JPH07101773A - 粉砕機用部材 - Google Patents

粉砕機用部材

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JPH07101773A
JPH07101773A JP5245150A JP24515093A JPH07101773A JP H07101773 A JPH07101773 A JP H07101773A JP 5245150 A JP5245150 A JP 5245150A JP 24515093 A JP24515093 A JP 24515093A JP H07101773 A JPH07101773 A JP H07101773A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ZrO2 を主成分とし、3.0〜3.8重量%
のMgOを含有し、単斜晶の結晶を10〜40モル%含
む部分安定化ジルコニア焼結体を用いて粉砕機用部材を
構成する。 【効果】硬度、強度、耐熱衝撃性に優れることから、耐
摩耗性に優れ、水分の存在する高温雰囲気の粉砕であっ
ても特性が劣化することはなく、長期間安定して使用す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種粉砕機用内張り材
や粉砕メディア等の粉砕機用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、セラミック原料等の粉体を粉
砕するための粉砕機として、ボールミル、振動ミル、サ
ンドミル、ハンマーミル、ビーズミル等が用いられてい
る。そして、これらの粉砕機におけるライナー(内張
り)やボール等の粉砕メディアとして、アルミナ、ムラ
イト、ジルコン、ジルコニア等のセラミックスが用いら
れている。
【0003】特に特公平2−20587号公報には、Y
2 3 を2〜4.5モル%含む部分安定化ジルコニアセ
ラミックスを粉砕機用部材として用いることにより耐摩
耗性を高められることが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記アルミ
ナセラミックスは、Al2 3 含有量92〜99.5重
量%のものが多く用いられるが、いずれも強度、靱性の
低いものであり摩耗量が大きく、しかも密度が低いため
に粉砕効率が低いという問題点があった。
【0005】また、ムライトやジルコンは強度、密度と
もに小さいため、粉砕機用部材としては不適当なもので
あった。
【0006】さらに、Y2 3 部分安定化ジルコニアセ
ラミックスは、強度、密度ともに高いものであるが、熱
劣化を生じやすいという致命的な欠点があった。つま
り、Y2 3 部分安定化ジルコニアセラミックスを10
0〜300℃の温度域にさらすと、相転移により単斜晶
ジルコニアが増加し、強度、靱性が劣化してしまうので
ある。しかも上記熱劣化は水分の存在により加速される
ため、高温で水分が存在するような粉砕条件で用いる
と、摩耗が激しく破壊の恐れもあるという問題点があっ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記に鑑みて本発明は、
ZrO2 を主成分とし、3.0〜3.8重量%のMgO
を安定化剤として含み、単斜晶ジルコニアを10〜40
モル%含む部分安定化ジルコニア焼結体で粉砕機用部材
を構成したものである。
【0008】また、好ましくは、ボイド率が1.0〜
2.5%で、曲げ強度70kg/mm2 以上、破壊靱性
(K1C)11MN/m3/2 以上の部分安定化ジルコニア
焼結体を用いる。
【0009】上記部分安定化ジルコニア焼結体は、高硬
度で耐摩耗性に優れているとともに、強度、靱性が高い
ことから破損しにくいものである。しかも、適度な量の
単斜晶ジルコニアを存在させることによって、耐熱衝撃
性が高くなることから高温条件下で使用してもクラック
等が生じにくいため、粉砕機用部材として好適に用いる
ことができるのである。
【0010】特に粉砕用メディアやライナー等の粉砕機
用部材にジルコニア焼結体を用いる場合、この部材には
剪断やずり応力が加わり、部材自体に微小な破損が生じ
てこれが摩耗へと至ることになる。そのため、粉砕機用
部材の摩耗損失を低く押さえるには、部材の強度と靱性
を高めれば良い。特に靱性は耐チッピング性を図る上で
も重要な特性であり、靱性が大きい部材は外部からの応
力に対してもクラックが進展しにくいことから、耐摩耗
性も向上することになる。したがって、上記のように本
発明のMgO部分安定化ジルコニア焼結体は、靱性が極
めて高いことから優れた耐摩耗性を得ることができ、摩
耗損失を極めて小さくできるのである。
【0011】なお、本発明のジルコニア焼結体における
MgOの含有量を3.0〜3.8重量%の範囲としたの
は、3重量%未満であると焼結体中の単斜晶ジルコニア
結晶の総量が40モル%より多くなって曲げ強度や破壊
靭性の低下が生じるためであり、逆にMgOの含有量が
3.8重量%より多いと単斜晶系ジルコニア結晶の総量
が極端に少なくなって、破壊靭性および耐熱衝撃性が低
下するためである。したがって、MgOの含有量は3.
0〜3.8重量%としたものが良い。
【0012】また、本発明の部分安定化ジルコニア焼結
体は、MgO以外にAl2 3 、SiO2 などの成分
を、原料中の不純物または添加物として含むことができ
る。特にSiO2 はZrO2 と反応して珪酸ジルコニウ
ムを形成し、主に結晶粒界に存在してジルコニア結晶の
粒成長を抑制するため0.1〜0.5重量%の範囲で含
有することが好ましい。
【0013】さらに、本発明の部分安定化ジルコニア焼
結体において、単斜晶系ジルコニア結晶の総量は10〜
40モル%としたものが良い。これは、焼結体に対し過
剰なマイクロクラックの発生を抑制し、かつ適度な相変
態機構を発現させるために、上記範囲内とすることが好
ましいためである。そして、単斜晶系ジルコニア結晶の
析出量を上記範囲内に制御するためには、MgOの含有
量を前述した範囲内とし、かつ焼成時の最高温度を16
40〜1700℃の範囲に設定するとともに、冷却速度
を80〜150℃/時とすれば良い。なお、本発明の部
分安定化ジルコニア焼結体において、単斜晶系ジルコニ
ア結晶以外は、正方晶および/または立方晶のジルコニ
ア結晶からなる。
【0014】また、ジルコニア焼結体の結晶粒径も強
度、靭性に大きく影響を及ぼすものである。そして、最
高焼成温度が1700℃より高い場合、平均結晶粒径が
30μm以上と粗大になりすぎて、強度、靭性の低下を
招き、逆に1640℃より低い場合は、緻密化が不十分
で平均結晶粒径が5μmより小さくなって、強度、靭性
が低下する。そのため、本発明の部分安定化ジルコニア
焼結体の平均結晶粒径は、5〜30μm の範囲にあるの
が好ましい。
【0015】さらに、本発明のジルコニア焼結体におい
て、ボイド率は、耐熱衝撃性、耐摩耗性に大きく影響す
るものであり、ボイド率を0.5〜3.0%、好ましく
は1.0〜2.5%とすることで耐熱衝撃性を向上する
ことができる。即ち、強度、靭性、熱衝撃のいずれも満
足させるためには、ボイド率は上記範囲内に有らねば成
らず、適切な量のボイドを焼結体中に均一分散させるこ
とで、熱衝撃が加わった時の衝撃緩和に大きく寄与し、
耐熱衝撃性を向上させるとともに、強度、破壊靭性の向
上をもたらすことができる。
【0016】なお、ボイド率の制御は、原料粉末の粉砕
粒度を調整する方法、焼成条件を調整する方法、あるい
は所定の粒径の有機物を原料粉末に添加して焼成時に焼
失させる方法などで行うことができる。例えば、粉砕粒
度を調整する場合、微粉砕するほど焼結体のボイドを少
なくできるが、過剰に微粉砕を行うとジルコニア粒子の
安定化機構が弱まり、焼結後単斜晶系ジルコニア結晶が
過剰に増え、曲げ強度や破壊靭性が低下してしまう。ま
た、この場合焼結体中のボイドが著しく低減するため、
熱変化を伴う応力が焼結体に加わった時に熱衝撃を緩和
することができず破壊の原因となる。逆に粉砕量が少な
く粗大粒を含む場合は、焼結不良を生じ、これもまた曲
げ強度、破壊靭性の低下を引き起こす。そのため、好ま
しくは粉砕粒度の目安として中心粒径で0.6〜1.2
μm の範囲とすれば良い。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0018】実験例1 本発明の粉砕機用部材として用いるMgO部分安定化ジ
ルコニア焼結体について、組成を変化させた時の特性を
測定した。表1に示すように、ZrO2 粉末に2.0〜
4.5重量%のMgOを添加し、ボールミル等で粉砕を
行って所定の粒度に調整した後、成型助剤としてポリビ
ニルアルコール等の有機バインダーを4〜8%程度添加
し、スプレードライヤーにて乾燥造粒した。次に、得ら
れた造粒粉末を成型圧力1ton/cm2 以上の圧力で
プレス成型し、幅6mm、厚み5mm、長さ60mmの
角棒を得、これを大気炉中1660℃で焼成を行った。
【0019】得られた焼結体を幅4mm、厚み3mmに
研磨加工し、曲げ強度、破壊靭性、見掛比重、単斜晶量
を測定した。なお、曲げ強度はJISR1601に基づ
き常温3点曲げ法にて、破壊靭性K1Cは圧痕法(I.
F.法)にて、単斜晶量はX線回折装置にて2θ=20
〜40°の範囲を測定し、単斜晶ジルコニア11バー1
面、111面のピ−ク強度と立方晶ジルコニア111面
のピ−ク強度から数1に従って算出した。
【0020】
【数1】
【0021】表1より、No.3〜6に示すように、M
gO含有量を3.0〜3.8重量%とすることにより、
焼結体中の単斜晶量を10〜40モル%とでき、曲げ強
度70kg/mm2 以上、破壊靱性(K1C)11MN/
3/2 以上とできることがわかる。
【0022】また、本発明のMgO部分安定化ジルコニ
ア焼結体と、従来のアルミナセラミックスおよびY2
3 部分安定化ジルコニア焼結体との特性を比較すると、
表2に示す通り、本発明のMgO分安定化ジルコニア焼
結体は他のセラミックスに比べて靱性が極めて高いこと
が判る。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】実験例2 次に、上記ジルコニア焼結体のボイド率を表3に示すよ
うな種々の値に調整し、強度、靭性、見掛比重、耐熱衝
撃性(ΔT)の各特性を測定した。なお、ボイド率の測
定は、鏡面加工を施した試料表面のボイドを画像解析装
置を用い、顕微鏡にて拡大した測定視野に於けるボイド
の占有率で表示した。測定面積は300×300μmの
面積を10ケ所測定し、それを平均演算して求めた。ま
た、耐熱衝撃性の目安となるΔTは、焼結体を所定の温
度で1時間時効処理した後に20℃の水中に投下し、強
度劣化の見られた温度差をΔTとした。
【0026】表3よりボイド率0.5〜3.0%のボイ
ドを存在させることで、ΔT250℃以上と耐熱衝撃性
を高くできることがわかる。特に、No.10、11に
示すように、ボイド率を1.0〜2.5%としたもの
は、曲げ強度70kg/mm2以上、破壊靭性11MN
/m3/2 以上、耐熱衝撃性ΔTが400℃以上と優れた
結果を示した。
【0027】
【表3】
【0028】実験例3 次に、本発明の粉砕機用部材を成すMgO部分安定化ジ
ルコニア焼結体の熱劣化性を調べる試験を行った。本発
明のMgO部分安定化ジルコニア焼結体と、比較例とし
て3種類のY2 3 部分安定化ジルコニア焼結体を、そ
れぞれ121℃、2気圧の沸騰状態下の熱水中に放置
し、経過時間毎の単斜晶ジルコニア含有量を測定した
(プレッシャークッカー試験)。なお、単斜晶ジルコニ
アの含有量は、X線回折法により数1に従って算出し
た。
【0029】結果は図1に示すように、比較例のY2
3 部分安定化ジルコニア焼結体ではいずれも熱処理時間
の経過に伴って単斜晶ジルコニアが析出し、それに伴い
強度、靱性が低下した。これに対し、本発明のMgO部
分安定化ジルコニア焼結体は熱処理を施しても単斜晶ジ
ルコニアの量は増加せず、初期値と同じ強度、靱性を維
持できることがわかる。したがって、本発明のMgO部
分安定化ジルコニア焼結体からなる粉砕機用部材は、熱
劣化がほとんどなく、水分の存在する高温中で使用して
も特性の劣化がないことがわかる。
【0030】実験例4 次に、上記本発明のMgO部分安定化ジルコニア焼結体
と、比較例としての他のセラミックスを用い、以下の3
つの条件で粉砕機としての使用試験を行い、摩耗率を測
定した。
【0031】〔条件1〕バッチ式ビーズ攪拌型ミルにお
いて、粒径2μmのアルミナを被粉砕物とし、各種セラ
ミックスを0.3〜0.7μmの粉砕用メディア(ボー
ル)として、このメディアをミル容量の80容量%充填
し、3500rpmで駆動シャフトを回転させ、毎分
1.8リットルの処理速度で1時間粉砕処理を行った時
のメディアの摩耗量を測定した。
【0032】メディアの摩耗量は、充填前の重量と粉砕
完了後回収乾燥した重量との差引きを充填前の重量で割
った数値を摩耗率として表した。また、粉砕完了後の被
粉砕物であるアルミナの粉砕粒度をマイクロトラックに
て測定した。
【0033】〔条件2〕次に、各種セラミックスを20
×40×6mmの試験片に仕上げた後、各試験片を#1
50のWA(ホワイトアランダム)と水を1:2で混合
したスラリー液中で1760rpmの速度で攪拌し、8
時間攪拌後の試験片の摩耗率を測定した。
【0034】〔条件3〕2リットルアルミナポット中に
直径3mmのアルミナボールを500cc入れ、これに
各種セラミックスからなる0.3〜0.7mmのビーズ
を共に500cc充填し、水1000ccを入れ、ポッ
ト回転速度65rpmの条件下で95時間および217
時間経過後、ビーズを回収、乾燥し、摩耗率を測定し
た。
【0035】これらの条件1〜3の結果は表4に示す通
り、本発明のMgO分安定化ジルコニア焼結体は、他の
セラミックスに比べて摩耗率が小さく、かつアルミナ粉
砕粒度も小さくできることから、粉砕機用部材として好
適に用いられることが判る。
【0036】なお、本発明の粉砕機用部材は、ボールミ
ル、振動ミル、サンドミル、ハンマーミル、ビーズミ
ル、ケージミル、ピンミル等の粉砕機における、ライナ
ー(内張り)、ピン、ボール等の粉砕メディアとして用
いることができる。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】叙上のように本発明によれば、ZrO2
を主成分とし、3.0〜3.8重量%のMgOを含有
し、単斜晶の結晶を10〜40モル%含む部分安定化ジ
ルコニア焼結体を用いて粉砕機用部材を構成したことに
よって、硬度、強度、耐熱衝撃性に優れることから、耐
摩耗性に優れ、水分の存在する高温中での粉砕であって
も特性が劣化することはなく、長期間安定して使用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉砕機用部材を成すMgO部分安定化
ジルコニア焼結体の熱処理時間と単斜晶量との関係を示
すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ZrO2 を主成分とし、安定化剤として
    3.0〜3.8重量%のMgOを含み、単斜晶の結晶を
    10〜40モル%含む部分安定化ジルコニア焼結体から
    成る粉砕機用部材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000264730A (ja) * 1999-03-15 2000-09-26 Toshiba Corp ジルコニア焼結体及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000264730A (ja) * 1999-03-15 2000-09-26 Toshiba Corp ジルコニア焼結体及びその製造方法

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