JPH0566909B2 - - Google Patents

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JPH0566909B2
JPH0566909B2 JP61000184A JP18486A JPH0566909B2 JP H0566909 B2 JPH0566909 B2 JP H0566909B2 JP 61000184 A JP61000184 A JP 61000184A JP 18486 A JP18486 A JP 18486A JP H0566909 B2 JPH0566909 B2 JP H0566909B2
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Shigeru Yamauchi
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Sumitomo Cement Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、代替骨用多孔質セラミツク成形体、
およびその製造方法に関するもので有る。更に詳
しく述べるならば、本発明は、骨欠損部を補填修
復するための代替骨用材料として有用な、高強度
を有し、かつ形状加工可能な多孔質セラミツク成
形体に関するものである。
〔従来の技術〕
燐酸カルシウム化合物、例えば、ヒドロキシア
パタイト、およびその固溶体は、生体との親和性
が良好であつて、医療用材料、例えば、骨又は歯
根等の代替材料又は捕綴材料として有用である。
例えば、特開昭56−166843号公報には、リン酸
カルシウム化合物の多孔体からなる骨欠損部およ
び空隙部充てん材が開示されている。このリン酸
カルシウム化合物の多孔体に含まれる空孔は、最
大孔径3.00mm、最小孔径0.05mmを有するものであ
つて、生体の骨材成成分が進入しやすい形状寸度
を有し、実質的に連続した三次元の網状構造を形
成しているものである。
しかしながら、このようなリン酸カルシウム多
孔体は、空孔径の調節がむずかしく、強度的にも
弱く、加工性も劣るため、骨欠損部特に、複雑形
状を有する欠損部への代替骨材としては問題があ
つた。
又、特開昭60−21763には、人工骨材料として
孔径10〜100μmの連続気孔を有し、少なくとも
100Kg/cm2の曲げ強さをもつ水酸アパタイト焼結
体が開示されている。上記の人工骨材料は、孔径
10〜100μmの連続気孔を有するものであるが、
この気孔の大きさの制御がむずかしく、このた
め、この人工材料への骨細胞の侵入に際し、限ら
れた気孔までしか細胞が侵入できず、人工骨物の
生体繊維との入れ代わり速度(ターオーバー速
度)の調節がむずかしいという問題がある。
上記のような要件を満たすためには、生体内に
挿入される代替骨材料は、生体に対して良好な親
和性、特に生体的対応性(バイオレスポンシビリ
テイ)を有するとともに、骨細胞の活性化のため
に良好な居住空間を与え得るとともに、忌避すべ
き細胞の侵入を防止できるものであることが必要
である。また、強度的にも強く、加工性にすぐ
れ、いかなる形状にも加工できるものであること
が望ましい。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明が解決しようとする問題点は、生体内骨
組織の再生、すなわち新生骨の誘起に有効である
代替骨用多孔質セラミツク成形体において、骨欠
損部の補填修復材料として必要な強度、および加
工性を一層向上させることである。
〔問題点を解決するための手段およびその作用〕
本発明の代替骨用多孔質セラミツク成形体は、
燐酸カルシウム化合物の焼結多孔質体からなる成
形体であつて、前記多孔質体中に、通路状に伸
び、かつ、1〜30μmの範囲内の径を有する多数
の毛細管状空隙と、30〜300μmの範囲内に分布
している孔径を有する多数の球状空孔とが形成さ
れており、前記球状空孔の相互間、および前記球
状空孔と前記成形体の外部空間との曲が、前記毛
細管状空隙通路の少なくとも一部によつて連通し
ており、かつ、前記成形体の気孔率が、0.5%以
上でかつ40%より小さい、ことを特徴とするもの
である。
また、本発明の代替骨用多孔質セラミツク成形
体の製造方法は、0.05〜10μmの平均粒径を有し、
かつ100重量部の燐酸カルシウム化合物粉末と、
30〜300μmの範囲内に分布している孔径を有し、
かつ2〜70重量部の有機合成樹脂球状粒子と、5
mm以下の長さと、3〜50μmの範囲内の径とを有
し、かつ1〜5重量部の有機繊維とを混合し、 得られた混合物を、所望の形状および寸法に成
形し、 得られた前駆成形体を、200〜800℃の温度に加
熱して、前記有機合成樹脂球状粒子と有機繊維、
又は、炭素繊維とを熱分解して除去し、 得られた多孔質前駆成形体を800〜1350℃の温
度に加熱してこれを焼成しかつ、10〜40%の体積
収縮率で収縮させる、ことを含み、そして 前記各工程を通じ、得られた成形体の気孔率
を、0.5%以上で、かつ40%より小さい値に調整
する、ことを特徴とするものである。
本発明の多孔質セラミツク成形体は、燐酸カル
シウム化合物の焼結多孔質体からなるものであ
る。
本発明に使用される燐酸カルシウム化合物は、 CaHPO4 Ca3(PO42 Ca5(PO43OH Ca4O(PO42 Ca10(PO46(OH)2 CaP4O11 Ca(PO32 Ca2P2O7 Ca(H2PO42・H2O などを主成分とするもので、水酸アパタイトと呼
ばれる一群の化合物を包含する。水酸アパタイト
は、組成式Ca5(PO43OH又は、Ca10(PO46
(OH)2を有する化合物を基本成分とするもので、
Ca成分の一部分は、Sr、Ba、Mg、Fe、Al、Y、
La、Na、K、Hなどの1種以上で置換されてい
てもよく、また(PO4)成分の一部分が、VO4
BO3、SO4、CO3、SiO4などの1種以上で置換さ
れていてもよく、更に、(OH)成分の一部分が
F、Cl、O、CO3などの1種以上で置換されてい
てもよい。ヒドロキシアパタイトは、通常の結晶
体でもよく、或は、固型固溶体、置換型固溶体、
および侵入型固溶体のいづれであつてもよく、ま
た、非量論的格子欠陥を含むものであつてもよ
い。
一般に、本発明に用いる燐酸カルシウム化合物
焼結多孔質体は、そのカルシウム(Ca)と隣(P)
との原子比が1.60〜1.70の範囲内にあるものが好
ましく、また、水酸アパタイトを99%以上の含有
率で含んでいることが好ましい。
本発明に用いられる燐酸カルシウム化合物とし
ては、燐酸三カルシウム〔Ca3(PO42〕、ヒドロ
キシアパタイト〔Ca5(PO43OH〕および、Ca10
(PO46(OH)2が好ましく、特にゾルゲル法によ
つて合成され凍結乾燥されたものが好ましい。ま
た、燐酸カルシウム化合物は焼結多孔質体は800
〜1350℃の温度で焼結されたものであることが好
ましく、この焼結温度は850〜1200℃の範囲内に
あることがより好ましい。
本発明の多孔質セラミツク成形体において、燐
酸カルシウム化合物は粉末の形状で焼結されてお
り、従つて互に接触焼結している粉末粒子の間に
微細な空隙を有することができる。
本発明の多孔質セラミツク成形体は、任意の形
状および寸法を有するものであつてもよく、その
内部には、通路状に伸びかつ1〜30μm、好まし
くは1〜20μm、の範囲内の径を有する多数の毛
細管状空隙と、30〜300μmの範囲内に分布して
いる孔径を有する多数の球状空孔とが形成されて
いて、かつ、前記球状空孔相互間および、前記球
状空孔と前記成形体の外部空間とが、前記多数の
毛細管状空隙通路の少くとも一部によつて連通し
ているものである。
更に、本発明の多孔質セラミヌク成形体の気孔
率は、0.5%以上でかつ40%よりは小さいもので、
10〜35%の範囲内にあることが好ましい。
気孔率が、0.5%より小さい多孔質セラミツク
成形体は、新生骨成形に寄与する細胞に十分な居
住空間を提供することができない。また、気孔率
が40%以上の場合は、得られる多孔質セラミツク
成形体の機械的強度が比較的低く、かつ、曲げ強
さが150Kg/cm2未満となるため、加工性が不十分
であり、このため、生体内に埋め込まれ、骨のリ
モルデイング過程で大きな力を受けるとき、複雑
な形状加工を必要とする場合、或は、比較的大き
な荷重を受ける部位の代替骨として使用する場
合、など、その機械的強度が不足する。
本発明の多孔質セラミツク成形体は上記比較的
低い気孔率に基づき、比較的高い機械的強度、例
えば150Kgf/cm2以上の曲げ強を有することがで
き、かつ種々な形状、或は複雑な形状への加工が
可能である。
本発明の多孔質セラミツク成形体において、球
状空孔は互に離間していて、眞球形又は、それに
近い形状を有することが好ましく、かつ、成形体
内に均一に分布していることが好ましい。この球
状空孔は、多孔質セラミツク成形体が、生体内に
埋め込まれたとき、骨修復が寄与する細胞を生物
学的に活性化するための居住空間を提供するもの
である。すなわち、新生骨成形に寄与する骨再生
細胞、骨食細胞等はこの空孔特に眞球状空孔に滞
留するのを非常に好むのである。このために球状
空孔の孔径は30〜300μmの範囲に分布している
ことが必要である。この球状空孔の孔径分布は、
上記30〜300μmの範囲内で正規分布しているこ
とが好ましい。
球状空孔の径孔は、30〜150μmの範囲内で分
布していてもよく、その分布状態は、正規分布で
あつてもよい。この場合、得られる多孔質成形体
の機械的強度が高い。
また、球状空孔の孔径は、150〜300μmの範囲
内で分布していてもよく、その分布状態は正規分
布であつてもよい。この場合、得られる多孔質成
形体の新生骨形成能が高い。
また、本発明の多孔質セラミツク成形体におい
て、孔径が30〜150μmの範囲内に分布している
空孔と、孔径が150〜300μmの範囲内に分布して
いる空孔とが混在していてもよい。
孔径が30〜300μmの範囲外にある空孔は、新
生骨形成に寄与する細胞に対し、良好な居住空間
を与えることができない。
空孔の形状が真球、又は、これに近い球状であ
る場合、得られる多孔質材料の機械的強度が高
い。従つて、この多孔質材料が、生体内に埋め込
まれたとき、それが新生骨によつてターンオーバ
ーされるまで、高い機械的強度を保持し続け、そ
の間の骨折を防止することができる。
多孔質成形体内の毛細管状空隙通路は、球状空
孔相互間および、球状空孔と、成形体の外部空間
とを連通するものであつて、この通路を通つて、
新生骨形成に寄与する骨再生細胞および骨食細胞
や血液および体液などが自由に多孔質形成体内に
進入することができる。この毛細管状空隙通路の
径は1〜30μmの範囲、好ましくは1〜20μmの
範囲内にあるため新生骨形成に害のある成分、例
えばコラーゲン繊維の毛細管状空隙通路へ進入を
防止することができ、コラーゲン繊維の異常発達
を防ぐことができる。すなわち、本発明の多孔質
成形体中において、毛細管状空隙通路は、バイオ
フイルターとしての機能を兼ねそなえるものであ
る。
上記毛細管状空隙通路の径が1μmよりも小さ
くなると、新生骨形成に有効な細胞や血液などの
各孔質成形体内への進入が困難となり、また30μ
mより大きくなると、多孔質成形体内への骨破壊
細胞又はコラーゲン繊維などの侵入および発達を
許し、このため骨の再生を阻害し、また、再生骨
組織や、その近傍の組織の硬質化を招くようにな
る。
本発明の多孔湿セラミツク成形体において、球
状空孔は、多数の毛細管状空隙通路の一部によつ
て相互に連通しており、これによつて、多孔質体
の食尽および生体組織の再生(ターンオーバー)
が促進される。
本発明の多孔質セラミツク成形体は、補綴すべ
き欠損部又は空隙部の形状寸法に対応する形状寸
法に容易に自由に加工成形することができる。
本発明の多孔質セラミツク成形体が生体内に骨
欠損部に代替骨材料として埋め込まれたとき、血
液、体液、並びに骨食細胞、骨再生細胞は毛細管
状空隙通路を通つて進入し、空孔において増殖し
た骨食細胞により食尽され、それと同時に、骨再
生細胞によつて骨組織が再生され、所謂ターンオ
ーバーが行われる。このとき、多孔質体の外部間
に向かつて空孔を連通している毛細管状空空隙通
路は、1〜30ミクロンの径を有しているので、骨
破壊細胞、又は、コラーゲン繊維は、多孔質体内
の毛細管状空隙通路へ侵入し難く、コラーゲン繊
維の異常発達並びにその硬質化を防ぐことが出来
る。従つて再生された骨の軟組織が破壊された
り、コラーゲン繊維により硬質化することがな
い。従つて、本発明の多孔質セラミツク材料は、
新生骨を有機し生体内で育成された正常は骨組織
によつて置き換えられる。
また、本発明の多孔質セラミツク成形体は上述
のように正常は骨組織によつてターンオーバーさ
れ得るものであり、しかも、いかなる形状にも加
工することができ、かつ十分な機械的強さを有す
るものであり、このような代替骨用多孔質セラミ
ツク成形体は、本発明により初めて実現すること
のできたものである。
上記の代替骨用多孔質セラミツク成形体は、本
発明方法によつて製造することができる。
本発明方法の第1工程において、0.05〜10μm
の平均粒径を有し、かつ100重量部の燐酸カルシ
ウム化合物粉末に対し、50〜400μmの範囲内に
分布している孔径を有し、かつ2〜70重量部の有
機合成樹脂球状粒子と、5mm以下の長さと、3〜
50μmの範囲内の径とを有し、かつ、1〜5重量
部の有機繊維とが混合される。
上記有機合成樹脂球状粒子および、有機繊維
は、後の工程において、得られる多孔質成形体中
にそれぞれ、30〜300μmの範囲内で分布してい
る孔径を有する多数の球状空孔と、1〜30μmの
範囲内の径を有する多数の毛細管状空隙通路を形
成するものである。
有機合成樹脂粒子は球状体、好ましくは眞球状
体であつて、50〜200μmの範囲内に分布する孔
径を有するものでもよく、この場合孔径分布は正
規分布であつてもよい。
また、有機合成樹脂球状粒子は、200〜400μm
の範囲内に分布する孔径を有するものでもよく、
この孔径分布は正規分布であつてもよい。
上記有機合成樹脂球状(又は眞球状)粒子は孔
径50〜200μmのものと、孔径200〜400μmのもの
との混合物であつてもよい。この場合、小孔径
(50〜200μm)の粒子は、代替骨用材料に高強度
を付与するのに有効な空孔を形成するものであ
り、大孔径(200〜400μm)の粒子は代替骨用材
料の新生骨の形成能を高めるのに有効な空孔を形
成するものである。
有機合成樹脂球状粒子は、200〜800℃の温度で
完全に燃焼し除去されるものであればよく好まし
くは、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、およびポリスチレンなどの熱
可塑性重合体から選ばれた少なくとも1種からな
るものである。このような重合体からなる球状
(好ましくは眞球状)粒子は、かなりの機械的強
度を有し、混合工程や、成形工程などで変形した
り破砕することがなく、従つて後の加熱、焼成工
程において所望形状の球状(好ましくは眞球状)
空孔を形成することができる。
有機繊維は、5mm以下の長さ、好ましくは1μ
m〜4mmの長さと、3〜50μm、好ましくは5〜
40μmの径を有するもので、200〜800℃の温度で
完全に燃焼し除去されるものであればよく、好ま
しくは、獣毛繊維、絹繊維、セルロース繊維およ
び有機合成繊維(例えばボリエステル繊維、ポリ
オレフイン繊維通)から選ばれた少なくとも1点
である。
有機繊維は、後の加熱、焼成工程において、焼
成失し、成形体に多数の毛細管状空隙通路を形成
し、球状空孔相互間および球状空孔と成形体、外
部空間との間の連通通路を形成することができ
る。
第1(混合)工程に供される燐酸カルシウム化
合物粉末は、前述のように既知の方法で合成され
たものであり、特にゾルゲル法で合成され、凍結
乾燥法で形成された、0.05〜10μmの粒径を有す
る粉末が好ましい。この粉末中の結晶は針状、枝
状のいづれであつてもよい。この燐酸カルシウム
化合物粉末は99%以上の水酸アパタイトを含むも
のが好ましい。
上述の混合工程において、湿潤剤として、メタ
ノール、エタノールなどの揮発性低級脂肪族アル
コールを用いると、容易に均一な混合物が得られ
るばかりでなく、燐管酸カルシウム化合物粉末の
凝集を防止し、燐酸カルシウム化合物粉末粒子
と、有機合成樹脂粒子および有機繊維との接合を
良好にすることができる。湿潤剤の使用量に限定
はないが一般に、燐酸カルシウム化合物粉末、有
機合成樹脂粒子および有機繊維の合計重量に対し
150〜250%の量で用いられる。
本発明の方法の第2工程において、上述の混合
物は、所望の形状寸法に成形される。この成形方
法に格別の限定はないが通常のプレス成形、一軸
加圧成形およびCIP法などを用いることができ
る。
所望に応じ、得られた前駆成形体を室温で一昼
夜保持して徐々に乾燥し、成形体のひびわれを防
止してもよい。
第2の(成形)工程で得られた前駆成形体は、
次の第3工程において200〜80℃、好ましくは300
〜500℃、の温度に加熱される。この第3(加熱)
工程において、前駆成形体は、好ましくは、2〜
5℃/分の昇温速度で200〜800℃の範囲内の所望
温度にゆつくり加熱され、この所望温度で、有機
合成樹脂粒子および有機繊維が完全に熱分解し焼
失するまで、例えば2〜3時間加熱を続ける、こ
の第3(加熱)工程において、有機合成樹脂粒子
に対応する球状空孔と、有機繊維に対応する毛細
管状空隙通路が形成される。上記の熱分解燃焼に
より発生するガスは、それにより形成された球状
空孔と毛細管状空隙通路を通つて、成形体外部に
逃散する。
本発明方法の第4工程において、上述の第3
(加熱)工程で得られた多孔質前駆成形体を800〜
1350℃、好ましくは、900〜1200℃、の温度で好
ましくは1〜3時間焼成し、燐酸カルシウム化合
物粉末を焼結するこの第4(焼成)工程において
多孔質前駆成形体は、前記成形体にくらべて10%
〜40%の体積収縮を示し、このため、有機合成樹
脂球状粒子および有機繊維から形成された球状空
孔の孔径、および毛細管状空隙通路の径は、それ
ぞれ、30〜300μmおよび1〜30μmの範囲内に入
るように収縮する。
本発明方法においては、第1〜4工程の操作を
通じて、得られる成形体の気孔率が、0.5%以上
で、かつ40%よりも小さい範囲内になるよう、各
工程の操作条件が調節される。
上記本発明方法により得られた多孔質セラミツ
ク成形体は一般に150Kgf/cm2以上の曲げ強さを
有するもので、任意の形状寸法に加工することが
できる。従つて、この成形物は、患者の骨欠損部
の形状寸法に応じて、所望の形状寸法の代替骨に
加工することができる。
〔実施例〕
本発明を下記の実施例によつて更に説明する。
実施例 1 水酸化カルシウムスリラーに燐酸溶液を滴下し
て、カルシウムと燐の原子比が1.68の水酸アパタ
イトを合成し、これを凍結乾燥して、粒子0.6〜
8μmの水酸アパタイト粉末を得た。この水酸ア
パタイト粉末100gに対し、50〜200μmの範囲に
粒径の正規分布を有するポリメチルメタクリレー
ト樹脂粒子40gと、5gのポリプロピレン繊維
(長さ1ミリ、直径5〜10μm)を混合し、この
混合物にエタノール300c.c.を添加し、高速度撹拌
機で加温撹拌をくり返し混合物の水分量を5%以
下とした。次にこの混合物を一軸加圧成形法によ
り(50mm×50mm×20mm)の寸法の直方体状成形体
を得た。この成形物を一昼夜室内で乾燥した後、
2℃/分の昇温速度で400℃まで加熱し、この温
度で3時間加熱し、次に空気中で1100℃で3時間
加熱し、成形体を焼結した。得られた多孔質成形
体は、38%の気孔率を有し、これを走査型電子顕
微鏡により破断面を観察したところ、30〜150μ
mの範囲内の孔径を有する多数の真球状の空孔
と、直径2〜15μmの多数の毛細管状空隙通路を
有しており、空孔と外部との間、空孔相互間は、
前記毛細管状空隙通路により連通していた。
上記多孔質成形体から4mm×3mm×36mmの寸法
の直方体を切り出し、3点曲げ試験法により、曲
げ強さを測定したところ180Kgf/cm2という高い
値を示した。
実施例 2 実施例1と同一の操作を行なつた。但し、水酸
アパタイト100gに対し、粒径50〜200μmのポリ
メチルメタクリレート粒子15gと、粒径200〜
400μmのポリメチルメタクリレート粒子15gと、
実施例1記載のものと同一のポリプロピレン繊維
5gとを混合し、更にこれにエタノール300mlを
混合して混練後、混合物をCIP法により成形し、
成形物を350℃まで徐々に加熱した後に、更に
1200℃で3時間焼結した。
得られた焼結多孔質質成形体は25%の気孔率と
260Kgf/cm2の曲げ強さを示した。又、実施例1
と同様に30〜300μmの範囲内に分布している孔
径を有する真球状の空孔と、2〜15ミクロンの直
径を有する毛細管状空隙通路が認められた。
実施例 3 前記実施例1、2の各々で得られた多孔質体を
3×2×12m3の直方体に切り出し、これをビーグ
ル犬の大腿骨長管骨骨幹部に入為的に作つた3mm
×12mmの骨欠損部に充填した。26週後、大腿骨を
取り出し、肉眼的観察としたところ、埋入した検
体の表面は、新生骨と外骨膜できれいにおおわれ
ており、又、非脱灰標本を作り、光学顕微鏡で観
察すると、真球状空孔中に新生骨の発達が見ら
れ、大腿骨との境界も判別できないほどであつ
た。
また、上記の代替骨の埋込みによるコラーゲン
繊維の異常発達や組織の異常隆起や硬質化などの
現象は全く認められなかつた。
実施例 4 前記実施例1、2の各々で得られた多孔質成形
体を旋盤および、ドリル等を用いて第1図および
第2図の形状および寸法に加工した。この加工
中、成形体が破損することはなく、スムーズに加
工することができた。
〔発明の効果〕
本発明の代替骨用多孔質セラミツク成形体にお
いて、それを形成する燐酸カルシウム化合物焼結
体は、生体との親和性にすぐれているものであ
り、その中に形成されている多数の球状(好まし
くは眞球状)空孔は、骨細胞活性化のための曲率
半径、すなわち骨修復において骨細胞を認識し骨
細胞を活性化するための居住空間を提供するもの
であり、また、その中の毛細管状空隙通路は、バ
イオフイルターとしての機能をはたし、新生骨形
成のための細胞を受け入れ、忌避すべき成分の侵
入を阻止し、それによつて新生骨形成を、細胞レ
ベルで活性化を促進するものである。上記のよう
な機能により本発明の多孔質成形体は、生体に対
する良好な親和性を有し、新生骨の形成、すなわ
ち、骨のターンオーバーを促進することができ
る。
更に、本発明の多孔質成形体は、従来の代替骨
では得られなかつた高い強度を有し、骨欠損部に
埋め込まれたときでも、骨のターンオーバーが完
了するまで、その形状と強度を保持することがで
きる。また、本発明の多孔質成形体は、その高強
度に基づき、各種機械的物理的加工に耐え、任意
の形状寸法に加工することができる。
本発明の代替骨用多孔質セラミツク成形体は、
従来の多孔質セラミツク材料では達成困難な高強
度を有し、いかなる形状にも加工が可能であつ
て、骨欠損部、特に自家骨を部分的に採取した後
の骨欠損部、骨腫瘍における骨異状細胞抽出後の
骨欠損部、複雑骨折における骨欠損部、或はその
他の原因による骨欠損部を補填修復するための代
替骨用材料として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、それぞれ、本発明の多
孔質成形体から加工成形された代替骨片の形状を
示すものである。図面中の寸法の単位はmmであ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 燐酸カルシウム化合物の焼結多孔質体からな
    る成形体であつて、前記多孔質体中に、通路状に
    伸び、かつ、1〜30μmの範囲内の径を有する多
    数の毛細管状空隙と、30〜300μmの範囲内に分
    布している孔径を有する多数の球状空孔とが形成
    されており、前記球状空孔の相互間、および、前
    記球状空孔と前記成形体の外部空間との間が、前
    記毛細管状空隙通路の少なくとも一部によつて連
    通しており、かつ、前記成形体の気孔率が、0.5
    %以上でかつ40%より小さい、 ことを特徴とする、代替骨用多孔質セラミツク成
    形体。 2 前記成形体が、少なくとも150Kgf/cm2の曲
    げ強さを有している、特許請求の範囲第1項記載
    の成形体。 3 前記燐酸カルシウム化合物焼結多孔質体にお
    けるカルシウムと隣との原子比が1.60〜1.70の範
    囲内にある、特許請求の範囲第1項記載の成形
    体。 4 前記燐酸カルシウム化合物焼結多孔質体にお
    ける水酸アパタイトの含有率が99%以上である、
    特許請求の範囲第1項記載の成形体。 5 前記球状空孔の孔径が30〜300μmの範囲の
    少なくとも一部分で正規分布している特許請求の
    範囲第1項記載の成形体。 6 前記球状空孔の孔径が30〜150μmの範囲内
    で分布している特許請求の範囲第1項記載の成形
    体。 7 前記球状空孔の孔径の分布が正規分布であ
    る、特許請求の範囲第6項記載の成形体。 8 前記球状空孔の孔径が150〜300μmの範囲内
    で分布している、特許請求の範囲第1項記載の成
    形体。 9 前記球状空孔の孔径の分布が正規分布であ
    る、特許請求の範囲第8項記載の成形体。 10 孔径が30〜150μmの範囲内に分布してい
    る空孔と、孔径が150〜300μmの範囲内に分布し
    ている空孔とが混在している、特許請求の範囲第
    1項記載の成形体。 11 前記球状空孔が眞球形である、特許請求の
    範囲第1項記載の成形体。 12 前記毛細管状空隙通路の径が1〜20μmの
    範囲内にある、特許請求の範囲第1項記載の成形
    体。 13 0.05〜10μmの平均粒径を有し、かつ100重
    量部の燐酸カルシウム化合物粉末と、50〜400μ
    mの範囲内に分布している孔径を有し、かつ2〜
    70重量部の有機合成樹脂球状粒子と、5mm以下の
    長さと、3〜50μmの範囲内の径とを有し、かつ
    1〜5重量部の有機繊維とを混合し、 得られた混合物を所望の形状および寸法に成形
    し、 得られた前駆成形体を、200〜800℃の温度に加
    熱して、前記有機合成樹脂球状粒子と有機繊維、
    又は炭酸繊維とを熱分解して除去し、 得られた多孔質前駆成形体を800〜1350℃の温
    度に加熱してこれを焼成しかつ、10〜40%の体積
    収縮率で収縮させる、ことを含み、そして 前記各工程を通じ、得られる成形体の気孔率
    を、0.5%以上で、かつ40%より小さい値を調整
    する、ことを特徴とする、代替骨用多孔質セラミ
    ツク成形体の製造方法。 14 前記有機合成樹脂粒子が、ポリメチルメタ
    クリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、お
    よびポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも1
    種からなる、特許請求の範囲第13項記載の方
    法。 15 前記有機繊維が、獣毛繊維、絹繊維、セル
    ロース繊維、および有機合成樹脂から選ばれた少
    なくとも1種からなる、特許請求の範囲第13項
    記載の方法。
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