JPH07102415A - 偏光繊維 - Google Patents

偏光繊維

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JPH07102415A
JPH07102415A JP5273134A JP27313493A JPH07102415A JP H07102415 A JPH07102415 A JP H07102415A JP 5273134 A JP5273134 A JP 5273134A JP 27313493 A JP27313493 A JP 27313493A JP H07102415 A JPH07102415 A JP H07102415A
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JP
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polarizing
fiber
light
copolymer
screen
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JP5273134A
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Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
Masahiko Nanjo
正彦 南條
Masao Kawamoto
正夫 河本
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな平面形のものが容易に製造でき、曲面
形への対応も容易な偏光スクリ−ン等に使用できる偏光
繊維、またカ−テン、ブラインド等のインテリアに使用
される偏光繊維を得ることを目的とする。 【構成】 二色性色素を0.05重量%以上含有するエ
チレン−ビニルアルコ−ル共重合体からなり、U%が下
記式を満足することを特徴とする偏光繊維。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示器を備えた投
写型テレビに使用される偏光織布、偏光スクリ−ン、偏
光部材;カ−テン、ブラインド等のインテリアなどに使
用される偏光繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】映像を大画面化できる投写テレビは、近
年その需要が拡大している。しかしながら、投写テレビ
は投写器の画像を拡大するために、その画面の鮮明度が
低く、見えにくい欠点があり、しかも明るい室内で使用
すると、外光がスクリ−ンで反射して、さらに見えにく
さを増す傾向にある。
【0003】そこで、スクリ−ンの前面(観視者側)に
第1の偏光膜を配置し、室内の照明用光源に、前記偏光
膜の偏光方向と直交する偏光方向を有する第2の偏光膜
を配置して、照明用光源からの光をすべてスクリ−ン側
の偏光膜で吸収させることにより、映像を鮮明化する技
術が提案されている(特開昭62−266980号公
報、特開昭64−77085号公報、実開平3−514
7号公報等)。
【0004】他方、近年、投写器は重いCRTから軽い
LCD(液晶表示装置)に移行する傾向にあり、とくに
60インチ以上の大画面は、LCDが有利である。LC
Dからの投写光は特定の偏光方向を持つ直線偏光である
のに対し、外光は通常非偏光である。そこで、特定の偏
光方向を持つ投写光のみを透過させる偏光膜をスクリ−
ンに設けて、投写光と異なる偏光方向を持つ外光をスク
リ−ンで吸収し、これによりスクリ−ンが外光で白くな
ることを抑制して、明るい環境下で映像を鮮明化する技
術も提案されている(実開平3−5147号公報)。
【0005】しかしながら、上記偏光膜は、通常、ポリ
ビニルアルコ−ル等の高分子延伸フィルムに、ヨウ素、
ベンジジン系、ジアニシジン系、トリジン系、スチルベ
ン系等の二色性色素を吸着させて作製されており、大画
面用の偏光膜を作製しようとすると、幅の広い大面積の
フィルムを一方向に延伸することになり、この作業は容
易ではない。また、複数の小さい偏光膜を接合して大き
な面積の偏光膜とすることも可能ではあるが、接合部分
の画質が失われることになる。さらに視野角調節用の微
細な凹凸構造を偏光膜用フィルムに設けることは困難で
ある。
【0006】さらに偏光膜用ではないが、光の干渉、屈
折を応用し、フォトクロミックな多色性や、光の遮断を
生じせしめて、繊維自体が偏光機能を有する衣料用途用
の偏光繊維、たとえば、ヨウ素および有機染料を含有す
るポリビニルアルコ−ルからなる繊維が提案されている
(特開昭63−275787号公報)。
【0007】しかしながら、ヨウ素は昇華しやすく、該
偏光繊維は温度、湿度、光等に対する安定性に問題があ
る。そのうえ、ポリビニルアルコ−ルは湿式紡糸法、乾
湿式紡糸法により繊維化されるため、繊維表面にヨウ素
または染料による多数の筋が生じ、光の透過性の低下が
大きく、また糸斑が生じやすい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記高分子フ
ィルム、ポリビニルアルコ−ルからなる偏光繊維の問題
点に鑑みてなされたものであり、大きな平面形のものが
容易に製造でき、曲面形への対応も容易な偏光スクリ−
ン等に使用できる偏光繊維、またカ−テン、ブラインド
等のインテリアに使用される偏光繊維を得ることを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、二色性色素を0.05重量%以上含有するエチ
レン−ビニルアルコ−ル共重合体からなり、下記式を満
足するU%を有する偏光繊維を提供することによって達
成できる。
【数2】 また本発明は該偏光繊維を用いてなる織編物を含むもの
である。
【0010】本発明におけるエチレン−ビニルアルコ−
ル共重合体(Et/VA共重合体と称する)としては、
エチレン単位の割合が、全繰り返し単位に基づいて、2
5〜70モル%、とくに35〜60モル%、ビニルアル
コ−ル単位の割合が、全繰り返し単位に基づいて30〜
75モル%、とくに40〜65モル%である共重合体が
好ましい。
【0011】エチレン単位の割合が25モル%よりも少
ない、すなわちビニルアルコ−ル単位の割合が75モル
%よりも多いと溶融紡糸により繊維化する際の曳糸性が
不良となって紡糸または延伸時の断糸、単糸切れが多く
なり、しかも柔軟性の欠けたものとなる。一方、エチレ
ン単位の割合が70モル%よりも多い、すなわちビニル
アルコ−ル単位の割合が30モル%よりも少ないと、必
然的に水酸基の数が減少し、共重合体中に含有されてい
る二色性色素分子と水酸基の配位規則性が低下して、目
的とする偏光性能が得られなくなる。さらに水酸基の水
素結合による効果で色素が共重合体分子鎖にそって配向
しにくくなると同時に、共重合体との相溶性が不良にな
り、色素のブリ−ドアウトの問題が生じてくる。
【0012】このようなEt/VA共重合体を繊維化す
る方法としては、溶剤に溶解して湿式紡糸する方法、溶
融紡糸法があるが、湿式紡糸法は溶融紡糸法に比較し
て、繊維表面の平滑性が劣り、糸斑が発生しやすいため
光の透過性、偏光性等の性能が低下する。したがって、
本発明においては繊維表面の平滑性および糸斑がないこ
とから、溶融紡糸法でEt/VA共重合体を繊維化する
ことが好ましい。
【0013】溶融紡糸法で繊維化するには溶融紡糸性の
良好な共重合体を選択する必要がある。ビニルアルコ−
ル単位の割合が多くなると、溶融紡糸時にポリマ−のゲ
ルが発生しやすく、ランニング性が不良となり好ましく
ない。また得られた繊維の湿潤時の寸法安定性の維持の
点からもビニルアルコ−ル単位の割合は多くないことが
好ましい。上述のようにビニルアルコ−ル単位の割合は
30〜75モル%の範囲であることが好ましい。
【0014】本発明のEt/VA共重合体は種々の製造
方法によって得ることができる。通常、エチレン−酢酸
ビニル共重合体の酢酸ビニル部分をケン化することによ
り得ることができる。その場合のケン化度は90%以
上、とくに95%以上であることが好ましい。ケン化度
が低くなると共重合体の結晶性が低下して強度等の物性
が低下するだけでなく、共重合体が軟化しやすくなり、
溶融紡糸法による繊維化工程でトラブルが発生し、しか
も得られる繊維の風合が劣ったものになり好ましくな
い。
【0015】Et/VA共重合体は、例えば(株)クラ
レよりエバ−ル↑Rの商品名で、また日本合成化学工業
(株)よりソアノ−ル↑Rの商品名で市販されており、
容易に入手可能である。しかしながら、市販されている
エチレン−酢酸ビニル共重合体を購入しそれをケン化し
て、またエチレンと酢酸ビニルからメタノ−ル等の重合
体溶媒中でラジカル重合触媒の存在下、ラジカル重合体
によってエチレン−酢酸ビニル共重合体を製造し、それ
をケン化して使用してもよい。
【0016】いずれの場合もEt/VA共重合体中にナ
トリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオ
ン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカ
リ土類金属イオンが存在すると、共重合体中に主鎖切
断、側鎖切断、過度の架橋等が生じて、共重合体の熱安
定性の低下、共重合体のゲル化による紡糸時の断糸、紡
糸フィルタ−の目詰まり、それに伴う紡糸パックの圧力
の急上昇、ノズル寿命の短期化等を招くので、それらの
イオンの含有量を極力少なくする、通常1000ppm
以下、特に500ppm以下にするのがよい。
【0017】本発明において、Et/VA共重合体に含
有される二色性色素とは、光の吸収に異方性を示す色素
であり、透過光の色が色素の分子軸方向で異なる性質を
有する色素のことであり、直接染料型、分散染料型、塩
基性染料型、酸性染料型、媒染染料型がある。なかでも
ビスアゾ系、トリスアゾ系直接染料、とくにベンジジン
系、ジフェニル尿素系、スチルベン系、ジナフチルアミ
ン系、J酸系の染料;アゾ系、アントラキノン系分散染
料が高い偏光度が見られることから好ましい。さらに、
本発明において、Et/VA共重合体を繊維化するには
溶融紡糸が好ましいことから、溶融紡糸に耐えられるだ
けの耐熱性をもった染料、すなわち約200℃の温度で
分解が生じない染料が好ましい。これらの二色性色素は
1種類のみならず、2種類以上混合して使用することが
できる。
【0018】Et/VA共重合体中の二色性色素の含有
量は得られる繊維の偏光性能の点から0.05重量%以
上であることが必要である。二色性色素の含有量の上限
はとくに限定されるものではないが、偏光度を維持し、
できるだけ透過度を高くするためには1重量%以下であ
ることが好ましい。
【0019】二色性色素含有Et/VA共重合体繊維の
単糸繊度は1〜200デニ−ルの範囲であることが好ま
しい。単繊度が1デニ−ル未満の場合、表面反射成分が
多くなるためか、偏光・透過性能が低下し好ましくな
い。一方200デニ−ルを越えると、繊維集合体の曲げ
堅さが大きくなり、また風合も堅くなり好ましくない。
また後述するが、水着、ジョギングウエア−等の衣料と
して用いる場合、単糸繊度は1〜20デニ−ルの範囲で
あることが好ましい。
【0020】単糸繊度が1つの目安として、60デニ−
ル以下の繊維を得る場合、Et/VA共重合体を溶融押
出後、空気冷却を施し、一方60デニ−ルを越える繊維
を得る場合、Et/VA共重合体を溶融押出後水浴中で
紡糸糸条を冷却する水冷冷却を施すのがよい。空気冷却
により60デニ−ルを越える繊維を得ようとすると、溶
融押出後の糸条間で冷却不充分により、膠着が生じ、糸
切れ等のトラブルが頻発するうえ、得られる繊維の太さ
斑が生じ均斉度が悪くなることがある。逆に、水冷冷却
により60デニ−ル未満の細デニ−ルの繊維を得ようと
すると糸切れが頻発することがある。
【0021】一般的には二色性色素含有Et/VA共重
合体からなる繊維は、二色性色素の耐熱性から生じる繊
維化条件の制約および該色素の分散等の影響により、二
色性色素無添加Et/VA共重合体からなる繊維に比較
してU%の値が大きくなる、すなわち繊維の太さ斑が激
しくなる傾向にある。本発明において、上述の紡糸冷却
法により得られたEt/VA共重合体からなる繊維は太
さ斑が小さく、たとえば繊度が90デニ−ルのモノフィ
ラメントにおいてもU%が8%以下、とくに5%以下で
あり、太さ斑が小さいので、透過度・偏光度の低下、変
動が少なく、最終製品の外観が非常に良好である。
【0022】図1に本発明の偏光繊維を示す。該繊維1
は長手方向Lに延伸されており、この延伸した繊維中に
二色性色素のクラスタCが繊維の延伸方向に配向して存
在することにより、偏光機能を発揮する。その結果偏光
繊維1はその長手方向Lと直行する偏光方向D1を持つ
光透過し、長手方向Lに平行な偏光方向D2を持つ光を
吸収する。本発明の偏光繊維の断面構造は、円形または
異形の形状とすることができる。異形断面の場合は、例
えば楕円形、偏平形、三角形〜八角形等の角形、T字
形、3〜8葉形等の多葉形、中空形等の任意の形状とす
ることができる。
【0023】本発明の偏光繊維を用いた偏光織物2の一
例を図2に示す。図2に示した例は偏光スクリ−ン用に
用いられる織物の例である。偏光繊維1のモノフィラメ
ントとマルチフィラメントからなる不透明繊維3とを交
互に、かつ緻密に平行に多数配列し、非偏光繊維(透明
繊維または透明繊維と不透明繊維との交互配列)4で編
み込むことにより、偏光織物2が作製される。この偏光
織物の偏光特性は、偏光繊維1の偏光特性と同一であ
り、第1の偏光方向D1を持った光を透過し、これと直
交する第2の偏光方向D2を持った光を吸収する。
【0024】偏光繊維1は、通常モノフィラメントであ
るため、比較的剛直であるのに対して、白色または着色
された不透明繊維3は、、柔軟なマルチフィラメントで
あるから、硬い偏光繊維1間に生じやすい隙間を埋め
て、光の漏れを防ぐことができる。また不透明繊維3
は、白色の場合は光を反射し、黒色の場合は光を吸収す
るとともに、いわゆるブラックストライブの役割をも果
たす。このような役割が要求されない場合、すなわち偏
光繊維1自体が柔軟で、繊度が小さい場合で、カ−テ
ン、ブラインド等のインテリア用は不透明繊維を省くこ
とができる。
【0025】本発明の偏光繊維を用いた図2に示される
偏光織布は、塩化ビニルシ−トのような柔らかい基材に
レンズパタ−ンを形成したフレネルレンズからなるスク
リ−ンベ−スの一面を覆うことによって偏光スクリ−
ン、とくに大きな平面形のスクリ−ンを作製することが
できる。このような偏光スクリ−ンは映像が鮮明である
ばかりでなく、巻き取りが従来のものに比較して容易で
ある。
【0026】さらに、カ−テン、ブラインド等のインテ
リアは、本発明の偏光繊維を少なくとも経糸または緯糸
に用いて製織することによって得られる。とくに遮光性
が要求される場合は、本発明の偏光繊維を経糸にのみ用
いた薄地織物と、緯糸に用いた薄地織物とによる二重カ
−テン、ブラインドにすることにより薄地のものであっ
ても充分外の光を遮断することができる。
【0027】また、本発明の偏光繊維は未着色あるいは
着色の他の繊維と併用することにより、撚工程等の後加
工を施すだけで、複雑な干渉を生じせしめ、不思議な色
相が発現するので、織組織・編組織を変化させる必要が
ない。さらに、本発明の偏光繊維は着色された他の繊維
と組み合わせて、織組織、編組織を変化せしめることも
でき、光の干渉、屈折による色相の微妙な変化を利用し
たインテリアに最適である。
【0028】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例により限定されるもので
はない。なお、実施例中の各物性は以下の方法により測
定した値である。 (1)U% ツエルベガ−ウスタ−(株)製のUSTER TESTER 1 Model
C の装置を用い、糸速100m/分の条件で5分間の
測定を1回として、測定試料の任意の5か所について測
定し、その平均値で示す。 (2)糸の強度、伸度 JIS L 1015 フィラメント試験法に準拠して
測定する。
【0029】実施例1 重合溶媒としてメタノ−ルを用い、ラジカル重合触媒の
存在下、約60℃でエチレンと酢酸ビニルをラジカル重
合させ、エチレン含有量が48モル%のエチレン−酢酸
ビニルランダム共重合体を得た。ついで水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いてケン化処理を施し、ケン化度99%以
上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした後、
湿潤状態のポリマ−を大過剰の酢酸が添加された純水お
よび大過剰の純水で洗浄を繰り返し、ポリマ−中のアル
カリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンをそれぞれ約
10ppm以下とした。そして、ポリマ−から水を分離
し、100℃以下で真空乾燥を施した。
【0030】得られたポリマ−に下記の3種類の二色性
色素混合物を0.15重量%になるように、二軸押出機
を用いて180℃で混練しポリマ−ペレットを得た。
【0031】 二色性色素[いずれも三菱化成(株)製] 混合物比率 (重量%) Dialuminous Red 4B 42 Direct Dark Green BA 38 Direct Blue 202 20
【0032】得られたポリマ−ペレットを用い、30Φ
押出機により190℃で溶融押出しし、孔径0.4Φ、
孔数40ホ−ルのノズルから吐出させた。ノズルから吐
出された糸条をただちに30℃の温水浴に投入し、引き
続き2m/分の速度でロ−ラに引取り、70℃の温水浴
を通過させ、3.0倍の倍率で延伸した。ついで120
℃の非接触方式の乾熱ヒ−タ浴場を通してさらに延伸
し、ト−タル5.0倍になるように延伸した。延伸糸を
120m/分の速度で各フィラメントを1本ずつ別々に
巻き取り、90デニ−ルのニュ−トラルグレイのモノフ
ィラメントを得た。延伸糸のU%は3.3%であり、糸
斑はほとんどなかった。
【0033】得られたモノフィラメントを繊維軸方向に
引き揃え、偏光板を通して観察を行なったところ、偏光
板の回転に伴い、90度ごとに色相が変化して、偏光板
の偏光方向と繊維軸が直交する場合は偏光繊維は黒く、
また繊維軸と平行の場合は偏光繊維はニュ−トラルグレ
イに見え、良好な偏光性を有していることが確認され
た。
【0034】緯糸として上記モノフィラメントを用い、
経糸としてナイロン6モノフィラメント[モノスロン、
単糸デニ−ルは30デニ−ル、東レ(株)製]を用い、
経密度94本/インチ、緯密度220本/インチの8枚
緯朱子織物を作製した。得られた織物にカレンダ−加工
を施し、ついでアルミ蒸着を施し、さらに塩化ビニルシ
−トを貼合せて偏光スクリ−ン用サンプルを作製した。
織物製織製は良好であった。このサンプルを反射型偏光
スクリ−ンとして用い、10名の観察者によるスクリ−
ン上の映像の観察評価を行なった。すなわち、天井中央
に、点灯された30Wの白色蛍光灯2つを有する6畳程
度の大きさの部屋の壁際に該サンプルを吊し、観察者は
該サンプルから5m離れた位置で椅子に座り、同じくサ
ンプルから3m離れた位置にあるLCDから投写された
スクリ−ン上の映像を観察した。10名全員がスクリ−
ン上の映像が良好であると判定した。
【0035】実施例2 実施例1において、二色性色素混合物の含有量を0.3
重量%とする以外は同様にして、90デニ−ルのモノフ
ィラメントを得た。U%は4.1%であり、糸斑はほと
んどなかった。このモノフィラメントを緯糸に用いて、
実施例1と同様な織物を作製し、ついで偏光スクリ−ン
用のサンプルを作製し、10名のパネラ−による評価を
行なったところ、10名ともにスクリ−ン上の映像が良
好であると判定した。
【0036】実施例3 実施例1において、単糸繊度を120デニ−ルとする以
外は同様にしてモノフィラメントを得た。U%は4.3
%であり、太い割りには糸斑はなかった。このモノフィ
ラメントを緯糸に用い、経糸としてナイロン6モノフィ
ラメント用い、経密度94本/インチ、緯密度190本
/インチの8枚緯朱子織物を作製し、実施例1と同様に
して偏光スクリ−ン用サンプルを作製した。10名のパ
ネラ−による評価を行なったところ、10名ともにスク
リ−ン上の映像が良好であると判定した。
【0037】実施例4 実施例1において、30Φ押出機により190℃で溶融
押出しし、孔径0.4Φ、孔数6ホ−ルのノズルから吐
出し、空冷紡糸して900m/分で巻き取った。得られ
た紡糸原糸を50℃のホットロ−ラ、120℃のホット
プレ−トで3.5倍に延伸し、90デニ−ル/6フィラ
メントのマルチフィラメントを得た。U%は1.9%で
あった。このフィラメントを緯糸に用い、経糸として着
色されたポリエステル繊維(75デニ−ル/24フィラ
メント)を用い、経密度65本/インチ、緯密度56本
/インチの薄地の平織物を作製した。この織物を用いて
カ−テンを作製し、該カ−テンで周囲を覆った室内でス
ライド上映を実施した。10名のパネラ−全員がスクリ
−ン上の映像が良好であると判定した。
【0038】実施例5 実施例1において、単糸繊度を60デニ−ルとする以外
は同様にしてモノフィラメントを得た。U%は3.0%
であり、糸斑はなかった。このモノフィラメントを緯糸
として用い、実施例4と同様に経緯のカバ−ファクタ−
を同一にして平織物を作製し、カ−テンとした。該カ−
テンで周囲を覆った室内でスライド上映を実施した。1
0名のパネラ−全員がスクリ−ン上の映像が良好である
と判定した。
【0039】実施例6 エチレン含有量が44モル%のEt/VA共重合体を用
いる以外は実施例1と同様にして紡糸、延伸を行ない、
単糸繊度が60デニ−ルのモノフィラメントを得た。U
%は3.6%であり、糸斑は見られなかった。このモノ
フィラメントと、二色性色素が含有されていない実施例
4のモノフィラメントの糸に撚をかけ、着色−未着色−
着色の順に経、緯ともに配列して8枚緯朱子織物を作製
した。得られた織物は、光の干渉によって、色相が微妙
に変化していた。
【0040】比較例1 実施例1において、二色性色素混合物の含有量を0.0
2重量%とする以外は同様にして、90デニ−ルのモノ
フィラメントを得た。U%は3.2%であり、糸斑はほ
とんどなかった。このモノフィラメントを緯糸に用い
て、実施例1と同様な織物を作製し、ついで偏光スクリ
−ン用のサンプルを作製し、10名のパネラ−による映
像評価を行なったところ、10名ともにスクリ−ン上の
映像が不良であると判定した。
【0041】比較例2 重合度1750のポリビニルアルコ−ルをアルコ−ルを
主体とした混合溶媒中に溶解して紡糸原液を調整した。
ついで、この紡糸原液を空気中に押し出した後、飽和硫
酸ナトリウム水溶液中に導き凝固させ、引き続き熱浴中
で一段目の延伸を行ない乾燥した。次に二段目の延伸を
乾熱で行ないト−タルで10倍の延伸処置を行ない、3
60デニ−ル/4フィラメントのマルチフィラメントを
得た。U%は7%であり、かなりの糸斑が見られた。こ
のマルチフィラメントをヨウ素で着色して、偏光繊維を
得た。得られた偏光繊維を引き揃え、偏光板を通して観
察を行なったところ、良好な偏光性を有していた。この
ポリビニルアルコ−ル偏光繊維を4分割に分繊し、90
デニ−ルのモノフィラメントを得た。このモノフィラメ
ントを、実施例1と同様にして、8枚朱子織物を作製
し、ついで偏光スクリ−ン用サンプルを作製した。10
名のパネラ−による映像評価を行なったところ、やや品
位の劣るものであった。また、実施例1で得られた偏光
スクリ−ン用サンプルに比較して硬く、巻き取りが困難
であった。
【0042】実施例における各物性を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明のEt/VA共重合体からなる偏
光繊維からなる織物を用いてなる偏光スクリ−ンは、柔
軟であり、曲面に充分対応できる上、大きな平面形のも
のが得られる。さらに、カ−テン、ブラインド等のイン
テリアは、本発明の偏光繊維を少なくとも経糸または緯
糸に用いて製織することによって、薄地のものであって
も充分外の光を遮断することができる。また、本発明の
偏光繊維は未着色あるいは着色の他の繊維と併用するこ
とにより、得られる織編物は光の干渉、屈折による色相
の微妙な変化が生じるので、ファッション性が要求され
る用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEt/VA共重合体からなる偏光繊維
の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の偏光繊維を織り込んだ本発明の一実施例
に係わる偏光織布を示す斜視図である。
【図3】本発明のEt/VA共重合体からなる偏光繊維
の繊維断面を示す写真である。
【図4】本発明のEt/VA共重合体からなる偏光繊維
の繊維側面を示す写真である。
【図5】従来のポリビニルアルコ−ルからなる偏光繊維
の繊維断面を示す写真である。
【図6】従来のポリビニルアルコ−ルからなる偏光繊維
の繊維側面を示す写真である。
【符号の説明】
1:偏光繊維 2:偏光織物 3:不透明繊維 4:非偏光繊維

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二色性色素を0.05重量%以上含有する
    エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体からなり、下記式
    を満足するU%を有している偏光繊維。 【数1】
  2. 【請求項2】請求項1記載の偏光繊維のモノフィラメン
    トを用いてなる織編物。
JP5273134A 1993-10-04 1993-10-04 偏光繊維 Pending JPH07102415A (ja)

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