JPH07107975A - 核酸の精製方法及び装置 - Google Patents

核酸の精製方法及び装置

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JPH07107975A
JPH07107975A JP25396493A JP25396493A JPH07107975A JP H07107975 A JPH07107975 A JP H07107975A JP 25396493 A JP25396493 A JP 25396493A JP 25396493 A JP25396493 A JP 25396493A JP H07107975 A JPH07107975 A JP H07107975A
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JP
Japan
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dna
purification
concentration
pcr amplification
reaction
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JP25396493A
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Masaharu Kiyama
政晴 木山
Takeshi Fujita
毅 藤田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 遺伝子解析方法におけるPCR増幅されたD
NAを濃縮、精製及び遺伝子解析処理を行なう装置に関
し、特に生体試料中のDNAの精製及び濃縮を高収率に
行なうこと。 【構成】 PCR増幅を行なった反応液よりPCR増幅
により増幅されたDNAを濃縮及び精製し、酵素反応を
行なう手段において、該反応液にイソプロピルアルコー
ルと塩化ナトリウムを混合し、次いで遠心加速度を与え
て、濃縮及び精製を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝子解析方法におけ
るPCR増幅されたDNAを濃縮、精製及び遺伝子解析
処理を行なう方法および装置に関し、特に生体試料中の
DNAの塩基配列を調べる前処理の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】微量な生体試料中の任意の塩基配列領域
を選択的に増幅する技術に、特開昭61−274697
に示すPCR(Polymerase Chain R
eactin)法がある。この技術は目的のDNA領域
を、目的領域を挾む両端の核酸断片を用いて、DNAポ
リメラーゼによる鋳型伸長反応を繰り返すことで約10
6倍に増幅し、試料中にただ1つの標的部位でも増幅す
ることが出来る。一方核酸の塩基配列決定技術は、従来
M13ファージに調べたいDNA断片を挿入し、大腸菌
の自己増殖を利用しM13ファージの増幅を行ない、こ
れを鋳型としてサンガー法でシーケンス反応を行ない、
ゲル電気泳動法を用い塩基配列決定を行なっていた。
【0003】しかしPCR増幅が発明されると、PCR
増幅を応用してシーケンス反応の鋳型を調製することが
できるようになった。この方法をPCRダイレクトシー
ケンス法と呼び、特に目的領域を挾む両端の核酸断片の
混入量を同量とせず、極端な非対称量とし、シーケンス
時の鋳型となる一本鎖DNAを得る方法は非対称PCR
増幅と呼ばれ、これにはプロシーディング ナショナル
アカデミー オブサイエンス オブ ユー.エス.エ
ー85,(1988年)第7652頁から7659頁
(Proceeding National Acad
emy ofScience of U.S.A.8
5,(1988)pp7652−7656)の報告があ
る。
【0004】この報告では、調べたい遺伝子領域の塩基
配列の決定を目的に、遺伝子領域の両端にそれぞれ相補
的な配列を持つ核酸断片(プライマ)によって、目的の
遺伝子領域をPCR増幅した後、膜分離を行ないPCR
増幅反応液から未反応のプライマ及びヌクレオチド三燐
酸を除去する精製と、増幅されたDNAの濃縮を行なっ
ている。この膜分離法を説明すると、通常使用するプラ
イマの長さが、20塩基から40塩基でありその分子量
はほぼ10,000であり、一方PCR増幅された二本
鎖DNAは200から1,000塩基対であり、分子量
約300,000である。よって一般的には図3に模式
的に示すように、分子量30,000の分画性能を持つ
限外ろ過フィルタ23を0.5ml容量の容器24に取
り付け、これにPCR反応後の反応液25をいれ、容器
24をはめあい容器26に入れ、5000×gの遠心加
速度27を与えれば、PCR増幅したDNA28は限外
ろ過フィルタ23を設けた容器24に残り、プライマ及
びヌクレオチド三燐酸を含む反応液29ははめあい容器
26に落ちる。この容器24に残ったPCR増幅したD
NAを鋳型として、サンガー法により塩基配列を決定し
ている。プライマを分離する理由は、サンガー法におい
て、シーケンス反応時に用いるプライマと、PCR増幅
に用いたプライマが共存すると、鋳型への結合反応が競
合しシーケンス反応を阻害するためであり、ヌクレオチ
ド三燐酸を分離する理由は、PCR増幅時のヌクレオチ
ド三燐酸濃度は、シーケンス反応におけるヌクレオチド
三燐酸濃度よりも高濃度であるので、シーケンス反応時
の反応液組成が変化し、良好な塩基配列決定が行なうこ
とが出来なくなるためである。
【0005】膜分離を用いない方法には、細胞工学
8,6,(1989年)第545頁−第553頁に記載
のイソプロピルアルコールを用いる有機溶媒法がある。
これはPCR増幅後の反応液に、0.5倍量の4M酢酸
アンモニウムと2.5倍量のイソプロピルアルコールを
反応液に混合し、次いで10000×gの遠心加速度を
与え、容器内に残ったDNAを得る方法が記載されてい
る。またバイオテクニクス 8,2,(1990年)第
184頁−第189頁(BioTechniques
8,2,(1990)pp184−189)に記載の方
法は、上記の報告の塩を酢酸ナトリウムに変えて精製濃
縮を行なっている。一般的にDNAの濃縮にはエタノー
ルを使用するが、エタノールでは核酸がすべて沈殿する
ため、プライマと増幅したDNAを分離出来ない。これ
を解決するために前記両報告はイソプロピルアルコール
を用い精製濃縮を行なっている。その理由はイソプロピ
ルアルコールはエタノールよりも水との親和性が低く、
DNAの溶解度が高いため、短鎖の核酸は水成分に溶解
し、長鎖のDNAは沈殿するためである。これにより短
鎖であるプライマと長鎖である増幅したDNAを分離す
ることが出来る。
【0006】また有機溶媒を用いない他の方法には、ゲ
ル電気泳動法を用いてPCRの増幅産物を分離し、エチ
ジウムブロミド(EtBr)で染色し、目的のDNAを
ゲルごと切り出して、次いでフェノール抽出して精製す
る方法がある。
【0007】一方これら精製濃縮操作は操作者にとって
煩雑であり自動化が望まれているが、未だ発明されてい
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】塩基配列決定は、サン
ガー法等のシーケンス反応と、ポリアクリルアミドゲル
を用いた電気泳動からなり、シーケンス反応時における
鋳型DNAの量は、電気泳動時の検出感度に大きく影響
を与え、塩基配列決定結果の可否を大きく左右させる。
PCR増幅によって充分な鋳型DNAの生成があって
も、精製濃縮の過程での鋳型DNAの損失が多いと充分
な結果が得られない。本発明の目的は、シーケンス反応
に最良な鋳型DNAを供給することにあり、これには精
製濃縮過程での鋳型の損失を低減する手段を設ける必要
がある。従来の精製濃縮方法において、膜分離法を用い
た場合回収率は低く、鋳型DNAの損失は免れない。こ
れは目的のDNAが膜に吸着するためであると考えられ
る。一方ゲルを用いた精製方法では、PCR増幅時に目
的のDNA以外の生成があっても、確実に目的のものだ
けをシーケンスの鋳型として得ることが出来る利点があ
るが、ゲルを準備する手間と切り出し及び精製の手間が
係り、容易に精製することが出来ない。またゲルを認識
するため用いるEtBrが、目的のDNAに挿入され、
シーケンス反応に悪影響をおよぼす。
【0009】一方有機溶媒を用いる方法は、特別な器具
を用いないことと操作が簡便であるため、容易に用いら
れるが、従来報告されている条件下では、回収率が70
から50%程度であり、回収量が低いという欠点があっ
た。
【0010】一方これらの精製濃縮操作の自動化を考慮
した場合、簡便且つ高回収率のプロセスを提供しこれを
実行する装置の開発が急務である。上記の各操作を自動
化した場合、有機溶媒を用いる方法は最も操作が簡便で
あるので、自動化に適している。よって従来の有機溶媒
法について、高回収且つ塩基配列決定操作における良好
な結果が得られるよう改善することが本発明の課題であ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究の結果、イソプロピルアルコ
ールを用いた有機溶媒法の、塩の種類と塩濃度を最適化
することによって、DNAの回収率が90%以上となる
方法を発明するに至った。すなわち本発明を要約する
と、PCR増幅を行なった反応液より、PCR増幅され
特定配列を持つDNAを濃縮及び精製する手段におい
て、該反応液にイソプロピルアルコールと塩化ナトリウ
ムを混合し、次いで遠心加速度を与えて、精製及び濃縮
を行なう方法が最もシーケンス反応の良好な結果が得ら
れる方法であることを見出すに至った。
【0012】本発明を更に詳述する。本発明を適用し精
製されるべきDNAは、PCR増幅によって増幅された
生成物である。その塩基長は、100塩基以上3000
塩基以下であり、一本鎖DNA、二本鎖DNAのいずれ
にも用いることが出来る。そのPCR増幅の反応条件は
論文等に記載されている条件で良く、一般的には終濃度
がそれぞれ10mM Tris−HCl(pH8.
0),50mM KCl,1.5mM MgCl2
0.01%ゼラチン,0.25mMの各dATP,dC
TP,dGTP,dTTP,2.5unit 耐熱性
DNAポリメラーゼと、所定量のプライマ及び鋳型DN
Aである。鋳型DNAは抽出動物組織、菌体、培養細胞
などから得られた凍結、新鮮或はホルマリン等で固定し
た検体を、プロテアーゼによる蛋白質の分解し、フェノ
ール或はクロロフォルム抽出による除蛋白、エタノール
沈殿法による精製濃縮からなる抽出方法に従って得られ
たDNA、及び大腸菌内に移入されたプラスミドを変性
剤やリゾチームによって膜蛋白を可溶化し、アルカリ法
を用いて抽出されるDNAである。
【0013】上記の反応液をPCR増幅の温度サイクル
に保持し、増幅DNAを得ることが出来る。温度サイク
ルは、目的の領域の塩基配列や塩基長、及び鋳型DNA
の量や純度によって最適な条件が変化するが、一般的に
は94度1.5分、次いで、37度から60度1.5
分、次いで70度から75度を1分の温度サイクルを2
0から40サイクル行なわれる。試薬はGeneAmp
DNA Amplificationキット(シータ
ス社)が良く使用されるが、これらの試薬に準拠する物
であれば、DNAポリメラーゼを含めメーカを問わず使
用可能である。また反応液量も、操作者の仕様に応じて
適宜変更することが出来、便宜上50μlから100μ
lが一般的である。
【0014】本発明の精製濃縮方法は以下の手順で行な
われる。上記方法によって増幅し産生したDNAを含む
反応液を1.5ml容量の容器に移し、これに終濃度が
1Mとなる塩化ナトリウム(NaCl)及びイソプロピ
ルアルコールを50%となるよう注入し、混合し、次い
で遠心加速度10000×gを30分間与える。この後
容器を180度反転し上清を捨てる(上清を捨てる操作
をデカンテーションという)。次いでこの容器に70%
エタノールを静かに分注し、次いでデカンテーション
し、これらを2、3回繰り返す。次いで、遠心乾燥器と
負圧源によって容器内を乾燥させたのち、容器内のDN
Aを鋳型として常法によってシーケンス反応を行ない、
良好な塩基配列決定や各種の酵素処理を行なうことが出
来る。上記の各試薬の量は一例を述べたものであり、終
濃度として調製すべき試薬の量は、少なくとも0.5M
以上のNaCl及び50%程度のイソプロピルアルコー
ルによって、本目的は達成される。
【0015】また本発明を実行する自動化装置は、液体
を保持する容器をハンドリングする搬送機構と、液体を
分注する分注装置と、遠心分離機と、該搬送機構と該分
注機構と該遠心分離機をコントロールする制御機構とを
具備し、イソプロピルアルコールと塩化ナトリウム水溶
液をそれぞれ貯蔵する容器を具備し、該制御機構が上記
の精製濃縮プロセスを実行するよう構成されている。
【0016】
【作用】従来法と比較して、酢酸アンモニウム或は酢酸
ナトリウムに変えて塩化ナトリウム(NaCl)を使用
すれば、イオン強度が高くなり、PCR増幅によって生
成したDNAがより凝集しやすくなり、イソプロピルア
ルコール溶液中でより沈殿しやすくなり、回収率が向上
し、塩基配列決定においても良好な結果が得られる。
【0017】また本発明を実行する自動装置を使用すれ
ば、省力化に貢献するだけでなく、良好な試料調製を再
現性良く行なうこと、及び多サンプルであっても処理可
能である。
【0018】
【実施例】
実施例1 本発明の一実施例を以下に示す。
【0019】本実施例で採用した遺伝子前処理プロセス
のフローを図4に示す。本実施例は調べたいDNA領域
を持つ生体からDNAを抽出する工程30、次いで抽出
したDNAから調べたいDNA領域を選択的に増幅する
PCR増幅工程31、次いで増幅したDNA領域を精製
濃縮する工程32、次いで精製濃縮されたDNAを塩基
配列決定できるようシーケンス反応する工程33、次い
で電気泳動による塩基配列決定を行なう工程34からな
る。本発明は本実施例では精製濃縮工程32内に適用さ
れている。以下、各工程についてヒト白血球抗原(HL
A)遺伝子のDQα領域の塩基配列決定を行なった場合
を用いて詳述する。
【0020】1.生体からのDNAの抽出工程 生体試料からのDNAの抽出精製プロセスについて説明
する。全血50μlで容量1.5mlの容器に入れ、こ
れに蒸留水1mlを加え、ボルテックスミキサにより混
合し溶血させ、10000×gで1分間遠心分離した
後、上清をデカンテーションし沈殿物を得る。これに再
度蒸留水を加え、溶血、遠心分離、デカンテーションの
操作により沈殿物を得る。この沈殿物にTNEバッファ
(10mMTris−HCl(pH8.0),1mM
EDTA(pH8.0),100mM NaCl)90
μl、10%ドデシル硫酸ナトリウム10μl、10m
g/mlプロテイナーゼK(MERCK社)5μlを加
え、50℃で1時間インキュベートし、次いで溶液にフ
ェノール・クロロフォルム溶液(水飽和フェノール:水
飽和クロロフォルム(1/24イソアミルアルコール添
加)=1:1)100μlを加え、ボルテックスミキサ
によって混合を行い、その後10000×gで10分間
遠心分離し、水層部をピペットにより吸引し他の容器に
移す(フェノール・クロロフォルム抽出)。このフェノ
ール・クロロフォルム抽出を2回行った後、水層の30
%(体積比)量の3M NaCl水溶液と水層量の2.
5倍量の99.5%エタノールを加え、10000×g
で20分間遠心分離を行う(エタノール沈殿)。この後
上清をデカンテーションし、容器底に沈殿したペレット
状のDNAに対して静かに80%エタノール水溶液を2
00μl加え、10000×gで3分間遠心分離し、上
清をデカンテーションする(エタノールリンス)。この
後遠心乾燥器と負圧源であるアスピレータによって、容
器内の残ったエタノール水溶液を蒸発させDNAを得
る。乾燥後DNAを100μlのTEバッファ(10m
M Tris−HCl(pH7.5),1mM EDT
A)に溶解する。上記述べたDNAの抽出方法は、一例
を示したものであり本方法以外には、ゲノミック アイ
ソレーションキット(ベーリンガーマンハイム社)を用
いる方法も可能であり、上記の方法に限定されない。
【0021】2.PCR増幅工程 目的DNAのPCR増幅について説明する。PCR反応
液は、50mM KCl,10mM Tris−HCl
(pH8.3),1.5mM MgCl2,0.01%
ゼラチン(終濃度)、及び各20nmolのデオキシ
リボヌクレオチド三燐酸(dNTPs:dATP,dC
TP,dGTP,dTTP)、所定量(ここでは各20
pmol)の2種類のプライマを混合した。プライマの
配列は、プロシーディング ナショナル アカデミー
オブ サイエンス ユー.エス.エー 85,(198
8)第7652頁−第7656頁(Proceedin
gNational Academy of Scie
nce of U.S.A.)85,(1988年)p
p.7652−7656)に記載の、GH26及びGH
27を合成し用いた。これに上記抽出したゲノムDNA
を10μl(抽出量の1/10量;約50から100n
g)加え、全量で100μlとした後、耐熱性DNAポ
リメラーゼ(Taqポリメラーゼ)を加える。次いで反
応液の蒸発防止のために鉱物油を60μl程加える。こ
の反応液をサーマルサイクラー(シータス社)にて反応
させた。反応時間は、94度1.5分、55度1.5
分、72度1.2分のサイクルを30サイクル行なっ
た。
【0022】次いで、シーケンス反応時に必要な一本鎖
の鋳型を調製するため、二回目のPCR増幅を行なっ
た。詳述すると、本実施例ではシーケンス時に蛍光式シ
ーケンサを用いたため、シーケンス時のプライマには蛍
光色素を付加したプライマを用いる必要がある。このプ
ライマの配列はHLAの領域に相補的でないので、一回
目のPCR増幅後の二本鎖DNAを直接シーケンス反応
を行なうことは出来ない。よってこの二本鎖DNAにシ
ーケンス反応時に用いるプライマの配列を取り込ませる
必要があり、一回目の増幅に用いたプライマにシーケン
ス反応時に用いるプライマの配列を付加したプライマ
(アンカープライマ)を合成し二回目のPCR増幅を行
った。この方法は、クリニカル ケミストリ 35,1
1(1989年)第2196頁−第2201頁(Cli
nical Chemistry 35,11(198
9)pp2196−2201)に記載されている。アン
カープライマGH27UNIの配列を以下に示す。
【0023】GH27UNI:5’−CGTTGTAA
ACGACGGCCAGTGGTAGCAGCGGTA
GAGTTG−3’ 二回目のPCR反応液の組成は、一回目のPCR増幅後
の反応液1μlを入れ、GH27UNI 1pmol及
び、GH26 10pmolを混入させ、他の組成は1
回目の組成と同じである。この反応液を94度1分、5
7度1.5分、72度1分の温度サイクルを18サイク
ル反応させた。
【0024】3.精製濃縮工程 二回目のPCR増幅を行なった産物を精製濃縮した。反
応液から鉱物油を取り除き、反応液量100μlに対
し、50μlの3M NaCl水溶液を加え、これに1
50μlのイソプロピルアルコールを加え、混合かくは
ん後、卓上遠心機で10000×gで30分間遠心分離
する。この後、上清をデカンテーションし、ペレット状
のDNAに対して前述のエタノールリンス操作を2回繰
り返して行う。次いで、遠心乾燥機とアスピレータで残
存した上清を乾燥後、10μlの滅菌脱イオン化蒸留水
に溶解する。本発明を従来法と比較するため、同様にP
CR増幅を行なった反応液に、本発明と同条件となるよ
うに酢酸アンモニウム水溶液とイソプロピルアルコール
を加え、同様の操作を行なった。
【0025】精製濃縮結果を図5及びゲル中で分離した
DNAの量を測定した結果を表1に示す。
【0026】図5は、上記滅菌脱イオン化蒸留水10μ
lに溶解したDNAを1μlと、電気泳動用色素(30
%グリセロール、0.01%キシレンシアノール、0.
02%ブロモフェノールブルー)2μl、および滅菌脱
イオン化蒸留水9μlを混合し、2%アガロースゲル
(宝酒造)に注入し、ミューピッド(アドバンス社)な
る電気泳動装置にて電気泳動した結果である。泳動条件
は100V、40分であり、泳動後1ng/ml Et
Br液にゲルを10分間染色し、紫外線を照射して、E
tBrの発光波長590nmを観察した。マーカはpH
Y300PLKの制限酵素HindIIIの分解物とHa
eIII分解物、及びpHY300PLKダイマープラス
ミドのHaeIII分解物とを混合したもので、総量0.
1μg混入し、図の左方にその塩基長を記載する。ゲル
にはそれぞれ、濃縮にNaClを使用したサンプル、酢
酸アンモニウムを使用したサンプル、またPCR増幅後
の未精製サンプルを10%(計算上回収量100%の精
製濃縮サンプルと同量)を泳動した。未精製サンプルを
泳動したレーンの下方に観察されるDNAはプライマで
あるが、これ以外のDNAではいずれもDNAのバンド
は二本(非対称PCR増幅によって一本鎖DNAと二本
鎖DNAが産生されたことを意味する)に見られ、マー
カの267塩基長と付近に位置し、目的のDNA領域
(242塩基長)と良く一致する。図のDNAのバンド
の濃さの比較より、NaClを使用したサンプル1が酢
酸アンモニウムを使用したサンプルよりも多くなってい
る。表1は図5のそれぞれのDNA量をマーカのDNA
量より算出した測定結果であるが、これより未精製サン
プルと比較し、塩化ナトリウムの回収率は95%であ
り、酢酸アンモニウムの回収率は68%であった。
【0027】
【表1】
【0028】4.シーケンス反応工程 シーケンス反応のプロセスを説明する。
【0029】精製濃縮したPCR産物をTaqシーケン
スキット(宝酒造)と、DNAシーケンサSQ3000
(日立)を用いて塩基配列決定を行なった。シーケンス
反応方法はキット添付のプロトコルによりサイクルシー
ケンス法に従い行なった。シーケンス反応液の組成は、
上記の方法で精製濃縮された鋳型DNA10μl、10
mM Tris−HCl(pH8.5)、6mM Mg
Cl2、2pmol蛍光標識プライマ、1単位のTaq
ポリメラーゼを加え全量を15μlとしたものであり、
次いで4本の容器に3.5μl分配し、各容器にそれぞ
れターミネーション溶液(所定量比で4種類のデオキシ
リボヌクレオチド三燐酸および各一種類のダイデオキシ
リボヌクレオチド三燐酸を混合したもの)を1μl加
え、鉱物油を適当量入れて、サーマルサイクラーにて、
94度30秒、60度1分、72度45秒のサイクル
を、15サイクル行なった。上記蛍光標識プライマは有
機合成薬品より購入し、その配列は以下の通りであり、
5’より3塩基内側の塩基にFITC(フルオレセイン
イソチオシアネイト)を結合させている。
【0030】5’−CGTTGTAAAACGACGG
CCAGT−3’ 5.電気泳動による塩基配列決定 シーケンス反応終了後、反応液4.5μlを採取し、2
μlのキット添付のストップ溶液と混合して、DNAシ
ーケンサのゲルにロードした。電気泳動は、4.5%ポ
リアクリルアミドとホウ酸バッファを混合し重合させた
ゲルを用い、泳動条件は65V/cmで300分泳動を
行ない、塩基配列決定を行なった。結果を図6に示す。
図はA(アデニン)の泳動状態を、上記の精製濃縮方法
で、塩の違いを検討したサンプルについて調べた結果で
ある。図6(a)のパターンは塩化ナトリウムを使用し
た鋳型DNAで、図6(b)のパターンは酢酸アンモニ
ウムを使用した鋳型DNAである。縦軸は蛍光強度を示
し、横軸は泳動時間を示す。図よりNaClを使用した
サンプルが、酢酸アンモニウムを使用したサンプルより
も、強い蛍光強度が測定されている。図中122分に位
置する蛍光ピークを両者で比較すると、NaClを使用
したサンプルの蛍光強度を1としたときの、酢酸アンモ
ニウムを使用したサンプルの強度比は0.65であっ
た。これに対し精製濃縮後の両者のDNA回収量の比較
(表1)では、0.7であったことより考察すれば、N
aClを用いた場合、シーケンス反応においても何らか
の助長効果があるか、或は酢酸アンモニウムはシーケン
ス反応を阻害する効果があることが示唆される。本実施
例では、TaqDNAポリメラーゼを使用したサイクル
シーケンス反応について記したが、T7DNAポリメラ
ーゼなど、他の酵素を用いてのシーケンシング反応も同
様の結果であった。
【0031】実施例2 本発明の精製濃縮操作を実行する自動化装置の一実施例
の概略を図1に示す。本実施例の機構を説明すると、本
装置は筐体1内に分注機構2、遠心分離機3、搬送機構
4、及び制御機構4が構成され、液体を保持する容器6
は、4本単位にバケット7内に保持される。
【0032】分注操作を説明する。分注機構2は、ター
ンテーブル8と試薬9を保持する試薬ボトル10と、圧
力タンク11、試薬切り替え弁12、電磁弁13、送気
チューブ14、送液チューブ15a〜cからなる。送気
チューブ14は試薬ボトル10と(図面奥向きに)圧力
タンク11と連結し、圧力タンク11内の正圧で、恒に
圧力が掛かっている。送液チューブ15aはその一端が
試薬ボトル10内の試薬9に浸漬され、もう一端は試薬
切り替え弁12を連結し、試薬切り替え弁12は、電磁
弁13に送液チューブ15bで連結され、送液チューブ
15cの一端は電磁弁13に連結され、もう一端は開放
され、その開放口の下方に容器6が設置されている。バ
ケット7は搬送機構4によりターンテーブル8に設置さ
れ、ターンテーブル8はモータ16の駆動により中心軸
8aを中心に回転し、位置決めできる。分注操作は次の
ように行なわれる。ターンテーブル8上の容器6の一つ
を、開放口の下方に位置させた後、電磁弁13を指定時
間開放すれば、試薬切り替え弁12で指定されている試
薬9が、圧力タンク11内の圧力によって、送液チュー
ブ15a、試薬切り替え弁12、送液チューブ15b、
電磁弁13、送液チューブ15cを介して、容器6内に
分注することが出来る。なお試薬ボトル10は、4個設
置されそれぞれにイソプロピルアルコール、塩化ナトリ
ウム、70%エタノール、滅菌脱イオン化蒸留水が、所
定量保持され、試薬切り替え弁12によって、選択する
ことが出来る。
【0033】遠心操作を説明する。遠心分離機3は、バ
ケット7を4個保持することが出来るロータ17を具備
し、ロータ17はモータ18に連結されている。バケッ
ト7はロータ17の鋼線19に引っ掛かっており、矢印
20方向にスイングすることが出来る。モータ18は低
速回転できロータ17の位置決めを行なうことが出来、
搬送機構4によるバケット7の設置時に所定の位置にバ
ケット7を設置することが出来る。またバケット7を設
置後、モータ18の回転を正転と逆転させると、バケッ
ト7をスイングすることより、容器6内の液体を混合す
ることが出来る。またこの遠心分離機3は高速回転し、
容器6内の液体を遠心分離することが出来る。
【0034】容器の搬送方法を説明する。ターンテーブ
ル8及び遠心分離機3の所定の位置にあるバケット7は
ハンド21に保持され、矢印22方向に移動し、所定の
位置に搬送することが出来る。なおこのハンド21はバ
ケット7を保持し、バケット7を180度反転すること
が出来、廃棄口23上で、バケット7を反転すれば、容
器6内の液体をデカンテーションすることが可能であ
る。
【0035】本装置の駆動方法を説明する。分注機構
2、遠心分離機3、搬送機構4は制御機構5によって精
製濃縮操作をシーケンシャルに実行することが出来る。
本装置における精製濃縮操作手順を図2に示す。
【0036】なお上記実施例は、ヒト遺伝子領域の塩基
配列決定の場合について述べたが、本発明の適用範囲は
これにとどまるものでなく、生体試料は動植物、及びウ
イルス真菌を問わず用いることが可能であり、PCR増
幅から塩基配列決定のプロセスにおいて様々に適用され
ることは言うまでもなく、本発明はこれらの実施例によ
って何等限定されるものではない。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、PCR増幅を行なった
反応液より、PCR増幅によって生成したDNAを精製
及び濃縮を高収率行ない、且つ塩基配列決定や各種酵素
反応において、良好な結果を得ることが可能である。ま
た本発明を実行する自動装置を使用すれば、省力化に貢
献するだけでなく、良好な試料調製を再現性良く行なう
こと、及び多サンプルであっても処理可能であるので、
研究開発分野或は、多数検体試料を扱う必要のある臨床
検査や食料品検査等の検査分野において、迅速且つ簡便
に遺伝子解析を行なうことが出来その有用性は極めて高
い発明である。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の装置構成図である。
【図2】本実施例の装置が実行するプロセスのフローチ
ャートである。
【図3】本発明の従来技術の膜分離法を示す図である。
【図4】本発明の実施例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の精製濃縮処理の結果を示す図である。
【図6】本発明の実施例を塩基配列決定で比較した図で
ある。
【符号の説明】
1:筐体 2:分注機構 3:遠心分離機 4:搬送機
構 5:制御機構 6:容器 7:バケット 8:ター
ンテーブル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】PCR増幅を行なった反応液よりPCR増
    幅により増幅されたDNAを濃縮及び精製し、酵素反応
    を行なう方法において、該反応液にイソプロピルアルコ
    ールと塩化ナトリウムを混合し、次いで遠心加速度を与
    えて濃縮及び精製を行なうことを特徴とする遺伝子精製
    方法。
  2. 【請求項2】PCR増幅を行なった反応液を保持する容
    器をハンドリングする搬送機構と液体を分注する分注装
    置と、遠心分離機と、該搬送機構と該分注機構と該遠心
    分離機をコントロールする制御機構とを具備する遺伝子
    解析装置において、イソプロピルアルコールと塩化ナト
    リウム水溶液をそれぞれ貯蔵する容器を具備し、前記反
    応液にイソプロピルアルコールと塩化ナトリウムを混合
    し、次いで遠心加速度を与えて濃縮及び精製を行なう工
    程を前記制御機構により実行すべく構成されていること
    を特徴とする遺伝子解析装置。
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