JP2924609B2 - 鋼構造物防食用アルミニウム合金 - Google Patents

鋼構造物防食用アルミニウム合金

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼構造物防食用アルミニ
ウム合金に係り、海水中で使用される鋼構造物、船舶、
海水使用機器などの防食目的において使用する流電陽極
用アルミニウム合金の陽極性能を向上すると共に局部偏
析を抑制して溶解面の均一性を確保し、長期実用を可能
ならしめようとするものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムは本来は活性な金属である
が、表面に極薄い緻密な自然酸化皮膜が存在するため、
耐食性に優れた金属として知られている。また他金属を
添加して耐食性に優れた合金を作り出すことでも知られ
ている。ところがこれらアルミニウム合金は海水中で陰
極防食用の流電陽極として使用しても、被防食物である
鋼材に比して100〜200mV程度しか自然電位が卑
にならず、且つ腐食形態も孔食であり、自己腐食が大き
くなって犠牲陽極性能としてはあまり良好ではない。
【0003】そこで、In、Ga、Sn、Pb、Bi、
Ba及びCa等、多くの低融点金属を添加して、アルミ
ニウム表面上の自然酸化皮膜が生成出来難くし、他金属
に比して著しく大きな電気量を供給し易くしている。即
ちアルミニウム系犠牲陽極の特徴であるこの大きい潜在
電気量を有効且つ効率的に利用することに斯かる技術の
最大の目的がある。
【0004】現在、効率的にアルミニウム犠牲陽極の性
能を引き出す合金組成として、特開昭60−24576
6(特公平3−68943)や特開昭61−96052
(特公平3−68942)では発生電気量2700Ah
r/kg以上の陽極が提案されている。即ちその提案合
金組成の代表例はZn:1.0〜10%、Mg:0.1
〜6%、In:0.01〜0.04%、Sn:0.00
5〜0.15%、Ca及びBaの1種または2種を0.
005〜0.45%含有し、残部アルミニウムからなる
合金である。更にこれらにSiを添加した提案もなされ
ている。即ちこれらの合金の特徴は、Caを添加して陽
極性能を大幅に向上させたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然し、上記のようにC
aを含む合金系においては、溶湯の粘性や表面張力等が
増加し、このような粘性や表面張力などの増加によって
鋳造性(流動性、引け性)が劣化することとなって、所
定の犠牲陽極形状に鋳込むことが困難である。また融点
や比重も異ることから添加されるCaが局部的に偏析を
発生し、却って陽極性能を低下させる不利がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解決することについて検討を重
ねた結果、Al−Zn−In−Mg−Ca合金に、さら
にMn、Ti及びBeの1種または2種以上の適量を添
加し、残部が不可避的不純物であることにより、鋳造性
を損なうことなく、極めて大きい有効電気量を発揮し、
しかも十分に卑な電位を終始維持し、且つ材料自体に偏
析が少ないため、長期実用に必須とされる溶解面の均一
性を有するという優れた性能を得ることに成功したもの
であって、以下の如くである。
【0007】 (1) wt%で、Zn:1〜10%、In:0.00
5〜0.1%、Mg:0.05〜6%、Ca:0.01
〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、 を含有し残部がAlおよび不可避的不純物であることを
特徴とする鋼構造物防食用アルミニウム合金。
【0008】 (2) wt%で、Zn:1〜10%、In:0.00
5〜0.1%、Mg:0.05〜6%、Ca:0.01
〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、 を含有し、さらに、 Ti:0.01〜0.3%、Be:0.005〜0.5% の何れか1種または2種を含有し残部がAlおよび不可
避的不純物であることを特徴とする鋼構造物防食用アル
ミニウム合金。
【0009】
【作用】上記したような本発明によるものは上記したよ
うな従来合金において得られる電流効率(有効発生電気
量/理論発生電気量)88〜92%を超え、しかも偏析
が非常に少くて、犠牲陽極間における性能面のバラツキ
が非常に小さい特性を得しめ、その合金成分限定理由は
前記(1)項発明について以下の如くである。
【0010】 Zn:1〜10%。 Znは、基質となるアルミニウムを活性化して陽極電位
を卑方向に移行させると共に、合金に均一腐食性を付与
し、電流効率を向上させるものであって、その含有量が
1%未満のときにはその効果が十分でなく、また10%
を超えると自己腐食量が増加して電流効率を低下させ
る。より望ましい亜鉛含有量の範囲は1.5〜6%であ
る。
【0011】 In:0.005〜0.1%。 Inは、アルミニウム表面における自然酸化皮膜の形成
を妨げるものであって、斯かる作用を通じてアルミニウ
ム本来の活性(卑)な性質を引き出す効果を有する。そ
の含有量が下限以下のときにはその効果が十分でなく、
また上限値を超えると該アルミニウム合金の自己腐食量
が増加して電流効率を低下させるのみならず、偏析も起
こって電流効率が低下する。より好ましいインジウム含
有量の範囲は0.01〜0.08%である。
【0012】なお、上記したようなアルミニウムの自然
酸化皮膜生成抑止作用はインジウムが最も高いが、この
ような自然酸化皮膜生成抑止はインジウムに替えてガリ
ウム、ビスマス、錫、鉛、バリウム等を用いてもよい。
【0013】 Mg:0.05〜6%。 マグネシウムの上記したような範囲内での含有は、多量
の塩素イオンの存在する環境において、アルミニウム合
金の腐食形態を改善し、均一腐食性向上に寄与し、その
結果として電流効率を向上させるものである。また材料
の静的強度も増加する。その含有量が0.05%未満の
ときには効果が十分でなく、また上限値を超えると厚く
生成する酸化マグネシウムのために、却って局部溶解を
起こし、電流効率が低下する。より好ましいマグネシウ
ム含有量の範囲は0.1〜5%である。
【0014】 Ca:0.01〜0.5%。 カルシウムの0.01%以上、0.5%までの含有は、
陽極性能に悪影響を与える不純物としてのシリコンを緻
細化且つ無害化し、均一溶解性を高める作用を有する。
また固溶或いは晶・析出する金属間化合物上に生成する
酸化カルシウム皮膜の溶解量がアルミニウムの自然酸化
皮膜の溶解量よりも大きいため、特定量の添加は本来ア
ルミニウムの有する活性面を誘起する効果がある。そし
てカルシウム自体の電位が卑であり、犠牲陽極としての
効果が大きい側面を併せ持つものである。その含有量が
下限値未満のときにはこれらの効果が十分でなく、また
上限値を超えると鋳造性が著しく劣化し、且つ鋳肌表面
状態も劣化し、局部偏析のため電流効率も低下する。よ
り望ましいカルシウム含有量の範囲は0.05〜0.3
%である。
【0015】 Mn:0.01〜0.5%。 Mnの0.01%以上添加は上記カルシウムを添加した
ことによる欠点をカバーすることにあり、即ちこのMn
は前記カルシウムを分散させる効果があり、且つ電流効
率を低下させる有害不純物としてのアルミ−鉄系金属間
化合物の晶出を抑制する。0.01%未満ではこれらの
効果が不充分であり、一方0.5%を超えて含有される
と、電位は貴に移行し、非防食体との有効電位差が小さ
くなる。より望ましいマンガン含有量の範囲は0.05
〜0.4%である。
【0016】本発明によるものは上記したような(1)
項の発明における必須元素に加えて、(2)項の発明で
はTiおよびBeの各元素について何れか1種または2
種を添加してCa含有に原因したアルミニウム合金の性
状を改善し、陽極性能の向上を図る。これらの元素によ
る作用は以下の如くである。
【0017】 Ti:0.01〜0.3%、Be:0.005〜0.5%。 TiおよびBeの含有は、カルシウムの添加によって損
われる液の流動性を回復させ、鋳造組織を微細化・均一
化させるため、陽極性能の向上を図ることが出来る。な
おBeについては局部偏析を回復させ、またアルミ−鉄
系の金属間化合物の晶出を押え、局部腐食発生を抑制す
る効果を有し、更にマグネシウムの陽極表面での酸化皮
膜形成を防止するため、電流効率が大幅に向上する。何
れにしても下限値以下ではその効果が乏しく、一方上限
値を超えて添加するとその効果が飽和するばかりでな
く、巨大晶出物が生成するので却って電流効率が低下す
る。より好ましいチタニウム含有量の範囲は0.02〜
0.2%であり、ベリリウムは0.01〜0.3%であ
る。
【0018】上記のような成分組成からなる本発明の流
電陽極用アルミニウム合金は鋳造物をそのまま、または
適宜の形状に加工を加えて使用される。鋳造法、加工法
は夫々公知の任意の方法を採用すればよい。
【0019】
【実施例】上記したような本発明によるものの具体的な
実施例について説明すると、本発明者等は次の表1に示
すような成分組成を有し、残部がAlおよび不可避的不
純物である本発明アルミニウム合金および次の表2に示
すような比較アルミニウム合金を溶製し、金型鋳造によ
って20mmφで、長さ200mmの丸棒に夫々鋳造し
た。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】また上記のようにして得られた各丸捧の側
面を20cm露出するように被覆して陽極試料とし、
各合金について10本を供試し、各試料について陽極電
位および電流効率を測定した結果は、本発明合金が次の
表3の如くで、表2の比較合金によるものは次の表4の
如くであって、陽極試料の試験条件は以下の如くであっ
た。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】上記したような結果から明かなように本発
明による表1の試料番号1〜13のものは表3のように
何れの合金も電流効率は90%を大幅に超え92.9〜
97.5%にも達しており、自己腐食が極めて小さいこ
とを示している。また特筆すべきことは、標準偏差が極
めて小さく、同一合金間のバラツキが小さく安定的に製
造できることが証明された。これに対し表2に示した試
料番号14〜24に示す比較例では、概ね、電流効率が
90%以下であり、例え90%に達したものがあっても
同一合金内のバラツキが大きく、必ず90%を割り込む
供試体があることを示している。即ち、本発明例による
ものは電流効率は極めて高く、しかも安定的に製造でき
ることが明かである。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によるものは、従来
合金に見られない高い電流効率を示し、しかもバラツキ
も小さいことから、長期間安定的に使用するに十分な犠
牲陽極としての特性を備えており、大型構造物の長期電
気防食用陽極として、極めて有利、且つ有用な流電陽極
合金であることが確認され、工業的にその効果の大きい
発明である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 wt%で、Zn:1〜10%、In:
    0.005〜0.1%、Mg:0.05〜6%、Ca:
    0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、 を含有し残部がAlおよび不可避的不純物であることを
    特徴とする鋼構造物防食用アルミニウム合金。
  2. 【請求項2】 wt%で、Zn:1〜10%、In:
    0.005〜0.1%、Mg:0.05〜6%、Ca:
    0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、 を含有し、さらに、 Ti:0.01〜0.3%、Be:0.005〜0.5% の何れか1種または2種を含有し残部がAlおよび不可
    避的不純物であることを特徴とする鋼構造物防食用アル
    ミニウム合金。
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