JPH0711104A - フェノール樹脂組成物およびこれを用いた摩擦材 - Google Patents

フェノール樹脂組成物およびこれを用いた摩擦材

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JPH0711104A
JPH0711104A JP15842193A JP15842193A JPH0711104A JP H0711104 A JPH0711104 A JP H0711104A JP 15842193 A JP15842193 A JP 15842193A JP 15842193 A JP15842193 A JP 15842193A JP H0711104 A JPH0711104 A JP H0711104A
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JP
Japan
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meth
acrylate
weight
phenol resin
friction material
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JP15842193A
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English (en)
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Hozumi Sato
穂積 佐藤
Akira Nishikawa
昭 西川
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 数平均分子量が5,000〜50,000、
ガラス転移温度が0〜50℃のフッ素含有(メタ)アク
リレート系共重合体またはカルボキシル基含有(メタ)
アクリレート系共重合体1〜50重量%と、フェノール
樹脂50〜99重量%とを含有することを特徴とするフ
ェノール樹脂組成物、および該組成物を用いたことを特
徴とする摩擦材。 【効果】 本発明のフェノール樹脂組成物は、摩擦抵抗
が大きく、摩耗量が小さい。したがって摩擦材として用
いられる繊維質基材の結合材として適する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦材料、特に自動
車、鉄道車輌、産業用機械などの制動部品として使用さ
れる、無機繊維、有機繊維を基材とする摩擦材料の結合
材として有用な熱硬化性樹脂組成物およびこれを用いた
摩擦材料に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、鉄道車輌、各種産業機用機械等
の制動には摩擦材料が使用されている。この摩擦材料は
古くはアスベストが主に利用されてきたが、環境上の問
題からセラミックファイバー,カーボンファイバー,ガ
ラスファイバー等の無機質繊維,またはポリイミド,ポ
リアミド,フェノール樹脂などの有機質繊維を基材と
し、これに各種充填剤,添加剤,結合剤を添加してなる
複合材料から作られている。
【0003】一方、近年における交通機関の高速化から
制動材料としての摩擦材にもより過酷な条件下での特性
が要求され、特に制動力に直接影響する良好な摩擦係数
が得られ且つ耐摩耗性に優れた材料が望まれていた。一
方、実用特性として曲げ強さ、たわみ強さ等の機械的強
度への要求とともに制動時の鳴きの低減が望まれてい
た。
【0004】これら要望に対し、それらの特性に大きく
影響を与えるものとして繊維質基材の結合材がある。こ
の結合材としては熱硬化性樹脂が広く使用されており、
その改良が進められてきた。熱硬化性樹脂としては、耐
熱性,耐摩耗性等の特性に優れたフェノール樹脂が汎用
され、特に上記要求への対応のため各種エラストマーに
よる変性も試みられてきた。例えば、フェノール樹脂を
ポリオルガノシロキサンにより変性して結合材とする方
法(特開昭55−92738号、特開昭61−1927
11号)、フェノール樹脂をアクリルゴムで変性する方
法(特開昭55−21432号、特開昭58−1773
号)が提案されている。しかしながら前者の方法では、
本来、滑り性を有するシロキサン骨格を導入しているの
で、摩擦材としての長期信頼性に欠け、後者の方法では
耐摩耗性が不十分という問題があり、このような不利を
伴なわず優れた摩擦抵抗と耐摩耗性を与える結合剤が強
く要望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、フェ
ノール樹脂をベースにして、これを特定の(メタ)アク
リレート系共重合体で変性することにより、摩擦抵抗と
耐摩耗性に優れ、更に、耐熱性、鳴き特性に優れた摩擦
を与える熱硬化性樹脂組成物をおよびこれを用いた摩擦
材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、 (1)(A)数平均分子量が5,000〜50,00
0、ガラス転移温度が0〜50℃のフッ素含有(メタ)
アクリレート系共重合体1〜50重量%と、(B)フェ
ノール樹脂50〜99重量%とを含有することを特徴と
するフェノール樹脂組成物。 (2)(A)数平均分子量が5,000〜50,00
0、ガラス転移温度が0〜50℃のカルボキシル基含有
(メタ)アクリレート系共重合体1〜50重量%と、
(B)フェノール樹脂50〜99重量%とを含有するこ
とを特徴とするフェノール樹脂組成物。 (3)上記樹脂組成物を用いたことを特徴とする摩擦材
を提供するものである。 以下に本発明を詳細に説明する。
【0007】A成分 請求項1記載のフェノール樹脂組成物を構成するA成分
であるフッ素含有(メタ)アクリレート系共重合体は、
(CF2 )n で示されるパーフルオロアルキレン鎖を特
定量含有する(メタ)アクリレート系共重合体または、
フッ化ビニリデンと(メタ)アクリレートとの共重合
体、さらにはフッ素含有(メタ)アクリレートと(メ
タ)アクリレートとの共重合体が挙げられる。ここで、
フッ素含有共重合体としては、フッ素含有部分がブロッ
クのものが好ましい。これらの重合体は、例えば以下の
方法により得られる。パーフルオロアルキレン鎖を特定
量含有する(メタ)アクリレート系共重合体は、通常考
えられるフッ素オレフィン類、例えばテトラフルオロエ
チレンを共重合させてパーフロロアルキレン鎖を導入す
ることは困難であるが、共重合成分としてパーフルオロ
アルキレンアイオダイド化合物を用いることにより共重
合体の末端あるいは分子内にパーフルオロアルキレン鎖
を導入することができる。すなわちF(CF2 )n −I
のようなモノアイオダイド化合物を用いれば分子末端に
導入が可能であり、またI−(CF2 )n −Iのような
ジアイオダイド化合物を用いれば分子内への導入が可能
となる。
【0008】前記パーフルオロアルキレン鎖を特定量含
有する(メタ)アクリレート系共重合体を製造する際の
各単量体混合物において、 パーフルオロアルキレンアイオダイド化合物の含有
率は、1〜50重量%、好ましくは、5〜40重量%で
あり、 (メタ)アクリル酸エステルの含有率は30〜98重
量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%であ
り、 カルボキシル基含有単量体の含有率は0〜20重量%
が好ましく、より好ましくは1〜20重量%であり、 その他共重合可能な単量体の含有率は0〜30重量%
である。
【0009】 パーフルオロアルキレンアイオダイド
化合物の含有率が1重量%未満では、本願の特徴であ
る、摩擦抵抗と耐摩耗性のバランスをとることは困難で
あり、50重量%を越えるとフェノール樹脂との相溶性
が低下し、熱硬化性樹脂組成物としての強度が低下す
る。また(メタ)アクリル酸エステルの含有率が30
重量%未満では、フェノール樹脂との相溶性に劣り、9
8重量%を越えると、フェノール樹脂組成物として摩耗
量が大きく、長期使用に耐えない。
【0010】さらに、カルボキシル基含有単量体を共
重合させることにより、フェノール樹脂との相溶性が更
に高まり、摩擦材料用結合材として、より強度面で優れ
た材料とすることができる。
【0011】また、上記以外他の共重合可能な単量体
を上記単量体に加えることができるが、混合物中におけ
るの含有率は30重量%以下である。
【0012】前記パーフルオロアルキレンアイオダイ
ド化合物は分子内に(CF2 )n 構造とヨウ素を含有す
るもので、一般にテトラフルオロエチレンをヨウ素存在
下に重合する等により得られるものである。モノアイオ
ダイド化合物としては、パーフルオロエチルアイオダイ
ド,パーフルオロブチルアイオダイド,パーフルオロヘ
キシルアイオダイド,パーフルオロヘプチルアイオダイ
ド,パーフルオロオクチルアイオダイド,パーフルオロ
デシルアイオダイド,パーフルオロドデシルアイオダイ
ド,パーフルオロ−3−メチルブチルアイオダイド,パ
ーフルオロ−5−メチルヘキシルアイオダイド,1H,
1H,5H−オクタフルオロペンチルアイオダイド,1
H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアイオダイ
ド,2,2,3,3,テトラフルオロプロピルアイオダ
イド,2−(パーフルオロブチル)エチルアイオダイ
ド,2−(パーフルオロヘキシル)エチルアイオダイ
ド,2−(パーフルオロオクチル)エチルアイオダイ
ド,2−(パーフルオロデシル)エチルアイオダイド,
2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアイ
オダイド,2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)
エチルアイオダイド,2−(パーフルオロ−7−メチル
デシル)エチルアイオダイド等が挙げられ、ジアイオダ
イド化合物としては、テトラフルオロ1,2ジアイオド
エタン,オクタフルオロ−1,4−ジアイオドブタン,
ドデカフルオロ−1,6−ジアイオドヘキサン等が挙げ
られる。これら、パーフルオロアイオダイド化合物は、
単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0013】前記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アク
リレート,n−プロピル(メタ)アクリレート,イソプ
ロピル(メタ)アクリレート,n−ブチル(メタ)アク
リレート,イソブチル(メタ)アクリレート,sec−
ブチル(メタ)アクリレート,t−ブチル(メタ)アク
リレート、n−アミル(メタ)アクリレート,n−オク
チル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート,ラウリル(メタ)アクリレート,ス
テアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)ア
クリレート類,メトキシエチル(メタ)アクリレート,
エトキシメチル(メタ)アクリレート,メトキシプロピ
ル(メタ)アクリレート,メトキシブチル(メタ)アク
リレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート
類を挙げることができる。また、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレー
ト,2−アミノプロピル(メタ)アクリレート,ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)
アクリレート,グリシジル(メタ)アクリレート等のエ
ポキシ基含有(メタ)アクリレート等も利用することが
できる。
【0014】カルボキシル基含有単量体としては、例
えば(メタ)アクリル酸,クロトン酸,ケイヒ酸等の
α,β−エチレン系不飽和モノカルボン酸類;イタコン
酸,無水イタコン酸,マレイン酸,無水マレイン酸,フ
マル酸,シトラコン酸,メサコン酸,イタコン酸等の
α,β−エチレン系不飽和ポリカルボン酸類;前記α,
β−エチレン系不飽和ポリカルボン酸類のモノメチルエ
ステル,モノエチルエステル,モノプロピルエステル等
の遊離カルボキシル基含有エステル類;前記α,β−エ
チレン系不飽和ポリカルボン酸類のモノニトリル誘導体
等の遊離カルボキシル基含有ニトリル化合物類;前記
α,β−エチレン系不飽和ポリカルボン酸類のモノアミ
ド誘導体等の遊離カルボキシル基含有アミド化合物類の
ほか、前記α,β−エチレン系不飽和ポリカルボン酸類
のモノ(2−ヒドロキシエチルエステル),モノ(2−
ヒドロキシプロピルエステル)等の遊離カルボキシル基
含有ヒドロキシアルキルエステル類;前記遊離カルボキ
シル基含有アミド化合物類のN−ヒドロキシアルキル誘
導体類等の水酸基含有化合物類等を挙げることができ
る。
【0015】これらのカルボキシル基含有単量体は、単
独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0016】さらに、前記以外の他の共重合可能な単
量体としては、特に限定されるものではないが、例えば
スチレン,α−メチルスチレン,o−メチルスチレン,
m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,p−t−ブ
チルスチレン,o−クロロスチレン,m−クロロスチレ
ン,p−クロロスチレン,1,1−ジフェニルエチレ
ン,N,N−ジメチル−p−アミノスチレン,N,N−
ジエチル−p−アミノスチレン,ビニルピリジン,ビニ
ルピペリジン,ビニルピロリドン,(メタ)アクリロニ
トリル,α−クロロアクリロニトリル,α−クロロメチ
ルアクリロニトリル,α−メトキシアクリロニトリル,
α−エトキシアクリロニトリル,クロトン酸ニトリル,
ケイ皮酸ニトリル,イタコン酸ジニトリル,マレイン酸
ジニトリル,フマル酸ジニトリル,(メタ)アクリルア
ミド,クロトン酸アミド,ケイ皮酸アミド,イタコン酸
ジメチル,イタコン酸ジエチル,マレイン酸ジメチル,
マレイン酸ジエチル,フマル酸ジメチル,フマル酸ジエ
チル,塩化ビニル,塩化ビニリデン,酢酸ビニル,酢酸
アリル等を挙げることができる。
【0017】本発明において前記〜の単量体成分を
用いる共重合は、有機溶媒を用いた溶液重合,懸濁重
合,乳化重合,塊状重合等の方法を適宜用いて実施する
ことができる。(CF2 )n 構造の導入においては、重
合はラジカル重合開始剤を用いて行うことが好ましい。
【0018】前記ラジカル重合開始剤としては、例えば
ベンゾイルペルオキシド,ラウロイルペルオキシド,ク
メンハイドロペルオキシド,パラメンタンハイドロペル
オキシド,ジ−t−ブチルペルオキシド等の有機過酸化
物,アゾビスイソブチロニトリル,アゾビスイソバレロ
ニトリル,アゾビスイソカプロニトリル等のアゾ化合
物,過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウム,過酸化水素
等の無機過酸化物,前記有機過酸化物あるいは無機過酸
化物と有機アミン,硫酸第一鉄,亜硫酸ナトリウム,チ
オ硫酸ナトリウム,ナトリウムホルムアルデヒドスルホ
キシレート,L−アスコルビン酸,スルフィン酸等の還
元剤とからなるレドックス系触媒等を挙げることができ
る。
【0019】前記単量体混合物の共重合においては、各
単量体、ラジカル重合開始剤等の反応成分は、反応開始
前に全量を添加してもよく、あるいはそれらの一部また
は全部を、反応開始後分割あるいは連続して添加しても
よい。重合反応は、通常、0〜100℃で、酸素を除去
した雰囲気(例えば窒素)中で行われるが、反応途中で
温度、攪拌速度等の操作条件を適宜に変更することもで
きる。重合反応は、連続式、回分式のいずれでも実施可
能である。
【0020】フッ化ビニリデンと(メタ)アクリレート
との共重合体は、フッ化ビニリデンと上記の単量
体との共重合体であり、その割合はフッ化ビニリデン1
〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であり、前記
(メタ)アクリル酸エステルの含有率は30〜98重
量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%であ
り、前記カルボキシル基含有単量体の含有率は0〜2
0重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%で
あり、前記その他共重合可能な単量体の含有率は0〜
30重量%である。フッ素含有(メタ)アクリレートと
の共重合体を製造する際のフッ素含有(メタ)アクリレ
ートとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチ
ル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタ
フルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,
3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリ
レート、2,2−ジフルオロエチル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)
アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオ
ロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプ
ロピル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。そ
の割合は、 フッ素含有(メタ)アクリレートは、1
〜50重量%、好ましくは、5〜40重量%であり、前
記(メタ)アクリル酸エステルの含有率は30〜98
重量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%で
あり、前記カルボキシル基含有単量体の含有率は0〜
20重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%
であり、前記その他共重合可能な単量体の含有率は0
〜30重量%である。
【0021】請求項2記載のフェノール樹脂組成物を構
成するA成分であるカルボキシル基含有(メタ)アクリ
レート系共重合体を製造する際のカルボキシル基含有単
量体、(メタ)アクリル酸エステル、その他共重合可能
な単量体としては、例えば、前記フッ素含有(メタ)ア
クリレート系共重合体の単量体として例示したものが挙
げられる。
【0022】カルボキシル基含有(メタ)アクリレート
系共重合体を製造する際の各単量体混合物において、 カルボキシル基を含有する不飽和単量体の含有率
は、好ましくは1〜20重量%であり、 (メタ)アクリル酸エステルの含有率は、好ましく
は60〜99重量%であり、更に好ましくは80〜99
重量%であり、 その他共重合可能な単量体の含有率は、好ましくは
0〜20重量%である。
【0023】本発明のフッ素含有(メタ)アクリレート
系共重合体、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート
系共重合体の数平均分子量はいずれも5,000〜5
0,000が好ましい。5,000未満では摩擦材とし
て利用した際摩擦抵抗及び耐摩耗性ともに劣り、摩擦材
用として好ましくないからであり、50,000より大
きいと、摩擦抵抗は良好であるが耐摩耗性に劣り、摩擦
材として十分な特性とはいえないからである。
【0024】またこれらの(メタ)アクリレート系共重
合体のガラス転移温度はいずれも0〜50℃が好まし
い。0℃未満では耐摩耗性が劣り、50℃より大きい
と、摩擦材用として利用する際、得られる摩擦材の摩擦
抵抗が劣るからである。
【0025】B成分 本発明のフェノール樹脂組成物を構成するB成分である
フェノール樹脂については特に制限はなく、ノボラック
型樹脂、レゾール型樹脂のいずれでもよく、またメラミ
ン変形樹脂等の各種変性フェノール樹脂を利用すること
もできる。
【0026】本発明におけるフェノール樹脂組成物は、
A成分である(メタ)アクリレート系共重合体とB成分
であるフェノール樹脂とを重量比で1/99〜50/5
0好ましくは5/95〜40/60の割合で混合するこ
とにより得ることができる。(メタ)アクリレート系共
重合体の割合が1重量%未満では、本願の特徴である耐
摩耗性と摩擦係数を改良することができない。またフェ
ノール樹脂の割合が50重量%未満になると、フェノー
ル樹脂本来の特性である耐熱性、機械的強度が著しく低
下する。
【0027】本発明のフェノール樹脂組成物を得る方法
については、特に制限はない。すなわち、フェノール樹
脂(B)と(メタ)アクリレート系共重合体(A)とを
所定の混合割合にて、ニーダー等の密閉型ミキサー,ロ
ール,あるいは攪拌装置のついた容器等により任意に混
合可能である。また、(A)と(B)とを溶液状態で混
合し、溶媒を除去することにより混合物を得ることがで
きる。更に、フェノール化合物とホルムアルデヒドを用
いてフェノール樹脂を重縮合反応にて合成する工程にお
いて、(メタ)アクリレート系共重合体を投入し、(メ
タ)アクリレート系共重合体変性フェノール樹脂として
得ることも可能である。
【0028】本発明のフェノール樹脂組成物は耐摩耗性
と摩擦係数に優れ、特に摩擦材用結合材として特に有効
である。本発明のフェノール樹脂組成物を用いた摩擦材
の製造方法について特に制限は無く、本発明のフェノー
ル樹脂組成物の他に、補強性繊維質基材として、アラミ
ド繊維,ナイロン繊維,カーボンファイバー繊維,ポリ
ピロピレン繊維,パルプ,スチールウール,ガラス繊維
等を、無機充填材としては、CaCO3 ,MgO,Ba
SO4 ,マイカ,シリカ,銅粉,鉄粉,アルミニウム粉
等を、有機質充填材としては、カシューダスト,ラバー
ダストが用いられ、これらを適宜組み合わせて利用する
ことができる。
【0029】その配合量としては、繊維質基材100重
量部に対して、無機質あるいは有機質充填材20〜30
0重量部好ましくは20〜100重量部、本発明による
フェノール樹脂組成物10〜100重量部好ましくは1
0〜50重量部、更に好ましくは15〜35重量部であ
る。無機質あるいは有機質充填材の配合量が20重量部
未満では、摩擦材としての強度に劣り、300重量部を
越えると成型性に劣る。また、本発明によるフェノール
樹脂組成物の配合量が10重量部未満では、成型性に劣
り、100重量部を越えると十分な摩擦性能が得られな
い。
【0030】これら材料を用い、所定量を配合して十分
に混合したものを、常法に従って成形加熱硬化させるこ
とにより摩擦材を得ることができる。成形条件は用いる
フェノール樹脂の種類に依存するが、例えば150〜2
00℃の温度で100〜300kgf/cm2 の圧力で
加熱圧縮成形することができる。なお、本発明の摩擦材
に、必要に応じて硬化剤,着色剤,各種改質剤,その他
の添加剤を含有させても良いことは言うまでもない。
【0031】以下、実施例および比較例を挙げてさらに
具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限
り、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0032】
【実施例】実施例1 (1)(CF2 )構造含有(メタ)アクリレート系共重
合体 6Lガラス製オートクレーブにブチルアクリレート65
0g、メチルメタクリレート250g、メタクリル酸1
00g、パーフルオロブチルアイオダイド150g、溶
媒としてアセトン2000g、および重合開始剤として
アソビスイソブチロニトリル(AIBN)20gを仕込
み、60℃に加熱して重合を行った。重合時間6時間で
仕込み単量体の98%以上が重合したのを確認し、オー
トクレーブを冷却することにより反応を停止し、共重合
体溶液を製造した。得られたアセトン溶液の一部をメタ
ノール中に投入し、ポリマーを沈降させ、水洗後、真空
乾燥により(CF2 )構造含有(メタ)アクリレート共
重合体を得た。示差熱分析計で測定した共重合体の
g は20℃であり、またGPC測定による数平均分子
量は21,000であった。(2)フェノール樹脂組成物 ノボラック型のフェノールホルムアルデヒド樹脂100
重量部をアセトン/トルエン=2/1溶液50重量部に
攪拌器付オートクレーブ中で溶解させた。次いで、
(1)に示した重合反応により得られた固形分33重量
%の(メタ)アクリレート系共重合体のアセトン溶液
75重量部(固形分25重量部)を攪拌下、徐々に添加
し、均一になるよう混合させた。次いで、オートクレー
ブを減圧に引きながら徐々に加熱し、アセトンとトルエ
ンを留去した。オートクレーブ内に残った褐色状固体と
なったフェノール樹脂組成物を得た。(3)摩擦材としての評価 フェノール樹脂組成物100部あたり、ヘキサメチレ
ンテトラミンを10重量部となるよう二本ロールにて混
練りし、均一化した組成物を粉砕し、粉末状の組成物を
得た。次に表1に示した材料を用い、均一に混合した
後、混合物を170℃、200kgf/cm2 の条件下
で成型用金型を用いて加熱圧縮成形を行い、更に180
℃にて5時間のアフターベークを行ない、評価用試料を
得た。得られた摩擦材の特性評価はJASO規格(社団
法人 日本自動車技術会発行)C406−82に従って
実施した。得られた摩擦係数とテスト前後の試料の重量
測定から試料の摩耗量を算出した。結果を表1に示し
た。本摩擦材は全温度域において高い摩擦抵抗を示し、
摩耗量は少なかった。
【0033】実施例2 6Lガラス製オートクレーブにブチルアクリレート70
0g,メチルメタアクリレート250g,メタクリル酸
50g,パーフルオロブチルアイオダイド50g,オク
タフルオロ−1,4−ジアイオドブタン80g,メチル
エチルケトン2000gおよび過酸化ベンゾイル20g
を仕込み、実施例1と同様に重合を行い、(メタ)アク
リレート共重合体を得た。共重合体のTg は12℃
であり、数平均分子量は12,000であった。共重合
体の代わりに共重合体を用いた以外は実施例1と同
様の手順でフェノール樹脂組成物および摩擦材を得、評
価を行った。結果を表1に示した。本摩擦材は高い摩擦
抵抗と小さな摩耗量を示した。
【0034】比較例1 実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体
を全く用いず、フェノール樹脂単味にヘキサメチレンテ
トラミンを混合し、これを用いて摩擦材を調整、評価を
行い、結果を表1に示した。本摩擦材は摩擦係数が小さ
い値を示した。また、ダイナモテスター使用時ディスク
と摩擦材が高速ですれ合う際鳴きの発生が認められた。
表1で示された例(実施例1〜5、比較例1〜5)のう
ち鳴きの発生は比較例1のみであった。
【0035】実施例3 実施例1において、フェノール樹脂と(メタ)アクリレ
ート系共重合体の混合割合が85/15となるように
した以外は、実施例1と全く同一の手順でフェノール樹
脂組成物を調整し、評価を行った。結果を表1に示し
た。本摩擦材は高い摩擦抵抗と小さな摩耗量を示した。
【0036】実施例4 6Lガラス製オートクレーブに、ブチルアクリレート6
00g、メチルメタクリレート300g、メタクリル酸
100g、オクチルメルカプタン15gおよび溶媒とし
てアセトン2,000gおよび重合開始剤としてベンゾ
イルパーオキサイド28gを仕込み、70℃に加熱して
重合を行なった。重合時間8時間で仕込み単量体の96
%以上が重合したのを確認し、オートクレーブを冷却
し、反応を停止した。得られたアセトン溶液の一部をメ
タノール中に投入し、ポリマーを析出させ、水洗、乾燥
により分析用試料を得た。得られた共重合体のTg は
40℃であり、数平均分子量は18,000であった。
以下、共重合体を用いる以外は実施例1と同様の手順
で摩擦材料を調整し、評価を行なった。結果を表1に示
した。本材料は良好な摩擦抵抗を示し、耐摩耗性も良好
であった。
【0037】比較例2 実施例4においてオクチルメルカプタンを使用しない以
外は、実施例4と同一の処方にて(メタ)アクリレート
系共重合体を合成し、これを用いて摩擦材を調整、そ
の評価を行なった。なお共重合体のTg は41℃、数
平均分子量は64,000であった。結果を表1に示
す。本材料は摩擦抵抗は良好なものの、摩耗量が大き
く、耐摩耗性に劣った。
【0038】実施例5 実施例1において、パーフルオロブチルアイオダイドを
用いず、代わりにt−ドデシルメルカプタン15gを用
い他の条件は全く実施例1と同様に重合を行い(メタ)
アクリレート系共重合体を得た。共重合体のTg
16℃、数平均分子量は19000であった。得られた
共重合体を用いる以外は実施例1と同様の手順に従っ
てフェノール樹脂組成物および、これを用いた摩擦材を
得、評価を行った。結果を表1に示した。本摩擦材は極
めて大きな摩耗量を示した。
【0039】比較例3 実施例5においてt−ドデシルメルカプタンの使用量を
90gとした以外は実施例5と同様の方法で(メタ)ア
クリレート共重合体を合成した。共重合体のガラス
転移温度は120℃、数平均分子量は4,100であっ
た。共重合体を用いて実施例1で示した手順と同様に
フェノール樹脂組成物を得、摩擦材を調整し評価を行な
った。結果を表1に示した。本材料は摩擦抵抗も小さ
く、耐摩耗性にも劣った。
【0040】比較例4 実施例5において、単量体の仕込みをブチルアクリレー
ト850g、アクリロニトリル50g、メタクリル酸1
00gを用いた以外は同様にして重合を行ない共重合体
を得た。共重合体のガラス転移温度は−15℃、数
平均分子量は21,000であった。共重合体を用い
て実施例1と同様にフェノール樹脂組成物を得、摩擦材
としての評価を行なった。結果を表1に示した。本材料
は耐摩耗性に劣った。
【0041】比較例5 実施例5において単量体の仕込みをブチルアクリレート
350g、メチルメタクリレート650g、メタクリル
酸100gを用いた以外は同様の方法にて重合を実施
し、共重合体を得た。共重合体のガラス転移温度は
62℃であり、数平均分子量は26,000であった。
共重合体を用いて実施例1と同様にフェノール樹脂組
成物を得、摩擦材としての評価を行なった。結果を表1
に示した。本材料は摩擦抵抗が小さい値を示した。
【0042】実施例6 6L耐圧オートクレーブを用い、ブチルアクリレート8
19g、メチルメタクリレート351g、メタクリル酸
130g、水2600g、ドデシルベンゼンスルフォン
酸ナトリウム52g、過硫酸カリウム3.9g、塩化カ
リウム1.3g、第3級ドデシルメルカプタン52gを
仕込み、30℃にて乳化重合を行った。重合転化率が9
5%を越えたのを確認後、単量体100重量部あたり
0.2重量部のヒドロキシルアミン硫酸塩を添加、次い
で加温し、減圧下、水蒸気蒸留により残留単量体を除去
した。分析サンプルとして少量のメタノール中にポリマ
ーを析出させた後、常法により水洗、乾燥を行い、(メ
タ)アクリレート共重合体を得た。共重合体のTg
は22℃であり、数平均分子量は32,000であっ
た。残留単量体を除去した固形分33重量%の(メタ)
アクリレート共重合体エマルジョンを用いた以外は実
施例1と同様の手順で摩擦材料を調整し、評価を行っ
た。結果を表1に示した。本材料は良好な摩擦抵抗を示
し、耐摩耗性も良好であった。
【表1】
【0043】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のフェノール
樹脂組成物を用いた摩擦材は高摩擦抵抗と低摩耗量とい
う、従来二律背反で両立は不可能とされてきた両特性を
一挙に改善できるものであり、且つ成形性、耐熱性およ
び機械的強度にも優れることから、ブレーキ部品、クラ
ッチ部品等の摩擦材として極めて有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)数平均分子量が5,000〜50,
    000、ガラス転移温度が0〜50℃のフッ素含有(メ
    タ)アクリレート系共重合体1〜50重量%と、 (B)フェノール樹脂50〜99重量%とを含有するこ
    とを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)数平均分子量が5,000〜50,
    000、ガラス転移温度が0〜50℃のカルボキシル基
    含有(メタ)アクリレート系共重合体1〜50重量%
    と、 (B)フェノール樹脂50〜99重量%とを含有するこ
    とを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1記載の組成物を用いたことを特徴
    とする摩擦材。
  4. 【請求項4】請求項2記載の組成物を用いたことを特徴
    とする摩擦材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0931817A4 (ja) * 1996-10-09 1999-07-28
EP1153986A4 (en) * 1998-06-08 2001-12-12 Daikin Ind Ltd MOLDED PLASTIC AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
KR100596368B1 (ko) * 2005-03-22 2006-07-04 삼성엔지니어링 주식회사 불소원자를 포함하는 페놀계 중합체 및 이의 제조방법,이를 포함하는 도료

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