JPH0711008Y2 - 作業用走行機体におけるブレーキペダル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、農用トラクタ等の作業用走行機体におけるブ
レーキペダル装置に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 一般に、この種作業用走行機体においては、左右走行車
輪の制動を各別に行う必要が有ることから、左右一対の
サイドブレーキペダルを設け、圃場走行に際しては両サ
イドブレーキペダルを各別に踏み込み操作できるように
し、一方、路上走行に際しては両サイドブレーキペダル
を連結して同時踏み込みを行うようにしている。

しかるに従来、このサイドブレーキペダルの各別の踏み
込みと同時踏み込みとの切換えは、ペダル部に設けた連
結板の切換え操作によつて行うものであるため、どうし
ても左右一対のブレーキペダルが必要になり、このため
ステツプ部が狭くなつて足元空間の居住性が損なわれる
許りでなく、左右サイドブレーキペダルの踏み込み間違
いが無いかどうかの確認のためには、視線を足元にそら
さなければならず、このため一時的に前方不注意状態が
生じる惧れが有る。

これに対し、サイドブレーキペダルを一つとし、そして
該サイドクラツチペダルの踏み込みでサイドブレーキの
択一的な選択制動および同時制動の切換えができるよう
にすることが例えば実開平2-35881号公報に示されるよ
うに提唱される。そしてこのものでは、前記選択制動と
同時制動との切換えを、ステアリングホイールの操作量
に対応して行うようにしている。ところがこの様にした
ものでは、路上走行時において急旋回しようとしてステ
アリングホイールを大きく操作すると、同時制動状態の
サイドブレーキのうちの旋回外側のものが突然に制動解
除状態になつてしまううえ、圃場走行時においてサイド
ブレーキペダルを踏んでも、所定角度以上ステアリング
操作するまでは同時制動状態となつて旋回性が損なわれ
るという問題が有り、そのためこれを回避すべく同時制
動状態の維持をするための操作レバーを設けている。

［課題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一掃
するこができる作業用走行機体におけるブレーキペダル
装置を提供することを目的として創案されたものであつ
て、左右走行車輪をそれぞれ制動するための左右サイド
ブレーキを単一のブレーキペダルにて操作可能に設けて
なる作業用走行機体において、前記各サイドブレーキを
制動作動させるための各作動機構間に、これら各作動機
構に対して同時関与をするか択一的関与をするかの三者
選択切換え作動をして対応するサイドブレーキの制動作
動を可能にする切換え体を設けると共に、該切換え体の
切換えをするための操作具を、ステアリングハンドルの
下方近傍に配してステアリング操作をする手元での遠隔
操作ができる構成にしたことを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、単一のブレーキペ
ダルとし、左右サイドブレーキの同時制動、択一的制動
への切換えを手元操作できるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図
面において、１はオフセツト型農用トラクタの走行機体
であつて、該走行機体１における運転席２の前下方には
ブレーキペダル３のボス部3aが支軸４を支点として揺動
自在に設けられているが、この支軸４には、ボス部3aを
挟んで左右両側に本考案の作動機構の一部を構成するサ
イドブレーキ作動板５、６が回動自在に枢支されてい
る。一方（右側）の作動板５に突設したアーム5aの先端
部には略コ字形をしたジヨイント材7bが枢結されてお
り、このジヨイント材7bの先端部には連結ロツド７の一
端部がロツクナツト7aを介して出没調整自在に連結され
ており、そして連結ロツド７の先端部は一側のサイドブ
レーキ８の作動アーム8aに連結されている。また他方の
作動板６は、リンク９を途中に介在する関係で、ジヨイ
ント材7b、連結ロツド７、作動アーム8aを介して他側の
サイドブレーキに連動連結されている。そしてこのもの
は、連結ロツド７を取外すことなくロツド長調節ができ
てサイドブレーキ８の調整を行うことができるようにな
つている。

10は前記ブレーキペダル３の基部上面に支軸10aを介し
て揺動自在に枢支された切換え板であつて、該切換え板
10は扇状をしていて、両側部が左右の作動板５、６にオ
ーバーラツプするようになつている。この切換え板10に
は支軸10aを挟んで連結ワイヤ11、12の一端部が連結さ
れている。この連結ワイヤ11、12は、運転席２の前方に
配されたステアリングホイール13の下部に設けた揺動板
14に連結されており、この揺動板14には切換えレバー15
の基端部が連結されている。そして切換えレバー15を中
立位置Ｎにセツトした状態では切換え板10は前述したよ
うに両作動板５、６にオーバーラツプしており、そして
ブレーキペダル３を踏み込むことで両サイドブレーキ
８、８が同時制動作動する構成になつている。

一方、切換えレバー15を、この中立位置Ｎから右位置
Ｒ、あるいは左位置Ｌに操作した場合に、これに連結ワ
イヤ11、12が対応して押し引きされて、切換え板10は、
前記両作動板６にオーバーラツプする姿勢から、左右何
れか一方の、つまり右位置Ｒに操作した場合には右側作
動板５にのみオーバーラツプして左側作動板６とのオー
バーラツプが解除され、逆に左位置Ｌに操作した場合に
は左側作動板６にのみオーバーラツプして右側作動板５
とのオーバーラツプが解除される択一姿勢に変姿し、こ
の状態でブレーキペダル３を踏み込むと、オーバーラツ
プする側の作動板５または６のみが揺動作動して対応す
る側のサイドブレーキ８のみの制動作動が成される構成
になつている。

尚、16はブレーキペダル３を制動姿勢状態にロツクする
ロツク具であつて、該ロツク具16にはラチエツト式の係
合歯16aが切欠されている。そして、ブレーキペダル３
は、踏み込み姿勢で係合歯16aをピン3bに係止すること
によつて制動姿勢に維持されて駐車ブレーキとして使用
されることになるが、ロツク具16はリンク17を介して運
転席２の下方に設けた切換えレバー18に連動連結されて
おり、そして該切換えレバー18の操作によつてロツク具
16の前記セツトおよび解除ができるようになつている。
また、20はクラツチペダルである。

叙述のごとく構成された本考案の実施例において、路上
走行をするような場合には、切換えレバー15を中立位置
Ｎにセツトしておけば、ブレーキペダル３の踏み込みに
連動して両作動板５、６が共に揺動して左右サイドブレ
ーキ８の制動作動を行うことができ、一方、圃場での作
業走行を行うにあたり機体旋回を行う場合、切換えレバ
ー15を旋回する側に操作した状態でブレーキペダル３を
踏み込むと、該側のサイドブレーキ８のみが制動して他
側サイドブレーキ８は制動することが無く、従つて小回
り旋回ができることになる。

この様に、本考案が実施されたものにおいては、左右サ
イドブレーキ８の同時制動作動、並びに左右択一的な制
動作動を選択切換えできるものであるが、この選択切換
えは、従来のように左右両サイドブレーキペダルを設
け、これらを連結するか否かの切換えで行うものではな
く、ブレーキペダル３は一個のみであつて、切換えレバ
ー15の切換え操作に連動する切換え板10の揺動によつて
行われることに成る。従つて、何れの制動作動も、単一
のブレーキペダル３の踏み込みで良いので、左右踏み違
いが無くなつて、安全かつ確実な機体旋回を行うことが
できる許りでなく、ステツプ部の足元空間を広くでき
て、居住性、操作性を大幅に改善できることになる。

しかもこのものは、切換えレバー15がステアリングホイ
ール13の下方近傍に配されているので、切換えレバー15
の切換え操作を、ステアリングホイール13を操作する手
元で簡単に遠隔操作することができ、これによつて、作
業者は殆ど運転姿勢を変えることなく円滑かつ確実な選
択切換え操作ができることになる。しかも、従来の切換
え操作を足元で行うもののように、作業者がいちいち視
線を足元までそらして足操作を行つたり、かがみ込んで
切換えたりする必要がなくなり、前方不注意状態の発生
を極力無くしえて運転ミスの発生を可及的に無くするこ
とができる。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであ
るから、単一のブレーキペダルの踏み込みでサイドブレ
ーキの左右同時的な制動、左右択一的な制動ができるも
のでありながら、その切換えは、ステアリングハンドル
の下方近傍に配した手元操作できる操作具の切換えによ
つて遠隔的になされることになる。この結果、単一のブ
レーキペダルによるサイドブレーキの前記制動切換えの
選択が、従来のサイドクラツチペダル部位で行うものの
ように、作業者が足元近くまでかがみ込んで行つたり、
視線を足元にそらした状態で足操作で行つたりする必要
が無く、ステアリングハンドル下方近傍であつて作業者
は姿勢を殆ど変える必要がない手元操作で簡単にできる
ことになつて、切換え操作が楽になつて作業性の改善が
計れる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る作業用走行機体におけるブレーキ
ペダル装置の実施例を示したものであつて、第１図は農
用トラクタの全体側面図、第２図は同上全体平面図、第
３図はブレーキペダル作動機構の要部側面図、第４図は
同上平面図、第５図（Ａ）、（Ｂ）はそれぞれ連結ロツ
ド部の側面図、平面図である。 図中、１は走行機体、３はブレーキペダル、５、６は作
動板、８はサイドブレーキ、10は切換え板、13はステア
リングホイール、15は切換えレバーである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右走行車輪をそれぞれ制動するための左
   右サイドブレーキを単一のブレーキペダルにて操作可能
   に設けてなる作業用走行機体において、前記各サイドブ
   レーキを制動作動させるための各作動機構間に、これら
   各作動機構に対して同時関与をするか択一的関与をする
   かの三者選択切換え作動をして対応するサイドブレーキ
   の制動作動を可能にする切換え体を設けると共に、該切
   換え体の切換えをするための操作具を、ステアリングハ
   ンドルの下方近傍に配してステアリング操作をする手元
   での遠隔操作ができる構成にしたことを特徴とする作業
   用走行機体におけるブレーキペダル装置。