JP2661287B2 - だれ・かえり防止打抜き加工法 - Google Patents

だれ・かえり防止打抜き加工法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はプレス機械の精密せん断加工に係り、特に打
抜き加工後の製品のだれ・かえりの発生を最小にするた
めの加工方法に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来、プレス加工による板のせん断加工ではパンチが
板に食い込む時に塑性変形して板のせん断面にだれ・か
えりが生じ、このためにせん断面の寸法精度が害される
がこのだれ・かえりは、機構上どうしても発生するもの
である。
一般に、精密せん断法といえば(イ)ファインダラン
キング法、(ロ)対向ダイスせん断法、(ハ)シェーピ
ング法の3つが主に考えられているが、何れも打抜き面
性状の平滑化には効果が大きいがだれ・かえりについて
は抑制効果が大きいとは言えない。
このだれの現象は、第1図に示すように、打抜き加工
では打抜きパンチ1が板材6内に食い込んで、パンチと
ダイスのクリアランスKの部分にある材料がパンチとダ
イスの両刃先を結ぶ層でせん断変形を受け、この加工初
期においてパンチ1が矢印Fの方向に下降して板材6内
に食い込む時にだれdが発生する。すなわち、パンチ1
とダイス4とのクリアランス部に材料不足部eが生じこ
の不足を生じさせないように、板面がだれ込む。
これは板材6の製品7側に生じ抜きくず8側にはあま
り生じない。第2図に板厚tの板材に生じただれの例を
示すがこのだれの量は、打抜き加工後のだれの幅dxとだ
れの高さdyとで定量的に定義される。この量は、材質に
より異なるが、パンチとダイスのクリアランスが0で
も、だれの深さdyは0.05mm以下にはできない。
また、かえりについては、従来の慣用的な打抜き法に
よれば、第14図(a)に示すように、製品7に於いてだ
れdの発生する面の反対側の面の側端部に図示の様なか
えりkが発生し、これは概ね板厚tの6〜10%の幅とな
っている。このかえり発生の防止のためには、従来平押
し法や上下抜き法などが知られている。例えば平押し法
は第24図に示すように、第24図(a)で半抜き工程、
(b)で平押し工程開始、(c)でクラックの発生、
(d)で分離完了の工程順で打抜き加工を行うことによ
り、かえりkの防止を図っているが、これ等の方法では
第14図(b)に示すように原理上どうしてもだれdが発
生する。
従来の精密打抜き加工方法に関して、その製品の精密
向上と、原料粗材のロスを少くするために提案された例
をあげると、特開昭56−134026号公報に於いては、素材
に切り込みV形溝を刻設した後、精密剪断を行うことが
開示され、特開昭57−187123号公報に於いては、剪断す
る材料のダイス側に余肉部をパンチ側に欠如部を生じさ
せ、余肉部を欠如部に塑性流動させることにより打抜き
面を滑かに仕上げることが提案され、特開昭59−174232
号公報にはダイの平面状載置面に凹凸部を設け、打ち抜
きにより被加工板表面を塑性変形させて加工硬化するこ
とで精度良く穿孔することが提示され、また、特開昭61
−195719号公報においては、パンチの先端周縁部及びダ
イの打抜き穴周縁部において、夫々相向う方向に設けた
切刃による板状材料を打抜くことが開示されている。
上記の各提案はそれぞれに製品の精度の向上と材料の
歩留りの向上には効果が認められるが、上記に指摘した
だれ・かえりの発生を直接防止する手段としてはいずれ
も十分な効果は認められない。
本発明は、上記の問題点に鑑み、打抜き加工後の製品
に発生するだれ・かえりを最小にすることにより精度の
高い打抜き加工法を実施することを目的とするものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に於いては上記の問題を解決するために二通り
の手段を提案している。その中の第一の手段は請求項1
に記載の通り第1次加工としてその先端周辺部がナイフ
刃状に突出し、その径方向の寸法が打抜きパンチの径方
向の寸法よりも僅かに大きいか又は等しい寸法を有する
コイニングパンチを用いてコイニング加工を行い、板材
を加工硬化した後、第2次加工として前記打抜きパンチ
により所望の形状の加工品に打抜き加工を行うことを特
徴とする精密打抜き加工方法を提案する。
また他の第二の手段は、請求項2に記載の通り打抜き
パンチの当り面と等しい大きさの底面を有し、その底面
より表面まで所定角度の斜面で囲まれて形成された雌型
を有するダイス上に板材を載置し、前記打抜きパンチと
比べてその径方向の寸法が僅かに小さいか又は等しい大
きさを有するコイニングパンチにより前記板材を押圧し
てコイニングを行った後、第2次加工として塑性変形さ
れた前記板材の前記コイニングの当たり面の裏面の凸面
頂部に前記打抜きパンチを当接させて打抜き加工を行う
ことを特徴とする精密打抜き加工方法を提案する。
〔作 用〕
請求項1記載の第1の手段の加工を行った場合には、
第1次加工時のナイフ刃パンチによりコイニングを行っ
た際に、塑性変形により材料内部が加工硬化し、これに
より第2次加工時の打抜きパンチ加工の際に材料の塑性
流動量が少なくなりだれ・かえりの発生量が少なくな
る。
請求項2記載の第2の手段の加工を行った場合には、
第1次加工時に、コイニングパンチと雌形のダイスとに
より板材を挾持押圧して塑性変形させて板材を隆起突設
させ、第2次加工時に該突出部を打抜きパンチに当接さ
せて打抜くことにより隆起部で板材の材料不足が補わ
れ、だれ量が少くなる。
〔実施例〕
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第3図〜第9図は、請求項1の第1実施例を示す。第
3図にコイニング時のだれの量を示す。図示の通り、コ
イニング量(コイニングの深さ)Cに対して、だれの量
はだれの幅dxcとだれの深さdycとで表わされる。第4図
はコイニング加工に用いるコイニングパンチ2の形状を
示し、その先端周辺部は打ち抜きパンチの軸線に平行な
外側面と前記軸線と所定角度(以下パンチ角度という)
をなす内側面とより成るナイフ刃状に突出(以下ナイフ
刃という)しており、このナイフ刃は軸線に対してパン
チ角度θを成し、このパンチ角度は90゜>θ>0の範囲
内にあり、これは粗材の材質、板厚t等により変化する
が、パンチ角度θが小さい程コイニング時のだれ量が小
さくなる。WSはナイフ刃2aの先端部にストレート部幅を
示し、0.1mm≧WS≧0の範囲が望ましい。第5図は、打
抜きパンチ3の形状を示し、打抜きパンチ3の幅、即ち
打抜き寸法WPはコイニングパンチ2の幅、すなわちコイ
ニング寸法WCとの間に WC=WP+α ただし 0.2mm≧α≧0 の関係がある。すなわち、コイニングパンチ2の幅W
Cは、打抜きパンチ3の幅WPよりも僅少差α(0.2mm≧α
≧0)だけ大きいか等しい(α=0)寸法となってい
る。
次に本発明の加工方法を第6図に示す。2は前記のコ
イニングパンチ、3は打ち抜きパンチを示し、板材6が
ダイス4に載置されている。先づ第1次加工として、第
6図右半分に示すように、コイニングパンチ2を用いて
板材6の片面にコイニング加工を行い、これにより板材
6を加工硬化した後、第2次加工として、第6図左半分
に示すように打ち抜きパンチ3により打抜き加工を行い
所望の形状とする。このコイニングパンチによるコイニ
ング量Cは、板材の材質、板圧t、パンチ角度θ等によ
り変化するが概ね、板圧tの25%以下が好ましい。
第7図に第4図に示すコイニングパンチを用いて第3
図に示すようにナイフ刃コイニングを行った場合のコイ
ニング量Cとその時のだれとの関係を示す。図に於い
て、従来の打抜き法によるだれの幅をdx0、深さをdy0
示し、同一の板材について行ったコイニング後のだれの
幅と高さをdxc,dycで示す。そのときのナイフ刃のパン
チ角度θはθ<θ<θとし、図に示す通り、だれ
幅dxc、だれ深さdycともにθが小さいとき程小さいが、
だれ深さdycについてはθによる差はそれ程顕著ではな
い。
次に、第8図に前記のコイニングパンチ2によるナイ
フ刃コイニングを行った後で、打抜きパンチ3により打
抜いた後のコイニング量とだれ量との関係を示す。図に
おいて、その結果のだれ幅をdx、だれ深さをdyで示す
(第2図参照)。このときの打抜きパンチ3は前記の通
りWC=WP+α、0.2mm≧α≧0の関係であることが望ま
しい。
この第7図、第8図に示す結果によれば、この場合は
コイニング量C1、ナイフ刃パンチ角度θの場合が最終
的にだれ量が最小となり、最適であると決定出来る。た
だし、この最適値は、使用する板材の材質、板厚、板押
え力等の条件により変化する。
以上説明したナイフ刃コイニングパンチにより、コイ
ニング後に打抜きパンチで打抜く方法と、従来一般に慣
用されているいきなり、打抜きパンチで板材を打抜く方
法とを比較した結果、だれ深さで約1/3、だれ幅で約1/2
それぞれだれ量を小さくできることが判った。これはナ
イフ刃コイニングによって、コイニング周辺が加工硬化
するために打抜き加工の初期において打抜きパンチが材
料内に食い込んで塑性流動を起こす量が軽減出来るため
である。第9図に前記ナイフ刃コイニングパンチにより
コイニングを行った結果、材料内の硬さ分布が変化した
模様を示す。図は材料内の深さ(mm)に応じたビッカー
ス硬度(Hv)を測定した結果の一例を示すもので、コイ
ニングにより塑性変形したコイニング溝Gを中心として
材料内部の硬さHが母材平均カタサH0よりも上昇してい
ることを示したものである。
次に請求項1の第2実施例を第10図〜第13図に示す。
本実施例に於いては、前記第1実施例に於いて用いたも
のと同様のナイフ刃コイニングパンチ2を用いて、板材
6の上下方向から板材6の両面に対して同時にまたは片
側ずつ、コイニング加工を行った後、打抜きポンチ3で
抜く。このときのコイニングパンチ2によるコイニング
量Cは、板材6の材質、板厚t、ポンチ角度θ(第4図
〜第6図参照)によって変化するが、概ね、板厚の25%
以下が望ましい。また、コンニングパンチ2の角度θは
45゜≧θ>0の範囲とし、板材6の材質、板厚t等によ
り変化するのがθが小さい程コイニング時のだれは小さ
くなる。また、コイニングパンチ2の先端部のストレー
ト部の幅WSは0.1mm≧WS≧0の範囲が望ましい。打抜き
寸法WPとコイニング寸法WCの関係は、WC=WP+αであ
る。ここで、0<α<MではMは型製作時の誤差を考え
て、できるだけ小さい値(0.01〜0.1)mmを取る。
上記の通りの概ね第1実施例と同様のコイニングパン
チ2を用い、第10図に示すように、板押え5により挾持
された板材6をコイニングパンチ2で上下方向から同時
に挟み(第10図(a))、板材6の両面を上下両側より
同時に押圧してコイニング加工を行い(第10図(b))
これを第10図(c)に示すような形状に形成する。この
ように成形された板材6を第10図(d)に示すように打
抜きパンチ3で打抜いて製品7に仕上げる。また、第11
図に示すように、板材を板押え5で拘束しコイニングパ
ンチ2を当てがい(第11図(a))、先づ片側だけのコ
イニング加工を行い(第11図(b))、次の工程でもう
一方の片側をコイニング加工をする(第11図(c))。
これによりコイニング加工された板材(第11図(d))
を打抜きポンチ3でコイニング部を抜き落とす(第11図
(e))。
上記の第2実施例によれば、板材6の上下両面に同時
に又は片側づつコイニング加工した後打抜くことによ
り、板材の上下面のだれの発生を防止できると共に、か
えりも防止することができる。打抜き面の型の精度によ
っても異なるが、概ね、20μm程度の段差がつくことを
除けば、本加工により、切削加工又は研磨加工並みのシ
ャープエッジを持った穴加工がプレス加工で可能とな
る。
また、これによれば、第12図に示すように板厚tに対
するさん幅寸法(抜きさんの幅寸法)aの制約が小さ
い。板材の材質にもよるが、従来法によればa=0.7t程
度のものがa=0.4t程度まで可能である。
また、ばね鋼や高炭素鋼等のクラックが入り易い材質
は、従来法では半抜きの制約が難しく、せん断が貫通し
てしまいかえりを防止できないばかりか、順送り時に外
れて2枚打ちの危険がある。本提案法によれば確実にだ
れ・かえりを防止でき、順送り時に外れる心配も無い。
また、切削加工や研削加工では生産性が悪く加工でき
ない例えば第13図に示すような形状でも、本提案の方法
によれば容易に加工できる。
第14図に各種の打抜き法による打抜き断面の比較を示
す。(a)は従来例の慣用打抜きの場合で断面の上部と
下部に、それぞれ、だれdのかえりkが生じている。
(b)は従来の上下抜き法、又は平押し法による場合で
かえりkは無いがだれdが断面の上下に生じている。
(c)は第1実施例の片面コイニング法によるもので、
断面の上部にはだれdはd=0で生じていないが下部に
かえりkが生じている。(d)は第2実施例の両面コイ
ニング法によるもので断面の上下共に、だれdもかえり
kも生じていない。
次に本発明の請求項2に関する実施例を第3実施例と
して説明する。本発明の基本的な考え方は第1図に見ら
れるようなだれが発生した場合にそのだれによって凹ん
で減少するだれdの分だけ、逆に板材をあらかじめ隆起
させておくことである。即ち第15図に示すように第1図
におけるだれdの部分のだれ量dx,dyを補うのに十分に
隆起された肉盛り部V2の体積が得られるように、板材を
コイニングパンチでf方向に押し曲げて塑性変形をさせ
た後、打抜きパンチ3でfとは反対のFの方向に打抜
く。これにより、第1図の材料不足部eに相当するV1
体積分が、肉盛りされたと同様の効果のあるコイニング
(以下肉盛りコイニングという)により隆起したV2の体
積により補われて仕上り面にdのようなだれが生ずるこ
となく平滑な面の打抜き板が得られる。このためには肉
盛り部体積(V2)>打抜き時に発生する材料不足体積
(V1)の関係が必要条件となり、そうでないとだれが生
ずる。
次に上記の方法を用いた実施例を加工工程順に第16図
〜19図に示す。第16図は、前記肉盛りコイニング工程に
入る前に、肉盛りコイニング用ダイス40の上に肉盛りコ
イニングパンチ20がセットされた状態を示す。第17図は
肉盛りコイニングパンチ20がf方向に下降して板材を押
圧し、塑性変形させた状態を示す。図において WP1……肉盛りコイニングパンチ巾、 θP1……肉盛りコイニングパンチ角度、 WS……肉盛りコイニングパンチ先端ストレート部、 Wh……肉盛りコイニング量、 Wd……肉盛りコイニングダイス幅、 Ch……肉盛りコイニング高さ、 θ……肉盛りコイニングダイス角度、 t……板厚 を示し、 (イ)0゜≦θP1<90゜ (ハ)WP1≦Wd (ニ)Ch/t≦0.5 となるように各寸法を決める。
以上の状態で肉盛りコイニング工程が完了后、板材を
取り出し、上下を反転して第18図に示すように打抜き工
程に入る。塑性変形されて隆起した板材6の頂上の面6a
に打抜きパンチ3を押圧してF方向に打抜き加工を行
い、第19図に示すように抜きくず8を打ち抜くと、隆起
された内盛り部V2は塑性流動をして材料不足V1を満た
し、打抜いたあとが平面に戻りだれが生じない。このあ
と製品に多少の起状が残っても平版で叩くことにより容
易に平滑な仕上げ面の製品が得られる。この引抜き工程
での寸法は次の様な条件が望ましい。図において、 WP2……打抜きパンチ巾、 WS……打抜きパンチ先端ストレート部、 θP2……打抜きパンチ角度、 l……型クリアランス、 とすると、 (イ)Wd=WP2 (ロ)0.1mm≧WS≧0 (ハ)0゜≦θP2≦90゜ また、粗材の材質、板厚等により異なるが、一般にθ
P1P2は角度が小さい程、打抜き後のだれを抑えるこ
とができる。以上の通り、V2>V1を満たす肉盛りコイニ
ングパンチ20と肉盛りダイス40及び打抜きパンチ3の寸
法を決定することで、だれを0にした打抜き加工を行う
ことが可能となる。
また、上記の方法はコイニング後被加工板材の上下を
反転して打抜き加工を行ったが、この板材は反転するこ
となくダイスを上側にセットし、打抜きパンチの抜き方
向を上方に向けた作業としても可能であり、その打抜き
の方向は特に限定されることなく設備の状況に応じて適
宜設定して差支えない。
次に、本発明の請求項1又は請求項2に基いた打抜き
加工法により製品を製作した例を第4実施例としてあげ
る。
本発明による打抜き加工法により製作した製品は、第
20図に示すビスカスカップリングに用いるプレートで第
21図(a)(b)に示すインナープレート15(c)
(d)に示すアウタープレート13、のそれぞれに、スリ
ット又は穴を穿設する加工を行ったものである。
先ず、ビスカスカップリングの概略の説明をすると、
第20図に示すようにビスカスカップリング30は第20図に
示すように高粘性のシリコンオイルを封入した密室10内
にアウタープレート13とインナープレート15とが交互に
配置され、互いに相対回転可能な入出力部材11,12(例
えば自動車の左右両車輪)間に回転差が生ずると(例え
ば自動車の片輪が溝に落ちスリップすると)入力側11か
ら出力側12へ(車輪の脱出に)必要なトルクを伝える。
しかし、伝達トルクが十分でないとアウタープレート13
とインナープレート15との回転差は生じ続け、この間、
ビスカスカップリング内のシリコンオイルの温度圧力は
上昇し、最後には、アウタープレート13とインナープレ
ート15とが金属接触し、入出力部材11,12(左右両輪
間)が直結状態となり大トルクが伝わる。(この結果車
輪は溝より脱出でき、)この両プレートが直結された状
態をハンプ状態という。そして、直結状態になり両プレ
ートの回転差がなくなると、シリコンオイルの温度、圧
力が低下し、定常状態にもどる。もしハンプが起きない
とシリコンオイルの温度、圧力は上昇し高温高圧状態が
維持され、そのまゝ続けて運転されるとビスカスカップ
リングは破壊するにいたる。したがってハンプ現象が起
りにくく、ハンプ回数が少いとビスカスカップリングの
寿命が短くなる。
次に、従来の上記ビスカスカップリングのプレート製
作にあたっては、この中、第21図(d)に示すようにア
ウタープレート13に設けられた穴13a、及びスリット13
b、または第21図(b)に示すインナープレート15に設
けられた良穴15cは、これを加工するために切削や研削
加工での対応は非常に困難であり、このために従来はプ
レス打抜き加工で製作されていた。このため、従来の方
法によれば、スリットの断面等にだれが発生し、このだ
れがビスカスカップリングの寿命を判定するビスカスカ
ップリングの前記ハンプ回数に大きな影響があり、だれ
量(だれ幅dx、だれ深さdy)が大きいとプレート間のシ
リコンオイルの漏れが大きくなりハンプ現象が起りにく
くなりハンプ回数が少くなる。
上記により、第22図にアウタープレートの穴13a及び
スリット13bにだれ量を少くするために行った加工法を
示す。第22図(a)にはナイフ刃を備えたコイニングパ
ンチ2によりコイニング加工を行っている状況、(b)
にはコイニング後打抜きポンチ3により打抜き加工を行
った状態を示す。
これにより板厚tに対し、だれ幅をdx≦0.2t、だれ深
さをdy≦0.05tとだれを小さく抑えることができ、切削
加工や研削加工相当の小さなだれ量を得ることができ
た。
また第23図には、従来方法による打抜き品と本発明の
方法による打抜き品とだれ量の比較を示す。だれ幅dx、
だれ深さdyともに本発明品の方がだれ量の少いことが示
されている。
ビスカスカップリングに、この加工によるプレートを
用いた場合と従来品のプレートを用いた場合の効果の比
較表を第1表に示す。
ここに示すものはビスカスカップリングの評価条件は
従来品にも本発明品にも全く同一の条件のもとで運転を
行い、同一の期間内に発生したハンプ回数を比較したも
のでこれはビスカスカップリングの寿命に比例するもの
である。表に示す通り本加工法によれば従来品の5〜6
倍以上のハンプ回数が認められ、それだけ寿命も延び、
本発明の効果が大きいことが判る。
〔発明の効果〕
本発明を実施すれば、コイニング加工により加工硬化
させ或は塑性変形させた板材に打抜きパンチ加工を行う
ことで、板材に発生するだれ・かえりを最小にし、製品
の寸法精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はせん断加工に於けるだれ発生の原理の説明図、
第2図はだれ量の定義の説明図、第3図はコイニング時
のだれ量を示す説明図、第4図はナイフ刃コイニングパ
ンチ断面図、第5図は打抜きパンチ断面図、第6図は、
第1実施例によるナイフ刃パンチコイニングと打抜きパ
ンチとの組合せによる加工方法の説明図、第7図は、ナ
イフ刃パンチコイニング時のだれ量−コイニング量線
図、第8図は、第7図のナイフ刃パンチコイニング後の
打抜きポンチ加工時のだれ量−コイニング量線図、第9
図はナイフ刃コイニング後の材料の硬さ分布図、第10図
〜第13図は第2実施例を示し、第10図は、上下方向から
同時にコイニング加工後打抜く作業を(a)〜(d)で
工程順に示し、第11図は、上下方向から片側ずつコイニ
ング加工後打抜く作業を(a)〜(e)で工程順に示
し、第12図は、さん幅寸法と板厚、第13図は本提案によ
れば加工が容易な難しい形状の例を示し、第14図は、各
種の打抜き法による打抜き断面の比較を示す。第15図
は、第3実施例による塑性変形を利用しただれ量抑制の
ための加工方法の原理図、第16図〜第19図は第3実施例
の加工工程を示し、第16図は、加工前の板材をセットし
た図、第17図は第1次加工のコイニング加工の実施状態
説明図、第18図は第2次加工の打抜きポンチによる加工
前の第1次加工前のセット図、第19図は第2次加工の打
抜き加工の実施状態説明図、第20図は、ビスカスカップ
リング断面図、第21図はビスカスカップリングの各プレ
ートを示し、(a),(b)はインナープレート、
(c)(d)はアウタープレートを示す。第22図は、ビ
スカスカップリングのプレートを本発明の実施例1の方
法により加工している状態を示し、(a)はナイフ刃パ
ンチコイニング加工中、(b)は打ち抜き加工中の状態
を示す断面図、第23図はビスカスカップリングのプレー
トの打抜き加工を従来方法と本発明の方法を用いた場合
の製品のだれ量の比較線図、第24図は従来例の平押し法
による作用を(a)〜(d)の工程順に示す。 1……パンチ、2……コイニングパンチ、 3……打抜きパンチ、4……ダイス、 6……板材。
フロントページの続き (72)発明者 岩崎 功 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−144826(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パンチおよびダイスの組合わせにより構成
    されている打抜き手段を用いた板材の打ち抜き加工方法
    であって、 第1次加工として、その先端周辺部が、打ち抜きパンチ
    の軸線に平行な外側面と前記軸線と所定角度をなす内側
    面とより成るナイフ刃状に突出し、その径方向の寸法
    が、打ち抜きパンチの径方向の寸法よりも僅かに大きい
    が又は等しく形成されたコイニングパンチを用いてコイ
    ニング加工を行い、板材を加工硬化した後、第2次加工
    として前記打ち抜きパンチにより所望の形状の加工品に
    打ち抜き加工を行うことを特徴とする精密打ち抜き加工
    方法。
  2. 【請求項2】パンチおよびダイスの組合せにより構成さ
    れている打抜き手段を用いた板材の打ち抜き加工方法で
    あって、 第1次加工として打抜きパンチの当り面と等しい大きさ
    の底面を有し、その底面より表面まで所定角度の斜面で
    囲まれて形成された雌型を有するダイス上に板材を載置
    し、前記打抜きパンチと比べてその径方向の寸法が僅か
    に小さいが又は等しい大きさを有するコイニングパンチ
    により前記板材を押圧してコイニングを行った後、第2
    次加工として塑性変形された前記板材の前記コイニング
    の当たり面の裏面の凸部頂部に前記打抜きパンチを当接
    させて打抜き加工を行うことをを特徴とする精密打ち抜
    き加工方法。
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