JPH07123979A - Va菌根菌製剤の製造法 - Google Patents

Va菌根菌製剤の製造法

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JPH07123979A
JPH07123979A JP5295948A JP29594893A JPH07123979A JP H07123979 A JPH07123979 A JP H07123979A JP 5295948 A JP5295948 A JP 5295948A JP 29594893 A JP29594893 A JP 29594893A JP H07123979 A JPH07123979 A JP H07123979A
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JP
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mycorrhizal
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mycorrhiza
soil
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JP5295948A
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Genshi Suzuki
源士 鈴木
Katsuhiko Matsuzaki
克彦 松崎
Yoshiyuki Yoshioka
好之 吉岡
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 VA菌根菌製剤を製造するにあたり、トレハ
ロースを施用することを特徴とするVA菌根菌製剤の製
造法。 【効果】 本発明の方法によれば、トレハロースの施用
という簡単な方法で、乾燥下においても常温で長期保存
が可能なVA菌根菌製剤を製造することができる。本発
明の方法により得られるVA菌根菌製剤は、乾燥に強
く、しかも保存性が向上しており、常温で、長期間にわ
たり活性を保持したまま、しかも発芽させることなく保
存することが可能である。このようにして保存されたV
A菌根菌製剤は、活性を充分に保持しており、これと共
生する種々の植物の生長促進,開花促進,耐病性等を向
上させることが可能である。したがって、本発明は、農
業や園芸等の分野で極めて有効に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業や園芸等の分野で
有用なVA菌根菌製剤の製造法に関し、詳しくは乾燥下
においても常温で長期保存が可能なVA菌根菌製剤を製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】VA菌
根菌(Vesicular Arbuscular Mycorrhizae )は種々の植
物に感染して、共生することによって、該植物の生長促
進や耐病性を向上させることが知られている(「農業及
び園芸」,第62巻,第8号,930〜937頁,19
87年;「植物防疫」,第42巻,第5号,259〜2
66頁,1988年)。
【0003】このようにVA菌根菌の有用性は従来から
知られているものの、VA菌根菌の大量培養は非常に難
しいため、実用化が遅れていた。近時、VA菌根菌の効
率的な培養が次第に可能となってきた。また、天然から
分離することも行なわれており、自然界から篩を用いて
集める方法(鈴木達彦,VA菌根に関する諸問題5、農
業および園芸,第62巻,第3号,p28〜33,19
87)や遠心分離による方法(特開昭63−30917
8号公報)などがある。
【0004】このようにして得られたVA菌根菌製剤
は、使用するまでに安定的に活性を保持する必要があ
り、その安価な保存法、或いは長期間にわたり活性を保
持しうるVA菌根菌製剤自体が求められている。
【0005】VA菌根菌製剤の保存性を向上する方法と
して、例えば水分含量を調整する方法(特開平4−34
1178号公報)が提案されている。しかしながら、こ
の方法では、常温で保管すると2〜3ケ月以内に発芽し
てしまうという欠点がある。特にギガスポラ属に属する
VA菌根菌では、吸水性樹脂を加えた担体の水分を30
〜45%に調整しても、常温では容易に発芽してしま
う。なお、常温で水分を30%以下、特に15%以下に
調整すると、活性の低下が速いという欠点がある。
【0006】一方、乾燥速度を調整して保存性を高める
方法が提案されている(特開平1−165369号公
報)。しかしながら、この方法では、乾燥速度を調整す
ることが煩雑であり、また、充分な保存性が得られな
い。また、VA菌根菌を4℃の低温で保存する方法もあ
るが、常に冷蔵庫を必要とし、多量の電力を消費すると
共に、試料が大量である場合には、広大な低温設備が必
要となるなどの問題がある。
【0007】本発明は、上記従来の問題点を解消し、乾
燥下においても常温で長期保存が可能なVA菌根菌製剤
を安価に製造する方法を提供することを目的とするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、VA
菌根菌製剤を製造するにあたり、トレハロースを施用す
ることを特徴とするVA菌根菌製剤の製造法を提供する
ものである。
【0009】ここでVA菌根菌製剤は種々の方法により
製造することができ、人工的にVA菌根菌を培養して製
造する方法であると、自然の土壌や植物根から回収され
たVA菌根菌を乾燥処理して製造する方法であるとを問
わない。
【0010】以下、人工的にVA菌根菌を培養してVA
菌根菌製剤を製造する方法について説明する。人工的に
VA菌根菌を培養して製造する方法としては、例えば予
め自然界などから集められたVA菌根菌を宿主植物に感
染させ、VA菌根菌に感染した植物を培地(基材)上で
栽培し、宿主植物の生長と共に、VA菌根菌を増殖、生
長させた後、胞子形成処理することによりVA菌根菌製
剤を製造することができる。
【0011】ここでVA菌根菌は、土壌中に存在する接
合菌の一種であり、その菌糸が様々な植物の根について
菌根を形成し、両者が共生することが知られている。V
A菌根菌としては、種々のものがあり、例えばギガスポ
ラ ( Gigaspora )属, グロムス( Glomus ) 属,アカウ
ロスポラ( Acaulospora )属, エントロフォスポラ( E
ntrophospora )属, スクレロシスティス( Sclerocysti
s ) 属, スカテロスポラ( Scutellospora )属などに属
する微生物が挙げられるが、本発明の方法は、これらの
中でも乾燥に弱いギガスポラ ( Gigaspora )属,グロム
ス( Glomus ) 属に属する微生物に有効である。
【0012】これらギガスポラ ( Gigaspora )属及びグ
ロムス( Glomus ) 属に属するVA菌根菌は、その胞子
をウエット・シービング法で分離し、室温で乾燥した雰
囲気下に放置すると、10〜60分間で死滅してしまう
ことも確認されている。本発明によれば、このような乾
燥に弱いVA菌根菌について、耐乾燥性を付与し、長期
保存が可能なVA菌根菌製剤を製造することが可能であ
る。
【0013】これらVA菌根菌の具体例を示すと、例え
ばギガスポラ・マルガリタ( Gigaspora margarita
),ギガスポラ・アルビダ( Gigaspora albida ),
ギガスポラ・ギガンタ( Gigaspora gigantea ),
ギガスポラ・ローゼア( Gigaspora rosea ),ギガス
ポラ・デシィピエンス( Gigaspora decipiens ),ギ
ガスポラ・ラミスポロホラ( Gigaspora ramisporophor
a ),グロムス・モセアエ( Glomus mosseae ),グロ
ムス・イントララディセス( Glomus intraradicies
),グロムス・カレドニウム( Glomus caledonium
),グロムス・ファシキュレータム( Glomus fascic
ulatum )などの他、アカウロスポラ・ラエビス( Acau
lospora laevis ),エントロフォスポラ・インフレケ
ンス( Entrophospora infrequens ) ,スクレロシステ
ィス・ダッシ( Sclerocystis dussii ),スカテロスポ
ラ・グレガリア( Scutellospora gregaria ) などを挙
げることができる。上記した如く、本発明はこれらの中
でも特にギガスポラ ( Gigaspora )属,グロムス( Glo
mus ) 属に属する微生物に有効である。
【0014】これらVA菌根菌は、栄養薄膜培養法(特
開昭55−118390号公報)や器官培養した根を使
用する方法(特公昭62−49037号公報)等により
無菌的にVA菌根菌を増殖させる方法や、自然界から篩
を用いて集める方法(鈴木達彦,VA菌根に関する諸問
題5、農業および園芸,第62巻,第3号,p28〜3
3,1987)や遠心分離による方法(特開昭63−3
09178号公報)が知られているが、収集方法に特に
制限はない。
【0015】このようにして収集されたVA菌根菌を宿
主植物に感染させ、VA菌根菌に感染させた宿主植物を
培地(基材)上で栽培し、宿主植物の生長と共にVA菌
根菌を増殖、生長させた後、胞子形成処理することによ
り、VA菌根菌製剤を製造することができる。
【0016】ここで、VA菌根菌を感染させる植物、す
なわちVA菌根菌培養のための宿主植物としては、生長
が速く、根がよく張る植物であって、かつ、VA菌根菌
が感染しやすい植物であれば特に制限はない。これら植
物は、実生苗を用いる他、播種して育苗後、移植して栽
培したり、栄養繁殖したり、挿し芽,挿し木,接ぎ木,
球根等により増殖,栽培したりして用いられる。
【0017】これらの宿主植物の具体例としては、例え
ばデントコーン,メヒシバ,スダングラス,バヒヤグラ
ス,ギニアグラス,ムギ,芝草などのイネ科植物、大
豆,赤クローバー,白クローバー,マングビーン,ピー
ナッツ,アルファルファ,カラスノエンドウなどの豆科
植物、ナス,トマト,ピーマン,シシトウなどのナス科
植物、ネギ,玉ネギなどのユリ科植物等がある。
【0018】ここでVA菌根菌を感染させた植物を栽培
する場合に用いられる培地(基材)としては、植物が生
長し得るものであれば、無機物であると有機物であると
を問わないが、無機物が好ましい。特に、殺菌赤玉土,
焼成赤玉土,殺菌黒ボク土壌,焼成粘土等の滅菌処理し
たものを、単独で、もしくは適宜組合せて用いると、雑
菌の繁殖が抑えられて好ましい。これらの基材の粒径は
0.3〜5mmのものが好適である。
【0019】VA菌根菌は、前記の如き宿主植物の発根
前、或いは発根後に、上記培地(基材)に施用すればよ
い。前記のように、宿主植物は、播種,挿し木,挿し
芽,接木,球根,植物組織など、様々な態様で培地に植
えられるが、VA菌根菌は植物を植え付ける前、或いは
植え付けと同時に施用され、具体的には培地と混合した
り、植物の種子,芽等の下に層状に施用したり、定植時
の植穴中に施用することにより、宿主植物への感染が行
なわれる。また、植物が移植により栽培するものである
ときは、移植時にVA菌根菌を施用することも可能であ
る。
【0020】VA菌根菌の植物への感染は既知の手法に
より行なえばよく、例えば温度10〜60℃、好ましく
は15〜40℃、土壌のpH4〜9.5、好ましくは
4.5〜8の条件で行われる。VA菌根菌は、植物に対
して感染できる程度の量を用いればよく、通常は1植物
体に対して、1〜2000個、好ましくは10〜100
0個の胞子を接種すればよい。
【0021】このようにしてVA菌根菌が感染した植物
を栽培し、該植物の根を用いてVA菌根菌を増殖させ
る。すなわち、植物根にVA菌根菌を共生させて、該植
物を栽培することにより、VA菌根菌を増殖させる。V
A菌根菌が感染した植物の栽培は、通常の方法で行なえ
ばよく、温度は通常10〜60℃であり、必要に応じて
灌水したり、肥料を与えればよい。宿主植物が発根し、
VA菌根菌の感染が成立すると、宿主植物の生長に伴
い、VA菌根菌の菌糸も伸長する。通常、1.5〜7ケ
月程度経過して、宿主植物の生育とともに、VA菌根菌
は次第に胞子を形成する。
【0022】このようにして胞子が形成された後、培地
と共に、或いは培地からVA菌根菌胞子を分離,回収す
る。これらの胞子を培地と分離するには、篩等の常用の
手段を用いて行えばよい。なお、実際には、VA菌根菌
胞子を培地と分離するのは難しいので、VA菌根菌の保
存に支障のない培地を用いた場合には、培地を含めた状
態のものをVA菌根菌製剤として用いても良い。
【0023】また、VA菌根菌製剤として用いる場合に
は、必要に応じて、焼成アタパルジャイト,焼成モンモ
リロナイト,焼成赤玉土,焼成珪藻土,バーミキュライ
ト,ゼオライト等を加えて用いても良い。
【0024】次に、自然の土壌や植物根から、篩を用い
て集めたり、或いは遠心分離により集めたVA菌根菌
(VA菌根菌の胞子)を乾燥処理することによりVA菌
根菌製剤を製造することもできる。
【0025】本発明の方法は、上記のようにしてVA菌
根菌製剤を製造するにあたり、トレハロースを施用する
ことを特徴とするものである。
【0026】ここでトレハロースは二糖類の一つである
が、他の糖類、例えばショ糖などを用いても、本発明の
目的を達成することはできない。
【0027】トレハロースの施用は、処理時期などに応
じて、トレハロースを含む溶液を培地(基材)に散布し
たり、或いはトレハロースを含む溶液中にVA菌根菌の
胞子を含む培地(基材)を浸漬したりすることにより行
なえばよい。
【0028】トレハロースの施用時期は、VA菌根菌製
剤を製造する際のいずれかの時期であるが、VA菌根菌
を人工的に培養することによりVA菌根菌製剤を製造す
る場合と、自然の土壌や植物根から回収されたVA菌根
菌を乾燥処理してVA菌根菌製剤を製造する場合とで異
なる。
【0029】すなわち、VA菌根菌を人工的に培養する
ことによりVA菌根菌製剤を製造する場合には、宿主植
物にVA菌根菌を感染させて以降、VA菌根菌の胞子を
回収し、乾燥操作に入るまでの期間の間である。この期
間外にトレハロースを施用したとしても本発明の目的を
達成することはできない。なお、トレハロースの施用時
期は、上記期間内であれば特に制限はないが、菌体や胞
子の水分を30%以下に乾燥する操作の5日前までに行
なうのが好ましく、10日前までに行なうのがより好ま
しい。
【0030】一方、自然の土壌や植物根から回収された
VA菌根菌を乾燥処理してVA菌根菌製剤を製造する場
合においては、二通りの施用時期がある。すなわち、自
然の土壌や植物根からVA菌根菌を回収する前の段階に
トレハロースを施用するときには、植物が発根後に土壌
にトレハロースを施用することになる。したがって、こ
の場合には、VA菌根菌を人工的に培養する場合と同様
である。また、自然の土壌や植物根からVA菌根菌を回
収した後の段階にトレハロースを施用するときには、V
A菌根菌の胞子を回収してから、乾燥操作に入るまでの
期間の間に処理することになる。したがって、いずれの
場合においても、乾燥操作に入るまでの期間の間に処理
することが必要であって、乾燥操作に入ってからでは、
目的を達成することはできない。
【0031】次に、トレハロースを施用する際の温度
は、通常、0〜60℃、好ましくは5〜50℃である。
さらに、トレハロースを施用する際の処理量は、処理す
る態様により異なる。まず培地(人工培養の場合)又は
土壌に施用する場合には、培地又は土壌1リットル当
り、1回の処理量は60〜1000mgである。処理量
が少な過ぎると効果が少なく、一方、過剰の場合には不
経済な上に、カビ等の雑菌が繁殖するおそれがある。次
に、分離した胞子等を含む培地にトレハロースを施用す
る場合には、分離した胞子等を含む培地の乾燥重量当
り、0.01〜1%の割合のトレハロース溶液中に浸漬
すればよい。
【0032】また、トレハロースを施用する際の処理時
間は、処理する態様により異なるため、10分間〜20
日間の間ということになる。まずトレハロースを含む溶
液中にVA菌根菌の胞子を含む培地(基材)を浸漬する
場合には、数時間〜数日間の範囲で行なえばよい。一
方、トレハロースを含む溶液を培地(基材)に散布する
場合には、複数回に分けて散布してもよいため、トータ
ルすると20日間という長期間にわたる場合もあるが、
20日間連続して処理する必要はないし、また1回の処
理時間も散布にかかる時間でよいため少なくて済む。な
お、処理回数としては、胞子等の乾燥までの期間が短け
れば1回でよいが、長ければ何度繰り返して行なっても
よい。通常、1〜5回で充分である。
【0033】トレハロース処理後、適宜乾燥処理するこ
とにより、目的とするVA菌根菌製剤を製造することが
できる。ここで乾燥処理は、VA菌根菌製剤の水分含量
が30%以下、好ましくは25〜10%となるように行
なう。ここで水分含量が30%を超えものであると、常
温においては発芽しやすくなるため好ましくない。本発
明においては、トレハロースを施用しているため、水分
含量が30%以下のVA菌根菌製剤としても、VA菌根
菌の胞子の活性低下が抑制され、長期間保存することが
できる。本発明の方法により得られるVA菌根菌製剤
は、このようにトレハロースを施用されており、しかも
水分含量が30%以下に保持されたものであるため、常
温で、長期間にわたり活性を保持したまま、しかも発芽
させることなく保存することが可能となる。
【0034】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1〜4及び比較例1 黒ボク土壌をクロルピクリンで消毒した後、充分ガス抜
きを行なった。一方、千葉県内の大豆畑から篩を用いて
分離したギガスポラ・アルビダ( Gigasporaalbida )
及びクマザサ山林から分離したギガスポラ・マルガリタ
( Gigasporamargarita )〔本菌は、工業技術院生命工
学工業技術研究所(旧名称:工業技術院微生物工業技術
研究所)において、受託を拒否された。〕の胞子を採取
し、これを、それぞれ前記消毒黒ボク土壌(基材)70
kgを入れた2つのコンテナに、大豆の種子2粒当り3
0個ずつ接種した。この大豆を20〜34℃の温度で5
ケ月間栽培した。栽培後、灌水を停止し、30日間放置
した。その後、コンテナより基材と植物を取り出し、植
物を取り除き、篩を用いて前記基材から胞子画分を回収
した。なお、この胞子画分には1gあたり、ギガスポラ
・アルビダの胞子42個、或いはギガスポラ・マルガリ
タの胞子36個が含まれていた。
【0035】これらの胞子500個ずつを、第1表に示
す条件下においてトレハロース溶液に浸漬した。その
後、胞子のみを集め、この内400個の胞子を、水分を
18%に調整した粒径800μmのモンモリロナイト1
00gの中にそれぞれ入れてVA菌根菌製剤とした後、
アルミラミネート袋に入れて密封し、20℃で8ケ月間
保存した。その後、35℃で1週間保持した後、袋を開
封し、30℃の温度下において胞子の発芽率を測定し
た。開封時の水分を測定したところ、20%であった。
なお、比較例1として、トレハロースを全く使用しなか
ったこと以外は、実施例3と同様にして発芽率測定し
た。これらの結果を第1表に示す。
【0036】
【表1】
【0037】比較例2 実施例3において、トレハロースの代わりにショ糖を用
いたこと以外は同様の方法で実験を行なった。その結
果、発芽率はギガスポラ・アルビダで24%であり、ギ
ガスポラ・マルガリタで33%であった。
【0038】実施例5〜10及び比較例3 粒径2〜3mmの焼成赤玉土を、直径18cmのプラス
チックポットに2kgずつ入れ、その上にグロムス・モ
セアエ( Glomus mosseae ),グロムス・イントララデ
ィセス( Glomus intraradicies )或いはグロムス・
カレドニウム(Glomus caledonium )〔これらの菌
は、工業技術院生命工学工業技術研究所(旧名称:工業
技術院微生物工業技術研究所)において、受託を拒否さ
れた。〕の胞子をそれぞれ800個ずつ表層に散布し
た。次いで、アカクローバーの種子を20粒ずつ播種
し、その上に焼成赤玉土を300gずつ覆った。その上
に緩効性肥料(3ケ月)6gを置き、温室内にて20〜
34℃の条件で90日間灌水しながら栽培した。その
後、播種から90〜120日目の間に、トレハロースの
水道水溶液(500mg/リットル)を、第2表に示す
条件で、ポット当り1リットル施用した。播種から12
1日目からは灌水を停止し、同130日目まで放置し
た。
【0039】その後、ポットから焼成赤玉土を取り出
し、アカクローバーの根を除去した後、25℃の乾燥室
に拡げ、水分が15%になるまで約3日間乾燥した。こ
の乾燥物(VA菌根菌製剤)をアルミラミネート袋に入
れ、25℃で300日間保存した。その後、袋を開封
し、焼成赤玉土を、底面に穴のあいたプラスチックトレ
イ(15×20×6cm)に、深さ4cmまで入れ、こ
の中に前記乾燥物2gを入れておいた。ここに長ネギの
種20粒を播種し、25℃のインキュベーターで20日
間灌水を行ないながら育てた。長ネギの根への感染率を
下記の方法により調べた。その結果を第2表に示す。ま
た、トレハロース処理を全く行なわない場合の感染率を
比較例3として示した。その結果、本発明の方法は胞子
活性の保存力に優れていることが分かる。
【0040】〔感染率の測定方法〕 まず、次の手順により、トリパンブルーを用いて染
色した。 (ア)感染させた根を水できれいに洗った。 (イ)水を切った根をビーカーに入れ、10%KOH溶
液で1時間弱く沸騰させながら煮沸した。このとき上部
を覆った。また、煮沸は湯煎でもよい。 (ウ)根が着色している場合には、10%KOH溶液を
水ですすいで除去した後、10倍に薄めた過酸化水素
(約3%)液で5分間脱色し、さらに水洗した。なお、
根の着色が少ないときには省略してもよい。 (エ) さらに下記に示す組成を有する0.1%ラクトフ
ェノール−トリパンブルー染色液に根を浸し、5〜30
分間弱く沸騰させて染色した。 *ラクトフェノール−トリパンブルー染色液の組成 石炭酸( フェノール) 200ml 蒸留水 200ml 乳酸 200ml グリセリン 400ml トリパンブルー 1g 合計 1000ml (オ)染色した根を水洗いし、染色液を洗い流した。 (カ)水を張ったシャーレに根を入れ、実体顕微鏡で観
察した。 次に、以下の如くして感染率を算出した。 1cm間隔のグリッドの上に、上記のようにして染色し
たサンプルを載せ、実体顕微鏡により、グリッド上10
0箇所の中、染色した箇所を計数して感染率とした。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明の方法によれば、トレハロースの
施用という簡単な方法で、乾燥下においても常温で長期
保存が可能なVA菌根菌製剤を製造することができる。
本発明の方法により得られるVA菌根菌製剤は、乾燥に
強く、しかも保存性が向上しており、常温で、長期間に
わたり活性を保持したまま、しかも発芽させることなく
保存することが可能である。このようにして保存された
VA菌根菌製剤は、活性を充分に保持しており、これと
共生する種々の植物の生長促進,開花促進,耐病性等を
向上させることが可能である。したがって、本発明は、
農業や園芸等の分野で極めて有効に用いることができ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 VA菌根菌製剤を製造するにあたり、ト
    レハロースを施用することを特徴とするVA菌根菌製剤
    の製造法。
  2. 【請求項2】 VA菌根菌製剤の水分が30%以下に保
    持されたものである請求項1記載のVA菌根菌製剤の製
    造法。
JP5295948A 1993-11-02 1993-11-02 Va菌根菌製剤の製造法 Withdrawn JPH07123979A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011193797A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Tottori Univ 新規な菌根形成の方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011193797A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Tottori Univ 新規な菌根形成の方法

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