JPH07110386B2 - ガスケット用金型及びその製造方法 - Google Patents

ガスケット用金型及びその製造方法

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JPH07110386B2
JPH07110386B2 JP4061928A JP6192892A JPH07110386B2 JP H07110386 B2 JPH07110386 B2 JP H07110386B2 JP 4061928 A JP4061928 A JP 4061928A JP 6192892 A JP6192892 A JP 6192892A JP H07110386 B2 JPH07110386 B2 JP H07110386B2
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coining
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博 久野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガスケット用金型、特
に、内燃機関のシリンダヘッドガスケットを仕上加工す
るのに適した金型およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、内燃機関の軽量化及び高出力化に
伴いシリンダヘッド及びシリンダブロックの材料として
アルミニウム合金が採用され、そのシリンダヘッドとシ
リンダブロックとの間のシールにはカーボンシートガス
ケットや金属ガスケットが用いられている。一般に、金
属ガスケットは、金属薄板を所定形状に型抜加工して一
対のガスケット部材を得、該ガスケット部材を両者間に
中間板を介在させて若しくは介在させることなく積層
し、片方のガスケット部材の縁部を折り返して他方のガ
スケット部材を内包させるか、それらのシリンダボアに
グロメットをかしめて一体化する方法によって製造され
る。
【0003】この場合、ガスケットのシール性を保証す
るため、ガスケット部材の製造時にプレス加工によりシ
リンダボアを包囲する各種断面形状のビード状若しくは
凸状のシール部を設け、ガスケット部材とシリンダヘッ
ドとの接触面積を少なくしガスケットのシール部の接触
面圧を高める一方、組み立て後にガスケットのビード部
若しくは凸部をプレスしてその高さを均一化し、ガスケ
ット全体としての最大肉厚に平坦性を持たせることが行
われている。また、カーボンシートガスケットにおいて
も、シリンダボアを包囲するビード部若しくは凸部を設
け、シリンダヘッドとの接触面積を少なくしガスケット
のシール部の接触面圧を高めることが行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビード
部若しくは凸部などのシール部を設けた金属ガスケット
やカーボンシートガスケットであっても、シリンダヘッ
ドをエンジンブロックにボルトで締め付けた際、シリン
ダヘッドに変形や歪みを生じ、ガスケットのシール部と
の接触面も3次元的に変形するため、シール部の面圧を
均一化することは殆んど不可能であった。しかも、金属
ガスケットの場合、薄肉化のため金属薄板の肉厚を薄く
すると、ガスケット全体の平板性を維持することが困難
となるだけでなく、シリンダヘッドの締め付け時、金属
薄板のビード状若しくは凸状シール部の形成加工に起因
する歪みとシリンダヘッドやエンジンブロックの歪みに
より予測以上の歪みとなって局部的に応力が集中し、ガ
スケットに応力腐食割れを生じるという問題がある。特
に、金属製、例えば、ステンレス鋼製単板ガスケットを
製造する場合、熱処理後、予め所定形状に塑性加工し、
次いでプレス加工する方法が採用されているため、複雑
なビード部での応力計算が必要である他計算不能な部分
もあり、ビード部に応力腐食割れが生じるという前記問
題が避けられず、しかも、ステンレス鋼製でも約300
℃以下の温度までしか使用できないという問題があっ
た。更に、多気筒エンジンの場合、長手方向の両端側を
多数の締結ボルトで締結するため、ガスケットの両端側
は中間部に比べて面圧が非常に高くなりシール部全体の
面圧が不均一となり、これがガスケットのシール性を損
なうと同時に、ガスケットの薄肉化の障害となってい
た。
【0005】これらの問題を解決するため、本発明者
は、特願平3−204215号にて、鉄、鉄基合金又は
ニッケル基合金を主成分とする焼結金属からなる薄板状
ガスケット素体と、該ガスケット素体に形成されたメイ
ンボアに装着されたグロメットとからなり、前記ガスケ
ット素体の少なくともメインボア周縁部に低融点金属を
溶浸させると共に、ガスケット素体表面をシリンダヘッ
ドをボルト締めした際の変形状態に追従した三次元構造
に形成してなる溶浸型焼結金属製ガスケットを提案し
た。
【0006】この溶浸型焼結金属ガスケットは、クッシ
ョン性に優れ、相手部材を損傷させることがなく、ま
た、金属ガスケットと同様に熱伝導性も良いためシリン
ダヘッドとシリンダブロックとの間の温度差を少なくす
ることができるという利点に加えて、ガスケットがシリ
ンダヘッドをボルトで締め付けた際の変形状態に追従し
た三次元構造の表面形状を有するため、シリンダヘッド
が変形してもシール部の面圧を均一化でき、十分なシー
ル性能を得ることができるという利点があるが、これを
実現するためには、前記溶浸型焼結金属製ガスケットの
表面形状を、シリンダヘッドをボルトで締め付けた際の
変形状態に追従した三次元構造にシール部を成型する必
要があった。
【0007】従って、本発明は、金属ガスケット、カー
ボンシートガスケット及び焼結金属製ガスケットのシー
ル部を、ボルト締めした際のシリンダヘッドやエンジン
ブロックの変形状態に追従した三次元構造に成形するこ
とができるようにすることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、上下一対の上型と下型とから
なるガスケット用金型において、ガスケットのシリンダ
ヘッド側表面を成形する少なくとも一方の金型を、シリ
ンダヘッドのシール面に対向するガスケット表面を形成
する圧印部材と、該圧印部材内に配設されガスケット表
面のシリンダボアをリング状に包囲するビード状又は凸
状のシール部を形成する少なくとも一つのリング状シー
ル部形成部材とで構成し、該シール部形成部材のキャビ
テイ側表面にガスケットのリング状シール部を形成する
環状切欠部を形成し、該環状切欠部の底部表面を、ボル
ト締めした際のシリンダヘッドのシール面の変形状態に
対応する三次元構造に形成するようにしたものである。
【0009】本発明の実施態様においては、上型と下型
の双方をそれぞれ圧印部材とリング状シール部形成部材
とで構成し、各シール部形成部材にそのキャビテイ側表
面にガスケットの環状凹所を形成する凸部とガスケット
のリング状シール部を形成する環状切欠部とを設け、該
環状切欠部の底部表面をボルト締めした際のシリンダヘ
ッド又はエンジンブロックのシール面の変形状態に対応
する三次元構造に形成される。
【0010】また、他の実施態様においては、シール部
形成部材だけでなく、圧印部材の表面も、ボルト締めし
た際のシリンダヘッド又はエンジンブロックのシール面
の変形状態に対応する三次元構造に形成される。
【0011】好ましい実施態様においては、上型及び下
型のリング状シール部形成部材内に円柱状部材が配設さ
れ、そのうちのいづれか一方の柱状部材は前記シール部
形成部材内に固設され、他方の柱状部材はシール部形成
部材内に摺動自在に配設され、かつ、前記一方の柱状部
材側へ付勢される。
【0012】本発明によれば、前記構造のガスケット用
金型、特に、そのリング状シール部形成部材は、内燃機
関のエンジンブロックとヘッドブロックとの間にガスケ
ット素体と同じ寸法形状の軟質金属板を配置し、前記ヘ
ッドブロックをシリンダヘッドボルトにより所定のトル
クで締め付けて前記軟質金属板を塑性変形させた後、又
は、必要に応じてエンジンを慣らし運転してボルトを増
し締めして軟質金属板を更に蘇生変形させた後、該軟質
金属板の少なくともシリンダヘッドのシール面に接して
いた片側表面を加工電極として硬質金属板の表面を放電
彫刻し、該硬質金属版の放電彫刻部からシリンダボアを
包囲する部位を環状に切り出し、その放電彫刻面にラッ
ピング、プロファイル加工その他の表面研摩加工を施す
ことにより、シリンダヘッドをボルト締めした際の変形
状態に対応する三次元構造のビード部を形成するリング
状シール部形成部材が得られる。
【0013】また、前記金型のシリンダヘッドをボルト
締めした際の変形状態に対応する三次元構造のガスケッ
ト表面を形成する圧印部材は、前記リング状シール部形
成部材の製造過程と同様にして放電彫刻された他の硬質
金属板の放電彫刻部からガスケット表面を形成する圧印
部材素体を切り出し、該圧印部材素体の放電彫刻面に表
面研摩加工を施すことにより製造することができる。
【0014】金型の製造過程において、シリンダヘッド
をボルト締めした際のガスケット表面の三次元構造を具
現させるための軟質金属材料としては、銅、鉛、アルミ
ニウムその他の任意のものを使用でき、また、硬質金属
材料としては、型鋼(例えば、SKD11)、高速度鋼、
超硬合金などを使用できる。軟質金属材料の機械的強度
その他の理由により塑性変形した軟質金属材料をそのま
ま放電加工用電極として用いるのが適当でない場合は、
軟質金属材料に具現されたガスケット表面の三次元構造
と同形状の放電加工用電極を形成する必要があるが、こ
の場合の電極材料としては、銅、銀、黄銅、カーボン、
銀ータングステンカーバイト、銅ータングステンカーバ
イトなどを用いることができる。この場合、金型を安価
に製造する場合、電極材料として銅、黄銅を用い、金型
材料として型鋼若しくは高速度鋼を用いるのが好適であ
り、また、金型を精密に製造する場合、リング状シール
部形成部材用電極材料として、銀ータングステンカーバ
イト、銅ータングステンカーバイトを用い、金型材料と
して型鋼、高速度鋼、超硬合金を用いるのが好適であ
る。更に、電極材料としてカーボンを採用する場合、軟
質金属材料の放電彫刻面から倣いフライス盤でカーボン
プレートに写し取った後、ラッピングを施して放電電極
として使用すれば良い。
【0015】
【作用】上型及び下型のいづれか一方又は双方を、シリ
ンダヘッド若しくはエンジンブロックのシール面に接す
るガスケット表面を形成する圧印部材と、該圧印部材内
に配設されガスケット表面にシリンダボアをリング状に
包囲するビード部若しくは凸部を形成する少なくとも一
つのリング状シール部形成部材とで構成し、前記シール
部形成部材のキャビテイ側端面をボルト締めした際のシ
リンダヘッド又はエンジンブロックのシール面の変形状
態に対応する三次元構造にしたので、ボルト締め時のシ
リンダヘッド又はエンジンブロックのシール面の三次元
的変形に追従した形状を有し、シール部の面圧を均一化
することができるガスケットを製造することができる。
【0016】従って、前記金型を用いてコイニング若し
くは仕上げプレスを行なうと、ガスケットの上側表面に
はシリンダボア周縁部にそれを囲繞する三次元的な構造
を有するリング状の凸部若しくはビード部が形成され、
その肉厚が締結ボルト用ボア4の周縁部からシリンダボ
ア側及び締結ボルト用ボア4の中間部側に向かって漸増
するように形成される。また、ガスケットのシリンダボ
アにグロメットを装着するため、ガスケット素体のシリ
ンダボア周縁部の肉厚がグロメットの肉厚分だけ薄くな
るように本発明に係る金型を用いて圧縮成形すると、そ
の上下両面に三次元構造の凹所7が形成される。この場
合、凹所を形成したガスケット素体にグロメットを装着
して本発明に係る金型で仕上げプレスを行うと、三次元
構造を有するグロメット部が形成され、凸部若しくはビ
ード部がない場合、このグロメット部をシール部として
機能させることも可能となる。
【0017】以下、添付の図面を参照して本発明の実施
例について説明する。
【0018】
【実施例】図1は本発明に係る金型を用いて製造された
溶浸型焼結金属製シリンダヘッドガスケット1を示し、
鉄、鉄基合金又はニッケル基合金を主成分とする焼結金
属からなる薄板状ガスケット素体2からなり、このガス
ケット素体2にはシリンダボアに連なるメインボア3
と、その近傍に複数の締結ボルト用ボア4が形成されて
いる。前記メインボア3を囲繞する部位、即ち、メイン
ボアの周縁部には低融点金属が溶浸させてあり、メイン
ボア3には鋼その他の材料からなるグロメット5が装着
されている。
【0019】ガスケット素体2は、図2に示すように、
メインボア3を囲繞して環状凹所7が形成されると共
に、それに隣接して環状ビード部6が形成され、前記凹
所7の深さは、グロメット5をかしめた際、そのかしめ
部表面5aがガスケット素体2の表面2aと同一平面と
なるようにしてある。また、ガスケット素体は、ビード
部6を含め上下両面ともシリンダヘッドを所定のトルク
でボルト締めした際のシリンダヘッド及びエンジンブロ
ックの変形状態に対応する三次元構造を有し、その肉厚
がボルト用ボア4の周縁部からメインボア側及び隣合う
ボア4間の中央領域に向かって漸増するように形成され
ている。従って、ガスケット素体2はビード部6の表面
及びそのシール面全体が3次元構造を有し、シリンダヘ
ッドをシリンダブロックに締結ボルトで締結した際にビ
ード部6のシリンダヘッド及びエンジンブロックとの接
触面の圧力が均一になるように形成されている。
【0020】本発明に係る金型は、図3に示すように、
上型10と下型20とからなり、それらはそれぞれガス
ケットの端面を規制する複数の側壁ブロック11、21
と、シリンダヘッド及びエンジンブロックのデッキ面に
接するガスケット面を形成する圧印部材12、22と、
ガスケットのビード部若しくは凸部6及び凹所7を形成
するリング状シール部形成部材13、23とで構成さ
れ、各部材はそれぞれバックアッププレート15,25
に複数のボルトにより固定されている。
【0021】各シール部形成部材13、23のガスケッ
ト素体との接触面、具体的には、ガスケットの凹所7を
形成する凸部13a、23a及びガスケットのビード部若
しくは凸部6を形成する凹所13b、23bの表面のう
ち、凹所13b,23bの表面は、シリンダヘッドをボ
ルト締めした際のシリンダヘッド又はエンジンブロック
の変形状態に対応する三次元構造に形成されている。同
様に、圧印部材12、22のガスケット素体との接触面
も、シリンダヘッドをボルト締めした際のシリンダヘッ
ド又はエンジンブロックの変形状態に対応する三次元構
造に形成されている。また、上型を構成するシール部形
成部材13のシリンダボア26及び圧印部材12のボル
トボア27の各ボア内には、各ボア径を規制する円柱状
部材14,19がそれぞれ固定され、下型を構成するシ
ール部形成部材23のシリンダボア26’及び圧印部材
22のボルトボア27’の各ボア内には、円柱状部材2
4,19’がそれぞれ摺動可能に配設され、下方に設け
たスプリング30により上方へ付勢されている。
【0022】前記実施例では、ビード部のみならずシー
ル面全体を三次元構造にしてあるが、必ずしもその必要
はなく、ビード部のみ三次元構造であっても良い。ま
た、ビード部は一重であるが、ビード部を二重あるいは
三重にしても良い。さらに、前記実施例では、断面半円
形状の凸部6を形成してあるが、各種の変形が可能であ
り、方形、半円形、山形、台形など任意の断面形状に形
成することができる。
【0023】前記金型の製造方法について説明すると、
図4に示すように、まず、エンジンブロック31及びシ
リンダヘッド32との間に、所定厚さの銅板をガスケッ
トと同形状に切り取って得た銅ブランク17を配置し、
シリンダヘッド32をシリンダヘッドボルト(図示せず)
により所定のトルクで締め付けて銅ブランクを塑性変形
させ、ボルト締め状態での変形状態を銅ブランク17に
写し取り(図4a)、銅成形体18を得る(図4b参照)。こ
の工程は、ガスケットの板厚方向の変形を具現すること
を目的とするので、シリンダボア、ボルト用ボアなどの
ボア等の部分はフリーにし変形し易いようにしておく。
また、この時の締め付けトルクは、通常、エンジン組み
立て時のボルト締め付けトルクに設定されるが、銅ブラ
ンクの経歴により所要トルクが異なるため、必要に応じ
て締め付けトルクを基準値以上若しくは以下に設定する
か、銅板の焼鈍方法を変化させて所定の変形を得る。な
お、シール部をリング状凸部で形成する場合、シリンダ
ボアを包囲するリング状凸部を形成した銅ブランクを塑
性変形させる。
【0024】次いで、銅成形体18からガスケットの3
次元構造のシール部を形成する部分のみをワイヤーカッ
トやフライス成型研摩機等で切り出し、エンジンブロッ
ク31に接していた面側を研摩して除去し、銅ブラン
ク、従って、銅成形体の肉厚が薄い場合、研磨加工後、
研摩面に適当な肉厚の銅板を張り付けて5mm以上の厚さ
とし、放電加工用電極とする。他方、肉厚の厚い、例え
ば、5mm以上の肉厚の銅ブランクを使用する場合、2
枚の銅ブランクの間に鉄板やステンレス鋼板等の硬質中
間板を介在させて3層構造とし、これをエンジンブロッ
ク31及びシリンダヘッド32との間に配置して塑性変
形させ、シール部形成部分のみを切り出した後、銅成形
体を硬質中間板から分離すると、上下両型のリング状シ
ール部形成部材用の電極を同時に形成でき、これらはそ
のまま放電加工用電極として使用できる。
【0025】この放電加工用電極を用いて、硬質金属
板、例えば、高速度鋼板の表面に放電彫刻を行なうと、
図4cに示すように、銅成形体18の表面、即ち、シリ
ンダヘッドに接していた面に具現されたガスケットの三
次元構造が高速度鋼板に逆転写される。この場合、高速
度鋼板の平面方向には電極材料の形状より約0.1mm大
きいものが得られるので、後述のワイヤーカット後に研
摩して所定寸法に仕上げる。この放電彫刻工程では電極
が消耗するので、通常、予め電極を2個用意しておき、
荒加工と仕上げ加工の2段階に分けて行う。
【0026】次いで、放電彫刻された高速度鋼板18か
らシリンダボアを包囲する部分をワイヤーカット等によ
りリング状に切り出してリング状ビード部形成部材素体
を形成し、これにラッピングその他の研摩加工を施して
リング状ビード部形成部材を調製する。また、凸部の平
均高さは、リング状ビード部形成部材のバックアップ側
を平面研磨して調整すれば良い。要すれば、このように
して形成されたシール部形成部材の表面にプロファイル
加工を施して、高さ方向の寸法をミクロンオーダーの精
度に仕上げれば良い。なお、ラッピングを行なう場合、
ダイヤモンド粉末にオイルを加えてなるダイヤモンドペ
ーストをラップ板で擦るようにして行えば良い。このラ
ッピングによる摩耗は、通常1/100〜1.5/10
0mmである。また、圧印部材は、同様にして放電彫刻さ
れた他の高速度鋼板から圧印部材素体を切り出し、これ
にラッピング等の研磨加工を施すことにより得られる。
【0027】このようにして形成された圧印部材及びシ
ール部形成部材を側壁ブロックと共に、それぞれバック
アッププレートに組み込み、上型を完成させる。
【0028】下型20も上型10と同様にして製作され
るが、エンジンブロックのデッキ面はシリンダヘッドに
比べて変形が極めて少ないので、ガスケットのエンジン
ブロックとの接触面を形成する下型については、前記軟
質金属材料の塑性変形による型取り及び放電彫刻工程を
省略しても良い。
【0029】ガスケットの板厚については、平均的な厚
さになるように、三次元測定機を用いて測定した後、圧
印部材の表面を平面研摩加工して偏りをなくし、所定厚
さになるように調整すれば1/100以下の精度を保持
し得る。
【0030】使用に際しては、ガスケット素体を前記構
造の金型に入れて、コイニングを行い、その必要部分に
銅溶浸を行った後、メインボア3にグロメット5を装着
し、次いで、前記構造を有する仕上げ用金型を用いて仕
上げプレス又は振動コイニングを行えば良い。
【0031】なお、前記焼結金属製ガスケット素体は、
鉄粉、鉄合金粉末又はニッケル基合金粉末を用いて任意
の方法で形成できるが、例えば、ステンレス鋼 (SUS
304)粉末を深さ1mmの方形キャビテイを有するセラ
ミック製の型に充填し、これを高真空中1150〜13
50℃で0.5〜3時間焼成して、気孔率50〜70%
の1mm厚の板状焼結体を得、この焼結体をロール圧延、
プレス加工などにより0.8〜0.9mmに圧縮成形して、
その表面を緻密化すると共に厚さを均一化した後、所定
のガスケット形状に打ち抜き加工すれば良い。
【0032】前記実施例では、ガスケット素体の上面に
は前記凹所7を囲繞する凸部6を一重に形成している
が、必要に応じて凸部6を二重に形成するようにしても
良い。この場合、リング状シール部形成部材と同様な形
状のリング状部材をそれと同軸に配設するようにすれば
良い。
【0033】また、前記実施例では、リング状シール部
形成部材の先端部に段部を形成しているが、その段部を
形成する切り欠き部の断面形状は必ずしも方形である必
要はなく、ガスケットのシール部の形状に応じて任意の
断面形状にすることができる。例えば、ガスケットのシ
ール部の断面形状が逆U字状であれば、リングの先端部
外周に断面形状が逆J字状の切欠部を形成すれば良い。
【0034】更に、複数枚の金属薄板を積層し、シリン
ダボアの周囲に突起状のビード部を形成してなる金属ガ
スケットの仕上加工に本発明の金型を適用する場合、カ
ーボンシートガスケットの場合と同様、ビード部を形成
する部分、即ち、リング状シール部形成部材の端面のみ
シリンダヘッドをボルト締めした際の変形状態に対応す
る三次元構造に成形し、圧印部材は平滑な表面にしても
良い。
【0035】また、本発明を図5に示す断面形状を有す
る金属単板ガスケットの仕上げ用金型に適用する場合、
シリンダヘッドに接するガスケット面を形成する一方の
金型(図示の例では上型)のリング状シール部形成部材
13は、そのキャビテイ面に、前記実施例の場合と同様
にして、ボルト締めした際のシリンダヘッドのシール面
の変形状態に対応する三次元構造の凹所31を形成する
ことにより得られ、他方の金型(図示の例では、下型)
のリング状シール部形成部材23は、銅ブランクを塑性
変形させて得た銅成形体の三次元構造を硬質金属材料に
逆転写して、上型の凹所31に対応する三次元構造の表
面形状を有する凸部32を形成させることにより得られ
る。この金型を用いて、例えば、PHステンレス鋼、イ
ンコネル又はハステロイなどの金属材料からなる単板シ
リンダヘッドガスケットを製造する場合、所定形状に打
抜き加工したガスケット素体を前記金型を用いてプレス
加工によりビード部を形成した後、溶体化処理し、次い
で熱処理して硬化させた後、前記金型を用いてコイニン
グ、好ましくは、振動コイニングをすれば良い。この方
法によれば、300℃以上で約800℃までの温度での
使用に耐えるシリンダヘッドガスケットが得られる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ガスケ
ットのコイニング用金型及び仕上げプレス用金型を圧印
部材とリング状シール部形成部材とに分割した構造と
し、少なくともシール部形成部材をシリンダヘッドをボ
ルト締めした際の変形状態に対応する三次元構造の端面
を持たせるようにしたので、精度が要求されるシール部
形成部材の金型の製作が容易となり、コストを低減する
ことができ、しかも、シール不要部分の肉厚を自由に変
更でき、ガスケットの肉厚を容易に変更することができ
る。また、ビード部以外の部分を2段シール部として使
用できるガスケットを得ることができる。
【0037】さらに、予めガスケットの使用時に生じる
変形を軟質金属材料に具現させ、その軟質金属材料を電
極として放電加工により硬質材料の表面に彫刻するよう
にしているため、シリンダヘッドをボルト締めした際の
変形状態に対応する立体形状のキャビテイを有するシー
ル部形成部材及び圧印部材の製作が容易となり、また、
シール部形成部材をミクロンオーダーの精度で製作する
ことができる。更に、多数の変形ボアを有するガスケッ
トにおいては、複雑な応力による複雑な歪みが生じる
が、本発明によれば、これらの応力を計算したり歪みを
実測することなく金型を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金型を用いて製造された焼結金属製
ガスケットの平面図
【図2】 図1のII−II線での断面図
【図3】 本発明の実施例を示すガスケット用金型の断
面図
【図4】 図3の金型の製造過程を示す説明図
【図5】 本発明の他の実施例を示すガスケット用金型
の要部断面図
【符号の説明】
1:ガスケット、2:ガスケット素体、3:ボア、5:グロ
メット、10:上型、11:側壁ブロック、12:圧印部
材、13:シール部形成部材、14:円筒状部材、15:
バックアッププレート、17:ブランク、20:下型、2
1:側壁ブロック、22:圧印部材、23:シール部形成
部材、24:円筒状部材、30:スプリング、31:エン
ジンブロック、32:シリンダヘッド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B21D 53/84 A B22F 5/00 F16J 15/08 F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下一対の上型と下型とからなり、少な
    くともガスケットのシリンダヘッド側表面を成形する一
    方の金型が、シリンダヘッドのシール面に対向するガス
    ケット表面を形成する圧印部材と、該圧印部材内に配設
    されガスケット表面にシリンダボアを包囲するビード状
    又は凸状のリング状シール部を形成する少なくとも一つ
    のリング状シール部形成部材とからなり、該シール部形
    成部材がそのキャビテイ側表面にガスケットのリング状
    シール部を形成する環状切欠部を有し、該環状切欠部の
    底部表面がボルト締めした際のシリンダヘッドのシール
    面の変形状態に対応する三次元構造を有することを特徴
    とするガスケット用金型。
  2. 【請求項2】 前記上型と下型の双方がそれぞれ圧印部
    材とリング状シール部形成部材とからなり、各シール部
    形成部材がそのキャビテイ側表面にガスケットの環状凹
    所を形成する凸部とガスケットのリング状シール部を形
    成する環状切欠部とを有し、該環状切欠部の底部表面が
    ボルト締めした際のシリンダヘッド又はエンジンブロッ
    クのシール面の変形状態に対応する三次元構造を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のガスケット用金型。
  3. 【請求項3】 前記圧印部材の表面が、ボルト締めした
    際のシリンダヘッド又はエンジンブロックのシール面の
    変形状態に対応する三次元構造を有することを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載のガスケット用金型。
  4. 【請求項4】 内燃機関のエンジンブロックとヘッドブ
    ロックとの間にガスケット素体と同じ寸法形状の軟質金
    属板を配置し、前記ヘッドブロックをシリンダヘッドボ
    ルトにより所定のトルクで締め付けて前記軟質金属板を
    塑性変形させた後、該軟質金属板の片側表面を加工電極
    として硬質金属板の表面を放電彫刻し、該硬質金属版の
    放電彫刻部からシリンダボアを包囲する部位をリング状
    部分を切り取り、ボルト締めした際のシリンダヘッド又
    はエンジンブロックのシール面の変形状態に対応する三
    次元構造を有するリング状シール部形成部材を形成する
    一方、残余の放電彫刻部からシリンダヘッド又はエンジ
    ンブロックのシール面に接する部位を切り取り、ボルト
    締めした際のシリンダヘッド若しくはエンジンブロック
    のシール面の変形状態に対応する三次元構造のガスケッ
    ト表面を形成する圧印部材を形成し、前記リング状シー
    ル部形成部材を前記圧印部材と共にバックアッププレー
    トに固設することを特徴とするガスケット用金型の製造
    方法。
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