JPH0711097Y2 - 全天候型荷役設備の移動式開閉扉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、建屋と貨物船との間で荷物の積み下しを行う
全天候型荷役設備において、建屋前面部の開閉扉と貨物
船舷側の覆体とを兼用する構造とした全天候型荷役設備
の移動式開閉扉に関する。

［従来の技術］ 貨物船が停船できる岸壁に荷物を収容保管できる建屋を
設置し、これら建屋と貨物船との間で荷物の積み下しを
行う場合がある。

このような場合、通常岸壁にクレーンを設置し、このク
レーンにより荷役を行うが、雨天の場合、荷物が濡れる
問題があり、鋼板コイル等の水濡れを嫌う荷物を扱う場
合には適さない。

このため、建屋の屋根を貨物船が停船される海上まで一
体に延出して形成した荷役設備も提案されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような荷役設備においては、常時屋
根が海上に延出しているため、海側が船舶の航路となっ
ている場合、航行の邪魔となって採用することができな
い。

そこで、本考案者は、雨天時にのみ荷役場所を覆って荷
物の水濡れを防止することができ、船舶の航行の邪魔と
ならない全天候型荷役設備を提案した。この設備は海側
に面して前面が開放された建屋を設置し、該建屋内に天
井クレーンを設けると共にその走行路前端部にこれを海
側へ延長するブームを張出し自在に連結し、走行路上か
らブーム上に移動屋根及び該移動屋根を移動する移動台
車を移動自在に設けて構成されている。

しかし、この場合、設備の不使用時に建屋の前面部を覆
っておく扉と、雨天荷役作業時には移動屋根下に位置さ
れる貨物船の舷側を覆っておく覆体とが必要となり、こ
れらを個々に装備するとなると設備が大形化する問題が
ある。

そこで、本考案の目的は、上記課題を解決し、建屋前面
部の開閉扉と貨物船舷側の覆体とを兼用でき、設備のコ
ンパクト化が図れる全天候型荷役設備の移動式開閉扉を
提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案は、海側に面して前面
が開放された建屋を設置し、該建屋内に天井クレーンを
設けると共にその走行路前端部にこれを海側へ延長する
ブームを張出し自在に連結し、走行路上からブーム上に
移動屋根及び該移動屋根を移動する移動台車を移動自在
に設けた全天候型荷役設備を構成し、上記移動台車の両
側部に扉ガイド支柱を昇降可能に垂下すると共に該扉ガ
イド支柱に沿って上記建屋の前面又は移動屋根下方に位
置される貨物船の舷側を覆う開閉扉を折畳み自在に設け
たものである。

［作用］ 荷役作業を行わない場合には、移動屋根及び移動台車は
建屋内に格納され、ブームは折畳まれている。また、建
屋前面部は移動式開閉扉により閉じられている。

晴天時に荷役作業を行う場合には、ブームを折畳み状態
から延出させ、移動屋根を建屋内に残し、移動式開閉扉
を扉ガイド支柱に沿って折畳んで開放した状態で移動台
車をブーム先端部に移動させる。

この状態で、天井クレーンをその走行路及びブームに沿
って走行させ、荷役作業を行えばよい。

雨天時に荷役作業を行う場合には、移動台車により移動
屋根をブーム上に移動させる。移動屋根がブーム上を覆
い、移動屋根下に位置される貨物船の舷側が移動式開閉
扉により覆われるため、雨天時でも荷役作業を行うこと
が可能となる。

このように建屋前面部の開閉扉と貨物船舷側の覆体とを
兼用するようにしたので、設備のコンパクト化が図れ
る。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。

第１図〜第５図において、１は海側に面して岸壁２に設
置された建屋で、この建屋１の海側に面する前面部は開
放され，建屋１内には天井クレーン３が装備されてい
る。建屋１内の両側壁部には天井クレーンの走行路（ラ
ンウェイガーダ）４が設けられている。天井クレーン３
は両走行路４に走行自在に掛け渡されたガーダ５と、こ
のガーダ５上に横行自在に支持され、荷物６を巻上げ下
げする吊り具を有するトロリ７とから主に構成されてい
る。

上記走行路４の海側端部にはこれらを海側に延長するブ
ーム８が張出し旋回自在に連結されている。ブーム８は
延出状態のとき岸壁２に停船した貨物船９の上方を十分
カバーできる長さに形成されている。なお、10はブーム
８に連結されたステーである。

ブーム８の基端部は本実施例では第６図、第７図に示す
ように走行路４の先端部に垂直の旋回軸11を介して水平
方向に旋回自在に連結され、ブーム８の基端部にはこれ
を走行路４と直線状に連なった状態から内側に直角に屈
曲した格納状態に操作する旋回用シリンダ12が連結され
ている。この旋回用シリンダ12は走行路４側に揺動可能
に枢支され、そのピストンロッド先端部に共通の軸13を
介して連結された二つのリンク14,15のうち、一方のリ
ンク14が走行路４の先端部に、他方のリンク15がブーム
８の基端部にそれぞれ連結され、ブーム８を容易に旋回
操作できるようになっている。

また、走行路４とブーム８にはブーム８が直線状に位置
したときに互いに連通するロック孔16を有するブラケッ
ト17,18が取付けられ、その一方のブラケット18にはロ
ック孔16にロックピン19を差込むロック用シリンダ20が
取付けられている。

走行路４上及びブーム８上には天井クレーン３のガーダ
５が連続して走行し得るクレーン用レール21,22が設け
られ、走行路４上にはクレーン用レール21の外側に位置
して後述の移動屋根を移動自在に案内する移動屋根用レ
ール23が設けられている。

上記走行路４上にはこれよりブーム８上に移動台車24が
走行自在に支持され、建屋１内上方にはこれより海側に
移動台車24により移動されて岸壁２に停船した貨物船９
の上方を覆う移動屋根25が格納されている。移動台車24
は第８図、第９図に示すように両側の走行路４に掛渡さ
れる長尺で偏平の移動台車本体24aにクレーン用レール2
1,22上を走行する車輪26を取付けてなり、移動台車24に
は走行路４に沿って設けたラック27に噛合する駆動ピニ
オン28を有する走行装置が設けられている（走行駆動装
置は車輪駆動方式でも良い）。移動台車24は天井クレー
ン３の前に位置されている。

移動台車24を建屋１内又はブーム８先端部に位置決め固
定するために、建屋１内の走行路４上とブーム８上の先
端部とに設けたロック孔29に嵌合する固定手段たる移動
台車ロックピン30がシリンダ31により出没自在に取付け
られている。また、移動台車24は移動屋根25の前側下部
に収容されるようになっており、移動台車24には移動屋
根25の両側下部フレーム32に形成したロック孔33に嵌合
するシリンダ内蔵形の移動屋根連結ロックピン34が出没
自在に設けられ、移動屋根25の前部を支持して移動でき
るようになっている。

一方、移動屋根25は建屋１の屋根1aと相似形状をなし、
走行路４上から立上がった側壁部25aと前壁部25bとを有
し、側壁部25a下の下部フレーム32には移動屋根用レー
ル23上を走行する車輪35が前後に取付けられている。移
動屋根25がブーム８に沿って移動する場合、前部が移動
台車24に支持され、後部の車輪35のみが移動屋根用レー
ル上23を走行するようになる。

移動屋根25の前壁部25bは建屋１の前部開放部の上方部
を覆うようになっており、またその一部はシリンダ36に
より開閉されるはね上げ扉37になっていて、第３図に示
すように移動屋根25が格納位置にあるときにはね上げ扉
37を開放することにより天井クレーン３が通過できるよ
うになっている。

移動台車24には移動屋根25下の前面を開閉自在に覆う移
動式開閉扉38と移動屋根25下の両側面を開閉自在に覆う
側面覆体39とが設けられ、これらにより雨天時に貨物船
９のハッチ口9a周囲を覆うようになっている。

移動式開閉扉38は第11図、第12図に示すように高さ方向
に複数に分割された分割板40…を互いにヒンジ41で連結
した蛇腹状の扉からなり、その両側部には分割板40を折
畳み可能に支持する扉ガイド支柱42が配置されている。
扉ガイド支柱42は第９図、第10図に示すように移動台車
24の両側部に軸受43を介して上下方向に摺動自在に支持
され、その内側部にはガイド溝44が形成されている。最
下部の分割板40は両側中央部が支軸45を介して扉ガイド
支柱42に回転自在に取付けられ、他の分割板40の両側中
央部には上記ガイド溝内を移動するローラ46が取付けら
れている。最上部の分割板40の上端部は第13図に示すよ
うに移動台車24の下面に分割板24の回転方向に沿って配
置されたモータ47付きねじ軸48に螺合したナット49に枢
支され、最上部の分割板40を支持すると共にその折畳み
時にローラ46を支点に回転させるようになっている。こ
のような分割板40からなる移動式開閉扉38を開閉すべく
扉ガイド支柱42を昇降駆動するために、ガイド溝44の両
縁部にはラック50が形成され、これらラック50には移動
台車24に据付けた減速機付きモータ51の駆動ピニオン52
が噛合されている。

移動式開閉扉38は第２図に示すように建屋１の前面開放
部を覆う扉と第１図に示すように貨物船９上に延出され
た移動屋根25下の前面部を覆う覆体とを兼ね、不要時に
は第３図に示すようにブーム８先端部において上方に折
畳まれている。

側面覆体39は巻上式カーテンからなり、上方の巻取軸に
巻取り付勢されたシート状の側面覆体39を雨天作業時に
手動又は機械的に引下げて係止すればよい。

なお、第２図において、53は建屋１における移動式開閉
扉38の後面中央部に位置して床のピット内より起倒自在
に設けられた支柱で、暴風時のみセットされる。

次に実施例の作用を述べる。

この荷役設備においては、不使用時には第２図に示すよ
うに移動屋根25及び移動台車24が建屋１内に格納され、
建屋１の前面部が移動式開閉扉38で覆われており、ブー
ム８は建屋１側に折畳まれている。かかる状態から、晴
天時に荷役作業を行う場合には、先ずブーム８を旋回用
シリンダ12により旋回して海側に延出させ、旋回ロック
ピン19を打込んで固定する。次いで、移動屋根25を建屋
１内に残して移動台車24をブーム８先端部まで走行移動
させ、移動台車ロックピン30を打込んで固定する。

移動式開閉扉38は扉ガイド支柱42をモータ51の駆動で上
昇させることにより移動台車下に折畳まれ、側面覆体39
は上方に巻上げられている。特に、移動式開閉扉38は分
割板40をヒンジ41で連結して蛇腹状に折畳み自在に構成
したので、分割板40が層状に重なってコンパクトに折畳
むことができる。

そして、はね上げ扉37をシリンダ36で開放し、この状態
（第３図参照）で、天井クレーン３を走行路４よりブー
ム８に沿って走行させ、建屋１と岸壁２に停船した貨物
船９との間の荷物６の積み下しを行えばよい。

雨天時に荷役作業を行う場合には、移動台車24をブーム
８先端部に走行移動させる際に移動屋根連結ロックピン
34を移動屋根25に打込んで移動台車24により移動屋根25
を建屋１内からブーム４上に引出し、移動屋根25が建屋
１から海上の貨物船９の上方を覆うように連なった状態
とする。また、移動式開閉扉38は扉ガイド支柱42を下降
させることにより移動屋根25下の貨物船９の舷側を覆っ
た状態とすると共に、側面覆体29を引下げて移動屋根25
下の両側面部を覆った状態とする。

このように荷役場所を移動屋根25、移動式開閉扉38及び
側面覆体39で覆った状態とし、天井クレーン３による荷
役作業を行うため、移動屋根25下の周囲から雨が吹き込
むようなことがなく、荷物６の水濡れを完全に防止する
ことができる。

また、移動台車24が移動台車固定ロックピン30によりブ
ーム８先端部に固定されるため、ブーム８のゲージ方向
の開きが規制され、安全性が確保される。

特に、建屋１の前面開放部を開閉する開閉扉と貨物船９
の舷側を覆う覆体とを移動式開閉扉38で兼用するように
したので、設備のコンパクト化が図れる。

更に、荷役作業を行わない場合には、ブーム８及び移動
屋根25を建屋１に格納しておくことができるため、船舶
の航行の邪魔とならない。本実施例ではブーム８は水平
に旋回するようになっているが、垂直に旋回するように
構成し、海側に水平に延出した状態から上方に引上げて
格納するようにしてもよい。

なお、最上部の分割板40を支持及び折畳み時に回転させ
る手段としては、第14図に示すように移動台車24下に扉
ガイド支柱42の内側より分割板40の回転方向に沿って上
方に湾曲した溝フレーム54を取付け、最上部の分割板40
にはその溝フレーム54の溝内を移動するローラ55を取付
け、溝フレーム54の溝の下端部にはそのローラ55を係止
するストッパ56を取付けた構成としてもよい。このよう
にすれば、扉ガイド支柱42を上昇させると、これに伴っ
て上昇する分割板40のうちの最上部のものが溝フレーム
54に沿って折畳み回転方向に案内されるため、簡単な構
造で分割板40を円滑に折畳むことができる。

なお、第11図、第12図の実施例では、最下部分割板40の
中央部を支軸45でガイド支柱42に取付けたが、第17図に
示すように、前記支軸45の部分も他の部分と同様のロー
ラ46とし支柱ガイド42の最下部にストッパ46′を設ける
ことで、ガイド支柱を上昇させて扉を折畳んだ際に、ガ
イド支柱下端が扉より下に出ないようにしてもよい。

第15図、第16図は移動式開閉扉38を開閉する構造の変形
例を示している。扉ガイド支柱42を直接昇降移動する代
りに移動台車24には分割板40を昇降する巻取装置57が据
付けられ、その吊り具58が最上部の分割板40上端部に着
脱自在に引っ掛けられている。最下部の分割板40の下端
部は両側扉ガイド支柱42に支軸59を介して回転自在に支
持され、分割板40には扉ガイド支柱42のガイド溝44内を
移動するローラ60が適宜取付けられている。扉ガイド支
柱42は移動台車24に後側に開放して形成されたガイド溝
にかんぬき61を介して昇降自在に支持され、かんぬき61
を外して移動台車24を前進させると扉ガイド支柱42が建
屋１の床面部分に残されるようになっている。晴天時に
は吊り具58を巻下げることにより分割板40を床面上に折
畳み、吊り具58を分割板40から外して上方に巻上げてお
き、かんぬき61を外して移動台車24のみをブーム８先端
部に移動させる。雨天の場合には、扉ガイド支柱42をか
んぬき61を介して移動台車24に支持すると共に吊り具58
で分割板40を吊り上げてブーム８先端部まで移動すれば
よい。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば、建屋の前面開放部を開閉
する開閉扉と貨物船の舷側を覆う覆体とを移動式開閉扉
で兼用するようにしたので、設備のコンパクト化が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である全天候型荷役設備の雨
天時の状態を示す斜視図、第２図は同設備の格納状態を
示す斜視図、第３図は同設備の晴天時の状態を示す斜視
図、第４図は建屋の正面図、第５図は設備の雨天時の状
態を示す側面図、第６図はブームの旋回部を示す一部断
面側面図、第７図は同平面図、第８図は移動台車の部分
的平面図、第９図は同部分的正面図、第10図は第９図の
A-A線断面図、第11図は移動式開閉扉の部分的正面図、
第12図は同移動式開閉扉の格納状態を示す側面図、第13
図は第11図のB-B線断面図、第14図は移動式開閉扉の上
部ガイドの他の例を示す図、第15図は移動式開閉扉の他
の例を示す正面図、第16図は同移動式開閉扉の格納状態
を示す側面図、第17図は最下部分割板の他の支持構造を
示す正面図である。 図中、１は建屋、３は天井クレーン、４は走行路、８は
ブーム、９は貨物船、24は移動台車、25移動屋根、38は
移動式開閉扉である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−56351（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−96094（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】海側に面して前面が開放された建屋を設置
   し、該建屋内に天井クレーンを設けると共にその走行路
   前端部にこれを海側へ延長するブームを張出し自在に連
   結し、走行路上からブーム上に移動屋根及び該移動屋根
   を移動する移動台車を移動自在に設けた全天候型荷役設
   備を構成し、上記移動台車の両側部に扉ガイド支柱を昇
   降可能に垂下すると共に該扉ガイド支柱に沿って上記建
   屋の前面又は移動屋根下方に位置される貨物船の舷側を
   覆う開閉扉を折畳み自在に設けたことを特徴とする全天
   候型荷役設備の移動式開閉扉。