JPH07106296A - 半導体フローセンサ及びその製造方法 - Google Patents

半導体フローセンサ及びその製造方法

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JPH07106296A
JPH07106296A JP5243175A JP24317593A JPH07106296A JP H07106296 A JPH07106296 A JP H07106296A JP 5243175 A JP5243175 A JP 5243175A JP 24317593 A JP24317593 A JP 24317593A JP H07106296 A JPH07106296 A JP H07106296A
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layer
bridge
flow sensor
resistor
separation layer
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JP5243175A
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English (en)
Inventor
Susumu Kobayashi
晋 小林
Kazuhiko Hashimoto
和彦 橋本
Nobuyuki Yoshiike
信幸 吉池
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体フローセンサにおいて、シリコン基板
と同一材で分離層及び抵抗体層を形成することにより半
導体フローセンサの構造強度を向上し、更に加熱処理等
により感度、応答性等のフローセンサの特性を向上する
ことが出来得る半導体フローセンサを提供する。 【構成】 P形層のシリコン(100)基板10に熱拡
散法、エピタキシャル成長法及びイオン打込み法のいず
れか一方でN形の分離層41及びP+形の抵抗体層35
を順次形成あるいは順次積層して、半導体フローセンサ
の構造強度を向上し、かつ抵抗体層35をヒーター2
0、測温抵抗体30及びエッチマスク40にパターニン
グして、シリコン(100)基板10及び分離層41に
エッチホール11を設けることでヒーター20及び測温
抵抗体30とシリコン(100)基板とを熱的及び電気
的に絶縁して、気体の流量あるいは流速を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体流量あるいは気体
流速の測定に用いられる半導体フローセンサの改良に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開昭61ー88532号公報
に示された従来の半導体フローセンサの構成について以
下に説明する(周知につき図示せず)。同フローセンサ
では、基板表面が(100)の面方位を有するシリコン
基板を用い、このシリコン(100)基板上に絶縁構造
膜としてスパッタリング法でSi34の薄膜を形成して
いる。そして、Si34の薄膜上に抵抗体層としてパー
マロイ層をスパッタリング法で付着し、1つのヒーター
とヒーターをはさむ2つの測温抵抗体とに抵抗体をパタ
ーニングしている。続いて、このヒーター及び測温抵抗
体の酸化を防止するために、ヒーター及び測温抵抗体上
にスパッタリング法でSi34の薄膜を付着している。
尚、このヒーターはヒーターの温度を制御するヒーター
制御回路に接続され、2つの測温抵抗体は2つの測温抵
抗体の抵抗値の差に比例した電圧を出力するブリッジ回
路に接続されている。次に、ヒーター及び測温抵抗体を
含有するSi34の薄膜の熱容量を低減し、かつシリコ
ン(100)基板から熱的に隔離するために、異方性エ
ッチングによりSi34の薄膜をダイアフラムに加工
し、このダイアフラムの中央部、すなわちヒーター及び
測温抵抗体の主配線部を含有するSi34の薄膜の部分
と重なる部分のシリコン(100)基板をアンダーカッ
トしてシリコン(100)基板にエッチホールを設けて
いる。また、ダイアフラムの端部、すなわちヒーター及
び測温抵抗体の電極を含有するSi34の薄膜の部分は
エッチホールの外周のシリコン(100)基板上で、シ
リコン(100)基板により支持されている。従来の半
導体フローセンサは、以上の構成で抵抗体からシリコン
(100)基板への熱的影響を低減して、気体の流れに
よる熱不均衡を検知し、気体流量あるいは気体流速を測
定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の半
導体フローセンサは、絶縁構造膜は、結晶質のシリコン
基板に較べて構造強度の小さい非晶質のSi34等の薄
膜で形成されているので、絶縁構造膜とシリコン基板と
が一体となった状態での加工工程、例えばエッチホール
を設ける異方性エッチング工程などの時に、あるいは半
導体フローセンサの動作時に絶縁構造膜が構造破壊して
半導体フローセンサが破損する恐れがあった。そして、
従来の半導体フローセンサに熱酸化などの加熱処理を施
した場合、半導体フローセンサの層構造で熱膨張特性の
相違による熱歪が生じて半導体フローセンサを破損する
恐れがあり、感度、応答性等のフローセンサの特性を向
上することが出来なかった。
【0004】さらに、Si34等の従来の絶縁構造膜の
製膜では、上述のスパッタリング法以外にLSI製造分
野で多用されている熱CVD法も用いられている。しか
し、この熱CVD法による絶縁構造膜の製膜は、PVD
法(物理蒸着法)であるスパッタリング法に較べて効率
よく行なえるが、上述の絶縁構造膜の構造強度の不足と
いう問題点以外に絶縁構造膜の製膜条件の最適化が非常
に難しいという問題点があった。つまり、SiH4、S
iH2Cl2等の半導体材料ガスをアンモニアの存在下で
700−900℃に保たれたシリコン基板上で熱分解し
て行う熱CVD法では、Si34を製膜する際に製膜温
度が、例えば800℃以下の場合では半導体材料ガスの
反応が不完全となり、形成されるSi34の絶縁構造膜
は化学的安定性の低いものとなる。そして、この不安定
なSi34の絶縁構造膜は、後工程の異方性エッチング
の際にシリコン基板とともにエッチングされて、絶縁構
造膜として機能しない恐れがあった。又、製膜温度が8
00℃を越えた場合には、上述の熱膨張特性の相違によ
る熱歪に比例して残留応力が大きくなり、Si34の絶
縁構造膜が構造破壊する恐れがあった。尚、この残留応
力によるSi34の絶縁構造膜の構造破壊に対しては、
Si34の代りにSi34に酸素を付加したシリコンオ
キシナイトライドの使用、又はシリコンリッチな化学量
論比を持つシリコンリッチ膜の使用、あるいはSiO2
などとの異なる応力を有する薄膜との多層化も検討され
ているが、いずれの場合も製膜条件の最適化が難しくか
つフローセンサの製造工程を煩雑なものにするという問
題点があった。
【0005】又、パーマロイ層あるいは白金、チタン等
で形成された従来の抵抗体層では、比抵抗が小さいので
接続される測定回路の負担を軽減するために、抵抗体層
を極端に薄膜化、微細パターン化して抵抗値を上げるこ
とが必要であった。さらに、従来の抵抗体層では、抵抗
温度係数もそれほど大きくないのでフローセンサの感度
を向上するために、測定回路を複雑なものとする必要が
あった。又、パーマロイ層等で形成した抵抗体層は、絶
縁構造膜に覆われるので測定回路に接続する際に、絶縁
構造膜にコンタクトホールを設ける工程が必要であっ
た。尚、LSI製造分野で使われているドープドポリシ
リコンを抵抗体層として用いることも検討されている
が、ドープドポリシリコンは異方性エッチングによりエ
ッチングされるので、保護膜等によるドープドポリシリ
コンのパッシベーション形成工程を別に設ける必要があ
り、フローセンサの製造工程を煩雑なものにするという
問題点があった。この発明は以上のような問題点を解決
するためになされたものであり、半導体フローセンサの
構造強度を高めて、加熱処理等による感度、応答性等の
フローセンサの特性を向上することが出来き、かつ製造
工程を簡略して信頼性を向上出来得る半導体フローセン
サを得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の半導体
フローセンサは、P形のシリコン基板、前記シリコン基
板に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオン打込み
法のうちいずれか一方によりN形に形成された分離層、
前記分離層に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオ
ン打込み法のうちいずれか一方によりP+形に形成さ
れ、ブリッジ部と前記ブリッジ部の両端で前記ブリッジ
部を支持するブリッジ支持部とで構成される第1、第2
及び第3の抵抗体と、エッチマスクとを有する抵抗体
層、前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ支
持部上で形成された電極、前記シリコン基板と前記第
1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ部とを遊離す
るように前記シリコン基板及び前記分離層に設けたエッ
チホール、を具備したことを特徴とする。請求項2の発
明の半導体フローセンサは、P形のシリコン基板、前記
シリコン基板に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイ
オン打込み法のうちいずれか一方によりP+形に形成さ
れたエッチストップ層、前記エッチストップ層上でエピ
タキシャル成長法によりN形に形成された分離層、前記
分離層に熱拡散法エピタキシャル成長法及びイオン打込
み法のうちいずれか一方によりP+形に形成され、ブリ
ッジ部と前記ブリッジ部の両端で前記ブリッジ部を支持
するブリッジ支持部とで構成される第1、第2及び第3
の抵抗体と、エッチマスクとを有する抵抗体層、前記第
1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ支持部上で形
成された電極、前記エッチストップ層と前記第1、第2
及び第3の抵抗体の前記ブリッジ部とを遊離するように
前記分離層に設けたエッチホール、を具備したことを特
徴とする。請求項3の発明の半導体フローセンサは、請
求項2に記載したものにおいてさらに、前記第1、第2
及び第3の抵抗体の前記ブリッジ支持部が異方性エッチ
ングによるアンダーカット構造を有することを特徴とす
る。請求項4の発明の半導体フローセンサは、請求項1
及び請求項2に記載したものにおいてさらに、前記第
1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ部が熱酸化及
び酸化膜除去により熱容量を低減されたことを特徴とす
る。請求項5の発明の半導体フローセンサは、請求項1
及び請求項2に記載したものにおいてさらに、前記第
1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ部が熱酸化に
より抵抗値を増大されたことを特徴とする。請求項6の
発明の半導体フローセンサは、請求項1に記載したもの
においてさらに、前記シリコン基板、前記分離層、及び
前記抵抗体層上に熱酸化及び熱窒化のうちいずれか一方
により形成されたセンサ保護膜を設けたことを特徴とす
る。請求項7の発明の半導体フローセンサは、請求項2
に記載したものにおいてさらに、前記エッチストップ
層、前記分離層、及び前記抵抗体層上に熱酸化及び熱窒
化のうちいずれか一方により形成されたセンサ保護膜を
設けたことを特徴とする。
【0007】請求項8の発明の半導体フローセンサの製
造方法は、P形のシリコン基板に熱拡散法、エピタキシ
ャル成長法及びイオン打込み法のうちいずれか一方によ
りN形の分離層を形成する工程、前記分離層に熱拡散
法、エピタキシャル成長法及びイオン打込み法のうちい
ずれか一方によりP+形の抵抗体層を形成する工程、前
記抵抗体層上に電極層を形成する工程、前記電極層を電
極にパターニングするパターニング工程、前記抵抗体層
をブリッジ部と前記ブリッジ部の両端で前記ブリッジ部
を支持するブリッジ支持部とで構成される第1、第2及
び第3の抵抗体と、エッチマスクとにパターニングする
パターニング工程、前記シリコン基板と前記分離層とに
エッチホールを形成し、前記シリコン基板と前記第1、
第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ部とを遊離する異
方性エッチング工程、を具備したことを特徴とする。請
求項9の発明の半導体フローセンサの製造方法は、P形
のシリコン基板に熱拡散法、エピタキシャル成長法及び
イオン打込み法のうちいずれか一方によりP+形のエッ
チストップ層を形成する工程、前記P形エッチストップ
層上にエピタキシャル成長法によりN形の分離層を形成
する工程、前記分離層に熱拡散法、エピタキシャル成長
法及びイオン打込み法のうちいずれか一方によりP+形
の抵抗体層を形成する工程、前記抵抗体層上に電極層を
形成する工程、前記電極層を電極にパターニングするパ
ターニング工程、前記抵抗体層をブリッジ部と前記ブリ
ッジ部の両端で前記ブリッジ部を支持するブリッジ支持
部とで構成される第1、第2及び第3の抵抗体と、エッ
チマスクとにパターニングするパターニング工程、前記
シリコン基板と前記分離層とにエッチホールを形成し、
前記シリコン基板と前記第1、第2及び第3の抵抗体の
前記ブリッジ部とを遊離する異方性エッチング工程、を
具備したことを特徴とする。請求項10の発明の半導体
フローセンサの製造方法は、請求項9に記載したものに
おいてさらに、前記異方性エッチング工程において、前
記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ支持部と
重なる前記分離層をエッチングして前記ブリッジ支持部
にアンダーカット構造を設けたことを特徴とする。請求
項11の発明の半導体フローセンサの製造方法は、請求
項8及び請求項9に記載したものにおいてさらに、前記
異方性エッチング工程後に、熱酸化及び酸化膜除去によ
り前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ部の
熱容量を低減する熱容量低減工程を設けたことを特徴と
する。請求項12の発明の半導体フローセンサの製造方
法は、請求項8及び請求項9に記載したものにおいてさ
らに、前記異方性エッチング工程後に、熱酸化により前
記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ部の抵抗
値を増大する抵抗値増大工程を設けたことを特徴とす
る。請求項13の発明の半導体フローセンサの製造方法
は、請求項8に記載したものにおいてさらに、前記異方
性エッチング工程後に、熱酸化及び熱窒化のうちいずれ
か一方により前記シリコン基板、前記分離層、及び前記
抵抗体層上にセンサ保護膜を形成するセンサ保護膜形成
工程を設けたことを特徴とする。請求項14の発明の半
導体フローセンサの製造方法は、請求項9に記載したも
のにおいてさらに、前記異方性エッチング工程後に、熱
酸化及び熱窒化のうちいずれか一方により前記エッチス
トップ層、前記分離層、及び前記抵抗体層上にセンサ保
護膜を形成するセンサ保護膜形成工程を設けたことを特
徴とする。
【0008】
【作用】請求項1及び請求項8の発明に係る半導体フロ
ーセンサは、熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオ
ン打込み法のうちいずれか一方によりN形の分離層をP
形のシリコン基板に形成しかつP+形の抵抗体層を分離
層に形成するので、半導体フローセンサの構造強度を高
めて、かつ製造工程を簡略にする。又、抵抗体層がP形
層及びN形層に較べて異方性エッチングの深さ方向での
速度(以下 "エッチングレート"と略称する)の極めて
遅いP+形層で形成しているので、エッチホール上でヒ
ーターブリッジ部及び測温抵抗体ブリッジ部をそれぞれ
両端のヒーターブリッジ支持部及び測温抵抗体ブリッジ
支持部により自己支持して、シリコン基板とヒーターブ
リッジ部及び測温抵抗体ブリッジ部とを遊離する。さら
に、熱酸化などの加熱処理を施すことで層構造での熱歪
をほとんど生じずに感度、応答性等のフローセンサの特
性を向上する。請求項2及び請求項9の発明に係る半導
体フローセンサは、P形のシリコン基板とN形の分離層
との間に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオン打
込み法のうちいずれか一方で形成するエッチストップ層
を設けることで、エッチホールを分離層にのみ異方性エ
ッチングにより正確な寸法で形成する。請求項3及び請
求項10の発明に係る半導体フローセンサは、ヒーター
ブリッジ支持部及び測温抵抗体ブリッジ支持部と重なる
分離層をエッチングすることで、分離層の熱容量を大幅
に小さくして抵抗体層とシリコン基板とを著しく熱的に
絶縁する。請求項4及び請求項11の発明に係る半導体
フローセンサは、熱酸化により形成される酸化膜を除去
することでヒーターブリッジ部及び測温抵抗体ブリッジ
部の厚みを薄くし、ヒーターブリッジ部及び測温抵抗体
ブリッジ部の熱容量を低減してフローセンサの特性を向
上する。請求項5及び請求項12の発明に係る半導体フ
ローセンサは、ヒーターブリッジ部及び測温抵抗体ブリ
ッジ部を熱酸化することで、半導体フローセンサの構造
強度をほとんど弱めずにヒーターブリッジ部及び測温抵
抗体ブリッジ部の抵抗値を増大してフローセンサの特性
を向上する。請求項6及び請求項13の発明に係る半導
体フローセンサは、熱酸化及び熱窒化のうちいずれか一
方によりセンサ保護膜をシリコン基板、分離層及び抵抗
体層の表面上に形成することで、シリコン基板、分離層
及び抵抗体層を外気と遮断して長期間にわたって化学的
に安定させる。請求項7及び請求項14の発明に係る半
導体フローセンサは、熱酸化及び熱窒化のうちいずれか
一方によりセンサ保護膜をエッチストップ層、分離層及
び抵抗体層の表面上に形成することで、シリコン基板、
分離層及び抵抗体層を外気と遮断して長期間にわたって
化学的に安定させる。
【0009】
【実施例】
[実施例1]この発明に係る半導体フローセンサの実施
例1を、図1、図2を用いて説明する。図1は半導体フ
ローセンサの構成を示す上面図、図2は、図1上に示さ
れたA−A’線及びB−B’線の断面を半導体フローセ
ンサの製造工程別に示す説明図である。尚、図1上に示
されたA−A’線及びB−B’線は、シリコン(10
0)基板10の<110>方向と平行であり、かつA−
A’線は矩形形状のヒーターブリッジ支持部21の中心
及び矩形形状の測温抵抗体ブリッジ支持部31の中心を
通っている。図1において、半導体フローセンサの基板
は従来例のものと同じく、基板表面が面方位(100)
を有するシリコン(100)基板10を用い、1つのヒ
ーター20とヒーター20をはさむ2つの測温抵抗体3
0とを分離層41を介してシリコン(100)基板10
上に配置している。尚、シリコン(100)基板10の
異方性エッチングを効率よく行なうために、例えばボロ
ン(B)ドープによるシリコン(100)基板10の場
合は基板の表面濃度が1017/cm2以下であることが
望ましい。ここで、図2を用いて半導体フローセンサが
完成するまでの各製造工程におけるA−A’線及びB−
B’線の断面を説明する。
【0010】まず、図2(a)は、N形拡散層形成工程
後のA−A’線及びB−B’線の断面であり、分離層4
1が熱拡散法によりシリコン(100)基板10に基板
表面から所定の深さで形成されている。このN形拡散層
の分離層41は、シリコン(100)基板10上にPS
G膜(リンガラス膜)を形成して、PSG膜を拡散源と
して固相拡散を行うことで得られる。又、分離層41の
表面からの深さは、シリコン(100)基板10とヒー
ター20及び測温抵抗体30とを電気的に完全に絶縁す
るために10μm程度以上必要となる。本実施例におい
ては、まず、表面濃度が1016/cm2程度のボロンド
ープによるP形のシリコン基板の基板表面上にPSG膜
を形成した。このPSG膜の製膜ではSiH4、PH3
びO2を材料ガスとして用い、それぞれ100cm3、2
0cm3及び200cm3の流量でかつ反応温度430
℃、反応圧力30torrの堆積条件でLPCVD法(減圧
CVD法)を行ない、PSG膜をシリコン(100)基
板10の基板表面上に150nm形成した。続いて、窒
素雰囲気下温度1050℃で熱拡散法を48時間行なっ
て、シリコン(100)基板10の基板表面から約17
μmの深さを有する分離層41を形成した。その後、分
離層41の表面上のPSG膜は不要となるので、BHF
(Bufferd HF:フッ酸緩衝液)を用いて除去した。
【0011】次に、図2(b)は、P+形拡散層形成工
程後のA−A’線及びB−B’線の断面であり、抵抗体
層35が熱拡散法により分離層41の表面から所定の深
さで形成されている。このP+形拡散層の抵抗体層35
は、分離層41の表面上にBSG膜(ホウケイ酸ガラス
膜)を形成して、BSG膜を拡散源として固相拡散を行
なうことで、分離層41の表面から所定の深さを有する
前工程で形成したN形拡散層の分離層41の一部をP+
形層に置換して形成する。又、抵抗体層35は、後工程
のパターニングによりヒーター20、測温抵抗体30及
びエッチマスク40に分割されるが、さらに、その後で
のエッチホール11形成のための異方性エッチング工程
の際に、エッチングされないような高濃度な拡散状態が
要求される。すなわち、ボロンドープの抵抗体層35で
は、拡散状態は1019/cm3以上必要となる。又、抵
抗体層35の表面からの深さは、ヒーター20及び測温
抵抗体30の熱容量を抑えるために数μm程度のものが
望ましい。本実施例においては、まず、BSG膜の製膜
ではSiH4、B26及びO2を材料ガスとして用い、そ
れぞれ100cm3、60cm3及び200cm3の流量
でかつ反応温度430℃、反応圧力30torrの堆積条件
でLPCVD法を行ない、BSG膜を分離層41の表面
上に50nm形成した。続いて、窒素雰囲気下温度10
50℃で熱拡散法を4時間行なって、分離層41の表面
から約3μmの深さを有する抵抗体層35を形成した。
尚、分離層41の膜厚は約14μmとなるが、シリコン
(100)基板10とヒーター20及び測温抵抗体30
とを電気的な絶縁には、充分なものである。又、抵抗体
層35表面上のBSG膜は不要となるので、エッチング
ガスとしてCF4、100cm3とO2、10cm3を用い
たRIE(Reactive IonEtching)を高周波電源出力2
00W及び圧力5torrの条件で1分間行なって、BSG
膜を完全に除去した。尚、上記熱拡散法によるN形層及
びP+形層の形成では、市販されているSOG(Spin O
n Glass)をシリコン(100)基板10表面上に塗布
して固相拡散してもよい。又、イオン打込み法によって
N形の分離層41及びP+形の抵抗体層35あるいは後
述のエッチストップ層60をシリコン(100)基板1
0に形成してもよい。その場合の各工程での断面図は、
熱拡散法の場合を示す図2のものと実質同一となるので
省略する。
【0012】次に、図2(c)は、電極層70形成工程
後のA−A’線及びB−B’線の断面であり、電極層7
0が蒸着法あるいはスパッタリング法により抵抗体層3
5表面上に形成されている。この電極層70は、後工程
の異方性エッチングを考慮して化学的安定性の高い金、
白金等の貴金属を使用するのが望ましい。本実施例にお
いては、EB蒸着法を用いて白金の電極層70を抵抗体
層35の表面上に約100nm形成した。尚、以上の工
程までは、シリコン(100)基板10の表面全体を熱
拡散法などにより処理しているので、半導体フローセン
サのA−A’線及びB−B’線の断面は同じものであ
る。
【0013】続いて、図2(d)は、電極層70パター
ニング工程後のA−A’線及びB−B’線の断面であ
り、電極50がフォトリソグラフィーにより電極層70
からパターニングされている。本実施例においては、フ
ォトレジストにノボラック系ポジレジストを用い、また
エッチャントに70℃に加熱した王水を用いて電極50
以外の白金の電極層70を選択的にエッチングして、電
極50をパターニングした。
【0014】次に、図2(e)は、P+形拡散層パター
ニング工程後のA−A’線及びB−B’線の断面であ
り、ヒーター20、測温抵抗体30及びエッチマスク4
0がフォトリソグラフィーによりそれぞれ抵抗体層35
からパターニングされている。ここで、図1に戻って、
ヒーター20はヒーターブリッジ部22と両端のヒータ
ーブリッジ支持部21とで構成され、同様に、測温抵抗
体30は測温抵抗体ブリッジ部32と両端の測温抵抗体
ブリッジ支持部31とで構成されている。又、ヒーター
20及び2つの測温抵抗体30は、2つの測温抵抗体3
0がヒーター20をはさむようにシリコン(100)基
板10の<110>方向に沿って互いに平行に配置され
ている。尚、フローセンサの感度を向上するためには、
ヒーター20及び2つの測温抵抗体30の熱容量を小さ
くし互いに近づけて配置することが重要となる。又、従
来例と同じように、ヒーター20は両端のヒーターブリ
ッジ支持部21上の電極50を介してヒーターの温度を
制御するヒーター制御回路に接続され、2つの測温抵抗
体30はそれぞれの両端の測温抵抗体ブリッジ支持部3
1上の電極50を介して2つの測温抵抗体の抵抗値の差
に比例した電圧を出力するブリッジ回路に接続されてい
る。(図示せず)尚、エッチマスク40は後工程の異方
性エッチング工程でエッチングのマスクとして機能す
る。
【0015】さらに、ヒーターブリッジ支持部21及び
測温抵抗体ブリッジ支持部31は、それぞれの全てのエ
ッジ部分がシリコン(100)基板10の<110>方
向あるいは<11(バー)0>方向のいずれか一方と平
行となるように分離層41上で矩形形状に構成し、又、
ヒーターブリッジ部22及び測温抵抗体ブリッジ部32
は、それぞれの全てのエッジ部分がシリコン(100)
基板10の<110>方向及び<11(バー)0>方向
と平行にならないように分離層41上でのこぎり刃状に
構成している。そして、エッチマスク40の全てのエッ
ジ部分は、ヒーターブリッジ支持部21及び測温抵抗体
ブリッジ支持部31と同様にシリコン(100)基板1
0の<110>方向あるいは<11(バー)0>方向の
いずれか一方と平行となるように分離層41上に構成し
ている。尚、このヒーター20、測温抵抗体30及びエ
ッチマスク40のエッジ部分の方向性の相違により、ヒ
ーターブリッジ部22及び測温抵抗体ブリッジ部32が
後工程の異方性エツチング工程の際に分離層41から遊
離されて、ヒーターブリッジ支持部21及び測温抵抗体
ブリッジ支持部31にそれぞれ支持される。(詳細は後
述)
【0016】尚、本実施例におけるP+形拡散層パター
ニングにおいては、エッチングガスとしてCF4、10
0cm3とO2、10cm3を用いたRIEを高周波電源
出力500W及び圧力5torrの条件で25分間行なっ
た。そして、ヒーターブリッジ部22及び測温抵抗体ブ
リッジ部32の寸法が、それぞれ長さ400×幅200
μm程度及び長さ400×幅100μm程度のものを形
成し、ヒーターブリッジ部22と測温抵抗体ブリッジ部
32との最短の間隔を数10μm程度とした。
【0017】次に、図2(f)は、異方性エツチング工
程後のA−A’線及びB−B’線の断面であり、エッチ
ホール11が分離層41及びシリコン(100)基板1
0に形成されている。このエッチホール11は、ある種
のエッチャント、例えばEPW溶液、KOH溶液等に対
して、P+形のシリコン結晶がN形及びP形のシリコン
結晶に較べて非常に難溶性であること、かつシリコン結
晶が結晶の面方位によりエッチングレートがそれぞれ異
なるというシリコン結晶の異方性を用いて形成してい
る。そして、主発熱部のヒーターブリッジ部22及び測
温抵抗体ブリッジ部32を分離層41から遊離してい
る。本実施例においては、エッチャントとしてエチレン
ジアミン、75cm3に対し、ピロカテコール24g及
び水12cm3を添加したEPW溶液を用い、エッチン
グ温度115℃で2時間のエッチングを行なった。そし
て、抵抗体層35の表面から深さが170μmを有する
エッチホール11が形成され、ヒーターブリッジ部22
及び測温抵抗体ブリッジ部32が、分離層41から遊離
してヒーターブリッジ支持部21及び測温抵抗体ブリッ
ジ支持部31にそれぞれ自己支持される。
【0018】ここで、図1に戻って、本実施例における
公知のシリコン結晶の異方性について簡単に説明する。
まず、本実施例では、シリコン結晶の表面が(100)
の面方位であるので、エッチングレートの小さい(11
1)の面方位は<110>方向あるいは<11(バー)
0>方向と平行な直線を端辺とし図面上約55度の角度
で下向きに広がっている。そして、ヒーター20、測温
抵抗体30及びエッチマスク40のエッジ部分がシリコ
ン(100)基板10の<110>方向あるいは<11
(バー)0>方向のいずれか一方と平行である場合、す
なわちヒーターブリッジ支持部21、測温抵抗体ブリッ
ジ支持部31及びエッチマスク40では、そのエッジ部
分が(111)の面方位の端辺と一致して(111)の
面方位に沿って斜め下にエッチングが進行する。逆に、
ヒーター20及び測温抵抗体30のエッジ部分がシリコ
ン(100)基板10の<110>方向及び<11(バ
ー)0>方向と平行でない場合、すなわちヒーターブリ
ッジ部22及び測温抵抗体ブリッジ部32では、そのエ
ッジ部分が(111)の面方位の端辺と一致していない
ので、エッチングの進行過程で(111)の面方位が出
現せずにヒーターブリッジ部22及び測温抵抗体ブリッ
ジ部32と分離層41とを遊離する。
【0019】以上の工程で本実施例の半導体フローセン
サは製作されるが、シリコン(100)基板10上で抵
抗体層35と分離層41とを形成しているので、製造工
程が簡略化されて、かつ各層間の熱歪が著しく低減され
た構造強度の大きい半導体フローセンサが得られる。
尚、本実施例によるフローセンサの特性を簡単に述べる
と、測温抵抗体ブリッジ部32の抵抗値は数百Ωとな
り、25℃〜100℃におけるサーミスタ常数(B)は
1500となって、測定回路上必要充分な抵抗値と温度
抵抗変化を得ることが出来た。又、抵抗体層35とシリ
コン(100)基板10との絶縁破壊電圧は約70Vで
あり、ヒーター20及び測温抵抗体30への入力電圧に
対して余裕のあるものであった。さらに、気体流速が5
cm/sec以下の場合でも充分な感度を得ることが出
来た。
【0020】[実施例2]この発明に係る半導体フロー
センサの実施例2を、図3、図4を用いて説明する。図
3は半導体フローセンサの構成を示す上面図、図4は、
図3上に示されたA−A’線及びB−B’線の断面を半
導体フローセンサの製造工程別に示す説明図である。
尚、図3上に示されたA−A’線及びB−B’線は、実
施例1のものと同様にシリコン(100)基板10の<
110>方向と平行であり、かつA−A’線は矩形形状
のヒーターブリッジ支持部21の中心及び矩形形状の測
温抵抗体ブリッジ支持部31の中心を通っている。又、
シリコン(100)基板10も実施例1と同じボロンド
ープによるP形のものを用いる。まず、図4(a)は、
P+形拡散層形成工程後のA−A’線及びB−B’線の
断面であり、エッチストップ層60が熱拡散法によりシ
リコン(100)基板10に基板表面から所定の深さで
形成されている。このP+形拡散層のエッチストップ層
60は、実施例1での抵抗体層35と同様の熱拡散法で
形成するので説明を省略する。
【0021】次に、図4(b)は、N形エピタキシャル
層形成工程後のA−A’線及びB−B’線の断面であ
り、分離層41がエピタキシャル成長法によりエッチス
トップ層60上にその表面から所定の厚さで形成されて
いる。本実施例においては、N2、SiH2Cl2及びP
3を材料ガスとして用い、それぞれ10000cm3
10cm3及び0.2cm3の流量でかつ常圧下反応温度
1000℃の条件でバレル型エピタキシャル成長装置に
より、分離層41をエッチストップ層60の表面上に1
00μm形成した。続いて、図4(c)は、P+形エピ
タキシャル層形成工程後のA−A’線及びB−B’線の
断面であり、抵抗体層35がエピタキシャル成長法によ
り分離層41上にその表面から所定の厚さで形成されて
いる。本実施例においては、上述のN形エピタキシャル
層形成工程の終了後に材料ガスのみB26、0.5cm
3に変更し、引き続いてバレル型エピタキシャル成長装
置により、抵抗体層35を分離層41の基板表面上に約
3μm形成した。尚、図4(d)、(e)、(f)及び
(g)に示す半導体フローセンサの製造工程は、実施例
1と全く同一なのでそれらの構成及び形成方法等の説明
は省略する。本実施例においては、エッチストップ層6
0が、異方性エッチングによるエッチホール11の深さ
寸法をより正確に形成し、かつエッチストップ層60上
に順次必要な膜厚の分離層41及び抵抗体層35を形成
するので、フローセンサの特性が全く均一的なものを得
ることが出来る。又、エッチストップ層60上の分離層
41及び抵抗体層35の膜厚が簡単に変更できるので、
半導体フローセンサの絶縁破壊電圧等の特性を容易に変
更できる。
【0022】[実施例3]この発明に係る半導体フロー
センサの実施例3を、図5、図6を用いて説明する。図
5は半導体フローセンサの構成を示す上面図、図6は、
図5上に示されたA−A’線及びB−B’線の断面を半
導体フローセンサの製造工程別に示す説明図である。
尚、図5上に示されたA−A’線及びB−B’線は、実
施例1のものと同様にシリコン(100)基板10の<
110>方向と平行であり、かつA−A’線は矩形形状
のヒーターブリッジ支持部21の中心及び矩形形状の測
温抵抗体ブリッジ支持部31の中心を通っている。又、
本実施例は実施例2から図6(f)に示すP+形エピタ
キシャル層形成工程でのヒーターブリッジ支持部21及
び測温抵抗体ブリッジ支持部31のパターニングのみ異
なるので、図6(a)、(b)、(c)、(d)及び
(e)に示す半導体フローセンサの製造工程での構成及
び形成方法等の説明は省略する。
【0023】図6において、本実施例では、ヒーターブ
リッジ支持部21及び測温抵抗体ブリッジ部31のパタ
ーニングの際にそれらのエッジ部分をシリコン(10
0)基板10の<110>方向及び<11(バー)0>
方向と平行にならないように、ヒーターブリッジ支持部
21及び測温抵抗体ブリッジ支持部31を矩形形状に形
成している。このヒーターブリッジ支持部21及び測温
抵抗体ブリッジ支持部31の配置により、図6(g)に
示す異方性エッチング工程において、各ブリッジ支持部
と重なる分離層41がエッチングされる。この分離層4
1のアンダーカット量は、シリコン(100)基板10
がエッチストップ層60により保護されるので、エッチ
ング時間を調整することで容易に変更出来る。又、この
アンダーカットにより各ブリッジ支持部とシリコン(1
00)基板10との接触面積を減らすことが出来るの
で、ヒーター20及び測温抵抗体30で発生する熱がシ
リコン(100)基板10に対してほとんど伝わらず
に、感度、応答性等のフローセンサの特性が一段と向上
する。
【0024】[実施例4]続いて、この発明に係る半導
体フローセンサの実施例4を説明する。本実施例は、上
述の実施例1、2及び3に示すいずれかの半導体フロー
センサに以下の熱酸化処理を施して形成される酸化膜を
除去することで、ヒーターブリッジ部22及び測温抵抗
体ブリッジ部32の厚みを薄くし各ブリッジ部の熱容量
を低減している。まず、熱酸化処理による酸化膜の製膜
では、水蒸気分圧760mmHg、1000℃の条件で4
0分間のスチーム酸化を行ない、半導体フローセンサの
表面上に約0.5μmの酸化膜を形成した。次に、BH
Fによる酸化膜の除去を行なって、酸化膜とともに表面
を約0.8μm削りおとした。その結果、ヒーターブリ
ッジ部22及び測温抵抗体ブリッジ部32の熱容量を数
分の一に減らすことが出来た。さらに、ヒーターブリッ
ジ部22及び測温抵抗体ブリッジ部32の断面積が減少
するので、それらの抵抗値が数倍に増加した。このヒー
ターブリッジ部22及び測温抵抗体ブリッジ部32の熱
容量の低減及び抵抗値の増加により、フローセンサの感
度、応答性等の特性を著しく向上し、測定回路の負担を
軽減することが出来る。
【0025】[実施例5]続いて、この発明に係る半導
体フローセンサの実施例5を説明する。本実施例は、上
述の実施例1、2及び3に示すいずれかの半導体フロー
センサに以下の熱酸化処理を施して形成される酸化膜を
除去することで、半導体フローセンサの構造強度をほと
んど弱めずにヒーターブリッジ部22及び測温抵抗体ブ
リッジ部32の抵抗値を増加している。まず、熱酸化処
理による酸化膜の製膜では、空気中1050℃の条件で
3時間の熱酸化を行ない、半導体フローセンサの表面上
に約0.1μmの酸化膜を形成した。次に、BHFによ
る酸化膜の除去を行なって、酸化膜とともに表面を約
0.15μm削りおとした。その結果、ヒーターブリッ
ジ部22及び測温抵抗体ブリッジ部32の抵抗値を約2
5%増加することが出来た。本実施例は、各ブリッジ部
の膜厚をほとんど変化せずに各ブリッジ部内のボロンを
酸化膜中に再拡散して、抵抗値を増加して測定回路の負
担を軽減している。
【0026】[実施例6]この発明に係る半導体フロー
センサの実施例6を、図7を用いて説明する。図7は図
3に示された半導体フローセンサにセンサ保護膜80形
成工程後のA−A’線及びB−B’線の断面図である。
図7において、センサ保護膜80がエッチストップ層6
0、分離層41及び抵抗体層35の表面上に形成されて
いる。尚、センサ保護膜80形成工程までの半導体フロ
ーセンサの構成及び形成方法等の説明は実施例2に示す
ものと全く同一なので省略する。このセンサ保護膜80
は測定気体等によるフローセンサの特性の低下を防止す
るものであるが、本実施例においては、実施例2に示す
半導体フローセンサをアンモニア雰囲気下1000℃で
10時間の条件で熱窒化してSi34を数nm形成し
た。尚、このSi34のセンサ保護膜80は、白金の電
極50に対しては形成されないのでコンタクトホールを
設ける工程は不要となる。このセンサ保護膜80が、半
導体フローセンサが化学活性の強い塩素ガス、臭素ガス
等を長期間測定する場合でもフローセンサの特性を変化
せずに安定させて、信頼性の高い半導体フローセンサが
得られる。尚、アンモニアを用いたプラズマ窒化法でも
よい。さらに、測定する気体によっては、上述の実施例
4及び5に示した直接に熱酸化する方法でも良い。又、
実施例2以外の半導体フローセンサに対しても以上のセ
ンサ保護膜80の製膜方法で、センサ保護膜80をフロ
ーセンサの表面上に形成しても問題は生じない。
【0027】
【発明の効果】この発明によれば、半導体フローセンサ
のシリコン基板をエッチストップ層、分離層及び抵抗体
層を順次形成し、又はシリコン基板上にエッチストップ
層、分離層及び抵抗体層を順次積層しているので、製造
工程が簡略であるにもかかわらず構造強度の高い半導体
フローセンサが得られる。さらに、熱酸化処理等を施す
ことにより感度、応答性等の半導体フローセンサの特性
を一段と向上することが可能となり、かつ半導体フロー
センサの表面に熱酸化あるいは熱窒化してセンサ保護膜
を形成できるので、信頼性の高い半導体フローセンサを
製作することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係る半導体フローセンサ
の構成を示す上面図。
【図2】この発明の実施例1に係る半導体フローセンサ
の図1上に示されたA−A’線及びB−B’線の断面を
半導体フローセンサの製造工程別に示す説明図。
【図3】この発明の実施例2に係る半導体フローセンサ
の構成を示す上面図。
【図4】この発明の実施例2に係る半導体フローセンサ
の図3上に示されたA−A’線及びB−B’線の断面を
半導体フローセンサの製造工程別に示す説明図。
【図5】この発明の実施例3に係る半導体フローセンサ
の構成を示す上面図。
【図6】この発明の実施例3に係る半導体フローセンサ
の図5上に示されたA−A’線及びB−B’線の断面を
半導体フローセンサの製造工程別に示す説明図。
【図7】この発明の実施例6に係る半導体フローセンサ
のセンサ保護膜80形成工程後のA−A’線及びB−
B’線の断面図。
【符号の説明】
10 シリコン(100)基板 11 エッチホール 20 ヒーター 21 ヒーターブリッジ支持部 22 ヒーターブリッジ部 30 測温抵抗体 31 測温抵抗体ブリッジ支持部 32 測温抵抗体ブリッジ部 35 抵抗体層 40 エッチマスク 41 分離層 50 電極 60 エッチストップ層 70 電極層 80 センサ保護膜

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 P形のシリコン基板、 前記シリコン基板に熱拡散法、エピタキシャル成長法及
    びイオン打込み法のうちいずれか一方によりN形に形成
    された分離層、 前記分離層に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオ
    ン打込み法のうちいずれか一方によりP+形に形成さ
    れ、ブリッジ部と前記ブリッジ部の両端で前記ブリッジ
    部を支持するブリッジ支持部とで構成される第1、第2
    及び第3の抵抗体と、エッチマスクとを有する抵抗体
    層、 前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ支持部
    上で形成された電極、 前記シリコン基板と前記第1、第2及び第3の抵抗体の
    前記ブリッジ部とを遊離するように前記シリコン基板及
    び前記分離層に設けたエッチホール、 を具備する半導体フローセンサ。
  2. 【請求項2】 P形のシリコン基板、 前記シリコン基板に熱拡散法、エピタキシャル成長法及
    びイオン打込み法のうちいずれか一方によりP+形に形
    成されたエッチストップ層、 前記エッチストップ層上でエピタキシャル成長法により
    N形に形成された分離層、 前記分離層に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオ
    ン打込み法のうちいずれか一方によりP+形に形成さ
    れ、ブリッジ部と前記ブリッジ部の両端で前記ブリッジ
    部を支持するブリッジ支持部とで構成される第1、第2
    及び第3の抵抗体と、エッチマスクとを有する抵抗体
    層、 前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ支持部
    上で形成された電極、 前記エッチストップ層と前記第1、第2及び第3の抵抗
    体の前記ブリッジ部とを遊離するように前記分離層に設
    けたエッチホール、 を具備する半導体フローセンサ。
  3. 【請求項3】 前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記
    ブリッジ支持部が異方性エッチングによるアンダーカッ
    ト構造を有することを特徴とする請求項2記載の半導体
    フローセンサ。
  4. 【請求項4】 前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記
    ブリッジ部が熱酸化及び酸化膜除去により熱容量を低減
    されたことを特徴とする請求項1及び請求項2記載の半
    導体フローセンサ。
  5. 【請求項5】 前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記
    ブリッジ部が熱酸化により抵抗値を増大されたことを特
    徴とする請求項1及び請求項2記載の半導体フローセン
    サ。
  6. 【請求項6】 前記シリコン基板、前記分離層、及び前
    記抵抗体層上に熱酸化及び熱窒化のうちいずれか一方に
    より形成されたセンサ保護膜を設けたことを特徴とする
    請求項1記載の半導体フローセンサ。
  7. 【請求項7】 前記エッチストップ層、前記分離層、及
    び前記抵抗体層上に熱酸化及び熱窒化のうちいずれか一
    方により形成されたセンサ保護膜を設けたことを特徴と
    する請求項2記載の半導体フローセンサ。
  8. 【請求項8】 P形のシリコン基板に熱拡散法、エピタ
    キシャル成長法及びイオン打込み法のうちいずれか一方
    によりN形の分離層を形成する工程、 前記分離層に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオ
    ン打込み法のうちいずれか一方によりP+形の抵抗体層
    を形成する工程、 前記抵抗体層上に電極層を形成する工程、 前記電極層を電極にパターニングするパターニング工
    程、 前記抵抗体層をブリッジ部と前記ブリッジ部の両端で前
    記ブリッジ部を支持するブリッジ支持部とで構成される
    第1、第2及び第3の抵抗体と、エッチマスクとにパタ
    ーニングするパターニング工程、 前記シリコン基板と前記分離層とにエッチホールを形成
    し、前記シリコン基板と前記第1、第2及び第3の抵抗
    体の前記ブリッジ部とを遊離する異方性エッチング工
    程、 を具備する半導体フローセンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 P形のシリコン基板に熱拡散法、エピタ
    キシャル成長法及びイオン打込み法のうちいずれか一方
    によりP+形のエッチストップ層を形成する工程、 前記P形エッチストップ層上にエピタキシャル成長法に
    よりN形の分離層を形成する工程、 前記分離層に熱拡散法、エピタキシャル成長法及びイオ
    ン打込み法のうちいずれか一方によりP+形の抵抗体層
    を形成する工程、 前記抵抗体層上に電極層を形成する工程、 前記電極層を電極にパターニングするパターニング工
    程、 前記抵抗体層をブリッジ部と前記ブリッジ部の両端で前
    記ブリッジ部を支持するブリッジ支持部とで構成される
    第1、第2及び第3の抵抗体と、エッチマスクとにパタ
    ーニングするパターニング工程、 前記シリコン基板と前記分離層とにエッチホールを形成
    し、前記シリコン基板と前記第1、第2及び第3の抵抗
    体の前記ブリッジ部とを遊離する異方性エッチング工
    程、 を具備する半導体フローセンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記異方性エッチング工程において、
    前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッジ支持部
    と重なる前記分離層をエッチングして前記ブリッジ支持
    部にアンダーカット構造を設けたことを特徴とする請求
    項9記載の半導体フローセンサの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記異方性エッチング工程後に、熱酸
    化及び酸化膜除去により前記第1、第2及び第3の抵抗
    体の前記ブリッジ部の熱容量を低減する熱容量低減工程
    を設けたことを特徴とする請求項8及び請求項9記載の
    半導体フローセンサの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記異方性エッチング工程後に、熱酸
    化により前記第1、第2及び第3の抵抗体の前記ブリッ
    ジ部の抵抗値を増大する抵抗値増大工程を設けたことを
    特徴とする請求項8及び請求項9記載の半導体フローセ
    ンサの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記異方性エッチング工程後に、熱酸
    化及び熱窒化のうちいずれか一方により前記シリコン基
    板、前記分離層、及び前記抵抗体層上にセンサ保護膜を
    形成するセンサ保護膜形成工程を設けたことを特徴とす
    る請求項8記載の半導体フローセンサの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記異方性エッチング工程後に、熱酸
    化及び熱窒化のうちいずれか一方により前記エッチスト
    ップ層、前記分離層、及び前記抵抗体層上にセンサ保護
    膜を形成するセンサ保護膜形成工程を設けたことを特徴
    とする請求項9記載の半導体フローセンサの製造方法。
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