋳片にバルジングを生ぜしめ、鋳片の最大厚さ
を鋳型1の短辺長さの10〜50%分厚くし、凝固完了直前
までに少なくとも1対の圧下ロールを用いて鋳片長さあ
たり80mm/m以上の圧下勾配で圧下を与え、バルジング
量相当分を圧下する連続鋳造方法(特開平9-206903号公
報参照)。
【0011】上記〜の方法は、いずれもバルジング
を鋳型直下から発生させる、という考え方に基づいてい
る。また、いずれも定常鋳込み時の諸条件を規定するだ
けで、鋳込み開始時の操作については、何ら触れるとこ
ろがない。
【0012】図2は、通常の湾曲型連続鋳造設備の断面
を示す概要図であり、(a)は鋳込み開始の状況を示す
図、(b)はダミーバー取り出しの状態を示す図である。
【0013】一般に鋼の連続鋳造においては、取鍋で運
搬された溶鋼8をタンディッシュ13にいったん貯留した
後、浸漬ノズル10を介して鋳型1に鋳込み、鋳型による
一次冷却と、続くガイドロール装置3(ローラーエプロ
ン)で湾曲しながら水冷する二次冷却とによって溶鋼を
凝固させる。連続鋳造は、図(a)に示すように、無底の
鋳型1の下部にダミーバー12のヘッド12aを挿入して仮の
底部を形成し、その中に浸漬ノズルから溶鋼を注入する
ことによって開始される。鋳型内の溶鋼の湯面が予め設
定されたレベルに達し、かつ所定厚さの凝固シェルが形
成された後、ダミーバー12の引き抜きを開始し、引き抜
き速度を高めて所定の鋳造速度(定常状態)に移行させ
る ダミーバー12は、単位ブロックをピン結合により連結さ
れた治具であり、鋳型1の上部から挿入される(トップ
装入方式)か、あるいはピンチロールの後段から挿入さ
れ(ボトム装入方式)、その上端に位置するダミーバー
ヘッド12aが鋳型内に配置される。鋳造を開始し定常状
態に移行した後、図(b)に示すようにピンチロール後段
で斜め上方に取り出される。
【0014】鋳造中は、固相線クレータエンドが所定位
置(メニスカスからの位置)を保持するように、タンデ
ィッシュに設けたスライディングノズル14などの流量調
整装置で溶鋼流量を調整しつつ、定常速度で鋳片2を引
き抜く。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】図7に示した従来の
「バルジング−圧下法」には、次のような問題がある。
【0016】(1)バルジングゾーンを鋳型直下からとし
ているために、鋳片のシェルに割れが発生しブレークア
ウトの危険がある。
【0017】(2)鋳造開始時にはバルジングを起こさせ
るタイミングを適正に選ばないと鋳片トップ部の品質が
不良になって、切り捨て量が増大する。
【0018】(3)湾曲型連続鋳造装置では、ダミーバー
ヘッドが早期に鋳片から離脱して、それ以降の鋳造操業
ができなくなることがある。
【0019】これらの問題点を以下に詳しく説明する。
【0020】これまでに提案されたバルジング−圧下法
では、図7に示すようにバルジングゾーンにおけるガイ
ドロール群3は、鋳片2の厚み方向の間隔が鋳片引き抜き
方向に段階的に増加するように予め広げられている。こ
のようにバルジングゾーンのガイドロール群3は、その
間隔が鋳片の厚み方向に予め段階的に広げられているた
め、鋳片2が鋳型1の下端部から出た後に直ちにバルジン
グを起こす。
【0021】図5は、バルジングしたときの鋳片短辺側
の状況を示す図であり、(a) は液相線クレータエンド以
前でバルジングさせた場合、(b)は液相線クレータエン
ド以降でバルジングさせた場合を示す図である。液相線
クレータエンド9a以前でバルジングさせた場合には、図
5(a) に示すように、凝固シェル2aの材料強度が小さい
ためバルジングによって短辺Sが撓み、短辺S側の凝固シ
ェル2a-1の凝固界面側に引張り応力Fが働き、凝固シェ
ル内部に割れCが発生する。
【0022】前記のようにバルジング−圧下法を実施す
る際に、鋳造の開始時点からガイドロールの間隔を広げ
ておくと、鋳造初期の鋳片が鋳型を出て直ぐにバルジン
グを起こす。そうすると、その部分の未凝固溶鋼2aが増
加し、バルジングと同時に鋳型内の湯面が急激に低下す
る現象を引き起こす。通常、このような湯面低下が発生
すると、ブレークアウトなどのトラブルが発生するの
で、これを回避するため、鋳造速度を低下させるか、鋳
造を中止する処置が採られる。しかし、バルジング−圧
下法においては、鋳造速度を低下させると鋳片内部の液
相線クレータエンドと固相線クレータエンドの位置が移
動し、予め設定していた圧下ゾーンの位置が不適当とな
り、鋳片の中心偏析が発生して切り捨て量が増加する。
【0023】さらに、鋳造の開始時点からガイドロール
の間隔を広げておくと、、鋳片先端部からバルジングが
発生することになるので、圧下ゾーンの圧下ロール群の
1本目(メニスカスから数えて最初の1本目)のロール
5-1に過剰な負荷が発生することになる。
【0024】図4 は、バルジング−圧下法を実施する湾
曲型連続鋳造設備の概要を示す模式的断面図である。同
図に示すように、湾曲型連続鋳造設備においては、ガイ
ドロール群3bの下側ロール群(湾曲の外周側)は、芯合
わせの基準とするため、その位置が固定されている。し
たがって、ガイドロールのロール間隔を広げてバルジン
グゾーンを設定するには、上側のガイドロール群3bを移
動させて行われる。本来バルジングゾーンにおけるガイ
ドロール3b内において鋳片の溶鋼静圧によるバルジング
は、鋳片の上側と下側の両側に均等に発生するのである
が、上記のように下側のロール群はその位置が固定され
ているので、引抜き時の鋳片先端部は、ガイドロールの
曲率に対し上側方向にずれることになる。このように、
引き抜中に鋳片先端部が上側にずれると、ダミーバーヘ
ッドがローラーエプロンのガイドロール内で離脱するこ
とがあり、鋳片の引き抜きができなくなる。
【0025】本発明の目的は、上記(1)から(3)までの問
題を解決し、鋳片の内部割れやダミーバーヘッドの離脱
等の操業時のトラブルなしに、中心偏析の少ない鋳片を
歩留まり良く製造する連続鋳造方法を提供することにあ
る。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、図1に
その原理を示すような、下記の連続鋳造方法にある。
【0027】鋳片2の液相線クレータエンド9a相当位置
から固相線クレータエンド9相当位置までの間の所定範
囲(バルジングゾーン)のガイドロール3bの間隔を段階
的に広げ、鋳片をバルジングさせた後、バルジングゾー
ン終端部において圧下ロール群5を用いてバルジング相
当量以下の圧下量で圧下する連続鋳造方法であって、鋳
造開始時には、鋳造速度が定常状態に到達した時点に鋳
込まれた部分がバルジングゾーンの最上段ガイドロール
3b-1を通過した後、バルジングゾーンのガイドロールの
間隔を拡大することを特徴とする連続鋳造方法。
【0028】上記本発明法を湾曲型、または垂直曲げ型
の連続鋳造装置で実施する場合には、バルジングゾーン
のロール間隔を拡大する時点は、「鋳造速度が定常状態
に到達した時点に鋳込まれた部分がバルジングゾーンの
最上段ガイドロール3b-1を通過した後」で、かつ「ダミ
ーバーと鋳片の接合部がバルジングゾーンの最下段ガイ
ドロール3b-nを通過した後」とするのが望ましい。それ
によって、前記のダミーバーヘッドと鋳片の早期離脱を
防止することができる。
【0029】さらに、上記鋳造開始時の鋳片引き抜きに
際し、鋳片先端部の鋳造速度が定常状態に到達するまで
の引き抜き加速度を0.4〜1.0 m/min2とするのが望まし
い。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の方法の特徴の一つは、積
極的なバルジングを鋳片2の液層線クレータエンド9a相
当位置から固相線クレータエンド9相当位置までの間の
所定範囲で発生させることにある。
【0031】先に説明したように、図5は、バルジング
させたときの鋳片短辺側の状況を示す図であり、(a) は
液相線クレータエンド以前でバルジングさせた場合(従
来の方法)、(b)は液相線クレータエンド以降でバルジ
ングさせた場合(本発明の方法)を示す図である。
【0032】液相線クレータエンド9a以降でバルジング
させた場合には、図5(b) に示すように、バルジングに
よる短辺Sの撓みも発生せず、長辺L側の凝固シェル2aが
なだらかに変形することにより、凝固界面の特定の位置
に応力が集中することもなく、凝固シェル内部に割れは
発生しない。
【0033】上記のようにバルジングさせる場合、連続
鋳造機のアラインメント管理や操業のしやすさという点
からも、バルジングゾーンの長さは短くし、その配置位
置は鋳型から遠い方がよい。
【0034】本発明方法のもう一つの大きな特徴は、鋳
造開始時の操作にある。即ち、バルジングゾーンのガイ
ドロール間隔は、鋳造開始時またはその前から拡大して
おくのではなく(換言すれば、鋳造開始時点ではロール
間隔はバルジングを起こさせない通常の間隔にしてお
き)、鋳造を開始してからある時間が経過した時点で拡
大するのである。その時点とは「鋳造速度が定常状態に
到達した時点に鋳込まれた部分がバルジングゾーンの最
上段ガイドロール3b-1を通過した時」である。
【0035】これは、鋳造初期の(まだ定常速度になっ
ていない期間に鋳造された)鋳片部分がバルジングした
場合に生じる鋳型内の溶鋼湯面の低下を小さくするため
である。これにより、鋳造の減速や中断の必要がなくな
る。さらに、ダミーバーと鋳片の接合部がバルジングゾ
ーンの最下段ガイドロールを通過した後、バルジングゾ
ーンのガイドロールの間隔を拡大させれば、湾曲型の連
続鋳造装置でも、ダミーバーヘッドの離脱を防止するこ
とができる。
【0036】図3は、鋳片の引き抜き速度パターンを示
す図である。鋳造開始に当たっては、まず溶鋼をタンデ
ィッシュから浸漬ノズルを介して鋳型へ注湯し(注湯開
始)、一定時間経過して鋳型内の湯面が制御レベルに達
した時点T0(鋳片の引き抜き開始時点)で、鋳片の引き
抜き速度(鋳造速度)を0(零)から第1鋳造速度V1
まで増速する。次いで、第1鋳造速度V1を一定時間保持
した後、ダミーバーヘッドが鋳型下端部を通過する時点
T1において一定加速度αで直線的に増速し、定常鋳造速
度Vcに至らしめる。
【0037】定常鋳造速度Vcに到達する前に鋳込まれた
鋳片には、バルジング−圧下法は適用されない。従っ
て、品質の悪い鋳片先端部の切り捨て量を減らすには、
できるだけ早く定常鋳造速度Vcに到らしめるのが望まし
い。言い換えれば、ダミーバーヘッドが鋳型下端部を通
過する時点(T1)から定常速度(Vc)に達する時間
(T2)までの間に増速するときの加速度(α)を大きく
することにより、定常速度になるまでに鋳造された鋳片
の長さ、即ち、中心偏析の改善されない先端部分を短く
することができる。
【0038】
【実施例】図2に示すような湾曲型連続鋳造設備であ
り、ガイドロールの鋳片短辺方向の間隔を広げることが
できる設備を用い、アルミキルド炭素鋼(C:0.16〜0.
18%、Si:0.3〜0.4%、Mn:1.3〜1.45%、P≦0.025%、
S≦0.0025%、Fe:残部)の鋳造試験を行った。使用し
た鋳型の内法断面寸法は、幅厚さが235mm(鋳片の厚さ
方向)、長さが2260mmである。
【0039】鋳造条件は、第1鋳造速度を0.25m/min、
定常鋳造速度を0.85m/minとし、第1鋳込み速度から定
常鋳造速度までの増速加速度と、バルジングゾーンでの
ガイドロール拡大時期とを表1に示すように変化させ、
バルジング量を20mm、圧下量を20mmとした。
【0040】
【表1】
【0041】試験番号1〜3の鋳片は、バルジングゾー
ンのロール間隔を広げる時期を、鋳造速度が定常速度
(Vc=0.85m/min)に到達した時点(図3のT2)に鋳造
された部分がバルジングゾーンの最上段ガイドロールを
通過する時とし、引き抜き時の加速度(α)を0.2 m/mi
n2、0.6 m/min2および0.8 m/min2に変化させて鋳造し
た。この場合、ダミーバーヘッドと鋳片との接合部はい
ずれもバルジングゾーンの最終(最下段)ガイドロール
を通過していた。
【0042】試験番号4と5では、鋳造速度が定常速度
(Vc=0.85m/min)に到達する時(図3のT2)に鋳造さ
れた部分がバルジングゾーンの最上段ロールよりもさら
に1.0m先(下方)の位置にきた時、バルジングゾーン
におけるガイドロールのロール間隔を広げ、引き抜き時
の加速度(α)を0.2 m/min2または0.8 m/min2として鋳
造した。
【0043】評価は、スラブ中のりん(P)の最大偏析
度に基づく鋳片切り捨て量で行った。
【0044】Pの最大偏析度とは、次のようにして算出
したものである。即ち、鋳造したスラブを鋳造方向に垂
直な断面で切断し、その厚み中心部から試験片を採取し
て、その表面を200μmメッシュに区分する。その各区
分ごとにP濃度をEPMA法で測定し、試験片の中の最大P
濃度(Pmax)を求める。このPmaxと母溶鋼のP濃度
(Pave)との比(Pmax/Pave)をPの最大偏析度と
いう。このP最大偏析度が5を超える部分を切り捨てる
こととした。結果を表1に示す。また、図6には表1の
試験番号2、3および4の鋳片の先端からの距離とPの
最大偏析度との関係を示す。
【0045】表1に示すとおり、どの試験例でも鋳片先
端部(トップ)からに切り捨てる長さ、即ち、P最大偏
析度が5を超える部分の長さは、5.0m以下である。そし
て、試験番号1、2 および3を較べればあきらかなよ
うに、引抜き加速度(α)が大きくなるほどこの切り捨
て長さが減少している。即ち、鋳造歩留まりが向上して
いる。しかし、1.0m/min2を超えるとブレークアウト
が発生することがある。したがって、鋳片引き抜き時の
加速度は、0.4m/min2以上1.0m/min2以下とするのが
望ましい。
【0046】試験番号4と5は、定常速度に達した時に
鋳込まれた部分がバルジングゾーンの最上段ガイドロー
ルを通過し、さらに1m下方に移動したときにバルジン
グゾーンのガイドロール間隔を拡大させた例である。こ
の場合は、切り捨て長さがやや長くなっている。
【0047】いずれの試験例でも、ダミーバーヘッドと
鋳片との連結部は、バルジング開始前にバルジングゾー
ンを通過していたので、ダミーバーヘッドの離脱事故は
無かった。また、バルジングゾーンは鋳片の液層線クレ
ータエンド相当位置から固相線クレータエンド相当位置
までの間としたので、鋳片のシェル内壁の割れ発生も見
られなかった。
【0048】比較のために、鋳造開始前に予めバルジン
グゾーンのガイドロールのロール間隔を広げておき、引
抜き開始時の加速度を0.8 m/min2として鋳造する試験
(他の条件は試験番号1〜5と同じ)も実施した。この
場合は鋳片の先端だけでなく、定常部においてもP最大
偏析度が5を超えることがあり、不良鋳片発生率がきわ
めて大きくなった。これは、鋳造の初期に鋳型内で大き
な湯面低下が起きたために、一時的に引抜き速度を落と
した結果、バルジングとその後の圧下の位置が不適当に
なったためと推定される。また、この比較試験では、ダ
ミーバーヘッドと鋳片との連結部がまだバルジングゾー
ン内にあるうちにバルジングが開始されたために、ダミ
ーバーヘッドの離脱事故が発生した例もあった。
【0049】
【発明の効果】本発明の方法によれば、定常鋳込みの際
に鋳片の中心偏析を無くして鋳片の品質を改善できるだ
けでなく、鋳造初期の鋳片先端部の中心偏析の軽減がで
き、切り捨て量を減らして鋳造歩留まりを上げることが
できる。また、ガイドロール内でのダミーバーヘッドの
離脱事故を防止することができ、操業が安定する。本発
明方法は、垂直型、湾曲型、垂直曲げ型等のあらゆる形
式の連続鋳造装置で実施することができる。また、鋳片
は、スラブでもブルーム(ビレット)でもよいが、特
に、本発明方法は厚鋼板の素材となるスラブの連続鋳造
に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続鋳造方法の原理を説明するための
垂直型連続鋳造装置の模式的断面図である。
【図2】湾曲型連続鋳造設備の模式的断面を示す概要図
であり、(a)は鋳込み開始の状況を示す図、(b)はダミー
バー取り出しの状態を示す図である。
【図3】鋳造開始の際の鋳片の引抜き速度パターンを示
す図である。
【図4】バルジング−圧下法を実施したときの湾曲型連
続鋳造設備の断面を模式的に示す図である。
【図5】バルジングさせたときの鋳片短辺側の模式的断
面図であり、(a) は液相線クレータエンド以前でバルジ
ングさせた場合、(b)は液相線クレータエンド以降でバ
ルジングさせた場合を示す図である。
【図6】実施例における鋳片先端からの距離とPの最大
偏析度との関係を示す図である。
【図7】従来のバルジング−圧下法の原理を説明するた
めの垂直型連続鋳造装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
1.鋳型 2.鋳片 2a.凝固シェル 2b.未凝固部 3a.ガイドロール 3b.バルジングゾーンのガイドロール 4.電磁攪拌装置 5.圧下ロール群 6.圧下装置 7.ピンチロール 8.溶鋼 9.固相線クレータエンド 9a.液相線クレータエンド 10.浸漬ノズル 11.鋳込み方向 12.ダミーバー 13.タンディシュ 14.スライディングノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−206903(JP,A) 特開 平9−57410(JP,A) 特開 平2−235558(JP,A) 特開 平4−33757(JP,A) 特開 昭60−6254(JP,A) 特開 昭60−21150(JP,A) 特開 平1−178355(JP,A) 特開 平9−314298(JP,A) 特開 平11−156511(JP,A) 特開 平8−47758(JP,A) 特開 平8−47759(JP,A) 特開 平7−223053(JP,A) 特開 平6−335759(JP,A) 特開 平6−226414(JP,A) 特開 平5−50201(JP,A) 特開 平11−156508(JP,A) 特開 平9−314289(JP,A) 特開 平9−122845(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/128 350 B22D 11/128 B22D 11/08 B22D 11/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳片の液相線クレータエンド相当位置から
    固相線クレータエンド相当位置までの間の所定範囲のガ
    イドロールの間隔を広げ、鋳片をバルジングさせた後、
    圧下ロールを用いてバルジング相当量以下の圧下を行う
    連続鋳造方法であって、鋳造開始時には、鋳造速度が定
    常状態に到達した時点に鋳込まれた部分がバルジングゾ
    ーンの最上段ガイドロールを通過した後、バルジングゾ
    ーンのガイドロールの間隔を拡大することを特徴とする
    連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】鋳造開始時には、鋳造速度が定常状態に到
    達した時点に鋳込まれた部分がバルジングゾーンの最上
    段ガイドロールを通過し、かつ、ダミーバーと鋳片の接
    合部がバルジングゾーンの最下段ガイドロールを通過し
    た後た後、バルジングゾーンのガイドロールの間隔を拡
    大することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方
    法。
JP09327884A 1997-11-28 1997-11-28 連続鋳造方法 Expired - Fee Related JP3111953B2 (ja)

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