JPH07116516A - ルテニウム触媒製造用含浸液及びルテニウム触媒の製造方法 - Google Patents

ルテニウム触媒製造用含浸液及びルテニウム触媒の製造方法

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JPH07116516A
JPH07116516A JP5289863A JP28986393A JPH07116516A JP H07116516 A JPH07116516 A JP H07116516A JP 5289863 A JP5289863 A JP 5289863A JP 28986393 A JP28986393 A JP 28986393A JP H07116516 A JPH07116516 A JP H07116516A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ルテニウムが高分散状態でしかも熱安定性よ
く担持されていて、ルテニウム当たりの活性が高く、少
ないルテニウム含量でも上記のような各種の反応に十分
に高い活性及び選択性を示すルテニウム触媒、及びその
製造に好適に用いられるルテニウム触媒製造用含浸液を
提供する。 【構成】 ルテニウム化合物と周期表IVa族元素の化
合物を含有する水溶液で、pHが3以下であるルテニウ
ム触媒製造用含浸液及びこの含浸液に担体を接触させ、
該含浸液中に含まれるルテニウム成分と周期表IVa族
元素成分を該担体に担持し、得られたルテニウム担持組
成物を、乾燥後、焼成するルテニウム触媒の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ルテニウム触媒製造用
含浸液に関し、より詳しく言うと、触媒担体に、ルテニ
ウム成分を極く簡単な操作によって高分散状態でしかも
熱安定性よく担持することができるルテニウム触媒製造
用含浸液に関する。
【0002】本発明は、また、ルテニウム触媒の製造方
法に関し、より詳しく言うと、各種の反応に高活性・高
選択性を示し、しかも含有ルテニウム当たりの活性が高
く工業用触媒としても好適に使用することができる各種
の高性能担持ルテニウム系触媒を上記本発明の含浸液を
用いることによって簡単な操作で効率よく製造する方法
に関する。
【0003】
【従来の技術】ルテニウムは、例えば、カルボニル化合
物や芳香族化合物等の不飽和化合物の水素化、アンモニ
ア合成、窒素化合物の還元、炭化水素の水蒸気改質、フ
ィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)等の様々な反
応に有効な触媒若しくは触媒成分となり、一般に、鉄、
ニッケル、コバルト等の卑金属類、あるいは場合によっ
ては白金、パラジウム等の他の貴金属類よりも高い活性
及び優れた選択性を示すことが知られている。しかしな
がら、ルテニウムは高価なため、鉄、ニッケル、コバル
ト等の多くの金属よりも活性や選択性が優れているにも
かかわらず工業的に使用される例は少ない。したがっ
て、十分に高活性でしかもコスト的にも問題のない実用
的なルテニウム系触媒を得るには、ルテニウム成分を適
当な担体できるだけ高分散状態で有効に担持し、含有ル
テニウム当たりの活性を大きく向上させることが必要と
されている。また、低温時においてはもとより焼成、前
処理、反応、再生等を高温において行う場合にも、その
高分散状態が安定に維持できるようにうまく担持するこ
とも実用上しばしば重要となる。
【0004】ところが、従来の汎用性のある触媒調製法
では、一般に、ルテニウムを十分に高分散状態で担持す
ることは難しく、一方、特殊なルテニウム化合物を原料
として用いたり、特殊な調製法を用いたりしてルテニウ
ムの分散性を向上させる技術も提案されているが、これ
らの場合には、原料ルテニウム化合物自体が高価であっ
たり、分散安定性が悪く、特に高温時に凝集を起こした
り、あるいは、調製操作が煩雑であるなど、種々の問題
点があり、実用的でない。
【0005】例えば、塩化ルテニウムは、各種のルテニ
ウム化合物の中でも最も安価で入手しやすく水溶性を示
すことから、担持ルテニウム触媒の調製用原料として、
最も一般的に用いられている。しかし、その水溶液は、
塩基性の水酸基の存在下では安定性が悪く、例えばアル
ミナ、マグネシア、酸化亜鉛等の水の存在下で塩基性の
水酸基を生成あるいは放出する担体に接触させ含浸担持
を行うと、ルテニウム水酸化物の黒色沈殿が生成するた
め、ルテニウムが凝集してしまい高分散状態で担持する
ことが困難となる。また、更に一般の担体の場合にも他
の共存成分や添加剤の作用や調製時の含浸液の組成の変
化等によって液のpHが上昇すると、同様な問題が生じ
る。
【0006】そこで、ルテニウムの分散性を向上させる
べく、特殊な原料や調製手段を用いる技術が種々提案さ
れている。
【0007】例えば、特開昭50−14594号公報に
は、ルテニウムのキレート化合物を用いる触媒調製法が
開示されている。しかし、この方法では、キレート化合
物が高価であるので結局は触媒コストの低減に限界があ
る上に、一般に400℃以上という高温ではキレートの
錯体構造が破壊されてしまうため、高温でルテニウムの
分散性を維持することは難しい。
【0008】また、塩化ルテニウム等の汎用のルテニウ
ム化合物の水溶液に、塩酸等の酸を添加しpHの上昇を
抑え水酸化ルテニウム等の沈殿の生成を抑制するという
方法、あるいは塩基性でも比較的安定なアンミン錯塩の
水溶液を用いる方法もしばしば用いられる。しかし、こ
れらの場合にも、担持後のルテニウム成分の分散安定性
は悪く、高温雰囲気下でのルテニウムの凝集は著しい。
【0009】すなわち、上記のように単に、キレート化
合物やアンミン錯塩といった特定のルテニウム化合物を
用いたり、酸の添加等によってpHの調整を行うという
従来の方法では、たとえルテニウムを低温で分散性よく
担持できたとしても、高温において、空気等による焼成
や水素還元等の前処理を行ったり、反応に用いたり、あ
るいは、再生を行うと、結局はルテニウムは凝集してし
まう。
【0010】また、特開平2−71849号公報には、
ルテニウムの錯塩を担体に担持させた後、真空加熱する
ことによって高分散ルテニウム触媒を得るという方法が
開示されている。しかしながら、この場合には、高真空
を要するので工業的な触媒調製法としては適さない。ま
た、この場合にも、低温で焼成することにより分散性を
維持しているので、高温で使用したり、再生すると分散
性が低下することが予想される。
【0011】このほか、分散性の向上技術かどうかは不
明ではあるが、特開昭49−125289号公報には、
二酸化ルテニウムと、二酸化ルテニウムと安定な混合酸
化物を形成する金属酸化物(チタン、ジルコニウム、ハ
フニウム等の酸化物)とからなる触媒組成物について開
示されている。しかしながら、該公報には、ルテニウム
の分散性についての記載は全くないし、また、本発明の
含浸液の有効なpHを予見させる記述もない。実際、該
公報の実施例では、ルテニウム含有含浸液としてpHが
8のものを用いている。そこで、本発明者らは、該公報
の実施例に従って担持ルテニウム触媒を調製し、得られ
た触媒についてルテニウムの分散性等の評価を行った。
その結果、ルテニウムの分散性は不十分であることが判
明した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、多種多様な触媒担体、特に酸化物系担体に、高価な
ルテニウムを簡単な操作によって高分散状態でしかも熱
安定性よく担持することができ、適当な担体に含浸担持
することによって、担持ルテニウム当たりの活性が著し
く向上した各種の高活性・高選択性担持ルテニウム系触
媒[例えば、カルボニル化合物、芳香族化合物、オレフ
ィンやジエン類等の不飽和化合物の選択的水素化触媒、
アンモニア合成触媒、FT合成用触媒、COやCO2
メタン化触媒、COやCO2のアルコール等への水素化
触媒、ニトロ化合物の水素化触媒、炭化水素類の水素化
分解触媒、芳香族アミン類の選択的水素化触媒等の様々
な水素化触媒、NOXの還元浄化触媒、炭化水素等の水
蒸気改質触媒、低温型完全酸化触媒、光半導体触媒、電
極触媒等々]を安価にかつ容易に得ることができる実用
上著しく有用なルテニウム触媒製造用含浸液を提供する
ことにある。
【0013】また、本発明は、各種の担体にルテニウム
が高分散状態でしかも熱安定性よく担持されていて、ル
テニウム当たりの活性が高く、少ないルテニウム含量で
も上記のような各種の反応に十分に高い活性及び選択性
を示す優れた担持ルテニウム系触媒、すなわち、工業用
触媒として好適に使用することができる各種の高性能ル
テニウム系触媒を上記本発明の含浸液を用いることによ
って簡単な操作で効率よく製造する方法を提供すること
も目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、実用的な
観点から高価な金属であるルテニウムをできるだけ有効
に活用すべく、所定の各種の触媒担体に分散性よく担持
し、担持ルテニウム当たりの活性が高く、前記したよう
な各種の反応に高活性・高選択性を示し工業的に有利に
使用することができる各種の優れた担持ルテニウム系触
媒を簡単な操作で容易に調製するための方法について、
鋭意検討を行った。その結果、例えば塩化ルテニウム等
のルテニウム化合物と共に少なくとも1種の周期表IV
a族元素(ジルコニウム、チタン、ハフニウム)の化合
物を溶解含有し、しかもpHが3以下に調整された特定
の組成及び物性を有する水溶液を含浸液として用いる
と、各種の触媒担体にルテニウム成分を簡単な操作で高
分散状態に担持することができ、しかも、高温雰囲気下
でも分散性の低下を十分に抑制することができ、したが
って、前記目的を容易に達成することができることを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0015】すなわち、本発明は、ルテニウム化合物と
周期表IVa族元素の化合物を含有する水溶液で、pH
が3以下であることを特徴とするルテニウム触媒製造用
含浸液を提供するものである。
【0016】また、本発明は、上記本発明の含浸液を用
いて所望の各種の反応に有効な各種の優れた担持ルテニ
ウム系触媒を簡単な操作で容易に得る方法として、該含
浸液に担体を接触させ、少なくとも該含浸液中に含まれ
る一部又は全てのルテニウム成分と一部又は全ての周期
表IVa族元素成分を該担体に担持し、該ルテニウム担
持組成物を、乾燥後、焼成することを特徴とするルテニ
ウム触媒の製造方法を併せて提供する。
【0017】I.ルテニウム触媒製造用含浸液及びその
調製 本発明の含浸液は、少なくとも、1種又は2種以上のル
テニウム化合物と1種又は2種以上周期表IVa族元素
の化合物を溶解含有している水溶液であって、かつpH
が3以下であることを特徴としている。この含浸液を、
例えばアルミナ等の所定の各種の触媒担体に接触含浸さ
せることによって、その触媒担体の表面や細孔内に該含
浸液に含まれているルテニウム成分を周期表IVa族元
素からなる成分と共に適当な化合物の形態で分散性よく
むらなく担持することができ、その後、通常行われるよ
うな高温での焼成や還元等の前処理を行っても、そのル
テニウムの高分散状態を十分安定に維持することがで
き、結果として、少なくともルテニウムが金属や酸化物
等の活性成分の形態で分散性よく安定に担持されている
所望の各種の高性能担持ルテニウム系触媒を容易に得る
ことができる。
【0018】ここで、重要な点は、本発明の含浸液がル
テニウム化合物と共に周期表IVa族元素の化合物を同
時に含有しているという点であり、これによってはじめ
て上記の優れた効果が発揮される。このように、ルテニ
ウム化合物と周期表IVa族元素の化合物を同時に溶解
している本発明の含浸液を用いると、なぜ上記のように
各種の担体にルテニウム成分を高分散状態でしかも熱安
定性よくうまく担持できるのかと言う点については、現
段階では不明の点も多いが、次のような点が重要な要因
となっているものと思われる。
【0019】まず、本発明の含浸液はpHが3以下とい
う比較的強酸性に調整してあるので、ルテニウム化合物
もIVa族元素の化合物も各々それ自体で沈殿しにくい
安定な水溶液となっている。このことも重要ではある
が、それだけではなく、以下に示すように、ルテニウム
化合物と周期表IVa族元素の化合物が互いに反応し錯
体様の化合物を形成することによって上記の優れた効果
がもたらされるものと考えられる。
【0020】すなわち、本発明者らは、塩化ルテニウム
等のルテニウム塩の水溶液と、例えばオキシ塩化ジルコ
ニウム等の周期表IVa族元素の化合物の水溶液を混合
すると、該ルテニウムとIVa族元素の間で錯体様の化
合物が生成すること、そして、このような錯体様の化合
物を形成している水溶液を含浸液として用いると、ルテ
ニウム化合物単独の酸性溶液の場合には黒色のルテニウ
ム水酸化物の沈殿を生じるような塩基性の担体に接触含
浸させても、あるいは含浸担持時に溶液のpHの多少上
昇させても、そのようなルテニウム水酸化物の生成は認
められないという重要な事実を見いだした。このよう
に、本発明の含浸液の場合には、凝集したあるいは凝集
の原因となりやすいルテニウムの水酸化物が極めて生成
しにくく、また、ルテニウムはIVa族元素の化合物に
よって安定化され錯体様化合物となって担体中に導入さ
れるので、結果として高分散状態でむらなく担持される
ものと理解することができる。しかも、この時、その錯
体様化合物がその化合物中のIVa族元素成分と担体の
水酸基との反応によって担体上に強く固定化されるの
で、その結果、高温での焼成や水素還元等の処理を行っ
ても高分散性が安定に維持されるものと考えることがで
きる。
【0021】本発明の含浸液は、水又は水を主成分とす
る水系溶媒に、少なくとも、pHが3以下の状態でルテ
ニウム化合物と周期表IVa族元素の化合物が溶解され
るように調製するならば、その調製原料として用いるル
テニウム化合物及び周期表IVa族元素の化合物として
は、一般に、どのような種類あるいは形態のもの用いて
もよい。
【0022】すなわち、調製原料として用いるルテニウ
ム化合物としては、通常は、例えば三塩化ルテニウム等
の各種のハロゲン化ルテニウム、ヘキサクロロルテニウ
ム酸カリウム等の各種のハロゲン化ルテニウム酸塩、テ
トラオクソルテニウム酸カリウム等の各種のルテニウム
酸塩、四酸化ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム三
塩化物等の各種のアンミン錯塩、ヘキサシアノルテニウ
ム酸カリウム等のシアノ錯塩などが好適に使用される
が、これらに限定されるものではなく、通常の水に溶解
性を示すものに限らず酸や酸性化合物等の添加あるいは
共存によってpHが3以下の状態で十分に溶解できるも
のであれば各種のものが使用可能である。したがって、
例えば三酸化二ルテニウム等の酸化ルテニウムや水酸化
ルテニウム、あるいはオキシハロゲン化物などのpHが
7付近の水には不溶性であったり溶解しにくいものでも
適宜塩酸等の酸を添加し溶解して使用すればよい。
【0023】これら各種の原料ルテニウム化合物の中で
も特に塩化ルテニウムが好適に使用される。
【0024】一方、前記周期表IVa族元素としては、
ジルコニウム、チタン及びハフニウムを挙げることがで
きるが、中でも特にジルコニウムが好適である。これら
の周期表IVa族元素の化合物についても同様に塩酸等
の酸や酸性化合物等を添加するなどしてpHが3以下で
溶解し水溶液となすことができる各種のものを調製原料
として選定することができ、具体的には例えば、四塩化
ジルコニウム、四塩化チタン、三塩化チタン、四塩化ハ
フニウム等の各種のハロゲン化物若しくはこれらの部分
加水分解生成物、塩化ジルコニル(オキシ塩化ジルコニ
ウム)、塩化チタニル(オキシ塩化チタン)等の各種の
オキシハロゲン化物、硫酸ジルコニル、硫酸チタニル、
硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、硝酸チタニル、硝
酸ハフニウム等の各種の酸素酸塩、テトラオクソジルコ
ニウム酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸ナト
リウム、ヘキサクロロチタン酸カリウム、ヘキサフルオ
ロチタン酸アンモニウム等の各種のジルコニウム酸塩、
チタン酸塩及びハフニウム酸塩、酢酸ジルコニウム、酢
酸ジルコニル、蓚酸ジルコニル、蓚酸ハフニウム、テト
ラオキサラトジルコニウム酸カリウム等の各種の有機酸
塩あるいは有機系の配位化合物など、更には、ジルコニ
ウム、チタン、ハフニウムのアルコキシド、水酸化物、
各種の錯塩などを例示することができる。これら各種の
周期表IVa族元素の化合物の中でも、特に、オキシ塩
化ジルコニウム等が好ましい。
【0025】本発明の含浸液を調製するに際して、水等
の水系溶媒、ルテニウム化合物、周期表IVa族元素の
化合物、酸等の各成分の添加、混合、溶解の順序及び方
式については特に制限はなく、例えば、水又は予め酸を
添加した酸の水溶液に所定の成分を同時添加して溶解さ
せてもよいし、段階的に添加し溶解させてもよいし、あ
るいは、ルテニウム化合物の水溶液と周期表IVa族元
素の化合物の水溶液を別途に調製し、これらの溶液を混
合してもよいし、一方の水溶液に残りの化合物を溶解し
てもよい。
【0026】なお、溶解性の向上及びpHの調整の際に
必要に応じて添加する酸としては、例えば、塩酸、硫
酸、硝酸等の無機酸、酢酸、蓚酸等の有機酸など各種の
ものを適宜選定して使用すればよい。
【0027】本発明の含浸液において、溶解含有させる
ルテニウム成分と周期表IVa族元素成分の割合は、周
期表IVa族元素(M)とルテニウム原子(Ru)のモ
ル比(M/Ru)で表すと、該モル比(M/Ru)が、
通常、1〜40、好ましくは、1〜20の範囲になるよ
うに選定するのが好適である。ここで、もし、該モル比
(M/Ru)が1より小さいと周期表IVa族元素Mの
割合が少なくなりすぎてルテニウムの一部が、錯体様化
合物になれないため凝集しやすくなり、その分分散性の
向上効果が少なくなる。一方、このモル比(M/Ru)
を40より大きくしても、それに見合った分散性等の更
なる改善効果は認められず、場合によっては表面に露出
するルテニウム成分の量が低下したり、あるいは、担体
本来の特性が大きく変化し損なわれるなどの支障を生じ
ることがある。
【0028】その際、含浸液に溶解せしめる前記ルテニ
ウム化合物又は周期表IVa族元素の化合物の量(濃
度)としては、特に制限はないが、ルテニウム化合物の
濃度がルテニウム原子のモル濃度として、通常、0.0
1mol/l以上となるように選定するのが好ましい。
【0029】なお、本発明の含浸液には、本発明の目的
を阻害しない範囲で、ルテニウム化合物及び周期表IV
a族元素の化合物あるいは酸以外の他の成分を適宜添加
してもよい。
【0030】本発明の含浸液は、少なくとも担体と接触
させる前の時点において、前記したようにpHが3以下
であることが重要であり、場合によってはpHを2以下
にすることが好ましい。ここで、もし、含浸液のpHを
3より大きくすると周期表IVa族元素の化合物が加水
分解されやすくなり水酸化物様のソルやゲルを形成しや
すくなる。このような水酸化物様のゾルやゲル状が溶液
中に生成すると、ルテニウム成分を前記のような錯体様
化合物としてうまく担持することが困難となり、その結
果、所望の分散性等の改善効果が十分に達成できなくな
る。
【0031】なお、一般に、チタン化合物の水溶液は、
pHが2より大きくなると水酸化物様のゾルが生じやす
くなり、また、ジルコニウム化合物の水溶液の場合に
は、pHが3より大きくなると、水酸化物様のゲルを生
じやすくなることが知られている。したがって、一般的
には、含浸液のpHを前記したように2以下に選定して
おくことが好ましい。
【0032】本発明の含浸液は、上記したように、従来
法では高分散担持が容易でなかった塩基性の水酸基を有
するあるいは生成する担体に対してもルテニウム成分を
容易に高分散状態でむらなく担持することができる優れ
たルテニウム触媒製造用含浸液である。もちろん、他の
一般のどのような担体に対しても同様に好適に適用する
ことができる。しかも、高温雰囲気下でも分散安定性が
良好であるので、担持後、高温での焼成や水素還元等の
前処理、あるいは高温での反応、更には高温での再生を
行っても、その高分散性を十分に安定に維持することが
できる。したがって、本発明の含浸液を用いることによ
って、各種の触媒反応に高活性・高選択性を示す優れた
担持ルテニウム系触媒、特に、ルテニウム含量が少なく
ても高活性を示す安価で工業用触媒としても好適な多種
多様な担持ルテニウム系触媒を容易に得ることができ
る。
【0033】なお、後述するように、対象とする担体の
種類や組成あるいは形状、担持方式などについては特に
制限はなく、また、対象とする触媒反応についても特に
制限はない。
【0034】II.ルテニウム触媒の製造 前記本発明の含浸液を用い、これを適当な担体に接触含
浸させ、ルテニウム成分を周期表IVa族元素成分と共
に担持することによって、少なくともルテニウムからな
る活性成分が高分散状態で安定性よく担持された各種の
高活性担持ルテニウム系触媒を容易に調製することがで
きる。
【0035】すなわち、そのような高活性担持ルテニウ
ム系触媒を簡単な操作で容易に得る方法として、上記本
発明の含浸液に担体を接触させ、少なくとも該含浸液中
に含まれる一部又は全てのルテニウム成分と一部又は全
ての周期表IVa族元素成分を該担体に担持し、得られ
たルテニウム担持組成物を、乾燥後、焼成することを特
徴とするルテニウム触媒の製造方法を挙げることができ
る。
【0036】以下、この製造方法について詳細に説明す
る。
【0037】この方法においては、まず、本発明の含浸
液を適当な担体に接触含浸させることによって、少なく
ともルテニウム成分を担持する。
【0038】対象とする担体としては、例えば、γ−ア
ルミナ、α−アルミナ等の各種のアルミナ、シリカ、チ
タニア、ジルコニア、マグネシア等の単独金属酸化物系
のもの、アルミナボリア、シリカアルミナ、ゼオライ
ト、シリカジルコニア、シリカチタニア、チタニアアル
ミナ、シリカマグネシア等の混合若しくは複合金属酸化
物系のものなどを挙げることができるが、これらに限定
されるものではなく、一般に、どのような種類及び組成
のものも対象として選定することができる。
【0039】これらの担体は、従来の場合と同様に、使
用目的等に応じて適宜選定して使用することになる。
【0040】なお、こうした担体は、従来の場合と同様
に、添加物の添加や予備処理の実施あるいは調製法の選
定等によって、組成や物性が調整あるいは制御されたも
のとして使用することができる。例えば、酸処理、塩基
処理、イオン交換処理等の化学的処理を行って酸性度等
の調整を行ったり、加熱や焼成等による水分やOH含量
の調整を行ったり、更には、各種の手段により細孔径や
細孔径分布の制御、表面積の制御を行ったりして、組成
や触媒担体としての特性の調整や改善がなされているも
のでもよい。また、場合によっては、予め適当な金属成
分等を含有若しくは担持してあるものを用いてよい。ま
た、これらの担体は、予め乾燥や焼成が施されているも
のでもよいし、未焼成のものや未乾燥のものでもよい
し、加水分解等によって調製したゾル状のものなどスラ
リー状のものでもよい。
【0041】担体の形状やサイズとしても、特に制限は
なく、例えば、粉末状、ビーズ状、ペレット状、顆粒
状、モノリス等の構造体にコーティングしたもの、微粒
子状、超微粒子状のものを適宜使用することができる。
すなわち、造粒や成形を施したものでもよいし、あるい
は、特にそのような処理を施していないものでもよい。
【0042】本発明の触媒製造方法においては、前記所
定の含浸液(本発明の含浸液)を前記所定の担体に接触
含浸することによって、所定の金属成分を該担体に担持
し、得られた担持組成物を、乾燥後、適当な条件で焼成
する。
【0043】含浸液と担体の接触による含浸担持操作
は、常法に従って行うことができ、例えば、常用される
各種の含浸法(加熱含浸法、常温含浸法、真空含浸法、
常圧含浸法、含浸乾固法、ポアフィリング法等、あるい
はこれらの任意の組み合わせ法など)、浸漬法、軽度浸
潤法、湿式吸着法、湿式混練法、スプレー法、塗布法な
ど、あるいはこれらの組み合わせ法など、含浸液と担体
とを接触させて担持させる方式であればどのような方式
によってもよい。また、この含浸担持、乾燥、焼成の一
連の操作は、少なくとも、1回は行われるが、必要に応
じて、これらの操作を2回以上に分けて複数回繰り返し
てもよい。
【0044】ここで、用いる担体と含浸液の量比は、目
標とする活性金属成分の担持率、用いる含浸液中の金属
化合物の濃度、含浸担持方式の種類、用いる担体の細孔
容積や比表面積などよって異なるので一律に定めること
ができないが、少なくとも、担持しようとする担体を十
分に濡らす量の含浸液を使用し、一方、担体に対する含
浸液の使用量(使用に供する量)の上限については、特
に制限はないが、通常は、使用する担体の乾燥重量10
0g当たり、含浸液の使用量を100ml以下の範囲に
選定するのが好ましい。
【0045】この接触操作(含浸担持操作)は、従来の
場合と同様に、大気圧下あるいは減圧下(減圧排気下)
で好適に行うことができ、その際の操作温度としても特
に制限はなく、室温あるいは室温付近でも行うことがで
きるし、必要に応じて加熱あるいは加温し、例えば室温
〜80℃程度の温度でも好適に行うことができる。
【0046】以上のようにして、所定のルテニウムから
なる成分を所定の担体にむらなく均一性よく担持するこ
とができる。なお、上記に示した含浸担持方式の特徴か
らもわかるように、場合に応じて、用いた含浸液中に含
まれる全てのルテニウム成分を担持せしめてもよいし、
例えば、接触後任意の時点で余分な含浸液を除去するな
どしてし、用いた含浸液中のルテニウム成分の一部のみ
を担持してもよい。
【0047】ルテニウム成分と周期表IVa族元素成分
の最終的な担持量は、担体の種類や表面積等の性状、あ
るいは、触媒の用途すなわち対象とする反応の種類や性
質等の諸条件を考慮して適宜選定すればよいのである
が、多くの場合には、所定の担体に対する担持量とし
て、ルテニウム成分をルテニウム金属に換算して、通
常、0.05〜5重量%、好ましくは、0.1〜1重量
%の範囲に選定し、一方、周期表IVa族元素成分を酸
化物(TiO2、ZrO2、HfO2)に換算して、通
常、0.05〜20重量%、好ましくは、1.0〜10
重量%の範囲に選定するのが好適である。
【0048】本発明の触媒製造方法においては、上記の
ようにして得たルテニウム担持組成物を、乾燥後、適当
な温度で焼成する。
【0049】この乾燥は、通常、50〜150℃、好ま
しくは、80〜130℃の範囲で行うのが好適である。
但し、含浸担持方式によっては、多くの水分が蒸発し、
かなりの乾燥状態のものが得られるので、そのような場
合には、必ずしも、別途に乾燥操作を施さないでもよ
い。
【0050】前記焼成も、常法に従って行うことがで
き、通常は空気中若しくは空気気流中で、300〜70
0℃、好ましくは、400〜600℃の温度範囲で好適
に実施される。なお、空気の他に、純酸素化や酸素富化
空気などの酸素含有ガスを代用したり併用してもよい。
焼成時間は、通常、1〜24時間程度で十分である。
【0051】なお、必要に応じて、焼成前のいずれかの
適当な時点で担持組成物を所定の形状及びサイズに成形
してもよい。成形を行う場合には、この成形は、常法に
従って好適に行うことができ、必要に応じて、適当なバ
インダー成分を添加してもよい。
【0052】以上のようにして、所定のルテニウムから
なる成分が、所定の担持量でむらなく高分散状態で担持
された所望の反応に高活性を示す各種の担持ルテニウム
系触媒(若しくはその前駆体)を容易に得ることができ
る。
【0053】この焼成によって得られる触媒中の金属成
分は、通常、酸化物若しくは複合酸化物の形態となって
おり、ルテニウム成分も、通常、酸化物若しくは複合酸
化物の形態で高分散状態で担持されている。
【0054】こうして得た触媒は、そのまま、所定の触
媒反応の触媒あるいは触媒成分と利用することもできる
が、必要に応じて、種々の適当な前処理を行って活性化
してから触媒反応に用いてもよい。この前処理は、常法
に従って行うことができ、例えば、水素等の還元剤によ
って適度に還元して、ルテニウム成分を高分散状態の金
属状ルテニウムにして反応に供してもよい。
【0055】なお、この水素還元による高分散金属化処
理は、例えば、200〜800℃の温度で好適に行うこ
とができる。
【0056】ここで、対象とする触媒反応の種類として
は、特に制限はなく、この製造方法は、一般にルテニウ
ム系触媒が有効となるあらゆる反応に対して好適な触媒
の製造分野に適用することができる。
【0057】なお、そのような触媒反応の例として、例
えば、カルボニル化合物、芳香族化合物、オレフィン類
やジエン類等の不飽和化合物の選択的水素化反応、アン
モニア合成反応、FT合成反応、COやCO2のメタン
化反応、COやCO2のアルコールあるいは他の含酸素
化合物への選択的水素化反応、メタノールのCOと水素
によるエタノールへのホモロゲーション、オレフィンの
ヒドロカルボニル化反応、ニトロ化合物のアミンへの選
択的水素化反応、炭化水素類の水素化分解反応、芳香族
アミンの選択性水素化反応等々の様々な水素化反応、N
Xの還元浄化反応、炭化水素等の水蒸気改質反応、低
温での完全酸化反応、あるいは部分酸化反応、水の光分
解反応等々の多種多様な反応を挙げることができる。
【0058】ところで、こうした触媒反応の中には、触
媒の調製を前記含浸担持後に必ずしも前記のように高温
で焼成しなくても低温で乾燥する程度で十分な性能の触
媒となるような反応もある。すなわち、本発明の含浸液
を用いる触媒の一般的な製造方法としては、必ずしも焼
成を行わないでもよい。
【0059】
【実施例】以下に、本発明の実施例とその比較例によっ
て、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0060】実施例1 塩化ルテニウム(RuCl3・nH2O)0.66gを水
に溶かして40ccの水溶液とし、更にオキシ塩化ジル
コニウム(ZrOCl2・8H2O)13.1gを溶解し
含浸液とした。この時の含浸液のpHは0.4であり、
溶液中にゲル状物質は認められなかった。この含浸液を
更に水で希釈すると緑色を呈し、塩化ルテニウム水溶液
を希釈した時(赤褐色)と異なることから、溶液中でル
テニウムとジルコニウムが錯体様の化合物が生成してい
ると推察される。なお、オキシ塩化ジルコニウムのみの
水溶液は無色透明であった。
【0061】本含浸液を用いて、γ−Al23担体ペレ
ット50gにポアフィリング法によりルテニウムの担持
を行った。含浸直後の触媒体の色は橙〜茶色を呈し、黒
色のルテニウム水酸化物の生成は認められなかった。1
20℃で1時間乾燥後、500℃で2時間空気中焼成を
行った。焼成後の触媒体は、緑色を呈した。なお、組成
分析による本触媒中のルテニウム含有量は、0.5重量
%であった。
【0062】焼成後の触媒体を更に水素気流中、800
℃、4時間水素還元を実施した。この還元後のサンプル
について、透過型電子顕微鏡を用いて10〜40万倍の
倍率でルテニウム粒子の観察を行ったところ15Å以上
のルテニウム粒子は認められず、高温還元したにもかか
わらず極めて高分散にルテニウムが担持されていること
がわかった。
【0063】実施例2 担体ペレットとしてα−Al23を使用し、実施例1と
同じ方法で調製した含浸液40ccのうち20ccをポ
アフィリング法にて該α−Al23担体ペレットに含浸
し、120℃で1時間乾燥後、500℃で2時間焼成を
行った。更に上記含浸液の残りの20ccを含浸し、1
20℃で1時間乾燥後、500℃で2時間焼成を行っ
た。組成分析によるルテニウム含有量は、0.5重量%
であった。含浸直後の触媒体の色は緑色を呈し、黒色の
ルテニウム水酸化物の生成は認められなかった。
【0064】焼成後の触媒体を更に水素気流中、800
℃、4時間水素還元を実施した。この還元後のサンプル
について、透過型電子顕微鏡を用いて10〜40万倍の
倍率でルテニウム粒子の観察を行ったところ30Å以上
のルテニウム粒子は認められず、高温還元したにもかか
わらず極めて高分散にルデニウムが担持されていること
がわかった。
【0065】実施例3 塩化ルテニウム(RuCl3・nH2O)0.66gを水
に溶かして40ccの水溶液とし、更にオキシ塩化ジル
コニウム(ZrOCl2・8H2O)13.1gを溶解し
た。
【0066】更に0.1規定のアンモニア水を8.0c
c添加したところ、pHは2.4になった。
【0067】この時、溶液中にゲル状物質はほとんど認
められなかった。
【0068】この含浸液を更に水で希釈すると緑色を呈
し、塩化ルテニウム水溶液を希釈した時(赤褐色)と異
なることから、溶液中でルテニウムとジルコニウムが錯
体様の化合物が生成していると推察される。
【0069】本含浸液を用いて、実施例1と同じγ−A
23担体ペレット50gにポアフィリング法によりル
テニウムの担持を行った。含浸直後の触媒体の色は緑色
を呈し、黒色のルテニウム水酸化物の生成は認められな
かった。120℃で1時間乾燥後、500℃で2時間空
気中焼成を行った。この焼成後の触媒体は、緑色を呈し
た。なお、組成分析による本触媒体中のルテニウム含有
量は、0.5重量%であった。
【0070】焼成後の触媒体を更に水素気流中、800
℃、4時間水素還元を実施した。還元後のサンプルにつ
いて、透過型電子顕微鏡を用いて10〜40万倍の倍率
でルテニウム粒子の観察を行ったところ15Å以上のル
テニウム粒子は認められず、高温還元したにもかかわら
ず極めて高分散にルテニウムが担持されていることがわ
かった。
【0071】比較例1 塩化ルテニウム(RuCl3・nH2O)0.66gを水
に溶かして40ccの水溶液としたものを含浸液とし
た。含浸液のpHは1.5であった。
【0072】本含浸液を用いて、実施例1と同じγ−A
23担体ペレット50gにポアフィリング法によりル
テニウムの担持を行った。含浸直後の触媒体の色は黒色
を呈し、ルテニウム水酸化物の生成が認められた。
【0073】次いで、120℃で1時間乾燥後、500
℃で2時間空気中焼成を行った。なお、組成分析による
本触媒体中のルテニウム含有量は、0.5重量%であっ
た。
【0074】焼成後の触媒体を更に水素気流中、800
℃、4時間水素還元を実施した。この還元後のサンプル
について、透過型電子顕微鏡を用いて10〜40万倍の
倍率でルテニウム粒子の観察を行ったところ、ルテニウ
ム粒子径は75〜300Åあり、ルテニウムの分散性が
実施例と比較して非常に劣ることがわかる。
【0075】比較例2 塩化ルテニウム(RuCl3・nH2O)0.66gを水
に溶かして40ccの水溶液としたものを含浸液とし
た。含浸液のpHは1.5であった。
【0076】本含浸液を用いて、実施例2と同じα−A
23担体ペレット50gに実施例2と同様に含浸液を
2回に分けてポアフィリング法によりルテニウムの担持
を行った。含浸直後の触媒体の色は黒色を呈し、ルテニ
ウム水酸化物の生成が認められた。
【0077】次いで、120℃で1時間乾燥後、500
℃で2時間空気中焼成を行った。なお、組成分析による
本触媒体中のルテニウム含有量は、0.5重量%であっ
た。
【0078】焼成後の触媒体を更に水素気流中、800
℃、4時間水素還元を実施した。この還元後のサンプル
について、透過型電子顕微鏡を用いて10〜40万倍の
倍率でルテニウム粒子の観察を行ったところ、ルテニウ
ム粒子径は75〜300Åあり、ルテニウムが凝集し、
分散性が実施例と比較して非常に劣ることがわかる。
【0079】比較例3 塩化ルテニウム(RuCl3・nH2O)0.66gを水
に溶かして40ccの水溶液とし、オキシ塩化ジルコニ
ウム(ZrOCl2・8H2O)13.1gを溶解し含浸
液とした。
【0080】更に徐々にアンモニア水を添加していった
ところ、pH3.5以上で強固なゲル状物質の生成が認
められた。これはジルコニウムの水酸化物の生成による
ものである。
【0081】上記のpH3.5の時の含浸液を用いて、
実施例1と同じγ−Al23担体ペレット50gにポア
フィリング法によりルテニウムの担持を行った。この
時、ゲル状物質はほとんど担体ペレット内部に侵入する
ことができず、120℃で1時間乾燥後には、ゲル固体
物がペレットとは分離して生成した。なお、500℃で
2時間空気中焼成を行った後、ペレットのみ抜き出して
組成分析を行ったが、担体ペレット中のルテニウム含有
量は0.1重量%以下であり、ルテニウムを担体ペレッ
ト中にほとんど導入することはできなかった。
【0082】比較例4 オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)1
3.1gを水に溶かして40ccの水溶液とたものを、
実施例1と同じγ−Al23担体ペレット50gにポア
フィリング法にて含浸した。120℃、1時間乾燥後、
更に500℃、2時間空気中焼成を行った。次に上記の
焼成後の担体に、塩化ルテニウム(RuCl3・nH
2O)0.66gを水に溶かして40ccの水溶液とし
たものをポアフィリング法にて含浸した。なお、この時
用いた含浸液のpHは1.5であった。
【0083】含浸直後の触媒体の色は黒色を呈し、ルテ
ニウム水酸化物の生成が認められた。120℃で1時間
乾燥後、500℃で2時間空気中焼成を行った。組成分
析による本触媒中のルテニム含有量は、0.5重量%で
あった。
【0084】焼成後の触媒体を更に水素気流中、800
℃、4時間水素還元を実施した。この還元後のサンプル
について、透過型電子顕微鏡を用いて10〜40万倍の
倍率でルテニウム粒子の観察を行ったところ、ルテニウ
ム粒子径は75〜300Åあり、ルテニウムの分散性が
実施例と比較して非常に劣ることがわかる。
【0085】実験結果の評価 実施例1〜3では、pH3以下のルテニウムとオキシ塩
化ジルコニウムを同時に溶解した水溶液を用いることに
よって、800℃の高温還元後も高分散にルテニウムを
担持できたことがわかる。
【0086】上記のような溶液を用いても、比較例3に
示すようにpHが3を超すとジルコニウムの水酸化物
(ゲル)が生成するために、担体中にルテニウムを導入
することができなくなることがわかる。
【0087】比較例1、2では、塩化ルテニウムのみの
水溶液を用いて含浸したが、担体中の水酸基によりルテ
ニウムの水酸化物が生成するため、ルテニウムが凝集担
持され、ルテニウムの分散性が大きく低下することがわ
かる。
【0088】比較例4では、先ずジルコニウムを担体に
した後、塩化ルテニウム水溶液を含浸したが、水溶液中
では、依然として担体中に水酸基が生成するためにルテ
ニウムの水酸化物が生成する。このため比較例1、2と
同様にルテニウムの分散性が大きく低下することがわか
る。
【0089】すなわち、実施例1〜3のように、ルテニ
ウム化合物とオキシ塩化ジルコニウムを同時に溶解した
水溶液を用いると、ルテニウムとジルコニウムの錯体様
化合物が生成するので、担体中の水酸基の存在下でもル
テニウムの水酸化物は生成しない。更に高温にしても、
上記のルテニウムとジルコニウムとの関係が維持される
ため、ルテニウムの高分散性は維持されると推察され
る。
【0090】
【発明の効果】本発明のルテニウム触媒製造用含浸液
は、少なくともルテニウム化合物と周期表IVa族元素
(すなわち、ジルコニウム、チタン、ハフニウム)の化
合物を溶解含有させ、かつpHを3以下とした特定の組
成及び物性を有する水溶液であるので、これを各種の担
体に接触含浸させることによって、ルテニウム成分を簡
単な操作によって高分散状態でしかも熱安定性よく有効
に担持することができ、適当な担体に含浸担持すること
によって、含有ルテニウム当たりの活性が著しく向上し
た各種の高活性・高選択性担持ルテニウム系触媒を容易
に得ることができる。したがって、この含浸液を用いる
と、ルテニウム成分を高分散状態で有効に担持すること
ができるので、高価な金属であるルテニウムの含有量を
低減することができ、安価で工業的に有利な各種の高性
能ルテニウム系触媒を容易に得ることができる。また、
この高分散状態は、高温での焼成、水素還元等の前処
理、高温での反応、再生など高温雰囲気にさらしても十
分に安定に維持されるので、そのような条件が要求され
る用途に対しても好適に適用することができる。
【0091】すなわち、本発明によると、実用上著しく
有用なルテニウム触媒製造用含浸液とこれを用いて各種
の高性能の担持ルテニウム系触媒を簡単な操作で有利に
製造する方法を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルテニウム化合物と周期表IVa族元素
    の化合物を含有する水溶液で、pHが3以下であること
    を特徴とするルテニウム触媒製造用含浸液。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の含浸液に担体を接触さ
    せ、該含浸液中に含まれるルテニウム成分と周期表IV
    a族元素成分を該担体に担持し、得られたルテニウム担
    持組成物を、乾燥後、焼成することを特徴とするルテニ
    ウム触媒の製造方法。
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