JPH07119767B2 - 梅毒検査用試薬及びその製造法 - Google Patents

梅毒検査用試薬及びその製造法

Info

Publication number
JPH07119767B2
JPH07119767B2 JP1054780A JP5478089A JPH07119767B2 JP H07119767 B2 JPH07119767 B2 JP H07119767B2 JP 1054780 A JP1054780 A JP 1054780A JP 5478089 A JP5478089 A JP 5478089A JP H07119767 B2 JPH07119767 B2 JP H07119767B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antigen
syphilis
test
reagent
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1054780A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02234063A (ja
Inventor
耕平 永原
文雄 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP1054780A priority Critical patent/JPH07119767B2/ja
Publication of JPH02234063A publication Critical patent/JPH02234063A/ja
Publication of JPH07119767B2 publication Critical patent/JPH07119767B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は梅毒トレポネーマ(病原性Treponema Pallidum
Nicols、以下TPと略記する。)菌の破砕菌体を動物赤
血球やEIAビーズおよびラテックス等の担体に感作し、
得られた抗原感作担体に反応する被検血清中の抗体の存
在を検出することによって梅毒感染の診断を行うテスト
の改良に関する。更に詳しくは、梅毒初期感染を高感度
に検出しうる梅毒検査用試薬及びその製造法に関する。
〔従来の技術〕
梅毒の診断には古くからワッセルマン法とその改良法を
含む脂質抗原法が用いられていたが、この方法は感染初
期の梅毒感染の診断等のスクリーニング試験には適して
いるものの特異性が不足しているために偽陽性が多く出
る欠点があった。
そこで、TP菌を直接抗原として用いて患者血清中のTP抗
体との抗原抗体反応を利用する検査法が近年多用される
ようになった。TP菌を抗原とする検査法としては、TP菌
体と反応した検体中の特異抗体の存在を蛍光抗体法の間
接法で検出するFTA−ABSテストが早くから実用化された
が、この方法は操作が繁雑なために普及率が低く、その
後富沢らによって開発されたTPHAテストが鋭敏性、特異
性、操作の簡便性等の利点から現在広く用いられてお
り、梅毒の代表的な臨床検査法としてその優秀性が世界
中に認められている。
上記方法においてTP菌由来の抗原液は従来、洗浄済みの
菌体沈澱物を適当な緩衝液に懸濁し、直ちにホモジナイ
ザー処理、超音波処理などによってTP菌体を破砕し、こ
れを可溶化して抗原感作用抗原液として用いていた。
従来の梅毒トレポネーマ菌由来の抗原を感作した担体を
用いた梅毒検査用試薬には初期梅毒の診断が不確実であ
る欠点があった。すなわち、梅毒感染後2〜3カ月まで
はTPHAテスト等の検査用試薬では陽性にならないことが
多い。そこで、初期梅毒をも確実に診断するためには、
非特異反応は多くても初期梅毒に対する鋭敏性の高い脂
質抗原法を併用しなければならないという実用上の大き
な問題があった。
従来のTPHAテストにおいて動物赤血球の感作に用いられ
ていたTP抗原原液は製法上必然的に不純物が多く、不純
蛋白の90%以上がTP菌を培養した家兎睾丸由来の不純物
や抗原性のないTP菌体由来の蛋白である。そのため、従
来のTPHAのごとき抗原体反応を利用した梅毒抗体検出法
において、後期抗体(Ig−G)に比較して初期抗体(Ig
−M)に対する抗原感作担体の感度が低かったのは、こ
のTPHAテストの本質的な欠陥ではなく、担体に感作する
抗原の純度が原因であったこと、すなわち、特定の不純
物画分の共存に起因するものである。
本発明に類する技術として、特開昭58−71457号公報に
梅毒トレポネーマ菌培養物のうち比重1.01以下の画分を
除去した抗原含有物を用いる例が記載されている。
しかし、上記の方法には次のような問題点がある。すな
わち、比重の差による分画法では兎組織とTP菌体由来の
抗原分画を厳密に分けることは困難であり、上記の方法
で抗原を精製してもかなりの兎組織由来の不純物が混入
してくる。また、上記の方法はTP菌体破砕後であっても
適用可能であると述べられているが、この方法では密度
勾配に用いているジアトリゾエイトナトリウムなどの抗
原液への混入は避けられず、またその後これを除去する
工程が必要であり、菌体破砕後にはこの方法は適用でき
ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、梅毒トレポネーマ菌由来の抗原を感作した担
体により、被検血清中の対応する抗体を検出する梅毒検
査用試薬の製造法において、前記担体に感作する抗原の
中に特定の不純物画分が共存するという問題点を解決す
るものであり、その目的とするところは、後期梅毒と同
様に初期梅毒に対しても特異性と鋭敏性が高い梅毒検査
用試薬及びその製造法を提供することを目的としてい
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の梅毒検査用試薬の製造法は、梅毒トレポネーマ
菌由来の抗原を感作した担体により、被検血清中の対応
する抗体を検出する梅毒検査用試薬の製造法において、
前記担体に感作する抗原として、非イオン性界面活性剤
の存在下、梅毒トレポネーマ菌培養物由来蛋白抗原から
陽イオン交換体によって不純物を吸着除去した蛋白抗原
を用いることを特徴とするものであり、そのことにより
上記目的が達成される。
本発明の梅毒検査用試薬は、担体に感作する抗原とし
て、非イオン性界面活性剤の存在下、梅毒トレポネーマ
菌培養物由来蛋白抗原から陽イオン交換体によって不純
物を吸着除去した蛋白抗原を用いたものであり、そのこ
とにより上記目的が達成される。
すなわち、本発明は、下記のTP菌培養物由来蛋白抗原原
液よりpH5.0〜8.0、望ましくはpH5.5〜6.5の条件下で陽
イオン交換体に抗原液中の陽電荷を帯びた蛋白質を吸着
させて、抗原性のない蛋白質を除去することにより、相
対的に抗原の純度を高め、抗原感作担体と梅毒陽性血清
中のIgM抗体との抗原抗体反応を引き起こすのに十分な
純度になるようにするものであり、その特徴は陽イオン
交換体に吸着される蛋白を除去する工程を付加して、精
製したTP抗原を感作用抗原に用いたところにある。さら
に、本発明は担体に感作する抗原として、非イオン性界
面活性剤の存在下、梅毒トレポネーマ菌培養物由来蛋白
抗原から陽イオン交換体によって不純物を吸着除去した
蛋白抗原を用いた梅毒検査用試薬である。
本発明で使用されるTP菌培養物由来蛋白抗原原液の取得
方法は次の通りである 1)菌体の選択、培養、集菌 まず、TP菌体を培養し、集菌する。
TP種菌は、例えばWHO病原性標準ニコルス株あるいは各
検査機関が梅毒検査用に使用しているTP菌をそのまま用
いればよい。なお、WHO病原性標準ニコルス株は例えば
国立予防衛生研究所またはCDC(Center for Disease Co
ntrol,Public Health Survice,U.S.Department of Heal
th,Education and Welfare,Atlanta,Georgia)から容易
に入手することができる。
また、本発明におけるTP菌の培養方法および培養物から
の集菌方法は、公知の方法の中から任意に採用すること
ができる。
2)TP菌体の破砕、可溶化方法 次に、集菌した菌体を緩衝液に懸濁し、これを破砕する
ことにより、TP菌培養物由来蛋白抗原原液を得る。更
に、この原液を、非イオン性界面活性剤により可溶化処
理する。
破砕方法は一般に知られている方法のなかから適宜選択
でき、例えば、ホモジナイザー処理、超音波処理、凍結
融解法などが用いられる。可溶化処理は低イオン強度の
状態で非イオン性界面活性剤により行う。非イオン性界
面活性剤としては、例えば、市販品であるトリトンX−
100(ローム・アンド・ハース社製)が挙げられる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
1)陽イオン交換体処理時の緩衝液のpH 本発明に用いる緩衝液のpHの範囲はpH5.0からpH8.0まで
の範囲で選択できる。pH5以下になるとTP抗原の回収率
が悪くなる。(原因はpH5以下で抗原性が失われるため
と考えられる。)また、pH8.0以上の緩衝液を用いると
陽イオン交換体に蛋白質の大部分は吸着しなくなる。従
ってpH5.0からpH8.0までの範囲で選択可能であるが、陽
イオン交換体は酸性側での吸着効率がよいのでpH5.5か
らpH6.5までの範囲が望ましい。
2)陽イオン交換体処理時の緩衝液のイオン強度 陽イオン交換体の吸着効率にもよるがイオン強度はあま
り高くないほうがよい。緩衝液のイオン強度は0.1M以下
であることが望ましい。
3)陽イオン交換体 陽イオン交換体は、陽イオン交換性を有するものであれ
ば、いずれも使用可能である。例えば、架橋デキストラ
ンゲル、アガロースゲルまたはセルロースゲルの表面
に、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボキシメ
チル基を導入したものが好適である。これらはフアルマ
シア社などから入手可能である。また、合成高分子から
なる陽イオン交換体、例えばスチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体にスルホン酸基を導入したもの、フェノール
スルホン酸とホルムアルデヒドの共重合体にスルホン酸
基を導入したもの、またはメタアクリル酸とジビニルベ
ンゼン共重合体のようなカルボキシル基をもつものなど
も使用可能である。
4)陽イオン交換体処理方法 陽イオン交換体の使用量は、TP菌培養物由来蛋白抗原原
液に含まれる不純物の量に応じて選択される。
また、陽イオン交換体と抗原原液との反応はバッチ式で
も、カラム式でもよい。
5)応用範囲 本発明で得られた抗原は、被検血清中の対応する抗体を
検出する用途に使用される。検出方法としては、ニワト
リ赤血球等の各種動物の赤血球をタンニン酸処理したも
の、ラテックスおよびシリカなどの無機材質等などに該
抗原を固定化した後、抗原抗体反応に基づく凝集反応に
よって測定するもののほか、プラスチックビーズ、プラ
スチックプレートなどの合成高分子などに該抗原を固相
化して測定するEIA、FIA法などに用いることが可能であ
る。抗原抗体反応に基づく検査に用いうるものであれば
いかなるものであっても本発明の方法に適用しうる。
6)抗原の精製度 本発明において、陽イオン交換体に吸着しない抗原活性
のない蛋白等が抗原液に残るかもしれないが、抗原感作
担体と梅毒Ig−M抗体との抗原抗体反応を阻害しなくな
る程度に除かれていればよく、必ずしも完全に除去する
必要はない。
〔作 用〕
非イオン性界面活性剤の存在下に得られた、TP菌培養物
由来蛋白抗原原液と陽イオン交換体が接触されると、抗
原原液に含まれていた抗原性のない特定の不純物が、陽
イオン交換体に吸着し、抗原性のあるTP抗原蛋白は吸着
しないので、抗原原液中の不純物を抗原性のある抗原蛋
白から分離除去できる。
〔実施例〕
以下、実施例をもって本発明を詳細に説明する。但し、
本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
実施例1 (1) 抗原精製法 1)TP菌体の培養と集菌 国立予防衛生研究所より分与を受けたWHO病原性標準ニ
コルス株トレポネーマパリダムの6.0×107/mlの懸濁液
を家兎睾丸実質1個当たり、1mlずつ接種した。10日間
培養後、家兎10羽より睾丸を採取し、ミンチ後、2.2%
クエン酸ナトリウムを水溶液500mlにて37℃30分間振と
うし、増殖したTP菌を抽出した。抽出液を200×g5分間
遠心し、兎組織の沈澱を除去し、上清を3000×g30分間
遠心分離し、TP菌を沈澱させた。得られたTP菌体を0.13
6MのNaClを含む0.036Mリン酸緩衝液(pH6.5)で洗浄し
た後、その緩衝液に懸濁して菌数計算後1×109/mlに調
整し、これをTP菌体懸濁液とした。この菌体懸濁液を暗
視野顕微鏡で観察し、兎精子の混入が認められるならば
これをショ糖等を用いて密度勾配遠心を行って菌体と精
子を分離した。
2)抗原の調製 1)によって得たTP菌体懸濁液5mlを、上記のリン酸緩
衝液25mlで3回洗浄した後、同じ緩衝液10mlに懸濁し
た。この懸濁液を超音波破砕機によって処理し、TP菌体
を破砕した。破砕したものを12,600×gで30分遠心し
て、沈澱をとった。これをトリトンX−100 1%を含む1
0mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)10mlで可溶化した。
これを、30,000×gで60分間遠心し、得られた上清をTP
菌培養物由来蛋白抗原原液(以下、これを粗TP原液と呼
ぶ)とした。次に、トリトンX−100をそれぞれ1%ず
つ含む以下の緩衝液を準備した;pH4.0,4.5,5.0,5.5の10
mMマロン酸緩衝液、pH6.0,6.5,7.0,7.5,8.0の10mMリン
酸カリウム緩衝液、pH8.5,9.0の10mMグリシン緩衝液。
次に、それぞれの緩衝液で上記の粗TP原液0.8mlずつを
透析した。4℃一晩透析後、上記のそれぞれの緩衝液
に、アガロースゲルの表面にスルホン酸基が導入された
陽イオン交換体(S−セファロース、ファルマシア社)
を、固形分濃度が50%となるように懸濁したもの0.8ml
ずつと、透析後の粗TP原液とを混合した。室温で1時間
インキュベートした後、3000×gで15分遠心し、上清を
取った。
この上清を精製抗原とする。次にこの各精製抗原の蛋白
濃度および抗原活性を測定し、第1図の結果を得た。な
お、使用した測定方法は次の通りである。
蛋白濃度:ローリー法を原理とするBCA Protein Assay
Reagent(PIERCE社製)を用いた。単位は(μg/ml)で
示した。
抗原活性:以下の方法で測定した。
(i)各精製抗原をマイクロタイタープレートのウェル
に25μずつとり、これをプレート上で希釈液(0.15M
塩化ナトリウムを含む0.02Mリン酸ナトリウム緩衝液(p
H6.5)に、牛血清アルブミンを1%になるように溶解し
たもの)で倍々希釈してゆく。
(ii)一定濃度に希釈した梅毒陽性家兎血清25μを、
(1)で倍々希釈した抗原に加えて混合する。梅毒陽性
家兎血清はトレポネーマ・パリダムを睾丸中で45日間培
養した家兎から血清を採取して使用した。
(iii)室温で30分以上反応させる。このとき抗原濃度
の高いウェル内の梅毒陽性家兎血清中の抗体は抗原と結
合して消費されてしまうが、抗原濃度の薄いウェル内の
抗体は消費されずに残る。
(iv)次に、各ウェルに梅毒抗原感作赤血球を150μ
加え、消費されずに残っている抗体と凝集反応を起こし
たウェルの希釈率をもって抗原活性とする。このとき梅
毒抗原感作赤血球は市販品であるセロクリットTPキット
(化学および血清療法研究所)に使用されているものを
用いた。
(v)抗原比活性は抗原活性を蛋白濃度で割った値で示
し、単位は{希釈率/(μg/ml)}で示した。
第1図より抗原活性が高く、蛋白濃度の低い区分、すな
わちpH5.5の緩衝液を用いて得られた精製抗原の蛋白濃
度は112μg/mlであった。また、抗原活性は1024、比活
性は9.14であった。これに対して、前記の粗TP原液をト
リトンX−100 1%を含む10mMリン酸カリウム緩衝液(p
H7.0)で1.5倍に希釈したものを調製し(以後、このも
のを希釈粗TP原液という)、同様に測定したところ、蛋
白濃度は322μg/ml、抗原活性は1024、比活性は3.18で
あった。
従って、本発明の処理(pH5.5の場合)によって抗原の
比活性(抗原純度)は2.8倍に向上した。
(2) TPHAテスト 前記(1)で得られた希釈粗TP原液をタンニン酸法によ
りヒツジ赤血球に感作して抗原感作血球液を調整した。
梅毒陽性検体は初期梅毒患者検体と後期梅毒患者検体だ
けの血清をいずれもこの抗原感作血球液を用いてTPHAテ
ストを行った場合に同じ抗体価を示すようにプールして
調整しておいた。
前記(1)で得られたpHの異なる各精製抗原を使用し、
ヒツジ赤血球を用いてタンニン酸法で抗原感作血球を作
成した。前記の初期梅毒患者検体だけの血清と後期梅毒
患者検体だけの血清を各抗原感作血球液を用いて抗体価
を測定した。
測定結果を第2図に示す。図の横軸は陽イオン交換体処
理時の緩衝液のpHを示し、左方の縦軸は抗原感作血球の
初期梅毒患者検体に対する抗体価/後期梅毒患者検体に
対する抗体価の比(RM)を示している。右方の縦軸は精
製抗原の蛋白濃度を示しており、図中の丸印はRM価を、
そして三角形は蛋白濃度を表している。市販のTPHAキッ
トのいくつかについても、上記の初期梅毒患者検体およ
び後期梅毒患者検体を用いてTPHAテストを行って得られ
たRM値を第2図の左端に◆で示す。
第2図から明らかなように、陽イオン交換体を用いて抗
原液中の抗原活性のない不純物を除くのにpH5.0〜7.0の
緩衝液を用いることによって、梅毒Ig−M抗体に対する
感度は梅毒Ig−G抗体に対する感度を大きく上回って向
上しており、とくにpH5.5〜6.0での効果が大きい。この
実施例において従来法で得られた抗原感作血球のRM値は
1.0であるから従来法では不可能であったRM値を本発明
において達成することができた。
次に、本発明の方法で陽イオン交換体処理時のpHを5.5
とした条件で得られた精製抗原を用いて調整したTPHA試
薬および従来の抗原感作血球を用いたTPHA試薬(すなわ
ち、希釈粗TP原液を用いて調整したもの)を用い、十分
治療した古い梅毒でIg−G抗体を多く含む5検体(G1
G2、G3、G4、G5)および感染後3〜5週間の初期梅毒で
Ig−G抗体があまり産生されておらずIg−M抗体が多く
産生されている5検体(M1、M2、M3、M4、M5)について
感作血球凝集反応の有無を測定したところ第1表に示す
ような結果が得られた。
すなわち、従来品では総て陰性となる初期梅毒5検体に
ついて、本発明品はいずれも陽性をしめした。
なお、上記の初期梅毒5検体(M1、M2、M3、M4、M5)に
対する他の梅毒検査法の反応結果を第2表に示す。
実施例2(ELISA法) 本発明で得られた精製抗原をもちいてELISA法で本発明
の効果を確認した。
1)試薬等の調製 a.リン酸緩衝液 リン酸1ナトリウム(2水和物)、リン酸2ナトリウム
(2水和物)、塩化ナトリウムから、0.02Mリン酸、0.1
5M塩化ナトリウムを調整した(pH6.5)。
b.リン酸−クエン酸緩衝液 0.2Mリン酸1ナトリウム水溶液と0.1Mクエン酸水溶液を
混合し、pH5.5に調整した。
c.1%ポリアミンスルホン水溶液 日東妨のポリアミンスルホン(PAS−A−5,平均分子量2
000〜5000)の1%水溶液 d.1mM 塩酸 塩酸を精製水で希釈して1mM 塩酸水溶液とした。
e.1% BSA リン酸緩衝液に牛血清アルブミンを1%になるように溶
解したもの。
f.1% トリトンX−100 リン酸緩衝液にトリトンX−100を1%になるように溶
解したもの。
g.梅毒患者血清 実施例1−(2)で使用したもの。
h.梅毒陰性血清 RPRカードテストおよびガラス板法で梅毒陰性であるこ
とを確認した正常ヒト血清を用いた。
i.ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIg−G マイルズ・ラボラトリーズ社のペルオキシダーゼ標識抗
ヒトIg−Gを1%BSAで1000倍に希釈して用いた。
j.ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIg−M マイルズ・ラボラトリーズ社のペルオキシダーゼ標識抗
ヒトIg−Mを1%BSAで1000倍に希釈して用いた。
k.マイクロタイタープレート ヌンク社の96穴マイクロタイタープレートを用いた。
l.ペルオキシダーゼ基質 リン酸−クエン酸緩衝液にo−フェニレンジアミン(2
塩酸)を2mg/ml、過酸化水素水を0.03%になるように溶
解した。基質の調整は使用直前に行った。
m.1N 硫酸 濃硫酸を精製水で希釈して1N 硫酸水溶液とした。
2)測定方法 a.ポリアミンスルホン処理 マイクロタイタープレートの各ウェルに1%ポリアミン
スルホン水溶液を50μずつ分注し、室温で1時間放置
した。アスピレーターでポリアミンスルホン水溶液を除
去し、200μの1mM塩酸で2回吸引洗浄した。さらに精
製水200μにより2回吸引洗浄し、最後に200μのリ
ン酸緩衝液により、1回吸引洗浄した。ポリアミンスル
ホン処理したマイクロタイタープレートはすぐに梅毒抗
原の固定化に使用した。
b.梅毒抗原の固定化 ポリアミンスルホン処理したマイクロタイタープレート
に実施例1−(1)で得られた精製抗原(陽イオン交換
体処理時のpH5.5のもの)を50μ加え、室温で1時間
インキュベートした。対照として、上記抗原の代わり
に、実施例1−(1)で得られた希釈粗TP原液を50μ
分注したウェルも用意し、同様に室温で1時間インキュ
ベートした。
インキュベート後、上記精製抗原、希釈粗TP原液を吸引
除去し、200μの1%BSAで3回吸引洗浄した。吸引洗
浄後、200μの1%BSAを加え、室温で1時間インキュ
ベートしブロッキングをした。ブロッキングが終わった
プレートはすぐに抗原抗体反応に使用した。
c.抗原抗体反応 第1抗体として、梅毒患者血清をそれぞれ1%BSAで100
倍希釈したものを100μずつ各ウェルに分注した。対
照のウェルにも同様に梅毒患者血清を分注した。さら
に、梅毒患者血清の代わりに梅毒陰性血清を100倍希釈
したものも、同様に、精製抗原を固定化したウェルと対
照のウェルにも添加した。
室温で1時間インキュベート後、吸引除去し、200μ
の1%BSAで3回吸引洗浄した。吸引洗浄後、第2抗体
としてペルオキシダーゼ標準抗ヒトIg−GおよびIg−M
を各ウェルに100μずつ分注し、室温で1時間インキ
ュベートした。
インキュベート後、各ウェルを吸引除去し、200μの
1%BSAで3回吸引洗浄した。洗浄後、すぐに各ウェル
に結合した酵素活性を測定した。
d.酵素反応 各ウェルに100μずつペルオキシダーゼ基質を添加
し、室温で15分間インキュベートした。基質ブランクと
して、抗原も第1抗体も第2抗体も含まないウェルにも
同様に基質を分注した。インキュベート後、1N硫酸を10
0μ添加し、酵素反応を停止させた。各ウェルの酵素
反応時間は一定になるように注意して行った。反応停止
後、マイクロタイタープレートリーダー〔MTP−100),
コロナ社〕により、基質ブランクを対照として492nmの
吸光度を測定した。この結果を第3表に示す。
第3表の結果から明らかなように、本発明によって精製
した抗原を用いれば、従来の粗TP原液を用いたELISA法
では、検出できなかった初期梅毒でも検出可能である。
実施例3(ラテックス試薬) 本発明を梅毒診断用ラテックス試薬に応用した場合の効
果を確認した。
1)試薬等の調製 緩衝液、梅毒患者血清など特に断らない限り、実施例2
と同じものを用いた。ラテックスは積水化学工業(株)
製の0.23μmのポリスチレンラテックス(固形分10%)
を用いた。
2)測定方法 a.ポリアミンスルホン処理 ラテックス1mlと1%ポリアミンスルホン水溶液5mlを混
合し、室温で1時間撹拌した。撹拌後、遠心分離機によ
り、18000rpm×1時間遠心し、ポリアミンスルホンを除
いた後、1mM塩酸5mlにより3回遠心洗浄した。遠心条件
は、18000rpm×1時間で行った。更に、精製水5mlによ
り3回遠心洗浄を行った後、固形分10%になるように精
製水に懸濁した状態で保存した。
b.梅毒抗原の固定化 ポリアミンスルホン処理をしたラテックス200μと実
施例2で使用した本発明の精製抗原又は希釈粗TP原液80
0μを混合し、室温で1時間撹拌した。1時間後1%B
SAを5ml加え、18000rpmで1時間遠心した。沈澱に、も
う一度1%BSAを5ml加え、18000rpmで1時間遠心洗浄し
た。沈澱に4mlの1%BSAを加え、よく分散しラテックス
試薬とした。ラテックス試薬は4℃で保存した。
c.抗原抗体反応 梅毒患者血清とラテックス試薬を各50μずつガラス板
上にとり、混合撹拌し、3分間反応させた。さらに、梅
毒陰性血清についても同様に反応させた。反応後、ラテ
ックス試薬が凝集したかどうかを目視で判定し、凝集し
た場合を陽性と判定した。結果を第4表に示す。
第4表の結果から明らかなように、本発明によって精製
した抗原を用いれば、従来の粗TP原液を用いたラテック
ス試薬では、検出できなかった初期梅毒でも検出可能で
ある。
実施例4 実施例1における陽イオン交換体(S−セファロース)
の代わりに、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にス
ルホン基を導入したもの(バイオラッド社、AG50W)を
陽イオン交換体として使用したこと以外は、実施例1と
同様にしてTP抗原の精製、TPHAテストを行ったところ、
実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
〔発明の効果〕
本発明の梅毒検査用試薬の製造法によれば、担体に感作
する抗原として、非イオン性界面活性剤の存在下、梅毒
トレポネーマ菌培養物由来蛋白抗原から、陽イオン交換
体によって、抗原性のない特定の不純物を吸着除去した
蛋白抗原を用いるので、後期梅毒と同様に初期梅毒に対
しても特異性と鋭敏性が高い梅毒検査用試薬を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1において得られた精製抗原の抗原活
性,蛋白濃度および抗原比活性と陽イオン交換体処理時
のpHとの関係を示す図、第2図は、精製抗原感作血球液
を使用してTPHAテストを行ったときの、抗原感作血球の
初期梅毒患者検体に対する抗体価/後期梅毒患者検体に
対する抗体価の比、精製抗原の蛋白濃度および陽イオン
交換体処理時のpHとの関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】梅毒トレポネーマ菌由来の抗原を感作した
    担体により、被検血清中の対応する抗体を検出する梅毒
    検査用試薬の製造法において、前記担体に感作する抗原
    として、非イオン性界面活性剤の存在下、梅毒トレポネ
    ーマ菌培養物由来蛋白抗原から陽イオン交換体によって
    不純物を吸着除去した蛋白抗原を用いることを特徴とす
    る梅毒検査用試薬の製造法。
  2. 【請求項2】担体に感作する抗原として、非イオン性界
    面活性剤の存在下、梅毒トレポネーマ菌培養物由来蛋白
    抗原から陽イオン交換体によって不純物を吸着除去した
    蛋白抗原を用いた梅毒検査用試薬。
JP1054780A 1989-03-07 1989-03-07 梅毒検査用試薬及びその製造法 Expired - Fee Related JPH07119767B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1054780A JPH07119767B2 (ja) 1989-03-07 1989-03-07 梅毒検査用試薬及びその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1054780A JPH07119767B2 (ja) 1989-03-07 1989-03-07 梅毒検査用試薬及びその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02234063A JPH02234063A (ja) 1990-09-17
JPH07119767B2 true JPH07119767B2 (ja) 1995-12-20

Family

ID=12980287

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1054780A Expired - Fee Related JPH07119767B2 (ja) 1989-03-07 1989-03-07 梅毒検査用試薬及びその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07119767B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4100149A (en) * 1975-08-28 1978-07-11 Rhone-Poulenc Industries Method of separating proteins by ion exchange
DE2629568C3 (de) * 1976-07-01 1981-09-10 Hoechst Ag, 6000 Frankfurt Verfahren zur Reinigung von Insulin, seinen Analogen und Derivaten

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02234063A (ja) 1990-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2901296B2 (ja) カンピロバクター・ピロリの高分子型細胞関連蛋白の調製法とカンピロバクター・ピロリ感染の血清学的検出のための用法
EP0064274B1 (en) Method for assaying antigen-antibody reactions and reagent therefor
WO1989009939A1 (en) Compositions, diagnostic kit and method for rapid detection of antibodies
DK174032B1 (da) Sæt samt fremgangsmåde til immunometrisk dosering, der kan anvendes på hele celler
JP3327488B2 (ja) 被検体の免疫化学的測定方法
US20080206790A1 (en) Assay for determining the presence or amount of newly synthesized antibodies
EP0079145B1 (en) Reagent for use in diagnosis of syphilis and preparation thereof
US4224406A (en) Immunochemical LDH1 assay
US4582699A (en) Assay of immunoglobulin A protease and the rapid diagnosis of gonorrhea
US5055395A (en) Latex agglutination method for the detection of anti-streptococcal deoxyribonuclease b
JP3337575B2 (ja) 抗ストレプトリジンo抗体の決定方法
JPH07119767B2 (ja) 梅毒検査用試薬及びその製造法
JPS6224745B2 (ja)
JP3487642B2 (ja) Hav抗原及びその抗原と免疫学的に反応性の抗体の測定法
JPH08338842A (ja) 梅毒抗原の製造方法
Sato et al. Treponema pallidum specific IgM haemagglutination test for serodiagnosis of syphilis.
JP2000131319A (ja) 簡易抗体検査方法及び検査用キット
JPH0750111B2 (ja) 疎水性物質の固定化用担体およびそれを用いた疎水性物質の固定化方法
JP3936678B2 (ja) 抗梅毒トレポネーマ抗体測定試薬及び抗梅毒トレポネーマ抗体の測定方法
US4810629A (en) Identification of viral associated immunoreactants in biological fluids
JPH0743385B2 (ja) 梅毒抗原の製造法
JPH07113641B2 (ja) 梅毒診断試薬の製造方法
JP3536191B2 (ja) ヒトラクトフェリンの分析方法、感染症のスクリーニング方法及びスクリーニング用キット
EP0335293A2 (en) A method of preparing an analytical element for the determination of anti-nuclear antibodies
JPH0750108B2 (ja) 免疫反応測定法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081220

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees