JPH0712141A - 電磁クラッチおよび電磁クラッチの異常検出システム - Google Patents

電磁クラッチおよび電磁クラッチの異常検出システム

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JPH0712141A
JPH0712141A JP5142006A JP14200693A JPH0712141A JP H0712141 A JPH0712141 A JP H0712141A JP 5142006 A JP5142006 A JP 5142006A JP 14200693 A JP14200693 A JP 14200693A JP H0712141 A JPH0712141 A JP H0712141A
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JP
Japan
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armature
rotor
pin
electromagnetic clutch
fitting hole
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Application number
JP5142006A
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English (en)
Inventor
Akio Matsuoka
彰夫 松岡
Toshihiro Hayashi
敏弘 林
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピンと嵌合穴との係合によってトルクの伝達
を行う電磁クラッチにおいて、ロータとアーマチュアと
の間に所定値以上の伝達トルクが作用した時に、ロータ
とアーマチュアとを相対回転させて電磁クラッチを保護
すること。また、高価なセンサ類を必要とすることな
く、低コストで、且つ応答性の良い電磁クラッチの異常
検出システムの提供。 【構成】 電磁クラッチ1は、ロータとアーマチュアと
の間に所定値以上の伝達トルクが作用した時に、アーマ
チュアに取り付けられたピンとロータに設けられた嵌合
穴との係合が解かれて、ロータとアーマチュアとが相対
回転可能に設けられている。この電磁クラッチ1を使用
した電磁クラッチの異常検出システムSは、励磁コイル
に流れる電流の変動幅が一定時間継続して所定の変動幅
以上となった時に、電磁クラッチ1の異常であると判定
して、電磁クラッチ1(励磁コイル)への通電を停止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転動力の伝達を断続
する電磁クラッチ、およびこの電磁クラッチの異常を検
出する異常検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、車両用冷凍サイクルに使用され
る電磁クラッチは、エンジンの回転力を受けて回転する
ロータと、圧縮機の回転軸と一体に回転するアーマチュ
アを備え、励磁コイルへの通電によってロータとアーマ
チュアの摩擦面同士が接触して摩擦係合することによ
り、ロータの回転がアーマチュアに伝達される。従っ
て、ロータからアーマチュアに伝達される回転トルクを
増大するためには、励磁コイルを大型化したり、アーマ
チュアを大径にする必要があり、電磁クラッチの大型化
を招くことになる。そこで、ロータとアーマチュアとの
摩擦係合とともに、アーマチュアに取り付けられたピン
がロータに設けられた嵌合穴に嵌合することによってト
ルクの伝達を行う電磁クラッチが提案されている(特開
平2−26324号公報参照)。
【0003】また、電磁クラッチを介してエンジンの回
転力が伝達される冷媒圧縮機がロック状態になった時
に、そのロック状態を検出して電磁クラッチをオフする
ことによって冷媒圧縮機を保護するシステムが公知であ
る。冷媒圧縮機のロック状態を検出する従来技術として
は、冷媒圧縮機に取り付けられた回転数ピックアップに
よって冷媒圧縮機の回転数を検出し、エンジン回転数と
の比較により、ベルトスリップ率が一定時間継続して所
定値以上となった時にロック状態であると判定する方法
がある。また、冷媒圧縮機がロックすると、電磁クラッ
チのロータとアーマチュアとがスリップして温度上昇す
ることから、電磁クラッチのステータに温度ヒューズを
設置して、その温度ヒューズが切断した時にロック状態
であると判定する方法がある(特開昭56−13852
9号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、アーマチュ
アに取り付けられたピンがロータに設けられた嵌合穴に
嵌合することでトルクの伝達を行う電磁クラッチは、冷
媒圧縮機がロックした時にロータとアーマチュアとがス
リップできないため、電磁クラッチに過度の負荷がかか
るという課題を有している。一方、冷媒圧縮機のロック
状態を検出する従来技術として、回転数ピックアップを
用いる方法では、回転数ピックアップが高価であること
からシステム全体のコストが高くなるとともに、回転数
ピックアップを取り付けるための取り付けスペースを必
要とする。また、温度ヒューズを使用する方法では、ロ
ータとアーマチュアの摩擦面からステータまでの間に空
間層が介在することにより、摩擦面がスリップして温度
が上昇しても、ステータに熱が伝わるまでに時間がかか
るため、応答性が悪くなるという問題がある。
【0005】本発明は、上記事情に基づいて成されたも
ので、請求項1に係る発明の目的は、ピンと嵌合穴との
係合によってトルクの伝達を行う電磁クラッチにおい
て、ロータとアーマチュアとの間に所定値以上の伝達ト
ルクが作用した時に、ロータとアーマチュアとを相対回
転させることで電磁クラッチを保護することにある。ま
た、請求項2に係る発明の目的は、高価なセンサ類を必
要とすることなく、低コストで、且つ応答性の良い電磁
クラッチの異常検出システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明
は、上記目的を達成するために、通電されることで磁力
を発生する励磁コイルと、動力源からの回転力を受けて
回転駆動されるとともに、軸方向の一端面に摩擦面を有
するロータと、軸方向に所定の間隔を保って前記ロータ
の摩擦面と対面する摩擦面を有し、前記励磁コイルの通
電時に前記ロータに吸着されて、前記摩擦面同士の係合
によって前記ロータと一体に回転するアーマチュアと、
このアーマチュアの前記ロータと反対側に配されて、前
記励磁コイルの通電時に前記アーマチュアに吸着される
吸着板、前記アーマチュアに対して前記吸着板と一体に
変位可能に取り付けられて、前記吸着板が前記アーマチ
ュアに吸着された時に、先端部が前記アーマチュアの摩
擦面より前記ロータ側へ突出可能に設けられたピン、前
記励磁コイルの通電時に前記吸着板に作用する吸引力よ
り小さい力で、前記ピンが前記ロータから離れる方向へ
前記吸着板を付勢する付勢手段、および前記ロータの前
記一端面に設けられて、前記励磁コイルの通電時に前記
ピンの先端部が嵌合可能な嵌合穴より成り、前記励磁コ
イルの通電時に前記ピンが前記嵌合穴に嵌合すること
で、前記ロータの回転力を前記アーマチュアに伝達する
回転力伝達手段とを備え、この回転力伝達手段は、前記
ピンが前記嵌合穴に嵌合した状態で、前記ロータと前記
アーマチュアとの間に所定値以上の伝達トルクが作用し
た時に、軸方向に前記ピンを押し出すように作用する軸
方向の分力および回転方向に前記ピンが前記アーマチュ
アに押し付けられるように作用する回転方向の分力によ
って、前記ピンの先端部が前記アーマチュアの摩擦面か
ら突出した状態のまま前記ピンが前記嵌合穴から外れ出
るように、前記嵌合穴の内面形状が凹曲面状とされたこ
とを技術的手段とする。
【0007】また、請求項2に係る本発明は、上記目的
を達成するために、前記請求項1記載の電磁クラッチ
と、前記励磁コイルに流れる電流を検出する電流検出手
段と、この電流検出手段で検出された電流の変動幅が一
定時間継続して所定の変動幅以上となった時に、前記電
磁クラッチの異常であると判定する異常判定手段と、こ
の異常判定手段で前記電磁クラッチの異常であると判定
された時に、前記励磁コイルへの通電を停止する通電停
止手段とを備えたことを技術的手段として採用する。
【0008】
【作用】請求項1に係る電磁クラッチは、ロータとアー
マチュアとの間に所定値以上の伝達トルクが作用した時
(例えば、冷媒圧縮機がロックした時)に、軸方向にピ
ンを押し出すように作用する軸方向の分力と、回転方向
にピンがアーマチュアを押し付けるように作用する回転
方向の分力によって、ピンの先端部がアーマチュアの摩
擦面から突出した状態のままピンが嵌合穴から外れ出
る。この結果、ピンと嵌合穴との係合が解かれるため、
ピンの先端部がロータの一端面に接触した状態でロータ
とアーマチュアとが相対回転を行う。
【0009】請求項2に係る電磁クラッチの異常検出シ
ステムは、以下の作用を奏する。電磁クラッチのロータ
とアーマチュアとの間に所定値以上の伝達トルクが作用
した時には、上述したようにロータとアーマチュアとが
相対回転を行うことにより、ピンと嵌合穴との相対位置
が変化する。従って、ピンと嵌合穴との回転方向の位置
が一致している時(ピンが嵌合穴に嵌合している時)に
は、ロータとアーマチュアとが密着して両者の間のギャ
ップが無くなるが、ピンと嵌合穴との回転方向の位置が
ずれた時には、ピンの先端部がアーマチュアの摩擦面よ
り突出していることにより、その突出している量だけロ
ータとアーマチュアとの間にギャップが生じる。これに
より、ロータとアーマチュアとの相対回転に伴ってピン
と嵌合穴とが周期的に嵌合するため、ロータとアーマチ
ュアとの相対回転が生じている間、ロータとアーマチュ
アとの間のギャップが周期的に変化することになる。
【0010】このロータとアーマチュアは、励磁コイル
の磁気回路の一部を構成し、両者の間のギャップが変化
することは、磁気抵抗(インダクタンス)が変化するこ
とを意味する。従って、この磁気抵抗の変化によって励
磁コイルに流れる電流が変化することから、励磁コイル
に流れる電流の変動幅を検出して、その変動幅が一定時
間継続して所定の変動幅以上となった時には、電磁クラ
ッチが異常であると判定し、励磁コイルへの通電を停止
することで電磁クラッチを保護することができる。
【0011】
【実施例】次に、請求項1に係る電磁クラッチの一実施
例を図1ないし図7を基に説明する。図1は電磁クラッ
チの断面図(図2のA−A線に沿う断面図)、図2は電
磁クラッチの正面図である。本実施例の電磁クラッチ1
は、車両用冷凍サイクルの冷媒圧縮機(図示しない)に
装着されて、必要に応じてエンジン(図示しない)の回
転力を冷媒圧縮機に伝達または遮断するものである。こ
の電磁クラッチ1は、励磁コイル2と、この励磁コイル
2を支持するステータ3と、エンジンの回転力が伝達さ
れて回転するロータ4と、励磁コイル2の通電時にロー
タ4に吸着されるアーマチュア5と、ロータ4とアーマ
チュア5との間で回転力の伝達に係わる回転力伝達手段
(後述する)と、板ばね6を介してアーマチュア5を支
持するプレートハブ7等から構成される。
【0012】励磁コイル2は、エポキシ樹脂8を用いて
ステータ3の内部にモールド固定され、図示しないリー
ド線によって外部電源と接続されている。ステータ3
は、鉄、低炭素鋼等の磁性体で、同じく磁性体のロータ
4およびアーマチュア5とともに励磁コイル2の磁気回
路を形成する。このステータ3は、端面に接合された円
環状のフランジ板9がサークリップ10によって冷媒圧
縮機のハウジング11に固定されることにより、軸方向
の位置決めが行われる。
【0013】ロータ4は、ステータ3を覆う断面コの字
形(図1では逆コの字形)の円環状を呈し、その内周に
配されたボールベアリング12を介して、冷媒圧縮機の
ハウジング11に回転自在に支持されている。このロー
タ4は、径方向の外周にプーリ13が一体に形成され
て、そのプーリ13に掛け渡される多段式Vベルト(図
示しない)を介して伝達されるエンジンの回転力を受け
て回転する。また、ロータ4には、径方向の内周寄りと
外周寄りに、励磁コイル2への通電時にロータ4に作用
する磁気を遮断するための磁気遮断用長穴4aがほぼ全
周に亘って設けられるとともに、軸方向の一端面(図1
の左端面)には、図3に示すように、摩擦面4bと案内
面4cがそれぞれ環状に設けられて、その案内面4cに
は嵌合穴4dが3か所設けられている。嵌合穴4dは、
周方向に等間隔をおいて設けられ、半球面状に窪んだ内
面形状を呈する。ボールベアリング12は、その外輪1
2aがロータ4の内周に圧入により固定されて、内輪1
2bが冷媒圧縮機のハウジング11に嵌合され、サーク
リップ14によって位置決めされている。
【0014】アーマチュア5は、図4に示すように、中
空円盤状を呈し、軸方向に所定のギャップを有してロー
タ4の摩擦面4bと対面して配置されている。このアー
マチュア5は、ロータ4の摩擦面4bと対面する他端面
が摩擦面5aとされ、励磁コイル2が通電された時にロ
ータ4側へ吸引されて、両者4、5の摩擦面4b、5a
の係合によりロータ4と一体に回転する。また、アーマ
チュア5には、周方向に等間隔をおいてピン穴5bが3
か所設けられるとともに、励磁コイル2への通電時にア
ーマチュア5に作用する磁気を遮断するための磁気遮断
用長穴5cが各ピン穴5bの両側に設けられている。な
お、ロータ4に設けられた各嵌合穴4dと、アーマチュ
ア5に設けられた各ピン穴5bとは、同一半径で形成さ
れる円周上に位置する。
【0015】回転力伝達手段は、アーマチュア5に対し
て軸方向に変位可能に取り付けられるピン体15と、こ
のピン体15をアーマチュア5から離す方向へ付勢する
スプリング16と、ピン体15の位置決めを行うストッ
パ17を備える。ピン体15は、円盤状を成す高磁性体
の吸着板15aと、この吸着板15aの中央部に圧入に
よって固定される非磁性体のピン15bから成り、アー
マチュア5の周方向に3か所取り付けられている。吸着
板15aは、アーマチュア5のロータ4と反対側に配さ
れて、励磁コイル2の通電時に、スプリング16の付勢
力に抗してアーマチュア5に吸着される。ピン15b
は、吸着板15aの変位に伴って、アーマチュア5に設
けられたピン穴5bに摺動可能な状態で嵌め合わされて
いる。このピン15bは、その先端形状が、ロータ4に
設けられた嵌合穴4dの内面形状に相応する半球面状に
膨らむ凸曲面形状を呈し(図6参照)、吸着板15aが
アーマチュア5に吸着された状態で、ピン15bの先端
部がアーマチュア5の摩擦面5aより突出する長さを有
する。従って、アーマチュア5がロータ4に吸着された
状態で、ピン15bと嵌合穴4dの位置が回転方向に一
致した場合には、図5に示すように、アーマチュア5の
摩擦面5aより突出したピン15bの先端部が嵌合穴4
dに嵌合する。なお、ピン体15がスプリング16に付
勢されて、吸着板15aがアーマチュア5から離れてい
る状態(図1に示す状態)の時には、ピン15bの先端
部がアーマチュア5の摩擦面5aより突出することはな
く、摩擦面5aより内側へ入り込んでいる。
【0016】スプリング16は、アーマチュア5と吸着
板15aとの間に配されて、吸着板15aをアーマチュ
ア5より離す方向へ付勢する。なお、スプリング16の
付勢力は、励磁コイル2が通電されてアーマチュア5が
ロータ4に吸着された状態で、吸着板15aに作用する
吸引力より小さく設定されている。ストッパ17は、ス
プリング16によって付勢された吸着板15aが当接す
ることで、ピン体15を所定の位置に保持するものであ
り、ボルト18によってアーマチュア5に固定されてい
る(図1参照)。なお、ストッパ17は、励磁コイル2
の磁気が作用しないように非磁性体で形成されている。
【0017】板ばね6は、一端がプレートハブ7に、他
端がアーマチュア5にそれぞれリベット19によって固
定され(図1参照)、励磁コイル2が通電された時に
は、ロータ4に吸着されるアーマチュア5の軸方向の変
位に伴って弾性変形を生じ、励磁コイル2への通電が停
止された時に、その弾性力によってアーマチュア5を当
初の位置(図1に示す位置)に復帰させる。プレートハ
ブ7は、冷媒圧縮機の回転軸20の先端部にボルト21
によって連結され、アーマチュア5とともに回転軸20
と一体に回転する。
【0018】次に、本実施例の作動を説明する。 ア)冷媒圧縮機を起動する時。 励磁コイル2への通電によって発生した磁力により、ア
ーマチュア5が板ばね6の弾性力に抗してロータ4側へ
吸引され、ロータ4の摩擦面4bとアーマチュア5の摩
擦面5aとが摩擦係合することによって、ロータ4の回
転力がアーマチュア5に伝達される。アーマチュア5が
ロータ4に吸着されて、アーマチュア5とロータ4との
間のギャップが消滅することにより、磁気回路の抵抗が
低下して、磁気回路の磁束量が増加する。これにより、
吸着板15aを流れる磁束が増大することで、スプリン
グ16の付勢力を上まわる吸引力が吸着板15aに作用
する。この時、アーマチュア5のピン穴5bとロータ4
の嵌合穴4dとが回転方向で一致しない場合は、ピン1
5bの先端がロータ4の案内面4cに当接するため、吸
着板15aはアーマチュア5に吸着されることなくアー
マチュア5との間に一定の間隔を保ったまま回転する。
【0019】ロータ4とアーマチュア5との間に作用す
る伝達トルクが、両者4、5の間の摩擦係合力を上まわ
ると、ロータ4とアーマチュア5との回転位置が次第に
ずれてくる。これにより、アーマチュア5のピン穴5b
とロータ4の嵌合穴4dとが回転方向に一致した時、図
5に示すように、ピン15bの先端部が嵌合穴4dに嵌
合することにより、吸着板15aがアーマチュア5に密
着して回転する。この結果、ロータ4に伝達されたエン
ジンの回転力は、嵌合穴4d、ピン15b、アーマチュ
ア5、板ばね6、およびプレートハブ7を介して、冷媒
圧縮機の回転軸20に伝達される。
【0020】イ)冷媒圧縮機の作動を停止する時。 励磁コイル2への通電を停止して、磁気回路に流れる磁
束を消失させる。これにより、アーマチュア5が板ばね
6の弾性力によって当初の位置に復帰するとともに、吸
着板15aがスプリング16の付勢力によってアーマチ
ュア5から離されることにより、ピン15bの先端部が
アーマチュア5の摩擦面5aより内側へ入り込む。この
結果、ロータ4とアーマチュア5との係合が解かれて、
エンジンからの回転力が冷媒圧縮機の回転軸20に伝達
されなくなる。
【0021】上記の作動において、ピン15bの先端部
が嵌合穴4dに嵌合してロータ4とアーマチュア5とが
一体に回転している時に、冷媒圧縮機がロックした場
合、つまりロータ4とアーマチュア5との間に過大な伝
達トルクが作用した場合、嵌合穴4dに嵌合するピン1
5bの先端部には、図6に示すように、ロータ4との接
触面に対して垂直方向の力Fが作用する。この力Fは、
軸方向にピン15bを押し出すように作用する軸方向の
分力Faと、回転方向にピン15bがアーマチュア5に
押し付けられるように作用する回転方向の分力Frとの
合成となる。従って、軸方向の分力Faによってピン1
5bは嵌合穴4dから押し出されるが、この時、回転方
向の分力Frの作用によってピン15bとアーマチュア
5との間に摩擦力が働くため、ピン15bの先端部が嵌
合穴4dから押し出される時に、アーマチュア5もピン
体15と一緒にロータ4から離されることになる。この
結果、ピン15bの先端がロータ4の案内面4cに摺接
しながら、ロータ4とアーマチュア5との間に相対回転
(アーマチュア5は停止)が生じる。
【0022】なお、ピン穴5bと嵌合穴4dは、周方向
に3か所ずつ等間隔に設けられていることから、ロータ
4とアーマチュア5との回転位置が120°ずれること
によって、再びピン15bの先端部が嵌合穴4dに嵌合
することになるが、上記の作用によって嵌合穴4dに嵌
合したピン15bの先端部が嵌合穴4dから押し出され
るため、ロータ4とアーマチュア5との間に過大な伝達
トルクが作用している間、ピン15bの先端部と嵌合穴
4dとの係合が周期的に繰り返されることになる。この
ように、本実施例の電磁クラッチ1は、冷媒圧縮機がロ
ックした場合に、ピン15bの先端部が嵌合穴4dから
外れることによって、ロータ4とアーマチュア5との相
対回転が可能となる。この結果、電磁クラッチ1および
エンジンに過大な負荷がかかるのを防止することができ
る。なお、本実施例では、ピン15bの先端部の形状を
半球面状としたが、図7に示すように、角部にアールR
を設けた形状としても良い。
【0023】次に、請求項2に係る電磁クラッチの異常
検出システムの一実施例を説明する。図8は電磁クラッ
チの異常検出システムを示す模式図である。本実施例で
は、励磁コイル2に流れる電流の変動幅に基づいて電磁
クラッチ1の異常を判定するものであり、その旨を以下
に説明する。冷媒圧縮機がロックした場合は、第1実施
例で説明したように、ピン15bとピン穴5bとの係合
が周期的に繰り返されることから、ロータ4とアーマチ
ュア5とが相対回転している間、ロータ4とアーマチュ
ア5との間のギャップが周期的に変化することになる。
つまり、ピン15bの先端部がピン穴5bに嵌合した時
には、ロータ4とアーマチュア5との間のギャップが無
くなるが、ピン15bの先端部がピン穴5bから外れて
ロータ4の案内面4cに当接している時には、アーマチ
ュア5の摩擦面5aからピン15bの先端部が突出して
いる量だけロータ4とアーマチュア5との間にギャップ
が生じる。
【0024】このロータ4とアーマチュア5は、磁気回
路の一部を構成し、両者4、5の間のギャップが変化す
ることは、磁気抵抗(インダクタンス)が変化すること
を意味する。従って、この磁気抵抗の変化によって励磁
コイル2に流れる電流が変化することから(文献名:S
AE891968参照)、励磁コイル2に流れる電流の
変動幅が一定時間継続して所定の変動幅以上となった時
には、電磁クラッチ1が異常であると判断することがで
きる。
【0025】そこで、本実施例の電磁クラッチの異常検
出システムSは、図8に示すように、第1実施例で説明
した電磁クラッチ1、この電磁クラッチ1の通電制御を
行うクラッチ制御回路22、電磁クラッチ1の励磁コイ
ル2に流れる電流を検出する電流検出装置23、この電
流検出装置23で検出された電流に基づいて電磁クラッ
チ1の異常を判定する電磁クラッチ異常判定装置24
(下述する)、電磁クラッチ1の異常を警告する警告手
段25(警告ランプ、警告ブザー等)より構成される。
電磁クラッチ異常判定装置24は、電流検出装置23で
検出された電流を平均化する積分回路24a、閾値を設
定する閾値設定回路24b、積分回路24aで得られた
平均電流と閾値設定回路24bで設定された閾値より上
限判定値と下限判定値を設定する判定値設定回路24
c、この判定値設定回路24cで設定された上限判定値
および下限判定値と電流検出装置23で検出された電流
とを比較する比較回路24d、この比較回路24dの結
果を基に電磁クラッチ1の異常を判定する異常判定回路
24e、この異常判定回路24eで電磁クラッチ1が異
常と判定された時に、励磁コイル2への通電停止信号を
クラッチ制御回路22へ出力するとともに、電磁クラッ
チ1の異常を警告する警告手段25へ通電信号を出力す
る保護回路24fを備える。
【0026】次に、本実施例の作動を図9に示すフロー
チャートを基に説明する。まず、電流検出装置23で励
磁コイル2に流れる電流を検出する(ステップS1)。
続いて、検出された電流を積分回路24aで平均化し
て、平均電流を求める(ステップS2)。続いて、判定
値設定回路24cで、ステップS2で求められた平均電
流に閾値設定回路24bで設定された閾値を加算および
減算して上限判定値と下限判定値を設定し(ステップS
3)、電流検出装置23で検出された電流の変動幅Iw
が所定の変動幅Is以上か否かを判定する(ステップS
4)。なお、所定の変動幅Isとは、上限判定値と下限
判定値とで設定される変動幅を言う。この判定結果で電
流の変動幅Iwが所定の変動幅Isより小さい場合(N
O)は、ステップS1へ戻る。
【0027】ステップS4の判定結果がYESの場合
(変動幅Iw>所定の変動幅Is)は、その状態が一定
時間t継続したか否かを判定する(ステップS5)。こ
の判定結果で、一定時間t継続していない場合(NO)
は、ステップS1へ戻る。ステップS5の判定結果がY
ESの場合(一定時間t継続している場合)は、異常判
定回路24eで電磁クラッチ1が異常であると判定する
(ステップS6)。この電磁クラッチ1の異常は、励磁
コイル2が通電状態であるにも係わらず、ロータ4とア
ーマチュア5とが相対回転している、つまり冷媒圧縮機
がロックしていることを示す。そこで、保護回路24f
より通電停止信号をクラッチ制御回路22へ出力して電
磁クラッチ1をオフするとともに、通電信号を警告手段
25へ出力して乗員に電磁クラッチ1の異常を警告する
(ステップS7)。
【0028】
【発明の効果】本発明の電磁クラッチは、ロータとアー
マチュアとの間に所定値以上の伝達トルクが作用した時
(例えば冷媒圧縮機がロックした時)に、ロータとアー
マチュアとを相対回転させることによって、電磁クラッ
チを保護することができる。また、本発明の電磁クラッ
チの異常検出システムは、回転数ピックアップ等の高価
なセンサや温度ヒューズ等を使用することなく、電磁ク
ラッチの異常(冷媒圧縮機のロック)を検出することが
できる。従って、応答性を悪化させることなくシステム
のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る電磁クラッチの断面図であ
る。
【図2】図1の矢印Bから見た電磁クラッチの正面図で
ある。
【図3】図1の矢印Cから見たロータの正面図である。
【図4】図1の矢印Dから見たアーマチュアの正面図で
ある。
【図5】電磁クラッチの作動状態を示す要部断面図であ
る。
【図6】ピンの先端部が嵌合穴に嵌合した状態を示す拡
大図である。
【図7】ピン先端部の変形例を示す拡大図である。
【図8】第2実施例に係る電磁クラッチの異常検出シス
テムを示す模式図である。
【図9】第2実施例の作動を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 電磁クラッチ 2 励磁コイル 4 ロータ 4b 摩擦面 4d 嵌合穴 5 アーマチュア 5a 摩擦面 15a 吸着板(回転力伝達手段) 15b ピン(回転力伝達手段) 16 スプリング(付勢手段・回転力伝達手段) 23 電流検出装置(電流検出手段) 24e 異常判定回路(異常判定手段) 24f 保護回路(通電停止手段) S 電磁クラッチの異常検出システム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)通電されることで磁力を発生する励磁
    コイルと、 b)動力源からの回転力を受けて回転駆動されるととも
    に、軸方向の一端面に摩擦面を有するロータと、 c)軸方向に所定の間隔を保って前記ロータの摩擦面と
    対面する摩擦面を有し、前記励磁コイルの通電時に前記
    ロータに吸着されて、前記摩擦面同士の係合によって前
    記ロータと一体に回転するアーマチュアと、 d)このアーマチュアの前記ロータと反対側に配され
    て、前記励磁コイルの通電時に前記アーマチュアに吸着
    される吸着板、前記アーマチュアに対して前記吸着板と
    一体に変位可能に取り付けられて、前記吸着板が前記ア
    ーマチュアに吸着された時に、先端部が前記アーマチュ
    アの摩擦面より前記ロータ側へ突出可能に設けられたピ
    ン、前記励磁コイルの通電時に前記吸着板に作用する吸
    引力より小さい力で、前記ピンが前記ロータから離れる
    方向へ前記吸着板を付勢する付勢手段、および前記ロー
    タの前記一端面に設けられて、前記励磁コイルの通電時
    に前記ピンの先端部が嵌合可能な嵌合穴より成り、前記
    励磁コイルの通電時に前記ピンが前記嵌合穴に嵌合する
    ことで、前記ロータの回転力を前記アーマチュアに伝達
    する回転力伝達手段とを備え、 この回転力伝達手段は、前記ピンが前記嵌合穴に嵌合し
    た状態で、前記ロータと前記アーマチュアとの間に所定
    値以上の伝達トルクが作用した時に、軸方向に前記ピン
    を押し出すように作用する軸方向の分力および回転方向
    に前記ピンが前記アーマチュアに押し付けられるように
    作用する回転方向の分力によって、前記ピンの先端部が
    前記アーマチュアの摩擦面から突出した状態のまま前記
    ピンが前記嵌合穴から外れ出るように、前記嵌合穴の内
    面形状が凹曲面状とされたことを特徴とする電磁クラッ
    チ。
  2. 【請求項2】a)前記請求項1記載の電磁クラッチと、 b)前記励磁コイルに流れる電流を検出する電流検出手
    段と、 c)この電流検出手段で検出された電流の変動幅が一定
    時間継続して所定の変動幅以上となった時に、前記電磁
    クラッチの異常であると判定する異常判定手段と、 d)この異常判定手段で前記電磁クラッチの異常である
    と判定された時に、前記励磁コイルへの通電を停止する
    通電停止手段とを備えた電磁クラッチの異常検出システ
    ム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015064002A1 (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 アイシン精機株式会社 車両用開閉体の制御装置、制御方法、及び該制御装置を備えた車両用開閉体
JP2015086533A (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 アイシン精機株式会社 車両用開閉体の制御装置及び制御方法

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