JPH07130654A - 有機金属化合物混合液及びそれを用いた薄膜の形成方法 - Google Patents

有機金属化合物混合液及びそれを用いた薄膜の形成方法

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JPH07130654A
JPH07130654A JP5276990A JP27699093A JPH07130654A JP H07130654 A JPH07130654 A JP H07130654A JP 5276990 A JP5276990 A JP 5276990A JP 27699093 A JP27699093 A JP 27699093A JP H07130654 A JPH07130654 A JP H07130654A
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tma
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dmah
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Tomoharu Katagiri
智治 片桐
Hiroshi Yamamoto
浩 山本
Hidekazu Kondo
英一 近藤
Tomohiro Oota
与洋 太田
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不純物濃度の低い高品質の薄膜を長時間連続
して形成しかつ高い再現性をもって形成することが可能
な有機金属化合物混合液を提供する。前記有機金属化合
物混合液を使用した薄膜の形成方法を提供する。 【構成】 有機金属化合物混合液において、ジアルキル
アルミニウムハイドライド及び炭素数が4以下のアルキ
ル基を有するトリアルキルアルミニウムを含み、前記ト
リアルキルアルミニウムのモル比が0. 3乃至30%の
範囲に設定される。また、薄膜の形成方法において、前
記有機金属化合物混合液を準備する工程と、化学気相成
長法で基板上にAlを含む薄膜を形成する工程とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学気相成長法(以下
単にCVDという)において、アルミニウム(以下単に
Alという)を含む薄膜を成膜する際にその原料として
使用する好適な有機金属化合物混合液に関する。また、
本発明は、前記有機金属化合物混合液を原料として使用
する好適な薄膜の形成方法に関する。
【0002】特に、本発明は、不純物濃度が低い高品質
の薄膜を長時間連続して形成し、かつ高い再現性をもっ
て形成することが可能な有機金属化合物混合液に関す
る。また、本発明は、このような可能性を有する有機金
属化合物混合液を原料として使用する薄膜の形成方法に
関する。
【0003】
【従来の技術】従来、AlGaAsなどのAlを含む化
合物半導体薄膜や半導体装置内の金属配線に使用するA
lを含む薄膜はCVDを用いて形成される。このCVD
において、トリメチルアルミニウム((CH3 3
l、以下単にTMAという)、トリイソブチルアルミニ
ウム等のAl原子に3個のアルキル基が結合した有機金
属化合物が薄膜の原料として使用される。また、ジメチ
ルアルミニウムハイドライド((CH3 2 AlH、以
下単にDMAHという)等、水素との結合を有する有機
金属化合物が薄膜の原料として使用される。これらの原
料は常温で0. 1乃至10torr程度の蒸気圧を持つ液体
である。この液体の原料は、バブリング容器に入れら
れ、分解温度以下の範囲の一定温度に保持される。CV
Dにおいて、前記液体の原料は水素などのキャリアガス
とともに反応室に導入されることが、通例である。
【0004】前述の原料のうちTMAにおいては、高効
率で製造する技術が確立されている。しかも、TMAは
安価でモル比 99. 9%程度の高純度の原料として得
られる。しかし、このTMAを原料としてAlを含む薄
膜を形成しようとする場合、成膜された薄膜中に原料に
含まれるアルキル基に起因する炭素が残留し、良好な膜
質が得られない。
【0005】これに対して水素との結合を有するDMA
Hを原料とした場合、炭素を含まない良好な膜質の薄膜
が得られる。このような特徴から、例えば特開平4−6
5385号公報に開示されるように、最近、原料として
DMAHが広く使用されている。
【0006】また、特にDMAHを原料として金属配線
(Al膜)を形成する場合、半導体や金属の導電性材料
の表面上に堆積され、かつ絶縁材料の表面上に堆積され
ないいわゆる選択堆積が可能である。つまり、半導体装
置の電極−配線間の接続を行うコンタクト孔や下層配線
−上層配線間の接続を行うヴィア孔を埋め込むプラグの
形成に際し、パターンニングプロセスを必要としない点
において、選択堆積はプロセス上極めて有利である。
【0007】この現象つまり選択堆積性はDMAH以外
ではトリイソブチルアルミニウムを原料とした場合にし
か見られない特徴的な現象である。しかも、トリイソブ
チルアルミニウムを原料とした場合、DMAHを原料と
した場合に比較して狭い条件範囲のみにおいて選択堆積
性が見られるが、完全な選択性は得難い。
【0008】前記DMAHは、トリアルキルアルミニウ
ムを主原料として例えば次の反応式に基づき合成され
る。 8TMA+AlCl3 +3LiAlH4 →12DMAH+3LiCl さらに、蒸留によって未反応の原材料物質であるTM
A、AlCl3 、LiAlH4 及び副生成物であるLi
Clを分離して、DMAHの精製を行う。特に主原料で
あるTMAは、20℃において9. 2torrと、20℃お
いて2torrであるDMAHよりも高い蒸気圧を有し、こ
のTMAが少量でも残留すると成膜特性に大きな影響を
与えると考えられていた。しかも、TMAを原料として
形成された薄膜中に炭素が混入され、また選択堆積も実
現されていないことは上記の通りであるため、DMAH
本来の良好な膜質を形成し、かつ良好な選択性を実現す
るにはTMA残留量を可能な限り小さくすることが必須
であると考えられていた。このため、蒸留条件を精密に
制御し、かつ何回も繰り返すことによって、 0. 1%
以下までにTMA濃度を減少させたDMAHがCVD原
料として使用されている。なお、TMA以外の未反応原
料物質や副生成物はTMAに比較して容易に分離できる
ので、DMAH及びTMAを除いた残部は原料とするT
MAの濃度と同程度の濃度にできる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のDMAHにおい
て以下に述べる3つの問題があるので、このDMAHを
原料とする薄膜の形成が生産技術として実用化されるに
至っていない。
【0010】第1に、DMAHは、分子間で結合して重
合しているので、約5000cp程度の極めて高い粘度
を持つ。このため、安定にバブリングを行うことが困難
である。
【0011】また、例えば絶縁膜の形成に使用される液
体原料であるテトラエトキシオルソシリケートの場合と
異なり、自動補給を行うことができなかった。テトラエ
トキシオルソシリケートの場合には、人為的な補給を行
うことなく長時間の操業を続けることを目的として、バ
ブリング容器及びそれ以外の大容量の予備容器に予め充
填される。予備容器は、バブリング容器内の液体原料の
消費に伴ってこのバブリング容器に液体原料を補給す
る。液体原料の補給は窒素等の不活性ガスの圧力を利用
して自動的に行われる。ところが、DMAHは粘度が高
く、実際には自動的な補給は不可能であるために、DM
AHの使用は頻繁な補給作業を伴っていた。
【0012】第2に、DMAH自身の安定性が乏しく、
長期間連続して再現性良く薄膜を形成することができな
い。すなわち、DMAHは次の自己分解反応が順次発生
するので、室温において約3ヶ月の保管の後にDMAH
はTMA及び金属Alに分解される。 2(CH3 2 AlH→(CH3 3 Al+(CH3 )AlH2 (CH3 2 AlH+(CH3 )AlH2 →(CH3 3 Al+AlH3 2AlH3 →2Al+3H2 ↑ この自己分解反応により発生した金属Alは、キャリア
ガス通過の障害となって原料供給を不安定にする。さら
に、金属Alの発生量が極端に多い場合、バブリング容
器の出入口側の配管が詰まり、原料供給が全く不可能に
なる。しかも、自己分解反応は、温度の上昇及びキャリ
アガスの通過量の増加に従って加速されるので、現実の
生産工程において、1ヶ月以下の短期間で前述の不具合
に至る。第3に、DMAHの価格がTMAの10倍以上
と極めて高い。この価格の増大は、主として合成プロセ
スのDMAHの精製を行う蒸留工程において、生産性が
低いことに起因する。すなわち、DMAHはTMAを分
離するために精密に制御された条件の下において蒸留を
繰り返し行う必要がある。しかもDMAHからTMAの
分離が進むにつれてDMAHの粘度が高くなるので、蒸
留作業が困難になる。また、DMAHの粘度が高いの
で、蒸留工程の自動化や大型化は現状の技術において困
難であり、この点も生産性が低くなる要因になる。
【0013】また、前記第1の問題を解決するために、
モル比で1:1に混合されたTMA及びDMAHを混合
し、特定の温度に加熱し、減圧蒸留してTMAとDMA
Hとの分子間化合物からなる原料を製造する技術が提案
されている(特開平4−45524号公報)。この分子
間化合物の粘度は低く、しかも安定にバブリングが行え
る特徴がある。
【0014】しかしながら、前記分子間化合物からなる
原料の製造に高純度のDMAHが使用されるので、前述
の第3の問題点が解決できない。それどころか、TMA
を混合して蒸留を行うために、加熱に伴う自己分解反応
で実際に必要とするDMAHの収率が減少され、原料の
価格がより一層高くなる。また、この分子間化合物を原
料として金属Al薄膜を形成した場合、DMAHに含ま
れるTMAもCVDにおける表面反応に関与するので、
薄膜中の炭素濃度が高くなり、薄膜の品質が劣化すると
いう問題が発生する。
【0015】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、不純物濃度の低い
高品質の薄膜を長時間連続して形成しかつ高い再現性を
もって形成することが可能な有機金属化合物混合液、及
びこの有機金属化合物混合液を使用した薄膜の形成方法
の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1に係る本発明は、有機金属化合物混
合液において、ジアルキルアルミニウムハイドライド及
び炭素数が4以下のアルキル基を有するトリアルキルア
ルミニウムを含み、前記トリアルキルアルミニウムのモ
ル比が0. 3乃至30%の範囲に設定されることを特徴
とする。前記ジアルキルアルミニウムハイドライドはD
MAHを使用する。前記トリアルキルアルミニウムは、
TMA、トリイソブチルアルミニウム、トリブチルアル
ミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウムのうちいずれかを使用する。
【0017】また、請求項4に係る本発明は、薄膜の形
成方法において、ジアルキルアルミニウムハイドライド
及び炭素数が4以下のアルキル基を有するトリアルキル
アルミニウムを含み、前記トリアルキルアルミニウムの
モル比が0. 3乃至30%の範囲に設定される有機金属
化合物混合液を準備する工程と、前記有機金属化合物混
合液を主原料としたCVDにより基板上にAlを含む薄
膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。前記
基板の温度は250℃以下に保持される。
【0018】
【作用】前記請求項1に係る本発明は、有機金属化合物
混合液において、TMAのモル比を制御したので、粘度
を小さくできる。また、本発明は、有機金属化合物混合
液において、自己分解反応を抑えたので、原料の使用寿
命を長くできる。
【0019】前記請求項4に係る本発明は、有機金属化
合物混合液を原料とする薄膜の形成方法において、不純
物濃度を低くして高品質の薄膜を形成でき、かつ長期間
連続して高い再現性をもって薄膜を形成できる。また、
本発明は、薄膜の形成方法において、金属Al薄膜の良
好な選択性を得られ、かつこの良好な選択性を安定して
得られる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について、DM
AHと混合するトリアルキルアルミニウムとしてTMA
を使用した場合を説明する。
【0021】DMAH及びTMAを含む有機金属化合物
混合液は、DMAHを精製する際の減圧蒸留において温
度や時間を調整することにより、TMA量を調節する。
また、前記有機金属化合物混合液は、高純度のTMAと
DMAHとを適切に混合する。本実施例において、説明
中の有機金属化合物混合液、つまり原料(CVDに使用
するソースガス)はこれらいずれかの方法により得られ
たものを使用する。
【0022】また、前記原料でAlを含む薄膜を形成す
る際に使用する基板はSi基板(半導体基板)、GaA
s基板(化合物半導体基板)等を使用する。これらの基
板は、その表面上に電極−配線間を接続するコンタクト
孔、又は下層配線−上層配線間を接続するヴィア孔を有
する。これらのコンタクト孔、ヴィア孔はいずれも基板
の表面上に形成された絶縁体に形成される。
【0023】前記Alを含む薄膜は、例えばロードロッ
クを備えたコールドウォールCVD装置で形成される。
【0024】まず、DMAH及びTMAを含む有機金属
化合物混合液において、TMA含有量の変化が混合液の
粘度にどのような変化を与えるかについて調べた。ただ
し、粘度を直接測定することは困難であるため、図1に
示す圧力測定装置を使用し、有機金属化合物混合液のバ
ブリング圧力変動幅を測定することによって間接的に粘
度を測定した。
【0025】図1中、符号1は有機金属化合物混合液、
符号2はバブリング容器、符号3は真空ポンプ、符号4
は圧力計、符号5はニードルバルブ、符号6はペンレコ
ーダである。有機金属化合物混合液1はバブリング容器
2に充填される。この有機金属化合物混合液1を100
sccmの流量の水素でバブリングした場合において、バブ
リング容器2の出口の圧力変動幅を測定する。ただし、
バブリング容器2の出口は手動のニードルバルブ5を通
じて真空ポンプ3に接続され、ニードルバルブ5を調整
し、圧力変動の中心位置がほぼ760torrに設定され
る。
【0026】この圧力測定装置において、有機金属化合
物混合液1の圧力変動幅を測定した結果を図2に示す。
図2において、横軸はTMAのモル比(%)を示し、縦
軸は圧力変動幅(torr)を示す。図2に示すように、T
MA濃度が0. 1%以下の有機金属化合物混合液1の粘
度は極めて高く、200torrに近い領域の圧力値を示
す。この圧力値が高い状態において、安定した成膜を行
うことは困難である。これに対して、TMA濃度が0.
3%以上において、有機金属化合物混合液1は顕著な粘
度の低下による圧力変動幅の減少が見られる。さらに、
TMA濃度が1%において従来の約1/2、3%におい
て従来の約1/5に圧力変動幅が減少し、TMA濃度が
10%においては測定の下限値である20torr以下の極
めて小さな圧力値を得ることができた。
【0027】実際の成膜実験において、TMA濃度が3
%以上で実用上充分な安定性が得られた。また、TMA
濃度が5%以上の場合、テトラエトキシオルソシリケー
トの場合と同様の自動補給装置において、予備容器から
バブリング容器に液体原料を補給することができた。
【0028】さらに、TMA濃度が0. 3%〜3%の範
囲の低い濃度領域においては、図1に示す手動のニード
ルバルブ5に変えて自動調整バルブを使用しさらに安定
性を確保するために、フィードバック制御による圧力変
動の抑制が必要である。しかしながら、それでも従来に
比較するとはるかに広いバブリング条件範囲において、
実用的な安定性が充分に確保できる。
【0029】このようにDMAHにTMAを加えること
によってDMAHの粘度が低下するのは、TMAの存在
によってDMAH分子の重合が妨げられるためと考えら
れる。従って、TMA以外のトリアルキルアルミニウム
を混合した場合にも同様の効果が期待できる。
【0030】次に、前記有機金属化合物混合液におい
て、TMAの混合の割合がDMAHの自己分解にどのよ
うな影響を与えるかについて、図3に示す。図3におい
て、横軸はTMAのモル比(%)を示し、縦軸は混合液
の実使用上での寿命(月)を示す。
【0031】図3に示すように、TMAのモル比が0.
3%に達すると寿命が約4ヶ月を超え、生産に使用可能
なレベルになる。さらに、TMAのモル比が1%以上に
おいて、実験を行った期間(6ヵ月)以上の寿命が得ら
れた。すなわち、本実施例の有機金属化合物混合液は自
己分解反応を抑制できる。
【0032】また、前記有機金属化合物混合液におい
て、TMAの混合の割合が薄膜形成時の選択性にどのよ
うな影響を与えるかについて、図4に示す。図4におい
て、横軸はTMAのモル比(%)を示し、縦軸は金属A
l薄膜の選択性(%)を示す。ここで選択性とは、金属
Al薄膜を形成した際、絶縁体(SiO2 )表面に対し
てコンタクト孔又はヴィア孔に選択的にプラグ(金属A
l薄膜)が形成できる割合をいう。
【0033】図4に示すように、TMAのモル比が0.
1〜10%の範囲において約90%以上の選択比が得ら
れる。TMAのモル比が30%において選択比は多少減
少するが、約80%以上の選択比が得られる。しかし、
TMAのモル比が50%において全く選択性が得られな
い。
【0034】さらに、前記有機金属化合物混合液におい
て、TMAの混合の割合と成膜された薄膜中に含まれる
不純物濃度との関係について、図5に示す。図5におい
て、横軸はTMAのモル比(%)を示し、縦軸は金属A
l薄膜中の炭素濃度(%)を示す。
【0035】図5に示すように、TMAのモル比が0.
1〜10%の範囲において炭素濃度が測定下限値である
0. 01%以下の極めて低い値を示し、薄膜は良好な膜
質で形成される。TMAのモル比が30%において、炭
素濃度は多少増加するが、それでも炭素濃度は約0. 1
%以下の低い値を示す。これに対して、TMAのモル比
が50%以上において、1%以上の炭素濃度が観測さ
れ、薄膜の膜質は悪化する。この炭素濃度の増加は絶縁
体表面上に堆積核となる炭素の増加を意味し、図4に示
す選択堆積性を悪化するものであると考えられる。
【0036】従来の技術水準から予測した場合、DMA
HにTMAを混合した原料を用いてAl−CVDを行う
と、薄膜の選択性が劣化し、しかも薄膜の膜中の炭素濃
度が増加することが予測されていた。ところが、図4及
び図5に示す結果が得られ、意外にも薄膜の選択性が良
好であり、さらに薄膜の膜中の炭素残留が少いことが判
明した。これは、TMA自身の分解温度が高く、DMA
H及びTMAの両者が供給されてもDMAHのみによる
成膜反応が起きることが、起因すると考えられる。ただ
し、このような結果は、CVDを行う際、基板温度を2
50℃以下に設定しないと良好に得られない。
【0037】この温度範囲においてTMAは重合した状
態で基板表面に到達するため、極めて低い反応性しか持
たないと考えられている。一方、DMAHは150℃程
度の低温において成膜反応を起こすことが知られてい
る。
【0038】これに対して、TMAとDMAHとの分子
間化合物を原料とする従来技術において、輸送された分
子間化合物が基板表面でTMAとDMAHとに解離する
ことが成膜を行うために必須である。このため、DMA
Hによる成膜反応が起きる温度において、TMAの関与
した成膜反応は必然的に起きるので、良好な選択性及び
膜質の薄膜を得ることが困難である。
【0039】なお、TMAに変えて、DMAHよりも蒸
気圧の低いトリアルキルアルミニウム、例えばトリイソ
ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウムをDMAHと混合した有機金属化合
物混合液を用いることも有効である。つまり、この有機
金属化合物混合液は、基板に供給されるトリアルキルア
ルミニウムの分圧をDMAHよりも低くできるため、D
MAHのみによる成膜反応を起こさせて、良好な選択性
及び膜質で成膜を行える。前記トリイソブチルアルミニ
ウムは25℃において0. 1torrの蒸気圧を有する。ト
リプロピルアルミニウムは80℃において0. 1torrの
蒸気圧を有する。また、トリエチルアルミニウムは62
℃において0. 1torrの蒸気圧を有する。
【0040】ここで、特にトリイソブチルアルミニウム
は、成膜反応自体において炭素含有量の少ない良質でか
つ選択性を有する薄膜として形成できる。このため、例
えば温度等の条件設定が不適切でトリイソブチルアルミ
ニウムによる成膜反応が僅かに起きたとしても、良好な
選択性及び膜質で成膜が行える。
【0041】以上の結果をまとめると、DMAH及びT
MAを含む有機金属化合物混合液において、TMAのモ
ル比を0. 3〜30%の範囲に設定することにより、粘
度を低くでき、自己分解を起こりにくくでき、炭素濃度
を低くでき、しかも選択性を良好にできる金属Al薄膜
が得られる。
【0042】なお、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種
々変更できる。
【0043】例えば、本発明は、炭素数4以下のトリア
ルキルアルミニウムとして、前記TMAの外に、トリイ
ソブチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ
プロピルアルミニウム、トリエチルアルミニウムのいず
れかを使用してもよい。これらのトリアルキルアルミニ
ウムを用いても上記と同様な結果が得られる。
【0044】また、本発明は、ジアルキルアルミニウム
ハイドライドとして前記DMAH以外にジエチルアルミ
ニウムハイドライドを使用してもよい。この場合、DM
AHの場合のTMAと同様に、蒸留の温度や時間を調整
することによって混合量を調整することができるトリア
ルキルアルミニウムとしてはトリエチルアルミニウムで
ある。
【0045】また、本発明は、純Al薄膜だけでなく、
Al−Cu薄膜、Al−Si薄膜、Al−Cu−Si薄
膜などの合金膜やAlGaAsなどのAlを含む化合物
半導体薄膜の形成にも適用できる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
不純物濃度の低い高品質の薄膜を長時間連続して形成し
かつ高い再現性をもって形成することが可能な有機金属
化合物混合液を提供できる。
【0047】また、本発明によれば、前記有機金属化合
物混合液を使用した薄膜の形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である有機金属化合物混合液
の圧力を測定する圧力測定装置の構成図である。
【図2】前記有機金属化合物混合液において、TMAの
混合の割合と圧力変動幅との関係を示す図である。
【図3】前記有機金属化合物混合液において、TMAの
混合の割合とDMAHの自己分解との関係を示す図であ
る。
【図4】前記有機金属化合物混合液において、TMAの
混合の割合と薄膜形成時の選択性との関係を示す図であ
る。
【図5】前記有機金属化合物混合液において、TMAの
混合の割合と成膜された薄膜中に含まれる不純物濃度と
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 有機金属化合物混合液 2 バブリング容器 3 真空ポンプ 4 圧力計 5 ニードルバルブ 6 ペンレコーダ
フロントページの続き (72)発明者 近藤 英一 千葉県千葉市中央区川崎町1 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (72)発明者 太田 与洋 千葉県千葉市中央区川崎町1 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジアルキルアルミニウムハイドライド及
    び炭素数が4以下のアルキル基を有するトリアルキルア
    ルミニウムを含み、 前記トリアルキルアルミニウムのモル比が 0. 3乃至
    30%の範囲に設定されることを特徴とする有機金属化
    合物混合液。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載されるジアルキルア
    ルミニウムハイドライドはジメチルアルミニウムハイド
    ライドであることを特徴とする有機金属化合物混合液。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は請求項2に記載される
    トリアルキルアルミニウムは、 トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
    リプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
    ム、トリブチルアルミニウムのうちいずれかであること
    を特徴とする有機金属化合物混合液。
  4. 【請求項4】 ジアルキルアルミニウムハイドライド及
    び炭素数が4以下のアルキル基を有するトリアルキルア
    ルミニウムを含み、前記トリアルキルアルミニウムのモ
    ル比が0. 3乃至30%の範囲に設定される有機金属化
    合物混合液を準備する工程と、 前記有機金属化合物混合液を主原料とした化学気相成長
    法により、基板上にアルミニウムを含む薄膜を形成する
    工程と、 を備えたことを特徴とする薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項4に記載されるジアルキルア
    ルミニウムハイドライドはジメチルアルミニウムハイド
    ライドであることを特徴とする薄膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項5に記載される化学気相成長
    法により薄膜を形成する工程は、 前記基板の温度を250℃以下に保持した状態において
    行われることを特徴とする薄膜の形成方法。
JP5276990A 1993-11-05 1993-11-05 有機金属化合物混合液及びそれを用いた薄膜の形成方法 Pending JPH07130654A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6984591B1 (en) 2000-04-20 2006-01-10 International Business Machines Corporation Precursor source mixtures

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