JPH07119968A - セラミックス発熱体及びその製造方法 - Google Patents

セラミックス発熱体及びその製造方法

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JPH07119968A
JPH07119968A JP28420393A JP28420393A JPH07119968A JP H07119968 A JPH07119968 A JP H07119968A JP 28420393 A JP28420393 A JP 28420393A JP 28420393 A JP28420393 A JP 28420393A JP H07119968 A JPH07119968 A JP H07119968A
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ceramic
coil
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英男 河村
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英紀 北
Takemoto Hirai
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、外殻、充填部材及び金属コイルと
の境界に隙間がなく、製造コストを低減できる安定した
強度を有する信頼性に富んだ自己電流制御型のセラミッ
クス発熱体及びその製造方法を提供する。 【構成】 本発明は、緻密質セラミックスの外殻1の内
部両側に多孔質セラミックスの充填部材2,3を充填
し、外殻1の両端面15に内部を密封する密封膜4を接
合する。外殻1の中央にセラミックウィスカー及び/又
はセラミック粉末の低熱伝導セラミックス5を配置する
と共にN2 ガスを封入し、金属コイル10の腐食を防止
する。金属コイル10は、充填部材2が位置する外殻1
の内壁面7に接触状態の発熱体コイル6と、N2 ガスが
封入されている外殻1の内壁面8から隔置状態の電流制
御用コイル9から構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、ディーゼル
エンジン等に使用されるセラミック製グロープラグを構
成するセラミックス発熱体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミック製グロープラグは、そ
の発熱部がタングステン等の高融点金属がSi3 4
ホットプレス時に一体化された構造に構成されている。
セラミック製グロープラグとして、例えば、実開昭64
−15077号公報、或いは特開平1−157084号
公報に開示されたものがある。実開昭64−15077
号公報に開示されたグロープラグは、気相法によりセラ
ミックス被覆層が塗着された発熱体が埋設されたセラミ
ックス焼結体から成る発熱部から構成されている。ま
た、特開平1−157084号公報に開示されたセラミ
ック発熱体は、Si3 4 焼結体中にW,Mo,Re等
の高融点金属又はそれらの合金から成る発熱抵抗線が埋
設されたものであり、前記抵抗線の表面に該抵抗線の主
な構成金属元素と同一金属元素またはその窒化物、炭化
物、珪化物、珪化炭化物等の非酸化物セラミックスより
なる中間層を形成したものである。
【0003】また、自己電流制御型グロープラグとして
は、特公平4−34052号公報、特公昭60−194
04号公報、特開昭62−141424号公報等に開示
されたものがある。
【0004】例えば、特公平4−34052号公報に開
示された自己制御型グロープラグは、通電昇温時におけ
る発熱体の温度を制御するため、発熱体に電流制御用抵
抗体を直列に接続したものであり、発熱線コイルと抵抗
体コイルとが直列に接続されてセラミック焼結体中に埋
設され、一体化されたセラミックヒータを構成し、発熱
線が温度−抵抗係数が4倍以下となるような正の抵抗温
度係数を持つタングステンWとレニウムRe合金線から
なり、抵抗体は純W又は純モリブデンMoの線材からな
るものである。また、特公昭60−19404号公報に
開示されたシーズグロープラグは、耐熱性の有底金属チ
ューブの内底と中心電極間をいずれも巻線の発熱体と抵
抗体を直接接続して成る自己制御型のシーズグロープラ
グであり、抵抗体の巻線ピッチが中心電極側の電極側の
取付金具に近い部分を密にし、発熱体側に近い部分を粗
に形成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
自己電流制御型グロープラグは、遮熱エンジン等の高温
燃焼室での使用では、耐熱性、熱ショックに対する強
度、高温強度等について十分なものとはいえないもので
あった。また、従来開示されている自己制御型グロープ
ラグは、炭化タングステン線を用いて作製した発熱線コ
イルとNi線コイルを用いて作製した抵抗体コイルとを
接続し、両者を抵抗温度係数が異なる材料で作製した
り、或いは巻線の発熱体と抵抗体とを異なった形状に作
製したものであるので、使用中にNi線が過熱によって
断線したり、経時変化によって劣化するという問題があ
り、しかも構造が複雑になり、コスト、強度に関して満
足できるものではなかった。
【0006】また、従来の自己電流制御型グロープラグ
では、タングステン線等の金属コイルをセラミックス中
に成形時に埋設して焼結するため、焼結は加圧焼結が必
要となり、ホットプレス即ち一軸加圧焼結が通常行われ
ている。そのため、セラミックス中に埋設される金属コ
イルの形状が制限され、二次元の構造になることから、
セラミックス製外殻の壁面と金属コイルとの間が離れ、
熱伝達効率が低下し、セラミックスヒータの速熱性が低
下するという問題がある。また、発熱部がタングステン
線とSi3 4 とがホットプレス時に一体化された構造
のセラミック製グロープラグでは、タングステン線とS
3 4 との境界に隙間が形成され、該隙間から水分或
いは酸素が侵入し、腐食等が発生するという問題が発生
する。特に、タングステン線とSi3 4 との境界の隙
間から水分或いは酸素が侵入するのを防止するため、境
界の隙間を密封しなければならないが、境界の隙間を密
封するため、ガラス密封等が考えられるが、製造工程が
多くなり、信頼性が低下するという問題がある。
【0007】そこで、この発明の目的は、上記の課題を
解決することであり、自己電流制御型のセラミックス発
熱体及びその製造方法を提供することであり、外殻の内
部の充填材料を異ならせて中間領域の遮熱度を大きくし
て電流制御用コイルを配置して電流制御部を構成し、先
端領域の遮熱度を小さくして熱放散量を大きくして発熱
部を構成し、発熱部と電流制御部を流れる電流を調節し
て最適の発熱量を確保する自己電流制御型に構成し、特
に、外殻、充填部材及び金属コイルとの境界に隙間がな
く密着させることによって熱伝達を向上させ、発熱部に
おける金属コイルと外殻のセラミックスとの境界からの
水分或いは酸素の侵入を防止し、製造コストを低減で
き、安定した強度を確保できる信頼性に富んだセラミッ
クス発熱体及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するため、次のように構成されている。即ち、この
発明は、両端が開放した緻密質セラミックスから作製さ
れた外殻、該外殻の内部両側に内包された多孔質セラミ
ックスから成る充填部材、前記外殻の両端面に接合され
ている前記外殻の内部を密封する密封膜、前記外殻の内
部中央に配置され且つN2 ガスが封入されている低熱伝
導セラミックス、及び前記充填部材が充填されている前
記外殻の先端側の内壁面に接触状態に配置されている部
分と前記N2 ガスが封入されている前記外殻の内壁面か
ら隔置状態に配置されている部分を有する金属コイル、
から構成したことを特徴とするセラミックス発熱体に関
する。
【0009】また、このセラミックス発熱体において、
前記金属コイルはタングステン線で作製され、前記外殻
の内壁面に接触状態に配置されている前記部分が発熱体
コイルを構成し、また前記外殻の内壁面から隔置状態に
配置されている前記部分が電流制御用コイルを構成して
いるものである。
【0010】また、このセラミックス発熱体において、
前記金属コイルの表面には、CVD法で被覆した又は有
機ケイ素ポリマーを転化させたセラミックス膜が配置さ
れているものである。
【0011】また、このセラミックス発熱体において、
前記多孔質セラミックスはSi及びTiを含んでいるも
のである。
【0012】また、このセラミックス発熱体において、
前記密封膜はガラス質又は前記外殻と同種のセラミック
ス質から構成されているものである。
【0013】また、このセラミックス発熱体において、
前記外殻はSi3 4 から構成されているものである。
【0014】また、このセラミックス発熱体において、
前記低熱伝導セラミックスはセラミックウィスカー及び
/又はセラミック粉末から構成されているものである。
【0015】また、この発明は、緻密質セラミックスか
ら両端が開放した外殻を作製すると共に、高融点金属線
から成るコイルの表面に該コイルと熱膨張係数がほぼ等
しいセラミックスを被覆し、前記コイルが一端側の内壁
面に接触し且つ中間の内壁面に隔置するように前記コイ
ルを前記外殻の内部に配置すると共に、前記外殻の内部
一端側にSiとTiを含む原料、内部中間に低熱伝導セ
ラミックス及び内部他端側にSiとTiを含む原料を充
填した後、これをN2 雰囲気内で反応焼成し、前記Si
とTiを含む原料をSi3 4 とTiNの多孔質セラミ
ックスに変化させて該多孔質セラミックスを前記外殻の
緻密質セラミックスに密着させ、次いで、前記外殻の両
端面に内部を密封する密封膜をコーティングしたことを
特徴とするセラミックス発熱体の製造方法に関する。
【0016】
【作用】この発明によるセラミックス発熱体及びその製
造方法は、上記のように構成されており、次のように作
用する。即ち、このセラミックス発熱体は、緻密質セラ
ミックスの外殻の内部両側に多孔質セラミックスの充填
部材を内包し、前記外殻の両端面に内部を密封する密封
膜を接合し、前記外殻の内部中央に低熱伝導セラミック
スを配置すると共にN2 ガスを封入し、金属コイルが前
記充填部材が充填されている前記外殻の先端側の内壁面
に接触状態に且つ前記N2 ガスが封入されている前記外
殻の内壁面から隔置状態に配置されているので、前記外
殻の内壁面に接触状態に配置されている前記金属コイル
の部分が発熱体コイルを構成し、また前記外殻の内壁面
から隔置状態に配置されている前記金属コイルの部分が
電流制御用コイルを構成することになる。
【0017】従って、前記金属コイルに電流を流せば、
前記発熱体コイルで発生した熱は前記外殻を加熱して外
部に放熱するのに対して、前記電流制御用コイルで発生
する熱は遮熱されて温度が上昇し、温度上昇に伴って前
記電流制御用コイルに流れる電流が抑制され、電流制御
部を構成する。即ち、前記電流制御用コイルが高温にな
れば、その抵抗値が大きくなり、前記金属コイルに流れ
る電流が小さくなり、前記外殻からの発熱量が自己制御
され、最適値に制御されることになる。
【0018】また、前記外殻の両側の前記充填部材を構
成する多孔質セラミックスは、Si及びTiを含んでい
る原料を緻密質のSi3 4 からなる外殻内に充填して
2ガス内で反応焼成することによって、SiとTiと
をSi3 4 とTiNに変化させるものであり、前記外
殻を緻密質Si3 4 で作製しておけば、焼成時にTi
Nが膨張し、外殻のSi3 4 と反応Si3 4 とが密
着することができ、しかも前記外殻の両端が開放してい
るので、焼成時に同時に外殻内、特に中間部にN2 ガス
を封入させることができる。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明によるセラ
ミックス発熱体及びその製造方法の実施例を説明する。
図1はこの発明によるセラミックス発熱体の一実施例を
示す断面図である。
【0020】このセラミックス発熱体は、主として、デ
ィーゼルエンジン等に組み込まれるセラミック製グロー
プラグに組み込まれて用いられるものであり、緻密質セ
ラミックスから作製された両端が開放したパイプ状の外
殻1、該外殻1の内部両側に内包された多孔質セラミッ
クスから成る充填部材2,3、外殻1の両端面15に接
合されている外殻1の内部を密封する密封膜4、外殻1
の内部中央に配置され且つN2 ガスが封入されている低
熱伝導セラミックス5、及び充填部材2,3及び低熱伝
導セラミックス5に配置されている金属コイル10から
構成されている。充填部材2,3は、外殻1の内壁面
7,14に密着した状態で外殻1内に充填されている。
【0021】金属コイル10は、タングステン等の高融
点金属から作製された抵抗線であり、充填部材2が充填
されている外殻1の先端側の内壁面7に接触状態に配置
されている部分に位置する発熱体コイル6とN2 ガスが
封入されている外殻1の内壁面8から隔置状態に配置さ
れている部分に位置する電流制御用コイル9とを有して
いる。更に、金属コイル10は、発熱体コイル6の一端
と電流制御用コイル9の一端とを接続する接続線11、
発熱体コイル6の他端に接続した外殻1内を延びて多孔
質セラミックスの充填部材3から突出する接続線12、
及び電流制御用コイル9の他端に接続して外殻1内を延
びて多孔質セラミックスの充填部材3から突出する接続
線13を有している。
【0022】このセラミックス発熱体において、金属コ
イル10の表面には、セラミックス膜が被覆されてい
る。また、充填部材2,3を構成する多孔質セラミック
スは、Si及びTiを含んでいるものであり、焼成によ
ってSi3 4 、TiNに変化し、TiNは酸化させる
ことによってTiO2 ,TiONに変化して安定したも
のである。外殻1の両端面15及び充填部材2,3の端
面に接合されている密封膜4は、ポリマープレカーサ等
によって構成されたガラス質又は外殻1と同種のセラミ
ックス質から構成されている。外殻1は、緻密質のSi
3 4 セラミックスから作製されている。低熱伝導セラ
ミックス5は、SiCウィスカー、Si34 ウィスカ
ー、Al2 3 ウィスカー、Al2 3 −SiO2 ウィ
スカー、セラミック粉末又はSi3 4 多孔材のいずれ
かの材料で構成され、特に、電流制御用コイル9の周辺
のセラミックスは空気と同等の低熱伝導率の材料に構成
することが遮熱構造上好ましいものであり、しかも低熱
伝導セラミックス5が位置する外殻1の内部には、N2
ガスが焼成時に封入されており、金属コイル10の酸化
は発生しない構造に構成されている。
【0023】このセラミックス発熱体は、セラミック製
グロープラグに組み込められるものであり、外殻1の端
部は、例えば、絶縁ブッシュ等の絶縁体を介在して電極
を中空部内に取り付けた中空状本体に固定されている。
この場合に、中空状本体は、耐熱合金等の金属から作製
され、他の部品への取り付けのためのねじ等を備えてい
る。そして、接続線13の端部が電極に接続され、接続
線12の端部が中空状本体に接続されている。従って、
このセラミックス発熱体では、電流は、電極→接続線1
3→電流制御用コイル9→接続線11→発熱体コイル6
→接続線12→中空状本体の経路で流れるように構成さ
れる。
【0024】このセラミックス発熱体は、次のようにし
て製造することができる。このセラミックス発熱体の製
造方法は、まず、緻密質セラミックスから外殻を作製す
ると共に、タングステン線等から成る金属コイル10の
表面に金属コイル10と熱膨張係数がほぼ等しいSiC
等のセラミックスをCVD法等で被覆する。次いで、S
iC等のセラミックスが被覆されたタングステン線等の
金属コイル10を、外殻1の一端側の内壁面7に接触
し、中間の内壁面8に隔置するように外殻1の内部に配
置すると共に、外殻1の内部一端側にSiとTiを含む
原料、中間にSiCウィスカー、Si3 4 多孔材等の
低熱伝導セラミックス9及び他端側にSiとTiを含む
原料を充填する。その後、SiとTiを含む原料と低熱
伝導セラミックス部材とを充填した外殻1をN2 雰囲気
内で反応焼成し、SiとTiを含む原料をSi3 4
TiN,TiO2 ,TiONの多孔質セラミックスに変
化させて充填部材2,3に転化させ、多孔質セラミック
スを外殻1の内壁面7,14を形成する緻密質セラミッ
クスに密着させ、特に、発熱体コイル6を外殻1の内壁
面7に密着させることができる。また、外殻1の両端が
開放しているので、焼成時に外殻1内、特にその中間部
の低熱伝導セラミックス5中にN2 ガスが封入されるこ
とになる。更に、外殻1の両端面15にCVD法により
外殻1と同種のセラミックスから成る密封膜4をコーテ
ィングし、外殻1の内部を密封し、セラミックス発熱体
を作製する。従って、このセラミックス発熱体は、従来
のものに比較して、発熱部での発熱体コイル6及び充填
部材2と外殻1の内壁面7との密着性を向上させ、熱伝
達を向上させて直ちに昇温でき、また、製造工程が少な
く簡潔であり、製造コストを低減でき、しかも安定した
信頼性に富んだセラミック製グロープラグに組み込むセ
ラミックス発熱体を作製できる。
【0025】次に、このセラミックス発熱体の具体的な
実施例を説明する。 〔実施例1〕まず、線径φ0.2mmのタングステンW
線を外径φ3.5mmのコイル状に巻きあげて金属コイ
ルを作製する。このタングステン線のコイルの表面にC
VD法によってSiCを被覆した。SiCを被覆したタ
ングステン線のコイルをスリップキャスト用の石膏型等
の多孔型内に配置し、この状態でSiとTiとを85:
15の割合で配合した原料即ちスラリーを多孔型内に所
定量注入した。次いで、スラリーがある程度固化した状
態で多孔型内に充填したスラリーの上で多孔型内にSi
Cウィスカーをスラリー化して流し込んだ。SiCウィ
スカーをスラリーがある程度固化した状態で、該SiC
ウィスカー上にSiとTiとの上記スラリーを多孔型内
に所定量注入した。スラリーの水分を多孔型を通じて十
分に吸収して固化させた。上記プロセスによって、タン
グステン線コイルの周辺にSiとTiとの原料を肉付け
すると共に、中間部にSiCウィスカーを配置した成形
体を作製することができた。
【0026】次いで、成形体を多孔型から取り出し、該
成形体をN2 ガス雰囲気内で乾燥させた後、相対密度9
9%以上の緻密質Si3 4 のパイプ状外筒即ち外殻1
内に乾燥した成形体を挿入した。この時、成形体の外径
と外殻1の内径とはほぼ同寸法であり、実質的に両者間
には隙間がなかった。外殻1に成形体を挿入した設定状
態で、5atmとしたN2 ガス雰囲気の焼成炉内で最高
1400℃まで加熱昇温して焼成し、SiとTiの原料
成分をそれぞれSi3 4 、TiN等の窒化物の焼成体
即ち多孔質セラミックスの充填部材2,3に変化させる
と共に、SiCウィスカーによってN2 ガスが封入され
た低熱伝導セラミックス部材5が形成された。この焼成
工程で、TiNによる約0.2%程度の膨張が生じるた
め、焼成体と外殻1との境界には空隙が発生しなかっ
た。次いで、外殻1両端面15と多孔質セラミックスの
充填部材2,3の各端面にCVD法によってSi3 4
をコーティングし、外殻1の中間部にN2 ガスを完全に
封入した。
【0027】〔実施例2〕また、このセラミックス発熱
体の製造方法において、タングステン線のコイルの表面
にCVD法によってSiCを被覆するのに代えて、タン
グステン線のコイルを有機ケイ素ポリマーであるポリカ
ルボシランのトルエン溶液に浸し、N2 ガス雰囲気で所
定温度まで加熱し、有機ケイ素ポリマーをSi3 4
転化させた。この処理工程を5回繰り返し、タングステ
ン線のコイルの外面に約50μmのセラミックス被膜を
形成させた。このセラミックス被膜のタングステン線の
コイルを用いて上記実施例1と同様のプロセスで同様の
セラミックス発熱体を作製した。
【0028】〔実施例3〕また、このセラミックス発熱
体の製造方法において、外殻1にSiとTiとから成る
原料に代えて、Siのみから成る原料即ちスラリーを用
いると共に、中間部には実施例1と同様のSiCウィス
カーをスラリーを用いて、実施例1と同様のプロセスで
セラミックス発熱体を作製した。この場合には、充填部
材2,3を構成する多孔質セラミックスは、多孔質Si
3 4 から構成されていた。
【0029】〔実施例4〕また、このセラミックス発熱
体の製造方法において、外殻1にSiとTiとから成る
原料に代えて、SiとSi3 4 とを80:20の割合
で配合した原料即ちスラリーを用いて、実施例1と同様
のプロセスでセラミックス発熱体を作製した。この場合
には、充填部材2,3を構成する多孔質セラミックス
は、多孔質Si3 4 から構成されていた。
【0030】〔実施例5〕更に、このセラミックス発熱
体の製造方法において、外殻1にSiとTiとから成る
原料に代えて、Siの原料即ちスラリーを用いると共
に、SiCウィスカーをスラリーの代わりにSiの原料
即ちスラリーを用いて、実施例1と同様のプロセスでセ
ラミックス発熱体を作製した。この場合には、充填部材
2,3を構成する多孔質セラミックスは、多孔質Si3
4 から構成されており、低熱伝導セラミックス部材5
を構成する多孔質セラミックスはSi3 4 多孔材から
構成されていた。
【0031】この発明によるセラミックス発熱体は、上
記各実施例に示すように製造することができるが、それ
らについては通電時間に対するセラミックス発熱体の温
度上昇時間には、若干の差異があったが、ほぼ同様の作
用効果を達成できるものであった。
【0032】
【発明の効果】この発明によるセラミックス発熱体及び
その製造方法は、上記のように構成されており、次のよ
うな効果を有する。即ち、このセラミックス発熱体は、
緻密質セラミックスの外殻の内部両側に多孔質セラミッ
クスの充填部材を内包し、前記外殻の両端面に外殻の内
部を密封する密封膜を接合し、前記外殻の内部中央に低
熱伝導セラミックスを配置すると共にN2 ガスを封入
し、金属コイルが前記充填部材が充填されている前記外
殻の先端側の内壁面に接触状態に且つ前記N2 ガスが封
入されている前記外殻の内壁面から隔置状態に配置され
ているので、前記外殻の内壁面に接触状態に配置されて
いる前記金属コイルの部分が発熱体コイルを構成し、ま
た前記外殻の内壁面から隔置状態に配置されている前記
金属コイルの部分が電流制御用コイルを構成することに
なる。従って、前記金属コイルに電流を流せば、前記発
熱体コイルが発熱部を構成して前記外殻を加熱して熱を
放熱し、これに対して、前記電流制御用コイルは前記低
熱伝導セラミックスで遮熱されて温度が上昇し、そこ
で、前記電流制御用コイルが高温になれば、その抵抗値
が大きくなり、前記金属コイルに流れる電流が小さくな
り、前記外殻からの発熱量が自己制御され、最適値に制
御されることになる。
【0033】このセラミックス発熱体は、上記の構成に
よって前記発熱体コイルが発熱部を構成するが、前記発
熱体コイルが前記外殻の内壁面に接触して配置されてい
るので、前記外殻全体が均一に温度上昇する。前記外殻
の内壁面に前記発熱体コイルが密着し、前記発熱体コイ
ルを埋める状態に前記充填部材が充填されているので、
前記発熱部の熱伝導性が極めて良好になる。
【0034】また、このセラミックス発熱体では、連続
した1本のタングステン線等の金属コイルで前記発熱体
コイルと前記電流制御用コイルが作製されているので、
例えば、中央に貫通孔を有し且つ外周面に螺旋溝を有す
るセラミック製コイル作製治具を使用して簡単に作製す
ることができ、途中に接続部が存在しないので、電気的
にも信頼性に富んだ耐久性に富んだ前記金属コイルを安
価に提供できる。
【0035】また、前記外殻の両側の前記充填部材を構
成する多孔質セラミックスを作製するためSi及びTi
を含んでいる原料を緻密質のSi3 4 からなる外殻内
に充填すると共に、中央部に低熱伝導部材を作製するた
めセラミックスウィスカー或いは多孔質セラミックスを
前記外殻の中央部に充填し、N2 ガス雰囲気中で反応焼
成することによって、SiとTiとをSi3 4 ,Ti
N,TiO2 ,TiONに変化させて多孔質セラミック
スを生成させるものであり、前記外殻を緻密質Si3
4 で作製しておけば、焼成時にTiNが膨張し、前記外
殻のSi3 4と反応Si3 4 とが密着することがで
き、しかも前記外殻の両端が開放しているので、焼成時
に同時に外殻内、特に中間部にN2 ガスを容易に封入さ
せることができ、両端面をセラミックス等の密封膜で封
鎖すれば、完全に前記外殻内にN2 ガスを封入できる。
また、焼成時に前記外殻内にN2 ガスを封入できるの
で、製造工程を数を低減してコストを低減できる。しか
も、前記外殻内でのN2 ガス封入により、タングステン
線等の金属コイルの耐腐食性を向上でき、耐久性を向上
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるセラミックス発熱体の一実施例
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 外殻 2,3 充填部材 4 密封膜 5 低熱伝導セラミックス(セラミックウィスカー又
はセラミック粉末) 6 発熱体コイル 7,8,14 内壁面 9 電流制御用コイル 10 金属コイル 11,12,13 接続線 15 端面

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端が開放した緻密質セラミックスから
    作製された外殻、該外殻の内部両側に内包された多孔質
    セラミックスから成る充填部材、前記外殻の両端面に接
    合されている前記外殻の内部を密封する密封膜、前記外
    殻の内部中央に配置され且つN2 ガスが封入されている
    低熱伝導セラミックス、及び前記充填部材が充填されて
    いる前記外殻の先端側の内壁面に接触状態に配置されて
    いる部分と前記N2 ガスが封入されている前記外殻の内
    壁面から隔置状態に配置されている部分を有する金属コ
    イル、から構成したことを特徴とするセラミックス発熱
    体。
  2. 【請求項2】 前記金属コイルは、タングステン線で作
    製され、前記外殻の内壁面に接触状態に配置されている
    前記部分が発熱体コイルを構成し、また前記外殻の内壁
    面から隔置状態に配置されている前記部分が電流制御用
    コイルを構成していることを特徴とする請求項1に記載
    のセラミックス発熱体。
  3. 【請求項3】 前記金属コイルの表面には、CVD法で
    被覆した又は有機ケイ素ポリマーを転化させたセラミッ
    クス膜が配置されていることを特徴とする請求項1に記
    載のセラミックス発熱体。
  4. 【請求項4】 前記多孔質セラミックスはSi及びTi
    を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のセラミ
    ックス発熱体。
  5. 【請求項5】 前記密封膜はガラス質又は前記外殻と同
    種のセラミックス質から構成されていることを特徴とす
    る請求項1に記載のセラミックス発熱体。
  6. 【請求項6】 前記外殻はSi3 4 から構成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス発熱
    体。
  7. 【請求項7】 前記低熱伝導セラミックスはセラミック
    ウィスカー及び/又はセラミック粉末から構成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス発熱
    体。
  8. 【請求項8】 緻密質セラミックスから両端が開放した
    外殻を作製すると共に、高融点金属線から成るコイルの
    表面に該コイルと熱膨張係数がほぼ等しいセラミックス
    を被覆し、前記コイルが一端側の内壁面に接触し且つ中
    間の内壁面に隔置するように前記コイルを前記外殻の内
    部に配置すると共に、前記外殻の内部一端側にSiとT
    iを含む原料、内部中間に低熱伝導セラミックス及び内
    部他端側にSiとTiを含む原料を充填した後、これを
    2 雰囲気内で反応焼成し、前記SiとTiを含む原料
    をSi3 4 とTiNの多孔質セラミックスに変化させ
    て該多孔質セラミックスを前記外殻の緻密質セラミック
    スに密着させ、次いで、前記外殻の両端面に内部を密封
    する密封膜をコーティングしたことを特徴とするセラミ
    ックス発熱体の製造方法。
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