JPH07109724B2 - はんだ付け可能な銅系導電性ペースト - Google Patents

はんだ付け可能な銅系導電性ペースト

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JPH07109724B2
JPH07109724B2 JP3118706A JP11870691A JPH07109724B2 JP H07109724 B2 JPH07109724 B2 JP H07109724B2 JP 3118706 A JP3118706 A JP 3118706A JP 11870691 A JP11870691 A JP 11870691A JP H07109724 B2 JPH07109724 B2 JP H07109724B2
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copper
conductive paste
based conductive
acid
substrate
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明典 横山
章 大谷
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性、耐酸化性、耐
マイグレーション性に優れ、且つ、はんだ付け可能な銅
系導電性ペースト及び該ペーストを用いた導電体にかん
するものであり、電磁波シールド、導電性接着剤、導電
回路用ペースト、電極用ペースト、スクリーン印刷用ペ
ースト、印刷抵抗用ペースト、スルーホール用ペース
ト、コンデンサー電極用ペースト、接点材料として利用
できる。
【0002】
【従来の技術】公知の導電性ペーストとして用いられて
いるものには以下の欠点がある。銅は安価であるが、酸
化により導電性が低下しやすい。また、酸化防止剤を銅
粉末を用いたペーストに添加する試みも行われている
が、初期には粉末表面の銅酸化物が除去された導電性が
得られるが、やはり塗膜化された後、高温あるいは高湿
度中では粒子表面が酸化され、次第に接点抵抗が増加し
導電性を損ねる。そのためはんだ付けが悪く、銅を用い
た導電性ペーストにははんだ付けが困難であった。
【0003】また、銀粉を用いた導電性ペーストが公知
であるが、マイグレーションし易く、かつ、はんだ食わ
れが著しく充分な塗膜の接着強度が得られない。銀を銅
粉にメッキした粉末を用いた導電性ペーストも公知であ
るが(例えば特開平3−21659号公報)、混練り時
の剥がれの問題や耐銀マイグレーションが劣るなどの問
題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性、耐
酸化性、耐マイグレーション性が良く、かつはんだ付け
可能な銅系導電性ペースト及びそれを用いた製品を提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、1. 一般式AgxCuy(ただし、0.
001≦x≦0.999、0.001≦y≦0.99
9、x+y=1、原子比)で表わされる銅合金粉末10
0重量部とフェノール系有機バインダー5〜100重量
部、チタンカップリング剤0.001〜3重量部、及び
銅酸化物を除去しうる添加剤0.01〜100重量部か
らなるはんだ付け可能な銅系導電性ペースト。 2. 一般式AgxCuyで表される銅合金粉末が0.
001≦x≦0.4、0.6≦y≦0.999(原子
比)の範囲で、銅合金粉末の粒子表面の銀濃度が平均の
銀濃度より高く、かつ表面近傍で内部より表面に向かっ
て銀濃度が増加する領域を有することを特徴とする請求
項1記載のはんだ付け可能な銅系導電性ペーストであ
る。
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明に用いる銅合金粉末は、アトマイズ法により作製さ
れる。ガスアトマイズ法、水アトマイズ法が好ましい
が、特に不活性ガスアトマイズ法が好ましい。本発明で
用いられる不活性ガスアトマイズ法については本発明者
らの発明した特開平2−282401号公報記載の方法
が好ましい。例えば、かかる組成の銅、銀混合物、また
は合金を不活性雰囲気中あるいは真空中で、高周波誘導
加熱を用いてるつぼ中で融解する。この時、不活性雰囲
気とは、融液と全く反応しないか、あるいは極めてゆる
やかにしか反応しない雰囲気を意味する。例えば、窒
素、ヘリウム、水素、アルゴンを主成分にした雰囲気が
好ましい。さらに、るつぼ先端より融液を不活性ガス雰
囲気中へ噴出する。噴出と同時に、圧縮された不活性ガ
スを断熱膨張させて発生した高速気流を融液に向かって
噴出し、アトマイズする方法である。ここで用いられる
不活性ガスとは、かかる組成の融液とまったく反応しな
いか、あるいは極めてゆるやかにしか反応しないガスを
意味する。例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、
及びそれらの混合物が好ましい。この時、ガスに含まれ
る酸素は、2%以下が好ましく、さらに0.1%以下が
好ましい。
【0007】ガスの圧力(膨張直前)は、5kg/cm
2 G以上が好ましく、さらに15kg/cm2 G以上が
好ましい。高速気流の速度は、融液との衝突位置で50
m/秒以上が好ましく、さらに100m/秒以上が好ま
しく、300m/秒以上が最も好ましい。ガスと融液と
の質量速度比(ガス質量速度/融液質量速度)は0.1
以上が好ましく、1以上がさらに好ましい。また、この
時の冷却速度は102 ℃/ 秒〜109 ℃/秒が好ましく、
103 ℃/秒〜107 ℃/秒がより好ましい。
【0008】本発明で用いるAgxCuy(ただし、
0.001≦x≦0.999、0.001≦y≦0.9
99、x+y=1、原子数比)であるが、xが0.00
1未満では、充分な耐酸化性、はんだ付け性が得られ
ず、またxが0.999を越える場合には耐マイグレー
ション性、耐はんだ食われ性が充分でない。本発明で用
いる銅合金粉末は0.001≦x≦0.4の場合には、
粉末表面の銀濃度が平均の銀濃度より高く、かつ表面近
傍で銀濃度が内部より表面に向かって銀濃度が増加する
領域を有しており、表面の銀濃度が平均の銀濃度の2.
1倍以上である。好ましくは、3倍〜40倍であり、さ
らに4倍〜15倍が好ましい。銀量xは、好ましくは
0.005≦x≦0.3、さらに0.01≦x≦0.2
5が好ましい。
【0009】本発明で用いる0.001≦x≦0.4の
銅合金粉末は、表面の銀濃度が平均の銀濃度より高い
が、低融点である銀が表面に濃縮される機構について
は、本発明者らにより既に開示されているように(特開
平2−282401号公報)、以下の様に考えられる。
例えば高速気流ガスとの衝突により生じた微細な金属液
滴が高速気流に同伴し高速走行しながら急冷凝固する。
この凝固過程で低融点である銀に富んだ液相が表面に排
出されて遅れて固化し、表面に銀が濃縮された粉末がで
きるものと考えられる。
【0010】水アトマイズ法を用いる場合には、銅合金
の融液をるつぼ先端より噴出する。噴出と同時に、ノズ
ル先端より噴出された融液に向かって、加圧された水を
ノズルより噴出し、上記融液と衝突させ微粒子化し、急
冷凝固する。この時、水の質量速度/融液の質量速度比
が10以上であることが好ましく、さらに、40以上が
好ましい。また、水と融液との衝突位置における水の速
度は80m/秒以上が好ましく、さらに、100m/秒
以上が好ましい。加圧水をノズル先端より噴出する時の
圧力は50kg/cm2 G以上が好ましく、さらに10
0kg/cm2 G以上が好ましい。
【0011】銀量xが0.4を越える場合には(0.4
≦x≦0.999)、特に高温での耐酸化性を要求する
場合に用いることができる。この場合には、粉末中の銀
が銅と合金化しているために耐マイグレーション性も高
く、且つ、表面の銀の濃度が高く、しかもかなり粒子内
部にまでも銀が存在しているために銅の酸化防止に対し
て効果を有するものである。
【0012】水アトマイズ法により作製された急冷凝固
粉末は、不規則形状のものが多く含まれるが、本発明の
球状粒子のはんちゅうに入る。ここで、銀濃度とは、A
g/(Ag+Cu)(原子数比)を意味する。本発明で
用いる銅合金粉末は、平均粒径が0.1〜100μmで
あるが、0.1μm未満では、接触抵抗が増加して導電
性を損ねる。また、100μmを越える場合には、スク
リーン印刷適正が劣る。好ましくは、0.1〜50μ
m、さらに好ましくは0.5〜30μmである。
【0013】粒子形状は、球状、燐片状及びそれらの混
合物が好ましい。燐片状粉末を用いる場合には、機械的
に偏平化させる公知の方法を用いることができる。例え
ば、スタンプミル、ポールミル等の方法が挙げられる。
本発明で用いられる銅合金粉末は、特性を損なわない程
度であれば、溶融時にAl,Zn,Sn,Pb,Si,
Mn,Bi,Mo,Cr,Ir,Nb,Sb,B,P,
Mg,Li,C,Na,Ba,Ti,In,Au,P
d,Pt,Rh,Ru,Zr,Hf,Y,Laなどの金
属、半金属及びそれらの化合物を添加しても構わない
し、また、本発明で用いる粉末と同時に、Al,Zn,
Sn,Pb,Si,Mn,Bi,Mo,Cr,Ir,N
b,Sb,B,P,Mg,Li,C,Na,Ba,T
i,In,Au,Ag,Cu,Pd,Pt,Rh,R
u,Zr,Hf,Y,Laなどの金属、半金属及びそれ
らの化合物からなる粉末を混合しても構わない。
【0014】本発明の銅系導電性ペーストは、銅合金粉
末100重量部に対して、フェノール系有機バインダー
を5〜100重量部を有するが、5未満の場合には、塗
膜中の導電性銅合金粉末を結合させておくに充分な樹脂
量がなく、導電性及び密着強度を低下させる。また、1
00重量部を越える場合には、導電性銅合金粉末量が充
分でなく、導電性が得られない。また、はんだ付け性が
劣る。好ましくは、5〜50重量部である。さらに、5
〜30重量部が好ましい。
【0015】本発明に用いるフェノール系有機バインダ
ーとしては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型
フェノール樹脂、キシレン樹脂変性レゾール型樹脂、ロ
ジン変性フェノール型樹脂が挙げられる。なかでも、レ
ゾール型、及び変性レゾール型樹脂が好ましい。また、
必要に応じて、公知のエポキシ樹脂、フェノール性OH
変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン
樹脂を混合して用いることができる。
【0016】本発明の銅系導電性ペーストは、銅合金粉
末100重量部に対して、チタンカップリング剤を0.
001〜3重量部、及び銅酸化物を除去しうる添加剤を
0.01〜50重量部を有するが、この銅酸化物を除去
しうる添加剤の効果としては、粒子表面の銅酸化物を還
元するか又は粒子表面より銅酸化物を溶出除去する機能
を有するものである。即ち、本発明の銅系導電性ペース
トの導電機構は、粉末どうし接点によって導電性を有す
るものであり、そのため各粒子の表面の特性が重要とな
る。本発明で用いる銅合金粉末は、粒子表面に銀が濃縮
されているが、粒子表面に存在する銅酸化物を除去また
は還元することで銀の接点が充分に確保され、高温ある
いは高湿度中での粒子表面の耐酸化性に関して長期の安
定性を示すものである。
【0017】該添加剤の量としては、0.01重量部未
満の場合には、充分な導電性が得られず、また、50重
量部を越える場合にはかえって粒子表面に添加剤が吸着
して導電性を損ねる。従って、粒子表面の銅酸化物の存
在量に対して必要量加えるのが好ましく、0.1〜30
重量部が好ましく、さらに、1〜15重量部が好まし
い。
【0018】上記銅酸化物を除去しうる添加剤として
は、脂肪酸、ジカルボン酸、オキシカルボン酸及びその
金属塩、フェノール化合物、金属キレート形成剤、高級
脂肪族アミン、ロジン、アントラセン及びその誘導体か
ら選ばれた1種以上が挙げられる。脂肪酸としては、飽
和脂肪酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタ
デシル酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン
酸、アラキン酸、ベヘン酸、など)や不飽和脂肪酸(例
えば、アクリル酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレ
イン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノー
ル酸、アラキドン酸、ステアロール酸など)、及びその
金属塩が挙げられる。この時、密着性の高い塗膜を作製
するためには、高級脂肪酸の金属塩あるいは炭素数13
以下の脂肪酸及びその金属塩が好ましい。
【0019】ジカルボン酸としては、脂肪族飽和ジカル
ボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸など)、脂肪族不飽和ジカルボン酸
(例えばマレイン酸、フマル酸など)、芳香族ジカルボ
ン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸
など)及びその金属塩(例えば銅、鉄、マグネシウム、
マンガン、銀など)、無水物が挙げられる。
【0020】また、オキシカルボン酸としては、脂肪族
オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、ヒド
ロアクロル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルト
ロン酸、酒石酸、クエン酸など)や芳香族オキシカルボ
ン酸(例えば、サリチル酸、p−,m−オキシ安息香
酸、マンデル酸、トロパ酸、オキシフェニル酢酸、レゾ
ルシン酸、オルセリン酸、ゲンチシン酸、プロトカテチ
ュ酸、カフェー酸、ウンベル酸など)やその金属塩が挙
げられる。金属としては、銅、マンガン、銀、鉄、マグ
ネシウム、コバルトなどが挙げられる。好ましくは、マ
ンデル酸、クエン酸、サリチル酸、レゾルシン酸、p
−,m−オキシ安息香酸である。
【0021】フェノール化合物としては、一価、二価、
三価フェノール及びその誘導体が挙げられる(例えば、
フェノール、クレゾール、3、5キシレノール、カルバ
クロール、チモール、ナフトール、カテコール、レゾル
シン、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン、フェニ
ルハイドロキノン、1、2、4ベンゼントリオール、ピ
ロガロール、フロログルシンなど)。
【0022】金属キレート形成剤としては、たとえばア
ミノアルコール(例えば、エタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン及びその誘導体)
や、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トルエ
チレンテトラミンなどのアミン化合物や、アセチルアセ
トン及びその誘導体(例えばトリフルオルアセチルアセ
トン、ヘキサフルオルアセチルアセトン、ベンゾイルア
セトンなど)が挙げられる。
【0023】また、高級脂肪酸アミンとしては、溶剤に
可溶の炭素数8〜22のものが好ましく、例えば、飽和
モノアミンとしては、ステアリルアミン、パルミチルア
ミン、ベヘニルアミン、セチルアミン、オクチルアミ
ン、デシルアミン、ラウリルアミンなど、不飽和モノア
ミンとしては、オレイルアミン、ジアミンとしては、ス
テアリルアミンプロピレンジアミン、オレイルプロピレ
ンジアミンなどが挙げられる。アントラセン及びその誘
導体としては、例えば、アントラセンカルボン酸が挙げ
られる。ロジンとしては、例えば部分水添ロジン、完全
水添ロジン、エステル化ロジン、マレイン化ロジン、不
均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンが挙げられ
る。
【0024】なかでも好ましくは、ジカルボン酸、金属
キレート形成剤、及びフェノール化合物である。本発明
の銅系導電性ペーストの特徴であるはんだ付け性に関し
ては、チタンカップリング剤を用いることで粒子の塗膜
中での分散性が良好になり、硬化膜の表面に、導電性銅
合金粉末が分散され易くなる。また、本発明で用いる導
電性銅合金粉末粒子は表面に銀が高濃度に存在している
ために、はんだ付け性を向上できる。
【0025】本発明で用いることのできるチタンカップ
リング剤は、親水基、親油基を有しているものであり、
モノアルコキシ型(イソプロポキシ基)、キレート型
(オキシ酢酸の残基を有するもの及びエチレングリコー
ルの残基を有するもの)、コーディネート型(テトラア
ルキルチタネートに亜燐酸エステルを付加させたもの)
が挙げられる。例えば、イソプロピルトリイソステアロ
イルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロ
ホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−ア
ミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチ
ルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テト
ラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス
(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオ
クチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネー
ト、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチ
タネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、
イソプロピルジメタアクリルイソステアロイルチタネー
ト、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタ
ネート、イソプロピルイソステアロリルジアクリルチタ
ネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)
チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネー
ト、テトロイソプロピルビス(ジオクチルホスフェー
ト)チタネートがある。中でも、モノアルコシ基を有し
た、カルボン酸エステルタイプのチタンカップリング剤
が好ましい。例えば、イソプロピルトリイソステアロイ
ルチタネート、イソプロピルトリオクタニルチタネート
が好ましい。
【0026】使用量としては、0.001〜3重量部で
あるが、3重量部を越える場合には、導電性が損なわれ
る。また、0.001未満では充分なはんだ付け性が得
られない。好ましくは、0.01〜1重量部、さらに、
0.01〜0.5重量部が好ましい。これに対して、従
来の技術でも説明しましたように公知の銅粉を用いたペ
ーストにおいては、酸化物除去剤で表面処理されていて
も新たな接点が銅−銅接点であることから、やはり長期
に渡る高温あるいは高湿度中では表面が酸化されて導電
性が除々に劣化し、そのためにはんだ付け性は低下す
る。
【0027】また、公知の銀を用いたペーストは、本発
明の添加剤を加えることでかえって銀表面に添加剤が吸
着して接点抵抗増加をおこし導電性を損ねてしまう。本
発明の銅系導電性ペーストは、導電性、耐マイグレーシ
ョン性に優れ、且つはんだ付け可能な導電性ペーストを
提供するものであり、用いる際には、公知の粘度調整
剤、希釈剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、シラ
ンカップリング剤、アルミカップリング剤、ジルコニウ
ムカップリング剤などの添加剤を加えても良いことは言
うまでもない。
【0028】本発明の銅系導電性ペーストの硬化方法と
しては、ボックス式熱風対流炉、連続式熱風炉、マッフ
ル式加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉、ベーパーフェイ
ズ加熱炉、あるいはEB硬化法等の公知の方法が用いら
れる。また、乾燥あるいは熱硬化する温度としては、基
板の特性に悪影響を与えない温度が好ましく、例えば、
室温から300℃が好ましく、さらに、室温から250
℃が好ましい。また、硬化させる雰囲気としては、空気
中(酸素濃度約20%)で構わないが、酸素濃度が少な
いかあるいは存在しない雰囲気が好ましい。
【0029】本発明の銅系導電性ペーストを用いる場
合、必要に応じて溶剤を用いることができる。溶剤量と
しては、銅合金粉末とフェノール系有機バインダーの合
計100重量部に対して0〜100重量部を含有するこ
とが好ましい。本発明で用いることができる溶剤として
は、有機バインダーに用いる樹脂によって異なるが、公
知の溶剤で構わない。例えば、トルエン、キシレン、な
どの芳香族類、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトンなどのケトン類、酢酸ブチル、酢酸エチルなどの
エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノn−ヘキシルエーテル、エ
チレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコ
ールドデシルエーテル、エチレングリコールモノイソブ
チルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエ
ーテル及びそのアセテート、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、,ジ
エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールドデシルエーテル、ジエチレングリコール
モノヘキシルエーテル及びそのアセテート、ジエチレン
グリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリ
エチレングリコールドデシルエーテル、トリエチレング
リコールモノn−ブチルエーテル及びそのアセテート、
トリエチレングリコールジメチルエーテルやα−テノペ
ノール、β−テルペノール、イソプロパノール、ブタノ
ールなどのアルコール類、フェノール、クロルフェノー
ルなどのフェノール類ジオキサン、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、γ
−ラクトンより選ばれた1種以上を含むものが好まし
い。
【0030】本発明のはんだ付け可能な銅系導電性ペー
ストを使用する場合には、スクリーン印刷、スプレー
法、刷毛、バーコート法、ドクターブレード法、フレク
シャー印刷、マイクロディスペンサー法、グラビア印刷
法、オフセット印刷法、ペンライティング法及び浸漬法
などの公知の印刷、塗布法を用いることができる。この
なかでも、スクリーン印刷法が好ましい。スクリーン印
刷法を用いる場合には、パターンにもよるが、例えば、
50から400メッシュが好ましく、さらに、150か
ら400メッシュが好ましい。ファインラインを印刷す
るのには中でも200メッシュ以上が好ましい。
【0031】本発明の銅系導電性ペーストを印刷する基
板は、公知の基板をもちいることができるが、例えば、
ガラスエポキシ樹脂基板、紙フェノール樹脂基板、紙エ
ポキシ樹脂基板、ポリイミド基板、ポリエステル樹脂基
板、BTレジン樹脂基板、ポリサルフォン樹脂基板、ポ
リエーテルサルフォン樹脂基板、ポリエーテルイミド樹
脂基板、樹脂、ポエブタジエン樹脂基板、ガラスポリイ
ミド樹脂基板の硬質板やフレキシブル基板、または、ア
ルミナ基板、窒化アルミ基板などのセラミックス基板、
アルミ、ステンレスなどのメタル基板への塗布ができ
る。例えば、ポリイミドやポリエステルなどのフレキシ
ブル基板へ用いる場合には、ビニル系樹脂(例えば、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体など)、飽和ポリエステ
ル、ポリウレタン系樹脂主成分とするバインダーを用い
る銅系導電性ペーストが好ましい。
【0032】本発明の銅系導電性ペーストを電磁波シー
ルドペーストとして用いる場合には、印刷回路基板の表
面に印刷し、シールドするのが好ましい。また、ワード
プロセッサー、コンピューター用機器ハウジング、カー
ドリーダー、計測器、自動車電話、キーボード、医療
器、楽器、CRTなどのプラスチック匡体にコーティン
グして用いることもできる。
【0033】また、本発明の銅系導電性ペーストを導電
性接着剤として使用する場合、例えば、水晶振動子の電
極からのリード線の取り出し用接着剤、成形カーボンと
金属との接着剤、液晶(LCD)内部のガラス間の導電
性接着剤、IC、LSI、LED、SAWフィルターな
どの素子をリードフレームや基板への接着剤(特にIC
ダイボンディング用)、光導電素子のCdS部やポテン
ショメーターのリード線接着剤、回路補修などの接着
剤、高温がかけられない素材などへの応用ができる。
【0034】また、スルーホールに用いる場合には、プ
リント配線板へのパンチングなどであけられたスルーホ
ールに前記記載の銅系導電性ペーストを穴の内部に埋め
込みして用いられる。この場合、例えばスクリーン印
刷、フレクシャー印刷を用いて行うのが好ましく、この
時、該ペーストをホールに充分埋め込めるようにホール
の裏側から多少減圧しておくのが良い。
【0035】また、電極用としては、コンデンサーの電
極として塗布(例えば電極部をペースト中へ浸漬)して
用いることができる。表面及び表面近傍の銀濃度の測定
はXPS(X線電子分光分析装置:KRATOS社製商
品名XSAM800)を用いた。先ず、試料台に導電性
を有するカーボン両面接着テープをはりつけ、試料粉末
を変形させないように静かに両面テープ上を完全に覆う
ように付着させた。銀濃度の測定はマグネシウムのKα
線(電圧12kv、電流10mA)を入射させ、光電子
の取り出し角は試料面に対し90度、室内圧力10-8
orrで行った。エッチングはアルゴンイオンガンを加
速電圧3keV、アルゴンイオンビームの試料面にたい
する入射角45度、室内圧力10-7torr、10分間
で行った。
【0036】銀濃度の測定は、測定とエッチングを5回
繰り返し行い、最初の2回の測定値の平均値を表面の銀
濃度とした。平均の銀濃度の測定は、試料を濃硝酸中で
溶解し、ICP(高周波誘導結合型プラズマ発光分析計
セイコー電子(株)製)を用いて測定した。平均粒径
の測定は、レーザー回折型粒度分析計(島津製作所
(株)製、商品名SALD1100)を用いた。測定法
としては、エチレングリコール溶液に粉末を充分に分散
させ(粉末濃度1〜20×10-3g/cc)、5回測定
した。体積積算平均値5回測定の平均値を平均粒子径と
した。
【0037】銅系導電性ペーストからなる塗膜の導電性
は、4端子方を用いて測定した。また、マイグレーショ
ン試験は、1mm間隔に塗布した2本の膜間に10Vの
直流電圧を印加し、さらに、0.2mlの水滴を膜間に
滴下してもれ電流を測定し、電流値が100μAを越え
る場合をマイグレーション時間とした。耐久性試験とし
ては、60℃、90%湿度放置後の導電性の変化(耐湿
度試験)を測定した。
【0038】膜の密着性は碁盤目試験を用いた。(1c
m×1cmのパット上に1mm間隔の100個のますめ
をつくりテープにより剥したときの残りのますめの数を
測定した。)はんだ付け性は、塗膜(2cm×2cmパ
ット)上へフラックス(マルチコアー社製商品名#36
6)を必要量塗布し、はんだ浴(230℃、共晶はん
だ)へ3秒浸漬して濡れ面積を測定した。90%以上ぬ
れ面積を良とした。
【0039】また、はんだ付けの密着力は、2mm×2
mmパットへ0.8mm径のワイヤーをはんだ付けし、
2cm/秒の速度で引っ張った時の剥がれ時の強度を測
定し、500g/4mm2 以上を良とした。電磁波シー
ルド特性は、導波管を用いて、スペクトロアナライザ
ー、トラッキングジェネレーターを用いて、100kH
zから2GHzまでのシールド効果を測定した。
【0040】スルーホール用の導電性特性は、1.5、
1.0、0.5、0.3mmφのホールを30個並べて
空けた紙フェノール樹脂基板へスクリーン印刷(320
メッシュ)を用いて減圧しながらホールが完全に満たさ
れるように印刷した。印刷後、それぞれの組成物にあっ
た方法で硬化した。また、本発明の組成物よりなる硬化
物を必要であれば、レーザーやその他の方法でトリミン
グしたりすることも可能である。
【0041】以下、実施例及び比較例によって、本発明
を具体的に説明する。
【0042】
【実施例】銅合金粉末作製例を参考例として示す。
【0043】
【参考例1】銅粒子315.595gと銀粒子3.23
7gを黒鉛るつぼ中で高周波誘導加熱を用いて融解し
た。雰囲気は99.9%以上の窒素中で行った。172
0℃まで加熱後、圧力15k/Gの窒素ガス99.9%
以上をるつぼ先端より落下する融液に対してガス/液質
量速度比1.5でマトマイズした。衝突位置でのガスの
線速度は100m/秒であった。得られた粉末は平均粒
径18μmであった。XPSで測定したところ、表面の
銀濃度は表面より0.06、0.04、0.03、0.
02、0.01であり、表面の銀濃度は0.05、ま
た、平均の銀濃度はx=0.006(y=0.994)
であり、表面の銀濃度は平均の銀濃度の7.5倍であっ
た。
【0044】
【参考例2】銅粒子314.325gと銀粒子5.39
5gを参考例1と同様にして高周波誘導加熱のもとで融
解した。1700℃まで融解後、ガス圧20k/Gの窒
素ガス(99.7%以上)をノズル先端より噴出する融
液に対してガス/液質量速度比1.5でアトマイズし
た。この時のガスノズル出口でのガスの線速度は120
m/秒であった。得られた粉末は平均粒径17μmであ
った。表面の銀濃度は表面より0.07、0.06、
0.05、0.04、0.03であり、表面の銀濃度は
0.065、また、平均の銀濃度はx=0.01(y=
0.99)であり、表面の銀濃度は平均の銀濃度の6.
5倍であった。
【0045】
【参考例3】銅粒子285.75gと銀粒子53.95
gを黒鉛るつぼ中で同様にして融解した。1570℃ま
で融解後、るつぼ先端より融液を噴出し、同時に圧力1
5k/Gの窒素ガス(99.9%以上)をガス/液質量
速度比1.7でアトマイズした。この時のガスノズル出
口でのガスの線速度は100m/秒であり、得られた粉
末の平均粒径18μmであった。また、表面の銀濃度は
表面より0.74、0.65、0.55、0.5、0.
48であり、表面の銀濃度は0.695、また、平均の
銀濃度はx=0.1(y=0.9)であり、表面の銀濃
度は平均の銀濃度の6.85倍であった。
【0046】
【参考例4】銅粒子254gと銀粒子107.9gを同
様にして高周波誘導加熱で融解した。1850℃まで加
熱した後、るつぼ先端より不活性雰囲気中(窒素)へ噴
出した融液に向かって窒素ガス(圧力17k/G、9
9.9%以上)をガス/液質量速度比2でアトマイズし
た。この時のガスノズル出口でのガスの線速度は80m
/秒であった。得られた粉末は平均粒径20μmであっ
た。表面の銀濃度は表面より0.8、0.75、0.
7、0.65、0.6であり、表面の銀濃度は0.77
5であり、また、平均の銀濃度はx=0.2(y=0.
8)であり、表面の銀濃度は平均の銀濃度の3.85倍
であった。
【0047】
【参考例5】銅粒子206.375gと銀粒子188.
825gを同様にして高周波誘導加熱で1500℃まで
融解した。さらに融液をるつぼ先端より不活性雰囲気中
(窒素)へ噴出した。噴出と同時に、ガス圧15k/G
の窒素ガス(99.9%以上)を融液に対してガス/液
質量速度比1.8でアトマイズした。この時のガス線速
度は90m/秒であった。得られた粉末の平均粒径は、
17μmであった。表面の銀濃度は、0.88、0.
8、0.75、0.7、0.65であり、表面の銀濃度
は0.84であった。また、平均の銀濃度はx=0.3
5(y=0.65)であり、平均の銀濃度の2.4倍で
あった。
【0048】
【参考例6】銅粒子127gと銀粒子323.7gを同
様にして1600℃まで融解した。るつぼ先端より融液
を不活性ガス雰囲気中(窒素)へ噴出した。噴出と同時
に、ガス圧30k/Gの窒素ガス(99.9%以上)を
融液に対してガス/液質量速度比0.8でアトマイズし
た。この時のガスの線速度は、ガスノズル出口で150
m/秒であり、得られた粉末は、平均粒径16μmであ
った。得られた粉末の平均銀濃度はx=0.6(y=
0.4)であった。
【0049】
【参考例7】銅粒子63.5gと銀粒子431.6gを
同様にして高周波誘導加熱で1720℃まで融解した。
融液をるつぼ先端より不活性雰囲気中へ噴射した。噴出
と同時にガス圧40k/Gの窒素ガス(99.9%以
上)を融液にたいしてガス/液質量速度比2.1でアト
マイズした。この時のガス線速度は160m/秒であっ
た。得られた粉末の平均粒径は14μmであった。ま
た、平均の銀濃度はx=0.8(y=0.2)であっ
た。
【0050】
【参考例8】銅粒子9.525gと銀粒子523.31
5gを同様にして、高周波誘導加熱で1800℃まで加
熱融解した。融液をるつぼ先端より噴出し、同時にガス
圧50k/Gの窒素ガス(99.9%以上)を融液に対
してガス/液質量速度比2.3でアトマイズした。この
時のガスの線速度はガスノズル出口で180m/秒であ
った。得られた粉末は、平均粒径は、平均粒径13μm
であった。平均の銀濃度はx=0.97(y=0.0
3)であった。
【0051】
【実施例1】 参考例1で得られたx=0.006、y=0.994の粉末のうち15μm以 下の粒子(平均粒径7μm) 10g アルキル化フェノール樹脂 0.2g リノール酸銅塩 0.1g イソプロピルトリ(N−アミノ・アミノエチル)チタネート 0.01g ブチルカルビトール 3g を充分に混合し、ガラスエポキシ樹脂基板上へスクリー
ン印刷(250メッシュ)を用いて塗布した。塗膜を1
70℃、30分間加熱硬化した。得られた塗膜の体積抵
抗率は、1×10-4Ω・cmであり、また、マイグレー
ション時間は、295秒と銅と同程度であった。さら
に、耐湿度試験をしたところ、(60℃、90%湿度)
1000時間放置後の変化率は20%であった。また、
碁盤目試験をしたところ100/100であった。はん
だ付け性試験は、20mm×20mmの正方形パターン
をスクリーン印刷し、170℃、30分間加熱硬化した
塗膜にフラックス(マルチコアー社製 商品名#36
6)を塗布した後、230℃に維持された共晶はんだ浴
に3秒浸漬して塗れ面積を測定した。塗れ面積は、95
%以上であった。また、はんだ付け密着力は、1kg/
4mm2 あった。
【0052】
【実施例2】 参考例3で得られたx=0.1、y=0.9の粉末のうち15μm以下の粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 0.8g イソプロピルトリイソステアロイルチタネート 0.015g トリエタノールアミン 0.3g ブチルセロソルブ 4g を充分に混合し、ガラスエポキシ樹脂基板上へスクリー
ン印刷を用いて塗布した。塗膜を150℃、30分間空
気中で加熱硬化した。得られた塗膜の体積抵抗率は、8
×10-5Ω・cmであり、マイグレーション試験の結
果、290秒、また、耐湿度試験の結果、1000時間
放置後でも変化率10%であった。碁盤目試験の結果1
00/100であった。はんだ付け性試験を実施例1と
同様にして試験したところ濡れ面積は95%以上であっ
た。はんだ付密着力は1.3kg/4mm2 であった。
【0053】
【実施例3】 参考例4で得られたX=0.2、y=0.8の粉末のうち15μm以下の粉末 10g ノボラック型フェノール樹脂 1.7g マンデル酸 0.01g ピロカテコール 0.05g ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート 0.005g 酢酸エチル 2g エチルセロソルブ 3g を充分に混合し、ガラスエポキシ樹脂基盤上へ塗布し
た。塗膜を155℃、20分間空気中で加熱硬化した。
硬化後の塗膜の体積抵抗率は6×10-5Ω・cm、マイ
グレーション時間は285秒であった。さらに、耐湿度
試験の結果、1000時間放置後の変化率は1%以内で
あった。また、碁盤目試験の結果100/100であっ
た。はんだ付け性試験の結果、濡れ面積は92%であっ
た。また、はんだ付け密着力は1.6kg/4mm2
あった。
【0054】
【実施例4】 参考例5で得られたx=0.35、y=0.65の粉末のうち10μm以下の 粉末 10g レゾール型キシレン樹脂 0.7g OH末端変性エポキシ樹脂 0.3g ブチル化メラミン樹脂 0.2g ジイソプロピルビス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート 0.017g エタノールアミン 0.1g ブチルカルビトールアセテート 3g を充分に混合し、アルミナ基板上へスクリーン印刷し
た。塗膜を180℃、30分間加熱硬化した。得られた
硬化膜の体積抵抗率は、2×10-4Ω・cm、マイグレ
ーション時間は、260秒であった。さらに、耐湿度試
験の変化率は1%以内であった。碁盤目試験の結果、1
00/100であった。はんだ付け性を同様にして測定
したところ、95%以上の濡れ面積が観測された。ま
た、はんだ付け密着力は1.3kg/4mm2 であっ
た。
【0055】
【実施例5】 参考例6で得られたx=0.6、y=0.4の粉末のうち10μm以下の粉末 10g レゾール型キシレン変性フェノール樹脂 0.8g エポキシアクリレート 0.4g ピロカテコール 0.1g ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート 0.02g MEK 1g を充分に混合し、ポリサルフォン樹脂基板上へ塗布し、
180℃、30分間加熱硬化した。得られた塗膜の体積
抵抗率は、8×10-5Ω・cm、マイグレーション時間
は、230秒であった。さらに、耐湿度試験の結果、1
000時間放置後の変化率は、1%以内であった。ま
た、碁盤目試験の結果、100/100であった。はん
だ付け性を同様にして測定したところ、濡れ面積は、9
0%であった。また、はんだ付け密着力は、800g/
4mm2 であった。
【0056】
【実施例6】 参考例7で得られたx=0.8、y=0.2の粉末のうち10μm以下の粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 1.5g セバシン酸 0.1g テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル) ホスファイトチタネート 0.005g エチルセロソルブ 4g を充分に混合し、ポリイミド樹脂フレキシブル基板上へ
塗布した。塗膜を190℃、遠赤外線炉で4分間加熱硬
化した。硬化膜の体積抵抗率は、6×10-5Ω・cmで
あった。マイグレーション試験の結果、180秒であっ
た。さらに、耐湿度試験の結果1000時間後の変化率
は1%以内であった。また、碁盤目試験の結果、100
/100であった。はんだ付け性試験を同様にして評価
したところ、濡れ面積は95%以上であった。また、は
んだ付け密着力は、0.7kg/4mm2 であった。
【0057】
【実施例7】 参考例8で得られたx=0.97、y=0.03の粉末うち15μm以下の粉 末 10g レゾール型フェノール樹脂 1.8g イソプロピルトリイソステアロイルチタネート 0.0003g L−アスコルビン酸 0.1g ステアリルアミン 0.1g ブチルカルビトール 3g を充分に混合した。タンタルコンデンサー3mm×3m
m×2mmをかかる組成のペーストへ片面の部分だけ浸
漬した。コンデンサーの対面にも同様にしてペーストを
浸漬した。さらに、180℃、30分間窒素中で加熱硬
化して電極とした。
【0058】膜厚が0.8mmの電極が得られた。体積
抵抗率は5×10-4Ω・cmであった。耐湿度試験の結
果、1000時間放置後の変化率は2%以内であった。
また、はんだ付け性を評価したところ95%以上の濡れ
面積があった。はんだ付密着力は1.4kg/4mm2
であった。
【0059】
【実施例8】 参考例2で得られたx=0.01、y=0.99の粉末のうち10μm以下の 粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 2g トリエタノールアミン 0.3g ブチルカルビトール 2g ジイソプロピルビス(ジョクチルパイロハスフェート)チタネート 0.1g を充分に混合し、ポリイミド樹脂基盤上へ既に印刷硬化
されているカーボン抵抗体の両末端に電極としてスクリ
ーン印刷し、窒素中で200℃、10分間加熱硬化し
た。硬化膜を測定したところ抵抗体の抵抗値に変化は見
られず、充分なオーミックコンタクトが得られているこ
とが確認できた。また、同様にしてはんだ付け性を測定
したところ、95%以上の濡れ面積が確認できた。はん
だ付け密着力は、0.9kg/4mm2 であった。
【0060】
【参考例9】銅粒子317.46825g、銀粒子0.
05395gを黒鉛るつぼ中で高周波誘導加熱で170
0℃まで加熱融解した。融液をるつぼ先端に取り付けた
ノズルより不活性雰囲気中(窒素)へ噴出した。噴出と
同時に、ガス圧20k/Gの窒素(99.9%以上)を
融液に対して、ガス/液質量速度比1.7でアトマイズ
した。この時のガス線速度は、100m/秒であった。
得られた粉末の平均粒径は、19μmであった。この時
の平均の銀濃度は、x=0.0001(y=0.999
9)であった。
【0061】
【参考例10】銅粒子0.03175g、銀粒子53
9.446gを同様にして高周波誘導加熱で1780℃
まで融解した。融液を噴出させ同時に、ガス圧20k/
Gの窒素ガス(99.9%以上)を融液にたいして、ガ
ス/液質量速度比2でアトマイズした。この時のガス線
速度は、100m/秒であった。得られた粉末の平均粒
径は、18μmであった。平均の銀濃度はx=0.99
99(y=0.0001)であった。
【0062】
【参考例11】銅粒子285.75g、銀粒子53.9
5gを同様にして1600℃まで加熱融解した。融液を
噴出と同時にガス圧20k/G(酸素10%窒素90%
の混合ガス)を融液にたいして、ガス/液質量速度比2
でアトマイズした。この時のガス線速度は、100m/
秒であった。得られた粉末の表面銀濃度を測定したとこ
ろ、表面より0.08、0.09、0.1、0.11、
0.13と表面の方が銀濃度が少なく、表面の銀濃度は
0.085、また平均の銀濃度はx=0.1、y=0.
9であり、表面の銀濃度は平均の銀濃度の0.85倍で
あった。
【0063】
【比較例1】 参考例9で作製したx=0.0001、y=0.9999の粉末のうち10μ m以下の粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 3g リノール酸銅塩 0.01g MEK 3g イソプロピルトリイソステアロイルチタネート 0.001g を充分に混合し、紙フェノール樹脂基板上へスプレー塗
布した。塗膜を150℃、15分間加熱硬化した。硬化
後の塗膜の体積抵抗率は2×10-2Ω・cmと高かっ
た。また、碁盤目試験の結果100/100であった
が、耐湿度試験の結果、1000時間放置後の変化率は
300%と大きかった。また、はんだ付け性を測定した
ところはんだ濡れ面積は5%と少なかった。
【0064】
【比較例2】 参考例10で作製したx=0.9999、y=0.0001の粉末のうち10 μm以下の粉末 10g レゾール型キシレン樹脂 1.2g イソプロピルトリイソステアロイルチタネート 0.005g トリエタノールアミン 0.005g ブチルカルビトール 2g を充分に混合し、ガラスエポキシ樹脂基盤上へ塗布し
た。塗膜の体積抵抗率は、5×10-5Ω・cmであり、
耐湿度試験の結果1000時間放置しても変化率が10
%で、碁盤目試験も100/100であったが、マイグ
レーション時間は15秒と短くマイグレーションしやす
かった。また、はんだ付け性試験の結果、はんだ食われ
が著しかった。はんだ密着力は0.2kg/4mm2
あった。
【0065】
【比較例3】 参考例10で作製したx=0.01、y=0.99の粉末のうち10μm以下 の粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 20g イソプロピルイソステアロイルチタネート 0.001g トリエタノールアミン 0.05g エチルセロソルブ 20g を充分に混合し、ガラスエポキシ樹脂基盤上へ塗布し
た。塗膜を30分間、150℃で加熱硬化した。得られ
た硬化膜の体積抵抗率は、1×10Ω・cmと高かっ
た。また、耐湿度試験の結果、1000時間放置後の変
化率は、200%と大きかった。碁盤目試験の結果10
0/100であった。また、はんだ付け試験の結果濡れ
面積は1%であった。はんだ密着力は0.01kg/4
mm2 であった。
【0066】
【比較例4】 参考例11で得られた粉末x=0.1、y=0.9のうち10μm以下の粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 0.1g ピロカテコール 0.2g ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート 0.0005g ブチルカルビトール 4g を混合し、ガラスエポキシ樹脂基盤上へスクリーン印刷
した。塗膜を140℃、30分間加熱硬化した。硬化膜
の体積抵抗率は2×10-2Ω・cmと高かった。また、
耐湿度試験の結果、1000時間放置後の変化率は、2
50%と大きかった。また、膜は剥がれ易かった。碁盤
目試験結果は3/100と非常に悪かった。
【0067】
【比較例5】 参考例2で作製したx=0.01、y=0.99の粉末の中15μm以下の粉 末 10g レゾール型フェノール樹脂 1g ピロカテコール 0.1g イソプロピルイソステアロイルチタネート 0.00001g エチルセロソルブ 2g を混合し、ガラスエポキシ樹脂基盤上へスクリーン印刷
した。塗膜を150℃、30分間空気中で加熱硬化し
た。硬化膜の体積抵抗率は5×10-4Ω・cmであった
が、はんだ付け性は、濡れ面積50%しかなかった。
【0068】
【比較例6】 参考例2で作製したx=0.01g、y=0.99の粉末のうち15μm以下 の粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 2g トリエタノールアミン 10g イソプロピルイソステアロイルチタネート 0.001g ブチルカルビトールアセテート 2g を分散させた組成物を同様にしてガラスエポキシ樹脂基
盤上へスクリーン印刷した。塗膜を160℃、20分間
加熱硬化した。得られた硬化膜の体積抵抗率は、2×1
-2Ω・cmと高かった。また、耐湿度試験の結果、1
000時間放置後の変化率は、200%と大きかった。
また、碁盤目試験の結果、30/100と悪かった。ま
た、はんだ付け試験の結果、濡れ面積は10%以下であ
った。
【0069】
【比較例7】 銅粉末に銀90%メッキした平均粒径10μmの粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 2g トリエタノールアミン 0.8g イソプロピルビス(オクチルパイロホスフェート)チタネート 0.001g ブチルセロソルブ 2g を混合し、ガラスエポキシ樹脂基盤上へスクリーン印刷
した。150℃、20分間加熱硬化した。硬化膜の体積
抵抗率は、3×10-3Ω・cmでマイグレーション試験
の結果、15秒と速かった。また、はんだ付け試験の結
果、はんだ食われが著しかった。はんだ付け密着力は
0.4kg/4mm2 であった。
【0070】
【比較例8】 参考例2で作製したx=0.01、y=0.99の粉末のうち15μm以下の 粉末 10g レゾール型フェノール樹脂 2g トリエタノールアミン 0.1g イソプロピルビス(オクチルパイロホスフェート)チタネート 10g ブチルカルビトールアセテート 2g を充分に混合し、分散させて得られた組成物を同様にし
てガラスエポキシ樹脂基盤上へスクリーン印刷した。塗
膜を180℃、30分間加熱硬化した。得られた塗膜の
体積抵抗率は、2×10-2Ω・cmと高かった。また、
はんだ付け試験の結果、1000時間放置後の変化率は
200%と大きかった。また、はんだ付け試験の結果、
3%と殆どはんだが付かなかった。
【0071】
【発明の効果】本発明は、導電性、耐酸化性、耐マイグ
レーション性に優れ、且つはんだ付け可能な銅系導電性
ペーストであり、電磁波シールド、導電性接着剤、導電
回路用ペースト、電極用導電ペースト、コンデンサー用
電極ペースト、スルーホール用ペーストとして優れた特
性を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 1/22 A H01C 7/00 H H01G 4/008 H01R 4/02 Z 6901−5E H05K 1/09 A 7726−4E 9/00 W

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式AgxCuy(ただし、0.00
    1≦x≦0.999、0.001≦y≦0.999、x
    +y=1、原子比)で表わされる銅合金粉末100重量
    部とフェノール系有機バインダー5〜100重量部、チ
    タンカップリング剤0.001〜3重量部、及び銅酸化
    物を除去しうる添加剤0.01〜100重量部からなる
    はんだ付け可能な銅系導電性ペースト。
  2. 【請求項2】 一般式AgxCuyで表される銅合金粉
    末が0.001≦x≦0.4、0.6≦y≦0.999
    (原子比)の範囲で、銅合金粉末の粒子表面の銀濃度が
    平均の銀濃度より高く、かつ表面近傍で内部より表面に
    向かって銀濃度が増加する領域を有することを特徴とす
    る請求項1記載のはんだ付け可能な銅系導電性ペース
    ト。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の銅合金粉末が窒
    素、ヘリウム、アルゴン、水素またはそれらの混合物か
    らなる不活性ガスアトマイズ法を用いて製造されること
    を特徴とするはんだ付け可能な銅系導電性ペースト。
  4. 【請求項4】 スクリーン印刷に用いることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付け可能な銅
    系導電性ペースト。
  5. 【請求項5】 導電回路に用いることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載のはんだ付け可能な銅系導電
    性ペースト。
  6. 【請求項6】 電極に用いることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載のはんだ付け可能な銅系導電性ペ
    ースト。
  7. 【請求項7】 コンデンサー電極に用いることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付け可能な
    銅系導電性ペースト。
  8. 【請求項8】 スルーホールに用いることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付け可能な銅系
    導電性ペースト。
  9. 【請求項9】 電磁波シールドに用いることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付け可能な銅
    系導電性ペースト。
  10. 【請求項10】 導電接着剤に用いることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付け可能な銅系
    導電性ペースト。
  11. 【請求項11】 カーボン抵抗体接点材料として用いる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のはん
    だ付け可能な銅系導電性ペースト。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載のは
    んだ付け可能な銅系導電性ペーストをガラスエポキシ樹
    脂基板、紙フェノール樹脂基板、紙エポキシ樹脂基板、
    ポリイミド基板、ポリエステル樹脂基板、BTレジン樹
    脂基板、ポリサルフォン樹脂基板、ポリエーテルイミド
    樹脂基板、ポリエーテルサルフォン樹脂基板、ガラスポ
    リイミド樹脂基板、アルミナ基板、窒化アルミ基板、ア
    ルミ基板、ステンレス基板などの硬質あるいはフレキシ
    ブル基板上に硬化してなるはんだ付け可能な銅系導電
    体。
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