JPH07108619B2 - 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力配分制御装置

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JPH07108619B2
JPH07108619B2 JP60208477A JP20847785A JPH07108619B2 JP H07108619 B2 JPH07108619 B2 JP H07108619B2 JP 60208477 A JP60208477 A JP 60208477A JP 20847785 A JP20847785 A JP 20847785A JP H07108619 B2 JPH07108619 B2 JP H07108619B2
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修司 鳥居
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、前後輪への駆動力配分を所定の制御条件によ
り制御させるようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装
置に関する。
(従来の技術) 従来の四輪駆動車の駆動力配分制御装置としては、例え
ば特開昭56−26636号公報に記載されているような装置
が知られている。
この従来装置は、変速機において前後輪の一方へ直接動
力伝達し、油圧クラッチ式のトランスファクラッチを介
して上記前後輪の他方へも動力伝達すべく構成し、上記
クラッチを通常はスプリングにより滑り可能な半クラッ
チの係合状態にし、上記前後輪の間でスリップを生じた
場合はピストンの押圧により完全に一体化した係合状態
にするように2段に制御することを特徴とするものであ
った。
従って、従来装置では、前後輪の間でスリップが所定値
以下の時は、トランスファクラッチが半クラッチ係合状
態で、トランスファクラッチを介してわずかに駆動力伝
達される駆動力配分状態(2輪駆動に近い状態)であ
り、また、前後輪の間でスリップが所定値以上になる
と、トランスファクラッチが完全係合をし、完全4輪駆
動走行状態になっていた。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、このような従来の駆動力配分制御装置に
あっては、所定のスリップ率を境に2輪駆動状態から4
輪駆動状態へとNO−OFF的に駆動力配分が切換わるもの
であったため、直結4輪駆動状態では、旋回特性が強ア
ンダーステア傾向となり、また、2輪駆動状態では、急
発進時にホイールスリップしてしまい、さらに旋回時に
はスピンに至るという問題点があった。
これに対し、本出願人は、上述の問題点を解決すること
を目的として、前後輪の回転速度差に応じて最良の駆動
力配分が得られる内容の出願を先に行なった。(特願昭
59−276048) しかし、可変トルククラッチのクラッチ締結力を制御す
る制御特性の比例定数を、手動切換や路面摩擦係数等で
異ならせているものの、車両の加速状態とは無関係に比
例定数が設定されてしまうものであったため、2輪駆動
に近い駆動力配分を示す小さな比例定数の制御特性に設
定されている時に、急発進を行なうとホイールスリップ
を生じやすいし、急加速旋回を行なうとスピンを生じや
すいものであったし、また、4輪駆動に近い駆動力配分
を示す大きな比例定数の制御特性に設定されている時
に、緩加速旋回を行なうとアンダーステア傾向の強い旋
回特性となってしまうという問題点を残していた。
また、従来、四輪駆動車の駆動力配分制御装置として
は、特開昭58−56921号公報に記載の装置が知られてい
る。
この従来出典には、加速操作時に加速性能の向上と駆動
スリップの防止を図る目的で、前輪駆動状態からアクセ
ルペダルの踏み込みに応じてクラッチ伝達トルクを3段
階に増加させて4輪駆動状態に近づけ、さらに、大きい
前後輪スリップ率が算出された時、前後輪を直結した状
態にする制御を行なう構成が記載されている。
しかしながら、アクセルペダル操作量に応じた加速制御
と前後輪スリップ率に応じたスリップ制御は並列的な関
係にあり、各々独立した制御であるため、アクセルの踏
み込み操作を伴う加速旋回時には駆動力配分が4輪駆動
に近づいてしまい、タイトコーナブレーキ現象を招く結
果となる。
さらに、従来、四輪駆動車の駆動力配分制御装置として
は、特開昭60−64035号公報に記載の装置が知られてい
る。
この従来出典には、4輪駆動自動車としての性能を十分
に発揮させる目的で、前輪駆動状態からの発進、急加
速、急減速及びスリップ発生時に2輪駆動状態から4輪
駆動状態に切り換える制御手段を設けた構成が記載され
ている。
しかしながら、発進対応制御と急加速対応制御と急減速
対応制御とスリップ対応制御とは、並列的な関係にあ
り、各々独立した制御であり、加速旋回時には駆動力配
分が4輪駆動に切り換わり、タイトコーナブレーキ現象
を招く結果となる。さらに、2輪駆動状態と4輪駆動状
態とにオンオフ的に切り換える駆動切り換え制御となっ
ているため、旋回時に駆動切り換えが行なわれると、ス
テア特性が急変するという問題がある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、このような従来の問題点を解決することを目
的としてなされたもので、この目的達成のために本発明
では、以下に述べる解決手段とした。
本発明の解決手段を第1図に示すクレーム概念図により
説明すると、前輪1及び後輪2のうち一方の車輪へは可
変トルククラッチ3を介さずトランスミッションからの
駆動力を伝達し、他方の車輪へは可変トルククラッチを
介して伝達する駆動力伝達系と、該駆動力伝達系の可変
トルククラッチ3を作動させるアクチュエータ4と、入
力センサ5からの入力信号に基づいて、可変トルククラ
ッチ3のクラッチ締結力を制御する制御信号を前記アク
チュエータ4に対して出力する制御手段6と、を備えた
四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記入力セ
ンサ5として、前後輪回転速度差センサ501と加速状態
センサ502を含み、前記制御手段6は、可変トルククラ
ッチ3を介さず駆動力が伝達される車輪2の回転速度が
可変トルククラッチ4を介して駆動力が伝達される車輪
1の回転速度に比べて大きくなる前後輪回転速度差に対
応してクラッチ締結力が大きくなる所定の比例定数を持
った制御特性に基づくクラッチ締結力制御を行なう手段
であり、前記比例定数を、前記加速状態センサ502によ
る加速状態が急加速を示すほど比例定数の大きくなる可
変値により与える手段としたことを特徴とする。
(作 用) 従って、本発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置で
は、車両走行時、制御手段6において、前後輪回転速度
差センサ501からの前後輪回転速度差に対応してクラッ
チ締結力を大きくする制御信号が可変トルククラッチ3
のアクチュエータ4に対して出力される。これにより、
可変トルククラッチ3を介さず駆動力が伝達される車輪
2の回転速度が可変トルククラッチ4を介して駆動力が
伝達される車輪1の回転速度に比べて大きくなる前後輪
回転速度差の発生に応じて駆動力配分がなめらかに変化
することになり、ステア特性の急変が防止される。
そして、この前後輪回転速度差に対応したクラッチ締結
力の制御特性は、その比例定数が加速状態センサ502に
よる加速状態が急加速を示すほど大きくなる可変値によ
り与えられる特性とされる。
これによって、例えば、急加速操作時には、比例定数の
大きな前後輪回転速度差対応のクラッチ締結力制御とな
り、急加速操作を開始し前後輪回転速度差が発生すると
直ちに駆動力配分が4輪駆動側に移行し、急発進時のホ
イールスリップの防止や急加速旋回時のスピンが防止さ
れる。
また、例えば、加速旋回時であっても、高摩擦係数路旋
回時などで前後輪回転速度差の発生が小さい場合には、
加速状態の緩急にかかわらず小さな締結力レベルによる
クラッチ締結力制御となり、駆動力配分が2輪駆動に近
い配分に保たれ、タイトコーナブレーキ現象が防止され
ると共に後輪駆動車ベースの場合にはアンダーステア傾
向が軽減される。
以上により、前後輪回転速度差に対応したクラッチ締結
力の制御特性の比例定数を、加速状態が急加速を示すほ
ど大きくすることで、旋回加速時でのタイトコーナブレ
ーキ現象の防止と高い加速性能の確保との両立を図った
最適な駆動力配分制御が行なわれることになる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。尚、この
実施例を述べるにあたって、後輪駆動をベースにした四
輪駆動車の駆動力配分制御装置を例にとる。
まず、第2図〜第6図に示す実施例についてその構成を
説明する。
10は駆動力配分装置であって、第2図に示すように、駆
動入力軸11,トランスミッション12,入力軸13,後輪側駆
動軸14,多板摩擦クラッチ15,オイルポンプ16,圧油吐出
管17,オイル吸入管18,リザーブタンク19,ギヤトレーン2
0,前輪側駆動軸21を備えている。
上記駆動入力軸11は、エンジン及びクラッチを経過した
駆動力が入力される軸である。
上記トランスミッション12は、前記駆動入力軸11からの
回転駆動力をシフト操作により選択した変速段位置に応
じて変速させるもので、実施例では平行な二本のシャフ
トに異なるギヤ比の歯車組を設けたタイプのものを用い
ている。
上記入力軸13は、トランスファとしての多板摩擦クラッ
チ15へ前記トランスミッション12からの回転駆動力を入
力させる軸である。
上記後輪側駆動軸14は、前記入力軸13と同芯上に直結さ
せたもので、入力軸13からの回転駆動力がそのまま伝達
される。
上記多板摩擦クラッチ15は、クラッチ締結圧により前輪
側への伝達駆動力の変更が可能なクラッチで、前記入力
軸13及び後輪側駆動軸14に固定されたクラッチドラム15
aと、該クラッチドラム15aに回転方向係合させたフリク
ションプレート15bと、前記入力軸13の外周部に回転可
能に支持させたクラッチハブ15cと、該クラッチハブ15c
に回転方向係合させたフリクションディスク15dと、交
互に配置されるフリクションプレート15bとフリクショ
ンディスク15dとの一端側に設けられるクラッチピスト
ン15eと、該クラッチピストン15eと前記クラッチドラム
15aとの間に形成されるシリンダ室15fと、を備えてい
る。
上記ホイルポンプ16は、リシザブタンク19内のオイルを
オイル吸入管18から吸入し、加圧させて圧油吐出管17に
供給するポンプで、この圧油吐出管17は前記シリンダ室
15fに連通され、オイルポンプ16からの加圧油供給時
は、クラッチ締結圧Pをクラッチピストン15eに付与し
て、フリクションプレート15bとフリクションディスク1
5dとを圧接させ、入力軸13からの駆動力を前輪側へ伝達
させる。
上記ギヤトレーン20は、前記クラッチハブ15cに設けら
れた第1ギヤ20aと、中間シャフト20bに設けられた第2
ギヤ20cと、前輪側駆動軸21に設けられた第3ギヤ20d
と、によって構成され、多板摩擦クラッチ15の締結によ
る前輪側への駆動力を伝達させる手段である。
上記前輪側駆動軸21は、車両の前輪に回転駆動力を伝達
させる軸である。
尚、第3図はトランスフアの具体例を示したもので、ト
ランスファケース22の中に前記多板摩擦クラッチ15やギ
ヤ類やシャフト類が納められている。
第3図中15gはディシュプレート、23はリターンスプリ
ング,24は制御圧油入力ポート,25は制御圧油路,26は後
輪側出力軸,27は潤滑用油路,28はスピードメータ用ピニ
オン,29はオイルシール,30はベアリング,31はニードル
ベアリング,32はスラストベアリング,33は継手フランジ
である。
40は駆動力配分制御装置であって、入力センサとして前
輪側回転センサ41,後輪側回転センサ42,アクセル開度セ
ンサ43を備え、制御手段としてコントロールユニット45
を備え、アクチュエータとしてバルブソレノイド46,電
磁比例制御リリーフバルブ47,分岐ドレーン管48を備え
ている。
前輪側回転センサ41及び後輪側回転センサ42は、それぞ
れ前輪側駆動軸21及び後輪側駆動軸14の途中に設けられ
たもので、例えば、軸に固定された回転板と、回転板の
孔位置に配置された光電管及び光電素子と、による回転
センサ等を用い、この両回転センサ41,42からは軸回転
に応じた回転信号(nf),(nr)が出力される。
上記アクセル開度センサ43は、アクセルの踏み込み度合
を検出し、踏み込み度合に応じたアクセル開度信号
(a)を出力するセンサで、加速状態を検知する手段と
して用いられる。
上記コントロールユニット45は、前記回転センサ41,42
からの回転信号(nf),(nr)とアクセル開度センサ43
からのアクセル開度信号(a)を入力し、予め設定され
ている比例定数の異なる複数の制御特性の中から、制御
起動毎にその時のアクセル開度Aに応じた制御特性が選
択され、その制御特性及び前後輪回転速度差ΔNに基づ
いた制御信号(c)を前記バルブソレノイド46に出力す
るもので、第4図に示すように、入力回転451、クロッ
ク回路452、RAM453、ROM454、CPU455、出力回路456を備
えている。
尚、前記制御特性は、前輪側への伝達トルクΔTと、回
転速度差ΔN(ΔN=Nr−Nf)の関数として次式のよう
にあらわされ、比例定数Kを変更させることで、複数の
制御特性を設定させている。
ΔT=K・func(ΔN) K:比例定数 入力回路451は、各入力センサ類41,42,43から入力され
る入力信号をCPU455での演算処理が行なえる信号とする
回路である。
上記クロック回路452は、時間指示を行ない、CPU455で
の演算処理を所定時間毎に行なわせるための回路であ
る。
上記RAM453(ランダム・アクセス・メモリ)は、書込み
読出しのできるメモリで、このRAM453には、CPU455で演
算処理が行なわれている間に入力される入力信号や演算
処理に必要な情報を一時的に記憶させておく回路であ
る。
上記ROM454(リード・オンリー・メモリ)は読出し専用
のメモリで、このROM454には、第5図に示すマップとな
るように、回転速度差ΔNと前輪側への伝達トルクΔT
との関係において比例定数(K1,K2,K3)が異なる複数の
制御特性C1,C2,C3が表(テーブル)の形で予め記憶され
ていて、アクセル開度Aにより1つの制御特性が選択さ
れ、さらにCPU455で演算された回転速度差ΔNに基づい
て、テーブルルックアップが行われる。
尚、回転速度差ΔNと伝達トルクΔTとの制御特性は、
所定の回転速度差までは比例関数の勾配による特性であ
るが、途中から勾配が急に立ち上り回転速度差ΔNに対
する伝達トルクΔTの上昇率が増大し、クラッチのすべ
りを防止するような特性としている。
上記CPU455(セントラル・プロセシング・ユニット)
は、演算処理を行なう中央処理装置で、このCPU455で
は、前後輪の回転速度差ΔNの演算や、RAM453及びROM4
54からの読み出し等を行ない、その結果信号を出力回路
456に出力する。
上記出力回路456は、アクチュエータであるバルブソレ
ノイド46に対し、CPU455からの結果信号に応じた制御信
号(c)を出力する回路である。
上記バルブソレノイド46は、圧油吐出管17からリザーブ
タンク19へ分岐連通させた分岐ドレーン管48の途中に設
けた電磁比例制御リリーフバルブ47を駆動させるアクチ
ュエータで、前記リリーフバルブ47を開閉させることで
制御信号(c)に応じたクラッチ締結圧Pとなす。尚、
クラッチ締結圧Pは、次式であらわされる。
P=ΔT/(μ・S・2n・Rm) μ;クラッチ板の摩擦係数 S;ピストンへの圧力作用面
積 n;フリクションディスク枚数 Rm;フリクションデ
ィスクのトルク伝達有効半径 従って、クラッチ締結圧Pを増大させると、伝達トルク
ΔTも比例して増大する。
次に、実施例の作用を説明する。
まず、実施例での駆動力配分制御作動の流れを、第6図
に示すフローチャート図により説明する。
(イ)前後輪の回転速度差ΔNが正の場合 前後輪の回転速度差ΔNが正の場合、つまり後輪スリッ
プ状態での制御作動の流れは、ステップ200→ステップ2
01→ステップ202→ステップ203→ステップ204→ステッ
プ205→ステップ206へと進む流れとなり、この作動が繰
り返される。
尚、ステップ200は前後輪回転速度Nf,Nrの読み込みステ
ップであり、ステップ201は前後輪回転速度差ΔN(Δ
N=Nr−Nf)の演算ステップであり、ステップ202はΔ
Nが正か負かの判断ステップであり、ステップ203はア
クセル開度Aの読み込みステップであり、ステップ204
はアクセル開度Aにより制御特性C1,C2,C3を選択する選
択ステップであり、ステップ25は前後輪回転速度差ΔN
により選択した制御特性から伝達トルクΔTをテーブル
ルックアップする検索ステップであり、ステップ206は
前記ステップ205でテーブルルックアップされた伝達ト
ルクΔTが得られる制御信号(c)を出力するステップ
である。
具体例として、アクセルペダルを踏み込んでの急加速時
であり、前後輪回転速度差ΔNがΔN1である時は、アク
セル開度Aが大きくなるに従って制御特性の選択がC1
C2→C3と変化するため、第5図に示すように、アクセル
ペダルの踏み込み始めで、制御特性C1が選択されている
時は、伝達トルクΔT1が得られる制御信号(c)が出力
され、アクセルペダルが少し踏み込まれていて制御特性
C2が選択されている時は、伝達トルクΔT2が得られる制
御信号(c)が出力され、アクセルペダルが大きく踏み
込まれていて制御特性C3が選択されている時は、伝達ト
ルクΔT3が得られる制御信号(c)が出力されることに
なる。しかも、アクセルペダルが急に踏み込まれること
で、伝達トルクΔTは短時間にてΔT1→ΔT2→ΔT3と変
化し、車両が加速状態に入った時には前輪側への伝達ト
ルクΔTの増大で4輪駆動状態に近い駆動力配分とな
る。
また、アクセルペダルへの踏み込み量が小さく、しかも
踏み込み動作もほとんど行なわれない緩加速時であり、
前述と同様に前後輪回転速度差ΔNがΔN1である時は、
アクセル開度Aが小さく、しかもアクセル開度Aの変化
もほとんどないため、制御特性C1が選択されたままとな
り、前輪側への伝達トルクΔTも最もトルクが小さいΔ
T1のままとなり、前輪側への駆動力配分が小さな後輪駆
動状態に近い駆動力配分となる。
(ロ)前後輪の回転速度差ΔNが零または負の場合 前後輪の回転速度差ΔNが零または負の場合、つまりタ
イヤのすべりがない乾燥路等での直進走行時等での制御
作動の流れは、ステップ200→ステップ201→ステップ20
2→ステップ207という流れとなり、制御信号(c)は零
として出力され、後輪駆動状態が維持される。
上述のように実施例では、アクセル開度Aを加速状態の
入力情報とし、アクセル開度Aが大きくなるに従って比
例定数Kが大きくなる制御特性が選択される装置とした
ため、アクセルペダルが踏み込まれ車両が急加速状態に
入った時には、比例定数Kの大きな制御特性に基づくク
ラッチ締結力の制御、つまり4輪駆動に近い駆動力配分
制御が行なわれることになり、急発進時のホイールスリ
ップや急加速旋回時のスピンを防止することができる。
また、緩加速時であってアクセルペダルへの踏み込み量
が小さい時には、比例定数Kの小さな制御特性に基づく
クラッチ締結力の制御、つまり後輪駆動に近い駆動力配
分制御が行なわれることになり、緩加速旋回時のアンダ
ーステア傾向を軽減させることができる。
このように、前後輪回転速度差に応じてなめらかに駆動
力配分を変化させることでステア特性を急変させない駆
動力配分制御が行なわれると共に、加速状態に応じた駆
動力配分制御を行なうことができる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具
体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があって
も本発明に含まれる。
例えば、実施例では後輪駆動車をベースにした4輪駆動
車を示したが、前輪駆動車をベースにしたものであって
もよい。尚、その場合には、回転速度差ΔNはNf−Nrと
して演算すればよい。
また、実施例では、伝達トルクΔTと回転速度差ΔNの
比例関係による制御特性の一例を示したが、必ずしも実
施例に示した関係に限られるものではなく、例えば粘性
クラッチ特性を示すもの等、他の制御特性であってもよ
い。
また、加速状態センタとして実施例ではアクセル開度セ
ンサを示したが、エンジン吸気管に設けた負圧センサや
アクセルペダルの動作を検知するセンサ等を用いてもよ
い。
また、実施例では、複数の制御特性を予めテーブル
(表)の形で記憶させておいて、テーブルルックアップ
により前輪側への伝達トルクΔTを求める例を示した
が、制御特性を演算式の形で記憶させておき、この演算
式に比例定数及び前後輪回転速度差を代入して演算によ
り伝達トルクΔTを求めるようにしてもよい。
尚、この時、比例定数も実施例のように3通りの比例定
数に限らず、アクセル開度の値をそのまま比例定数とし
たり、アクセル開度から所定の演算により比例定数を求
めるようにしてもよい。
また、実施例では、比例定数Kを定める加速状態の入力
状態としてアクセル開度を経時変化的に知ることができ
るアクセル開度Aをそのまま用いる例を示したが、アク
セル開度Aを時間で微分したアクセル開度微分値を加
速状態の入力情報としてもよいし、さらにアクセル開度
Aとアクセル開度微分値とを加えた値(αA+β)
をもって入力情報としてもよい。
尚、アクセル開度微分値の場合は、アクセル開度の変
化速度を知ることができ、αA+βの場合は、定数で
あるα及びβの設定により、最も正確な加速状態を知る
ことが可能である。
また、クラッチ締結圧制御手段も、実施例の電磁比例式
リリーフバルブに限られず、他の手段を用いてもよい。
また、回転センサの取付位置も、前輪側及び後輪側の駆
動伝達系に設けたものであれば、実施例の取付位置に限
定されない。
(発明の効果) 以上説明してきたように、本発明にあっては、前後輪の
駆動力配分比を電子制御する四輪駆動車の駆動力配分制
御装置において、可変トルククラッチの締結力制御を前
後輪回転速度差対応の制御特性による制御とし、その比
例定数を、加速状態が急加速を示すほど大きくなる可変
値により与える制御手段を設けた為、ステア特性の急変
を抑えながら、加速旋回時のタイトコーナブレーキ現象
の防止と高い加速性能の確保との両立を一つの制御則に
て達成できるという効果が得られる。
特に、低摩擦係数路での急発進時にホイールスリップが
防止されるし、急加速旋回時のスピンが防止される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置を示
すクレーム概念図、第2図は実施例の駆動力配分制御装
置を示す示す全体図、第3図は実施例装置のトランスフ
ァを示す断面図、第4図は実施例装置のコントロールユ
ニットを示すブロック線図、第5図は実施例装置のコン
トロールユニットにおいて予め記憶させている制御特性
を示すマップ、第6図は実施例装置におけるコントロー
ルユニットでの作動の流れを示すフローチャート図であ
る。 1……前輪 2……後輪 3……可変トルククラッチ 4……アクチュエータ 5……入力センサ 501……前後輪回転速度差センサ 502……加速状態センサ 6……制御手段
フロントページの続き (72)発明者 尾崎 清孝 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−64035(JP,A) 特開 昭61−155027(JP,A) 特開 昭58−56921(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前輪及び後輪のうち一方の車輪へは可変ト
    ルククラッチを介さずトランスミッションからの駆動力
    を伝達し、他方の車輪へは可変トルククラッチを介して
    伝達する駆動力伝達系と、 該駆動力伝達系の可変トルククラッチを作動させるアク
    チュエータと、 入力センサからの入力信号に基づいて、可変トルククラ
    ッチのクラッチ締結力を制御する制御信号を前記アクチ
    ュエータに対して出力する制御手段と、 を備えた四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、 前記入力センサとして、前後輪回転速度差センサと加速
    状態センサとを含み、 前記制御手段は、可変トルククラッチを介さず駆動力が
    伝達される車輪の回転速度が可変トルククラッチを介し
    て駆動力が伝達される車輪の回転速度に比べて大きくな
    る前後輪回転速度差に対応してクラッチ締結力が大きく
    なる所定の比例定数を持った制御特性に基づくクラッチ
    締結力制御を行なう手段であり、 前記比例定数を、前記加速状態センサによる加速状態が
    急加速を示すほど比例定数の大きくなる可変値により与
    える手段としたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力配
    分制御装置。
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