JP4687217B2 - 排ガス浄化用触媒およびその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、内燃機関などから生じる排ガスを浄化するための触媒、特にNOx浄化能を有する触媒およびその製造方法に関するものである。
車両の内燃機関から生じる排ガスを、酸化あるいは還元反応によって浄化する触媒として、白金やロジウムなどの貴金属を担持した触媒が知られている。しかしながら、触媒に使用される貴金属の埋蔵量が少なく、これに対して内燃機関を搭載した車両の絶対数が増加しているので、触媒のニーズが増大して相対的にコストが上昇する可能性がある。そのため、貴金属に替わる触媒活性のある物質が望まれており、例えば特許文献1や特許文献2には、ペロブスカイト型複合酸化物を使用した触媒が記載されている。
特許文献1に記載された触媒は、ペロブスカイト型複合酸化物の高温耐久性を向上させるために、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する各元素の化合物を含む水溶液にクエン酸を加え、その水溶液を蒸発・乾燥固化するとともに焼成してペロブスカイト型複合酸化物粉末を合成し、これを、貴金属を担持した耐火性粉末と混合してスラリーを調整し、そのスラリーを担体上に塗布した後、乾燥かつ焼成してえられる触媒である。また、特許文献2に記載された触媒は、アルカリ土類元素、チタン属金属、鉄族、銅族もしくは白金属元素からなるペロブスカイト型複合酸化物を、塩基性金属酸化物に担持させた触媒であり、そのペロブスカイト型複合酸化物を構成する金属を含有する塩類の溶液中に担体粉末を添加し、これを、乾燥・固化および焼成する含浸担持法が、特許文献2に記載されている。
特公平8−17942号公報 特開2000−197822号公報
上記の各特許文献に記載された触媒は、ペロブスカイト型複合酸化物の触媒機能を利用したものであるが、ペロブスカイト型複合酸化物を貴金属と併用し、触媒の全体としての機能や耐久性を向上させるように構成されている。そのため、ペロブスカイト型複合酸化物の粒子を担体とは別に、予め作成し、これを吸水担持法や含浸担持法などで、担体に担持させる方法が採用されている。すなわち、各特許文献に記載されている触媒におけるペロブスカイト型複合酸化物は、予め粉末として製造されるから、その粒径は担体を構成している粒子と実質的に同じであり、これら担体粒子およびペロブスカイト型複合酸化物粒子の結合体に、貴金属粒子が担持された構造になっている。
一般的に、触媒活性粒子は可及的に微細であり、かつその粒子が細孔構造を形成し、その結果、触媒活性粒子の全体としての比表面積が広いことが望ましい。これに対して上述した各特許文献に記載された触媒もしくはその製法では、触媒活性のあるペロブスカイト型複合酸化物粒子の粒径が大きくなってしまい、触媒活性もしくは排ガスの浄化能が、実用に供し得る程度まで必ずしも高くならない可能性がある。また、担体を含めて全体が細孔構造となる工程がなく、あるいは担体が細孔構造であってもその細孔の内部にペロブスカイト型複合酸化物粒子が入り込んで担持される工程がないので、全体としての比表面積が十分には広くなく、この点でも触媒活性が実用に供し得る程度に高くならない可能性がある。
特に、特許文献1に記載されている方法では、各成分の含まれる液を乾燥するときに、各成分の溶解度の相違が要因となって、それぞれの成分には、分離して析出する分があり、その結果、ペロブスカイト型複合酸化物粒子の均一性が損なわれる可能性がある。また一方、前記特許文献2に記載された方法では、ペロブスカイト型複合酸化物の沈殿を生じさせることになるが、沈殿として析出するためにその粒径が数μmないし数百μmの凝集粒子が必要となるために、ペロブスカイト型複合酸化物の粒径が大きくならざるを得ない上に、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する成分の特性の相違により、いずれかの成分が沈殿しても他の成分が沈殿を生じないなどの現象が生じ、その結果、組成が仕込みどおりにならず、これが要因となって十分な触媒特性が得られないことがある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、ペロブスカイト型複合酸化物粒子の触媒活性を十分に発揮させて、実用に供し得る排ガス浄化用触媒およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、複合酸化物粒子を集合させて形成された細孔構造の担体上に、NOx浄化能を有しかつ前記担体を形成している粒子より粒径が小さく、その粒径が1nmないし5nmであるペロブスカイト型複合酸化物粒子が均一に分散させられて担持されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒である。
一方、請求項2の発明は、上記の請求項1に記載の排ガス浄化用触媒を製造する方法であって、前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子と、前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子とを、互いに反対の電位に帯電させることにより、前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子に前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子を吸着させた後、焼成をおこなうことを特徴とする方法である。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子をマイクロエマルション内で合成するとともに、その合成の反応場の内部で前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子を他のマイクロエマルション内で合成し、同時に前記担体を形成する粒子もしくはその前駆体と前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子とを互いに反対の電位に帯電させることにより、前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子に前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子を吸着させることを特徴とする方法である。
請求項1の発明によれば、NOxの浄化能を有するペロブスカイト型複合酸化物粒子が、これを担持している細孔構造の担体における粒子より小径に構成されており、したがってペロブスカイト型複合酸化物粒子には、担体の細孔の開口径より小さいものが含まれ、その結果、細孔の内部に入っているペロブスカイト型複合酸化物粒子が、担体の表面に担持されている。このように請求項1の発明では、ペロブスカイト型複合酸化物粒子が微細粒子であることにより、その触媒活性が高くなるとともに、その全表面積が大きくなるので、触媒としての排ガス浄化性能が高いものとなる。また、貴金属以外の金属を触媒粒子として使用することが可能になるので、排ガス浄化用触媒の低廉化を図ることができる。
また、請求項1の発明によれば、ペロブスカイト型複合酸化物粒子の粒径が1nmないし5nm程度の超微粒子であり、しかも担体上に均一に分散させて担持されているので、そのペロブスカイト型複合酸化物粒子の触媒活性が高くなることに加えて、全体としての表面積が増大するので、NOx浄化能のある特性の優れた排ガス浄化触媒を得ることができる。
また一方、請求項2の発明によれば、担体を構成する複合酸化物粒子もしくはその前駆体に、これより粒径の小さいペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子を吸着させるにあたり、それらの粒子の表面電位が互いに反対の電位に設定され、その結果、電気的な吸着作用によって、ペロブスカイト型複合酸化物粒子が、担体上に吸着されて担持される。そのため、担体におけるいわゆる電気的な吸着点が広く均一に分散しているので、ペロブスカイト型複合酸化物粒子を均一に分散し、かつ強固に担体の表面に担持することができる。
さらに、請求項3の発明では、請求項2の発明におけるペロブスカイト型複合酸化物粒子の担体に対する吸着もしくは担持の操作をマイクロエマルションを利用しておこなうので、ペロブスカイト型複合酸化物を超微粒子の状態で担持させることができ、その結果、排ガス浄化能に優れた触媒を製造することができる。
この発明の排ガス浄化触媒は、複合酸化物粒子を集合させて形成された細孔構造の担体に、その粒子より粒径が小さくかつNOx浄化能のあるペロブスカイト型複合酸化物粒子を担持させて構成されている。その担体となる複合酸化物は、所定の径の細孔を有する多孔質体であり、その細孔径が、10〜100nm程度のいわゆるメゾ領域に入るメゾ細孔であることが好ましい。
担体とされる複合酸化物は、具体的には、ランタンイットリアジルコニア複合酸化物、ランタンジルコニア複合酸化物、セリウムジルコニウム系複合酸化物、アルミナ系複合酸化物、チタニア系複合酸化物、シリカ系複合酸化物などを採用することができる。この複合酸化物からなる粒子は、一例として加水分解によって生成する一次粒子の凝集した二次粒子同士を更に凝集させることにより得られる細孔構造体である。
その製法は、従来知られている方法でよいが、それ以外に例えば、内部に水相を有するミセル(逆ミセル)を、有機溶媒(すなわちオイル)中に分散させたマイクロエマルションを利用したマイクロエマルション法(ME法)を採用することができる。具体的に説明すると、先ず、担体となる酸化物の一次粒子を生成するとともに、その一次粒子を凝集させて二次粒子を生成し、さらにその二次粒子同士を凝集させるが、二次粒子の凝集は、二次粒子がある程度の大きさに成長するまで抑制する。二次粒子が成長するまで逆ミセルの融合(合一)を抑制するためには、一例として、水相の濃度を低くして(あるいはオイルの濃度を高くして)逆ミセル同士の間隔を広く取る方法や、逆ミセルの内部の陽イオン(水素イオンを除く)濃度を高くして電気的な反発力によって逆ミセルの融合(合一)を抑制する方法などが可能である。
また、マイクロエマルション法で複合酸化物を製造する場合、加水分解して水酸化物もしくは酸化物を形成する第1の金属元素の化合物を有機溶媒に溶解した溶液と、有機溶媒中において界面活性剤が形成する逆ミセルの内部の水相に第2以降の金属元素のイオンを含むエマルションとを混合し、この逆ミセルの界面において第1の金属元素の化合物を加水分解させるとともに第2以降の金属元素を取り込ませ、重縮合させて複合酸化物の前駆体の一次粒子を形成する。
加水分解して水酸化物を形成する金属元素の化合物を、仮に金属化合物と称すると、この金属化合物を構成する金属は狭い意味の金属ではなく、M−O−M結合を形成することができる元素M一般を意味する。
この金属化合物としては、いわゆるゾルゲル法において一般に用いられる金属化合物を使用することができる。その例としては、金属アルコキシド、アセチルアセトン金属錯体、金属カルボキシレート、金属無機化合物(例えば硝酸塩、オキシ塩化塩、塩化物等)等を用いることができる。
金属アルコキシドを形成する金属元素Mは、第1族から第14族までの元素、第16族ではイオウ、セレン、テルル、第15族ではリン、砒素、アンチモン、ビスマスが含まれるが、白金族元素や一部のランタノイド元素はアルコキシドを形成しないといわれている。例えば、ケイ素アルコキシドやゲルマニウムアルコキシドも金属アルコキシドと言われる。金属アルコキシドは各種の金属アルコキシドが市販されており、また製造方法も公知であるので、入手は容易である。
金属アルコキシドM(OR)n(ただし、Mは金属、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基)の加水分解反応も知られており、形式的には、M(OR)n+nH2O→M(OH)n+nROH、次いで、M(OH)n→MOn/2+n/2H2Oで表される。
アセチルアセトン金属錯体(CH3COCH2COCH3nM(ただし、Mは金属)の加水分解反応も知られており、(CH3COCH2COCH3nM+nROH→nCH3COCH2C(OH)CH3+M(OH)n、次いで、M(OH)n→MOn/2+n/2H2Oで表される。
アセチルアセトン金属錯体は各種の金属錯体が市販されており、また製造方法も公知であるので、入手は容易である。代表的には、アルミニウムアセトナト、バリウムアセトナト、ランタンアセトナト、白金アセトナト等があり、アルコキシド以上に多種のものがある。
金属アルコキシドやアセチルアセトン金属錯体などの有機金属化合物は、アルコール、極性有機溶媒、炭化水素溶媒などの中から適当な溶媒を選択すれば容易に溶解する。この発明の溶媒としては水相と二相分離され得る疎水性(油性)の有機溶媒を用いることが好ましい。
有機溶媒の例としては、シクロヘキサン、ベンゼンなどの炭化水素、ヘキサノールなどの直鎖アルコール、アセトンなどのケトン類がある。有機溶媒の選択基準としては、界面活性剤の溶解度の他、マイクロエマルションを形成する領域の広さ(水/界面活性剤のモル比が大きい)等がある。
このように加水分解して水酸化物もしくは酸化物を生成する金属元素の化合物を溶解した有機相中に水を添加すると、有機金属化合物の加水分解反応が開始、進行することが知られている。一般的には、金属化合物を溶解した有機相に水を添加し、撹拌して金属水酸化物もしくは金属酸化物を得ることができる。
マイクロエマルション法で複合酸化物を得る場合、有機相中に水相を界面活性剤で微細に分散させた逆ミセルの内部の水相に第2以降の金属元素のイオンを含む油中水滴型エマルションを形成しておいて、このエマルションに上記第1金属化合物の溶液を添加し、撹拌して混合することで、逆ミセル内の界面活性剤で取り囲まれた水相において、第2以降の金属元素のイオンと反応させ、加水分解をおこなう。この方法では多数の逆ミセルが、反応核となること、あるいは生成した水酸化物の微粒子を界面活性剤が安定化させることで、微細な生成物の粒子が得られると考えられている。
上記のような加水分解反応において、複数の加水分解性金属化合物を有機相中に溶解しておくことにより、水と接触させたとき、その複数の金属化合物が加水分解して、複数の金属の水酸化物が同時に生成することも知られている。
この発明では、この加水分解性金属化合物のうちの1種類(第1の元素を含む化合物)を有機相に存在させ、その有機相と水相との接触の際に、第2の金属元素、さらには第3以降の金属元素を、逆ミセル内の水相中にイオンとして存在させておく。
水相中にイオンとして存在させることは、水溶性金属塩、特に、硝酸塩、塩化物などの無機酸塩、さらに酢酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩を用いることができる。水相中に存在する第2の元素のイオンは金属の単体イオンのほか、第2の元素を含む錯イオンでもよい。第3以降の元素のイオンも同様である。
有機相と水相とを接触させると、有機相中の有機金属化合物が水と接触することで加水分解反応を起こして金属の水酸化物又は酸化物を生成するが、マイクロエマルション法では、このとき、水相中に存在する金属のイオンが加水分解生成物である前記金属の水酸化物(又は酸化物)中に取り込まれることが見出された。この現象は従来知られていない。水相中のイオンが、特別な沈降操作を行わなくても水酸化物中に取り込まれる理由は十分には理解されないが、前記金属化合物がアルコキシドの場合を例として説明すると、アルコキシドが加水分解されるときに水相中の他の金属イオンがアルコキシドを誘起して加水分解が進行する、あるいはアルコキシドの加水分解した微小な水酸化物が水相中で所定量の金属イオンを捕らえて凝集していくものと考えられる。
上記の方法では、反応系が油中水滴型のエマルション系又はマイクロエマルション系であることが好ましい。この場合、第一に逆ミセルの径が数nm〜数十nmと極めて小さく、有機相−水相界面が極めて広い(径が10nm場合で8000m2/リットル程度)ことによる加水分解速度の高速化、第二に水相が分殻化され、一個当たりでは極く少量の金属イオン(おおよそ100個程度)しか含まないことによる均質化の効果によると考えられる。
一方、逆ミセル内の水相は、一次粒子の生成および一次粒子の凝集による二次粒子の生成ならびに二次粒子同士の凝集を生じさせるいわゆる反応場であるから、二次粒子同士が凝集する際に生じる空孔およびそれに起因する複合酸化物の空孔構造に逆ミセルの大きさが影響する。この発明では、この点を考慮して逆ミセルの水相の径は、20nm以上であることが好ましい。
油中水滴型のエマルション系又はマイクロエマルション系を形成する方法は知られている。有機相媒体としては、シクロヘキサン、ベンゼンなどの炭化水素、ヘキサノールなどの直鎖アルコール、アセトンなどのケトン類など上記の有機溶媒と同様のものが使用できる。この発明で用いることができる界面活性剤は、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤など多種に亘り、用途に合わせて有機相成分との組合せで使用することができる。
非イオン系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(n=5)ノニルフェニルエーテルに代表されるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル系、ポリオキシエチレン(n=10)オクチルフェニルエーテルに代表されるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル系、ポリオキシエチレン(n=7)セチルエーテルなどに代表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタントリオレートに代表されるポリオキシエチレンソルビタン系界面活性剤などを用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、ジ−2−エチレンヘキシルスルフォ琥珀酸ナトリウムなどを用いることができ、カチオン系界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロライドやセチルトリメチルアンモニウムブロマイドなどを用いることができる。
この発明では、3以上の元素の複合酸化物を製造する場合には、第3以降の元素は逆ミセル内の水相中に存在させる。有機相中に複数の加水分解性金属化合物を存在させると、有機相中では加水分解性金属化合物間で安定性に差があるため不均一な生成物になるからである。もっとも、前記金属元素と他の金属元素の間では均一である必要があるが、前記金属元素と第3の金属元素の間では均一性が重要でなければ、第3の元素の金属化合物を有機相中に存在させてもよい。
前記他の金属元素のイオンを含む逆ミセルは、上記の界面活性剤を上記の有機相媒体に溶解し、これに他の金属元素のイオンを含む水溶液を添加し、撹拌するインジェクション法によって形成することができる。
こうして、前記金属化合物の溶液と他の金属元素のイオンを水相に含む逆ミセルを接触させ、加水分解によって前記金属元素と他の金属元素とを含むこの発明における担体となる酸化物粒子(もしくは複合酸化物)の前駆体の一次粒子を形成した後、この一次粒子を含む系を所定温度(30℃〜80℃)において所定時間(2時間)放置して熟成させる。すなわち、逆ミセル中で比較的短時間に二次粒子まで形成され、熟成工程においてその二次粒子同士の凝集がおこなわれる。この際、すべての一次粒子が凝集して大きな二次粒子を形成するのではなく、一旦、比較的小さな二次粒子を形成し、次いで二次粒子間に十分な大きさの細孔を形成して二次粒子同士が凝集するように、逆ミセル相互の融合(合一)を防止もしくは抑制して加水分解を進行させ、また一次粒子や二次粒子の熟成を行う。
他方、マイクロエマルション法では、このようにして合成される二次粒子を、担体となる複合酸化物粒子とし、これにペロブスカイト型複合酸化物粒子を吸着させ、焼成することにより担持させる。このペロブスカイト型複合酸化物粒子は、担体を構成する粒子(特に上記の二次粒子)よりも粒径の小さい(例えば数nmの粒径)いわゆる超微粒子と称することのできる粒子である。この発明におけるペロブスカイト型複合酸化物は、触媒機能のあるもの、特にNOx浄化能のあるものであり、ペロブスカイト型ランタン鉄複合酸化物が好適であり、それ以外に、ランタンストロンチウム鉄、ランタンカルシウム鉄、ランタンマンガン複合酸化物などを採用することができる。このペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体(以下、両者を含めて超微粒子ということがある。)は、予め合成しておいて上記の担体となる粒子もしくはその前駆体(以下、両者を含めて担体粒子ということがある。)と混合して担体粒子に吸着させてもよい。ペロブスカイト型複合酸化物粒子を、担体となる前記担体粒子を合成する反応場で生成することにより、ペロブスカイト型複合酸化物粒子を合成すると同時にこれを担体粒子に吸着させてもよい。
マイクロエマルション法による場合、担体粒子とペロブスカイト型複合酸化物粒子との表面の電位(ゼータ電位)を互いに逆の電位に調整し、その電気的な吸引力によって担体粒子の表面に微粒子を吸着させることが好ましい。その電位の調整は、一例としてpHを調整することにより可能であり、あるいは担体粒子もしくはその前駆体に、酸もしくは塩基を予め吸着させておこなうことも可能である。
例えばペロブスカイト型複合酸化物の超微粒子を作成する際のpHを、ゼータ電位がゼロとなる等電点から離れたpHに設定する。その超微粒子を含む溶液を、担体粒子を含む溶液に混合する。担体粒子をマイクロエマルション法によって合成し、そのマイクロエマルション液にペロブスカイト型複合酸化物の超微粒子の溶液を混合すると、ペロブスカイト型複合酸化物超微粒子の溶液が界面活性剤によって取り囲まれてミセルとして分散させられる。
そして、担体粒子を含むミセルと超微粒子を含むミセルとが衝突して融合すると、それぞれのミセル内の溶液が混合し、しかも各粒子が逆の電位に帯電しているので、担体粒子の表面に超微粒子であるペロブスカイト型複合酸化物粒子が電気的に吸引されて吸着される。担体粒子の表面で、超微粒子が付着した箇所の電位は中和されるが、それ以外の箇所は所定の電位のままになっているので、超微粒子が十分存在していれば、担体粒子の表面におけるほぼ全ての点に超微粒子が吸着される。
また、ミセルの内部の水相で担体となる複合酸化物を合成し、その水相のpHを所定範囲に調整しておき、このマイクロエマルション液に、ペロブスカイト型複合酸化物の超微粒子を生成する金属元素を含む溶液を混合し、担体となる複合酸化物の一次粒子およびこれが凝集した二次粒子を有するミセルの界面もしくはその内部の水相における例えば中和反応により、ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体を生じさせる。その超微粒子は、担体粒子とは逆の電位となるので、生成とほぼ同時に担体粒子の表面に電気的に吸着される。
マイクロエマルション法による上記の吸着過程を図1に模式的に示してある。すなわち、図1は、担体となる酸化物粒子もしくはその前駆体を合成する反応場で、ペロブスカイト型複合酸化物粒子を合成し、かつ吸着する例を示しており、内部に水相を有するミセル(逆ミセル)1が、有機溶媒(オイル)2中に分散させられており、そのミセル1の内部の水相では、加水分解により所定の金属複合酸化物もしくはその前駆体水酸化物もしくは金属酸化物の一次粒子3が生成され、これが凝集して二次粒子4が生成されている。そして、このミセル1内の水相のpHを調整してその一次粒子3もしくは二次粒子4の表面の電位(ゼータ電位)を調整する。そのゼータ電位特性を模式的に示せば、図2のようになる。
上記のミセル1を有機溶媒2中に分散させたマイクロエマルション溶液とは別に、超微粒子原料液5を有機溶媒中に分散させた他のマイクロエマルション溶液を用意する。その超微粒子原料液として、鉄やランタン、セリウム、ジルコニウムマンガンなどの硝酸塩水溶液などを例示することができる。これらの適宜の溶液を有機溶媒中に分散させてW/O型のマイクロエマルション溶液を作成する。そして、これら二つのマイクロエマルション溶液を混合すると、担体粒子を合成する反応場となる上記のミセル1と、水相として上記の超微粒子原料液5を含む他のミセル6とが、有機溶媒2中に分散した状態となるが、このマイクロエマルション溶液を撹拌することにより、また各ミセル1,6がブラウン運動していることにより、これらのミセル1,6同士が衝突して融合する。
その場合、担体となる酸化物粒子を生成する反応場である一方のミセル1の水相に、前記超微粒子原料液5の中和反応のためにイオン(例えば過剰なアンモニウムイオン)を溶解させておくことにより、担体に担持される超微粒子7もしくはその前駆体が中和反応によって生成する。その超微粒子7は、図2に示すように、上記のpH雰囲気でプラスに帯電し、これに対して担体粒子である一次粒子3もしくはその凝集体である二次粒子4がマイナスに帯電しているので、生成した超微粒子7は、直ちに担体粒子もしくはその前駆体に、電気的に吸着される。こうして、超微粒子7が均一かつ密に吸着された二次粒子4が得られ、これが更に互いに凝集して細孔構造の凝集体8を形成する。すなわち、熟成がおこなわれる。その後、公知の洗浄、乾燥などの工程を経て焼成され、超微粒子を担持した触媒粉末とされる。
一方、マイクロエマルション法では、担体粒子とペロブスカイト型複合酸化物超微粒子とを、それぞれ別のマイクロエマルションで合成しておき、これを混合することにより、各マイクロエマルション溶液中のミセルが融合し、その結果、担体粒子にペロブスカイト型複合酸化物の超微粒子が吸着される。その場合も、担体粒子を含むミセルのpHを調整することにより、担体粒子もしくはその前駆体のゼータ電位と超微粒子のゼータ電位とが反対になるので、担体上にペロブスカイト型複合酸化物超微粒子を均一に分散させて吸着させることができる。
このようにして得られた複合酸化物は、その担体となる酸化物粒子を生成した後、これを溶解させるなどの工程がないから、担体を構成している酸化物粒子の結合力が強く、その結果、600〜900℃程度の高温に曝されても劣化しにくく、耐熱性の高い複合酸化物となっている。また、ペロブスカイト型複合酸化物の超微粒子は、担体となる酸化物粒子の表面に電気的な吸引力で吸着され、その状態で洗浄、乾燥、焼成などの処理がおこなわれるので、超微粒子の移動やそれに伴う偏在あるいは濃度の偏りなどが生じにくく、また比表面積も大きいものとなる。したがって、触媒として使用される複合酸化物の場合には、活性のあるペロブスカイト型複合酸化物粒子を均一に担持させて、性能の優れた触媒とすることができる。
特にこの発明に係る排ガス浄化用触媒は、担体となる酸化物の一次粒子同士が凝集して二次粒子を形成しているものの、その一次粒子同士はその表面の一部で接触もしくは融合し、それ以外の表面には、図1に模式的に示すように、ペロブスカイト型複合酸化物の超微粒子が密に吸着されているので、加熱昇温した場合に、一次粒子同士もしくは二次粒子同士のシンタリングが、その微粒子によって阻害もしくは抑制される。そのため、得られた複合酸化物の比表面積が大きい。
担体に担持されているペロブスカイト型複合酸化物粒子の粒径が、担体を構成している酸化物粒子の粒径より小さくなっているこの発明に係る排ガス浄化触媒は、上述したマイクロエマルション法以外の方法によっても製造することができる。その一例は、ペロブスカイト型複合酸化物を形成する金属元素の一種を担体に予め含有させ、またペロブスカイト型複合酸化物を形成する他の金属元素をイオンもしくは錯イオンの形でその担体に付着させ、これを焼成することにより担体との間で固相反応を生じさせ、担体の表面にペロブスカイト型複合酸化物層(もしくは粒子)を生成させる方法である。
その担体に含有させる金属元素は、好ましくは希土類元素もしくはアルカリ土類元素の少なくとも一種であり、より具体的には、ジルコニアをベースとする複合酸化物に、ランタンを10atom%以上含有させる。希土類もしくはアルカリ土類の元素の合計が10atom%未満の場合、ジルコニア担体はペロブスカイトと容易に反応し、耐熱性が低下する。また、他の金属元素は、Fe,Mn,Coの一種または二種以上であり、金属イオンとして、あるいはコハク酸とリンゴ酸と酒石酸とクエン酸とのいずれかの錯イオンとして担体に吸着させる。その吸着のための処理は、上記の担体粉末を、金属イオンまたは錯イオンを含有する溶液に浸漬した後、その担体粉末を引き上げ、余分な溶液を吹き払ういわゆる浸漬法(もしくは含浸法)によればよい。
このようにして金属イオンもしくは錯イオンを吸着させた担体粉末を焼成することにより、担体に含有される希土類元素もしくはアルカリ土類元素と鉄との固相反応によりFe,Mn,Coの一種または二種以上を含むペロブスカイト型複合酸化物が担体の表面に合成される。
このように金属イオンもしくはその錯イオンを、希土類元素もしくはアルカリ土類元素を含有する担体に吸着させた後、固相反応によりペロブスカイト型複合酸化物を担体表面で合成する方法によれば、前述したマイクロエマルション法と比較して、多量の有機溶媒や界面活性剤を使用することがないので、触媒の製造コストを低下させることができる。
〔実施例1〕
最初に以下の3種類の液(担体用マイクロエマルション液、超微粒子原料液、ジルコニウムアルコキシド溶液)を調製する。
まず、15リットルの反応器にシクロヘキサン5.5リットル、ポリオキシエチレン(n=5)ノニルフェニルエーテル0.21kgを混合してよく撹拌した。それにオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO32)0.144モルおよび硝酸イットリウム(Y(NO33)0.0226モル、硝酸ランタン(La(NO33)0.0113モルを溶解した水溶液0.12リットルを加えて室温下でよく撹拌した。オイル(有機溶媒)と界面活性剤との比率(O/S)は110、オイルと水との比率(O/W)は8である。これにより、逆ミセル(油中水型マイクロエマルション、水滴径30nm)が形成され、担体用マイクロエマルション液を調製した。
また、ジルコニウム−n−ブトキシド0.145モルをシクロヘキサン0.2リットルに溶解させたジルコニウムアルコキシド溶液を調製した。
一方で、シクロヘキサン750mlとポリオキシエチレン(n=5)ノニルフェニルエーテル171gを混合してよく撹拌し、これにペロブスカイト型複合酸化物超微粒子の原料液として、硝酸ランタン(La(NO33)0.0692モルと硝酸第二鉄(Fe(NO33)0.0692モルとを溶解した水溶液60mlを加えて室温下でよく撹拌し、マイクロエマルション液を用意した。この超微粒子用のマイクロエマルション液におけるオイル(有機溶媒)と界面活性剤との比率(O/S)は18、オイルと水との比率(O/W)は2.2である。これにより、粒径が3nmの逆ミセル(油中水型マイクロエマルション)が形成された。
続いて、担体となる複合酸化物前駆体を加水分解反応により合成する。
まず、担体合成用マイクロエマルション液中にジルコニウムアルコキシド溶液とアンモニア水を撹拌しながら加え、pHを7.5に調整し、加水分解を開始した。すなわち、有機溶媒中に分散しているミセル内の水相あるいはその境界で加水分解が生じてランタンイットリアジルコニア複合酸化物の一次粒子が生じるとともに、その一次粒子が凝集した二次粒子が生成される。
1分後、超微粒子用マイクロエマルション液を、担体用マイクロエマルション液とジルコニウムアルコキシド溶液との混合液に加え、さらにアンモニア水を加えてpHを9.8に調整した。超微粒子用マイクロエマルション液中の超微粒子の原料液は粒径が3nm程度のミセルとなっているが、これが担体二次粒子の合成反応場となっているミセルと衝突して合一化するので、そのミセル内で中和共沈によりランタン鉄ペロブスカイト型複合酸化物超微粒子が合成される。
その超微粒子は、pH=9.8の雰囲気ではプラスに帯電し、これに対して上記の担体二次粒子はマイナスに帯電する。そのため、ランタン鉄ペロブスカイト型複合酸化物超微粒子は生成するとほぼ同時に、担体粒子(特に二次粒子)の表面に、両者のゼータ電位の相違による電気的作用によって短時間で吸着される。つぎに、水9.6リットルを加え、さらに撹拌しながら約1時間熟成を行った。
その後、母液を濾別し、界面活性剤を除去するために、得られた沈殿をエタノールで3回洗浄し、80℃で一夜乾燥後、大気中400℃で5時間焼成し、さらに大気中800℃で2時間焼成し、ランタンイットリアジルコニア複合酸化物を担体とし、その表面にランタン鉄ペロブスカイト型複合酸化物超微粒子を担持させた排ガス浄化用触媒前駆体を得た。これを、アルミナをベースとするモノリス担体などに、公知の担持方法により担持させて排ガス浄化用触媒を作成した。
〔比較例1〕
アルミナ担体に鉄の微粒子を吸水担持した。先ず、高濃度の硝酸第二鉄水溶液を作成し、これを、アルミナを主体として構成され細孔構造の担体に吸水させ、余分な水溶液を吹き払って鉄を担体に吸着させた。なお、吸水量は、蒸留水を用いて予め計測しておいた量を採用した。その後、250℃の温風によって担体を急速に乾燥し、更に徐々に温度を高くして。600℃で2時間、空気中で焼成し、触媒とした。鉄の担持量は、5wt%であった。
〔比較例2〕
担体としてジルコニアを用いた以外は、上記の比較例1と同様にして触媒を作成した。
〔比較例3〕
担体粒子とペロブスカイト型複合酸化物微粒子とを、それぞれ別のマイクロエマルションで作成し、これを混合して担体粒子にペロブスカイト型複合酸化物粒子を担持させた。すなわち、前述した実施例1と同様にして担体粒子を二次粒子まで合成した。一方、シクロヘキサン2.85リットルとポリオキシエチレン(n=5)ノニルフェニルエーテル105gを混合してよく撹拌し、これにペロブスカイト型複合酸化物超微粒子の原料液として、硝酸ランタン(La(NO33)0.0692モルと硝酸第二鉄(Fe(NO33)0.0692モルとを溶解した水溶液60mlを加えて室温下でよく撹拌し、マイクロエマルション液を用意した。この超微粒子用のマイクロエマルション液におけるオイル(有機溶媒)と界面活性剤との比率(O/S)は110、オイルと水との比率(O/W)は18である。この超微粒子用マイクロエマルション液にアンモニア水を加えて水相のpHを8.2に調整した。その結果、超微粒子用マイクロエマルション液のミセル内で中和共沈が生じてランタン鉄ペロブスカイト型複合酸化物粒子が合成され、その一次粒子が凝集して二次粒子が生成された。その粒径は、5〜10nm程度であった。
これら二つのマイクロエマルション液を混合して10分間程度撹拌するとともに、アンモニア水でpH=9.8に調整すると、各マイクロエマルション液におけミセルが互いに衝突して合一化し、担体二次粒子とペロブスカイト型複合酸化物二次粒子とが混合して担体二次粒子の表面にペロブスカイト型複合酸化物二次粒子が吸着された。
熟成のために約1時間、放置し、その後は前述した実施例1と同様の処理をおこなって排ガス浄化用触媒を得た。
先ず、この発明による触媒である上記の実施例1の触媒について、超微粒子の担持の状態を、超高分解能透過電子顕微鏡によって調べた。その結果、ランタンイットリアジルコニア担体の表面に、担体単独では見られることのない波状の模様が認められ、1nm程度の超微粒子が担体上に付着していることが認められた。その波状の模様は、担体の全体に広がっており、したがって超微粒子が均一に分散して担持され、想定していた構造となっていることが判った。
つぎに、実施例1で得られた触媒について、細孔構造を調べた。すなわち、800℃焼成後の試料の細孔容積分布を、公知の窒素吸着の方法で調べた。その結果を図3に示してある。細孔容積は0.274cc/gであって、細孔直径が11nm付近に細孔容積のピークがあり、触媒として十分な細孔容積、細孔構造であることが認められた。なお、比表面積は、108.8m2/gであり、従来の一般的な排ガス浄化触媒と比較して十分な比表面積を有していることが認められた。
さらに、上述した実施例1、比較例1ないし3の各触媒について、触媒性能を調べた。実施例1の触媒は、初期に800℃で焼成したもの、比較例1および2の触媒は、初期に600℃で焼成したもの、比較例3の触媒は、初期に800℃で焼成したものを使用した。また、一酸化窒素(NO)と一酸化炭素(CO)とをそれぞれ2500ppm含むガスを、空間速度(SV)60000h-1で流通させ、一酸化窒素の50%浄化温度を測定した。その結果を図4に示してある。図4には、初期の50%浄化温度と、2時間、950℃に加熱する熱耐久後の50%浄化温度とを示してあり、アルミナ担体に鉄を担持した比較例1の触媒では、初期および950℃熱耐久後のいずれであっても、浄化温度が高く、触媒としての性能が低かった。特に950℃での熱耐久後では、触媒性能が殆どなくなっていた。
これに対してジルコニアを担体として鉄を担持させた比較例2の触媒は、初期状態の50%浄化温度が400℃程度となり、触媒活性が不十分であった。また、950℃での熱耐久後では、幾分触媒活性を示したが、50%浄化温度が425℃程度であり、低活性であった。
また、マイクロエマルション法(ME法)で合成した担体粒子に、マイクロエマルション法で合成したペロブスカイト型複合酸化物粒子を混合して担持させた比較例3の触媒では、上記の比較例1および2の触媒に比較して、初期および950℃熱耐久後のいずれでも触媒としての性能が高くなったが、いずれの状態でも50%浄化温度が、標準的な排ガス浄化用触媒の初期状態での50%浄化温度である300℃より高い370〜390℃程度になり、実用の点では、不十分な活性であった。なお、ここで、標準的な排ガス浄化触媒とは、担体をアルミナとし、白金(Pt)を1.2g/リットル担持させた触媒である。
これに対して実施例1の触媒では、初期状態での50%浄化温度が300℃より低くなり、高い活性を示した。また、950℃熱耐久後では、50%浄化温度が300℃より高くなるが、325℃程度にとどまり、従来の標準的な排ガス浄化触媒に近い活性が認められた。結局、この発明の排ガス浄化用触媒およびそのための製造方法によれば、ペロブスカイト型複合酸化物超微粒子を触媒活性粒子として十分に機能させ、実用可能な排ガス浄化用触媒を得られることが明らかとなった。したがって、この発明によれば、白金などの貴金属を不必要とし、もしくはその使用量を低減させた排ガス浄化用触媒を得ることができる。
つぎに、固相反応によりペロブスカイト型複合酸化物粒子を合成して担体上に担持させるこの発明の方法を示す。
〔実施例2〕
先ず、硝酸第二鉄を蒸留水に溶解して濃度約4mol/リットルの水溶液を3リットル作成した。また、予め定法により1.3リットルのモノリス基材にランタンジルコニア複合酸化物(LaZrO3.5)担体粉末を150g/リットル、コートしたモノリス担体を用意した。この担体におけるランタン(La)の含有量は、全金属中50atom%である。そのモノリス担体を上記の硝酸第二鉄水溶液に浸漬し、細孔の内部にまで水溶液が十分に入るよう、数分間、上下動させ、ついで引き上げて余分な水溶液を吹き飛ばした。この状態を図5に模式的に示してあり、担体粒子(LaZrO3.5)10の表面に、鉄イオン11が付着している。これを120℃の温風の流通の下で乾燥させ、その後、800℃で2時間焼成した。その結果、吸着させた鉄と担体に含有されるランタンとの固相反応により、ペロブスカイト型の鉄ランタン複合酸化物が担体上に生成され、こうして(Fe)ペロブスカイトモノリス触媒を得た。なお、鉄の担持量は、5wt%である。
〔実施例3〕
窒素ガスでバブリングしながら、硫酸第一鉄水溶液に酢酸バリウム水溶液を反応させ、生成した硫酸バリウムの沈殿を除去して、酢酸第一鉄水溶液(酢酸Fe(II)水溶液)を合成した。このとき、液の安定性を増すために、L−アスコルビン酸などの還元剤を少量添加しておいた。
つぎに、この水溶液にコハク酸とコハク酸アンモニウムを添加し、コハク酸のモル量を鉄のモル量の3倍モルとし、pHを約4.5に調整することにより、Fe(II)コハク酸錯イオンを形成させた。
一方、上記の実施例2と同様のモノリス基材にランタンジルコニア複合酸化物(LaZrO3.5)担体粉末をコートしたモノリス担体を用意し、このモノリス担体を上記の水溶液に浸漬した。モノリス担体の細孔内に水溶液が十分に拡散することを助けるために、モノリス担体を一定間隔で上下動させ、1時間、浸漬を継続した。
その後、上記の実施例2と同様に、モノリス担体から余分な水溶液を吹き飛ばし、これを250℃で1時間、乾燥し、その後、800℃で2時間焼成した。その結果、吸着させた鉄と担体に含有されるランタンとの固相反応により、ペロブスカイト型の鉄ランタン複合酸化物が担体上に生成され、こうして(Fe)ペロブスカイトモノリス触媒を得た。なお、鉄の担持量は、5wt%である。
これら実施例2および3の触媒と、前述した実施例1の触媒、ならびに比較例1および2の触媒について、初期状態と熱耐久後との浄化特性を調べた。初期状態は、800℃で2時間焼成した状態であり、熱耐久は、950℃で2時間、焼成することによりおこなった。また、試験に使用した排ガスの組成および流動条件は、上記の実施例1および比較例1,2についての試験と同様とした。結果を表1に示してある。
Figure 0004687217
この試験結果から明らかなように、実施例2および実施例3の各触媒の熱耐久後の50%浄化温度が低く、触媒性能に優れていることが認められた。特に鉄錯イオンを吸着させた実施例3の触媒にあっては、初期状態および熱耐久後のいずれでも高い触媒性能を示した。
これらのことは、ランタンを含有する担体上に高分散に鉄イオンを吸着し、これを高温で固相反応させて活性の高いペロブスカイト層が触媒の表面に形成されたことを示している。また、実施例3の触媒が、実施例2の触媒よりも性能が高いのは、鉄イオンの分散度の違いによるものと思われる。すなわち、実施例3の触媒では、800℃焼成の初期状態から最も性能が高いが、実施例2では、950℃で焼成した方が性能が高くなっている。分散度が低いと反応に高温を要することを示している。なお、分散度を高くするためには、分子構造の小さいコハク酸やシュウ酸を使用することが有利である。
なお、鉄イオンをコート層に吸着させ、これを固相反応によってペロブスカイト型複合酸化物にする上記の方法では、触媒を作る工程の最後に鉄イオンを担持させることになるので、コート後の熱劣化を抑制することができた。すなわち、コート層を形成する前に鉄イオンを担持すると、コート層を形成するために加熱した際に鉄が溶出してしまい、触媒の全体としての耐熱性を低下させるが、上記の方法では、鉄イオンの担持がコート層を形成した最終の段階であるから、耐熱性の低下を抑制することができるものと考えられる。
この発明の製法の一例における担体粒子に対するペロブスカイト型複合酸化物超微粒子の吸着の過程を模式的に示す図である。 担体粒子とペロブスカイト型複合酸化物超微粒子とのゼータ電位(表面電位)特性を模式的に示す線図である。 実施例1で得られた触媒の細孔容積分布を示す線図である。 実施例1および比較例2,3の各触媒によるNOx50%浄化温度の測定結果を示す図である。 コート層を形成している担体粒子の表面に鉄イオンが吸着されている状態を模式的に示す図である。
符号の説明
3…一次粒子、 4…二次粒子、 7…ペロブスカイト型複合酸化物超微粒子。

Claims (3)

  1. 複合酸化物粒子を集合させて形成された細孔構造の担体上に、NOx浄化能を有しかつ前記担体を形成している粒子より粒径が小さく、その粒径が1nmないし5nmであるペロブスカイト型複合酸化物粒子が均一に分散させられて担持されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子と、前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子とを、互いに反対の電位に帯電させることにより、前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子に前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子を吸着させた後、焼成をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒を製造する方法。
  3. 前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子をマイクロエマルション内で合成するとともに、その合成の反応場の内部で前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子を他のマイクロエマルション内で合成し、同時に前記担体を形成する粒子もしくはその前駆体と前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子とを互いに反対の電位に帯電させることにより、前記担体を形成する前記複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子に前記ペロブスカイト型複合酸化物粒子もしくはその前駆体の粒子を吸着させることを特徴とする請求項2に記載の方法。
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