JPH07118784A - 鋼構造物防食用アルミニウム合金 - Google Patents

鋼構造物防食用アルミニウム合金

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JPH07118784A
JPH07118784A JP28880393A JP28880393A JPH07118784A JP H07118784 A JPH07118784 A JP H07118784A JP 28880393 A JP28880393 A JP 28880393A JP 28880393 A JP28880393 A JP 28880393A JP H07118784 A JPH07118784 A JP H07118784A
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aluminum
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aluminum alloy
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昌幸 花崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 海水中で使用される鋼構造物、船舶、海水使
用機器などの防食目的で使用する流電陽極用アルミニウ
ム合金の陽極性能を向上すると共に局部偏析を抑制して
溶解面の均一性を確保し、長期実用を可能とする。 【構成】 wt%で、Zn:1〜10%、In:0.005〜0.
1%、Mg:0.05〜6%、Ca:0.01〜0.5%を含有
し、さらに、Mn:0.01〜0.5%、Ti:0.01〜0.3
%、Be:0.005〜0.5%の何れか1種または2種以上
を含有することを特徴とした鋼構造物防食用アルミニウ
ム合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼構造物防食用アルミニ
ウム合金に係り、海水中で使用される鋼構造物、船舶、
海水使用機器などの防食目的において使用する流電陽極
用アルミニウム合金の陽極性能を向上すると共に局部偏
析を抑制して溶解面の均一性を確保し、長期実用を可能
ならしめようとするものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムは本来は活性な金属である
が、表面に極薄い緻密な自然酸化皮膜が存在するため、
耐食性に優れた金属として知られている。また他金属を
添加して耐食性に優れた合金を作り出すことでも知られ
ている。ところがこれらアルミニウム合金は海水中で陰
極防食用の流電陽極として使用しても、被防食物である
鋼材に比して100〜200mV程度しか自然電位が卑に
ならず、且つ腐食形態も孔食であり、自己腐食が大きく
なって犠牲陽極性能としてはあまり良好ではない。
【0003】そこで、In、Ga、Sn、Pb、Bi、Ba及びCa
等、多くの低融点金属を添加して、アルミニウム表面上
の自然酸化皮膜が生成出来難くし、他金属に比して著し
く大きな電気量を供給し易くしている。即ちアルミニウ
ム系犠牲陽極の特徴であるこの大きい潜在電気量を有効
且つ効率的に利用することに斯かる技術の最大の目的が
ある。
【0004】現在、効率的にアルミニウム犠牲陽極の性
能を引き出す合金組成として、特開昭60−24576
6(特公平3−68943)や特開昭61−96052
(特公平3−68942)では発生電気量2700Ahr
/kg以上の陽極が提案されている。即ちその提案合金組
成の代表例はZn:1.0〜10%、Mg:0.1〜6%、In:
0.01〜0.04%、Sn:0.005〜0.15%、Ca及びBa
の1種または2種を0.005〜0.45%含有し、残部ア
ルミニウムからなる合金である。更にこれらにSiを添加
した提案もなされている。即ちこれらの合金の特徴は、
Caを添加して陽極性能を大幅に向上させたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然し、上記のようにCa
を含む合金系においては、溶湯の粘性や表面張力等が増
加し、このような粘性や表面張力などの増加によって鋳
造性(流動性、引け性)が劣化することとなって、所定
の犠牲陽極形状に鋳込むことが困難である。また融点や
比重も異ることから添加されるCaが局部的に偏析を発生
し、却って陽極性能を低下させる不利がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解決することについて検討を重
ねた結果、Al−Zn−In−Mg−Ca合金に、さらにMn、Ti及
びBeの1種または2種以上の適量を添加することによ
り、鋳造性を損なうことなく、極めて大きい有効電気量
を発揮し、しかも十分に卑な電位を終始維持し、且つ材
料自体に偏析が少ないため、長期実用に必須とされる溶
解面の均一性を有するという優れた性能を得ることに成
功したものであって、以下の如くである。
【0007】(1) wt%で、Zn:1〜10%、In:0.
005〜0.1%、Mg:0.05〜6%、Ca:0.01〜0.5
%を含有し、さらに、Mn:0.01〜0.5%、Ti:0.01
〜0.3%、Be:0.005〜0.5%の何れか1種または2
種以上を含有することを特徴とする鋼構造物防食用アル
ミニウム合金。
【0008】
【作用】上記したような本発明によるものは上記したよ
うな従来合金において得られる電流効率(有効発生電気
量/理論発生電気量)88〜92%を超え、しかも偏析
が非常に少くて、犠牲陽極間における性能面のバラツキ
が非常に小さい特性を得しめ、その合金成分限定理由は
以下の如くである。
【0009】Zn:1〜10%。 Znは、基質となるアルミニウムを活性化して陽極電位を
卑方向に移行させると共に、合金に均一腐食性を付与
し、電流効率を向上させるものであって、その含有量が
1%未満のときにはその効果が十分でなく、また10%
を超えると自己腐食量が増加して電流効率を低下させ
る。より望ましい亜鉛含有量の範囲は1.5〜6%であ
る。
【0010】In:0.005〜0.1%。 Inは、アルミニウム表面における自然酸化皮膜の形成を
妨げるものであって、斯かる作用を通じてアルミニウム
本来の活性(卑)な性質を引き出す効果を有する。その
含有量が下限以下のときにはその効果が十分でなく、ま
た上限値を超えると該アルミニウム合金の自己腐食量が
増加して電流効率を低下させるのみならず、偏析も起こ
って電流効率が低下する。より好ましいインジウム含有
量の範囲は0.01〜0.08%である。
【0011】なお、上記したようなアルミニウムの自然
酸化皮膜生成抑止作用はインジウムが最も高いが、この
ような自然酸化皮膜生成抑止はインジウムに替えてガリ
ウム、ビスマス、錫、鉛、バリウム等を用いてもよい。
【0012】Mg:0.05〜6%。 マグネシウムの上記したような範囲内での含有は、多量
の塩素イオンの存在する環境において、アルミニウム合
金の腐食形態を改善し、均一腐食性向上に寄与し、その
結果として電流効率を向上させるものである。また材料
の静的強度も増加する。その含有量が0.05%未満のと
きには効果が十分でなく、また上限値を超えると厚く生
成する酸化マグネシウムのために、却って局部溶解を起
こし、電流効率が低下する。より好ましいマグネシウム
含有量の範囲は0.1〜5%である。
【0013】Ca:0.01〜0.5%。 カルシウムの0.01%以上、0.5%までの含有は、陽極
性能に悪影響を与える不純物としてのシリコンを緻細化
且つ無害化し、均一溶解性を高める作用を有する。また
固溶或いは晶・析出する金属間化合物上に生成する酸化
カルシウム皮膜の溶解量がアルミニウムの自然酸化皮膜
の溶解量よりも大きいため、特定量の添加は本来アルミ
ニウムの有する活性面を誘起する効果がある。そしてカ
ルシウム自体の電位が卑であり、犠牲陽極としての効果
が大きい側面を併せ持つものである。その含有量が下限
値未満のときにはこれらの効果が十分でなく、また上限
値を超えると鋳造性が著しく劣化し、且つ鋳肌表面状態
も劣化し、局部偏析のため電流効率も低下する。より望
ましいカルシウム含有量の範囲は0.05〜0.3%であ
る。
【0014】本発明によるものは上記したような必須元
素に加えて、Mn、TiおよびBeの各元素について何れか1
種または2種以上を添加してCa含有に原因したアルミニ
ウム合金の性状を改善し、陽極性能の向上を図る。これ
らの元素による作用は以下の如くである。
【0015】Mn:0.01〜0.5%。 Mnの0.01%以上添加はカルシウムを分散させる効果が
あり、且つ電流効率を低下させる有害不純物としてのア
ルミ−鉄系金属間化合物の晶出を抑制する。0.01%未
満ではこれらの効果が不充分であり、一方0.5%を超え
て含有されると、電位は貴に移行し、非防食体との有効
電位差が小さくなる。より望ましいマンガン含有量の範
囲は0.05〜0.4%である。
【0016】Ti:0.01〜0.3%。 Tiの含有は、カルシウムの添加によって損われる液の流
動性を回復させ、鋳造組織を緻細化・均一化させるた
め、陽極性能の向上を図ることが出来る。下限値以下で
はその効果が乏しく、一方上限値を超えて添加するとそ
の効果が飽和するばかりでなく、巨大晶出物が生成する
ので却って電流効率が低下する。より好ましいチタニウ
ム含有量の範囲は0.02〜0.2%である。
【0017】Be:0.005〜0.5%。 Beの含有は前記Tiと同様にカルシウムの添加によって損
われる液の流動性、局部偏析を回復させ、またアルミ−
鉄系の金属間化合物の晶出を押え、局部腐食発生を抑制
する効果を有する。またマグネシウムの陽極表面での酸
化皮膜形成を防止するため、電流効率が大幅に向上す
る。0.005%以下ではその効果が不充分であり、また
上限値を超えて添加しても効果が飽和するばかりでな
く、コスト上昇を招く。より望ましいベリリウム含有量
の範囲は0.01〜0.3%である。
【0018】上記のような成分組成からなる本発明の流
電陽極用アルミニウム合金は鋳造物をそのまま、または
適宜の形状に加工を加えて使用される。鋳造法、加工法
は夫々公知の任意の方法を採用すればよい。
【0019】
【実施例】上記したような本発明によるものの具体的な
実施例について説明すると、本発明者等は次の表1に示
すような本発明アルミニウム合金および次の表2に示す
ような比較アルミニウム合金を溶製し、金型鋳造によっ
て20mmφで、長さ200mmの丸棒に夫々鋳造した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】また上記のようにして得られた各丸棒の側
面を20cm2 露出するように被覆して陽極試料とし、各
合金について10本を供試し、各試料について陽極電位
および電流効率を測定した結果は、本発明合金が次の表
3の如くで、表2の比較合金によるものは次の表4の如
くであり、陽極試料の試験条件は以下の如くであった。 浸漬液:室温・静止状態の人工海水1000ml 陽極電
流密度:1mA/cm2 陰極:表面積430cm2 のステンレス板 電解時
間 :240時間 極間距離:35mm
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】上記したような結果から明かなように本発
明による表1の試料番号1〜27のものは表3のように
何れの合金も電流効率は90%を大幅に超え92〜97.
5%にも達しており、自己腐食が極めて小さいことを示
している。また特筆すべきことは、標準偏差が極めて小
さく、同一合金間のバラツキが小さく安定的に製造でき
ることが証明された。これに対し表2に示した試料番号
28〜44に示す比較例では、概ね、電流効率が90%
以下であり、例え90%に達したものがあっても同一合
金内のバラツキが大きく、必ず90%を割り込む供試体
があることを示している。即ち、本発明例によるものは
電流効率は極めて高く、しかも安定的に製造できること
が明かである。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によるものは、従来
合金に見られない高い電流効率を示し、しかもバラツキ
も小さいことから、長期間安定的に使用するに十分な犠
牲陽極としての特性を備えており、大型構造物の長期電
気防食用陽極として、極めて有利、且つ有用な流電陽極
合金であることが確認され、工業的にその効果の大きい
発明である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 wt%で、Zn:1〜10%、 In:0.00
    5〜0.1%、 Mg:0.05〜6%、 Ca:0.01〜0.5%を含有し、
    さらに、 Mn:0.01〜0.5%、Ti:0.01〜0.3%、Be:0.00
    5〜0.5%の何れか1種または2種以上を含有すること
    を特徴とする鋼構造物防食用アルミニウム合金。
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