JPH0711847B2 - 磁気記録再生方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔分野の概要〕 本発明は磁気特性の異なる２層構造の磁気記録媒体と、
２組の磁気ヘッドを用い構成した新規な磁気記録再生方
式に関するものである。

〔従来技術の内容と問題点〕

最近、クレジットカード等の磁気カードが普及し、カー
ド時代の到来と言われている。この磁気カードの普及に
伴い磁気カードに信号を書き込んだり磁気カードから信
号を読み出すことが可能な装置、所謂磁気カードリーダ
も使用され、一般の人にも磁気カードに信号を書き込む
磁気カードライタも容易に手に入るようになてきた。こ
のためクレジットを対象とした磁気カードの偽造防止対
策が急務となっている。

従来の磁気カードの偽造防止対策は、磁気カードへ信号
を記録する際の記録信号方式を改良したり、或いは磁気
ヘッドの構造，カードの媒体を改良することにより行な
われている。しかしながら、現在のところ単独で万全と
言う記録方式がないため、上述した方法を組み合わせた
偽造防止対策が講じられている。

〔発明の目的〕

本発明は、従来の偽造防止の方式は、磁気カードに記録
する磁気記録方式が１トラツクに一つの磁気記録信号を
記録しているのに対し、本方式は磁気記録面に複数の磁
気ヘッドを用い複数の磁気記録信号を記録し、セキュリ
ティの高い磁気記録方式を提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

本発明は磁気記録面に抗磁力の値の異なる２種類の磁気
記録媒体を用い、ベースフイルム側に抗磁力の高い磁気
記録媒体を、その上に抗磁力の低い磁気記録媒体を塗布
した２層構造の磁気記録媒体とし、記録再生のための磁
気ヘッドには２トラック以上の多トラックヘッドを用
い、磁気記録面にセキュリティ信号と、記録信号を別々
のトラックに記録し、しかも重ね記録を行ない、読み取
り時はセキュリティ信号と、記録信号を複数トラックよ
り並列に同時に読み出し、本来の記録信号のみを読み取
るようにした磁気記録再生方式である。

本発明について２トラックの例場合について図を用いて
説明する。

第１図（ａ）が本発明に用いる２トラックの磁気ヘッド
で、同じ特性を持つ磁気ヘッドを一定の間隔で平行に配
している。第１図（ｃ）は本発明に用いる２層構造の磁
気記録媒体（磁気カード）の磁気記録面側より見た斜視
図であり、同（ｂ）図は２層構造磁気記録媒体の断面図
を示している。非磁性ベースフィルム３の上には硬質磁
性材料でしかも特性の異なる磁気記録媒体層2a,2bがそ
れぞれ積層して構成する。尚この時、本願の方式を実施
するために磁気記録媒体層2a,2bの特性は、抗磁力（H
c）の点では、上層（2a）が下層（2b）のそれより低い
もの、また磁束量（φ）の値では、上層（2a）が下層
（2b）のそれより小さく選定しておくことが重要であ
る。本発明の例では下層の磁気記録媒体層2bには抗磁力
3000エルステッドの材料を、上層の磁気記録媒体層2aに
は抗磁力1000エルステッドのバリウムフェライトの記録
媒体を使用している。

〔実施例〕

以下本発明の実施例を磁気ヘッドを２個使用し磁気記録
を２トラクとしたときの磁気記録、及び読み出し方法に
つき図面を用い説明する。

本発明による磁気記録は、第１回目の工程として第１図
（ａ）において２つの磁気ヘッドを用い、それぞれの磁
気ヘッドに逆相の書き込み信号を加え、（ｂ）に示すよ
うに上・下層の磁気媒体層まで記録の磁束が達するよう
にし、２つのトラックの２層の磁気記録層の上層，下層
のトラックの信号222,221と212,211はそれぞれ同一信号
として記録される。この時の２つの磁気ヘッドを用い磁
気記録媒体に記録される磁気媒体表面での信号は（ｃ）
のようになる。

次に、第２回目の工程として第１図（ｃ）の記録信号を
第２図のように上層の磁気記録層2aに212,222の信号の
みを直流磁界により一様記録を行なう。第２図（ａ）の
ようにそれぞれの磁気ヘッドに同相に直流電流を流し、
第２図（ｂ）に示すように上層のみを直流磁界により一
様化すると記録面は第２図（ｃ）のような記録面とな
る。この時、２つの磁気記録トラックの表面は、下層の
磁気記録層に記録し残った記録信号から出るわずかな漏
洩磁束のみとなる。

次に第３回目の工程として、２つの記録トラックのうち
212に、例えば第３図の（ｂ）、及び（ｃ）に示すよう
に上層にのみ記録信号を記録する。記録信号は第１回目
の工程で行なった記録ピッチと関係なく任意の記録ピッ
チで信号を記録する。以上で記録の工程は終了する。

次に、読み取り方法であるが記録されている２つのトラ
ックを同時に２つの磁気ヘッドで読み取り、２つのトラ
ックの出力和を出力とする。このようにすることにより
記録信号のみを検出することができる。

本発明に用いる磁気記録媒体は、前述したように抗磁力
の異なる２つの媒体を２層に塗布し、磁気記録層は２重
構造としてあり、一方、上層の記録層と下層の記録層で
は全磁束量は下層の記録層を大きくしてあるので、第３
図（ｃ）の信号を記録した状態においては、第１のトラ
ツクの212に記録した磁気信号には第１回目の工程で記
録された磁気信号が加わった形で磁気記録面に磁束があ
らわれており、例えば第１のトラツクを１つの磁気ヘッ
ドで読み取っても記録信号として書き込んだ記録信号と
は全く異なった出力信号となる。また、第２のトラツク
についても磁気記録面に出ている信号は記録信号とは異
なる磁気記録信号であり、第１のトラツクと第２のトラ
ツクを同時に読み取り、出力和をとったときに下層に記
録された信号がお互いに打ち消し合い、初めて正規な出
力信号が得られるものである。

即ち、仮に記録信号が記録されているトラックを第１の
トラツクとすると、第２のトラツクの出力電圧は［セキ
ュリティ信号出力＋上層厚みによる損失］となる。ま
た、第１のトラツクの出力電圧は［−セキュリティ信号
出力＋上層厚みによる損失＋記録信号出力］となる。従
って、２つのトラックの出力の和をとると信号は記録信
号のみ検出できることとなる。

従ってこの記録方法により、１トラツクだけの信号では
読み取れたとしても、記録信号の解析は不可能となり偽
造を防ぐことが可能である。

尚、本発明の実施例では１つの磁気記録媒体に、２つの
トラックを用いた例で説明したが、実用時には多トラッ
クによる磁気記録を行なうため、多トラックの中の２つ
のトラックの組合せを用いることにより、より秘匿性は
高くなる。

〔発明の効果〕

以上述べたごとく本発明により１トラックごとの信号だ
けでは、記録信号の読み取りは不可能であり、偽造を防
ぐ利点を持った磁気記録再生方式の提供が可能となっ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による磁気方式を説明する図で第１の工
程の書き込み記録信号を示す図。 （ａ）は記録再生を行なう２組の磁気ヘツド逆相に記録
を行なう図。 （ｂ）は２層構造の磁気記録媒体に同時に記録した時の
記録を示す断面図。 （ｃ）は２つの磁気ヘッドによりそれぞれの磁気ヘッド
を用い逆相に記録された信号を示す図。 第２図は、第１図（ｃ）に記録された磁気記録信号の
内、２層構造の磁気記録層のうち、上層のみを磁気ヘッ
ドの直流磁界により打ち消した図。 （ａ）は磁気ヘッドに流す電流方向を示す図。 （ｂ）は２層構造磁気記録媒体のうち、上層のみを消磁
した状態を示す図。 （ｃ）は消磁した上層の記録媒体を通し表に僅かに表わ
れた下層の磁気記録信号を示す図。 第３図は、２層構造の磁気記録媒体の上層に記録信号を
書き込む図。 （ａ）は２組の磁気ヘッド。 （ｂ）は上層の記録媒体に書き込まれた磁気記録信号を
示す図。 （ｃ）は１つのトラックに磁気記録信号を書き込んだ
図。 11,12……記録，再生用磁気ヘッド。 ３……ベースフイルム。2a……上層の磁気記録媒体層。 2b……下層の磁気記録媒体層。 ４……磁気ヘッドの作る書き込み磁界。 211……第１のトラックの下層記録媒体に書き込まれた
磁気記録信号。 212……第１のトラックの上層記録媒体に書き込まれた
磁気記録信号。 221……第２のトラックの下層記録媒体に書き込まれた
磁気記録信号。 222……第２のトラックの上層記録媒体に書き込まれた
磁気記録信号。 Ａ……磁気ヘッドの移動方向。 S,N……記録信号の極性。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】非磁性ベース板上に下層の磁気記録媒体
   層、その上に上層の磁気記録媒体層を形成し、下層の磁
   気記録媒体の抗磁力は上層のそれより大とし、かつ下層
   の磁気記録媒体の磁束量は上層のものより大として選択
   された２層構造の磁気記録媒体と、２つの磁気ヘツドを
   用い、２つの磁気ヘッドにはお互いに逆相の信号電流を
   流して下層と上層の磁気記録媒体を同時に磁化反転し、
   該２層磁気記録媒体に信号を記録する第１回目の磁気記
   録と、第１回目の磁気記録を行なった同じ２つの記録ト
   ラック上を同相の直流磁界により上層の磁気記録媒体の
   記録信号を同一極性にそろえる第２回目の磁気記録と、
   ついで同一極性に記録した記録トラックのうち一方のト
   ラックの上層に記録信号を書き込む第３回目の磁気記録
   を行ない、読み出しは２つの記録トラックを２つの磁気
   ヘッドで同時に読みとり、２つの磁気ヘッドの出力の和
   を出力とするよう構成した磁気記録再生方式。