JPH07124454A - 分離膜および分離方法 - Google Patents

分離膜および分離方法

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JPH07124454A
JPH07124454A JP29740493A JP29740493A JPH07124454A JP H07124454 A JPH07124454 A JP H07124454A JP 29740493 A JP29740493 A JP 29740493A JP 29740493 A JP29740493 A JP 29740493A JP H07124454 A JPH07124454 A JP H07124454A
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JP
Japan
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membrane
separation
graft
polyethylene
molecular weight
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JP29740493A
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English (en)
Inventor
Norimitsu Kaimai
教充 開米
Takao Kuno
貴雄 久野
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリエチレン微多孔膜にアクリル系モノマー
を電離性放射線グラフト重合してなることを特徴とする
分離膜、およびポリエチレン微多孔膜にアクリル系モノ
マーを電離性放射線グラフト重合してなる分離膜を用い
パーベイパレーション法、逆浸透法またはエバポミエー
ション法により、アクリル系グラフト重合体に親和性を
有する有機化合物を選択的に分離することを特徴とする
有機溶媒混合物の分離方法。 【効果】 本発明の分離膜は、有機溶媒からなる混合物
あるいは有機溶媒と水との混合物から特定の有機溶媒を
高い選択性で分離することができ、かつ強度や耐久性に
も優れており、パーベイパレーション法、逆浸透法およ
びエバポミエーション法による分離に有効に用いること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶媒混合物を分離
するための膜、およびその膜を用いた液状あるいは気体
状の有機溶媒混合物の分離方法に関する。さらに詳しく
は、特にアクリル系重合体との親和性の大きな有機化合
物をアクリル系重合体と親和性の小さな有機化合物ある
いは水から分離するのに好適に使用できる分離膜および
その分離膜を用いた分離法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】細孔を有する膜を利用し
て種々の混合物から特定の物質を分離する膜分離法は近
年様々な分野で応用されつつある。また膜分離法におけ
る分離対象物も固体−液体混合物のみならず、液体−液
体、気体−気体、気体−液体混合物と広い範囲にわた
り、種々の混合物に対する分離膜および分離技術の開発
に関心が集まっている。
【0003】膜分離法による有機溶媒の分離も注目され
ている分野の一つであり、従来簡単な方法では分離でき
なかった混合物(例えば、沸点が近接していて蒸留によ
る分離が困難な混合物、共沸混合物、熱に弱い物質を含
む混合物等)を分離または凝縮する方法として研究され
ている。有機溶媒の混合物の膜分離法にはパーベイパレ
ーション法、逆浸透法およびエバポミエーション法が好
適である。
【0004】ところでパーベイパレーション法や逆浸透
法やエバポミエーション法を含めた膜分離法における分
離の精度および効率は、膜自体の性能に依存するので、
強度、耐久性、分離選択性に優れた膜を開発することが
重要であり、これまで様々な高分子膜が提案されてい
る。
【0005】例えば、特開昭50-98568号は、細孔を有す
る高分子重合体フィルムの細孔内表面に重合性単量体を
グラフト重合させた透過膜を開示している。この透過膜
では、耐久性、耐熱性および耐薬品性に優れたポリエチ
レン等の細孔を有する高分子重合体フィルムを基材とし
て用い、分離対象物に親和性を有する重合性単量体を細
孔内表面にグラフト重合している。しかしながら、この
分離膜は逆浸透法による水性混合物の分離には適してい
るが、ベンゼン/シクロヘキサン混合物のような有機溶
媒系混合物の分離性能は十分とは言えない。
【0006】また、特開昭52-122279 号は、不飽和カル
ボン酸等に由来する酸基を有する脂肪族オレフィン重合
体からなる分離膜を開示している。この分離膜は、脂肪
族オレフィン重合体等からなる膜基材の表面に、ラジカ
ル反応、光照射または電子線照射による架橋反応によっ
て、不飽和カルボン酸等を重合したものであり、パーベ
イパレーション法に用いることができ、特に有機溶媒の
混合液から不飽和化合物を比較的容易に分離することが
できる。しかしながら、この膜は実用的には多孔性支持
体にのせて使用する必要があるなど、性能はまだ十分で
ない。
【0007】分離性能の優れた膜とするためには、基本
的に、分離する化合物との親和性を選択的に高める必要
がある。しかしながら、分離膜全体を目的成分に親和性
のある材質とすれば、分離膜が膨潤し、可塑化効果によ
り高い分離選択性が得られなくなる。また分離膜の機械
的強度や耐久性の低下の問題も生ずる。
【0008】特開平3-98632 号等には、プラズマグラフ
ト重合法により多孔性基材の孔内部をアクリル系ポリマ
ーで埋めたフィリング重合膜からなる分離膜が開示され
ているが、プラズマ重合膜ではプラズマ照射による基材
の劣化が激しく、非常に脆くなること、プラズマグラフ
ト反応ではグラフト鎖が孔内表面で生長すると同時に膜
表面でも生長するため、膜表面の凹凸が激しいものとな
り、これにより特に製造時に巻物となるような長尺サン
プルとした時、巻き取り時にシートまたはフィルムに多
量のシワが発生することとなり、好ましくなかった。
【0009】したがって、本発明の目的は、有機溶媒か
らなる混合物あるいは有機溶媒と水とからなる混合物か
ら特定の有機化合物を高い選択性をもって分離すること
ができ、かつ強度や耐久性にも優れた分離膜を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は有機溶媒混合物
あるいは有機溶媒と水との混合物から特定の有機化合物
を選択性よく分離する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決する手段】上記課題に鑑み、鋭意研究の結
果、本発明者は基材としてポリエチレン微多孔膜を用
い、この膜にアクリル系モノマーを電離性放射線グラフ
ト重合したものを分離膜とすれば、アクリル系グラフト
重合体に親和性を有する有機溶媒を選択的に透過するこ
と、またこの膜は強度、耐久性にも優れていることを見
出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、 1)ポリエチレン微多孔膜にアクリル系モノマーを電離
性放射線グラフト重合してなることを特徴とする分離
膜、および 2)ポリエチレン微多孔膜にアクリル系モノマーを電離
性放射線グラフト重合してなる分離膜を用いてパーベイ
パレーション法、逆浸透法またはエバポミエーション法
により、アクリル系グラフト重合体に親和性を有する有
機化合物を選択的に分離することを特徴とする有機溶媒
混合物の分離方法である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。まず本発
明の分離膜について説明する。本発明の分離膜は、公知
の方法によって製造されるポリエチレン微多孔膜を基材
とするものである。ポリエチレン微多孔膜としては、超
高分子量ポリエチレンや高密度ポリエチレンからなるも
のを用いることができるが、強度の観点から超高分子量
ポリエチレンおよび超高分子量ポリエチレンを含有する
組成物からなるものが好ましい。
【0013】ポリエチレン微多孔膜の空孔率は好ましく
は30〜95%、より好ましくは35〜90%の範囲で
ある。空孔率が30%未満では微多孔内に分離対象有機
溶媒に親和性のアクリル系モノマーを充分な量グラフト
させることが出来ないためその透過性が不十分となり、
一方95%を超えると膜の機械的強度が小さくなり実用
性に劣る。
【0014】ポリエチレン微多孔膜の平均孔径は0.005
〜1μmの範囲内にあるものがよい。平均孔径が0.005
μm未満であると、分離目的物の透過性が不十分とな
り、また平均孔径が1μmを超えると分離性能が低下す
る。
【0015】ポリエチレン微多孔膜の強度は、破断強度
で200kg/cm2 以上とするのがよい。破断強度を20
0kg/cm2 以上とすることにより、ポリエチレン微多孔
膜内部に形成されたグラフト重合体に分離対象物が溶解
した際の膨潤変形に対する耐性が十分となる。
【0016】また、ポリエチレン微多孔膜の厚さは0.1
〜50μmが好ましく、0.2 〜25μmがより好ましく
い。厚さが0.1 μm未満では膜の機械的強度が小さく実
用に供することが難しい。一方50μmを超える場合
は、厚すぎて透過性能を低下させる。
【0017】本発明の分離膜で用いる超高分子量ポリエ
チレンは、エチレンの単独重合体またはエチレンと10
モル%以下のα−オレフィンとの共重合体からなる結晶
性の線状超高分子量ポリエチレンであり、分子量が重量
平均分子量で5×105 以上、好ましくは1×106
1×107 のものである。超高分子量ポリエチレンの重
量平均分子量は得られる分離膜の機械的強度に影響す
る。重量平均分子量が5×105 未満では極薄で高強度
の分離膜が得られない。一方、重量平均分子量の上限は
特に限定されないが、重量平均分子量が1×107 を超
えると延伸加工による薄膜化が難しいので好ましくな
い。
【0018】超高分子量ポリエチレン微多孔膜の場合、
超高分子量ポリエチレンに、他の比較的低分子量のポリ
エチレンを配合した組成物からなるものを用いることが
できる。この場合、重量平均分子量が7×105 以上の
超高分子量ポリエチレンを1重量%以上含有し、分子量
分布の尺度として用いられる重量平均分子量/数平均分
子量(Mw/Mn)が10〜300のポリエチレン組成
物が好ましい。
【0019】上記ポリエチレン組成物のMw/Mnは、
10〜300、好ましくは12〜250である。Mw/
Mnが10未満の分子量分布幅の狭いものでは、平均分
子鎖長が大きく、微多孔膜を製造する際に用いる溶媒に
溶かす際分子鎖同士の絡み合い密度が高くなるため、高
濃度溶液の調製が困難となる。また、Mw/Mnが30
0を超える分子量分布幅の大きいものでは、延伸時に低
分子量成分の破断が起こり膜全体の強度が低下する。
【0020】超高分子量ポリエチレン含有ポリエチレン
組成物中における超高分子量ポリエチレンの含有量は、
ポリエチレン組成物全体を100重量%として、1重量
%以上である。超高分子量ポリエチレンの含有量が1重
量%未満では、延伸性の向上に寄与する超高分子量ポリ
エチレンの分子鎖の絡み合いがほとんど形成されず高強
度の微多孔膜を得ることができない。一方、上限は特に
限定的ではないが、90重量%を超えると、微多孔膜を
製造するのに必要なポリエチレン溶液の高濃度化の達成
が困難となる。
【0021】ポリエチレン組成物中の超高分子量ポリエ
チレン以外のポリエチレンは、重量平均分子量が、7×
105 未満のものであるが、分子量の下限としては1×
104 以上のものが好ましい。重量平均分子量が1×1
4 未満のポリエチレンを用いると、延伸時に破断が起
こりやすく、目的とする微多孔膜が得られない。特に重
量平均分子量が1×105 以上7×105 未満のポリエ
チレンを超高分子量ポリエチレンに配合することが好ま
しい。
【0022】このようなポリエチレンとしては、前述の
超高分子量ポリエチレンと同種のものが挙げられるが、
特に高密度ポリエチレンが好ましい。
【0023】なお、上記した各ポリエチレン微多孔膜原
料には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑
剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填剤な
どの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添
加することができる。
【0024】ここで、超高分子量ポリエチレン微多孔膜
の製造方法について説明する。まず超高分子量ポリエチ
レン単独からなる微多孔膜の場合は、例えば超高分子量
ポリエチレンを溶媒中で加熱溶解した溶液からゲル状シ
ートを成形し、そのシートを脱溶媒処理し、加熱延伸し
た後、残留溶媒を除去する方法(特開昭60-242035 号)
などにより製造することができる。
【0025】超高分子量ポリエチレンに比較的低分子量
のポリエチレンを配合してなるポリエチレン組成物から
なる微多孔膜の場合には、以下の方法により製造するこ
とができる。
【0026】まず、上述のポリエチレン組成物を溶媒に
加熱溶解することにより、高濃度溶液を調製する。この
溶媒としては、ポリエチレン組成物を十分に溶解できる
ものであれば特に限定されず、ノナン、デカン、ウンデ
カン、ドデカン、デカリン、パラフィン油等の脂肪族ま
たは環式の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する
鉱油留分など、上記特開昭60-242035 号に記載のものと
同じでよい。加熱溶解は、ポリエチレン組成物が溶媒中
で完全に溶解する温度で撹拌しながら行なう。その温度
は使用する重合体および溶媒により異なるが、140〜
250℃の範囲が好ましい。また、ポリエチレン組成物
溶液の濃度は、10〜50重量%、好ましくは10〜4
0重量%である。
【0027】次にこのポリエチレン組成物の加熱溶液を
ダイスから押し出して成形する。ダイスは、通常長方形
の口金形状をしたシートダイスが用いられるが、2重円
筒状の中空系ダイス、インフレーションダイス等も用い
ることができる。シートダイスを用いた場合のダイスギ
ャップは通常0.1 〜5mmであり、押出し成形時には14
0〜250℃に加熱される。この際押し出し速度は、通
常20〜30cm/分乃至2〜3m/分である。
【0028】このようにしてダイスから押し出された溶
液は、冷却することによりゲル状物に成形される。冷却
は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の速
度で行なうことが好ましい。
【0029】次に、このゲル状成形物を延伸する。延伸
は、ゲル状成形物を加熱し、上記と同様に、通常のテン
ター法、ロール法、インフレーション法、圧延法もしく
はこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行なう。
二軸延伸が好ましく、縦横同時延伸または逐次延伸のい
ずれでもよいが、特に同時二軸延伸が好ましい。
【0030】延伸温度は、ポリエチレン組成物の融点+
10℃以下、好ましくは結晶分散温度から結晶融点未満
の範囲である。例えば、90〜140℃、より好ましく
は、100〜130℃の範囲である。
【0031】また、延伸倍率は成形物の厚さによって異
なるが、一軸方向で少なくとも2倍以上、好ましくは5
倍以上、面倍率で10倍以上、好ましくは25倍以上で
ある。面倍率が10倍未満では高強度で空孔率の大きい
薄膜が得られない。
【0032】延伸後の微多孔膜は脱溶媒処理される。脱
溶媒処理方法としては、揮発性溶剤に浸漬し抽出して乾
燥する方法が挙げられる。ここで揮発性溶剤としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メ
チレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エ
タンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキ
サンなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロ
パノール等のアルコール類などが挙げられ、ポリエチレ
ンの溶解に用いた溶媒により適宜選択し、単独もしくは
混合して用いる。浸漬処理後は通常用いられる乾燥法、
例えば真空乾燥を行なって、微多孔膜を得る。
【0033】本発明の分離膜は、上述したポリエチレン
微多孔膜に電離性放射線を照射して、微多孔膜内部にラ
ジカルを生成させた後に、アクリル系モノマーを気相ま
たは液相にて微多孔膜に接触させ、アクリル系モノマー
をグラフト重合して製造される。電離性放射線はポリエ
チレン微多孔膜の内部まで透過するため、電離性放射線
重合法によれば膜の厚み方向に亘る微多孔膜にほぼ均一
にグラフト重合体が膜の厚み方向外面に対して平行方向
に層構造で形成される。
【0034】電離性放射線としては、α線、β線、γ線
およびX線を挙げることができるが、取り扱いの上から
β線(電子線)による電子線グラフト重合法が好ましく
用いられる。
【0035】電子線グラフト重合法としては、微多孔膜
とアクリル系モノマーを共存させて同時に電子線を照射
する同時照射法、および予め微多孔膜に電子線を照射し
た後にアクリル系モノマーを反応させる前照射法があ
る。アクリル系モノマーの単独重合を抑制することがで
きることから前照射法を用いることが好ましい。
【0036】前照射法では微多孔膜に加速電圧150〜
5000KV、好ましくは200〜1000KVの電子線を照射す
る。電子線の照射はプラズマ法の如く不活性ガス雰囲気
を必要とせず、空気雰囲気下で行なうことができる。
【0037】照射量としては0.5 〜50Mradが適当であ
り、0.5Mrad 未満ではアクリル系モノマーのグラフトが
十分に行なわれず、50Mradを超えると微多孔膜が劣化
することがある。
【0038】次いで電子線照射したポリエチレン微多孔
膜をアクリル系モノマー溶液に浸漬処理してグラフト重
合膜を形成する。
【0039】グラフト重合するアクリル系モノマーは分
離対象物により適宜選択される。具体例としてはアクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、ア
クリル酸ビニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステ
アリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ジメ
チルアミノエチル、メタクリル酸ビニル、アクリルアミ
ド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で
も複数種のモノマーの混合物として用いてもよい。さら
にアクリル系モノマー以外に分子中に2個以上の2重結
合を有するジビニルベンゼンなどの架橋剤を同時に存在
させることもできる。
【0040】電子線グラフト重合法の具体的工程につい
て以下に説明する。 (a) グラフト重合するアクリル系モノマーを水または有
機溶媒に溶解またはけん濁させ、アクリル系モノマーの
均一溶液(エマルジョン液)を調製する。本発明で用い
るモノマーは水とのエマルジョン液として用いるのが好
ましい。
【0041】エマルジョン液の調製時には、界面活性剤
を0.1 〜50重量%含有する水100重量部に、モノマ
ーを0.1 〜100重量部加える。この配合液を超音波振
動により撹拌してモノマーが均一に分散されたエマルジ
ョン液とする。界面活性剤の量が0.1 重量%未満では良
好なエマルジョン液が得られず、微多孔膜表面に均一な
グラフト重合体を形成することができない。一方、50
重量%を超すと、グラフト重合性を阻害するおそれが生
じる。
【0042】また、モノマーの量が界面活性剤を含む水
100重量部に対して、0.1 重量部未満では、微多孔膜
内部に十分な量のグラフト重合体を形成することができ
ず、一方、モノマーの量が100重量部を超すと、重合
量の制御が困難となる。
【0043】(b) ポリエチレン微多孔膜内部に先述のよ
うに電子線を照射してラジカルを生成させ、このポリエ
チレン微多孔膜を上記のエマルジョン液に接触させる。
具体的には、上記のエマルジョン液に、ラジカルを発生
させたポリエチレン微多孔膜を浸漬するのがよい。な
お、この操作は、窒素ガス、アルゴンガス等をエマルジ
ョン液にバブリングしながら行なう。このときエマルジ
ョン液の温度は0〜120℃、好ましくは20〜60
℃、処理時間は1分〜数日間、好ましくは10分〜1時
間である。
【0044】(c) 次に得られた微多孔膜をトルエン、キ
シレン等で一昼夜洗浄し、真空乾燥させる。
【0045】以上の電子線グラフト重合法により、微多
孔膜にほぼ均一にアクリル系モノマーのグラフト重合体
を膜の厚み方向外面に対して平行方向に層構造で形成さ
れた目的の分離膜を得ることができる。
【0046】本発明の分離膜では、膜基材であるポリエ
チレン微多孔膜にグラフト重合体が均一な層構造で存在
するためグラフト重合体に親和性の液体混合物の特定成
分を選択的に取り込み、それを膜の反対側まで透過させ
ることにより、効率のよい分離をすることができる。ま
た強度の大きいポリエチレン微多孔膜にグラフト重合体
が均一な層構造で存在するためグラフト膜全体の強度が
増し膨潤が抑えられ、さらに膜の表面は平滑である。
【0047】次に、上述した本発明の分離膜を用いる分
離方法について説明する。本発明の方法では、分離膜を
用いてパーベイパレーション法、エバポミエーション法
または逆浸透法により有機溶媒混合物あるいは有機溶媒
と水の混合物から特定の有機化合物の分離を行なう。本
発明の方法で採用するパーベイパレーション法、エバポ
ミエーション法または逆浸透法は、本発明の分離膜を用
いること以外は基本的には公知のパーベイパレーション
法、エバポミエーション法または逆浸透法と同様であ
り、本発明の分離膜を隔てて1次側に分離対象となる混
合液体または蒸気(対象有機化合物を含有する混合液ま
たは蒸気)を供給し、2次側を低圧側とし、混合液体の
一成分(有機化合物)を気体あるいは液体として2次側
に取り出す。
【0048】本発明の分離方法の適用温度範囲は、分離
対象物により多少異なるが、通常0〜120℃、好まし
くは20〜60℃とする。120℃を超える温度ではポ
リエチレン微多孔膜の耐熱性が不十分となって膜形状の
保持に問題が生じ、また0℃未満では、分離対象物にも
よるが、一般には単位膜面積、膜厚および時間当たりの
透過量が少くなるので好ましくない。
【0049】本発明の分離方法を適用する圧力範囲は、
200kg/cm2 以下、好ましくは100kg/cm2 以下で
ある。200kg/cm2 を超える圧力ではポリエチレン微
多孔膜の形状保持が困難となる。
【0050】本発明の方法により高い選択分離性をもっ
て分離できる有機液体混合物としてはベンゼン、トルエ
ン等の芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、テトラヒドロ
フラン、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素、アセトン
等のケトン類、シクロヘキサノール、テトラヒドロフル
フラール等の2種またはそれ以上の混合物、およびそれ
らと水との混合物等があげられる。
【0051】具体例としては、ベンセン/シクロヘキサ
ン、ベンゼン/n−ヘキサン以外にベンゼン/n−ヘプ
タン、トルエン/シクロヘキサン、トルエン/メチルシ
クロヘキサン、ヘキサン/ヘプタン、トルエン/ベンゼ
ン等があげられ、その他に、ベンゼン/水、塩素系有機
溶剤/水等の溶解度パラメーターの異なる混合物が挙げ
られる。
【0052】ポリエチレン微多孔膜にグラフトするモノ
マーと分離できる有機液体混合物の代表的な組合わせの
例としては、アクリル酸メチルとベンゼン/シクロヘキ
サン、アクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体とメ
タノール/アセトン、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チルまたはアクリル酸ブチルと水/クロロホルム、アク
リル酸/ビニルアクリレート(架橋剤)とクロロホルム
/シクロヘキサン、ラウリルアクリレートまたはステア
リルアクリレートと水/トリクロロエタンなどがある。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は下記の例に限定されるものではない。
【0054】実施例1 重量平均分子量2×106 、膜厚25μm、空孔率40
%、平均孔径0.03μmの超高分子量ポリエチレン微多孔
膜(東燃化学(株)製)に加速電圧250KV、10Mrad
にて電子線を照射した。次に電子線照射したポリエチレ
ン微多孔膜を10vol %のメチルアクリレート水溶液
(界面活性剤としてドテシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウムを水1リットル中10gの濃度で含む)に窒素バブ
リング下で60℃、5〜30分間浸漬しグラフト重合を
行なった。
【0055】浸漬後、超高分子量ポリエチレン微多孔膜
をトルエン中で一昼夜洗浄し、真空乾燥した。乾燥後に
膜の重量を測定し、初期の膜重量からの変化により、グ
ラフト重合量を測定し、グラフト率を求めた。得られた
膜のグラフト率と引張破断強度および引張破断伸度(共
にASTM D882 に準拠)の関係をそれぞれ図1および図2
に示す。また、膜表面の凹凸の差ΔH(100μm幅)
を電子顕微鏡写真より求めた結果を図3に示す。
【0056】この分離膜を用いてパーベイパレーション
によりベンゼン/シクロヘキサン混合溶液の分離実験を
行なった。供給液(ベンゼン/シクロヘキサン混合溶
液、ベンゼン濃度(重量比)0.5 )の温度50℃とした
時の透過流速(Q)および分離係数(α)を求めた。グ
ラフト率に対するそれらの関係を図4に示す。
【0057】比較例1 実施例1において電子線照射の代わりにプラズマ照射
(高周波出力10W、プラズマ照射時間60秒、アルゴ
ン雰囲気、圧0.1mbar )を行なったこと以外は同じ方法
によってグラフト重合ポリエチレン微多孔膜を得た。そ
れぞれの結果を図1〜4に示す。
【0058】図1〜4からわかるように、電子線照射グ
ラフト重合ポリエチレン微多孔膜(実施例1)は、プラ
ズマグラフト重合ポリエチレン微多孔膜(比較例1)に
比べて引張破断伸度、引張破断強度および膜表面の平滑
性に優れており、かつ分離性能もプラズマグラフト重合
ポリエチレン微多孔膜と同等以上である。
【0059】実施例2 実施例1と同じ条件で電子線照射した超高分子量ポリエ
チレン微多孔膜を種々の比率のアクリル酸メチルとアク
リルアミドとの混合モノマー水溶液に30℃で30分間
浸漬しグラフト重合を行ない、グラフト膜を得た。この
膜を用いて、メタノールおよびアセトン単成分によるパ
ーベイパレーション透過実験を行なった(透過液温度:
25℃)。その結果を図5に示す。
【0060】参考のためにポリアクリル酸メチルホモポ
リマーにより細孔を閉塞した分離膜を用いて、上記の方
法と同様にしてメタノールおよびアセトン単成分による
パーベイパレーション透過実験を行なった。結果を図5
に合わせて示す。
【0061】図5からわかるようにアクリルグラフト共
重合体中のポリアクリルアミド成分が増加するに従い、
アセトンの透過流束は減少した。また、メタノールはポ
リアクリルアミド成分が30重量%付近で極大値を示し
た。以上からわかるように、本発明では、分離膜のグラ
フト共重合体の組成を変えることで幅広い液体混合物の
分離に対応することができる。
【0062】実施例3 実施例1と同じ条件で電子線照射した微多孔膜をメチル
アクリレート4wt%およびビニルアクリレート1wt%を
含有するメタノール水溶液(メタノール:水=10:9
0)に30分間浸漬した。なお浸漬時のメタノール水溶
液の温度は30℃とした。
【0063】浸漬後、超高分子量ポリエチレン微多孔膜
をトルエン中で一昼夜洗浄し、真空乾燥した。乾燥後に
膜の重量を求め、初期の膜重量からの変化よりグラフト
率を求めた。
【0064】この分離膜を用いてパーベイパレーション
によりクロロホルム/n−ヘキサン(重量比72:2
8)混合溶液の分離実験を供給温度25℃で6時間行な
い、透過流速(Q)および分離係数(α)を求めた。結
果を図6に示す。図6からわかるように、透過流速
(Q)および分離係数(α)の振れがないことから、分
離膜の膨潤がなく、良好な分離性能を示すことがわか
る。
【0065】
【発明の効果】図1〜4から明らかなように、電子線グ
ラフト重合を行なった超高分子量ポリエチレン微多孔膜
ではグラフトが基材内部まで均一に膜の厚み方向外面に
対して、ほぼ平行方向に層構造となって形成されている
ため機械物性に優れ、膜表面の凹凸が少なく平滑で面方
向における均一性が高いため長尺の分離膜として有効に
使用することができる。また分離膜の分離性能もプラズ
マグラフト重合膜と同等以上であり、パーベイパレーシ
ョン法のみならず耐圧性が要求される逆浸透法などにも
有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1(電子線照射)の分離膜と比較例1
(プラズマ法)の分離膜のグラフト率と引張破断強度と
の関係を示す図である。
【図2】 実施例1(電子線照射)の分離膜と比較例1
(プラズマ法)の分離膜のグラフト率と引張破断伸度と
の関係を示す図である。
【図3】 実施例1(電子線照射)の分離膜と比較例1
(プラズマ法)の分離膜のグラフト率と表面凹凸差(Δ
H)との関係を示す図である。
【図4】 実施例1(電子線照射)の分離膜と比較例1
(プラズマ法)の分離膜のグラフト率と透過流速(Q)
および分離係数(α)との関係を示す図である。
【図5】 実施例2の分離膜のグラフトコモノマーの割
合とメタノールおよびアセトンの透過流速(Q)との関
係を示す図である。
【図6】 実施例3の分離膜の操作時間と透過流速
(Q)および分離係数(α)との関係を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】比較例1 実施例1において電子線照射の代わりにプラズマ照射
(高周波出力10W、プラズマ照射時間60秒、アルゴ
ン雰囲気圧力1.1hPa)を行なったこと以外は同じ
方法によってグラフト重合ポリエチレン微多孔膜を得
た。それぞれの結果を図1〜4に示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】実施例2 実施例1と同じ条件で電子線照射した超高分子量ポリエ
チレン微多孔膜を種々の比率のアクリル酸メチルとアク
リルアミドとの混合モノマー水溶液に30℃で30分間
浸漬しグラフト重合を行ない、グラフト膜(グラフト率
370〜400重量%)を得た。この膜を用いて、メタ
ノールおよびアセトン単成分によるパーベイパレーショ
ン透過実験を行なった(透過液温度:25℃)。その結
果を図5に示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】 参考のためにポリアクリル酸メチルグラ
フトポリマーにより細孔を閉塞した分離膜を用いて、上
記の方法と同様にしてメタノールおよびアセトン単成分
によるパーベイパレーション透過実験を行なった。結果
を図5に合わせて示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正内容】
【0064】 この分離膜(グラフト率388重量%)
を用いて逆浸透法(操作圧:80kg/cmにより
クロロホルム/n−ヘキサン(重量比72:28)混合
溶液の分離実験を供給温度25℃で6時間行ない、透過
流速(Q)および分離係数(α)を求めた。結果を図6
に示す。図6からわかるように、透過流速(Q)および
分離係数(α)の振れがないことから、分離膜の膨潤が
なく、耐圧性に優れ、良好な分離性能を示すことがわか
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン微多孔膜にアクリル系モノ
    マーを電離性放射線グラフト重合してなることを特徴と
    する分離膜。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン微多孔膜にアクリル系モノ
    マーを電離性放射線グラフト重合してなる分離膜を用い
    てパーベイパレーション法、逆浸透法またはエバポミエ
    ーション法により、アクリル系グラフト重合体に親和性
    を有する有機化合物を選択的に分離することを特徴とす
    る有機溶媒混合物の分離方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002239354A (ja) * 2000-12-15 2002-08-27 Japan U-Pica Co Ltd Frp精密濾過材およびその製造方法
JP2008229586A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Japan Atomic Energy Agency グラフト重合された機能性不織布フィルタ及びその製造方法
JP2016013544A (ja) * 2014-06-13 2016-01-28 ダイキン工業株式会社 多孔膜

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