JPH07116241B2 - 米糠由来生理活性多糖ronの製造法 - Google Patents

米糠由来生理活性多糖ronの製造法

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JPH07116241B2
JPH07116241B2 JP1029383A JP2938389A JPH07116241B2 JP H07116241 B2 JPH07116241 B2 JP H07116241B2 JP 1029383 A JP1029383 A JP 1029383A JP 2938389 A JP2938389 A JP 2938389A JP H07116241 B2 JPH07116241 B2 JP H07116241B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は優れた抗腫瘍活性,免疫調節活性並びに感染防
御活性を有する生理活性多糖RONを米糠から効率よく抽
出、精製することからなる生理活性多糖RONの製造法に
関する。
〔従来の技術〕
本発明に係る生理活性多糖RONおよび米糠から該生理活
性多糖RONを抽出する方法は既に特公昭62−7173号公報
に開示されている。
従来の方法では、米糠を水と混合後、直ちに加熱して熱
水抽出することが特徴であった。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の技術では目的とする生理活性物質が質的にも量的
にも安定して得にくいところに欠点があった。すなわ
ち、原料としての品種,収穫年度,産地あるいは抽出法
等の差により目的とする生理活性物質の含有量や抽出さ
れ易さ,物理化学的性質,生理活性等にバラツキがあ
り、安定した品質のものを安定した高い収率で得ること
が困難であった。
本発明ではこの点を解決するため、抽出原料としての米
糠を高濃度蔗糖溶液中に浸漬し一定温度で一定期間保持
することにより目的とする生理活性多糖RONを蓄積さ
せ、その後加熱抽出,溶媒沈澱を行い、必要に応じてイ
オン交換処理等の精製手段を順次適用して安定した高い
収率で物理化学的,生物学的性質の一定した生理活性多
糖RONを得ようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明は米糠を濃度5〜30%の蔗糖溶液に浸
漬して1〜7日間保持した後、該米糠懸濁液を熱水抽出
して得た抽出液に極性有機溶媒を加え、生じた沈澱を分
取し、必要に応じて精製処理を行うことを特徴とする下
記の物理化学的性質を有する生理活性多糖RONの製造法
を提供するものである。
(1) 性状:白色の無晶性粉末で無味無臭 (2) 溶解性:水に可溶、濃度を上げると乳白色で粘
稠な溶液となる。ホルムアミド,ジメチルスルホキシド
に可溶、アルコール,アセトン,ベンゼン,酢酸エチ
ル,ヘキサン,クロロホルム,四塩化炭素に不溶 (3) 水溶液のpH:中性ないし弱酸性 (4) 構成糖:グルコースのみ (5) 元素分析値:C:44.0〜45.0%,H:6.1〜6.3% (6) 構造:α−1,6結合を主鎖としたα−グルカン
で少量の1,3,6位分岐構造を有する。
(7) 蛋白質:殆んど含有せず (8) 分子量:2,000万以上(セファロース−2B ゲル
濾過法による) (10) 呈色反応:アンスロン硫酸反応,フェノール硫
酸反応が陽性、ビューレット反応,ローリー・フォーリ
ン反応,エルソン・モルガン反応,ヨード反応が陰性 (11) 融点:明確な融点を示さない。
(12) 第1図のような紫外部吸収スペクトルを示す。
(13) 第2図のような赤外部吸収スペクトルを示す。
(14) 第3図のような13C−NMRスペクトルを示す。
本発明に用いられる原料米糠は通常の精米において発生
する米糠であり、当該米糠の発生源である玄米の品種,
産地,収穫年度,精白歩合等を問われないが、抽出に先
立って原料中に混在する砕米等はできるだけ除去してお
くことが望ましい。
砕米等の混在物をできるだけ除去した原料米糠に対して
重量比で2〜50倍量、好ましくは4〜20倍量の蔗糖溶液
を加える。この蔗糖溶液は抽出液の腐敗を防ぎ、生理活
性多糖RONの蓄積を促進するためのもので蔗糖濃度は5
〜30%、好ましくは10〜20%が望ましい。ここで、蔗糖
は通常食用とする上白糖,黒糖,糖蜜,廃糖蜜,試薬用
サッカロース等のいずれも使用できる。
高濃度蔗糖溶液と米糠を混合し、よく撹拌した後、静置
しておいてもよいが、容器内の温度分布,物質分布をで
きるだけ均一にするためゆるやかに撹拌することが好ま
しい。保持温度は10〜45℃、好ましくは20〜30℃であ
り、保持期間は1〜7日、好ましくは2〜4日である。
所定の保持期間が終了した米糠懸濁液を熱水抽出工程に
移す。このときの加熱処理は50〜200℃、好ましくは100
〜150℃の温度で10分〜10時間、好ましくは30分〜5時
間行なうのが適当である。
加熱処理により得られた抽出液は濾過あるいは遠心分離
等の操作によって固形分と分離し、必要に応じて適当な
手段、例えば減圧濃縮,限外濾過等の手段を単独もしく
は組み合わせて行ない抽出液を適当量まで濃縮する。ま
た、抽出液中に存在する澱粉や蛋白質はそれぞれ澱粉分
解酵素(アミラーゼ)や蛋白分解酵素(プロテアーゼ)
を適宜作用させて分解,除去することが後の精製工程の
負荷を軽くするためにも望ましい。
このようにして不純物及び沈澱物を可及的に除去した清
澄な抽出液に極性有機溶媒を加えて目的物質を沈澱させ
回収する。ここで用いる極性有機溶媒としてはメタノー
ル,エタノール,アセトン等が使用可能である。極性有
機溶媒の使用量は抽出液中の目的物質の含有量によって
も変動するが、メタノールを用いる場合を例にすると、
メタノール濃度が30〜50%(v/v)になるように添加す
ればよい。生じた沈澱は濾過,遠心分離,傾斜法などに
よって固型物として回収することができる。一般に1回
の溶媒沈澱では不純物をまきこんで純度を劣ることが多
いので、必要に応じてこの操作を数回くり返すことが望
ましい。すなわち、メタノール等の溶媒添加により生じ
た沈澱を回収し、沈澱前と同量の水に溶かし、第1回目
と同濃度になるよう再度メタノール等の溶媒を添加して
目的物質を沈澱させる。この操作を数回くり返すことに
より、目的物質である生理活性多糖RONの純度は大幅に
向上する。
このようにして得られた生理活性多糖RONについてさら
に精製が望まれる場合、前記の操作により得られた生理
活性多糖RONを含む水溶液を陰イオン交換体であるアン
バーライトIR−4B ,DEAE−セファロース ,DEAE−トヨ
パール 等を充填したカラムにかけ水で溶出させたとき
吸着されずに溶出される画分を集め、精製水に対して十
分透析して無機イオンを除いた後、凍結乾燥,噴霧乾
燥,極性有機溶媒による沈澱などを行なって白色粉末状
の目的物質である生理活性多糖RONを得ることができ
る。
このようにして得られた生理活性多糖RONは次の様な物
理化学的性質を有している。
(1) 性状:白色の無晶性粉末で無味無臭 (2) 溶解性:水に可溶、濃度を上げると乳白色で粘
稠な溶液となる。ホルムアミド,ジメチルスルホキシド
に可溶、アルコール,アセトン,ベンゼン,酢酸エチ
ル,ヘキサン,クロロホルム,四塩化炭素に不溶 (3) 水溶液のpH:中性ないし弱酸性 (4) 構成糖:グルコースのみ (5) 元素分析値:C:44.0〜45.0%,H:6.1〜6.3% (6) 構造:α−1,6結合を主鎖としたα−グルカン
で少量の1,3,6位分岐構造を有する。
(7) 蛋白質:殆んど含有せず (8) 分子量:2,000万以上(セファロース−2B ゲル
濾過法による) (10) 呈色反応:アンスロン硫酸反応,フェノール硫
酸反応が陽性、ビューレット反応,ローリー・フォーリ
ン反応,エルソン・モルガン反応,ヨード反応が陰性 (11) 融点:明確な融点を示さない。
(12) 第1図のような紫外部吸収スペクトルを示す。
(13) 第2図のような赤外部吸収スペクトルを示す。
(14) 第3図のような13C−NMRスペクトルを示す。
次いでこの多糖RONの生物活性について述べる。
本発明により得られる生理活性多糖RON(以下、Aと略
記する。)は、抗腫瘍活性,免疫調節活性,感染防御活
性等の種々の生理活性を有していることが判明した。以
下にそれぞれの生理活性についてその検定法および後述
する実施例1で得られたAを投与した実験での検定結果
について詳述する。
(1) 抗腫瘍活性について (イ)同系腫瘍メス−Aに対する生理活性多糖RONの腹
腔投与の効果 6週令メス,平均体重20gのBALB/C−CRJマウスに1週
間、同系のマウスの腹腔内で継代した癌細胞メス−Aを
マウス1匹当り1×105個を腹腔内に移植し、対照群20
匹(1群),試験群各10匹(3群)の計4群に分けた。
癌細胞を移植した翌日から連続5日間、試験群には生理
食塩水に溶解したAをマウス1匹の体重1kg当り各10,3
0,100mgを0.1mlずつ腹腔内に投与し、対照群には同様に
して生理食塩水のみを投与した。以後、生存日数を観察
し、延命効果を次式により算出した。
(ロ)同系腫瘍メス−Aに対する生理活性多糖RONの経
口投与の効果 6週令メス,平均体重20gのBALB/C−CRJマウスに1週
間、同系のマウスの腹腔内で継代した癌細胞メス−Aを
マウス1匹当り6×104個を右腋下皮下に移植し、対照
群20匹(1群),試験群各10匹(3群)の計4群に分け
た。癌細胞を移植した翌日から連続10日間、試験群には
生理食塩水に溶解したAをマウス1匹の体重1kg当り各1
0,30,100mgを0.2mlずつ経口ゾンデを用いて胃内に投与
し、対照群には同様にして生理食塩水のみを投与した。
癌細胞を移植してから35日後に各マウスを屠殺し、増殖
した腫瘍を切り出し重量を測定した。なお、阻止率は次
式により算出した。
上記(イ),(ロ)の方法により検定したAの抗腫瘍効
果は下表の通りであった。
上表より明らかなように腹腔投与,経口投与ともにマウ
ス体重1kg当たり30mg付近を至適投与量としてAは強い
抗腫瘍活性を有していることが判明した。
その他にAは同系腫瘍ルイス肺癌、メラノーマB−16,
同種腫瘍ザルコーマ180,エールリッヒ腫瘍等に対し、投
与量10〜100mg/kgの範囲で腹腔投与または経口投与によ
り腫瘍阻止率30〜70%の効果が確認されている。また、
Aを適当なプラズマーと組合わせてマウスに投与する
と、その血清中にL−929細胞に対する細胞傷害活性や
メス−A固形腫瘍に対する壊死作用を誘導し、また担癌
マウスの生体内にも腫瘍壊死因子を自己誘導することが
確認された。したがってAは後述するように毒性が全く
みられない点とも合わせて極めて有効な抗腫瘍剤となり
うると考えられる。
(2) 免疫調節活性について (イ)カーボンクリアランステスト(CCT) 本法は免疫調節作用のうち細網内皮系の亢進作用につい
て調べる方法である。
4週令メス,平均体重20gのICR−CRJマウス1群6匹
に、生理食塩水に溶解したAを2日間腹腔投与し(対照
群は生理食塩水のみを投与)、3日目にカーボン液(ペ
リカン製黒インク,商品名:ファウント インディアを
生理食塩水で5倍に希釈した液)をマウス尾静脈より0.
25ml注入し、注入直後および10分後に眼窩静脈叢より0.
025ml採血し、3.5mlの0.01モル炭酸ナトリウム溶液に懸
濁溶解させ、650nmにて吸光度(OD650)を測定し、血中
カーボン濃度の減少率を調べた。効果は次式に示す貪食
係数で表わした。
※T1時におけるOD650をC1,T2時におけるOD650をC2とす
る。
なお、担癌マウムについてAの投与開始より7日前にザ
ルコーマ180細胞を1×107個大腿部筋肉に移植し、以下
同様に試験した。結果は下表の通りであり、正常にマウ
ス,担癌マウスともにAの10〜30mg/kg、特に30mg/kgの
投与によりマウスの細網内皮系の機能が亢進しているこ
とが判明した。
(ロ)プラークフォーミングセル法(PFC) 本法による免疫調節作用のうち、宿主のB細胞の賦活に
よる抗体産生能の増強効果を調べるものである。
4週令メス,平均体重20gのICR−CRJマウス1群6匹
に、生理食塩水に溶解したAを3日間連続して腹腔に投
与し(対照群は生理食塩水のみを投与)、4日目と11日
目にそれぞれ羊赤血球4×108個を尾静脈より注入感作
せしめ、その4日後にカニンガムの方法でマウス脾細胞
のプラーク形成能を測定した。
結果は下表の通りであり、Aは10〜100mg/kgの投与によ
り抗体産生能を著しく増強していることが示された。
(ハ)遅延型皮膚反応法(DHR) 本法は免疫調節作用のうち宿主のT細胞の賦活による細
胞性免疫の作用の増強効果を調べるものである。
8週令メス,平均体重27gのICR−CRJマウス1群6匹
に、生理食塩水に溶解したAを8日間連続して経口投与
し(対照群は生理食塩水のみを投与)、投薬開始後4日
目にマウスの剃毛腹部に5%塩化ピクリルエタノール溶
液を塗布して一次感作し、11日目に1%ピクリルオリー
ブ油溶液をマウス両耳の表裏に塗布して二次感作し、そ
の24時間後に耳厚の増加をゲージで測定し、塗布前の耳
厚との差から耳厚の増加量をみた。一方、担癌マウスに
ついてはザルコーマ180腹水型腫瘍細胞を1×105個を投
薬開始前日にマウス腹腔内に移植し、以下同様に試験し
た。
結果は下表の通りであり、Aは試験した30〜500mg/kgの
経口投与により、正常マウス,担癌マウスともに細胞性
免疫能を著しく増強していることが示された。
以上、(イ),(ロ),(ハ)の各免疫実験により生理
活性多糖RONはメカニズムの異なる免疫作用をそれぞれ
顕著に亢進させていることがわかった。免疫調節剤は一
般には生体の免疫機能が低下したり、異種抗原認識機能
が弱い場合などに使用され得ることから、特に微生物感
染症や悪性腫瘍の治療剤,治療補強剤または併用剤,予
防剤あるいは術後回復促進剤としての薬剤用途が期待さ
れる。以上の免疫賦活回復機能の他にも、免疫調節剤は
異常に亢進した生体免疫反応を正常化し、たとえばリウ
マチ,膠原病,アレルギー等の自己免疫疾患にも適用で
きる場合が考えられる。
(3) 感染防御活性について 生体の細菌による感染症に対する防御作用としては、侵
入細菌に対する抗体産生による、いわゆる体液性免疫作
用によるものと、マクロファージや好中球が侵入細胞と
戦う、いわゆる細胞性免疫によるものがあることが知ら
れている。一般には生体はこれらの異種細菌の侵入に対
しては充分な防御作用を持っているが、担癌状態、特に
癌の末期には著しく防御作用が低下することが知られて
おり、通常宿主と共生している非病原菌によってさえ重
篤な結果を招来することが知られている。
そこで、生理活性多糖RONがこれらの細菌の感染症に対
して宿主の防御活性を増強するかどうかをエシェリヒア
・コリ(Escherichia coli)およびリステリア・モノサ
イトゲネス(Listeria monocytogenes)感染に対する防
御効果で調べた。
7週令メス,平均体重26gのICR−CRJマウス1群20匹ず
つ用い、生理食塩水に溶解したAを10〜100mg/kg(対照
群は生理食塩水のみ)マウスの背中皮下に細胞感染1日
前,1日後に各1回投与した。エシェリヒア・コリの場合
は2×107個を背中皮下に、リステリア・モノサイトゲ
ネスの場合は2×107個を腹腔内に感染させ、それぞれ
1週間観察して、生残マウス数を比較した。防御効果は
次式により算出した。
結果は下表の通りであり、Aの10〜100mg/kgの事前投与
により、エシェリヒア・コリ感染に対しては非常に強い
防御作用が生じ、リステリア・モノサイトゲネス感染に
対しても有意な防御作用の増強効果がみられた。また、
感染後投与の場合でも両感染菌に対して有意な治療効果
を示した。
後述するように、生理活性多糖RONは毒性が全く見られ
ない点とも合わせて、極めて有効な感染症予防治療剤と
なりうると考えられる。
次に、生理活性多糖RONの急性毒性について言及する。
5週令オスのSD−CRJラット,体重120〜150g,1群10匹を
用いてAの物理的投与限界である15g/kgを経口投与し観
察を続けたところ、全例死亡例がなく体重増加も対照と
変わらず、しかも外観上や剖検上も全く異常が認められ
なかった。したがって、LD50>15g/kgと考えられ、急性
毒性はないものと判断される。
このように優れた抗腫瘍活性,免疫調節活性,感染防御
活性を示すAが比較的容易な操作の組み合わせにより下
記製造例に示されるように大量に得られるので、米糠か
ら生理活性多糖を工業的に製造する技術上に与える効果
は日に大なるものである。
さらに、Aはマウスの脾臓細胞由来のナチュラルキラー
細胞の傷害活性を増強したり、マウスの腹腔常在性マク
ロファージのL−929細胞に対する傷害活性を賦活する
作用を有している。また、広汎な免疫賦活活性を有し、
かつインターフェロンやインターリューキン1などのサ
イトカイン生産能がみられることからヘルペス,インフ
ルエンザ,エイズ等のウィルス性疾患に対する発症予防
治療効果が期待できる他、慢性肝炎等の肝炎・肝疾患に
対する予防・治療剤としても有用であると考えられる。
また、Aは経口的または非経口的に投与できるので、極
めて有用な抗腫瘍剤,免疫調節剤あるいは感染症予防治
療剤として期待される。
なお、実際の製剤化についてはAを単独で、あるいは賦
形剤(水,生理食塩水,ポリエチレングリコール,グリ
セロゼラチン,澱粉,デキストリン,乳糖など)と組み
合わせて水剤,丸剤,錠剤,散剤,坐剤などの剤型にて
製造することができる。
さらに、生理活性多糖RONは医薬品用途のほか、毒性が
認められないこと,経口投与で健康維持に有用な種々の
生理活性機能を有すること,無味無臭で加工し易いこと
等から疾病予防用または保険用途の飲食品,飲食品添加
物等として使用することもできる。
一方、本発明で述べた生理活性多糖RONは分子量2,000万
以上の高分子物質であるが、酸加水分解等によって一定
限度まで低分子化したものも元の生理活性多糖RONと同
程度の生理活性を有することを見出した。すなわち、本
物質を0.5〜5%、好ましくは1〜3%の硫酸−ギ酸溶
液中で30〜70℃、好ましくは50〜60℃で2〜24時間、好
ましくは3〜6時間加水分解し、分解液に炭酸バリウム
を加えて中和して遠心分離にて上澄液を得、濃縮後セフ
ァローズCL−2B ,セファデックスG−200 等のカラ
ムにてゲル濾過を行ない、分子量に応じた数画分を得て
それぞれの画分について生物活性を測定したところ、分
子量約1万以上の画分には元の生理活性多糖RONと同程
度の活性があることが判明した。
〔実施例〕
次に、本発明を以下の実施例によって詳しく説明する。
実施例1 市販の米糠を用い篩で砕米等を除いたもの20kgを、市販
の上白糖20kgを溶かして100とした蔗糖溶液(20%
蔗糖溶液)に加えてよく撹拌し、温度を25℃に維持して
3日間保持した。次いで、この懸濁液を加熱し120℃で
1時間抽出操作を行なった後、室温付近まで冷却してか
ら固型物を濾過した。得られた抽出液を40に減圧濃縮
しpHを6.7とした後、500mgのα−アミラーゼ(長瀬産業
製)を加え、70℃で1時間処理したのち温度を40℃に下
げ、pHを7.4に調整跡、アクチナーゼE (科研製薬
製)2gを加えて2時間処理した。次いで、100℃まで加
熱して両酵素を失活させ、遠心分離により不溶物を除去
し、最終濃度が40%(v/v)となるようにメタノールを
加え、生じた沈澱を分離した。
得られた沈澱物を40の水に溶解し、再度最終濃度が40
%(v/v)となるようにメタノールを加え、生じた沈澱
を分離した。このメタノール沈澱による分画精製をさら
に2度行なった後、得られた沈澱を約5の水に溶か
し、凍結乾燥を行なって1000gの淡黄色粉末を得た。こ
の淡黄色粉末10gをとり、精製水に溶解してからセファ
ローズCL−6B (ファルマシア製)のカラムにかけてゲ
ル濾過し、そのボイドボリュームに溶出された画分を集
め、さらにこの画分を陰イオン交換体DEAE−セファロー
ズCL−6B (ファルマシア製)のカラムにかけ、水で溶
出したとき吸着されずにそのまま溶出する画分を集めて
濃縮し、最初の1日は流水で、次の1日は精製水に対し
て十分透析した後、凍結乾燥して生理活性多糖RONの純
白色粉末5gを得た。
実施例2 市販の米糠を用い篩で砕米等を除いたもの2kgを、市販
の黒糖1.5kgを溶かして10とした蔗糖溶液(15% 蔗
糖溶液)に加えてよく撹拌し、温度を30℃に保って2日
間保持した。以後、実施例と同様の操作を1/10のスケー
ルで行ない、最終的に生理活性多糖RONの純白色粉末450
mgを得た。
実施例3 実施例1と同様に処理して得た米糠懸濁液を加熱し100
℃で1時間抽出操作を行なった。以後、実施例1と同様
に処理して最終的に生理活性多糖RONの純白色粉末5.5g
を得た。
実施例4 実施例1で得た生理活性多糖RONの白色粉末2gに2%の
硫酸−ギ酸混液100mlを加え、60℃で4時間加水分解を
行なった。分解液に炭酸バリウムを加えて中和し、遠心
分離にて上澄液を得、この半量をセファローズCL−2Bの
カラムにかけてゲル濾過を行ない、ボイドボリュームに
溶出する画分F1(分子量2000万以上)、中間分子量約10
0万の画分F2を得た。また、残り半量をセファデックス
G−200にかけ中間分子量約10万、約1万の画分F3,F4
得た。それぞれの画分を凍結乾燥してF1:410mg、F2:308
mg、F3:295mg、F4:263mgの白色粉末を得た。
このようにして得られた各画分の生物活性について以下
に示す。
(1) 抗腫瘍活性について 同系腫瘍メス−Aに対する投与量30mg/kg、経口投与で
の効果は次表の通りであった。
(2) 免疫調節活性について (イ)カーボンクリアランステスト(CCT) 担癌マウスを用い、投与量30mg/kg、腹腔投与での効果
は次表の通りであった。
(ロ)プラークフォーミングセル(PFC) 正常マウスを用い、投与量30mg/kg、腹腔投与で4日目
に羊赤血球で感作した場合の結果は次表の通りであっ
た。
(ハ)遅延型皮膚反応(DHR) 担癌マウスを用い、投与量30mg/kg、腹腔投与での結果
は次表の通りであった。
(3) 感染防御活性について 感染1日前に30mg/kgを皮下投与した場合の防御活性は
次表に示す通りであった。
また、感染1日後に30mg/kgを皮下投与した場合の防御
活性は次表に示す通りであった。
以上の結果から、本発明の生理活性多糖RONは加水分解
により分子量約1万程度まで小さくしても各種生物活性
は元の生理活性多糖RONと同程度に維持されていること
が判明した。
一方、低分子化した生理活性多糖RONの毒性についてラ
ットを用いて調べたところ、経口投与による急性毒性は
いずれの画分にも元の生理活性多糖RONと同様認められ
ず、静脈内注射した場合は元の生理活性多糖RONがLD50:
300mg/kgであったのに対し、分子量が小さくなるに従い
毒性が減少し、分子量約1万のF4画分はLD50>5g/kgで
毒性は全く認められない。
このように低分子化された生理活性多糖RONが毒性もな
く、各種生物活性を有することは、例えば注射剤として
本物質を利用するとき、大変有利な性質と考えられる。
〔発明の効果〕
米糠を用い、加熱抽出工程に入る前に一定期間蔗糖溶液
中に保持せしめることにより、生理活性多糖RONの収率
が飛躍的に上昇(10倍以上)する。また、質的にも安定
した品質の生理活性多糖RONが製造できるようになっ
た。さらに、生理活性の面からも抗腫瘍活性,免疫調節
活性および感染防御活性ともに従来の製法で最もよかっ
たものに匹敵する活性のものが安定して製造できるよう
になり、量的,質的にみて大幅な改良が見られ、本発明
は産業利用上大変有利と考えられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は生理活性多糖RONの紫外線吸収スペクトル,第
2図は同物質の赤外線吸収スペクトル,第3図は同物質
13C−NMRスペクトルである。
フロントページの続き (72)発明者 竹尾 駿 静岡県焼津市岡当目10番地 サッポロビー ル株式会社医薬開発研究所内 (72)発明者 佐藤 隆夫 静岡県焼津市岡当目10番地 サッポロビー ル株式会社医薬開発研究所内 (72)発明者 渡辺 信宏 静岡県焼津市岡当目10番地 サッポロビー ル株式会社医薬開発研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】米糠を濃度5〜30%の蔗糖溶液に浸漬して
    1〜7日間保持した後、該米糠懸濁液を熱水抽出して得
    た抽出液に極性有機溶媒を加え、生じた沈澱を分取し、
    必要に応じて精製処理を行うことを特徴とする下記の物
    理化学的性質を有する生理活性多糖RONの製造法。 (1) 性状:白色の無晶性粉末で無味無臭 (2) 溶解性:水に可溶、濃度を上げると乳白色で粘
    稠な溶液となる。ホルムアミド,ジメチルスルホキシド
    に可溶、アルコール,アセトン,ベンゼン,酢酸エチ
    ル,ヘキサン,クロロホルム,四塩化炭素に不溶 (3) 水溶液のpH:中性ないし弱酸性 (4) 構成糖:グルコースのみ (5) 元素分析値:C:44.0〜45.0%,H:6.1〜6.3% (6) 構造:α−1,6結合を主鎖としたα−グルカン
    で少量の1,3,6位分岐構造を有する。 (7) 蛋白質:殆んど含有せず (8) 分子量:2,000万以上(セファロース−2B ゲル
    濾過法による) (10) 呈色反応:アンスロン硫酸反応,フェノール硫
    酸反応が陽性、ビューレット反応,ローリー・フォーリ
    ン反応,エルソン・モルガン反応,ヨード反応が陰性 (11) 融点:明確な融点を示さない。 (12) 第1図のような紫外部吸収スペクトルを示す。 (13) 第2図のような赤外部吸収スペクトルを示す。 (14) 第3図のような13C−NMRスペクトルを示す。
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