JPH07128895A - 電子写真用感光体及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真用感光体及び電子写真装置

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JPH07128895A
JPH07128895A JP27687893A JP27687893A JPH07128895A JP H07128895 A JPH07128895 A JP H07128895A JP 27687893 A JP27687893 A JP 27687893A JP 27687893 A JP27687893 A JP 27687893A JP H07128895 A JPH07128895 A JP H07128895A
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JP
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resin
layer
electrophotographic
electrophotographic photoreceptor
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Application number
JP27687893A
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English (en)
Inventor
Toshio Kobayashi
利夫 小林
Kikuo Hayama
菊雄 端山
Kimie Enmanji
公衛 円満字
Isamu Nagae
偉 長江
Kazuko Wakita
佳寿子 脇田
Yoshimi Sugimoto
義己 杉本
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保護層を設けても、繰り返し使用において、
充分な光感度が得られる電子写真用感光体を提供する。 【構成】 光導電層上に保護層として、1010〜1015
Ω・cmの体積抵抗を有する低抵抗層を5μm以下設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式の複写機
やプリンタなどに使用される電子写真用感光体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンタ等に利用されている電
子写真記録は、感光体を帯電させた後、露光を行い、静
電潜像を形成させ、これをトナーで可視化(現像)さ
せ、可視像を紙等に転写、定着して画像を得る方法であ
る。その後、感光体は付着トナ−の除去や除電等によっ
て初期化され、多数回にわたって使用される。
【0003】従って、電子写真用感光体としては、繰り
返し使用に基づく電子写真特性の経時変化が少ないこと
が必要であり、耐刷性、耐摩耗性、及び帯電時に発生す
るオゾン等に対する化学的耐性、さらに温湿度変化に左
右されない耐環境性に優れていることが要求される。
【0004】従来、電子写真用感光体としては、セレ
ン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の材料が用い
られてきたが、材料の毒性の問題やディジタル複写機、
プリンタ等に使われる半導体レ−ザやLED光の長波長
化に対応するために、有機系の感光体が多く用いられる
ようになってきた。また、感光体は正帯電型と負帯電型
に分類できるが、コロナ帯電時のオゾン発生量を極力少
なくしうる正帯電型の方が機器使用者の健康保全に優れ
ていることから、正帯電型が望まれ、有機系感光体のな
かでも正帯電型有機感光体が大いに注目されている。
【0005】正帯電型有機感光体の構成としては、下引
き層を形成した導電性支持体上に光導電層のみのもの、
光導電層上に保護層を積層したもの、または、電荷輸送
層、光導電層、保護層を順次積層したものが知られてい
る。光導電層は電荷発生材料と樹脂を主成分として構成
されており、電荷発生材料には、露光波長に感度を有す
るものが用いられる。例えば、半導体レーザー光に対し
ては、フタロシアニン系化合物を使用することが一般的
である。しかし、フタロシアニン系化合物を電荷発生材
料に使用した電子写真用感光体は、帯電器から発生する
オゾンやNOx に弱く、繰り返し使用によって、電気的
な特性が劣化しやすいことで知られている。また、感光
体の表面は、トナーや記録紙などと接触するため、機械
的なダメージも受けやすい。それ故に、この種の感光体
では、電気的特性と機械的特性の安定化のために保護層
を設けることが一般的である。
【0006】該保護層としては、例えば特公昭57−3
9416号公報に示されるように、シリコーン樹脂等を
用いるものや、特公昭57−27453号公報に示され
るような、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂などを用いるものが提案されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような保
護層は、感光体の光感度を低下させ、また、繰り返し使
用によって、感光体の残留電位の増加を招きやすいとい
う問題があった。その対策として、上述の保護層の膜厚
をかなり薄くして使用するという方法が考えられるが、
繰り返し使用によって、保護層が簡単に摩耗してしま
い、寿命が著しく短いものしか得られないという問題が
あった。
【0008】従来の保護層を設けることによって光感度
が低下する理由としては、感光体は、帯電、露光、現
像、転写、クリーニングの工程を繰り返し利用されるも
のであるが、最初の帯電工程において、印加された帯電
電圧は感光体が積層構造をとっていることから各層の静
電容量と抵抗を直列配置したコンデンサーとみなされた
分だけをそれぞれの層で保持しており、その状態で、露
光工程に入り光導電層の部分電荷をキャンセルしても、
保護層の部分電荷は残りがちになり、しいては、残留電
位として蓄積されてしまうためである。
【0009】それ故に、感光体の光感度を低下させない
ためには、保護層の膜厚をかなり薄いものにして使用し
なければならなかったが、その反面、上述のように感光
体の寿命が短くなるという問題があった。
【0010】また、近年のカラー化の発展に伴って、感
光体上のトナーの色重ねに転写ローラや転写ベルトなど
の中間転写媒体を利用する方式が利用されるようにな
り、従来の保護層では、転写媒体に印加した電荷、例え
ば、負の電荷を保護できずに、感光体の電気的な特性が
繰り返し使用によって簡単に劣化するという問題も生じ
ていた。そのようなことから、上述した保護層を有する
感光体からは、安定した画質が得られ難いという問題が
あった。
【0011】一方、電子写真方式において、感光体の光
感度は、記録速度つまり記録装置の性能を決める重要な
ファクターの一つになっているので、感光体の光感度の
向上が強く望まれている。感光体の光感度を向上させる
方法として、より高感度の電荷発生材料を利用すること
が考えられ、新規物質の探索が盛んに行われている。近
年、新規の結晶構造のチタニルフタロシアニンの発見
が、その成功例として挙げられる。また、電荷発生材料
の探索とは別に、フタロシアニン系化合物を利用した感
光体において、第3の添加剤を添加して光感度の向上を
図ることも考えられるが、有効な増感剤が見い出せない
でいた。特に、増感剤の添加において留意すべき点は、
光感度が向上できても、その他の特性、例えば、感光体
を実用するために不可欠な環境安定性や帯電性などが犠
牲になりやすいという問題があった。
【0012】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、保護層を設けても、繰り返し使用
において、電子写真用感光体の帯電性が安定で、充分な
光感度が得られる電子写真用感光体を提供するものであ
る。さらに、繰り返し使用によっても、安定した画質が
得られる接触型中間転写媒体を有する電子写真記録装置
を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
電子写真用感光体は、光導電層上に保護層として、10
10〜1015Ω・cmの体積抵抗を有する低抵抗層を5μ
m以下設けたものである。
【0014】また、請求項2に係る電子写真用感光体
は、上記低抵抗層がポリアミド樹脂からなるものであ
る。
【0015】また、請求項3に係る電子写真用感光体
は、上記ポリアミド樹脂がナイロン6/66/610/
12共重合体よりなるものである。
【0016】また、請求項4に係る電子写真用感光体
は、上記低抵抗層が酸化スズ、酸化アンチモン、酸化イ
ンジウム、酸化チタンのうち少なくとも一種を分散させ
た樹脂、または上記樹脂が熱硬化性樹脂、もしくはポリ
アミド樹脂からなるものである。
【0017】また、請求項5に係る電子写真用感光体
は、フタロシアニン系化合物とバインダー樹脂を光導電
層の構成材料とする電子写真感光体において、上記光導
電層中に電子受容性化合物を添加したものである。
【0018】また、請求項6に係る電子写真用感光体
は、上記電子受容性化合物がテトラシアノエチレンであ
り、その添加量が2.0wt%未満であるものである。
【0019】また、請求項7に係る電子写真用感光体
は、光導電層を構成する樹脂が、ポリエステル樹脂、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ
樹脂のうちの少なくとも一種と、アミノ系樹脂、または
イソシアネート樹脂とを硬化させたものである。
【0020】また、請求項8に係る電子写真記録装置
は、上記各電子写真用感光体と接触型中間転写媒体を有
するものである。
【0021】
【作用】本発明による電子写真用感光体は、光導電層の
保護層として、1010〜1015Ω・cmの体積抵抗を有
する低抵抗層を設けたので、感光体の光感度の低下を招
くことなく、保護層を厚膜化でき、保護層の機能である
ところの電気的特性や機械的特性がより向上し、繰り返
し使用において安定した画質が得られる。
【0022】また、上記低抵抗層としては、例えばナイ
ロン6/66/610/12共重合体よりなるポリアミ
ド樹脂や、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウ
ム、酸化チタンのうち少なくとも一種を分散させた樹
脂、または上記樹脂が熱硬化性樹脂、もしくはポリアミ
ド樹脂からなるが有効である。
【0023】また、本発明の感光体を接触型中間転写媒
体を有する電子写真記録装置に用いることにより、接触
型中間転写媒体による負バイアスを上記の保護層でブロ
ックできるので、この種の転写方式に対しても良好な転
写を行なうことができる。特に、この種の転写方式はト
ナーの色重ねに利用され、カラーの記録装置において、
本感光体は使用し得るものになる。
【0024】また、本発明では、フタロシアニン系化合
物とバインダー樹脂を光導電層の構成材料とするものに
おいて、上記光導電層に例えばテトラシアノエチレンよ
りなる電子受容性化合物を添加することによって、環境
安定性や帯電安定性などの基本的な電子写真特性を損ね
ることなく、充分な光感度が得られるようになる。
【0025】なお、光導電層を構成する樹脂は、通常の
電荷保持率が良く、耐オゾン性という観点からイオン性
およびラジカル性活性種が少なく、かつ反応性モノマま
たはオリゴマ処理時に溶解または膨潤しないもの、さら
に電荷発生材料がフタロシアニンの場合、良分散媒とな
る、たとえば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレ
タン樹脂、ブチラ−ル樹脂、エポキシ樹脂の少なくとも
一種と、それらをアミノ樹脂、イソシアネ−ト樹脂など
で熱硬化した加熱硬化性樹脂などが好ましく用いられ
る。
【0026】
【実施例】
実施例1.本発明の各実施例に使用される電子写真用感
光体の導電性支持体としては、導電体あるいは導電処理
を施した絶縁体が用いられる。このようなものとして
は、たとえば Al、Ni、Fe、Cu、Auなどの金
属あるいは合金、ポリエステル、ポリカ−ボネ−ト、ポ
リイミド、ガラスなどの絶縁性基体上にAl、Ag、A
u等の金属あるいはIn22、SnO2等の導電材料の
薄膜を形成したもの、導電処理をした紙等が例示でき
る。また、導電性支持体の形状は特に制約はなく必要に
応じてドラム状、板状、ベルト状のものが用いられる。
【0027】なお、導電性支持体上に直接、光導電層を
設けてもよいが、層間の接着性の向上や、電荷のブロッ
クという機能を付加させるために、下引き層を設けてか
ら光導電層を積層することが一般的である。
【0028】その下引き層として使用される材料は公知
のものを利用でき、ポリビニルアルコール、カゼイン、
ゼラチン、ポリビニルメチルエーテル、ニトロセルロー
ス、ポリビニルブチラール、ポリアミド、メチルセルロ
ース、ポリウレタン、さらに、酸化アルミニウム、酸化
チタンなどやそれに、酸化スズ、酸化アンチモン等を添
加したもの、及び、それらを樹脂に分散したものなどが
例示できる。下引き層の膜厚は、通常0.1〜4μmが
適当である。
【0029】光導電層としては、樹脂中に電荷発生材料
を10〜40wt%分散させたものであり、光感度を向
上させるなどの目的のために、必要であれば電荷輸送材
料や増感剤、または、分散剤、レベリング剤など各種添
加剤を添加しておくことが一般的である。
【0030】前記電荷発生材料としては、入射波長光に
対して記録に可能な光感度を有するものが使用できる。
半導体レーザ光(780nm)に優れた光感度を有する
ものとしては、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニ
ン、チタニルオキソフタロシアニンなどのフタロシアニ
ン系化合物が用いられ、ペリレン系化合物やアゾ系化合
物なども優れた光感度を有する化合物として上げられ
る。
【0031】光導電層用の樹脂としては、電荷保持率が
良く、耐オゾン性という観点からイオン性およびラジカ
ル性活性種が少なく、かつ反応性モノマまたはオリゴマ
処理時に溶解または膨潤しないもの、さらに電荷発生材
料がフタロシアニンの場合、良分散媒となる、アクリル
樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹
脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂及びそれらの樹脂を
アミノ系樹脂、イソシアネート樹脂などで熱硬化した樹
脂、また、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂な
どが好んで用いられる。
【0032】また、上述のように構成によっては電荷輸
送材料を用いるが、上記電荷輸送材料としては、複素環
系、ヒドラゾン系、アリールアミン系など化合物の中か
ら電荷発生材料との相性を考慮して選択される。
【0033】なお、光導電層は、ペイントシェ−カ−、
ボ−ルミル、ディスパ−などを用いてあらかじめ分散液
を作製しておき、下引き層を設けたアルミニウムドラム
などの表面にディッピング法、スプレ−法などによって
塗布することで形成される。
【0034】つぎに、実施例1についてさらに具体的に
説明する。研磨加工したアルミニウムドラム上に下引き
層としてポリアミド樹脂層を形成した。x型無金属フタ
ロシアニン 567g、ポリエステル樹脂 1055
g、ブチル化メラミン樹脂 264g、トルエン 30
00g、MEK 9000gから成る混合物をバスケッ
トミルを使って分散し、光導電層液を作製した。次にそ
の分散液を上述のポリアミド層上にディッピング法で塗
工し、150℃、4時間熱硬化して光導電層を形成し
た。次に、ポリアミド樹脂中にSnO2,SbO2を添加
して低抵抗層用の分散液を作製し、それらの分散剤を上
述の光導電層上に積層した。本実施例の低抵抗層の体積
抵抗率は5×1010であり、2μmの厚みで積層した。
【0035】次に、この感光体を表面電位計を取り付け
た試作プリンター内にセットし、本実施例の電子写真用
感光体の初期特性を評価した。その初期特性の結果を図
1に示す。
【0036】実施例2.実施例1と同様にして形成され
た光導電層上に、実施例1と同様、ポリアミド樹脂中に
SnO2,SbO2を添加して低抵抗層用の分散液を作製
し、それらの分散剤を上述の光導電層上に積層した。本
実施例ではSnO2,SbO2の添加量を変え、低抵抗層
の体積抵抗率を8×1014、厚みを2μmとした。この
感光体の初期特性を実施例1と同様にして評価した。そ
の結果を図1に示す。
【0037】なお、上記各実施例の比較例として、Sn
2,SbO2の添加量を変えて、低抵抗層の体積抵抗率
を2×109とした電子写真用感光体(厚み2μm)を
比較例1とした。また、従来の保護層であるブチラール
樹脂(体積抵抗率が1×1016)を2μm積層した電子
写真用感光体(比較例2)と、それを0.3μm積層し
た電子写真用感光体(比較例3)及び、その低抵抗層を
積層しなかった電子写真用感光体(比較例4)も作製し
た。実施例1と同様にして各比較例の初期特性を評価し
た。その結果を図1に示す。
【0038】図1において、実施例1や、実施例2の低
抵抗層を積層した電子写真用感光体及び比較例4におい
ては、光応答性等の初期特性は良好であった。しかしな
がら、比較例1は表面電位が低下し、十分な帯電能力が
得られなかった。一方、従来の保護層である高抵抗のも
の(比較例2)を保護層に用いると、残留電位が高く、
良好な光応答性が得られなかった。従来の保護層におい
て、良好な光応答性を実現するためには、その膜厚を
0.3μmまで薄層化する必要がある(比較例3)こと
もわかった。
【0039】そこで、初期特性で良好であった電子写真
用感光体についてのみ、繰り返し特性を評価した。その
方法は、電子写真用感光体の600V帯電とイレーズ光
による除電、中間転写ベルトに接触させた状態で、転写
ベルトの裏側から−700Vの電圧印加という工程を連
続で10000サイクル実施し、一晩経過後、同様に連
続で10000サイクル繰り返し、一晩後、さらに10
000サイクル繰り返し合計30000サイクル繰り返
し試験を実施した。その後、電子写真用感光体の残留電
位と暗減衰を測定した。さらに、常温常湿下と高温高湿
(35℃、80%)下において、印画を行いその記録物
の画質を評価した。その繰り返し特性の結果を表1に示
す。
【0040】
【表1】
【0041】本発明の実施例1及び実施例2による電子
写真用感光体は、30000サイクルの繰り返しにおい
ても、良好な記録が行えた。しかしながら、ブチラール
系のもの(比較例3)と低抵抗層のない系(比較例4)
は、耐久性がなく、地かぶりをおこし十分な記録を行え
ないこともわかった。これは本発明の実施例のものにお
いては、膜厚を厚くできるために、保護層の寿命が向上
したためであり、また、保護層用樹脂に転写ベルトから
の電荷をブロックできるポリアミド樹脂を用いたことに
よる効果に基づくものである。一方、ブリラール系は、
前述のように光感度の観点から膜厚を薄くする必要があ
り、それ故に、すぐに摩耗してしまいやすく、また、転
写ベルトからの負の電荷に対するブロッキング機能を有
しないことなどに基づくものである。これらの結果から
低抵抗層の体積抵抗は、1010〜1015Ωcmのものを
使用する必要があり、その膜厚は、光感度の点で可能な
限り厚い程よく、1μmないし2μm以上が好ましい。
ただし、膜厚はあまり厚くなると、残留電位の増加の問
題が発生しやすくなるため、5μm以下が好ましい。
【0042】実施例3.実施例1及び実施例2と同様に
して作製した光導電層上に、ポリアミド樹脂であるナイ
ロン6/66/610/12共重合体のメタノール溶液
を塗工し、乾燥して低抵抗層を形成した。さらに、光導
電性の樹脂として用いたポリエステル−メラミンのトル
エン溶液をこの低抵抗層上に塗工し、加熱乾燥後、電子
写真用感光体を作製した。この電子写真用感光体を実施
例1及び2と同様の方法で評価した。その結果を表2に
示す。
【0043】実施例4.実施例3における低抵抗層とし
て、ナイロン6/66/610/12共重合体の代わり
に、他のポリアミド樹脂(東レ CM842)を積層し
た電子写真用感光体を作製した。その電子写真用感光体
の評価結果を表2に示す。
【0044】実施例5.実施例3における低抵抗層とし
て、ナイロン6/66/610/12共重合体の代わり
に、他のポリアミド樹脂(東レ CM831)を積層し
た電子写真用感光体を作製した。その電子写真用感光体
の評価結果を表2に示す。
【0045】実施例6.実施例3における低抵抗層とし
て、ナイロン6/66/610/12共重合体の代わり
に、他のポリアミド樹脂(東レ CM4000)を積層
した電子写真用感光体を作製した。その電子写真用感光
体の評価結果を表2に示す。
【0046】実施例7.実施例3における低抵抗層とし
て、ナイロン6/66/610/12共重合体の代わり
に、InO2とTiO2を、光導電層に用いたポリエステ
ル樹脂とメラミン樹脂中に分散したものを積層した電子
写真用感光体を作製した。その電子写真用感光体の評価
結果を表2に示す。
【0047】なお、上記各実施例の比較例として、実施
例3における低抵抗層を設けずに、光導電層上に従来の
保護膜であるポリエステル樹脂とメラミン樹脂層を積層
した電子写真用感光体(比較例5)と、同様に従来の保
護膜であるアクリル樹脂を積層した電子写真用感光体
(比較例6)を作製した。その電子写真用感光体の評価
結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2より、上記各実施例によって得られた
電子写真用感光体は、初期特性並びに繰り返し試験後に
おいて、残留電位が低く、暗減衰も穏やかであった。そ
のため、常温常湿と高温高湿下ともに、記録特性が良好
であることがわかる。
【0050】なお、実施例7において用いた低抵抗層
は、InO2とTiO2が樹脂中に分散したものであった
が、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化
チタンのうち少なくとも一種を分散させた樹脂、または
上記樹脂が熱硬化性樹脂、もしくはポリアミド樹脂から
なるものであっても同様の結果が得られる。
【0051】実施例8.実施例3において、光導電層中
に電子受容性化合物としてテトラシアノエチレンを0.
05wt%添加し、その他は同様のものとした電子写真
用感光体を作製した。その電子写真用感光体の評価結果
を表3に示す。
【0052】実施例9.実施例3において、光導電層中
にテトラシアノエチレンを0.5wt%添加し、その他
は同様のものとした電子写真用感光体を作製した。その
電子写真用感光体の評価結果を表3に示す。
【0053】実施例10.実施例3において、光導電層
中にテトラシアノエチレンを1.0wt%添加し、その
他は同様のものとした電子写真用感光体を作製した。そ
の電子写真用感光体の評価結果を表3に示す。
【0054】実施例11.実施例3において、光導電層
中にテトラシアノエチレンを2.0wt%添加し、その
他は同様のものとした電子写真用感光体を作製した。そ
の電子写真用感光体の評価結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】その結果、テトラシアノエチレンの添加量
を増す程、残留電位が低下することがわかった。即ち、
フタロシアニン系化合物を光導電層の構成材料とするも
のにおいては、例えばテトラシアノエチレンよりなる電
子受容性化合物を光導電層に添加することによって、充
分な光感度が得られるようになる。
【0057】また、表3から光導電層中へのテトラシア
ノエチレンの添加量が2.0wt%にもなると、高温高
湿時において、暗減衰が速くなり、ほぼ限界であること
もわかった。
【0058】なお、上記実施例8より実施例11では光
電導層上に低抵抗層を設けたもの(実施例3)に対して
電子受容性化合物を添加したが、保護膜が実施例3に示
した低抵抗層でないものに対しても、例えばテトラシア
ノエチレンよりなる電子受容性化合物を光導電層に添加
することによって、残留電位が低下し、充分な光感度が
得られるようになった。
【0059】上記各実施例で述べられた電子写真用感光
体は、通常の転写方式を用いた電子写真記録装置をはじ
め、接触型中間転写媒体を用いた電子写真記録装置にお
いても良好な記録を行う。特に接触型中間転写媒体を用
いた電子写真記録装置においては、接触型中間転写媒体
による負バイアスを低抵抗層でブロックできるので、よ
り有効である。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、光導電
層上に保護層として、1010〜1015Ω・cmの体積抵
抗を有する低抵抗層を5μm以下設けたので、感光体の
光感度の低下を招くことなく、保護層を厚膜化でき、繰
り返し使用においても安定した画質が得られる。
【0061】上記低抵抗層としては、例えばナイロン6
/66/610/12共重合体等のポリアミド樹脂から
なるものが適している。
【0062】あるいは上記低抵抗層として、酸化スズ、
酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化チタンのうち少
なくとも一種を分散させた樹脂、または上記樹脂が熱硬
化性樹脂、もしくはポリアミド樹脂からなるものが適し
ている。
【0063】また、フタロシアニン系化合物とバインダ
ー樹脂を光導電層の構成材料とする電子写真感光体にお
いて、上記光導電層中に電子受容性化合物を添加すれ
ば、充分な光感度が得られる効果がある。
【0064】また、上記電子受容性化合物はテトラシア
ノエチレンが適し、その添加量は2.0wt%未満が望
ましい。
【0065】また、光導電層を構成する樹脂を、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール
樹脂、エポキシ樹脂のうちの少なくとも一種と、アミノ
系樹脂、またはイソシアネート樹脂とを硬化させたもの
とすれば、耐久性、フタロシアニンの分散性等が優れて
いる効果がある。
【0066】また、接触型中間転写媒体を有する電子写
真記録装置に上記各電子写真用感光体を用いれば、良好
な記録が得られ、特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、2、及び比較例1ないし4
による電子写真用感光体の応答性を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長江 偉 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 脇田 佳寿子 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 杉本 義己 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導電層上に保護層として、1010〜1
    15Ω・cmの体積抵抗を有する低抵抗層を5μm以下
    設けたことを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の低抵抗層がポリアミド樹
    脂からなることを特徴とする電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のポリアミド樹脂がナイロ
    ン6/66/610/12共重合体であることを特徴と
    する電子写真用感光体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の低抵抗層が酸化スズ、酸
    化アンチモン、酸化インジウム、酸化チタンのうち少な
    くとも一種を分散させた樹脂、または上記樹脂が熱硬化
    性樹脂、もしくはポリアミド樹脂からなることを特徴と
    する電子写真用感光体。
  5. 【請求項5】 フタロシアニン系化合物とバインダー樹
    脂を光導電層の構成材料とする電子写真感光体におい
    て、上記光導電層中に電子受容性化合物を添加したこと
    を特徴とする電子写真用感光体。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の電子受容性化合物がテト
    ラシアノエチレンであり、その添加量が2.0wt%未
    満であることを特徴とする電子写真用感光体。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の電子写真用感光体において、光導電層を構成する樹
    脂が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹
    脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂のうちの少なくとも
    一種と、アミノ系樹脂、またはイソシアネート樹脂とを
    硬化させたものであることを特徴とする電子写真用感光
    体。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載の電子写真用感光体と接触型中間転写媒体を有する電
    子写真記録装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010286707A (ja) * 2009-06-12 2010-12-24 Mitsubishi Chemicals Corp 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置
CN110941154A (zh) * 2018-09-21 2020-03-31 富士施乐株式会社 电子照相感光体、处理盒和图像形成设备

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