JPH07116512B2 - 磁気特性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH07116512B2
JPH07116512B2 JP2016105A JP1610590A JPH07116512B2 JP H07116512 B2 JPH07116512 B2 JP H07116512B2 JP 2016105 A JP2016105 A JP 2016105A JP 1610590 A JP1610590 A JP 1610590A JP H07116512 B2 JPH07116512 B2 JP H07116512B2
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昭彦 西本
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、需要家において歪取焼鈍が施される、セミプ
ロセス無方向性電磁鋼板の製造方法に関し、鉄損、磁束
密度ともに優れた電磁鋼板を低コストで製造し得る方法
を提供するものである。
〔従来の技術〕
Si量が1%以下のいわゆる低級無方向性電磁鋼板は、鉄
損値は高いものの磁束密度が高く、また安価であること
から、家庭電気製品用小型モータを中心に多量に使用さ
れている。これら電磁鋼板は、鉄鋼メーカーで所定の磁
気特性を具備させ、需要家で打抜き後そのまま製品に組
み立てられるフルプロセス材と、需要家での打抜き後に
歪取焼鈍が施されて最終の磁気特性となるセミプロセス
材に大別される。
電磁鋼板においては、主として鉄損と磁束密度の二つの
磁気特性が要求されており、これらの磁気特性を決定す
る冶金学的な要因としては、鋼成分、フェライト粒径、
集合組織等種々あることが知られている。鉄損低下のた
めには、Si量を増し固有抵抗を高めることが有効である
が、一定のSiレベルにおいて鉄損値を低下させるために
は、フェライト粒径を増大させることが最も効果があ
る。また磁束密度向上に関しては、磁気特性上好ましい
集合組織を発達させる必要がある。これらを踏まえ、セ
ミプロセス材の磁気特性の向上を図るために、従来、以
下のような技術が開示されている。
熱間圧延後に熱延板焼鈍を行う技術(例えば、特開昭
57−203718号) 熱延高温巻取により自己焼鈍を行う技術(例えば、特
開昭54−76422号) 二冷圧、二回焼鈍を行う技術 焼鈍後に調質圧延を行う技術 AlNの析出を利用し粒径を粗大化する技術(特公昭50
−8976号、特開平1−139720号) 上記した各種技術の中で、の方法は熱延板段階での焼
鈍により冷圧、焼鈍後のフェライト粒径を増大すること
により鉄損の低下を図り、また集合組織の改善により磁
束密度をも向上させようとするものであるが、新たに焼
鈍工程が加わるため、大幅なコスト上昇は免れ得ない。
の方法は圧延後の熱延板が保有する熱で自己焼鈍を行
うものであり、コスト面ではよりも有利である。しか
し、この方法により効果を得ようとする場合には、巻取
温度を極めて高くする必要があり、このため安定した操
業は困難であり、またコイル全長にわたり均一な特性を
得ることが難しい。さらに、巻取時の内部酸化により表
面性状が劣化するという問題もある。
の方法はの方法以上に工程を増加するため、大幅な
コスト上昇となり、低級電磁鋼板の使命である低コスト
化と相反する製造法である。
の方法は鉄鋼メーカーでの焼鈍(以下、仕上焼鈍とい
う)後、更に調質圧延を施し、歪誘起により需要家での
歪取焼鈍時の粒成長性を向上させ、低鉄損化を図ろうと
するものである。しかし、この方法においても調質圧延
の工程が加わるため、コスト上昇につながる。また調質
圧延率が大きいため、耳波、中伸び等の形状不良を引き
起こすという問題がある。
の方法は、AlNの析出を利用したもので、仕上焼鈍ま
まではAlNのピンニング効果により細粒とし、歪取焼鈍
時にAlNのピンニングを解除することにより、粗大なフ
ェライト粒を出現させ、低鉄損化をはかる技術である。
このうち特公昭50−8976号はC量を0.005wt%以上含有
させ、仕上焼鈍時のAlN析出を円滑化するものである
が、Cによる磁気時効を回避するためには、脱炭雰囲気
で焼鈍を行わねばならず、生産効率は大きく低下する。
また高C材を用いることにより、仕上焼鈍中のAlNの析
出の円滑化効果を利用するにもかかわらず、一方で脱炭
により低C化する、という相反する現象を同時に行わせ
ようとする製造法であり、このため、AlNの析出状態を
安定化することが難しく、粗大化も安定し難い。また、
単にフェライト粒の粗大化による低鉄損化のみを狙った
ものであるため、磁気特性のもう一方の指標である磁束
密度は、歪取焼鈍後も同等もしくは、低下する傾向にあ
る。また、特開平1−139720号は、前記技術と同様に単
にフェライト粒を粗大化して低鉄損化を指向したもので
ある。このため、仕上焼鈍温度も単に打抜き性の観点だ
けから700℃以下の低温焼鈍としているが、この焼鈍温
度では後述するような磁束密度の向上効果は見られず、
低いレベルとなる。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述のAlNの析出を利用したフェライト粒の粗大化技術
は、大幅なコスト上昇を招くことなく一応の低鉄損化は
達成され、鉄損改善に関しては有効な技術である。しか
し、磁束密度に関しては決して満足のいくレベルではな
い。特に、本発明が対象としている小型モータの分野に
おいては、低磁束密度材ではモータのより一層の小型化
が達成できず、また使用時の電流の増加にもつながるた
め、トータルの商品特性として見た場合、高い評価は得
られない。このため低コストのメリットを生かしつつ、
鉄損、磁束密度とともに優れた電磁鋼板の開発が待たれ
ていた。
本発明は前述した従来法の問題に鑑み、低コストの製造
方法により、歪取焼鈍後に一層の低鉄損化を可能とする
とともに、磁束密度が著しく高いセミプロセス無方向性
電磁鋼板の製造方法を提供せんとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、需要家での歪取焼鈍を前提としたセミプ
ロセス無方向性電磁鋼板において、コストの上昇なしに
低鉄損化と高磁束密度化を両立すべく、実験、研究を重
ねてきた。その結果、鋼成分と熱延巻取温度の両者の規
定により、仕上焼鈍前のAlNの固溶状態を最適化し、且
つその後の仕上焼鈍において、鋼成分に対し加熱速度及
び温度を最適化して連続焼鈍することにより、AlNの析
出と再結晶の進行を適切にマッチングさせ、歪取焼鈍後
の磁気特性、特に磁束密度を優れたものにできることを
新たに見いだし、本発明を完成させるに至ったものであ
る。
すなわち、本発明の特徴は、C:0.005wt%以下、Si:0.1
〜1.0wt%、Mn:0.25wt%以上、P:0.03%以上、Sol.Al:
0.004〜0.080wt%、N:0.001〜0.005wt%、残部Fe及び不
可避的不純物からなり、且つSol.Al含有量とN含有量と
の原子量比率が、 2〔Sol.Al(at%)/N(at%)〕20 を満足する成分組成のスラブを1150℃以上に加熱、熱間
圧延後、鋼板を、 450CT−7.5{Al(at%)/N(at%)}+650 (℃) の範囲の巻取温度CTで巻取り、該鋼帯を酸洗、冷間圧延
後、 5HR40 (℃/s) の範囲の加熱速度HRで加熱し、720℃以上の均熱温度で
連続焼鈍するようにしたことにある。
〔作用〕
以下、本発明の構成及びその限定理由について詳細に説
明する。
まず、鋼の成分組成の限定理由について説明する。
C:Cを多量に含有させると、仕上焼鈍時もしくは歪取焼
鈍時に脱炭焼鈍を行う必要が生じ、生産性が低下する。
また同時に、脱炭の進行程度によりAlNの析出状態が影
響を受け不安定となる。このような脱炭焼鈍を不要と
し、AlN析出の安定化と磁気時効防止のため、C:0.005wt
%以下の極低炭素鋼とする。
Si:Siの増加は固有抵抗を高め鉄損を低下させる効果が
大きいため、その下限を0.1wt%とする。但し、1wt%を
超えると飽和磁束密度を低下させ、またコストの上昇を
招くため、上限は1wt%とする。
Mn:本発明において、Mnは集合組織改善のために重要な
成分である。後述するように、Mn量が0.25wt%未満では
フェライト粒の粗大化により低鉄損化は達成されるもの
の、加熱速度を最適化しても集合組織は改善されず、磁
束密度は向上しない。このため下限を0.25wt%とする。
但し、Mn量を徒らに増大させてもコスト上昇を招くだけ
であり、このためMnは2%を上限に添加することが好ま
しい。
P:通常Pは打ち抜き性改善のために添加される場合が多
いが、本発明では仕上焼鈍時のAlNの析出を促進、安定
化する元素として必須の成分として規定する。Pが0.03
wt%未満では、仕上焼鈍前のAlNの固溶状態を適正化し
ても十分なAlNの析出が得られず、フェライト粒の粗大
化が実現されない。このため下限を0.03wt%とする。但
し、脆化による圧延性、打抜性の低下を防止するという
観点からは、Pは0.5wt%以下とすることが望ましく、
さらに、Pを添加すると粒成長性抑制効果が強まること
から、この点も勘案した場合には、0.3wt%をその上限
とすることが好ましい。
Sol.Al:Sol.Alは本発明において最も重要な元素であ
る。本発明は、仕上焼鈍時における微細なAlNの析出に
よる粒界のピンニング効果と集合組織改善効果を利用す
るものである。このためSol.Al量は微細AlNの析出に適
した0.004〜0.080wt%に限定する。0.004wt%未満では
必要なAlNの析出量が得られない。一方、0.080wt%を超
えると析出したAlNが凝集、粗大化するためにピンニン
グ効果が利用できない。
N:NもAlNの析出に影響を与える元素である。0.001wt%
未満では十分なAlNの析出が得られない。一方、0.005wt
%を超えると磁気特性を劣化させる。
Sol.Al(at%)/N(at%):前記のようにAlNの析出に
関してはAl量、N量が影響を及ぼすが、個々の含有量に
よってAlNの析出が一義的に決まるのではなく、Al量と
N量の存在比率によりAlNの析出量、大きさおよび分布
形態が決まってくる。Sol.AlとNの原子量比率[Sol.Al
(at%)/N(at%)](以下、単に[Al/N]と記す)が
2未満ではピンニングに必要なAlNの析出量が得られな
い。また[Al/N]が20を超えると一旦析出したAlNが凝
集、粗大化してしまうため、本発明において重要な要素
である微細AlNを生じ得ない。
次に、本発明の成分条件および加工、処理条件をAlN固
溶の最適化、高磁束密度化の観点から説明する。
(AlN固溶の最適化) 本発明では上述のような成分組成の鋼を熱間圧延に供す
る。熱間圧延時の加熱温度については、AlNの固溶を十
分に促進するために1150℃以上の温度での加熱を必須と
する。
本発明では、仕上焼鈍前にAlNの固溶を充分なものとす
ることが必須条件であり、且つAlNの固溶を熱延板段階
での溶体化焼鈍なしに低コストで実現しようとするもの
である。このためには、熱間圧延後の巻取温度を適切な
範囲に管理し、巻取中におけるAlNの析出を抑制するこ
とが重要なポイントとなる。この点を明らかにするた
め、以下の試験を行った。
第1表に示すようなAl量とN量を各々変えた鋼A1〜A8の
スラブを、1250℃に加熱して熱間圧延後、450〜700℃の
間の温度で巻取を行った。引き続き酸洗、冷間圧延を施
して0.5mmの板厚とした後、10℃/sの加熱速度で820℃×
1.5分の連続焼鈍により仕上焼鈍を行った。第1図は、
これら鋼板について、加熱速度5℃/分、750℃/2hr均
熱の条件で歪取焼鈍を行った後の鉄損(W15/50)に及
ぼす[Al/N]と巻取温度の影響を調べたものであり、ま
た、第2図の写真は500℃巻取の鋼A1、A4、A8の歪取焼
鈍後のフェライト組織を示す。第1図から明らかなよう
に、歪取焼鈍後の鉄損が5W/kg未満の良好な領域は[Al/
N]の巻取温度の両者に依存している。[Al/N]が2未
満の領域においては、いずれの巻取温度においても鉄損
5.0W/kg未満は達成されておらず、逆に同一巻取温度で
見た場合、[Al/N]が一定レベル以上でも鉄損5.0W/kg
以上となっており、最適[Al/N]の領域が存在すること
がわかる。この[Al/N]の最適領域は、巻取温度の低下
に伴って拡大している。すなわち[Al/N]に対し[−7.
5{(Al)/(N)}+650]℃以下の温度で巻取れば、
鉄損5.0W/kg未満が達成可能であることが明らかとなっ
た。これはAlNの析出状態とフェライト粒の粗大化に起
因している。第2図の写真に示すように、[Al/N]が2
未満の領域では、低温巻取であってもAlNの析出が少な
いためフェライト粒の粗大化は発生しない。一方[Al/
N]が高い場合や、巻取温度が高い場合は、AlNの析出は
起こるもののAlNが凝集、粗大化するため、やはりフェ
ライト粒の粗大化は起きない。これに対し、[Al/N]と
巻取温度が本発明が規定する範囲にある場合には、微細
AlNのピンニングが解除される際の粒成長駆動力により
フェライト粒が粗大化し、低鉄損化が達成される。
本発明ではこれらの結果を踏まえ、[Al/N]を2〜20と
規定するとともに、巻取温度を[−7.5{(Al/(N)}
+650]℃以下に規定するものである。
なお、巻取時のAlN析出制御に関しては、巻取温度の低
下が有効であるが、巻取温度を極度に低温化すると安定
した操業が困難となり、また水冷却時の冷却むらに起因
する板厚変動などの形状不良を生ずるため、下限を450
℃に限定する。
本発明のように連続焼鈍においてAlN析出を安定的に制
御するためには、Alの固溶状態の最適化だけでなく、更
にAlNの析出を促進する手段を講ずる必要がある。この
ために種々の方法について検討した結果、Pの添加が最
も有効であることが明らかとなった。第1表に示すよう
なP量を変化させた鋼B1〜B6のスラブを、1200℃に加熱
して熱間圧延後、500℃で巻取り、引き続き酸洗、冷圧
を行い0.5mm厚の板厚とした。その後10℃/sの加熱速度
で800℃×2分の連続焼鈍を行い、更に加熱速度5℃/
分、均熱750℃/2hrの条件で歪取焼鈍を行った。第3図
に、このようにして得られた鋼板の鉄損(W15/50)に
及ぼすPの影響を示す。図のように、Pが0.03wt%以上
では歪取焼鈍時のフェライト粒が粗大化することによ
り、鉄損が5.0W/kg以下と良好な値を示す。一方、Pが
0.03wt%未満では、正常粒成長による粒径増大だけで、
粗大粒は発生しない。他の[Al/N]の鋼についても同様
に調査したが、いずれもPが0.03wt%未満ではフェライ
ト粒の粗大化は起きなかった。
(高磁束密度化) 前述のように鋼の成分組成、巻取温度を規制することに
より、仕上焼鈍前のAlNの固溶状態を最適化し、また微
細AlNの析出を促進することで、フェライト粗大化によ
る低鉄損化は達成できるが、これだけでは高磁束密度化
は達成できない。このため本発明者らは、粗大化の利点
は残しつつ、磁束密度を向上させる方法について検討を
重ねた結果、Mnを一定レベル以上含有させ、仕上焼鈍条
件を最適化、特に加熱速度を適切に選ぶことにより、歪
取焼鈍後に高磁束密度化が達成されることを新たに見い
出したものである。以下、本発明の最も重要な要件であ
る仕上焼鈍条件について説明する。
第2表に示す鋼C4のスラブを1250℃に加熱、熱間圧延
後、500℃で巻取り、引続き酸洗、冷間圧延により0.5mm
の板厚とした。この鋼板を1〜100℃/sの加熱速度で850
℃×2分の連続焼鈍により仕上焼鈍を行った。第4図は
これら鋼板の仕上焼鈍後と、加熱速度10℃/分、750℃
×2hr均熱の歪取焼鈍後の鉄損(W15/50)と磁束密度
(B50)に及ぼす加熱速度の影響を調べたものである。
図に示されるように、鉄損、磁束密度ともに加熱速度依
存性が見られる。
鉄損の挙動は、加熱速度が5℃/sと50℃/s前後を境とし
て3つの領域に分けられる。
加熱速度3℃/s未満の低加熱速度領域は、仕上焼鈍まま
では鉄損が最も低く、歪取焼鈍による変化も小さい。こ
れは仕上焼鈍中にAlNのピンニングが弱まり、仕上焼鈍
段階で既に二次再結晶が起き、フェライト粒が粗大化す
るためである。このため歪取焼鈍による変化も小さい。
逆に、加熱速度が60℃/s以上の高加熱速度領域は、仕上
焼鈍ままでは中間領域よりも鉄損は低いが、歪取焼鈍後
は3つの領域中で最も高い。これは、仕上焼鈍段階では
AlN析出よりも再結晶、粒成長が先行するためAlNの粒成
長抑制効果が弱まり、ある程度粒成長するが、歪取焼鈍
ではAlNが粒成長を抑制するものの、正常粒成長しか起
きないため鉄損低下量が小さいためであると考えられ
る。
一方、加熱速度5〜40℃/sの中間領域では、仕上焼鈍時
に微細AlNが析出するものの、二次再結晶が起きないた
め粒径が小さく高い鉄損値となる。しかし、歪取焼鈍時
に微細AlNのピンニングが解除されることによるフェラ
イト粒の粗大化効果と、後述する集合組織改善効果が相
まって、鉄損が大幅に低下する。
また、磁束密度については、まず5℃/s未満の低加熱速
度領域では、仕上焼鈍ままにおいては既にフェライト粒
が粗大化し、磁束密度が低い。そして、歪取焼鈍後も変
化は小さく、ほぼ仕上焼鈍ままの特性である。加熱速度
が5℃/s以上の加熱速度領域は、仕上焼鈍ままでは低加
熱速度よりも高い磁束密度を示すが、特に、歪取焼鈍後
は著しい加熱速度依存性が見られる。すなわち、加熱速
度50℃/s以上の領域は歪取焼鈍で粗大化は起きず、磁束
密度の変化は小さい。それに対し加熱速度が5〜40℃/s
の中間領域では歪取焼鈍により磁束密度が著しく向上
し、優れた特性を示している。
このような現象の詳細は必ずしも明らかではないが、中
間加熱速度領域では、仕上焼鈍時の回復、再結晶の初期
において微細AlNが適切な時期に析出することにより、
再結晶粒の成長に選択性を与え、その結果、集合組織形
勢に影響を及ぼし、磁気特性に有利な{100}、{110}
面強度が高まり、磁気特性に不利な{111}面の増加が
抑制されることによるものと考えられる。これに対し、
低加熱速度の場合はAlNの析出が先行するため、また逆
に、高加熱速度領域では再結晶、粒成長が先行するた
め、それぞれこのような集合組織改善が実現されない。
通常の二次再結晶による粗大化では{111}面強度が強
くなりがちであるが、本発明のように、仕上焼鈍段階で
細粒且つ、{100}、{110}面成分が多い場合、歪取焼
鈍時の二次再結晶においても{100}、{110}面の結晶
粒の発生頻度が高まり、粗粒であるにもかかわらず、歪
取焼鈍後の磁束密度が向上するものと思われる。
次に、これら加熱速度の集合組織への影響について更に
詳細に検討したところ、単に加熱速度を最適化しただけ
では安定した高磁束密度化は実現できず、更にMnを一定
以上含有させ、焼鈍温度も適正化する必要があることが
明らかとなった。第2表に示すようなMn量の異なる6種
の鋼C1〜C6について、先に述べた鋼C4と同様の工程によ
り0.5mm厚の鋼板とした。これら鋼板を種々の加熱速度
で700〜850℃の温度で2分間均熱の仕上焼鈍を行い、更
に加熱速度10℃/分、750℃×2hr均熱の条件で歪取焼鈍
を行った。第5図は加熱速度10℃/sで仕上焼鈍を行った
場合の歪取焼鈍後の磁束密度(B50)を1.80で類別した
ものである。図に示されるように焼鈍温度が700℃と低
い場合や、Mn量が0.25wt%未満の場合、加熱速度が最適
であるにもかかわらず、高磁束密度化は達成されない。
すなわち、焼鈍温度が低い場合は、AlNの析出時期を適
正化しても、粒成長の進行が不充分であるため集合組織
は改善されない。また、Mn量が低い場合は、再結晶初期
においてAlNとMnの相互作用による再結晶粒の選択現象
が起きないため、粒成長が充分であってもやはり集合組
織は改善されない。
以上のようにMnを一定量以上含有させ、加熱速度と焼鈍
温度を最適化し、AlNの析出時期と再結晶の進行のタイ
ミングを適切にマッチングさせることにより、低鉄損と
高磁束密度を両立させることが可能であることが明らか
となった。このため本発明では、その効果の最も大きい
加熱速度5〜40℃/sの範囲で、焼鈍温度720℃以上を最
適仕上焼鈍条件として規定する。
〔実施例〕
第3表に示す6種の成分組成の鋼を220mm厚のスラブと
し、第4表に示した熱延条件で熱間圧延を行い、引き続
き酸洗、冷間圧延を行い、板厚0.5mmの鋼板とした。こ
れら鋼板について、第4表に示した焼鈍条件により、仕
上焼鈍と歪取焼鈍を行った。なお、仕上焼鈍時の均熱時
間はいずれの条件においても2分と一定である。第4表
の右欄にこれら鋼板の仕上焼鈍まま及び歪取焼鈍後の鉄
損(W15/50)と磁束密度(B50)を示す。同表から明ら
かなように、本発明条件の成分、巻取温度、加熱速度に
より製造した鋼板は、歪取焼鈍後の磁気特性が良好で非
常に優れた鉄損、磁束密度バランスとなっている。特に
磁束密度に関しては0.22%Si材(鋼種G)では1.81以
上、0.78Si材(鋼種H)で1.79以上を達成している。一
方、本発明条件外の成分の場合(実施No.2、3、21、2
2)及び条件外の巻取温度の場合(実施No.4、12、13)
は、低鉄損化すら達成されていない。また本発明条件外
のMnレベル、加熱速度の場合(実施No.1、6、11、14、
15、20)はある程度低鉄損化しているが、磁束密度は低
い。
〔発明の効果〕 以上のように本発明法によれば、セミプロセス無方向性
電磁鋼板の製造において、熱延板焼鈍や、調質圧延の工
程追加といったコストアップを招く手段を用いることな
く、また表面性状の劣化や、調質圧延による平坦度の悪
化といった商品特性を劣化することなく、高い生産効率
で、鉄損、磁束密度ともに非常に優れた電磁鋼板を提供
でき、その産業上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】 第1図は歪取焼鈍後の鉄損(W15/50)に及ぼすSol.Al
量とN量との原子量比率[Al(at%)/N(at%)]と巻
取温度の影響を示すグラフであり、第2図はその時の代
表的試料のフェライト金属組織の光学顕微鏡拡大写真で
ある。第3図は歪取焼鈍後の鉄損に及ぼすPの影響を示
すグラフである。第4図は磁気特性と仕上焼鈍時の加熱
速度との関係を示すグラフ、第5図は歪取焼鈍後の磁束
密度(B50)に及ぼすMn量と焼鈍温度の影響を示すグラ
フである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.005wt%以下、Si:0.1〜1.0wt%、Mn:
    0.25wt%以上、P:0.03%以上、Sol.Al:0.004〜0.080wt
    %、N:0.001〜0.005wt%、残部Fe及び不可避的不純物か
    らなり、且つSol.Al含有量とN含有量との原子量比率
    が、 2[Sol.Al(at%)/N(at%)]20 を満足する成分組成のスラブを1150℃以上に加熱し、熱
    間圧延後、鋼帯を、 450CT−7.5{Al(at%)/N(at%))+650 (℃) の範囲の巻取温度CTで巻取り、該鋼帯を酸洗、冷間圧延
    後、 5HR40 (℃/s) の範囲の加熱速度HRで加熱し、720℃以上の均熱温度で
    連続焼鈍することを特徴とする磁気特性の優れたセミプ
    ロセス無方向性電磁鋼板の製造方法。
JP2016105A 1990-01-29 1990-01-29 磁気特性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JPH07116512B2 (ja)

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