JPH0712625Y2

JPH0712625Y2 - 防火ドアの構造

Info

Publication number: JPH0712625Y2
Application number: JP3033589U
Authority: JP
Inventors: 隆昭三坂; 伸和鈴木; 賞二島野; 弘一大谷
Original assignee: Yamaha Corp
Current assignee: Yamaha Corp
Priority date: 1989-03-16
Filing date: 1989-03-16
Publication date: 1995-03-29
Anticipated expiration: 2004-03-16
Also published as: JPH02121584U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」この考案は防火性能を高めた防火ドアの構造に関し、竪
材と横材を構成する積層板の一部を竪框の溝部に挿入
し、この積層板を貫通する熱発泡材を竪材と横材の内部
に埋設することによりドアの燃焼抵抗を高めたものに関
する。

「従来の技術」一般に建築物では火災が発生しにくいことと、万一火災
が発生しても延焼しにくいことが要求される。ここで火
災が発生した場合において、火炎に対する安全性の面で
検討すると、火災の性状は、建築材料の着火性、火炎伝
播性、可燃物量、熱伝導率、窓、ドアなどの開口率およ
び出火源の燃焼条件などの種々の条件により影響を受け
るが、特に火災の延焼防止と火災時の非難の可能性など
に関した点で重要となるのは、開口部あるいは通路など
を介して火炎と煙が伝播することを十分に防止できるこ
とである。

そこで建築物の通路や開口部には、防火性能を高めたド
アが設けられるわけであるが、ドアを木材で形成する場
合は、木材自体を難燃性の木材で形成することと、構造
的に延焼防止効果が十分に得られるようにすることが好
ましい。

「考案が解決しようとする課題」ところで、建築物に設けられるドアにおいては、装飾的
な配慮などから種々の構造のものが採用されており、そ
の中に、竪框と上框および下框とで周辺を固め、その内
側に鏡板を嵌め込み、鏡板を釘止めあるいは接着などで
固定してなる構成のドアが知られている。

ところがこの種の構成のドアにあっては、火炎にさらさ
れて熱された場合、釘の係止力あるいは接着剤の接着力
が、500〜600℃で急激に低下することから、場合によっ
ては鏡板が框から外れて落下し、この鏡板が外れてでき
た空間が火災の延焼通路並びに煙の通路となってしまう
問題があり、防火性能が低下する欠点があった。

また、前記構成のドアにおいて、竪框と横框が積層構造
となっている場合は、積層板どうしが接着により接合さ
れているので、前述のように火炎により熱されて積層板
が炭化した場合、接着力が低下して積層板どうしが分離
するおそれがあり、積層板、ひいては鏡板が落下してド
アの一部空間が形成され、前記の場合と同様に防火性能
が低下する問題があった。

この考案は前記事情に鑑みてなされたもので、框と鏡板
とを具備してなる構成のドアの燃焼抵抗を高めるととも
に、火災時に火炎や煙の通り道とならないような防火ド
アを提供することを目的とする。

「課題を解決するための手段」この考案は前記課題を解決するためになされたもので、
竪框などの竪材と横框などの横材を枠状に組み付け、竪
材と横材の間に鏡板を嵌め込んで構成された防火ドアに
おいて、前記竪材と横材の鏡板側の部分を複数の積層板
から形成し、前記積層板のうち、少なくとも１つを鏡板
側に突出させるとともに、鏡板の外周部に前記積層板を
挿入する溝部を形成し、前記突出された積層板を鏡板の
溝部に挿入して鏡板を竪材と横材の間に嵌め込む一方、
前記竪材と横材の内部に前記鏡板側に突出された積層板
を貫通した熱発泡材を複数埋設してなるものである。

「作用」火災時にドアが熱された場合、接着材や釘の係止力が低
下するが、熱発泡材が膨張して積層板を支持するので、
積層板の分離や落下が防止される。また、積層板の一部
が鏡板の収納溝に挿入されて鏡板を支持しているので、
火災時に膨張した熱発泡材によって支持された積層板に
火災時に鏡板を支持して鏡板の落下を防止する。

「実施例」第１図と第２図はこの考案の一実施例を示すもので、こ
の実施例の防火ドアＤにおいては、その外周部分が第２
図に示すように、左右一対の竪框（竪材）10,11と上框
（横材）12と下框（横材）13を枠状に組み付けて構成さ
れている。また、上框12と下框13の間には中框（横材）
14が設けられ、上框12の中央部と中框14の中央部に接続
して竪桟（竪材）15が設けられ、中框14の中央部と下框
13の中央部に接続して竪桟（竪材）16が設けられてい
る。なお、前記框10,11,12,13,14と竪桟15,16は相互に
だぼと接着剤により接合され、前記各部材の厚さは全て
同一ぶなるように形成されている。

一方、各框10,11,12,13,14と竪桟15,16とによって囲ま
れた部分には、各々鏡板18が取り付けられている。そし
て、各框10,11,12,13,14および竪桟15,16と鏡板18とが
接合された部分の構造はいずれも第１図に示すようにな
っている。

この接合部分の構造を竪材10と鏡板18の接合部分を例に
とって第１図を基に説明すると、竪框10の内周側（第１
図に示す鏡板18側）の部分は、厚い積層板10aと薄い積
層板10bで薄い積層板10cを挟んだ積層構造になってお
り、積層板10aの端部には凸部10dが形成されるととも
に、積層板10cの鏡板18側の端部は積層板10aの凸部10d
の先端面よりも先方に突出されている。また、竪框10の
内部にはその長さ方向に所定の間隔で円柱状の熱発泡材
17が埋設されている。前記各熱発泡材17の一端は積層板
10cを貫通し、他端は積層板10aの内部に埋設されて、各
々竪框10の厚さ方向に沿うように埋設されている。更
に、鏡板18の外周端面（第１図に示す鏡板18の左側面）
には浅底の収納溝18aが鏡板18の全周にわたり形成され
るとともに、この収納溝18aの底部の片隅側には幅の狭
い深い溝部18bが鏡18の全周にわたり形成されている。

そして、鏡板18の収納溝18aの底部に板状の熱発泡材20
を挿入し、更に収納溝18aに竪框10の凸部10dを挿入する
とともに、鏡板18の溝部18bの底部に熱発泡材21を挿入
し、更に積層板10cの先端部を鏡板18の溝部18bに挿入し
て竪框10と鏡板18とが接合されている。

以上説明したように竪框10と鏡板18が接合されている
が、他の框あるいは桟と鏡板18との接合部分も同等の構
成となっており、各框に設けられた積層板10cと各桟に
形成された積層板10cが一体となって鏡板18の周囲を囲
むようになっている。

また、第１図と第２図に符号22,22で示すものは、鏡板1
8と竪框10の接合部分を覆い隠すように接着剤固定され
た化粧用の額縁部材である。

ところで、前記框10,11,12,13,14の積層板と竪桟15,16
と鏡板18はいずれも難燃性木材で形成されるが、各積層
板のうち、鏡板18に挿入される積層板は、不燃材あるい
は準不燃材で形成されている。前記難燃化木材は、南洋
杉などの木材にジシアンジアミド、リン酸、ホウ酸およ
び水の部分反応生成物を固形分量で木材１m³当たり100k
g以上含浸させてなるものである。なお、前記木材と前
記薬剤の組み合わせにより100kg以上（通常の５倍）も
の含浸が可能であり、このような含浸作用によって準不
燃材として充分な性能の木材が得られる。また、前記不
燃材あるいは準不燃材としては、各種ケイ酸カルシウム
板など、あるいは、（久保田鉄工製の）商品名「モック
ビルト」、（岩倉ホモゲン製の）商品名「オマール」、
（日立化成製の）商品名「カーボフィット」などを用い
ることができるがこれらに限定されるものではない。

また、前記熱発泡材17,20,21は、数百℃に加熱された場
合に発泡して体積膨張するもので、含水ケイ酸ナトリウ
ムと少量の有機物とガラス繊維または針金などを混合し
てシート状または板状あるいは円柱状に成形したもの、
ポリシロキサンと充填剤を混合したパテ状のもの、ある
いは、セメントとガラス繊維を混合したパテ状のものな
どを適宜用いることができる。熱発泡材17,20,21として
更に具体的には、（西ドイツBASF社製の）商品名「パル
ゾールファイヤボード」、（英国ナリファイヤ製の）商
品名「システムＭ」、あるいは、（浅野スレート（株）
製の）商品名「ASボンド」などを用いることができる
が、これらに限定されるものではない。

前記の如く構成されたドアＤにおいては、各框10,11,1
2,13,14と竪桟15,16と鏡板18が難燃化木材で形成され、
更に積層板の一部が不燃材あるいは準不燃材で形成され
ているので、充分な防火性能を発揮する。また、万が
一、火災時に框10,11,12,13,14が炭化しても、膨張した
熱発泡材17が積層板10cを支持し、積層板10cが鏡板18を
支持するので鏡板18の落下が阻止されて充分な防火性能
を発揮する。しかも、鏡板18が各框10,11,12,13,14と同
一の厚さに形成されているので、火災時に熱された場
合、鏡板18のみが框や桟よりも先に焼失することがな
い。更に、各框10,11,12,13,14と鏡板18との間に熱発泡
材20,21が設けられ、火災時にこれらの熱発泡材20,21が
膨張して框と鏡板18との隙間を埋めるので、この隙間か
ら火炎や煙が漏れることがない。

以上のようにこの例のドアＤは従来のドアよりも燃焼抵
抗が大きくなっているので火災時に燃えにくく、防火性
能が優れた特徴を有する。

ところで、前記した実施例においては框10,11,12,13,14
と竪桟15,16と鏡板18をそれぞれ同一の厚さに形成した
が、これらの厚さは異なるものであっても差し支えな
い。また、ドアを構成する場合に設ける框あるいは桟
は、竪桟と横桟、あるいは、竪框、横框として各々必要
本数設けても差し支えない。更に、額縁部材22の外面形
状は、ドアＤの装飾面を配慮して適宜な形状に形成する
ことができるのは勿論である。

「考案の効果」以上説明したように本考案は、竪材と横材の鏡板側を積
層構造とし、積層板の一部を鏡板の溝部に挿入し、竪材
と横材の内部に積層板を貫通した熱発泡材を埋設し、竪
材と横材が火災により熱されて炭化した場合であって
も、熱発泡材が膨張して積層板の脱落を防止し、積層板
による鏡板の支持をできるようにしたので、鏡板や積層
板が脱落してドアに空間ができることがなくなり、火炎
や煙の通り道になることを防止できるので火災時に燃焼
抵抗が低下することを阻止できる。

従ってこの考案の構造によれば、従来のドアよりも燃焼
抵抗が大きくなっているので火災時に燃えにくく、防火
性能が優れた特徴を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図はこの考案の一実施例を示すもので、第１図は第２図に示すドアのＡ−Ａ線断面図、第２図はドアの正面図である。Ｄ……ドア、10,11……竪框（竪材）、10a,10b,10c……
積層板、10d……凸部、12……上框（横材）、13……下
框（横材）、14……中框（横材）、15,16……竪桟（竪
材）、17,20,21……熱発泡材、18……鏡板、18a……収
納溝、18b……溝部。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】竪框などの竪材と横框などの横材を枠状に
組み付け、竪材と横材の間に鏡板を嵌め込んで構成され
た防火ドアの構造において、前記竪材と横材の鏡板側の部分を複数の積層板から形成
し、前記積層板のうち、少なくとも１つを鏡板側に突出させ
るとともに、鏡板の外周部に前記積層板を挿入する溝部
を形成し、前記突出された積層板を鏡板の溝部に挿入し
て鏡板を竪材と横材の間に嵌め込む一方、前記竪材と横材の内部に前記鏡板側に突出された積層板
を貫通した熱発泡材を複数埋設してなることを特徴とす
る防火ドアの構造。