JPH07103626B2 - 工業化住宅の屋根ユニット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、住宅の居室部の上に複数個載置される屋根ユ
ニットに関するもので、ユニット工法等で建てられた工
業化住宅の屋根に利用できる。

〔背景技術〕 現場における住宅の施工期間を短縮するため、プレハブ
工法が知られているが、このプレハブ工法の中でも、最
近はユニット工法が多用されつつある。このユニット工
法は、それぞれモジュール化したユニットを予め工場で
製造し、これらのユニットを現場までトラック等で輸送
した後、基礎上にて組み合わせて施工を行うものであ
る。

このユニット工法による工業化住宅においては、複数の
ボックスユニットを組み合わせて形成された居室部の上
に複数の屋根ユニットを組み合わせて建てることにより
屋根の施工が行われる。屋根の施工に際して用いられる
屋根ユニットは、居室部に載置されるベースパネルに束
を介して屋根パネルを取り付けた構造とされるが、その
具体的構造は、切妻屋根、入り母屋屋根、寄せ棟屋根
等、種々の屋根のタイプに合わせて異なるものになって
いる。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、従来では、切妻屋根、入り母屋屋根等の屋根
のタイプに応じて屋根ユニットを製造しなければならな
いので、屋根ユニットの種類が多くならざるを得ない。
屋根ユニットの種類が多いと、屋根ユニットの管理も煩
雑になるばかりか、屋根ユニットの製造コストが高いも
のになるという問題点がある。

ここに、本発明の目的は、屋根ユニットの製造コストの
低下が図れる工業化住宅の屋根ユニットを提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の工業化住宅の屋根ユニットは、住宅の居室部の
上（小屋組直下位置）に載置されるベースパネルとこの
ベースパネルの建物中央側に取り付けられる束とこの束
の頂部に取り付けられるとともに桁側に下り傾斜する中
央部屋根パネルとを有する基本ユニットのベースパネル
の妻側に、中央部屋根パネルと同じ傾斜面の第１の妻側
屋根パネル又は妻側に下り傾斜する傾斜面を有する第２
の妻側屋根パネルを取り付けることを特徴とする。

〔作用〕

このような構成の本発明では、複数のボックスユニット
を組み合わせる等して住宅の居室部を形成し、その後、
このボックスユニットの上に桁に沿うように複数の基本
ユニットを載置するとともに、これらの基本ユニットに
第１又は第２の屋根パネルを取り付けて屋根を施工す
る。

例えば、切妻屋根の施工は、基本ユニットのベースパネ
ルの妻側にこのユニットの屋根パネルと同じ傾斜の第１
の妻側屋根パネルを取り付ける。入り母屋屋根又は寄せ
棟屋根の施工は、基本ユニットのベースパネルの妻側に
妻側に下り傾斜する傾斜面を有する第２の妻側屋根パネ
ルを取り付ける。

従って、切妻屋根、入り母屋屋根、寄せ棟屋根等の各種
の屋根を組み立てるにしても、基本ユニットを用いるの
で、屋根ユニットの基本ユニットを共通化することがで
きる。

〔実施例〕

以下に本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図には、本実施例の工業化住宅の屋根施工方法で使
用される屋根ユニットのうち棟を構成する中央部屋根ユ
ニットが示され、第２図には、屋根桁側部を構成する桁
側部屋根ユニットが示されている。

第１図において、ベースパネル13は、長手方向の寸法が
Ｌとされた長方形に形成されるとともに、その長手方向
が住宅の桁方向と平行に配置されるようになっている。
このベースパネル13の図中右側（建物中央側）には桁方
向の間隔が（L/2）の４本の束14が取り付けられ、これ
らの束14の頂部には中央部屋根パネル15が取り付けられ
ている。この中央部屋根パネル15は、水平に配置された
棟木16Aと横木16Bとの間に登り梁16Cを架設したフレー
ムの上面に屋根材17（第7,第８図参照）が設けられた２
枚のパネル板16から構成されている。これらのパネル板
16は棟木16A同士が合掌状に接合されて、それぞれ桁側
に下り傾斜されている。ここで、前記ベースパネル13、
束14及び中央部屋根パネル15から基本ユニット10が構成
されている。

この基本ユニット10のベースパネル13の妻側には、第１
の妻側屋根パネル11又は第２の妻側屋根パネル12が選択
的に取り付けられるようになっている。この第１の妻側
屋根パネル11及び基本ユニット10から切妻用中央部屋根
ユニット8Aが構成され（第３図参照）、第２の妻側屋根
パネル12及び基本ユニット10から入り母屋用中央部屋根
ユニット9Aが構成される（第４図参照）。

前記第１の妻側屋根パネル11は、前記中央部屋根パネル
15と同様に、棟木16A同士を合掌状に接合した２枚のパ
ネル板16から構成されている。パネル11の妻側は支柱18
を介してベースパネル13妻側（図中左側）に取り付け可
能とされ、かつ、その中央側は前記中央部屋根パネル15
に金具（図示せず）を介して取り付け可能とされてい
る。

前記第２の妻側屋根パネル12は、水平に配置された２本
の横木19A間に登り梁19Bを架設したフレームの上面に屋
根材17が設けられた１枚のパネル板19から構成されてい
る。このパネル12は、妻側に下り傾斜した状態で、その
上端部が金具（図示せず）を介して束14に取り付け可能
とされ、その下端部が取付部材20を介してベースパネル
13妻側に取り付け可能とされている。

桁側部屋根ユニットが示される第２図において、ベース
パネル33は、長手方向の寸法がＬとされた長方形に形成
されるとともに、その長手方向が住宅の桁方向と平行に
配置されるようになっている。このベースパネル33の図
中右側（建物中央側）には桁方向の間隔が（L/2）の２
本の束34が取り付けられ、これらの束34の頂部には中央
部屋根パネル35が取り付けられている。この中央部屋根
パネル35は、上下２本の横木36Aの間に登り梁36Bを架設
したフレームの上面に屋根材17（第7,8図参照）が設け
られた１枚のパネル板36から構成されている。このパネ
ル35は、その下端部がベースパネル33に金具（図示せ
ず）を介して取り付けられ、かつ、傾斜角度が前記中央
部屋根パネル15と同一となるようになっている。ここ
で、このパネル35の屋根材17は、通常の板材等からなる
屋根葺き材と、ガラスパネルとが適宜選択使用されるよ
うになっている。また、前記ベースパネル33、束34及び
中央部屋根パネル35から基本ユニット30が構成されてい
る。

この基本ユニット30のベースパネル33の妻側には第１の
妻側屋根パネル31又は第２の妻側屋根パネル32が選択的
に取り付けられるようになっている。この第１の妻側屋
根パネル31及び基本ユニット30から切妻用桁部屋根ユニ
ット8Bが構成され（第５図参照）、第２の妻側屋根パネ
ル32及び基本ユニット10から入り母屋用桁部屋根ユニッ
ト9Bが構成される（第６図参照）。

前記第１の妻側屋根パネル31は、前記中央部屋根パネル
35と同様の傾斜角度の１枚のパネル板36から構成され、
その建物中央側が支柱38を介してベースパネル33妻側
（図中左側）に取り付け可能とさ、かつ、その中央側が
前記中央部屋根パネル35に金具（図示せず）を介して取
り付け可能とされている。ここで、このパネル31の屋根
材17も、屋根葺き材とガラスパネルとが適宜選択使用さ
れるようになっている。

前記第２の妻側屋根パネル32は、下り棟を構成する棟木
39Aの両側に登り梁39Bの一端を接続するとともに、登り
梁39Bの他端に桁方向及び妻方向に延びる横木39Cが接続
されたフレームに屋根材17を設けた構成とされている。
このパネル32は、桁側への傾斜が前記中央部屋根パネル
35の傾斜と同一とされ、かつ、妻側への傾斜が前記第２
の妻側屋根パネル12の傾斜と同一とされている。また、
パネル12は、その登り梁39B上端部が金具（図示せず）
を介して束34に取り付け可能とされ、その下端部が取付
部材40を介してベースパネル33に取り付け可能とされて
いる。

次に、前記屋根ユニット8A,8B,9A,9Bを組み合わせて工
業化住宅の屋根を施工する方法について説明する。

まず、切妻屋根を施工するには、工場において、基本ユ
ニット10及び第１の妻側屋根パネル11をそれぞれ製造す
るとともに、この基本ユニット10のベースパネル13の妻
側に第１の妻側屋根パネル11を取り付けて第３図に示さ
れる切妻用中央部屋根ユニット8Aを製造する。さらに、
基本ユニット30及び第１の妻側屋根パネル31をそれぞれ
製造するとともに、この基本ユニット30のベースパネル
33の妻側に第１の妻側屋根パネル31を取り付けて第５図
に示される切妻用桁部屋根ユニット8Bを製造する。

これらのユニット8A,8Bで切妻屋根を施工するに先立っ
て、第７図の通り、基礎１の上に複数の１階用ボックス
ユニット２を配置し、これらのユニット２の上に複数の
２階用ボックスユニット３を配置して住宅の居室部を形
成する。

この居室部の上、つまり小屋組直下位置に、２個の切妻
用中央部屋根ユニット8Aを中央部に背中合わせに配置
し、さらに、これらユニット8Aの両隣に切妻用桁部屋根
ユニット8Bを配置する。これらのユニット8A,8Bを図示
しない連結手段によって連結する。

また、入り母屋屋根を施工するには、工場において、基
本ユニット10及び第２の妻側屋根パネル12をそれぞれ製
造するとともに、この基本ユニット10のベースパネル13
の妻側に第２の妻側屋根パネル12を取り付けて第４図の
入り母屋用中央部屋根ユニット9Aを製造する。さらに、
基本ユニット30及び第２の妻側屋根パネル32をそれぞれ
製造するとともに、この基本ユニット30のベースパネル
33の妻側に第２の妻側屋根パネル32を取り付けて第６図
の入り母屋用桁部屋根ユニット9Bを製造する。

その後、第８図通り、ボックスユニット2,3から形成さ
れた住宅の居室部の上に、２個の入り母屋用中央部屋根
ユニット9Aを中央に配置し、さらに、これらのユニット
9Aの両隣に入り母屋用桁部屋根ユニット9Bを配置する。
これらのユニット9A,9Bを図示しない連結手段によって
連結する。

このような本実施例によれば、ベースパネル13,33の建
物中央側に束14,34を介して桁側に下り傾斜する中央部
屋根パネル15,35を取り付けた基本ユニット10,30のベー
スパネル13,33の妻側に、中央部屋根パネル15,35と同じ
傾斜面の第１の妻側屋根パネル11,31又は妻側に下り傾
斜する傾斜面を有する第２の妻側屋根パネル12,32を取
り付けたので、屋根ユニット8A,8B,9A,9Bを組み合わせ
て切妻屋根又は入り母屋屋根を施工する際に、基本ユニ
ット10,30を共通化でき、屋根ユニット8A,8B,9A,9Bの管
理が容易になるばかりか、屋根ユニット製造コストを低
下させることができる。

なお、前記実施例では、基本ユニット10,30と第１の妻
側屋根パネル11,31又は第２の妻側屋根パネル12,32とか
ら屋根ユニット8A,8B,9A,9Bを製造し、これらの屋根ユ
ニット8A,8B,9A,9Bを組み合わせて切妻屋根及び入り母
屋屋根を施工したが、基本ユニット30と、第１の妻側屋
根パネル31又は第２の妻側屋根パネル32とから屋根ユニ
ット8B,9Bを製造し、これら屋根ユニット8B,9Bを組み合
わせて切妻屋根及び寄せ棟屋根を施工してもよい。

また、ベースパネル13,33に対して束14,34が取り付けら
れる位置は、前記実施例ではベースパネル13,33の桁方
向寸法Ｌの（1/2）としたが、これ以外の割合、例え
ば、桁方向寸法Ｌの（1/3）であってもよい。この場
合、第１及び第２の妻側屋根パネル11,12,31,32の桁方
向寸法をベースパネル13,33の桁方向寸法Ｌの（2/3）と
すればよい。

さらに、居室部は、前記実施例のようにユニット工法に
より施工されるものの他、カーテンウォール工法、パネ
ル工法によって施工されるものでもよい。

〔発明の効果〕

前述のような本発明によれば、屋根ユニットのコストの
低下が図れるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ基本ユニットに第１又は第
２の中央部屋根パネルが取り付けられる状態を示す斜視
図、第３図ないし第６図はそれぞれ基本ユニットに第１
又は第２の中央部屋根パネルが取り付けらて製造された
屋根ユニットの斜視図、第７図は切妻屋根を有する工業
化住宅の斜視図、第８図は入り母屋屋根を有する工業化
住宅の斜視図である。 8A,8B,9A,9B……屋根ユニット、10,30……基本ユニッ
ト、11,31……第１の妻側屋根パネル、12,32……第２の
妻側屋根パネル、15,35……中央部屋根パネル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】住宅の居室部の上に載置されるベースパネ
   ルとこのベースパネルの建物中央側に取り付けられる束
   とこの束の頂部に取り付けられるとともに桁側に下り傾
   斜する中央部屋根パネルとを有する基本ユニットのベー
   スパネルの妻側に、中央部屋根パネルと同じ傾斜面の第
   １の妻側屋根パネル又は妻側に下り傾斜する傾斜面を有
   する第２の妻側屋根パネルを取り付けることを特徴とす
   る工業化住宅の屋根ユニット。