JPH0710803B2 - 桂皮酸エステル類の製造法 - Google Patents

桂皮酸エステル類の製造法

Info

Publication number
JPH0710803B2
JPH0710803B2 JP62070307A JP7030787A JPH0710803B2 JP H0710803 B2 JPH0710803 B2 JP H0710803B2 JP 62070307 A JP62070307 A JP 62070307A JP 7030787 A JP7030787 A JP 7030787A JP H0710803 B2 JPH0710803 B2 JP H0710803B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
carbon monoxide
palladium
copper
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62070307A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63238040A (ja
Inventor
善博 山本
夘三治 高木
Original Assignee
三井東圧化学株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三井東圧化学株式会社 filed Critical 三井東圧化学株式会社
Priority to JP62070307A priority Critical patent/JPH0710803B2/ja
Publication of JPS63238040A publication Critical patent/JPS63238040A/ja
Publication of JPH0710803B2 publication Critical patent/JPH0710803B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、スチレン類、一酸化炭素、アルコールおよび
酸素を反応させて対応する桂皮酸エステル類を製造する
に際し、用いた触媒成分を容易に効率良く回収する方法
に関する。
桂皮酸エステル類はそれらが有する芳香のため香料また
はその原料として広く用いられており、また農薬や感光
性樹脂の原料あるいはフェニルアラニンの原料等として
も重要な化合物である。
(従来の技術) 従来、桂皮酸はベンズアルデヒドと酢酸の誘導体を主原
料とした反応で小規模に生産されているが、この方法は
高価な原料を使用するので工業的には好ましい方法では
ない。そこで、より安価な原料を用いる方法として、ス
チレン類と一酸化炭素、アルコール及び酸素を触媒の存
在下に反応させて桂皮酸エステル類を製造しようとする
方法がいくつか提案されている(例えば、特開昭56−15
242、特開昭56−22750、特開昭60−92242、特開昭60−1
69442、特開昭61−87643、特開昭62−29552など)。
これらの提案は、いずれも触媒として少なくともパラジ
ウム金属またはその化合物を用いており、更に反応成績
を高めるため種々の化合物を加えている。
パラジウムという極めて高価な金属を用いるため、本方
法を工業的に有利な桂皮酸エステル類の製造法とするた
めには、反応に使用した触媒成分を効率よく回収する方
法の確立が不可欠なことである。
触媒成分の回収方法について幾つかの提案がなされては
いる。特開昭60−169441では、活性炭担持パラジウムを
主触媒とした特定の触媒系を用いて反応させた反応液か
ら、濾過によって活性炭とともに触媒成分を回収してい
る。また、特開昭60−231630および特開昭60−237046で
は、反応後の反応液中のパラジウムを反応前あるいは反
応後に加えた炭素質担体に吸着させて濾過し回収する方
法が述べられている。しかしながら、これらは炭素質担
体の存在下の場合についてのみであり一般的でない。ま
た、炭素質担体を使用することにより工程が複雑になる
ばかりでなく、炭素質担体に吸着した水分やその他の不
要な成分の除去や分離が困難となり、再使用時反応に悪
影響を及ぼし易くなるなど工業化するには問題点が多
い。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、先に、このような欠点のない簡便かつ効
果的な方法として、反応後得られる反応液を特定の条件
下に濃縮し濾過するという簡便な操作により、高率で触
媒成分を回収できる方法を提案した(特願昭61-8234
2)。この方法は、反応後得られる反応液を、なんら特
別の処理を施すことなく、単に特定の温度条件下に濃縮
し特定の条件下で濾過する方法である。
しかしながら、この方法でも、他の触媒成分の回収率は
非常に高いものの、パラジウムの回収率は実施例で示さ
れるように80%程度と工業的にはまだ改良の必要があ
る。さらには、この方法では、濃縮後濃縮器の器壁に多
量の固体の触媒成分が付着し、濾過するためにそれを排
出することが困難となることがある。
本発明の第一の目的は、触媒として、(1)パラジウム
金属またはその化合物および(2)銅の化合物を用い
て、スチレン類、一酸化炭素、アルコールおよび酸素を
反応させて対応する桂皮酸エステル類を製造する方法を
工業的により有利に製造法とするため、簡便かつ容易な
操作で使用した触媒成分、とりわけ高価なパラジウムを
効率よく回収できる効果的な方法を提供することであ
る。
さらに第二の目的は、回収する際に固体となった触媒成
分の器壁への付着を軽減し、容易に排出できる方法を提
供することである。
(問題を解決するための手段) 本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を続け
てきたところ、反応後の反応液を特定の圧力および温度
の条件下に一酸化炭素を含む気体で処理しながら、ある
いは処理した後に、含まれるアルコールの一部または全
部を留出させると、驚くべきことにその残留液中には器
壁にはほとんど付着することなく触媒成分が固体となっ
て多量に析出しており、これを分離回収すると、このよ
うな簡便な方法にもかかわらず触媒成分のパラジウム及
び銅が非常に高率で回収されることを見出し本発明に到
達した。
すなわち、本発明は、触媒として(1)パラジウム金属
またはその化合物および(2)銅の化合物を用いて、ス
チレン類、一酸化炭素、アルコールおよび酸素を反応さ
せて対応する桂皮酸エステル類を製造するに際して、反
応後得られる反応液を1気圧以上の圧力および60℃以上
の温度の条件下に一酸化炭素を含む気体で処理しなが
ら、あるいは処理した後に、含まれるアルコールの一部
または全部を留出させた残留液から固体となった触媒成
分を分離し回収することを特徴とする桂皮酸エステル類
の製造法である。
本発明方法で使用されるスチレン類としては、具体的に
は、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレン、β−エチルスチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−タ
ーシャリーブチルスチレン、p−イソプロピル−β−メ
チルスチレン等のスチレンのアルキル誘導体、あるいは
p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン、3,4-ジメ
トキシスチレン等の反応を阻害しない置換基を芳香環に
有するスチレンの誘導体などが挙げられる。
アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、シク
ロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂肪族アル
コールであり、それらはハロゲンやアルコキシ基などの
反応を阻害しない置換基を有していてもよい。
これらのアルコールの使用量は、スチレン類1モル部に
対して0.5〜100モル部、好ましくは1〜50モル部であ
り、反応原料としてのみならず溶媒を兼ねて使用しても
よい。
本発明の方法における反応は、アルコールを実質的な溶
媒とすることができるが、反応を阻害しない溶媒ならば
これを用いて行っても良い。
本発明の方法における触媒の第1成分であるパラジウム
金属またはその化合物としては、例えば、パラジウム金
属をシリカゲル、シリカアルミナ、ケイソウ土、軽石、
モレキュラーシーブなどの担体に担持させたもの、ある
いはパラジウム黒などのパラジウム金属、パラジウムの
ジベンジリデンアセトン錯体またはテトラキス(トリフ
ェニルホスフィン)パラジウムのような0価のパラジウ
ム錯体、塩化パラジウムのようなパラジウムのハロゲン
化物、硝酸パラジウムのようなパラジウムの無機酸塩、
酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウムまたは安息香
酸パラジウムなどのパラジウムの有機酸塩、ビス(アセ
チルアセトナート)パラジウム、シクロオクタジエンジ
クロロパラジウム錯体、塩化パラジウムベンゾニトリル
錯体、あるいは塩化パラジウムアンミン錯体のようなパ
ラジウムの錯体などの2価のパラジウムの化合物などが
挙げられる。
通常の場合、これらのパラジウム金属またはその化合物
の使用量は、パラジウム金属原子として原料のスチレン
類1モルに対して0.1グラム原子以下であり、好ましく
は5×10-6〜1×10-2グラム原子の範囲である。
本発明の方法における触媒の第2成分である銅の化合物
としては、塩化銅、臭化銅などの銅のハロゲン化物、炭
酸銅、硝酸銅などの銅の無機酸塩、酢酸銅、プロピオン
酸銅、ステアリン酸銅、桂皮酸銅、安息香酸銅などの銅
の有機酸塩、あるいは銅アセチルアセトナート、銅ベン
ゾイルアセトナートのような銅の錯体化合物などが挙げ
られ、なかでも塩化銅、臭化銅などの銅のハロゲン化
物、あるいは酢酸銅、プロピオン酸銅などの銅の有機酸
塩はより好ましい。これらの銅の化合物はそれぞれ単独
でもまた2種以上を混合して用いてもよい。これらの化
合物は反応混合液に溶解していることが好ましいが、一
部が不溶のままであってもさしつかえない。
これらの銅の化合物の使用量は、銅の原子として反応液
1リットルあたり0.004〜0.4グラム原子の範囲であり、
好ましくは0.008〜0.3グラム原子の範囲である。
また、本発明の方法における反応においては触媒活性や
反応成績を更に高めるために種々の助触媒や添加剤を用
いることもできる。これら助触媒および添加剤として
は、例えば、(1)アルカリ金属、アルカリ土類金属お
よびアルミニウム族金属の化合物、(2)周期律表の4A
族金属、5A族金属、7A族金属、8Aの鉄族金属および2B族
金属の化合物、(3)希土類元素の化合物、(4)ハロ
ゲンの化合物、(5)硝酸、(6)酢酸などの有機酸、
(7)第三級アミン、(8)ニトリル類、(9)脱水
剤、(10)フエノール類およびキノン類などであり、こ
れらは単独でもまたは2種類以上を組合せて用いてもよ
い。なかでも(2)周期律表の4A族金属、5A族金属、7A
族金属、8Aの鉄族金属および2B族金属の化合物、(4)
ハロゲンの化合物、(10)フエノール類およびキノン類
などが好ましい。
本発明の方法における反応には、さらには本発明の方法
によって回収した触媒成分を適宜な方法で処理してその
触媒活性を回復させた再生触媒を触媒として用いること
ができる。
本発明の方法における反応での気体の原料は一酸化炭素
および酸素である。酸素源としては空気を使用すること
もできる。また、反応系に二酸化炭素を存在させること
は、反応成績および触媒活性を高めるので好ましい。爆
発範囲を避けるためこれらの気体を、窒素またはアルゴ
ンなどの不活性気体で稀釈して用いることもできる。
一酸化炭素、炭素および使用する場合の二酸化炭素もし
くは不活性気体は、それぞれを反応器に仕込んでも良い
し、それらの気体が予め混合されたもの(以下、原料混
合気体と略称する)を仕込んでも良く、また必要な気体
をそれに連続的または間欠的に追加する方法でも良い。
さらには原料混合気体を連続的または間欠的に流通させ
る方法でも良い。これらのうち追加する方法や流通させ
る方法がより好ましい。反応に供する原料混合気体は、
毎回新たに調整されたものでもよいが、一度反応に使用
した残ガスまたは排ガスを必要に応じて各成分気体の濃
度を調整した後に繰り返し使用することもできる。
本発明の方法における反応での一酸化炭素の分圧は50気
圧(絶対圧、以下同様)以下であり、好ましくは0.005
〜40気圧の範囲である。酸素の分圧は50気圧以下であ
り、好ましくは0.002〜30気圧の範囲である。
本発明の方法での反応の反応形式としては、回分式また
は連続流通式のいずれでも構わない。
本発明の方法における反応の全圧は、一酸化炭素、酸素
および使用する場合の二酸化炭素または不活性気体の分
圧によるが、通常500気圧以下であり、好ましくは1〜3
00気圧である。反応温度は、室温ないし200℃、好まし
くは40〜160℃である。反応時間は反応条件により変わ
るが、通常0.01〜24時間、好ましくは0.05〜10時間であ
る。
以上のような方法により反応させて得られる反応液から
触媒成分を回収する。反応液には、しばしば触媒成分の
一部が固体となって析出している場合があるが、これを
直接に濾過分離して得られる固体中の触媒成分の回収率
はあまり高くない。また、反応液を濃縮したのち濾過分
離するとその回収率は高まるが、パラジウムの回収率は
未だ不充分である。また、固体となった触媒成分が濃縮
器の器壁に多量に付着することが多い。
触媒成分特にパラジウムの回収率を充分高めるために
は、反応後得られた反応液を特定の条件下に一酸化炭素
を含む気体で処理しながらあるいは処理した後に、含ま
れるアルコールの一部または全部を留出させた残留液か
ら、固体の触媒成分を分離することが肝要である。同時
に、このようにすると触媒成分の器壁への付着はほとん
どなくなる。
本発明の方法において、反応液を処理する際に用いる一
酸化炭素を含む気体とは、一酸化炭素そのものあるいは
一酸化炭素と他の気体との混合気体であり、その混合気
体としては、一酸化炭素を窒素やアルゴンなどの不活性
気体で稀釈した混合気体、一酸化炭素と二酸化炭素の混
合気体、およびそれらを混合したもの、さらには反応に
使用した原料混合気体またはその中の成分の割合を調整
したもの、反応での残ガスまたは排ガスもしくはそれら
の中の成分の割合を調整したものなどである。これらの
一酸化炭素を含む気体中の一酸化炭素の濃度は、1.0容
量%以上である。これより低濃度となると反応液の処理
の効果が発現し難くなる。また反応液処理に用いる一酸
化炭素を含む気体としてはその中に酸素が含まれないこ
とが基本的には好ましいが、原料混合気体や反応での残
ガスまたは排ガスなどの一酸化炭素以外に酸素をも含む
混合気体を用いる場合には、その中の酸素濃度は10容量
%以下であり、かつ酸素の濃度の一酸化炭素濃度に対す
る割合は1.0以下であり、好ましくは0.8以下である。し
たがって原料混合気体あるいは反応での残ガスまたは排
ガスなどの酸素をも含む混合気体は、必要ならばそのよ
うに濃度を調整したのちに反応液の処理に用いる。
本発明の方法において反応液を一酸化炭素を含む気体で
処理する方法は、1気圧以上の圧力および60℃以上の温
度の条件下に、反応液と一酸化炭素を含む気体とを接触
させることである。反応液を入れた容器に一度に該気体
を圧入する方法、あるいは反応液に該気体を連続的また
は間欠的に流通させながら行う方法のいずれでもよい。
好ましい圧力の範囲としては1気圧以上100気圧以下で
あり、より好ましくは1気圧以上50気圧以下である。ま
た好ましい温度の範囲としては、60℃以上250℃以下で
あり、より好ましくは、60℃以上200℃以下である。処
理に際しては撹拌を行うことが好ましい。
一酸化炭素を含む気体の該処理における使用量は、その
気体に含まれる一酸化炭素の濃度、反応に使用した触媒
の種類やその量、あるいは該処理の方法およびその条件
などにより一様でないが、通常一酸化炭素を含む気体中
の一酸化炭素の供給量が、反応液に含まれる全触媒成分
金属の1グラム原子あたり0.05〜1000モルの範囲となる
ようにする。好ましくは同じく0.1〜500モルである。
処理時間は、条件により一様ではないが、通常5分ない
し10時間の範囲であり、好ましくは10分ないし6時間で
ある。
反応液を一酸化炭素を含む気体で処理するに際しては、
反応後反応液を含む反応容器内で続けて該処理を行うこ
ともできるし反応液を別途の容器に移して行うこともで
きる。
本発明の方法においては、反応液を一酸化炭素を含む気
体で処理しながらあるいは処理した後に、含まれるアル
コールの一部または全部を留出させる。
処理しながら処理中の液に含まれるアルコールを留出さ
せるには、反応液に一酸化炭素を含む気体を流通させる
方法を用い、前述の処理条件であってそのアルコールが
留出できる圧力と温度を選ぶ。その圧力において、その
温度はアルコールの沸点付近であることが好ましいが、
アルコールが流通させる一酸化炭素を含む気体に同伴さ
れて満足すべき速度で留出するような場合には、沸点以
下で行うこともできる。
反応液を処理した後に処理液に含まれるアルコールを流
出させるには、常用の蒸留方法が用いられる。蒸留の温
度は250℃以下であり、好ましくは20〜200℃の範囲であ
る。蒸留は減圧、常圧および加圧のいずれでも行いうる
が、減圧および常圧は操作が簡便であるのでより好まし
い。
アルコールを留出させる程度は、反応に使用するスチレ
ン類、アルコールおよび触媒成分などの種類や量、ある
いは反応条件や反応液の一酸化炭素を含む気体での処理
条件などによって一様ではないが、通常反応液に含まれ
るアルコールの50〜100重量%を留出させる。好ましく
は80〜100重量%の範囲である。
前述の反応液を処理しながらアルコールを留出させる方
法において、アルコールの留出の程度が充分でない場合
には、あらためて処理後にアルコールの留去を行っても
よい。
以上のように、反応液の一酸化炭素を含む気体での処理
およびアルコールの留出操作の後に得られる残留液中に
は、触媒成分が固体として多量に析出しており、固体の
器壁への付着も極めて少なく、容器からの排出は容易で
ある。この固体の触媒成分は濾過、遠心分離あるいはデ
カンテーションなどの常用の固液分離法により、容易に
分離して回収することができる。なかでも濾過は簡便で
あり好ましい。濾過は減圧、常圧または加圧のいずれで
も構わない。
このようにして固体として分離された回収触媒成分に
は、化合物としての形は明らかではないが、触媒成分の
パラジウム及び銅が非常に高率で回収されている。また
場合によっては加えられた助触媒や添加剤の成分も同時
に高率で回収される。
この固体の回収触媒成分は酸化処理することにより容易
に触媒としての活性を回復させることができ、再び反応
に使用することができる。
本発明の目的成物である桂皮酸エステル類は、上述の方
法に従って残留液から固体の触媒成分を分離したあとの
液から晶析や蒸留などの常用の方法により容易に分離す
ることができる。
(作用および発明の効果) 本発明の方法によれば、触媒として(1)パラジウム金
属またはその化合物および(2)銅の化合物を用いて、
スチレン類、一酸化炭素、アルコールおよび酸素を反応
させて対応する桂皮酸エステル類を製造するに際して、
反応後得られる反応液を特定の条件下に一酸化炭素を含
む気体で処理しながらあるいは処理した後に、含まれる
アルコールの一部または全部を留出させた残留液から固
体となった触媒成分を分離するという簡便な方法で、反
応に用いた触媒成分のパラジウムおよび銅を極めて高い
回収率で回収でき、さらには固体となった触媒成分はほ
とんど器壁に付着することなく残留液中に析出させるこ
とができ排出は極めて容易であるという、工業的に極め
て有利な桂皮酸エステル類の製造法とすることができ
る。
(実施例) 次に実施例により本発明を詳しく説明する。
実施例1 ガラス製の円筒容器に塩化パラジウムを28.4ミリグラム
(0.16ミリモル)、酢酸第二銅・1水塩5.98グラム(3
0.0ミリモル)、塩化第二銅1.34グラム(10.0ミリモ
ル)、酢酸第一マンガン・4水塩12.2グラム(49.9ミリ
モル)、そしてスチレンを166.65グラム(1600.0ミリモ
ル)とり、メタノールを加えて全量を500ミリリットル
とした。メタノールは256.3グラムほどであった。
このガラス容器を1リットルのオートクレーブ内に挿入
した。
オートクレーブの撹拌翼はテフロン製であり、温度測定
管もガラスで保護してある。全圧を8.5気圧に保ちなが
ら、一酸化炭素:酸素:二酸化炭素の分圧比が12.0:7.
0:81.0の原料混合気体を、入口流量4.5/min(標準状
態)となるよう反応混合液中に通じながら撹拌を続け、
100℃で3時間反応させた。この間、出口ガスは還流冷
却器を通して排出した。
反応終了後、同一の反応器を用い、全圧を5.5気圧とし
温度を100℃に保って、一酸化炭素を含む気体としては
反応に用いた原料混合気体をそのまま使い、入口流量6.
0/minで反応液に流しながら撹拌した。この間に還流
冷却器からの凝縮液を反応系外の受器に移すことによ
り、2時間かけて未反応のメタノールを留出させた。留
出したメタノール留分は222.4グラムであり、計算によ
ると未反応のメタノールの93.1%が回収された。冷却放
圧し取り出した残留液は255.4グラムであり、高速液体
クロマトグラフィーで分析したところ、スチレンが70.4
ミリモル、桂皮酸メチルが1372.8ミリモル含まれてい
た。スチレンの転化率は95.6%、桂皮酸メチルの収率
(仕込んだスチレンに対する収率)は85.8%であった。
パラジウムの1グラム原子当りに生成した桂皮酸エステ
ルのモル数(以下、Pd回転率と略称する)は、8580であ
った。
この残留液中には、容器の器壁にはほとんど付着するこ
となく多量の固体が析出していた。これを温度60℃で、
ガラスフィルターを用いて減圧濾過した。固体をトルエ
ン57.6グラムで洗ったのち、60℃で減圧乾燥した。乾燥
後の重量は12.1グラムであった。原子吸光スペクトルで
分析したところ、この固体にはパラジウムが0.148ミリ
グラム原子および銅が38.40ミリグラム原子含まれてい
た。仕込んだ量に対する回収率はそれぞれ92.5%および
96.0%でありいずれも高回収率で回収できた。またマン
ガンが48.65ミリグラム原子含まれており、さらにイオ
ンクロマトグラフィーで分析した結果、塩素が19.71ミ
リグラム原子含まれており、それぞれ97.5%および97.0
%の回収率であり、マンガンおよび塩素も同時に高率で
回収された。
また、この濾液およびトルエン洗浄液からは減圧蒸留に
よって桂皮酸メチルを分離することができた。なお以上
のようにして回収された触媒成分を酸化処理すると触媒
活性が再生され、反応に使用したところ新規な触媒系と
同等の反応成績を与えた。
実施例2 実施例1の反応と全く同様にして100℃で3時間反応さ
せた後、実施例1の処理操作と同様ではあるが、一酸化
炭素を含む気体としては原料混合気体の代わりに一酸化
炭素:二酸化炭素の分圧比が12.9:87.1である混合気体
を用い、入口流量が4.5/minとなるように反応液に流
しながら撹拌を続け、1時間かけて未反応のメタノール
を留出させた。留出したメタノール留分は159.5グラム
であり、計算によると未反応のメタノールの69.2%が回
収された。冷却放圧し取り出した残留液は321.3グラム
であり、スチレン転化率は93.7%、桂皮酸メチルの収率
は84.5%およびPd回転率は8450であった。
この残留液はまだ多量のメタノールを含んでいるので、
さらにこれをフラスコに移しロータリーエバポレーター
を用いて、50〜80℃の温度で徐々に減圧にしながら最終
的には20mmHgを30分保って濃縮し、残留液260.2グラム
を得た。この濃縮により更に29.4%のメタノールが回収
された。フラスコ壁には付着はほとんどなく、多量の固
体が析出していた。
この残留液を温度60℃でガラスフィルターで減圧濾過し
た。固体をトルエン50.0グラムで洗った後、60℃で減圧
乾燥した。乾燥後の重量は12.0グラムであった。パラジ
ウムおよび銅の回収率はそれぞれ93.4%および93.8%で
あり、また同時にマンガンおよび塩素の回収率はそれぞ
れ98.2%および96.7%といずれも高回収率で回収でき
た。
実施例3 実施例1の反応と全く同様にして100℃で3時間反応さ
せた後、反応器内の残ガスを一酸化炭素:二酸化炭素の
分圧比が12.9:87.1である混合気体で置換したのち、こ
の混合気体を30気圧になるまで封圧し、100℃で1時間
撹拌した。
上記処理終了後、冷却放圧し取り出した処理済み液は46
9.2グラムであり、スチレンの転化率は92.2%、桂皮酸
メチルの収率は84.5%であった。
この処理済み液をフラスコに移し、ロータリーエバポレ
ーターを用いて50〜80℃の温度で徐々に減圧にしながら
最終的には20mmHgを30分保って濃縮し、残留液249.0グ
ラムを得た。これにより処理済み液に含まれていたアル
コールの97.8%が回収された。フラスコ壁には固体の付
着はほとんどなく、固体は液とともに容易に排出でき
た。これをガラスフィルターで減圧濾過し、固体をトル
エン60.0グラムで洗った後、60℃で減圧乾燥した。乾燥
後の重量は11.8グラムであった。パラジウムおよび銅の
回収率はそれぞれ94.7%および95.3%であり、また同時
にマンガンおよび塩素の回収率はそれぞれ98.5%および
98.8%といずれも高い回収率で回収できた。
比較例1 実施例1の反応と全く同様にして100℃で3時間反応さ
せた後、なんらの処理操作を行うことなく、冷却放圧し
て反応液484.5グラムを取り出した。スチレンの転化率
は93.0%、桂皮酸メチルの収率は86.4%であった。
この反応液をフラスコに移しロータリーエバポレーター
を用いて、50〜80℃の温度で徐々に減圧にしながら最終
的には20mmHgを30分保って濃縮し、残留液246.3グラム
を得た。これにより反応液に含まれていたアルコールの
98.1%が回収された。フラスコ壁には多量の固体が付着
しており、これを掻き落として液とともに温度60℃で、
ガラスフィルターを用いて減圧濾過し、固体をトルエン
60.0グラムで洗った後、60℃で減圧乾燥した。乾燥後の
重量は13.8グラムであった。銅、マンガンおよび塩素の
回収率はそれぞれ92.4%、98.1%および97.8%であり高
かったが、パラジウムの回収率は80.2%と低かった。
比較例2 実施例1の反応と全く同様にして100℃で3時間反応さ
せた後、メタノールを留出させることなくそのまま同じ
原料混合気体を同じ条件下で更に1時間流通した。冷却
放圧し取り出した反応液は483.4グラムであり、スチレ
ンの転化率は95.9%、桂皮酸メチルの収率は88.8%であ
った。
この反応液をそのままガラスフィルターで減圧濾過し
た。固体をトルエン50.0グラムで洗った後、60℃で減圧
乾燥した。乾燥後の重量は8.7グラムであった。パラジ
ウムおよび銅の回収率はそれぞれ73.8%および67.7%で
あり、またマンガンおよび塩素の回収率も70.7%および
53.9%といずれも低かった。
実施例4 実施例1の反応と全く同様にして100℃で3時間反応さ
せて反応液を得た。この反応液を還流冷却器をつけた1
リットルの3ツ口フラスコに移し、一酸化炭素:窒素の
分圧比が5.0:95.0である混合気体を入口流量4.5/min
となるように吹き込み管より液中に流しながら、62〜66
℃で1時間撹拌を行った。この間、出口ガスは還流冷却
器を通して排出した。
上記処理終了後、処理済み液を50〜80℃の温度で徐々に
減圧にしながら最終的には20mmHgを30分保って濃縮し、
残留液246.9グラムを得た。これにより反応液に含まれ
ていたアルコールの97.7%が回収された。フラスコ壁に
は固体の付着はほとんどなく、固体は液とともに容易に
排出できた。これをガラスフィルターで減圧濾過し、固
体をトルエン60.0グラムで洗った後、60℃で減圧乾燥し
た。乾燥後の重量は12.6グラムであった。パラジウムお
よび銅の回収率はそれぞれ91.2%および97.8%であり、
また同時にマンガンおよび塩素の回収率はそれぞれ96.8
%および99.1%といずれも高い回収率で回収できた。
比較例3 実施例1の反応と全く同様に100℃で3時間反応させて
反応液を得た。この反応液を1リットル3ツ口フラスコ
に移し、キャピラリー管より一酸化炭素:窒素の分圧比
が5.0:95.0である混合気体を液中に送りながら、40℃の
温度で徐々に減圧にしながら最終的には20mmHgを30分保
って含まれるアルコールを留出させ、残留液242.7グラ
ムを得た。これにより反応液に含まれていたアルコール
の96.3%が回収された。フラスコ壁には多量の固体が付
着しており、これを掻き落として液とともにガラスフィ
ルターを用いて減圧ろ過し、固体をトルエン60.0グラム
で洗ったのち、60℃で減圧乾燥した。乾燥後の重量は1
1.8グラムであった。銅、マンガンおよび塩素の回収率
はそれぞれ93.7%、97.9%および98.0%と高いが、パラ
ジウムの回収率は79.5%と低かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 67/38 // C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒として、(1)パラジウム金属または
    その化合物および(2)銅の化合物を用いて、スチレン
    類、一酸化炭素、アルコールおよび酸素を反応させて対
    応する桂皮酸エステル類を製造するに際して、反応後得
    られる反応液を1気圧以上の圧力および60℃以上の温度
    の条件下に一酸化炭素を含む気体で処理しながら、ある
    いは処理した後、含まれるアルコールの一部または全部
    を留出させた残留液から固体となった触媒成分を分離し
    回収することを特徴とする桂皮酸エステル類の製造法
JP62070307A 1987-03-26 1987-03-26 桂皮酸エステル類の製造法 Expired - Lifetime JPH0710803B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62070307A JPH0710803B2 (ja) 1987-03-26 1987-03-26 桂皮酸エステル類の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62070307A JPH0710803B2 (ja) 1987-03-26 1987-03-26 桂皮酸エステル類の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63238040A JPS63238040A (ja) 1988-10-04
JPH0710803B2 true JPH0710803B2 (ja) 1995-02-08

Family

ID=13427674

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62070307A Expired - Lifetime JPH0710803B2 (ja) 1987-03-26 1987-03-26 桂皮酸エステル類の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0710803B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63238040A (ja) 1988-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0818434B1 (en) Process for the production of high-purity isophthalic acid
KR100261365B1 (ko) 디아릴카보네이트의제조방법
US5179224A (en) Preparation process of cinnamate ester
JPH07188117A (ja) Cu触媒使用ジメチルカーボネート製造で得られる液状反応生成物の処理方法
JPS60169442A (ja) 桂皮酸エステル類の製造方法
JPH0710803B2 (ja) 桂皮酸エステル類の製造法
DK167147B1 (da) Fremgangsmaade til fremstilling af en kanelsyreester ved omsaetning af en styrenforbindelse, carbonmonoxid, en alkohol og oxygen under anvendelse af en katalysator
JPH0520421B2 (ja)
EP0242072B1 (en) Preparation of cinnamate esters
JP2002533310A (ja) ジアリールカーボネートの製造方法
EP0038708B1 (en) Process for producing benzophenone-azines
WO2006125801A1 (en) Process for the preparation of adipic acid from n-pentenoic acid
EP0484122A2 (en) Method for obtaining high-purity cinnamic acid
JP3357151B2 (ja) アゼライン酸の製造方法
JPH11279116A (ja) シュウ酸ジアルキルの製造法
JP3476227B2 (ja) メタクリルアミドの製造方法
JPS6281350A (ja) 触媒の循環使用方法
JPH0820552A (ja) ビスフェノール類の製造方法
US5210331A (en) Method for the preparation of a phenol
JP2907523B2 (ja) 桂皮酸類の製造方法
JP3058512B2 (ja) 酢酸製造方法
JPS6372655A (ja) 桂皮酸エステル類とパラジウム成分の分離方法
JPH05221929A (ja) 炭酸エステルの製造方法
JPS5932456B2 (ja) エチリデンジアセテ−トおよび/またはアセトアルデヒドの製造法
JPH02160048A (ja) パラジウム担持触媒の再生法