JPH0712006A - エンジンの安定度検出装置 - Google Patents

エンジンの安定度検出装置

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JPH0712006A
JPH0712006A JP5152393A JP15239393A JPH0712006A JP H0712006 A JPH0712006 A JP H0712006A JP 5152393 A JP5152393 A JP 5152393A JP 15239393 A JP15239393 A JP 15239393A JP H0712006 A JPH0712006 A JP H0712006A
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JP
Japan
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cylinder
value
cycle
combustion
crank angle
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Application number
JP5152393A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Iwasaki
美憲 岩崎
Hiroyuki Itoyama
浩之 糸山
Masaaki Uchida
正明 内田
Hatsuo Nagaishi
初雄 永石
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基準信号が圧縮上死点前で立ち上がる場合
に、1つの気筒の燃焼区間にまたがる2つの基準信号間
周期を用いて気筒別の回転数を求め、この気筒別回転数
から燃焼の安定度を推定することにより、気筒間バラツ
キの影響を受けないようにする。 【構成】 クランク角センサ31は各気筒の圧縮上死点
前の所定クランク角で立ち上がる基準信号REFを出力
する。連続する2つの前記基準信号の間の周期を測定手
段32が測定し、この測定された基準信号間周期のうち
最新値Refと前回値Refn-1の加算値を用いて算出
手段33が気筒別の回転数Nervを算出し、この気筒
別回転数の変動から推定手段34が燃焼の安定度を推定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンの安定度検出
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】リーン空燃比では理論空燃比と同一のト
ルクを発生するのに空気量が大きくなってポンピングロ
スが減ること、およびリーン空燃比のほうが燃焼ガスの
比熱比が大きくなることのため、リーン空燃比で運転し
たほうが燃費が向上し、かつリーン空燃比ではNOxが
もともと少ない。
【0003】しかしながら、リーン条件では燃焼が不安
定に陥りやすく、この燃焼の不安定に伴ってトルク変動
が生じるので、このトルク変動のレベルが安定限界レベ
ルに近くなるようにリーン条件での目標空燃比を設定し
なければならない。
【0004】そこで、実開昭57−114141号公報
では、エンジンの1回転に要する時間を連続する2つの
基準信号間周期から測定し、この時間にもとづいて一定
の式で車両のトルク変動量を算出し、これが基準レベル
に収まるように燃料量をフィードバック制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、クランク角
の基準信号REFが各気筒の圧縮上死点(TDC)の前
の所定クランク角で立ち上がるときは、1つの燃焼区間
とその燃焼の行われる気筒のREF間周期とが、図12
に示したように時間的にずれ、1つの燃焼区間を1つの
REF間周期ですべてカバーできなくなってしまうた
め、1つのREF間周期から気筒別回転数を精度よく求
めることができない。
【0006】この点、2つのREF間周期を1つの測定
区間とする上記の装置によれば、1つの燃焼区間のすべ
てを測定区間でカバーすることができるのであるが(図
12においてたとえば#3気筒の燃焼区間のすべて(#
3TDCから#4TDCまで)はAの測定区間でカバー
されている)、車両のトルク変動量を算出するに当たっ
て、気筒別の回転数をまず求めていないので、気筒間バ
ラツキの影響をうけてしまう。多気筒エンジンでは各気
筒の吸気ポートに設ける燃料噴射弁の特性バラツキなど
により気筒間で回転数がバラツクため、この気筒間バラ
ツキによる回転変動が生じたときも、燃焼が不安定にな
ったとして空燃比がリッチ側に制御され、これにより燃
費が悪くなり、NOxが増加するのである。
【0007】そこでこの発明は、基準信号が圧縮上死点
前で立ち上がる場合に、1つの気筒の燃焼区間にまたが
る2つの基準信号間周期を用いて気筒別の回転数を求
め、この気筒別回転数から燃焼の安定度を推定すること
により、気筒間バラツキの影響を受けないようにするこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図1に示
すように、各気筒の圧縮上死点前の所定クランク角で立
ち上がる基準信号REFを出力するクランク角センサ3
1と、連続する2つの前記基準信号の間の周期を測定す
る手段32と、この測定された基準信号間周期のうち最
新値Refと前回値Refn-1の加算値を用いて気筒別
の回転数Nervを算出する手段33と、この気筒別回
転数Nervの変動から燃焼の安定度を推定する手段3
4とを設けた。
【0009】第2の発明は、図30に示すように、各気
筒の圧縮上死点前の所定クランク角で立ち上がる基準信
号REFを出力するクランク角センサ31と、連続する
2つの前記基準信号の間の周期を測定する手段32と、
この測定された基準信号間周期のうち最新値Refに第
1の係数K1を乗じた値と前記測定された基準信号間周
期のうち前回値Refn-1に第2の係数K2を乗じた値と
の加算値を用いて気筒別の回転数Nervを算出する手
段41と、この気筒別回転数Nervの変動から燃焼の
安定度を推定する手段34とを設けた。
【0010】第3の発明は、図31に示すように、各気
筒の圧縮上死点前の所定クランク角で立ち上がる基準信
号REFを出力するクランク角センサ31と、連続する
2つの前記基準信号の間の周期を測定する手段32と、
この測定された基準信号間周期のうち最新値Refと前
回値Refn-1の加算値を用いて気筒別の回転数を算出
する手段33と、この気筒別回転数のうち最新値Ner
vと1サイクル前の値(4気筒ではNervn-4、6気
筒ではNervn-6)との差を気筒別回転変化量として
算出する手段51と、この算出された気筒別回転変化量
のうち最新値Dnervと前回値Dnervn-1の差を
トルク変動相当値Lljとして算出する手段52と、こ
のトルク変動相当値Lljから燃焼の安定度を推定する
手段53とを設けた。
【0011】第4の発明は、図32に示すように、各気
筒の圧縮上死点前の所定クランク角で立ち上がる基準信
号REFを出力するクランク角センサ31と、連続する
2つの前記基準信号の間の周期を測定する手段32と、
この測定された基準信号間周期のうち最新値Refに第
1の係数K1を乗じた値と前記測定された基準信号間周
期のうち前回値Refn-1に第2の係数K2を乗じた値と
の加算値を用いて気筒別の回転数を算出する手段41
と、この気筒別回転数のうち最新値Nervと1サイク
ル前の値(4気筒ではNervn-4、6気筒ではNer
n-6)との差を気筒別回転変化量として算出する手段
41と、この算出された気筒別回転変化量のうち最新値
Dnervと前回値Dnervn-1の差をトルク変動相
当値Lljとして算出する手段42と、このトルク変動
相当値Lljから燃焼の安定度を推定する手段43とを
設けた。
【0012】
【作用】第1の発明で、基準信号間周期の最新値Ref
を現気筒の基準信号間周期に、基準信号間周期の前回値
Refn-1を前気筒の基準信号間周期に対応づけると、
たとえば4気筒エンジンで基準信号が圧縮上死点前11
0°CAで立上がり、かつ燃焼開始クランク角が圧縮上
死点前20°CAであるときは、前気筒の基準信号間周
期のうち前気筒の燃焼区間に寄与する割合が(110−
20)/180(=0.5)、現気筒の基準信号間周期
のうち前気筒の燃焼区間に寄与する割合が(70+2
0)/180(=0.5)であることより、前気筒の半
回転周期が、 前気筒の半回転周期 =前気筒の基準信号間周期×0.5+現気筒の基準信号間周期×0.5 =Refn-1×0.5+Ref×0.5 であるから、前気筒の1回転区間周期は 前気筒の1回転区間周期=Refn-1+Ref である。これより、前気筒の1回転区間周期(つまり最
新値Refと前回値Refn-1の加算値)を回転数単位
に変換することで、前気筒の回転数が精度良く求められ
る。
【0013】前気筒の回転数は気筒別の回転数であり、
このようして求めた気筒別回転数の変動から燃焼の安定
度を推定すると、気筒間バラツキによる回転変動が燃焼
不安定による回転変動であると誤認されることがない。
【0014】第2の発明は、たとえば〈イ〉4気筒エン
ジンであること、〈ロ〉基準信号が圧縮上死点前110
°CAの近傍で立上がること、〈ハ〉燃焼開始クランク
角が圧縮上死点前20°CAの近傍であることのいずれ
かの条件を満足しない場合(たとえば6気筒エンジンの
とき)に適用されるもので、こうした場合には、最新値
Refのうち前気筒の燃焼に寄与する割合を第1の係数
1に、前回値Refn-1のうち前気筒の燃焼に寄与する
割合を第2の係数K2にそれぞれ織り込むのである。
【0015】したがって、上記の条件のいずれかが満足
されない場合でも、第1の発明と同じに前気筒の回転数
が精度良く求められることから、気筒間バラツキによる
回転変動が燃焼不安定による回転変動であると誤認され
ることがない。
【0016】第3の発明と第4の発明で、気筒別回転数
のうち最新値Nervと1サイクル前の値との差が気筒
別回転変化量として算出されることでも、気筒間バラツ
キによる回転変動が燃焼不安定による回転変動と誤認さ
れることがなく、さらにこの算出された気筒別回転変化
量のうち最新値Dnervと前回値Dnervn-1の差
がトルク変動相当値Lljとして算出されることから、
このトルク変動相当値Lljの振幅とサージトルクの間
によい相関が得られ、かつ回転上昇による回転変動の影
響を受けることがない。
【0017】
【実施例】図2において、エアクリーナ11から吸入さ
れた空気は、一定の容積を有するコレクタ部12aにい
ったん蓄えられ、ここから分岐管をへて各気筒に流入す
る。各気筒の吸気ポート12bには燃料噴射弁3が設け
られ、この噴射弁3からエンジン回転に同期して間欠的
に燃料が噴射される。
【0018】噴射弁3からの噴射時間が長くなれば噴射
量が多くなり、噴射時間が短くなれば噴射量が少なくな
る。混合気の濃さつまり空燃比は、一定量の吸入空気に
対する燃料噴射量が多くなればリッチ側にずれ、燃料噴
射量が少なくなればリーン側にずれる。したがって、コ
ントロールユニット2で吸入空気量との比が一定値とな
るように燃料の基本噴射量を決定してやれば運転条件が
違っても同じ空燃比が得られる。燃料の噴射がエンジン
の1回転について1回行われるときは、1回転で吸い込
んだ空気量に対して基本噴射パルス幅Tpをそのときの
吸入空気量とエンジン回転数とから求めるのである。通
常このTpにより決定される空燃比は理論空燃比付近に
なっている。
【0019】一定の条件が成立すると、コントロールユ
ニット2では、空燃比目標値を理論空燃比からリーン側
の空燃比に切換える。この切換時に補助空気流量を増量
補正(理論空燃比への切換時は減量補正)することによ
って、切換の前後でトルクが同一となるようにトルク制
御を行うわけで、そのため吸気絞り弁5をバイパスする
補助空気通路21に大流量の流量制御弁22が設けられ
ている。この制御弁22は比例ソレノイド式で、コント
ロールユニット2からのオンデューティ(一定周期のO
N時間割合)が大きくなるほど通路21を流れる補助空
気流量が増加する。
【0020】なお、リーン空燃比域での燃焼不安定によ
り増加するCO,HCを抑えるため、燃焼室内に流れ込
む吸気にスワールが与えられるよう、吸気ポート12b
の近くに、一部に切欠き(図示せず)を有するスワール
コントロールバルブ13を設けている。リーン空燃比域
でスワールコントロールバルブ13を全閉位置にして吸
気を絞ることにより吸気の流速を高め、燃焼室内にスワ
ールを生じさせるのである。理論空燃比域では排気管1
8に設けた三元触媒19によってNOxを浄化する。
【0021】コントロールユニット2ではまた、リーン
空燃比域で燃焼の安定度を回転変動から検出し、燃焼の
安定度が許容レベルに収まるように広域空燃比センサ9
からの実空燃比信号にもとづいて空燃比をフィードバッ
ク制御する。これにより、燃焼が不安定にならない限界
近くのリーン空燃比でエンジンが運転されることにな
り、燃費がよくなるのである。
【0022】ところで、クランク角の基準信号REFが
各気筒の圧縮上死点の前の所定クランク角で立ち上がる
ときでも、2つのREF間周期を1つの測定区間とする
従来装置によれば、1つの燃焼区間のすべてを測定区間
でカバーすることができるのであるが、車両のトルク変
動量を算出するに当たって、気筒別の回転数を求めてい
ないので、気筒間バラツキ(たとえば噴射弁の流量特性
のバラツキで気筒別の回転数がバラツク)の影響をうけ
てしまう。
【0023】これに対処するため、コントロールユニッ
ト2では、REF間周期(基準信号REFの間の周期)
を測定し、このREF間周期のうち最新値と前回値の加
算値にもとづいて気筒別の回転数を算出し、この気筒別
回転数の変動から燃焼の安定度を推定する。なお、基準
信号REFと単位クランク角ごとの信号とはクランク角
センサ7が出力する。
【0024】図4は、4気筒エンジンでの回転変動量を
算出するための流れ図である。なお、この回転変動量の
算出は上記の空燃比フィードバック制御を行うための流
れ図(図3のこと)の一部を構成するもので、図3のス
テップ2の詳細が図4になる。
【0025】図4において、REF間周期からエンジン
1回転区間の周期Refrvを、 Refrv=Ref+Refn-1 …(1) ただし、Refn-1;前回のREF間周期 の式で求め(図4のステップ21)、これを Nerv=KN#/Refrv …(2) ただし、KN#;周期→回転数への変換定数 の式で気筒別回転数Nervに変換する(図4のステッ
プ23)。
【0026】(1)式が導かれる理由は次の通りであ
る。4気筒エンジン(点火順序を#1−#3−#4−#
2とする)について各気筒の燃焼圧力と回転変動の関係
ならびに基準信号REF(180°CAごとに立ち上が
る)を図5に示す。各気筒の燃焼による回転変動は18
0°CA(エンジン半回転のクランク角)ごとに点火順
序にしたがって生じるのに対し、基準信号REFが圧縮
上死点(図ではTDC)の前の所定のクランク角(たと
えば110°CA)で立ち上がると、1つの燃焼区間と
その燃焼の行われる気筒のREF間周期とが時間的にず
れている。
【0027】いま仮に#3気筒で代表させれば、#3気
筒の燃焼による回転変動(#3TDCから#4TDCま
で)は、#3REF間周期と#4REF間周期の2周期
にまたがるため、#3気筒の燃焼が寄与するクランク角
範囲は、#4REF間周期のうち110°CAの部分
(図でから#4TDCまで)と#3REF間周期のう
ち70°CAの部分(#3TDCからまで)とであ
る。この寄与割合をそれぞれk1,k2とすれば、 k1=110/180 …(1.1) k2=70/180 …(1.2) であり、#3気筒の半回転区間周期は #3気筒の半回転区間周期 =#4REF間周期×k1+#3REF間周期×k2 …(1.3) の式で表すことができる。
【0028】ここで、REF間周期は点火順に求まるた
め、(1.3)式において今回求まるREF間周期の最
新値Refを#4気筒に対応づければ、REF間周期の
前回値Refn-1が#3気筒に対応し、また#4気筒を
現気筒(現時点の気筒)として考えれば、#3気筒は前
気筒(現気筒より点火順序で1つ前の気筒)であるか
ら、(1.3)式は 前気筒の半回転区間周期=Ref×k1+Refn-1×k2 …(1.4) と書き直すことができる。
【0029】(1.4)式は#4気筒を現気筒として考
えた式であるが、#2,#1,#3気筒を現気筒として
も(1.4)式と同じ式になる。
【0030】上記の寄与割合k1,k2は、各気筒で燃焼
がちょうどTDC(圧縮上死点)から始まるとしたとき
のものであるが、実際の燃焼はTDCより前から始まる
ことを考慮すると、燃焼開始クランク角による補正が必
要で、このときは上記の(1.1),(1.2)式に代
えて、 k1=(110−燃焼開始クランク角)/180 …(1.5) k2=(70+燃焼開始クランク角)/180 …(1.6) の式を用いなければならない。たとえば、燃焼開始クラ
ンク角の平均値を圧縮上死点前20°CAとすれば、 k1=(110−20)/180=0.5 …(1.7) k2=(70+20)/180=0.5 …(1.8) であるから、(1.4)式は、 前気筒の半回転区間周期 =Ref×0.5+Refn-1×0.5 …(1.9) となる。
【0031】実際には着火のタイミングを知ることは困
難なため点火時期を上記の燃焼開始クランク角の相当値
として採用する。なお、燃焼開始クランク角は点火時期
と同じなので、点火時期を定める因子により燃焼開始ク
ランク角の最適値も変化する。したがって、運転条件、
空燃比、EGR量、燃料性状などに応じて、そのエンジ
ンに適合した燃焼開始アングルを用いれば、検出の精度
が向上する。
【0032】(1.9)式の両辺を2倍にして、 前気筒の1回転区間周期=Ref+Refn-1 …(1.10) この(1.10)式が上記(1)式のことである。つま
り、(1)式のRefrvは前気筒の1回転区間周期を
表すので、(1)式によりREF間周期の最新値(Re
f)と前回値(Refn-1)の加算値を(2)式により
回転数単位に変換することで、気筒別回転数を求めるこ
とができるのである。
【0033】なお、(1.9)式によれば結果としてk
1とk2とが等しく(ともに0.5)なってしまったが、
これは、 〈イ〉直列4気筒エンジンであること 〈ロ〉REFが圧縮上死点前110°CAで立ち上がる
こと 〈ハ〉燃焼開始クランク角が圧縮上死点前20°CAで
あること の3つの条件をすべて満足するときに限るもので、これ
ら条件のうちの1つでも欠ければ、k1≠k2になる。
【0034】たとえば、〈ロ〉と〈ハ〉は同じでも、6
気筒エンジンでは、REF間周期は120°CA((1
/3)回転区間)に、また各気筒の燃焼による回転変動
も120°CA周期になることから、図18において#
2気筒の(1/3)回転区間周期を計算すると、 #2気筒の(1/3)回転区間周期 =#3REF間周期×k1+#2REF間周期×k2 =#3REF間周期×(110−20)/120 +#2REF間周期×(10+20)/120 =#3REF間周期×0.75+#2REF間周期×0.25 …(1.11) である。
【0035】ここで、#3気筒を現気筒とすれば、#2
気筒→前気筒、#3気筒のREF間周期→Ref、#2
気筒のREF間周期→Refn-1であるから、(1.1
1)式は、 前気筒の1/3回転区間周期 =Ref×0.75+Refn-1×0.25 …(1.12) となり、k1>k2となるのである。
【0036】なお、6気筒エンジンでは上記(1)式に
代えて Refrv=Ref×K1+Refn-1×K2 …(1.13) ただし、Refn-1;前回のREF間周期 K1;第1の係数 K2;第2の係数 の式を用いればよい。ただし、(1.12)式の両辺を
3倍した、 前気筒の1回転区間周期 =Ref×2.25+Refn-1×0.75 の式と、(1.13)式を比較すればわかるように、
(1.13)式の係数K1,K2についてK1=2.2
5、K2=0.75とすることはいうまでもない。
【0037】上記(2)式の気筒別回転数Nervから
は Dnerv=Nerv−Nervn-4 …(3) ただし、Nervn-4;4回前のNerv の式で気筒別の回転変化量Dnervを算出する(図4
のステップ25)。
【0038】(2)式の気筒別回転数Nervがたとえ
ば#1気筒(前気筒)のものであるときは、Nerv
n-1(1回前の値)は#2気筒の、Nervn-2(2回前
の値)は#4気筒の、Nervn-3(3回前の値)は#
3気筒のものであるため、#1気筒について回転変化量
を求めるには、(3)式で4回前の値(つまり1サイク
ル前の値)を用いなければならないのである。このよう
に、気筒別回転数のうちの最新値と1サイクル前の値と
の差を気筒別回転変化量Dnervとして求めること
で、気筒間のバラツキを燃焼の不安定による回転変動と
誤認しないようにするわけである。
【0039】ただし、6気筒エンジンになると(3)式
に代えて Dnerv=Nerv−Nervn−6 ただし、Nervn−6;6回前のNerv の式を用いる。
【0040】なお、(2)式の計算の前に旧Nervの
シフトを行う(図4のステップ22)。これは1回転前
のデータを2回前のRAMに、2回転前のデータを3回
前に、3回転前のデータを4回前にと逐次移し替える操
作である。この旧Nervのシフトによって、気筒別回
転数が記憶されることから、後述するエンジン回転数N
eを、 Ne=(Nerv+Nervn-1+Nervn-2+Ner
n-3)/4 の式で全気筒のエンジン回転数の平均値として求めるこ
とができる。
【0041】旧Dnervのシフトも旧Nervのシフ
トと同様である(図4のステップ24)。
【0042】(3)式の気筒別回転変化量Dnervか
らは Llj=Dnerv−Dnervn-1 …(4) ただし、Dnervn-1;1回前のDnerv の式で気筒別回転変化量の変化量をトルク変動相当値L
ljとして求める(図4のステップ26)。
【0043】(3)式のDnervはある気筒について
前回の燃焼時の1回転周期と今回の燃焼時の1回転周期
の間に生じた回転変化量であるから、(4)式のLlj
は燃焼に伴う疑似的なトルク変動量に相当するわけであ
る。
【0044】トルク変動相当値Lljにはバンドパスフ
ィルター処理を行い、結果をデジタルフィルター処理出
力Lljdとしてストアする(図4のステップ27,2
8)。バンドパスフィルター処理は、ソフトウエアで行
うため、連続系から離散系に変換した式を用いる。周波
数としては車両のドライバーがサージとして感じやすい
周波数(3〜7Hz)とすればよい。
【0045】詳細には、図6がバンドパスフィルターの
伝達関数で、定数Am,Bnおよび次数M,Nを要求に
応じて設定し、これをプログラム化してソフトウエアを
作成する。zは複素変数である。
【0046】図7にフィルター(伝送特性は通過帯域で
フラットな特性であるバタワースとする)処理する場合
の次数の相違によるサージトルク検出精度への影響を示
すと、同図において、INDEX(デジタルフィルター
処理出力Lljdの絶対値の平均値のことで、Lljd
の振幅が大きくなるほど大きくなる。)とサージトルク
は1対1に対応しなけばならない。たとえば、2次だと
INDEXが6.5であったときにサージトルクが0.
45なのか0.8なのか判断できない。つまり、IND
EXとサージトルクが1対1に対応するには、6以上の
次数が必要である。一方、次数が高い(遮断特性が急)
ほどサージトルクの検出精度がよくなるが、その分だけ
演算時間が長くなり、S/N比の向上も12次付近でサ
チル(飽和する)ためそれ以上の次数の必要性は小さ
い。よって6次以上12次未満の設定が必要であり、そ
の中でもできるだけ次数の小さいほうが演算速度が速く
なるので望ましい。
【0047】デジタルフィルターのあるなしによって、
INDEXとサージトルクの関係がどう変化するかを示
すのが図8と図9である。図8のようにエンジン回転数
Neが2400rpmのときは、デジタルフィルター処
理を行わなくても、サージトルクとINDEXとが1対
1に対応しているが、同じエンジン出力でも図9のよう
に3600rpmの条件になると、デジタルフィルター
処理を行わないと、サージトルクとINDEXとが1対
1に対応しないのである。
【0048】なお、INDEXの代わりに、デジタルフ
ィルター処理出力Lljdの時系列データを図10に示
すと、サージトルクの相違(上から0.34Nm時、
0.60Nm時、0.91Nm時、1.25Nm時のL
ljdで、縦軸のスケールは4つとも同じである)によ
り、Lljdの振幅に明らかな差が出ている(サージト
ルクが大きくなるほどLljdの振幅が大きくなってい
る)。図7との対応では、図7のINDEXを実際の振
幅の大きさでみたときの図が図10であると考えればよ
い。
【0049】上記の6次と12次のIIRバンドパスフ
ィルターの伝達関数H(z)を下記の数式1に示す。
【数1】
【0050】IIRフィルターの場合、6次で約23d
B/oct、12次で約49dB/octの遮断特性が
得られる。なお、23dB/octというのを通過周波
数1〜10Hzのバンドパスフィルターで説明すると、
図11の実線で示したように、10Hzの倍(オクター
ブ)の20Hzになるとゲインが23dB低くなる(低
周波側も同じ)ことを意味している。
【0051】ここでこの例の作用を説明する。この例で
は、REF間周期の最新値(現気筒のREF間周期を表
す)RefとREF間周期の前回値(前気筒のREF間
周期を表す)Refn-1の加算値から前気筒の1回転区
間周期Refrvが求められ、これから前気筒の回転数
Nervが求められる。2つのREF間周期(REF間
周期の現在値と前回値)を測定区間として図12に示す
と、同図のように、この例では測定区間が点火順序で隣
接する2つの気筒間で測定区間をオーバーラップさせな
がらずれていくのである。
【0052】このようにして気筒別回転数を求めると、
気筒間バラツキによる回転変動を燃焼の不安定による回
転変動であると誤認することがない。
【0053】これに対して、2つのREF間周期を用い
ているものの、この2つのREF間周期から一定の式で
車両のトルク変動量を一気に求めるようにした従来例で
は、トルク変動量を求める途中の過程で気筒別回転数を
求めていないため、気筒間バラツキによる回転変動の影
響を受けるのである。図12のように、従来例(57−
114141で示す)では、測定区間が一列に並んだも
のとなるわけである。
【0054】図13と図14はエンジンの目標回転数を
それぞれ2000rpm、2400rmpとしたときの
気筒別回転数Nervの標準偏差(一般的な定義によ
る)とサージトルクの関係を示す。Nervが実際の回
転数を理想的に再現するとすれば、両者の関係は原点を
通る1本の線上にのるのであるが、Nervの検出に雑
音が混ざるので、両者の関係を示す線は図13,図14
のように原点を通らない。
【0055】この場合に、適切に設定した寄与割合
1,k2(いずれも0.5)による重みづけ加算値(つ
まり0.5Ref+0.5Refn-1)を用いること
で、サージトルクとNervの偏差との関係が原点を通
る線に近づき、これによって雑音の影響が最も小さくな
っている。なお、重みづけの係数(k1,k2)が適切で
ない場合であっても、基準信号の1周期を用いて回転数
を求める場合より雑音の影響が小さいことはいうまでも
ない。
【0056】また、気筒別回転数の最新値と1サイクル
前の値との差を気筒別回転変化量Dnervとして、さ
らに気筒別回転変化量の最新値と前回値との差をトルク
変動相当量Lljとして求めることで、トルク変動相当
量Lljの振幅とサージトルクとの間によい相関が得ら
れる。図15、図16はエンジン回転数Neが2000
rpmでのサージトルクとLljの時系列データで、図
15のようにサージトルクが小さいときはLljの振幅
が小さく、図16のようにサージトルクが大きくなる
と、Lljの振幅も大きくなるのである。
【0057】これに対して、基準信号の1周期にもとづ
いてLljに相当する回転変化量の変化量を求めたので
は、その振幅が、サージトルクの値が変わってもあまり
変化しない。
【0058】さらに、Lljを用いることで、図17に
示したように、急激なエンジン回転の上昇時に、その回
転上昇に伴う回転変動を誤検出することがない。
【0059】これに対して、エンジン回転数を一定周期
で順に算出して、その回転数の最新値から所定回前まで
の値をメモリに記憶し、これら記憶された最新値から所
定回前までの値の平均値を計算して、この平均値の最新
値と1つ前の値をも記憶し、両者の差(つまり平均値の
最新値と1つ前の値の差)を回転変動量として求める手
法がある。この一般的な回転変動量では、図17の最下
段のように、回転上昇時は燃焼が安定していても回転変
動量が大きくなり、この回転上昇時の回転変動が燃焼不
安定による回転変動と誤認されることになるのである。
【0060】図19は6気筒エンジンの場合で、図12
に対応する。
【0061】6気筒エンジンでは、(1.13)式によ
りREF間周期の最新値Refに第1の係数K1(=
2.25)を乗じた値とREF間周期の前回値Ref
n-1に第2の係数K2(=0.75)を乗じた値の加算値
から前気筒の1回転区間周期Refrvを求める点が4
気筒エンジンと相違するだけで後は同じである。
【0062】さて、このようにしてリーン空燃比域で燃
焼の安定度を回転変動から検出した後は、前述したよう
に、燃焼の安定度が許容レベルに収まるように実空燃比
信号にもとづいて空燃比をフィードバック制御する。こ
れによって、燃焼不安定と関係のない回転変動を誤って
燃焼不安定による回転変動であるとしてリッチ側に制御
してしまう場合を最小限にとどめることができ、精度の
よい安定度制御が可能となる。
【0063】この安定度制御を4気筒エンジンにつき図
3、図20から図31(フローチャートとこの制御に使
われるテーブルやマップの内容を示す特性図)を用い
て、[1]フィードバック制御を行うかどうかの判定、
[2]安定化燃空比補正係数の計算、[3]目標空燃比
の算出、[4]燃料噴射パルス幅の計算、の順に概説す
る。図4が図3のサブルーチンであったように、図2
0、図22も図3のステップ3、5の詳細を示すサブル
ーチンである。
【0064】なお、この制御に必要となるセンサからの
信号(4はエアクリーナから吸入される空気量Qaを検
出する熱線式エアフローメータ、6はスロットルセン
サ、7はクランク角センサ、8は水温センサ)が、広域
空燃比センサ9からの実空燃比信号とともに、マイコン
からなるコントロールユニット2に入力されている。
【0065】なお、燃料制御は目標空燃比をめざして行
い、空気流量の検出値から最終的に供給燃料量を求めて
いることを考えると、(空気流量)×(燃空比)=(供
給燃料量)の関係が成立することから、燃空比のほうが
空燃比より扱いやすいため、以下では一部の数値に燃空
比を用いている。
【0066】[1]フィードバック制御を行うかどうか
の判定 リーン条件では燃焼の安定度が許容レベルに収まるよう
に空燃比をフィードバック制御するのであるが、燃焼の
不安定以外の要因で回転変動が生じ、燃焼の不安定によ
る回転変動と誤認されるようなときは、フィードバック
制御を禁止する。具体的には、図20に示したように以
下の〈1〉〜〈3〉の条件のいずれかでも成立するとき
はフィードバック制御の禁止フラグを“1”にする(図
20のステップ34)。なお、図ではフィードバックを
F/Bで示している。
【0067】〈1〉リーン条件でないこと(図20のス
テップ31)。リーン条件は、たとえば冷却水温が80
℃以上あること、スロットルセンサ6からの絞り弁開度
が所定値以下であること、車速変化が所定値以下である
ことのすべての条件を満たしたときである。
【0068】〈2〉空燃比の切換中であること(図20
のステップ32)。たとえば、後述するDml(目標燃
空比のダンパ値)とTdml(目標燃空比のマップ補正
値)とが同一でないとき切換中であると判断する。
【0069】〈3〉運転条件がフィードバック制御領域
にないこと(図20のステップ33)。全運転領域は、
図21のようにエンジン回転数Neとシリンダ空気量相
当パルス幅(エンジン負荷相当量で後述する)Avtp
とでいくつかの領域に区分けされ、その中にフラグの値
が入っており、NeとAvtpから図21のマップを参
照した領域の値が“0”であれば、フィードバック制御
を禁止する。“0”の領域は図示したように高回転域で
あり、高回転域では燃焼が悪くなりようがないからであ
る。
【0070】上記の〈1〉から〈3〉までの条件がすべ
て成立しない場合にフィードバック制御の禁止フラグを
“0”にしてフィードバック制御に入る(図20のステ
ップ35)。
【0071】[2]燃空比補正係数の計算 図22において、安定度信号(デジタルフィルター処理
出力Lljd)を180度ごとにサンプリングするとと
もに、サンプル数をカウントする(図22のステップ5
1)。
【0072】このカウント値と比較する所定のショート
サンプル数Sとロングサンプル数L(L>S)を求める
(図22のステップ52)。SとLの値は、検出精度
(多いほどよい)と制御精度(少ないほど速い)を考慮
して決定する。たとえばエンジン回転数Neから図23
を内容とするテーブルを参照して求めている。
【0073】S個のサンプル数がでそろうと、サンプル
データの合計をSで除算した値(つまり平均値)が第1
のスライスレベルSLH#以上であるかどうかみて、
(サンプルデータ合計/S)≧SLH#であれば、燃焼
の安定度が許容レベルを越えたと判断し、フィードバッ
ク補正量としての安定化燃空比補正係数Lldmlを Lldml=Lldmln-1+DLLH# …(5) ただし、Lldmln-1;1回前のLldml DLLH#;高速更新量 の式で更新する(図22のステップ54,55,5
6)。
【0074】L個のサンプル数がでそろったときも、サ
ンプルデータの合計をLで除算した値から第2のスライ
スレベルSLL#(SLL#<SLH#)を差し引き、
その差し引いた値から図24を内容とするテーブルを参
照して更新量Dlldmlを求め、この値を用いて、 Lldml=Lldmln-1+Dlldml …(6) ただし、Lldmln-1;1回前のLldml の式で安定化燃空比補正係数Lldmlを更新する(図
22のステップ57,58,59,60)。
【0075】(5)式の高速更新量DLLH#はプラス
の一定値であるが、更新量Dlldmlは、図24に示
したように、(サンプルデータ合計/L−SLL#)が
正の領域で(サンプルデータ合計/L−SLL#)に応
じて大きく、また(サンプルデータ合計/L−SLL
#)が負の領域で|サンプルデータ合計/L−SLL#
|に応じて負の値で大きくしている。
【0076】このように、S個のサンプル数がでそろっ
たときとL個のサンプル数がでそろったときとで2段階
に安定化燃空比補正係数Lldmlを更新するのは、サ
ンプルデータ数が少ない段階で大きな値のスライスレベ
ルSLH#を越えたとき、とりあえず大きな更新量DL
LH#を用いて応答よくLldmlの値を増量側に変化
させ、サンプルデータ数が多い段階でSLH#より値の
小さなスライスレベルSLL#を越えたときは、その越
えた量に応じた更新量を用いてLldmlの値を精度良
く変化させるためである。
【0077】なお、安定化燃空比補正係数Lldmlに
より空燃比が変更されるので、図24において(サンプ
ルデータ合計/L−SLL#)が小さい範囲でも更新量
Dlldmlを与えると、空燃比の変更によるトルク変
動が生じる。これを防止するため、図24においては不
感帯(サンプルデータ合計/L−SLL#)の値が0を
中心とする所定の範囲にあるときDlldml=0とす
る領域)を設けている。
【0078】最後に、安定化燃空比補正係数Lldml
が最小値の0以下になったときは、Lldml=0に、
またLldmlが最大値LLDMMX#以上になると、
Lldml=LLDMMX#とする(図22のステップ
61)。
【0079】[3]目標燃空比の算出 まず、目標燃空比のマップ値補正と目標燃空比のダンパ
値Dmlの計算とは、図3に示したようにクランク角度
で180度ごとに実行する(図3のステップ6〜1
1)。
【0080】[3−1]目標燃空比のマップ値補正 上記のようにして得た安定化燃空比補正係数Lldml
から目標燃空比のマップ補正値Tdmlを、 Tdml=Mdml×Lldml …(7) ただし、Mdml;目標燃空比のマップ値 の式で計算する(図3のステップ6)。
【0081】(7)式の目標燃空比のマップ値Mdml
は、リーン条件とリーン条件でないときとで異なるた
め、図26に示したようにリーン条件では図27を内容
とするMDMLLマップ(リーンマップのこと)を参照
し、その参照した値を、またリーン条件でないときは図
28を内容とするMDMLSマップ(非リーンマップの
こと)を参照し、その参照した値をそれぞれ変数Mdm
lに入れることになる(図26のステップ82,83、
ステップ82,84)。図27,図28において1.0
のマップ値が理論空燃比相当で、これより値が小さいと
リーン側の空燃比に、この逆にこれより値が大きいとリ
ッチ側の空燃比になるわけである。
【0082】[3−2]目標燃空比のダンパ値Dml ダンパ値Dmlの波形は、図29に示したように、空燃
比の切換時にステップ変化するマップ補正値Tdmlに
対して、ランプ応答にしたものである。具体的には図3
のように、リーン方向への空燃比変化速度をDmll、
リッチ方向への空燃比変化速度をDmlrとすれば、ダ
ンパ値Dmlとマップ補正値Tdmlの比較によりいず
れの方向への変化であるかがわかるため、Dml<Td
mlであればリッチ方向への空燃比の切換であるとし
て、ダンパ値Dmlを Dml=Dmln-1+Dmlr ただし、Dmln-1;1回前のDml の式により更新し、DmlがTdmlを越えるときはD
ml=Tdmlとする(図3のステップ7,8,9)こ
とで、理論空燃比への切換時のダンパ値が得られる。ま
た、Dml≧Tdmlのときはリーン空燃比への切換時
であるからダンパ値Dmlを Dml=Dml−Dmll の式で更新し、Dml<TdmlでDml=Tdmlと
する(図3のステップ7,10,11)。
【0083】このように空燃比の切換時にダンパ処理を
行うのは、空燃比の緩やかな切換によりトルクの急激な
変化を防止して運転性能を適切にするためである。
【0084】[3−3]目標燃空比Tfbya これは、 Tfbya=Dml+Ktw+Kas …(8) ただし、Ktw;水温増量補正係数 Kas;始動後増量補正係数 の式により計算する(図25のステップ71)。
【0085】(8)式の始動後増量補正係数Kasは、
クランキング中はその値が冷却水温に応じて定まり、エ
ンジン始動直後より時間とともに徐々に減少する値、水
温増量補正係数Ktwは冷却水温からテーブルを参照し
て求める値で、いずれも公知である。(8)式より冷間
始動直後の暖機中は、ダンパ値Dmlが1.0(つまり
理論空燃比相当)にあり、暖機中の空燃比が暖機時増量
(KmrとKtw)によって理論空燃比よりもリッチ側
にシフトするわけである。
【0086】なお、広域空燃比センサ9が十分活性化し
たこと、始動後増量がなくても運転性に問題がでない程
度に始動後時間が経過したこと、水温Twが所定値以上
になったことのすべてを満たしたとき、空燃比センサ9
にもとづく空燃比のフィードバック制御を開始する。こ
の空燃比フィードバック制御条件ではTfbya=1.
0となり、三元触媒19が最大限に活用される。
【0087】[4]燃料噴射パルス幅の計算 これは、図25に示したように10msの周期で実行す
る。
【0088】各インジェクタ4に出力する燃料噴射パル
ス幅Tiは Ti=(Avtp+Kathos)×Tfbya×(α+αm)+Ts …(9) ただし、Avtp;シリンダ空気量相当パルス幅 Kathos;壁流補正量 α;空燃比フィードバック補正係数 αm;空燃比学習補正係数 Ts;無効パルス幅 の式で与える(図25のステップ75)。
【0089】ここで、(9)式のシリンダ空気量相当パ
ルス幅Avtpは、 Avtp=Tp×Fload+Avtpn-1×(1−Fload) …(10) ただし、Tp;基本噴射パルス幅 Avtpn-1;前回のAvtp Fload;加重平均係数 の式により基本噴射パルス幅Tpをなました値(図25
のステップ74)、またTpはエアフローメータ出力を
A/D変換した後リニアライズして求めた吸入空気流量
Qsから Tp=(Qs/Ne)×K#×Ktrm …(11) ただし、K#;基本空燃比を定める定数 Ktrm;インジェクタの流量特性より定まる定数 の式で計算した値である(図25のステップ72,7
3)。(9)、(10)、(11)式とも公知である。
【0090】(9)式の壁流補正量Kathosは、壁
流の低周波分(比較的ゆっくりと変化する壁流分のこ
と)の修正を目的とし、運転条件ごとに平衡付着量Mf
hを記憶しておき、過渡に伴う平衡付着量の変化を総補
正量として、燃料噴射ごとに所定の割合ずつシリンダ空
気量相当パルス幅Avtpに加算(減速時は減算)する
もので、これも公知である。たとえば、加速時は噴射量
を増量しなければならないが、どんなに霧化特性のよい
インジェクタといえども、燃料の一部は吸気マニホール
ド壁に付着し、吸気管壁を伝って液状のまま流れ(この
流れが壁流)、空気に乗せられた燃料より遅い速度でシ
リンダに流れる。つまり、壁流燃料によってシリンダに
吸入される混合気が一時的に薄くなるので、この一時的
な混合気の希薄化を防止するため、加速時は壁流補正量
Kathosだけ増量するのである。この逆に、マニホ
ールド圧が急激に高負圧になる減速時は、マニホールド
壁に付着していた燃料がいっせいに気化してくるため、
混合気が一時的に濃すぎになり、CO,HCが増加す
る。そこで、減速時はこの気化する壁流分を減量してや
るわけである。
【0091】なお、減速時や高回転時などの一定の燃料
カット条件になると(9)式のTiに代えて無効パルス
幅Tsをストアする(そうでなければTiを出力レジス
タにストアする(図25のステップ77,79、ステッ
プ77,78)ことで、噴射タイミングでの噴射に備え
る。
【0092】
【発明の効果】第1の発明によれば、各気筒の圧縮上死
点前の所定クランク角で立ち上がる基準信号を出力する
クランク角センサと、連続する2つの前記基準信号の間
の周期を測定する手段と、この測定された基準信号間周
期のうち最新値と前回値の加算値を用いて気筒別の回転
数を算出する手段と、この気筒別回転数の変動から燃焼
の安定度を推定する手段とを設けたため、たとえば4気
筒エンジンで基準信号が圧縮上死点前110°CAで立
上がり、かつ燃焼開始クランク角が圧縮上死点前20°
CAであるときに、気筒間バラツキによる回転変動が燃
焼不安定による回転変動であると誤認されることがな
い。
【0093】第2の発明は、各気筒の圧縮上死点前の所
定クランク角で立ち上がる基準信号を出力するクランク
角センサと、連続する2つの前記基準信号の間の周期を
測定する手段と、この測定された基準信号間周期のうち
最新値に第1の係数を乗じた値と前記測定された基準信
号間周期のうち前回値に第2の係数を乗じた値との加算
値を用いて気筒別の回転数を算出する手段と、この気筒
別回転数の変動から燃焼の安定度を推定する手段とを設
けたため、たとえば6気筒エンジンや基準信号が圧縮上
死点前110°CA以外で立上がるときも、気筒間バラ
ツキによる回転変動が燃焼不安定による回転変動である
と誤認されることがない。
【0094】第3の発明は、各気筒の圧縮上死点前の所
定クランク角で立ち上がる基準信号を出力するクランク
角センサと、連続する2つの前記基準信号の間の周期を
測定する手段と、この測定された基準信号間周期のうち
最新値と前回値の加算値を用いて気筒別の回転数を算出
する手段と、この気筒別回転数のうち最新値と1サイク
ル前の値との差を気筒別回転変化量として算出する手段
と、この算出された気筒別回転変化量のうち最新値と前
回値の差をトルク変動相当値として算出する手段と、こ
のトルク変動相当値から燃焼の安定度を推定する手段と
を設けたため、第1の発明の効果に加えて、トルク変動
相当値の振幅とサージトルクの間によい相関が得られ、
かつ回転上昇による回転変動の影響を受けることがな
い。
【0095】第4の発明は、各気筒の圧縮上死点前の所
定クランク角で立ち上がる基準信号を出力するクランク
角センサと、連続する2つの前記基準信号の間の周期を
測定する手段と、この測定された基準信号間周期のうち
最新値に第1の係数を乗じた値と前記測定された基準信
号間周期のうち前回値に第2の係数を乗じた値との加算
値を用いて気筒別の回転数を算出する手段と、この気筒
別回転数のうち最新値と1サイクル前の値との差を気筒
別回転変化量として算出する手段と、この算出された気
筒別回転変化量のうち最新値と前回値の差をトルク変動
相当値として算出する手段と、このトルク変動相当値か
ら燃焼の安定度を推定する手段とを設けたため、第2の
発明の効果に加えて、トルク変動相当値の振幅とサージ
トルクの間によい相関が得られ、かつ回転上昇による回
転変動の影響を受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のクレーム対応図である。
【図2】一実施例のリーンバーンエンジンの制御システ
ム図である。
【図3】180度ジョブの流れ図である。
【図4】回転変動の算出を説明するための流れ図であ
る。
【図5】4気筒エンジンの場合の燃焼圧力、回転数、基
準信号の関係を示す波形図である。
【図6】バンドパスフィルターの伝達関数を表す図であ
る。
【図7】エンジン回転が4000rpm、エンジントル
クが39.2NmのときのINDEXに対するサージト
ルクの特性図である。
【図8】エンジン回転が2400rpm、エンジントル
クが39.2NmのときのINDEXに対するサージト
ルクの特性図である。
【図9】エンジン回転が3600rpm、エンジントル
クが39.2NmのときのINDEXに対するサージト
ルクの特性図である。
【図10】サージトルクを相違させたときのデジタルフ
ィルター処理出力Lljdの波形図である。
【図11】バンドパスフィルターの遮断周波数の特性図
である。
【図12】前記実施例の測定区間を説明するための波形
図である。
【図13】エンジン回転数Neが2000rpm、吸気
管負圧が400mmHgの条件でのサージトルクに対す
る気筒別回転数Nervの標準偏差の特性図である。
【図14】エンジン回転数Neが2400rpm、吸気
管負圧が400mmHgの条件でのサージトルクに対す
る気筒別回転数Nervの標準偏差の特性図である。
【図15】エンジン回転数Neが2000rpm、エン
ジントルクが8kgmの条件でのサージトルクとデジタ
ルフィルター処理出力Lljの時系列データを表す波形
図である。
【図16】エンジン回転数Neが2000rpm、エン
ジントルクが8kgmの条件でのサージトルクとデジタ
ルフィルター処理出力Lljの時系列データを表す波形
図である。
【図17】エンジン回転の上昇時の作用を説明するため
の波形図である。
【図18】他の実施例(6気筒エンジンの場合)の燃焼
圧力、回転数、基準信号の関係を示す波形図である。
【図19】他の実施例(6気筒エンジンの場合)の測定
区間を説明するための波形図である。
【図20】フィードバック制御条件の判定を説明するた
めの流れ図である。
【図21】フィードバック制御を行う領域と禁止する領
域とをともに示す領域図である。
【図22】安定化燃空比補正係数Lldmlの算出を説
明するための流れ図である。
【図23】所定のサンプル数S,Lのテーブル内容を示
す特性図である。
【図24】安定化燃空比補正係数Lldmlの更新量D
lldmlのテーブル内容を示す特性図である。
【図25】10msecジョブの流れ図である。
【図26】バックグラウンドジョブの流れ図である。
【図27】リーンマップの内容を示す特性図である。
【図28】非リーンマップの内容を示す特性図である。
【図29】空燃比の切換時の波形図である。
【図30】第2の発明のクレーム対応図である。
【図31】第3の発明のクレーム対応図である。
【図32】第4の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
2 コントロールユニット 3 燃料噴射弁(燃料供給装置) 4 エアフローメータ 7 クランク角センサ 9 広域空燃比センサ 19 三元触媒 31 クランク角センサ 32 基準信号間周期測定手段 33 気筒別回転数算出手段 34 燃焼安定度推定手段 41 気筒別回転数算出手段 51 気筒別回転変化量算出手段 52 トルク変動相当値算出手段 53 燃焼安定度推定手段
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01M 15/00 Z 7324−2G (72)発明者 永石 初雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各気筒の圧縮上死点前の所定クランク角で
    立ち上がる基準信号を出力するクランク角センサと、 連続する2つの前記基準信号の間の周期を測定する手段
    と、 この測定された基準信号間周期のうち最新値と前回値の
    加算値を用いて気筒別の回転数を算出する手段と、 この気筒別回転数の変動から燃焼の安定度を推定する手
    段とを設けたことを特徴とするエンジンの安定度検出装
    置。
  2. 【請求項2】各気筒の圧縮上死点前の所定クランク角で
    立ち上がる基準信号を出力するクランク角センサと、 連続する2つの前記基準信号の間の周期を測定する手段
    と、 この測定された基準信号間周期のうち最新値に第1の係
    数を乗じた値と前記測定された基準信号間周期のうち前
    回値に第2の係数を乗じた値との加算値を用いて気筒別
    の回転数を算出する手段と、この気筒別回転数の変動か
    ら燃焼の安定度を推定する手段とを設けたことを特徴と
    するエンジンの安定度検出装置。
  3. 【請求項3】各気筒の圧縮上死点前の所定クランク角で
    立ち上がる基準信号を出力するクランク角センサと、 連続する2つの前記基準信号の間の周期を測定する手段
    と、 この測定された基準信号間周期のうち最新値と前回値の
    加算値を用いて気筒別の回転数を算出する手段と、 この気筒別回転数のうち最新値と1サイクル前の値との
    差を気筒別回転変化量として算出する手段と、 この算出された気筒別回転変化量のうち最新値と前回値
    の差をトルク変動相当値として算出する手段と、 このトルク変動相当値から燃焼の安定度を推定する手段
    とを設けたことを特徴とするエンジンの安定度検出装
    置。
  4. 【請求項4】各気筒の圧縮上死点前の所定クランク角で
    立ち上がる基準信号を出力するクランク角センサと、 連続する2つの前記基準信号の間の周期を測定する手段
    と、 この測定された基準信号間周期のうち最新値に第1の係
    数を乗じた値と前記測定された基準信号間周期のうち前
    回値に第2の係数を乗じた値との加算値を用いて気筒別
    の回転数を算出する手段と、 この気筒別回転数のうち最新値と1サイクル前の値との
    差を気筒別回転変化量として算出する手段と、 この算出された気筒別回転変化量のうち最新値と前回値
    の差をトルク変動相当値として算出する手段と、 このトルク変動相当値から燃焼の安定度を推定する手段
    とを設けたことを特徴とするエンジンの安定度検出装
    置。
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