JPH07124250A - 血液透析用中空糸の洗浄および乾燥方法 - Google Patents

血液透析用中空糸の洗浄および乾燥方法

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JPH07124250A
JPH07124250A JP15357693A JP15357693A JPH07124250A JP H07124250 A JPH07124250 A JP H07124250A JP 15357693 A JP15357693 A JP 15357693A JP 15357693 A JP15357693 A JP 15357693A JP H07124250 A JPH07124250 A JP H07124250A
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hollow fiber
washing
drying
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liquid
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Hiroo Matsuda
裕生 松田
Satoshi Omori
智 大森
Takeyuki Kawaguchi
武行 川口
Shoji Mizutani
昭治 水谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液透析用中空糸を環境破壊や環境汚染の危
険があるフレオン、低級アルコール等を使用せずに洗浄
し、乾燥する方法を提供する。 【構成】 芯液として流動パラフィン等の非水溶性液体
を用いて作製した血液透析用中空糸の芯液洗浄および乾
燥を行うに際し、該非水溶性液体に対して洗浄能力を
有する界面活性剤の水溶液で中空糸を洗浄する工程、
洗浄後の中空糸に付着した上記界面活性剤を水洗する工
程、水洗後の中空糸内に保湿剤水溶液を含浸させる工
程、および中空糸芯部に含まれる該保湿剤溶液を芯部
から除去する工程、さらに該中空糸を乾燥する工程を
順次実施することにより効率的に洗浄および乾燥を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血液透析用中空糸の洗浄
および乾燥方法に関する。さらに詳しくは、血液透析用
中空糸を製造する際に、芯液として用いる非水溶性液体
の洗浄および該洗浄後の中空糸に保湿剤を含浸後、乾燥
させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液透析膜は腎臓機能の悪化した患者の
腎機能を代行するものとして、初期は尿素やクレアチニ
ンなどの低分子を除くために用いられていたが、近年で
はβ2ミクログロブリンなど中分子量のタンパク質も効
率的に除去できるいわゆる高性能透析膜が開発され、ま
すますその重要性が増している。中空糸タイプの高性能
透析膜は、その製造方法から乾式法および半乾半湿式
(乾湿式)法に分類され、特に乾湿式法によるものが良
好な性能を示すために、好適に使用されている。
【0003】かかる乾湿式法による中空糸の製造に際し
て使用する芯液としては、流動パラフィンやイソプロピ
ルミリステートなどの非水溶性液体や凝固浴と同じ組成
の有機溶剤の水溶液などが広く用いられてきた。これら
のうち油性芯液は中空糸モジュール成型後に、該中空糸
の内面に、フレオンなどの洗浄溶剤を通液することによ
り洗浄可能である。しかし、フレオンはオゾン層破壊や
低沸点で回収が困難という問題点を抱えている。
【0004】また、イソプロピルミリステートのような
高級脂肪酸エステルを芯液として用いる場合、これらの
多くは、エタノールやイソプロパノールなどの低級アル
コールで洗浄することが可能である。しかし、これらの
低級アルコールは低沸点かつ高蒸気圧のために火災や作
業環境汚染の危険性があるという問題点や、グリセリン
などの中空糸保湿剤を溶出するために膜性能の低下を招
くという問題点を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題を有するフレオンや低級アルコール等を使用せず
に、膜性能も良好な血液透析用中空糸を得られる洗浄・
乾燥方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく鋭意研究の結果、中空糸内部に含まれる非水
溶性液体を界面活性剤水溶液で洗浄後、中空糸保湿剤水
溶液で処理し、さらに乾燥することにより、膜性能の優
れた乾燥状態の透析用中空糸が得られることを見い出
し、本発明を完成するに到った。
【0007】すなわち、本発明は、芯液として非水溶性
液体を用いて作製した血液透析用中空糸の芯液洗浄およ
び乾燥を行うに際し、(1)該非水溶性液体に対して洗
浄能力を有する界面活性剤の水溶液で中空糸を洗浄する
工程、(2)洗浄後の中空糸に付着した上記界面活性剤
を水洗する工程、(3)水洗後の中空糸内に保湿剤水溶
液を含浸させる工程、および(4)中空糸芯部に含まれ
る該保湿剤水溶液を芯部から除去する工程、さらに
(5)該中空糸を乾燥する工程、から実質的になること
を特徴とする中空糸の芯液洗浄および乾燥方法である。
【0008】本発明により洗浄および乾燥が行われる血
液透析用中空糸膜の材質としては、非水溶性液体を芯液
として用いて中空糸に紡糸できるものであれば特に制限
はないが、好適な具体例としては、セルロースエステル
類、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボ
ネート、ポリアミドなどがあげられる。これらのポリマ
ーは、溶剤および開孔剤(相分離剤)とともに均一溶解
後、二重管ノズルを用い、その中心部には非水溶性液体
を芯剤として供給して、例えば乾湿式紡糸法により安定
に紡糸される。
【0009】芯剤として用いられる非水溶性液体として
は、炭素数10〜30の脂肪族パラフィン、高級脂肪酸
エステルおよび炭素数7〜10の芳香族炭化水素があ
る。これらは単独でも混合物でも構わない。これらの中
で、炭素数16以上のパラフィンおよび炭素数20以上
の高級脂肪酸エステルは常温で固体であることが多いの
で、紡糸時には加熱融解する必要がある。本発明におい
て芯剤として好適に用いられる非水溶性液体は、常温で
液体の炭素数10〜15の流動パラフィン、イソプロピ
ルミリステート、トルエン、キシレンなどである。これ
らの中でも、紡糸過程での中空糸の形状維持や中空糸内
面の平滑性および中空糸強度などの点から、凝固浴水溶
液に非溶解性であると同時に紡糸原液とも全く非混和性
の流動パラフィンが最も好適に用いられる。
【0010】かくして紡糸された中空糸はその中空部に
芯剤の非水溶性液体を含有しており、実用に際しては該
非水溶性液体を除去しなければならない。そのために
は、まず、該非水溶性液体を含む中空糸束から、遠心分
離や自然落下などの方法により、可能な限り多くの非水
溶性液体を予め除去することが必要である。しかる後
に、中空糸内に残存している非水溶性液体を界面活性剤
水溶液で洗浄する工程が採用される。
【0011】本発明において、非水溶性液体の洗浄に使
用できる界面活性剤としては、該非水溶性液体を水中で
乳化または溶解できるものであれば特に制限はないが、
実質的に毒性がなく、低起泡性でミセル臨界濃度の低い
ものが好ましい。さらに該界面活性剤水溶液は、攪拌時
に非水溶性芯液を乳化する性質を有し、好ましくは静置
時に油水層に分離する性質を有するものがよい。こうし
た性質を有する界面活性剤水溶液は容易に回収・再使用
できる。好適に使用される界面活性剤としては、非イオ
ン活性剤および陰イオン活性剤から選択できる。非イオ
ン活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン誘導
体、オキシエチレン―オキシプロピレンブロック共重合
体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられ
る。また、陰イオン活性剤の具体例としては、アルキル
硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩など
が挙げられる。かかる界面活性剤の具体例としては、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノー
ルアミド、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、
アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム、アルファ
オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルアミンオキ
シド、アルキルグリコシド、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは単独でも
組み合わせても使用可能である。市販界面活性剤として
は、後述の実施例で用いる「ママレモン」(ライオン
(株)製)のほか、「ナテラ」(ライオン(株)製)、
「モア」(花王(株)製)などがあるが、もちろんこれ
らに限定されるものではない。
【0012】中空糸内部に含まれる非水溶性液体を上記
の界面活性剤水溶液で効率的に洗浄するための具体的な
方法は特に限定されないが、例えば中空糸を界面活性剤
水溶液中に浸漬する方法、中空糸内面に該水溶液を導入
した後自然落下させる方法、中空糸内面に該水溶液を循
環する方法などが採用できる。これらの洗浄方法を採用
するに当たって好適な界面活性剤水溶液の濃度や温度、
通液速度や通液量などは、中空糸に付着している非水溶
性液体量に応じて実験によって決めることができる。中
空糸内部に含まれる非水溶性液体を上記の界面活性剤水
溶液で効率的に洗浄するために本発明において特に好適
に用いられる方法としては、中空糸外面側から中空部に
界面活性剤水溶液を圧入しながら洗浄する方法が挙げら
れる。該方法によれば、中空糸内面のみでなく中空糸の
壁孔内に侵入している非水溶性芯液をも効率的に洗い出
すことが可能となる。また、中空糸内面の非水溶性芯液
が中空糸外面に押し出されることがないために、中空糸
壁や外面が芯液で汚染されることもない。
【0013】本発明で用いられる界面活性剤水溶液は、
中空糸を侵さず、環境破壊性がなく、かつ作業環境上も
人体に対しても影響がない。さらに上記活性剤水溶液で
洗浄された非水溶性液体は、所定時間静置することによ
り水溶液から遊離してくるために、該界面活性剤水溶液
と非水溶性液体は容易に回収・再使用できる。
【0014】かくの如く洗浄された中空糸は、引き続
き、内部に付着した界面活性剤を洗浄・除去するために
水洗される。この水洗処理は、界面活性剤の洗浄除去の
みでなく、微量に中空糸内に残存している紡糸溶剤や添
加剤の除去にも寄与するため、安全上も極めて有利であ
る。
【0015】水洗後の中空糸は乾燥状態での滅菌処理に
耐えるようにするために、グリセリンなどの保湿剤を含
浸する必要がある。該含浸処理に際しては、保湿剤が中
空糸内部にのみ含浸され、中空糸外部の透析容器内にま
で漏れ出さないことが重要である。もしも保湿剤が中空
糸外部に漏れ出すほど多量に含浸された場合は、後の乾
燥工程で保湿剤が透析器内壁で凝縮して液滴となるため
に、外見上好ましくない。また、透析器を使用する前に
行われるプライミング処理において、必要以上のプライ
ミング用溶液を使用しなくてはならず不経済でもある。
本発明において、好適に実施できる保湿剤の含浸方法と
しては、保湿剤水溶液を例えばローラポンプなどで吸引
しながら、中空糸の一方の端部から他端部へ陰圧状態で
移動させ、該移動に伴って中空糸内面から外面方向にも
該保湿剤を自然拡散させる方法が好ましい。使用する保
湿剤としては、無毒性、水溶性、高沸点かつ中空糸に含
浸されやすいものが用いられる。保湿剤の好適な具体例
としては、グリセリンが挙げられる。また、上記含浸処
理は、30〜70重量%の保湿剤水溶液を加熱して低粘
度にした条件下で行うのが効率的である。
【0016】かくして、保湿剤水溶液が含浸された中空
糸は、次いで、水分蒸発のために乾燥処理される。該乾
燥処理に際しては、中空糸内から保湿剤が蒸発して透析
器内部で凝縮したり、中空糸が乾燥収縮したりしないよ
うな条件を採用すること、および中空糸の芯部に保湿剤
が液滴状に不均一な状態で残らない条件を選ぶこと、も
重要である。こうした条件を満足する好ましい乾燥処理
方法としては、まず、中空糸芯部に含まれる保湿剤水溶
液を中空糸モジュールの端面から遠心分離や自然落下法
により除去する。具体的には、例えば中空糸内部に保湿
剤を含浸させた後、中空糸モジュールを約50℃の乾燥
機に垂直に3時間収納して、保湿剤を自然落下させ、さ
らに最後に遠心分離機にて例えば約600rpmの速度
で遠心分離処理して芯部の保湿剤を完全に除去する。次
いで、中空糸の内側と外側にわずかに加熱した空気を送
風して乾燥する方法や真空乾燥する方法が採用される。
この際、保湿剤の蒸発抑制と水分の乾燥効率から、弱加
熱下で真空乾燥する方法が好ましい。保湿剤の蒸発を抑
制し、かつ水分を乾燥するために好ましい具体的乾燥条
件としては、約50℃、常圧下で2時間から24時間の
時間範囲内で熱乾燥した後、さらに25〜35℃の温度
下で10〜0.5mmHgに減圧した状態で2時間から
15時間の時間範囲内で減圧乾燥することが好ましく採
用される。具体的な加熱条件や減圧条件は実験により決
めることができる。
【0017】かく乾燥された中空糸モジュールは、使用
に先立ち、滅菌処理を施される。好適な滅菌方法として
は、γ線照射、エチレンオキサイドガス滅菌、電子線照
射などがあるが、操作の簡便さや滅菌効果の点からγ線
滅菌法が最も好ましい。
【0018】以上、モジュールにした状態での洗浄を中
心に説明したが、本発明では別の洗浄の仕方も可能であ
り、例えば、次のような方法も採用できる。 モジュール作製前の糸の状態での洗浄:所定の本数
からなる糸条束を円筒状の容器に収納し、界面活性剤水
溶液を長時間(1時間以上)通液することによって、芯
部の非水溶性液体を洗浄する。その後、保湿剤(グリセ
リン水溶液)を通して乾燥し、モジュールを作製する。 糸状とモジュール状の組合せ洗浄:糸条束を円筒状
の容器に収納し、非水溶性の洗浄液で短時間(1時間以
内)通液して洗浄後、乾燥して、その後モジュールを作
製し、芯部を界面活性剤水溶液で洗浄し、その後保湿剤
を通して乾燥する。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、中
空糸の芯液として用いられる非水溶性液体を、フレオン
などの環境破壊性の溶剤を用いることなく洗浄でき、中
空糸中に残存する溶媒も、透析器内に組み込んだ状態で
徹底的に水洗浄できるために、中空糸および血液透析器
が極めて清浄であり、安全性にも優れるという利点が得
られる。
【0020】さらに、洗浄に用いる溶剤が水であるため
に作業環境上も有機溶剤を用いる場合に比べて有利とい
う利点もある。また、中空糸を透析器内に収納し成型し
た後に水洗浄したにも拘らず、得られる透析器は乾燥状
態であるので、運搬や取り扱いも容易である。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により限定
を受けるものではない。
【0022】
【参考例1】 (セルローストリアセテート中空糸膜モジュールの作
製)セルローストリアセテート20重量部、トリエチレ
ングリコール24重量部およびN―メチル―2―ピロリ
ドン(NMP)56重量部を二軸押出機中で150℃に
て攪拌混合後、脱泡しながら均一溶液となした。該溶液
をフィルターで濾過した後、二重管ノズルの外側からは
トリアセテート溶液を、内側からは芯液として流動パラ
フィンを吐出し、空気中(エアギャップ)を通過させた
後、30重量%NMP水溶液中にて凝固した。さらにこ
の中空糸を50℃の水洗槽中で中空糸中に残存する溶剤
を水洗除去後、50%グリセリン水溶液を付着し、80
℃にて10秒間乾燥した。かくして得られた内径200
μm、膜厚15μmの中空糸13,500本を束ねた
後、末端部をウレタンで封止し、50℃の乾燥機中で中
空糸の片側端面から流動パラフィンを3時間自然落下さ
せながら熱処理することによりモジュールを得た。
【0023】
【参考例2】 (中空糸の透析性能測定方法)本発明において、中空糸
の透析性能としては、透水性(UFR)、尿素透析性
(DA 尿素)、デキストラン1万透析性(DA 1万)お
よびデキストラン7万フルイ係数(SC7万)を評価し
た。評価には有効膜面積1.5m2 の透析器を用いた。
具体的な測定条件を以下に示す。 UFR :差圧300mmHgで35℃の純水20m
lが圧濾過されるに要する時間を測定することにより求
めた。 DA 尿素: 0.01wt%の尿素水溶液を透析器内
の中空糸束の片側端面から他方の端面に200ml/分
の流速で通液した際の、入口と出口での尿素水溶液の濃
度差から算出した。 DA 1万:デキストラン1万の0.02重量%水溶液
を透析液として用い、尿素透析の場合と同様にして算出
した。 SC7万:デキストラン7万の0.01重量%水溶液
を原液として用い、10mmHgの加圧下で膜を透過し
たデキストラン7万濃度を測定することにより、算出し
た。
【0024】
【実施例1】参考例1で得たモジュールの片側端面から
微量定量ポンプを用いて、非イオン性界面活性剤(「マ
マレモン」、ライオン(株)製)の0.3重量%水溶液
を200ml/分の流量で40℃で30分間通液した。
しかるのち、40℃の蒸留水を200ml/分の流量で
30分間通液し、中空糸内に残存する界面活性剤を洗浄
した。その後、50℃に加温した保湿剤(グリセリン)
の60重量%水溶液をローラーポンプの吸引口から陰圧
状態で吸引し、中空糸の片側端部から他端部へ移動さ
せ、30分間循環通液しながら中空糸内面から外面方向
にも該保湿剤を拡散させることにより、中空糸内部に該
保湿剤を含浸させた。その後、中空糸モジュールを50
℃の乾燥機に垂直に収納し、芯部のグリセリン水溶液を
除去してから、35℃、1mmHgで12時間真空乾燥
処理を行った。
【0025】かくして得られた中空糸の透析性能を評価
したところ、UFR、DA 尿素、DA 1万およびSC7
万はそれぞれ、220ml/m2 /h/mmHg、19
4ml/分、58ml/分、0.05と血液透析器とし
て非常に優れた性能を示した。
【0026】
【比較例1】参考例1で得たモジュールの片側端面か
ら、1,1,2―トリフロロ―1,2,2―トリクロロ
エタンを10分間通液することにより、中空糸内部の流
動パラフィンを除去した。しかる後、該モジュールを5
0℃にて3時間熱処理したのち、その透析性能を評価し
たところ、UFR:160ml/m2 /h/mmH
g、、DA 尿素:188ml/分、DA 1万:42ml
/分、SC7万:0.04と実施例1に比べて低い性能
を示した。
【0027】
【比較例2】参考例1で得たモジュールの内面を洗浄し
ないで、透水性能の評価を行ったところ、UFR:15
ml/m2 /h/mmHgと実施例1に比べて著しく低
い値を示した。
【0028】
【実施例2〜8】実施例1において用いた非イオン性界
面活性剤を用いる代わりに表1記載の界面活性剤の0.
3重量%水溶液を用いて中空糸の内面の洗浄を行ったの
ち、同様にしてグリセリン処理および乾燥処理を行っ
た。得られたモジュールの透析性能を評価したところ、
表1に示すような結果を得た。表1から明らかなよう
に、本発明の洗浄および乾燥法により得られた中空糸モ
ジュールは比較例1および2の中空糸モジュールに比べ
て高い性能を示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【実施例9】参考例1において、流動パラフィンをイソ
プロピルミリステートに変更して、同一条件にて紡糸、
後処理をしてモジュールを作製し、実施例1記載の条件
と同一条件にて洗浄・乾燥処理をして中空糸モジュール
を得た。この中空糸モジュールについて透析性能を評価
したところ、UFR、DA 尿素、DA 1万およびSC7
万はそれぞれ、190ml/m2 /h/mmHg、19
0ml/分、43ml/分、0.07であった。
【0031】
【実施例10】参考例1で得たモジュールおよび微量定
量ポンプを用いて、中空糸外面から中空部に向けて、非
イオン性界面活性剤(「ナテラ」ライオン(株)製)の
5.0重量%水溶液を押し込みながら、200ml/分
の流量で40℃で30分間通液した。しかるのち、50
℃の蒸留水を同様に中空糸外面から200ml/分の流
量で中空内部に向け30分間通液し、中空糸内に残存す
る界面活性剤を洗浄した。その後、30℃のグリセリン
の60重量%水溶液をローラーポンプの吸引口から陰圧
状態で吸引し、中空糸の片側端部から他端部へ移動さ
せ、30分間循環通液しながら中空糸内面から外面方向
にも該保湿剤を拡散させることにより、中空糸内部に該
保湿剤を含浸させた。その後、中空糸芯部の大半のグリ
セリン水溶液を遠心分離により除去したのち、該モジュ
ールを50℃の乾燥機に12時間垂直に収納し、芯部の
グリセリン水溶液を完全に除去し、さらに35℃、1m
mHgで5時間真空乾燥処理した。
【0032】かくして得られた中空糸の透析性能を評価
したところ、UFR、DA 1万およびSC7万はそれぞ
れ、266ml/m2 /h/mmHg、196ml/
分、58ml/分、0.07と血液透析器として非常に
優れた性能を示した。
【0033】
【実施例11〜17】実施例10において用いた非イオ
ン性界面活性剤を用いる代わりに表2記載の界面活性剤
の50重量%水溶液を用いて中空糸の内面の洗浄を行っ
たのち、同様にしてグリセリン処理および乾燥処理を行
った。得られたモジュールの透析性能を評価したとこ
ろ、表2に示すような結果を得た。
【0034】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水谷 昭治 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国事業所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯液として非水溶性液体を用いて作製し
    た血液透析用中空糸の芯液洗浄および乾燥を行うに際
    し、該非水溶性液体に対して洗浄能力を有する界面活性
    剤の水溶液で中空糸を洗浄する工程、洗浄後の中空糸に
    付着した上記界面活性剤を水洗する工程、水洗後の中空
    糸内に保湿剤水溶液を含浸させる工程、および中空糸芯
    部に含まれる該保湿剤溶液を芯部から除去する工程、さ
    らに該中空糸を乾燥する工程、から実質的になることを
    特徴とする中空糸の洗浄および乾燥方法。
  2. 【請求項2】 界面活性剤の水溶液を中空糸の一方の端
    部から他端部へ流通させることにより洗浄することを特
    徴とする請求項1記載の洗浄および乾燥方法。
  3. 【請求項3】 界面活性剤の水溶液を中空系外面側から
    中空部に圧入しながら洗浄することを特徴とする請求項
    1記載の洗浄および乾燥方法。
  4. 【請求項4】 非水溶性液体が、流動パラフィン、液状
    の高級脂肪酸エステルおよび液状の芳香族炭化水素のい
    ずれかであることを特徴とする請求項1記載の洗浄およ
    び乾燥方法。
  5. 【請求項5】 中空糸の保湿剤がグリセリンであること
    を特徴とする請求項1記載の洗浄および乾燥方法。
  6. 【請求項6】 水洗後の中空糸の一方の端部から保湿剤
    水溶液を吸引しながら、他端部へ陰圧状態で該保湿剤水
    溶液を移動させ、中空糸内にのみ該保湿剤水溶液を含浸
    させることを特徴とする請求項1記載の中空糸の洗浄お
    よび乾燥方法。
  7. 【請求項7】 乾燥処理が、実質的にグリセリンの蒸発
    を伴わないような条件下での減圧加熱処理であることを
    特徴とする請求項1記載の中空糸の洗浄および乾燥方
    法。
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