JP2000079418A - 開口を有するクラッチカバーの成形方法 - Google Patents

開口を有するクラッチカバーの成形方法

Info

Publication number
JP2000079418A
JP2000079418A JP10247989A JP24798998A JP2000079418A JP 2000079418 A JP2000079418 A JP 2000079418A JP 10247989 A JP10247989 A JP 10247989A JP 24798998 A JP24798998 A JP 24798998A JP 2000079418 A JP2000079418 A JP 2000079418A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch cover
opening
punching
hole
die
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10247989A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Yoshida
吉田  智
Naotoshi Sugawara
尚寿 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Exedy Corp
Original Assignee
Exedy Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Exedy Corp filed Critical Exedy Corp
Priority to JP10247989A priority Critical patent/JP2000079418A/ja
Publication of JP2000079418A publication Critical patent/JP2000079418A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開口を有するクラッチカバーの製造コストの
低減を図る。 【解決手段】 板状の素材にプレス加工を施すことによ
り、側壁孔24a,24b,24cを有するクラッチカ
バー2を成形する方法であって、ピアッシングと、1回
目削り抜き及び2回目削り抜きと、絞り加工とを備えて
いる。この方法では、ピアッシングにより素材に打抜き
加工を施して開口を開ける。次に、1回目及び2回目削
り抜きによって、ピアッシング時よりもクリアランスの
小さいパンチ及びダイスを用いて、素材に開けられた開
口の周辺に対して打抜き加工を施す。そして、絞り加工
によって、孔が開けられた素材に対して絞り成形を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開口を有するクラ
ッチカバーの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クラッチを構成するものの1つに、フラ
イホイールにクラッチディスクを押圧したりその押圧を
解除したりするクラッチカバー組立体がある。クラッチ
カバー組立体は、主として、クラッチディスクをフライ
ホイールとの間で挟持するためのプレッシャープレート
と、このプレッシャープレートをクラッチディスクに対
して付勢するためのダイヤフラムスプリング又はコイル
スプリング(付勢部材)と、フライホイールに固定され
付勢部材やプレッシャープレートを支持するクラッチカ
バーとから構成される。
【0003】図1にクラッチカバー組立体の一例を示
す。このクラッチカバー組立体1は、クラッチディスク
組立体のクラッチディスク51をフライホイール50に
押しつけてクラッチを連結し、あるいは押し付けを解除
してクラッチを切断するもので、主として、クラッチカ
バー2と、プレッシャープレート3と、ダイヤフラムス
プリング4とから構成されている。
【0004】このうちクラッチカバー2は、図2に示す
ように複雑な立体形状を有しており、従来からプレスに
よる絞り加工によって大まかな形状が成形される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近のクラッチカバー
の中には、クラッチの放熱性向上、クラッチカバーの軽
量化、あるいはクラッチカバー組立体のフライホイール
への脱着性向上等のために、図2に示すような孔(24
a,24b,24c)が側壁部分に形成されているもの
がある。このような孔をクラッチカバーの側壁部分に設
ける場合、まず平面的な板状の素材に対して予め孔を打
ち抜いておいて、その後素材に対してプレスによる絞り
成形を施して複雑な3次元形状に成形する。
【0006】ここで、単なる打抜きだけによって孔を形
成した場合、孔の近傍が加工硬化し、孔の周囲に硬化層
が形成される。このため、これをそのまま絞り成形した
のでは、孔の周囲に割れが発生する確率が高い。この割
れの発生を抑えるために、従来においては、打抜きによ
り孔を形成した後にこの部分に切削加工を施して硬化層
の除去を行っている。
【0007】しかし、切削加工には大きなコストがかか
っており、ここでの切削加工をなくさない限り、クラッ
チカバーの製造コストの大幅な低減を図ることは難し
い。本発明の課題は、開口を有するプレス加工品である
クラッチカバーの製造コストの低減を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のクラッ
チカバーの成形方法は、板状の素材にプレス加工を施す
ことにより、開口を有するクラッチカバーを成形する成
形方法であって、第1工程と、第2工程と、第3工程と
を備えている。この方法では、まず第1工程において、
素材に打抜き加工を施し、素材に開口を開ける。次に第
2工程において、第1工程により素材に開けられた開口
の周辺の少なくとも一部に対して、打抜き加工を施す。
この第2工程では、第1工程のものよりも隙間の小さい
雄型及び雌型により打抜き加工を施す。そして、第3工
程においては、第1及び第2打抜き加工により開口が開
けられた素材に対して、絞り加工あるいは曲げ加工を施
す。
【0009】本方法においては、絞り加工あるいは曲げ
加工を施す第3工程の前に第1及び第2工程を設け、素
材が板状であるときに開口を開けている。そして、この
開口は、第1工程の打抜き加工に加えて、第2工程の打
抜き加工を施すことによって仕上げられている。このよ
うにすることで、第1工程の打抜き加工で開けられた開
口の周辺に形成される硬化層のうち第3工程の曲げ加工
あるいは絞り加工時に割れが発生する恐れの高い部分に
あるものを、第2工程の打抜き加工で概ね除去しておく
ことができる。
【0010】なお、第2工程の打抜き加工によっても開
口の周囲が硬化するが、第2工程では第1工程で使用す
るものよりも隙間の小さい雄型及び雌型によって打抜き
加工を行っているため、この硬化によって第3工程の絞
り加工あるいは曲げ加工時に開口周辺に割れが発生する
確率は低い。したがって、本方法を使えば、絞り加工あ
るいは曲げ加工時の割れ発生を抑えつつ、絞り加工ある
いは曲げ加工の前に開口周辺の硬化層を切削加工で除去
している従来の方法を使う場合に較べて、開口を有する
クラッチカバーの製造コストを低減することができる。
また、本方法を使うと、従来に較べて絞り加工あるいは
曲げ加工による成形性も向上する。
【0011】請求項2に記載のクラッチカバーの成形方
法は、請求項1に記載の方法において、第2工程におけ
る雄型及び雌型の隙間は、0mmよりも大きく、0.1
mmよりも小さい。ここでは、第2工程の打抜き加工で
使用する雄型及び雌型の隙間を上記のように設定するこ
とにより、第2工程後の素材の開口の周囲の硬化が抑え
られ、第3工程の絞り加工あるいは曲げ加工時に開口周
辺に割れが発生する確率が低くなる。
【0012】また、第1工程においていきなり上記の数
値範囲に隙間があるような雄型及び雌型で打抜き加工を
行うとすると雄型及び雌型の耐久性等に問題が生じる恐
れが高いが、ここでは予め第1工程において開けられた
開口に対して隙間の小さい雄型及び雌型を使った第2工
程の打抜き加工を行うため、雄型及び雌型の耐久性等を
容易に確保することができる。
【0013】なお、第2工程の打抜き加工で使用する雄
型及び雌型の隙間がなければ雄型及び雌型の耐久性の問
題からクラッチカバーの大量生産に支障をきたすため、
上記のようなある程度の隙間の存在は必要となる。請求
項3に記載のクラッチカバーの成形方法は、請求項1又
は2に記載の方法において、第2工程により打抜き加工
が施された開口の加工面でのビッカースかたさが、20
0HV以下である。
【0014】ここでは、第3工程において板状の素材を
複雑な立体形状に成形する際に第2工程で打抜き加工が
施された部分に割れが発生しないように、第2工程によ
り打抜き加工が施された開口の加工面でのビッカースか
たさが200HV以下となるようにしている。なお、第
2工程により打抜き加工が施された開口の加工面でのビ
ッカースかたさを200HV以下となれば、開口周辺部
分のビッカースかたさも概ね200HV以下となる。
【0015】また、クラッチカバーの形状にもよるが、
割れの発生を抑えることを優先させる場合には、第2工
程により打抜き加工が施された開口の加工面でのビッカ
ースかたさが180HV以下となるようにすることがよ
り望ましい。請求項4に記載のクラッチカバーの成形方
法は、請求項1から3のいずれかに記載の方法におい
て、中間打抜き工程をさらに備えている。中間打抜き工
程は、第1工程と第2工程との間に設けられる工程であ
って、第1工程により素材に開けられた開口の周辺の少
なくとも一部に対して打抜き加工を施す。この中間打抜
き工程では、第1工程で使用するものよりも隙間が小さ
く第2工程で使用するものよりも隙間が大きい雄型及び
雌型によって、素材に打抜き加工が施される。また、第
2工程では、中間打抜き工程により素材に開けられた開
口の周辺の少なくとも一部に対して打抜き加工を施す。
【0016】ここでは、素材に対して第1工程の打抜き
加工によって開口を形成し、中間打抜き工程と第2工程
とによる2段階の打抜き加工によって開口を仕上げてい
る。これらの3つの打抜き加工を行う工程では、使用す
る雄型及び雌型の隙間が順に小さくなっている。このた
め、中間打抜き工程及び第2工程で使用する雄型及び雌
型にかかる負担が減り、これらの交換頻度が減少する。
【0017】
【発明の実施の形態】<クラッチカバー組立体の構成>
図1に、本発明の一実施形態に係るクラッチカバー2を
構成部品の1つとするクラッチカバー組立体1を示す。
このクラッチカバー組立体1は、クラッチディスク組立
体のクラッチディスク51をフライホイール50に押し
つけてクラッチを連結し、あるいは押し付けを解除して
クラッチを切断するための装置である。クラッチカバー
組立体1は、主として、クラッチカバー2と、プレッシ
ャープレート3と、ダイヤフラムスプリング4との部品
から構成されている。
【0018】<クラッチカバーの構成>クラッチカバー
2は、図1及び図2に示すように、複数のプレス加工
(後述)等により製作される複雑な立体形状の部材であ
って、固定部21と、湾曲部22,23等の複数の湾曲
部と、側壁孔24a,24b,24cとを有している。
また、クラッチカバー2の中心には大径の孔25が形成
されており、クラッチカバー2の内周端には複数のタグ
26が設けられている。
【0019】固定部21は、ここに形成されているボル
ト穴21aを貫通するボルトによりフライホイール50
に固定される。側壁孔24a,24b,24cは、クラ
ッチカバー2の概ね軸O−O方向に沿った側壁面に設け
られる孔であって、クラッチの放熱性向上、クラッチカ
バー2の軽量化、及びクラッチカバー組立体1のフライ
ホイール50への脱着性向上のために設けられるもので
ある。この側壁孔24a,24b,24cの周囲には、
湾曲部22,23が形成される。
【0020】タグ26はクラッチカバー2の内周端から
フライホイール50側に折り曲げられる(図1及び図2
参照)。また、このタグ26の先端部26aは、ワイヤ
リング31、ダイヤフラムスプリング4及びワイヤリン
グ32を組み込んだ後に、径方向外方に向かってプレス
加工によって折り曲げられる(図1参照)。なお、この
クラッチカバー2の素材としては熱間圧延軟鋼板(SP
HD)が採用されており、板厚は約6mmである。一般
に、クラッチカバーの素材としては、板厚4〜6mmの
SPHDが用いられる。
【0021】<その他の部品の構成>プレッシャープレ
ート3は、環状の部材であり、フライホイール50との
間にはクラッチディスク組立体のクラッチディスク51
が配置される。また、プレッシャープレート3には、ダ
イヤフラムスプリング4側に軸方向に突出する突出部3
aと、円周方向外方に突出する複数の連結用突出部3b
とが形成されている。連結用突出部3bには、リベット
7によりストラッププレート6の一端が固定される。ス
トラッププレート6は、プレッシャープレート3の接線
方向に延びており、他端はクラッチカバー2に固定され
る。この結果、プレッシャープレート3はクラッチカバ
ー2に相対回転不能に且つ軸方向移動可能になる。な
お、ストラッププレート6の付勢力により、プレッシャ
ープレート3はフライホイール50から離れる方向に付
勢される状態となる。
【0022】ダイヤフラムスプリング4は、円板状の部
材であって、クラッチカバー2とプレッシャープレート
3との間に配置され、クラッチカバー2に支持される。
ダイヤフラムスプリング4の外周部はプレッシャープレ
ート3の突出部3aに当接しており、中間部はワイヤリ
ング31及び32を介してクラッチカバー2のタグ26
に支持されている。この状態でダイヤフラムスプリング
4はプレッシャープレート3をフライホイール50側に
付勢している。
【0023】<クラッチカバー組立体の動作>次に、ク
ラッチカバー組立体1の動作について説明する。このク
ラッチカバー組立体1は、クラッチ連結状態では、ダイ
ヤフラムスプリング4によってプレッシャープレート3
がフライホイール50との間にクラッチディスク組立体
のクラッチディスク51を押圧している。これによっ
て、フライホイール50とクラッチディスク51とが圧
接し、フライホイール50からのトルクがクラッチディ
スク組立体に伝達される。
【0024】クラッチのレリーズ時において上記の押圧
を解除する時には、ダイヤフラムスプリング4の内周端
を軸方向に移動させ、ワイヤリング32を支点として、
ダイヤフラムスプリング4の外周部をフライホイール5
0側と逆側に移動させる。すると、ストラッププレート
6の付勢力によりプレッシャープレート3もフライホイ
ール50側と逆側へと移動して、フライホイール50と
の間に挟持されていたクラッチディスク組立体のクラッ
チディスク51がフライホイール50及びプレッシャー
プレート3と離接し、トルクの伝達が切断される。
【0025】<クラッチカバーの成形方法>次に、クラ
ッチカバー2の成形方法、特に側壁孔24a,24b,
24cの成形方法について説明する。まず、図3に示す
ように切断及び孔開けした板状の素材Pを用意し、これ
に対して図4に示す孔61,62,71,72,81を
プレスによる打抜き加工によって開ける(以下、この打
抜き加工をピアッシングという。)。
【0026】次に、ピアッシングによって図4のように
孔61,62,71,72,81が開けられた素材Pに
対して、図5に示す孔63,73,82をプレスによる
打抜き加工によって開ける(以下、この打抜き加工を1
回目削り抜きという。)。孔63は、孔61及び孔62
を含み、これらよりも大きい孔である。孔73は、孔7
1及び孔72を含み、これらよりも大きい孔である。ま
た、孔82は、孔81を含み、これよりも大きな孔であ
る。この1回目削り抜きによって、ピアッシング時に各
孔の周囲に形成される硬化層のうち後述する絞り成形時
に割れを発生させるようなものがある程度除去される。
【0027】次に1回目削り抜きによって図5のように
孔63,73,82が開けられた素材Pに対して、図6
に示す孔64,74,83をプレスによる打抜き加工に
よって開ける(以下、この打抜き加工を2回目削り抜き
という。)。孔64は、孔63を含み、これよりも大き
な孔である。孔74は、孔73を含み、これよりも大き
な孔である。また、孔83は、孔82を含み、これより
も大きな孔である。この2回目削り抜きによって、ピア
ッシング時及び第1回削り抜き時に各孔の周囲に形成さ
れる硬化層のうち絞り成形時に割れを発生させるような
ものが概ね除去される。
【0028】このように、ピアッシング、1回目削り抜
き、及び2回目削り抜きによって孔開け及び孔周囲の硬
化層除去が完了すると、この図6に示す素材Pに対して
プレスによる絞り加工が施され、図2に示す複雑な立体
形状のクラッチカバー2の固定部21や湾曲部22,2
3が絞り成形される。これにより、素材Pの孔64はク
ラッチカバー2の側壁孔24aに、素材Pの孔74は側
壁孔24bに、素材Pの孔83は側壁孔24cに成形さ
れる。
【0029】ここでは、ピアッシング、1回目削り抜
き、及び2回目削り抜きで、使用するパンチ(雄型)と
ダイス(雌型)とのクリアランス(隙間)が段々と小さ
くなっている。これを、図7及び図8を参照して説明す
る。図7は、素材Pに開けられる孔61,62,63,
64の形状を示すものであって、1点鎖線で孔61,6
2を、2点鎖線で孔63を、実線で孔64を描画してい
る。
【0030】図8は、図7のVIII−VIII矢視断面図であ
る。図8において実線で示すものは、2回目削り抜きが
行われ孔64が開けられた素材Pと、素材Pを載置する
2回目削り抜き用のダイス91と、2回目削り抜き用の
パンチ94とである。図8において2点鎖線で示すもの
は、1回目削り抜きにより素材Pに形成される孔63
と、1回目削り抜き用のパンチ93とである。図8にお
いて1点鎖線で示すものは、ピアッシングにより素材P
に形成される孔61と、ピアッシング用のパンチ92と
である。
【0031】ピアッシング用のパンチ92とピアッシン
グ用のダイス91とのクリアランスは寸法S1に設定さ
れている。1回目削り抜き用のパンチ93と1回目削り
抜き用のダイス91とのクリアランスは寸法S1よりも
小さい寸法S2に設定されている。2回目削り抜き用の
パンチ94と2回目削り抜き用のダイス91とのクリア
ランスは寸法S2よりもさらに小さい寸法S3に設定さ
れている。ここでは、寸法S3は0.05mmに設定さ
れている。
【0032】図9に示すように、パンチ94及びダイス
91による2回目削り抜きでは、1回目削り抜きにより
開けられた孔63の加工面近傍に形成された硬化部位P
sが削り取られる。同様に、1回目削り抜きでは、ピア
ッシングにより開けられた孔61,62の加工面近傍に
形成された硬化部位が削り取られる。このように、1回
目削り抜き及び2回目削り抜きによって、ピアッシング
及び1回目削り抜きにより形成された孔周辺の硬化部位
が削り取られ、周囲に所定のかたさ以上の硬化部位のな
い孔64が最終的に素材Pに形成される。なお、上記の
ように硬化部位を削り取り、且つ仕上げの2回目削り抜
きにおいてパンチ94とダイス91とのクリアランスを
極めて小さく設定して孔64近傍の硬化層の発生を抑え
ているため、孔64の加工面及び加工面近傍でのビッカ
ースかたさは180HV以下となっている。
【0033】なお、ここでは図9を参照して素材Pに開
けられる孔64を例にとって説明したが、素材Pに開け
られる他の孔74,83に関しても同様に仕上げられ、
孔74,83の加工面及び加工面近傍でのビッカースか
たさも180HV以下になっている。 <本成形方法の特徴> (1)本成形方法においては、絞り加工を素材Pに施す
前にピアッシング、1回目削り抜き、及び2回目削り抜
きを行い、素材Pが板状である状態で孔64,74,8
3を開けて硬化層を削り取る仕上げを施している。
【0034】このようにすることで、ピアッシングで開
けられた孔61,62、71,72,81の近傍に形成
される硬化層及び1回目削り抜きで開けられた孔63,
73,82の近傍に形成される硬化層のうち絞り成形時
に割れが発生する恐れの高い部分にあるものを、1回目
削り抜き及び2回目削り抜きで除去している。すなわ
ち、本方法では、従来のように切削加工を行うことなく
所定かたさ以上の硬化層を除去し、絞り成形時に割れが
発生することを抑えている。
【0035】なお、第2工程の打抜き加工によっても開
口の周囲が硬化するが、クリアランスの極めて小さなパ
ンチ及びダイスによって2回目削り抜きを行っているた
め、加工面近傍のビッカースかたさが180HV以下に
抑えられており、この硬化によって絞り成形時に孔6
4,74,83の周辺に割れが発生する確率は低い。こ
こでは、削り抜き後の加工面の硬化を上記のように抑え
るために2回目削り抜きのパンチ及びダイスのクリアラ
ンスを0.05mmに設定しているが、これを0mmよ
り大きく0.1mm以下の範囲に設定しておけば加工面
近傍のビッカースかたさは概ね180HV以下に抑えら
れる。
【0036】このように、プレスによる1回目削り抜き
及び2回目削り抜きを行うことで従来行っている切削加
工を省いているため、クラッチカバー2の製造コストが
従来よりも低減されている。また、絞り成形性について
は、従来と同等のレベルが確保されている。 (2)本成形方法では、ピアッシング、1回目削り抜
き、及び2回目削り抜きと、段々にパンチ及びダイスの
クリアランスを小さくしているため、パンチ及びダイス
の寿命が長くなり、効率的なクラッチカバーの大量生産
が可能である。また、これによりクラッチカバーの1つ
当たりの製造コストが安くなる。
【0037】すなわち、いきなりクリアランスの極めて
小さいパンチ及びダイスでピアッシングを行うとする
と、パンチ及びダイスの寿命が短くなってこれらの交換
頻度が高くなる。すると、生産性が悪化するとともに、
交換作業が多くなってクラッチカバー1つ当たりの製造
コストが高くなる。これに対して、本方法では、パンチ
及びダイスのクリアランスが比較的大きいピアッシング
によって開けられた孔61,62,71,72,81に
対して、パンチ及びダイスのクリアランスが比較的小さ
な1回目削り抜き及びパンチ及びダイスのクリアランス
が極めて小さい2回目削り抜きを行って硬化部位を除去
して孔を仕上げているため、それぞれの工程においてパ
ンチ及びダイスにかかる負担が軽減され、パンチ及びダ
イスの寿命が長くなっている。
【0038】なお、段々にパンチ及びダイスのクリアラ
ンスを小さくしていても最終の削り抜き(ここでは2回
目削り抜き)のクリアランスが0であればパンチ及びダ
イスの寿命が極端に短くなってしまうため、ここではク
リアランスを0mmよりも大きい0.05mmに設定し
てパンチ及びダイスの寿命を確保している。 (3)本成形方法では、絞り加工によって板状の素材を
複雑な立体形状に成形する際に孔64,74,83の周
囲に割れが発生しないように、各孔61,62,63,
64,71,72,73,74,81,82,83の形
状やパンチ及びダイスのクリアランスS1,S2,S3
の大きさ等を設定して、2回目削り抜きが施された孔6
4,74,83の加工面近傍でのビッカースかたさが1
80HV以下となるようにしている。(なお、孔64,
74,83から離れるに従ってビッカースかたさの値は
小さくなる。) このように板状の素材Pの孔64,74,83近傍の硬
化度合いが小さくなっているため、絞り成形性が良くな
り、素材Pを絞り成形したときに孔64,74,83の
周辺から割れが発生することが抑えられている。
【0039】なお、ここでは2回目削り抜きが施された
孔64,74,83の加工面近傍でのビッカースかたさ
が180HV以下となるようにしているが、これを20
0HV以下としておけば概ね絞り成形時の割れの発生を
抑えることができる。しかしながら、好ましくは本実施
形態で設定した180HV以下である。 [他の実施形態]上記実施形態においては、1回目削り
抜き及び2回目削り抜きの2回の打抜き加工を行って素
材Pに開ける孔を仕上げているが、クラッチカバーのサ
イズや形状の複雑度合いによっては、1回目削り抜きを
省略して、ピアッシング及びパンチ及びダイスのクリア
ランスが極めて小さな2回目削り抜きによって孔を開け
て仕上げても良い。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法を使えば、絞り加工あるい
は曲げ加工時の割れ発生を抑えつつ、絞り加工あるいは
曲げ加工の前に開口周辺の硬化層を切削加工で除去して
いる従来の方法を使う場合に較べて、開口を有するクラ
ッチカバーの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である方法により成形され
たクラッチカバーを備えたクラッチカバー組立体の縦断
面概略図。
【図2】クラッチカバーの斜視図。
【図3】クラッチカバーのピアッシング前の平面図。
【図4】クラッチカバーのピアッシング後の平面図。
【図5】クラッチカバーの1回目削り抜き後の平面図。
【図6】クラッチカバーの2回目削り抜き後の平面図。
【図7】ピアッシング、1回目削り抜き、及び2回目削
り抜きによって開けられる孔の形状図。
【図8】図7のVIII−VIII矢視断面図。
【図9】2回目削り抜きの加工状態図。
【符号の説明】
2 クラッチカバー 24a,24b,24c 側壁孔(開口) 91 ダイス(雌型) 92,93,94 パンチ(雄型) P 素材 S1,S2,S3 クリアランス(隙間)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板状の素材にプレス加工を施すことによ
    り、開口を有するクラッチカバーを成形する成形方法で
    あって、 前記素材に打抜き加工を施して前記素材に開口を開ける
    第1工程と、 前記第1工程により前記素材に開けられた開口の周辺の
    少なくとも一部に対して、前記第1工程のものよりも隙
    間の小さい雄型及び雌型により打抜き加工を施す第2工
    程と、 前記第1及び第2打抜き加工により前記開口が開けられ
    た前記素材に対して、絞り加工あるいは曲げ加工を施す
    第3工程と、を備えた、クラッチカバーの成形方法。
  2. 【請求項2】前記第2工程における前記雄型及び雌型の
    隙間は、0mmよりも大きく、0.1mmよりも小さ
    い、請求項1に記載のクラッチカバーの成形方法。
  3. 【請求項3】前記第2工程により打抜き加工が施された
    前記開口の加工面でのビッカースかたさが、200HV
    以下である、請求項1又は2に記載のクラッチカバーの
    成形方法。
  4. 【請求項4】前記第1工程により前記素材に開けられた
    開口の周辺の少なくとも一部に対して、前記第1工程の
    ものよりも隙間が小さく前記第2工程のものよりも隙間
    が大きい雄型及び雌型により打抜き加工を施す中間打抜
    き工程を、前記第1工程と前記第2工程との間にさらに
    備え、 前記第2工程では、前記中間打抜き工程により前記素材
    に開けられた開口の周辺の少なくとも一部に対して打抜
    き加工を施す、請求項1から3のいずれかに記載のクラ
    ッチカバーの成形方法。
JP10247989A 1998-09-02 1998-09-02 開口を有するクラッチカバーの成形方法 Pending JP2000079418A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10247989A JP2000079418A (ja) 1998-09-02 1998-09-02 開口を有するクラッチカバーの成形方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10247989A JP2000079418A (ja) 1998-09-02 1998-09-02 開口を有するクラッチカバーの成形方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000079418A true JP2000079418A (ja) 2000-03-21

Family

ID=17171546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10247989A Pending JP2000079418A (ja) 1998-09-02 1998-09-02 開口を有するクラッチカバーの成形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000079418A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100448598C (zh) * 2007-02-11 2009-01-07 陈勇 一种离合器壳体拉伸工艺
CN102974715A (zh) * 2012-12-24 2013-03-20 桂林福达股份有限公司 Dst结构盖的优化冲压加工工艺
CN103949539A (zh) * 2014-04-24 2014-07-30 靖江三鹏汽车模具制造有限公司 离合器压盖窗口冲压工艺
CN107138616A (zh) * 2017-06-21 2017-09-08 桂林福达重工锻造有限公司 汽车离合器盖成形精压模具

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100448598C (zh) * 2007-02-11 2009-01-07 陈勇 一种离合器壳体拉伸工艺
CN102974715A (zh) * 2012-12-24 2013-03-20 桂林福达股份有限公司 Dst结构盖的优化冲压加工工艺
CN103949539A (zh) * 2014-04-24 2014-07-30 靖江三鹏汽车模具制造有限公司 离合器压盖窗口冲压工艺
CN103949539B (zh) * 2014-04-24 2015-12-30 靖江三鹏模具科技股份有限公司 离合器压盖窗口冲压工艺
CN107138616A (zh) * 2017-06-21 2017-09-08 桂林福达重工锻造有限公司 汽车离合器盖成形精压模具

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4438848B2 (ja) 回転ディスクの製造方法
JP3586896B2 (ja) フランジ付中空部品の製造方法
US7849578B2 (en) Progressive and transfer die stamping
JP3203317B2 (ja) クラッチ用ハブフランジの製造方法
JP5397396B2 (ja) 回転電機の回転子鉄心の製造方法
US20130025985A1 (en) Method of Manufacturing Brake Disc and Brake Disc
JP2000079418A (ja) 開口を有するクラッチカバーの成形方法
CN102844556A (zh) 内燃机用活塞的制造方法以及可用该方法制成的活塞
CN105903798A (zh) 模具设备以及利用该模具设备制造金属产品的方法
JP2006064124A (ja) クラッチハウジング及びその製造方法
JP2006142363A (ja) ブレーキディスクの製造方法
JP3942256B2 (ja) 軸受外輪及びその製造方法、並びにクラッチレリーズ軸受
JP2002346690A (ja) 金属部品の鍛造成形方法
JP2023515446A (ja) スプライン加工された部品の形成方法
JP3746828B2 (ja) 円筒状部品の製造方法
JPH1182674A (ja) トルクコンバータのタービンシェルのプレスによる成形方法
JP5798965B2 (ja) ディスクブレーキ用中空ピストン及び成形ダイス
JP4010705B2 (ja) 軸付き円盤部品の成形金型装置
KR101661458B1 (ko) 이너레이스와 보스의 복합 단조품의 제조방법
JP2000225432A (ja) 自動車ホイール用ディスクの製造方法
JPS6219937B2 (ja)
JP2005155857A (ja) クラッチハウジングの製造方法
JP2802261B2 (ja) 二重筒状体の製造方法およびその装置
JPH11254078A (ja) 鍛造用金型装置
JP2819894B2 (ja) レブロジョイント外輪の製造方法およびその製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050425

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050614