JPH07108828B2 - 多孔質セラミック材料の製造方法 - Google Patents

多孔質セラミック材料の製造方法

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JPH07108828B2
JPH07108828B2 JP3242173A JP24217391A JPH07108828B2 JP H07108828 B2 JPH07108828 B2 JP H07108828B2 JP 3242173 A JP3242173 A JP 3242173A JP 24217391 A JP24217391 A JP 24217391A JP H07108828 B2 JPH07108828 B2 JP H07108828B2
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質セラミック材料
の製造方法に関するものである。更に詳しく述べるなら
ば、本発明は、多数の特定寸法の球形空孔と、少なくと
もこれらを外部空間に連通する、多数の特定寸法の毛細
管状空隙通路とを有し、骨の再生、その他の医療的用途
に用いられる材料、或いは電子材料、および遺伝子工学
用材料として有用な多孔質セラミック材料の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】燐酸カルシウム化合物、例えば、ヒドロ
キシアパタイト、およびその固溶体は、生体との親和性
が良好であって、医療用材料、例えば、骨又は歯根等の
代替材料又は補綴材料として有用である。例えば特開昭
56−54841号公報には、アパタイト型結晶構造リ
ン酸カルシウム化合物粉粒体を用いた骨欠損部、およ
び、空隙部充填材が開示されている。
【0003】また、特開昭56−166843号公報に
は、燐酸カルシウム化合物の多孔体からなる骨欠損部お
よび空隙部充填材が開示されている。この燐酸カルシウ
ム化合物の多孔体に含まれる空孔は、その最大孔径3.
00mm、最小孔径0.05mmであって、生体の骨形成成
分が進入しやすい形状寸度を有し、実質的に連続した三
次元の網状構造を形成しているものである。
【0004】上記のような、従来の燐酸カルシウム化合
物セラミック材料は、充填、補綴などの外科的手術を施
した後に経時的変形を生じたり、或は、充填、又は補綴
部分の近傍の軟組織の硬質化を促進し、このため異常を
生じた部分の切除組織を余儀なくされるなどの問題があ
った。一般に、生体の硬組織の欠損、例えば、骨腫瘍部
分の切除や、骨の外的損傷による欠損などの治療におい
て、自然治癒を促進することが最も好ましく、人工物に
よる代替や補綴は、必ずしも好ましいことではない。た
とえ、人工物が生体内に充填、又は補綴されたとして
も、そのような人工物がやがて生体内で食尽され、その
代りに自然の生体組織が再生して、骨の再生速度を制御
することにより生ずる時間の経過による骨の再吸収を制
御し、欠損部が治癒することが最も望ましいことであ
る。この場合、人工物の生体組織による入れ代わり速度
(ターンオーバー速度)が適当であることが重要であっ
て、ターンオーバー速度が過度に速いときは、局所に炎
症等の障害を生じ、それに起因する余病、例えば、癌の
発生などを併発することがある。また、ターンオーバー
速度が低く、長期間にわたって人工物が生体内に存在す
る場合、局所の生体組織(骨)の変形や、その近傍の軟
組織の硬質化などを生じ、このため、切除手術を要する
ことなどがある。
【0005】上記のような問題点に対処するためには生
体内に挿入される充填材又は補綴材が生体組織の誘起と
置換に要する要件を、細胞レベルで満足させ得ることが
重要である。すなわち、生体組織に対する骨食細胞(オ
ステオリーシス)、骨再生細胞(オステオプラスト)の
活性化を適切に促進し、骨破壊細胞(オクテオクラス
ト)、および軟組織の硬質化を促進するコラーゲン繊維
の侵入、発達並びに骨組織の硬質化を抑制し、かつ、赤
血球、体液などの進入や、毛細血管の発達を阻害しない
ことが重要である。
【0006】上記のような要件を満たすためには、生体
内に挿入される充填材又は補綴材は、生体に対し、良好
な親和性、特に生体的対応性(バイオレスポンシビリテ
イ)を有するとともに、所望細胞の活性化のために良好
な居住増殖空間を与え得るとともに、忌避すべき細胞の
侵入を防止し、かつ、コラーゲン繊維の異常発達による
骨組織の硬質化を防止できるものであることが必要であ
り、このような多孔質材料を効率よく製造する方法の開
発が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生体
内骨組織の再生、すなわち新生骨の誘起その他の医療用
途、電子材料、遺伝子工学用材料などの用途に有用な多
孔質セラミック材料の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明方法により製造さ
れる多孔質セラミック材料は、燐酸カルシウム化合物の
焼結多孔質体からなり、前記多孔質体中に、通路状に伸
びた多数の毛細管状空隙と、30〜600μm の孔径を
有する多数の球形空孔とが形成されており、前記毛細管
状空隙通路の径が〜30μm の範囲内にあり、但し、
前記球形空孔の孔径よりも小さく前記空孔と、前記多孔
質体の外部空間との間、および前記球形空孔相互の間
が、前記多数の毛細管状空隙通路を介して連通している
ものである。
【0009】上記の多孔質セラミック材料は、下記の本
発明方法によって製造することができる。すなわち、本
発明の多孔質材料の製造方法は、25〜380重量部
の、30〜600μm の粒径を有する有機合成樹球形
子と、2〜5重量部の、1〜600μm の粒径を有する
昇華性固形物質球形粒子とを、100重量部の燐酸カル
シウム化合物粉末に混合し、得られた混合物を所望形状
寸法にプレス成形し、得られた成形物を200〜800
℃の温度に加熱して前記合成樹脂球形粒子を熱分解除去
するとともに前記昇華性物質球形粒子を昇華除去し、次
に酸素含有雰囲気中で800〜1350℃の温度に加熱
して、前記燐酸カルシウム化合物粉末を焼結し、それに
よって30〜600μm の孔径を有する多数の球形空孔
と、それらを相互に、かつ外部空間に連通し、〜30
μm の、但し、前記球形空孔よりも小さな径を有する多
数の毛細管状空隙通路を形成することを特徴とするもの
である。
【0010】本発明の多孔質セラミック材料の別の製造
方法は、25〜380重量部の、30〜600μm の粒
径を有する有機合成樹脂球形粒子と、2〜5重量部の、
30〜600μm の粒径を有する昇華性固体物質球形
子と、1〜5重量部の、5mm以下の長さと1〜30μm
、但し前記有機合成樹脂粒子および昇華性物質粒子の
直径より小さな直径を有する有機繊維とを、100重量
部の燐酸カルシウム化合物粉末に混合し、得られた混合
物を、所望形状寸法にプレス成形し、得られた成形物を
200〜800℃の温度に加熱して前記有機合成樹脂粒
子を熱分解除去し、前記昇華性物質粒子を昇華除去し、
かつ前記有機繊維を炭化し、次に酸素含有雰囲気中で8
00〜1350℃の温度に加熱して、前記炭化物を燃焼
除去するとともに前記燐酸カルシウム化合物粉末を焼結
し、それによって30〜600μm の孔径を有する多数
の球形空孔と、それらを相互に、かつ外部空間に連通
し、〜30μm の、但し、前記球形空孔よりも小さな
径を有する多数の毛細管状空隙通路を形成することを特
徴とするものである。
【0011】
【作用】本発明方法により製造される多孔質セラミック
材料は、燐酸カルシウム化合物の焼結多孔質体からなる
ものである。本発明方法に使用される燐酸カルシウム化
合物は、 CaHPO4 Ca3(PO4)2 Ca5(PO4)3 OH Ca4 O (PO4)2 Ca10(PO4)6(OH)2 CaP411 Ca(PO3)2 Ca227 Ca(H2 PO4)2 ・H2 O などを主成分とするもので、ヒドロキシアパタイトと呼
ばれる一群の化合物を包含する。ヒドロキシアパタイト
は、組成式Ca5 (PO4)3 OH又は、Ca10(PO4)
6(OH)2を有する化合物を基本成分とするもので、Ca
成分の一部分は、Sr,Ba,Mg,Fe,Al,Y,
La,Na,K,Hなどの1種以上で置換されていても
よく、また(PO4 )成分の一部分が、VO4 ,BO
3 ,SO4 ,CO3 ,SiO4 などの1種以上で置換さ
れていてもよく、更に(OH)成分の一部分が、F,C
l,O,CO3 などの1種以上で置換されていてもよ
い。ヒドロキシアパタイトは、通常の結晶体でもよく、
或は、同型固溶体、置換型固溶体、および侵入型固溶体
のいづれであってもよく、また、非量論的格子欠陥を含
むものであってもよい。
【0012】一般に、本発明方法に用いる燐酸カルシウ
ム化合物は、そのカルシウム(Ca)と燐(P)との原
子比が1.30〜1.80の範囲内にあるものが好まし
く、1.60〜1.67の範囲内にあるものがより好ま
しい。本発明に用いられる燐酸カルシウム化合物として
は、燐酸三カルシウム〔Ca3 (PO4)2 〕、ヒドロキ
シアパタイト〔Ca5(PO4)3 OH〕および、Ca
10(PO4)6(OH)2 が好ましく、特にゾルゲル法によ
って合成され凍結乾燥されたものが好ましい。また、燐
酸カルシウム化合物は800〜1350℃の温度で焼結
されたものであることが好ましく、この焼結温度は85
0〜1200℃であることがより好ましい。
【0013】本発明方法によって得られる多孔質セラミ
ック材料において、燐酸カルシウム化合物は粉末の形状
で焼結されており、従って互に接触焼結している粉末粒
子の間に微細な空隙を有することができる。本発明方法
によって得られる多孔質セラミック材料の燐酸カルシウ
ム多孔質体は、任意の形状および寸法を有するものであ
ってもよく、その内部には、多数の通路状に伸びた毛細
管状空隙と、30〜600μm の孔径を有する多数の球
形空孔とが形成されていて、この毛細管状空隙通路の径
が2〜30μm の範囲内にあり、また、少なくとも前記
空孔と、前記多孔質体の外部空間との間が、前記多数の
毛細管状空隙通路を介して連通しているものである。ま
た、この球形空孔は互に毛細管状空隙通路に介して連通
している。
【0014】焼結多孔質体は、40〜90%の気孔率を
有することが好ましく、60〜70%の気孔率を有する
ことがより好ましい。焼結多孔質体内の空孔は真球又は
それに近い形状を有することが好ましく、また多孔質体
内に均一に分布していることが好ましい。この空孔は、
セラミック材料が、生体内に埋め込まれたとき、骨食細
胞、骨再生細胞などを生物学的に活性化するための居住
空間を提供するものである。骨再生細胞等はこの空孔、
特に球形空孔に滞留するのを非常に好むのである。この
ために空孔の孔径は30〜600μm の範囲にあること
が必要であり、好ましくは30〜300μm である。孔
径が30〜600μm の範囲外の空孔は、上記細胞に対
し、良好な居住空間を与えることができない。
【0015】空孔の形状が真球、又は、これに近い球形
である場合、得られる多孔質材料の機械的強度が高い。
従って、この多孔質材料が、生体内に埋め込まれたと
き、それが新生骨によってリターンオーバーされるま
で、高い機械的強度を保持し続け、その間の骨折を防止
することができる。焼結多孔質体内の毛細管状空隙通路
は、球形空孔を相互に、かつ多孔質体の外部空間に連通
するものであって、この通路を通って、前記骨食細胞、
骨再生細胞、赤血球体液などが自由に多孔質体内に進入
することができ、かつ毛細血管の発達が促進される。し
かしながら、この毛細管状空隙通路の径は2〜30μm
の範囲内にあるため骨破壊細胞やコラーゲン繊維は、多
孔質体内の毛細管状空隙通路へ進入し難く、コラーゲン
繊維の異常発達並びに骨組織の硬質化を防ぐことができ
る。すなわち、本発明の多孔質体において、毛細管状空
隙通路は、バイオフイルターとしての機能を兼ねそなえ
るものである。
【0016】上記毛細管状空隙通路の径がμm よりも
小さくなると、骨食細胞、骨再生細胞、赤血球体液など
の多孔質内進入が困難となり、また30μm より大きく
なると、破壊細胞やコラーゲン繊維の侵入および発達を
許し、このため骨の再生を阻害し、また、再生骨組織
や、その近傍の組織の硬質化を招くようになる。本発明
方法によって得られる多孔質セラミック材料において、
多孔質体中の球形空孔は、多数の毛細管状空隙通路を介
して相互に連通されておりこれによって、多孔質体の食
尽および生体組織の再成(ターンオーバー)を促進する
こと、および骨組織のターンオーバー完了後骨が再生す
る時から生ずる骨破壊細胞の活性化部分を最初の再生速
度から予見して異常に進み過ぎる骨の侵食行為(骨の再
吸収)を制御することができる。
【0017】本発明方法において毛細管状空隙通路は、
(1) 有機繊維の燃焼により形成される通路、および(2)
昇華性固体物質球形粉末、および有機合成樹脂粒子等の
燃焼および昇華により発生するガスにより形成される通
路である。中でも、有機繊維の燃焼により形成される通
路は直径の制御が良好にできる点で好ましい。本発明方
法により得られる多孔質セラミック材料は、充填、又は
補綴すべき欠損部又は空隙部の形状寸法に対応する形状
寸法に容易に自由に加工成形することができる。また、
本発明のセラミック材料は粒径0.05〜5mmの顆粒に
成形されていてもよい。
【0018】本発明方法により得られる多孔質セラミッ
ク材料が生体内に充填材又は補綴材として埋め込まれた
とき、血液、体液、並びに骨食細胞、骨再生細胞は毛細
管状空隙通路を通って進入し、空孔において増殖した骨
食細胞により食尽され、それと同時に、骨再生細胞によ
って骨組織が再生され、所謂ターンオーバーが行われ
る。このとき、多孔質体の外部空間に向って空孔を連通
している毛細管状空隙通路は、1〜30μm の径を有し
ているので、骨破壊細胞やコラーゲン繊維は、多孔質体
内の毛細管状空隙通路へ侵入し難く、コラーゲン繊維の
異常発達並びにその硬質化を防ぐことが出来る。従って
再生された骨の軟組織が配壊されたり、コラーゲン繊維
により硬質化することがない。従って、本発明の多孔質
セラミック材料は、新生骨を誘起し生体内で育成された
正常な骨組織によって置き換えられる。
【0019】上述のように、正常な骨組織によって、タ
ーンオーバーされ得る多孔質セラミック材料は新規であ
り、本発明方法によって初めて実現することのできたも
のである。
【0020】本発明の多孔質セラミック材料を製造する
ための第1の方法は、25〜380重量部の、30〜6
00μm の粒径を有する有機合成樹脂球形粒子と、2〜
5重量部の、30〜600μm の粒径を有する昇華性固
体物質球形粒子とを、100重量部の燐酸カルシウム化
合物粉末に混合し、得られた混合物を所望形状寸法にプ
レス成形し、得られた成形物を、200〜800℃の温
度に加熱して前記合成樹脂球形粒子を熱分解除去すると
ともに前記昇華性物質球形粒子を昇華除去し、次に酸素
含有雰囲気中で800〜1350℃の温度に加熱して、
前記燐酸カルシウム化合物粉末を焼結することを特徴と
するものである。
【0021】一般に、本発明の多孔質セラミック材料を
製造するために用いられる燐酸カルシウム化合物粉末と
しては、0.05〜10μm の粒径を有するものが好ま
しい。特に好ましい燐酸カルシウム化合物粉末は、板状
に発達した結晶部分を含むことが好ましく、SEM(走
査電子顕微鏡)に基く観測結果によれば粉末粒子の30
%以下が1μm 以上の粒径を有し、70%以上が1μm
以下の粒径を有するような粒径分布を有するものが好ま
しい。
【0022】上記方法において、昇華性固体物質球形粉
末は、多孔質体中に30〜600μm の所望寸法の球形
空孔を形成するためのものであって、200〜800℃
の温度において、容易に昇華し、実質的に残渣を残さな
いものであれば、その種類に格別の限定はない。一般
に、昇華性物質としては、樟脳、薄荷脳、ナフタレン、
および、これらの2種以上の混合物から選ばれる。
【0023】上記の方法に用いられる30〜600μm
の粒径を有する有機合成樹脂球形粒子は、多孔質体中に
30〜600μm の空孔を形成するために有効なもので
ある。有機合成樹脂の種類については、それが200〜
400℃の温度において熱分解し、多孔質体から逃散す
るものであれば格別の限定はないが、一般には、メチル
メタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの
熱加塑性合成樹脂から選ばれ、特にメチルメタクリレー
トが好ましい。上記のような有機合成樹脂は担当の硬度
を有しているので、その粒子を燐酸カルシウム化合物粉
末と混合したり、この混合物をプレス成形するときに球
形粒子が変形や破砕することがなく、従って使用した粒
子の寸法形状に正確に対応した寸法形状の空孔を形成す
ることができる。
【0024】有機合成樹脂球形粒子と昇華性固体物質粒
子と燐酸カルシウム化合物粉末との混合物は、所望の寸
法および形状を有する成形物にプレス成形される。この
ときの成形方法には格別の限定はなく通常の静圧プレス
成形法、たとえばラバープレス法、CIP法などを用い
ることができる。得られた成形物を、先づ200〜80
0℃の温度で、好ましくは300〜350℃で120〜
180分間加熱し、有機合成樹脂粒子を熱分解除去し、
かつ、昇華性固体物質球形粒子を昇華逃散して対応する
球形空孔を形成するとともに、この空孔から伸び出る毛
細空隙通路を形成する。
【0025】次に、この成形物を酸素含有雰囲気中で8
00〜1350℃、好ましくは850〜1200℃で、
好ましくは1〜3時間加熱し、燐酸カルシウム化合物粉
末を焼結する。このとき、有機合成樹脂粒子の熱分解残
渣があっても、これは焼結加熱間に燃焼除去される。
【0026】上記方法において、100重量部の燐酸カ
ルシウム粉末に対し、1〜5重量部の、5mm以下の長さ
と、前記有機合成樹脂球形粒子および昇華性物質球形粒
子の粒径より小さく、かつ2〜30μm の直径とを有す
る有機繊維を追加することができる。この有機繊維は、
〜30μm の毛細空隙通路の形成を確実にする効果
がある。有機繊維としては、長さ5mm以下と直径〜3
0μm とを有し、完全燃焼し得るものであれば格別の限
定はないが、一般に、猫、タヌキ、マウスなどの動物繊
維で、これらの腹の毛が望ましく、或は、絹繊維、セル
ローズ繊維を含めたその他の天然有機繊維、並びに、ポ
リエステル、ポリプロピレン、ポリアシド、ポリアクリ
ル繊維などのような有機合成繊維が好ましい。
【0027】本発明において使用する有機繊維の繊維長
は5mm以下であるが、その下限は格別限定されるもので
はなく、約1μm としてもよい。この方法において、有
機繊維の混用は〜30μm の直径を有する毛細管状空
隙通路を確実に形成する上で有効である。有機繊維や昇
華性物質粉末を有機合成樹脂粒子および燐酸カルシウム
化合物粉末と混合するとき、メタノール、エタノールな
どの揮発性低級アルコールを添加すると、容易に均一な
混合物が得られるばかりでなく、昇華性物質粒子の粒径
を制御し、かつ昇華性物質粒子および有機合成樹脂粒子
と有機繊維との接着を良好にし、これによって球形空孔
に連通する毛細管状空隙通路の形成を促進することがで
きる。
【0028】
【実施例】本発明を下記実施例により更に説明する。
【0029】実施例1 市販局方樟脳を粉砕して粒径30〜600μm の球形粒
子を篩別け採取した。
【0030】この樟脳3gと、60gの真球状メチルメ
タアクリレート粒子(粒径30〜300μm 、平均粒径
100μm )と、50gのヒドロキシアパタイト粒子
(Ca5 (PO43 OH,Ca/p原子比:1.6
7、粒径0.05〜10μm )とを少量のメチルアルコ
ールとともに混合し、それが完全に乾燥する前に、ラパ
ープレスを用い、2kg/cm2 の圧下で約10分間静圧成
形した。この成形物を350℃で180分間加熱乾燥
し、更に500℃で120分間加熱してメチルメタアク
リレート粒子を熱分解し、かつ、樟脳粒子を昇華した。
次に、これに空気中で1000℃、1時間の加熱焼結を
施した。
【0031】得られた焼結多孔質体は、65%の気孔率
と160kg/cm2 の一軸圧縮強度を有していた。また、
この多孔質体は30〜300μm の孔径を有する多数の
真球状空孔と、直径2〜20μm の多数の毛細管状空隙
通路を有していた。
【0032】実施例2 実施例1と同様の操作を繰り返えした。但し、樟脳粒子
と、メチルメタクリレート粒子と、ヒドロキシアパタイ
ト粉末との混合物に更に消毒脱脂した猫の腹部の毛(凍
結した猫の腹部の毛をクライスタットで切断して乾燥し
たもの(直径2〜10μm 、長さ約5〜10μm )2g
を追加混合し、成形物に対し350℃の加熱工程の後7
00℃で120分間の加熱を施して、メチルメタアクリ
レート粒子を熱分解し、樟脳を昇華し、猫毛を炭化し
た。
【0033】これに1000℃、1時間の空気中焼結を
施した。得られた多孔質成形物は76%の気孔率と11
0kg/cm2 の一軸圧縮強度を示した。また実施例1と同
様の球形空孔と毛細管状空隙通路が認められたが、2〜
20μm の径を有する多数の毛細管状通路中に、多数の
2〜10μm の径を有するものが認められた。
【0034】実施例3 前記実施例1〜2の各々で得られた多孔質体を、直径
0.5cm、長さ1cmの円柱状に切り出し、これをビーグ
ル犬の大腿骨の外科手術によって生じた欠損部に充填し
た。2週間後に切開観察したところ、いづれも球形空孔
中に新生骨の著しい誘起が認められた。また、2〜3ケ
月後には、多孔質体の外周部から内部に新生骨の発達が
認められ、所謂ターンオーバーが順調に進行し、コラー
ゲン繊維細胞の異常成長や組織の硬質化などの現象は認
められなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明方法により得られる多孔質セラミ
ック材料は、30〜600μm の孔径を有する空孔と2
〜30μm の径を有する毛細管状空隙通路とを有するも
のであるが、この毛細管状空隙通路は、バイオフイルタ
ーとしての機能を果すことができるので、コラーゲン繊
維の侵入によるその異常発達やコラーゲン繊維の触媒作
用による骨組織の硬質化や、新生骨の誘起阻害骨破壊細
胞の毛細管状空隙通路への侵入を困難にし、コラーゲン
繊維の異常発達によるコラーゲン繊維自身の硬質化を阻
止し、骨食細胞、骨再生細胞、赤血球、体液などのみを
選択的に通過させることができる。また特定孔径を有す
る空孔は、骨食細胞や骨再生細胞の細胞レベルでの活性
化を促進させることができる。従って、本発明方法によ
り得られる多孔質セラミック材料を用いることによっ
て、生体との良好な親和性を保ちながら親生骨の誘起を
促進し、そして骨の再生速度を制御することにより生ず
る時間の経過による骨の再吸収を制御し、骨のターンオ
ーバーを促進することができる。本発明方法は上記の生
体材料ばかりでなく、ICLSI用電子材料、遺伝子工
学用媒体材料等にも有用な多孔質セラミック材料を効率
よく生産することを可能にするものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/447 38/00 304 B (56)参考文献 特開 昭51−116809(JP,A) 米国特許3929971(US,A) 「CLINICAL ORTHOPEA DICS AND RELATED RE SERCH」第157号、第263頁第12−末行 及び第260頁右欄第3−20行 PHYSIOLOGICAL CALC IUM PHOSPHATE AS OR THOPEDIC BIOMATERIA LS 1974年4月 第167−175ページ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25〜380重量部の、30〜600μ
    m の粒径を有する有機合成樹脂球形粒子と、2〜5重量
    部の、30〜600μm の粒径を有する昇華性固体物質
    球形粒子とを、100重量部の燐酸カルシウム化合物粉
    末に混合し、得られた混合物を所望形状寸法にプレス成
    形し、得られた成形物を、200〜800℃の温度に加
    熱して前記合成樹脂球形粒子を熱分解除去するとともに
    前記昇華性物質球形粒子を昇華除去し、次に酸素含有雰
    囲気中で800〜1350℃の温度に加熱して、前記燐
    酸カルシウム化合物粉末を焼結し、それによって30
    600μm の孔径を有する多数の球形空孔と、それらを
    相互に、かつ外部空間に連通し、〜30μm の、但
    し、前記球形空孔よりも小さな径を有する多数の毛細管
    状空隙通路を形成することを特徴とする多孔質セラミッ
    ク材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記昇華性物質が、樟脳、薄荷脳、ナフ
    タレン、およびこれらの2種以上の混合物から選ばれ
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記有機合成樹脂粒子の粒径が、30
    300μm の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記燐酸カルシウム化合物におけるカル
    シウムと燐との原子比が1.30〜1.80の範囲内に
    ある、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記燐酸カルシウム化合物がヒドロキシ
    アパタイトである、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記多孔質体が40%〜90%の気孔率
    を有する、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 25〜380重量部の、30〜600μ
    m の粒径を有する有機合成樹脂球形粒子と、2〜5重量
    部の、30〜600μm の粒径を有する昇華性固体物質
    球形粒子と、1〜5重量部の、5mm以下の長さと、
    30μm の、かつ前記有機合成樹脂球形粒子および昇華
    性物質球形粒子の粒径よりも小さな直径を有する有機繊
    維とを100重量部の燐酸カルシウム化合物粉末に混合
    し、得られた混合物を、所望形状寸法にプレス成形し、
    得られた成形物を200〜800℃の温度に加熱して前
    記有機合成樹脂球形粒子を熱分解除去し、前記昇華性物
    球形粒子を昇華除去し、かつ前記有機繊維を炭化し、
    次に酸素含有雰囲気中で800〜1350℃の温度に加
    熱して、前記炭化物を燃焼除去するとともに前記燐酸カ
    ルシウム化合物粉末を焼結し、それによって30〜60
    0μm の孔径を有する多数の球形空孔と、それらを相互
    に、かつ外部空間に連通し、〜30μmの、但し、前
    記球形空孔よりも小さな径を有する多数の毛細管状空隙
    通路を形成することを特徴とする多孔質セラミック材料
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記昇華性固体物質粒子の粒径が30
    300μm の範囲内にある、請求項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記有機繊維の長さが1μm 〜5mmであ
    る、請求項4または請求項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記昇華性物質が、樟脳、薄荷脳、ナ
    フタレン、およびこれらの2種以上の混合物から選ばれ
    る、請求項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記有機合成樹脂粒子の粒径が、30
    〜300μm の範囲内にある、請求項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記燐酸カルシウム化合物におけるカ
    ルシウムと燐との原子比が1.30〜1.80の範囲内
    にある、請求項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記燐酸カルシウム化合物がヒドロキ
    シアパタイトである、請求項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記多孔質体が40%〜90%の気孔
    率を有する、請求項に記載の方法。
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