JPH07101719A - 結晶性アルミノ珪酸塩の製造方法 - Google Patents

結晶性アルミノ珪酸塩の製造方法

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JPH07101719A
JPH07101719A JP27135693A JP27135693A JPH07101719A JP H07101719 A JPH07101719 A JP H07101719A JP 27135693 A JP27135693 A JP 27135693A JP 27135693 A JP27135693 A JP 27135693A JP H07101719 A JPH07101719 A JP H07101719A
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catalyst
crystalline aluminosilicate
zeolite
heat shock
stabilized
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JP27135693A
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Kazuhito Sato
一仁 佐藤
Masaki Tanno
正樹 丹野
Mitsuru Oi
満 大井
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分解活性が高く、残渣油分解性に優れるとと
もに、コークの生成が少ない接触分解触媒の一構成成分
である結晶性アルミノ珪酸塩の製造方法を提供する。 【構成】 化学組成分析によるバルクのSiO/Al
モル比が5〜11、単位格子定数が24.50〜
24.72Åである安定化Yゼオライトを、水蒸気60
〜100%存在雰囲気下、300〜1000℃で、かつ
上記安定化Yゼオライトの結晶化度低下率20%以下に
て焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶性アルミノ珪酸塩
の製造方法に関し、詳しくは、安定化Yゼオライトに、
水蒸気存在雰囲気下で、所定の熱的負荷を加えて結晶性
アルミノ珪酸塩を製造する方法であって、特に、分解活
性が高く、残渣油分解性に優れるとともに、コークの生
成が少ない接触分解触媒の一構成成分としての結晶性ア
ルミノ珪酸塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、石油精製における接触分解プロ
セスは、炭化水素油を分解して効率よく分解ガソリンを
製造することを目的としており、原料油としては、主
に、減圧軽油(VGO)が用いられている。
【0003】しかし、最近の原料油事情や石油製品の市
場動向から、接触分解装置における常圧蒸留残渣油や減
圧蒸留残渣油など(以下、これらをまとめて「残渣油」
という)の処理量は、増加している。さらには、接触分
解により、ガソリン留分のみならず、軽質分解留分(L
CO)をも同時に製造しようとする要求が高まってい
る。
【0004】このような残渣油を原料油とする場合、残
渣油中には金属類などの触媒被毒物質が多量に含まれて
いるため、接触分解触媒の分解活性は低下し、液状生成
物の選択性も著しく阻害される。また、残渣油中にはコ
ーク前駆体が多く含まれているため、残渣油を接触分解
する場合、コークの生成が増加し、ガソリンやLCOな
どの液収率が低下する。
【0005】残渣油の分解性の向上を目指した触媒とし
ては、その構成要素の一つである無機酸化物マトリック
スとして、シリカ−アルミナ、γ−アルミナ、ベーマイ
トなどのマトリックス成分に活性を持たせたものを使用
し、これと安定化Yゼオライトを混合したもの、あるい
はアルミナ−マグネシアと結晶性アルミノ珪酸塩を混合
したものが提案されている(特開昭58−163493
号、特開平1−111446号公報参照)。
【0006】また、接触分解触媒の細孔径や細孔容積を
制御し、残渣油の接触分解においてコークの生成が少な
く、LCOを高収率で得ることができる触媒や、その製
造方法なども報告されている(特開平2−298351
号公報参照)。
【0007】さらに、本発明者らは、先に提案した特開
平4−59616号明細書や、特開平5−178609
号公報、同5−178610号公報(以下、先提案とい
う)に記載の方法により得られる結晶性アルミノ珪酸塩
を含有する接触分解触媒が、残渣油分解性に優れ、かつ
水素やコークの収率が低いことを見い出している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のマトリ
ックスとしてシリカ−アルミナなどを使用した触媒によ
り残渣油を接触分解する場合、水素やコークの生成が増
加し、所期の液状製品の収率が減少するのみならず、装
置の運転を困難にするという問題がある。
【0009】また、現在では、原料油を100%残渣油
とする残渣FCC装置の稼働に伴って、触媒に求められ
る残渣油分解能やコークの低収率化は、より一層高いも
のとなっている。
【0010】そこで、前述の本発明者らによる先提案の
接触分解触媒よりも、さらに高性能な触媒(具体的に
は、より分解活性が高く、残渣油分解性に優れ、コーク
の生成が少ない触媒)が必要となっている。
【0011】本発明は、炭化水素油、特に残渣油の接触
分解において、分解活性が高く、ガソリンのみならずL
COの製品得率を増加させ、さらにコークの生成を抑制
し得る接触分解触媒の一構成成分である結晶性アルミノ
珪酸塩を、安定化Yゼオライトを原料として製造する方
法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記の目的を達成するために鋭意検討を行った結
果、特定の性状を有する安定化Yゼオライトに所定の熱
的負荷をかける際の先提案の条件を、大量の水蒸気が存
在する雰囲気としたところ、意外にも、この熱的負荷に
より得られる結晶性アルミノ珪酸塩が、接触分解触媒の
一構成成分として、該触媒の分解活性を飛躍的に向上さ
せ、該触媒に優れた残渣油分解性を付与し、かつコーク
の生成を効果的に抑制し得ることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、SiO/Al
モル比が5〜11、単位格子定数が24.50〜2
4.72Åである安定化Yゼオライトを、水蒸気60〜
100%存在雰囲気下、300〜1000℃で、かつ上
記安定化Yゼオライトの結晶化度低下率20%以下にて
焼成することを特徴とする結晶性アルミノ珪酸塩の製造
方法を要旨とする。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
結晶性アルミノ珪酸塩の製造方法において、出発原料と
して使用する安定化Yゼオライトは、いわゆるYゼオラ
イトを、高温、水蒸気処理を数回行った後、必要に応じ
て塩酸のような鉱酸、水酸化ナトリウムのような塩基、
フッ化カリウムのような塩、あるいはエチレンジアミン
四酢酸(EDTA)のようなキレート剤のうちの少なく
とも一種で処理することにより得られ、結晶度の劣化に
対し耐性を示すものである。もちろん、安定化Yゼオラ
イトとして、Yゼオライトを、アンモニウムヘキサフル
オロシリケート〔(NHSiF〕や四塩化珪素
(SiCl)のような珪素化合物により処理すること
により得られたものを用いてもよいし、EDTAやホス
ゲン(COCl)のような珪素を含まない化合物によ
り処理することにより得られたものを用いても何ら支障
ない。
【0015】上記の安定化Yゼオライトは、SiO
Alモル比が約5〜11、単位格子定数が約2
4.50〜24.72Å、好ましくは約24.55〜2
4.70Åであり、アルカリ金属含有量は、酸化物換算
で約0.02〜2重量%、好ましくは約0.05〜1重
量%であるYゼオライトを意味する。この安定化Yゼオ
ライトは、天然のホージャサイトと基本的には同一の結
晶構造を有し、酸化物として化1に示す組成式を有す
る。
【0016】
【化1】
【0017】本発明で用いる原料の安定化Yゼオライト
は、表1に示す特性を有する結晶性アルミノ珪酸塩であ
る。
【0018】
【表1】
【0019】本発明の結晶性アルミノ珪酸塩の製造方法
は、上記安定化Yゼオライトに一定の熱的負荷(以下、
「ヒートショック」ということもある)を、水蒸気存在
雰囲気下でかけることにより行う。熱的負荷は、約30
0〜1000℃、好ましくは約400〜800℃、さら
に好ましくは約500〜700℃で、約1〜300分
間、好ましくは約5〜100分間、さらに好ましくは約
10〜60分間、水蒸気約60〜100%、好ましくは
約70〜100%存在雰囲気下で、かつ上記安定化Yゼ
オライトの結晶化度低下率が約20%以下、好ましくは
約15%以下、さらに好ましくは約10%以下となる条
件で焼成すればよい。
【0020】また、先提案では、上記のヒートショック
は、通常、電気炉または焼成炉内で、空気または窒素雰
囲気下の常圧、あるいは水蒸気分圧約0〜0.5気圧の
空気または窒素雰囲気下で焼成することにより行ってい
たが、本発明では、それ以上の水蒸気が存在する雰囲気
下で、焼成することにより行う。このような雰囲気下で
のヒートショックにより、本発明では、優れた分解活
性、および残渣油分解性を有するのみならず、コークの
生成を効果的に抑制し得る接触分解触媒の一構成成分で
ある結晶性アルミノ珪酸塩を製造することができる。
【0021】また、本発明における上記の焼成条件にお
いて、水蒸気が占める以外の雰囲気は、空気、窒素、酸
素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素など、いずれでも
よく、特に限定されないが、経済性並びに汎用性などの
面から空気が望ましい。
【0022】さらに、本発明における上記の焼成条件に
おいて、焼成の温度が低すぎると、所望の特性を有する
結晶性アルミノ珪酸塩が得られず、逆に高すぎたり、焼
成時間が長すぎると、ゼオライトの結晶構造が崩壊して
しまい、やはり所望の特性を有する結晶性アルミノ珪酸
塩を得ることができない。
【0023】以上のような水蒸気存在雰囲気下で行う本
発明のヒートショックは、ゼオライトの結晶構造をでき
るだけ崩壊しないような条件とることが重要であり、上
記安定化Yゼオライトの結晶化度低下率が約20%以
下、好ましくは約15%以下、さらに好ましくは約10
%以下の条件とする。安定化Yゼオライトの結晶化度
は、ASTM D−3906(Standard Te
st Method for Relative Ze
olite Diffraction Intensi
ties)法に従って求められる。例えば、標準試料を
Y型ゼオライト(Si/Al比5.0、単位格子寸法2
4.58Å、NaO量0.3重量%)とし、試験試料
と標準試料との相対X線回折の強度比として求められ
る。本発明のヒートショックによる安定化Yゼオライト
の結晶化度低下率は、数1に示す式から求められる。
【0024】
【数1】
【0025】上記の式中、ヒートショック結晶性アルミ
ノ珪酸塩は、安定化Yゼオライトに、水蒸気が存在す
る、あるいは存在しない雰囲気下で、ヒートショックを
かけて得られる結晶性アルミノ珪酸塩を意味し、以下、
「ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩」というとき
は、これを意味する。
【0026】ヒートショックを与える際に、原料である
安定化Yゼオライトは、上記温度到達後の焼成炉内に入
れてもよいし、あるいは安定化Yゼオライトを焼成炉内
に置いた後、室温から徐々に昇温して所定温度に到達さ
せてもよく、昇温速度は特に限定されない。
【0027】ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩は、
後述するように、無機酸化物マトリックスと混合して、
炭化水素油の接触分解に供せられるが、ヒートショック
を与える時期は特に限定せず、この混合の前後いずれで
もよく、好ましくはこの混合の前である。なお、本発明
におけるヒートショックは、触媒の性能試験に先立って
行われる模擬平衡化のための苛酷な条件下での熱処理と
は区別される。
【0028】また、本発明では、安定化Yゼオライトを
水蒸気存在雰囲気下で熱処理することで、ヒートショッ
ク結晶性アルミノ珪酸塩を得ているが、Yゼオライトの
熱処理でヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩を直接製
造しようとすると、結晶構造が崩壊してしまい、目的を
達することができない。その理由は、詳細には明らかで
はないが、ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩を得る
ためには、Yゼオライトを熱処理して先ず安定化Yゼオ
ライトを製し、その状態で結晶構造が落ち着く、すなわ
ち安定化するのを待ってから改めて熱処理を行うことが
必要なためと推測される。
【0029】本発明の製造方法により得られるヒートシ
ョック結晶性アルミノ珪酸塩は、下記のような所定の特
性を有するものである。すなわち、化学組成分析による
バルクSiO/Alモル比が約5〜11、好ま
しくは約5.4〜9である。
【0030】また、単位格子寸法は、約24.55Å以
下、好ましくは約24.50Å以下である。単位格子寸
法の測定は、ASTM D−3942/85に準拠し、
X線回折のピークを用いて計算することができる。この
値が大きすぎると、耐水熱性が悪くなる。水蒸気が存在
する雰囲気下での焼成では、水蒸気が存在しない雰囲気
下での焼成に比べ、ゼオライト骨格のAlが抜け易い
(脱Alが起こり易い)ため、単位格子寸法が小さくな
ると考えられる。
【0031】なお、単位格子寸法の下限値は、特に限定
しないが、あまり小さすぎると、十分な触媒活性を得る
ことができなくなるため、本発明では約24.30Åと
することが望ましい。
【0032】全Alに対するゼオライト骨格内Alのモ
ル比は、上記化学組成分析によるSiO/Al
モル比および単位格子寸法から、数2の(1)〜(3)
を使用して算出された値で、約0.2〜0.9、好まし
くは約0.3〜0.8である(H.K.Beyer e
t.al.,J.Chem.Soc.,Faraday
Trans.1,1985,(81),2899参
照)。
【0033】
【数2】
【0034】なお、全Alに対するゼオライト骨格内A
lのモル比は、他の式によっても算出することができる
が、他の式を使用する場合は、上記の値にはならない。
【0035】バルクのSiO/Alモル比が同
一の場合、全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル
比が小さすぎると、接触分解に必要な触媒活性が失われ
る。骨格外AlすなわちアモルファスのAl比率が高く
なると、選択性もアモルファス触媒に近い挙動を示し、
水素の発生量、コークの生成量が増加する。逆に、全A
lに対するゼオライト骨格内Alのモル比が大きすぎる
と、触媒の耐水熱性が低下する。
【0036】また、アルカリ金属の含有量は、酸化物換
算で約0.02〜2重量%、好ましくは約0.05〜1
重量%である。アルカリ金属の含有量が、酸化物換算で
約0.02重量%を下回ると、結晶構造の崩壊が起き易
くなることがある。逆に、アルカリ金属が多量に存在す
ると、このヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩を使用
した触媒の分解活性を低下させることがあるとともに、
原料油、特に重質油原料油中に含まれている重金属であ
るニッケル、バナジウムなどがこの触媒に付着した場合
に、活性劣化を引き起こし易くすることがあるという問
題が生じる。
【0037】上述したヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩は、前述したように、安定化Yゼオライトに水蒸気
存在雰囲気下で、一定の熱的負荷をかけることにより得
られるが、その大きな特徴は、単位格子寸法が約24.
55Å以下であり、安定化Yゼオライトの約24.50
〜24.72Åと比べて小さくなっていること、全Al
に対するゼオライト骨格内Alのモル比が約0.2〜
0.9となっていることである。なお、本発明の製造方
法で得られるヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩の特
性を表2にまとめて示す。
【0038】
【表2】
【0039】また、本発明の製造方法により得られるヒ
ートショック結晶性アルミノ珪酸塩は、実質上、図1に
示すX線回折パターンを有する。図1中、1,2および
3は、最も強い回折を示す格子面間隔(d)のピークで
あり、それぞれ14.1±0.2Å、5.61±0.1
Åおよび3.72±0.1Åである。そして、図1のX
線回折図は、代表例としては表3のような値を有する。
【0040】
【表3】
【0041】上記のヒートショック結晶性アルミノ珪酸
塩を、無機酸化物マトリックスと混合したものが、炭化
水素の接触分解触媒となる。この無機酸化物マトリック
スとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ボリア、クロ
ミア、マグネシア、ジルコニア、チタニア、シリカ−ア
ルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ク
ロミア−アルミナ、チタニア−アルミナ、チタニア−シ
リカ、チタニア−ジルコニア、アルミナ−ジルコニアな
ど、あるいはこれらの混合物であり、さらにモンモリロ
ナイト、カオリン、ハロサイト、ベントナイト、アタパ
ルガイト、ボーキサイトなどの少なくとも一種の粘土鉱
物を含有させることもできる。
【0042】上記混合物(すなわち、炭化水素の接触分
解触媒)は、通常の方法によって製造することができ、
代表的には、適当な無機酸化物マトリックスとして、例
えば、シリカアルミナヒドロゲル、シリカゾルまたはア
ルミナゾルの水性スラリーを用い、それに上述のヒート
ショック結晶性アルミノ珪酸塩を加え、よく混合撹袢し
た後、噴霧乾燥し、触媒微粒子として得ることができ
る。
【0043】この場合において、混合した触媒中のヒー
トショック結晶性アルミノ珪酸塩が約5〜60重量%、
好ましくは約10〜50重量%、無機酸化物マトリック
スが約40〜95重量%、好ましくは約50〜90重量
%の割合になるように添加して使用することができる。
【0044】ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩が約
5重量%未満であれば、炭化水素油接触分解触媒として
の効果が得られず、約60重量%より多いと、相対的に
無機酸化物マトリックスの量が少なくなりすぎて、触媒
の強度が低下し、触媒の飛散、生成物中への混入といっ
たような装置の運転に支障を来すなど問題が生じるから
である。
【0045】また、上記の触媒は、希土類金属、アルカ
リ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金
属を含有するものであってもよい。希土類金属として
は、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウ
ム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウ
ムなどが使用され、これらは単独で、あるいは混合物と
して使用され、好ましくはランタンである。
【0046】アルカリ土類金属としては、ベリリウム、
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、ラジウムが使用され、これらは単独で、あるいは混
合物として使用され、好ましくはマグネシウム、カルシ
ウムの単独あるいは混合物である。
【0047】これらの希土類元素の少なくとも一種と、
アルカリ土類金属の少なくとも一種とを混合して使用す
ることもできるが、好ましくは希土類元素である。
【0048】上記の希土類金属、アルカリ土類金属の上
記の触媒への含有態様としては、該触媒の一方の構成成
分であるヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩の一部ま
たは全部を、上記の金属でイオン交換するか、もしくは
ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩に該金属を担持す
るかした、いわゆる金属修飾型ヒートショック結晶性ア
ルミノ珪酸塩とするか、あるいは上記触媒自体を該金属
でイオン交換するか、もしくは該触媒に該金属を担持す
る態様が採用される。
【0049】ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩ある
いは触媒を上記金属でイオン交換する場合、またヒート
ショック結晶性アルミノ珪酸塩あるいは触媒に上記金属
を担持させる場合は、従来公知の方法により行うことが
できる。例えば、イオン交換、担持、いずれの場合も、
ランタン、マグネシウム、カルシウムなどの塩化物、硝
酸塩、硫酸塩、酢酸塩などの化合物の一種以上を含有す
る水溶液を、ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩ある
いは触媒に含浸させるか、あるいはこれらの水溶液中に
これらを浸漬し、さらに必要に応じて加熱することによ
り行うことができる。
【0050】イオン交換、担持、いずれの場合も、上記
の金属量は、上記結晶性アルミノ珪酸塩と無機酸化物マ
トリックスとの混合体触媒基準で、酸化物として約0.
01〜10重量%、好ましくは約0.05〜7重量%で
ある。上記金属のイオン交換あるいは担持により、分解
活性および液状生成物収率の向上などの効果がみられる
が、金属量が少なすぎるとこの効果は現れず、多すぎて
もこの効果はそれほど向上しない。
【0051】以上詳述した本発明のヒートショック結晶
性アルミノ珪酸塩を一構成成分とする触媒を使用して炭
化水素油を接触分解するには、ガソリン沸点範囲以上で
沸騰する炭化水素油を、この触媒に接触させればよい。
このガソリン沸点以上で沸騰する炭化水素油とは、原油
の常圧あるいは減圧蒸留で得られる軽油留分や常圧蒸留
残渣油および減圧蒸留残渣油を意味し、もちろんコーカ
ー軽油、溶剤脱瀝油、溶剤脱瀝アスファルト、タールサ
ンド油、シェールオイル油、石炭液化油をも包含するも
のである。
【0052】商業的規模での接触分解は、通常、垂直に
据え付けられたクラッキング反応器と触媒再生器との二
種の容器からなる接触分解装置に、上記した触媒を連続
的に循環させて行われる。触媒再生器から出てくる熱い
再生触媒は、分解される炭化水素油と混合されて、クラ
ッキング反応器内を上向の方向に導かれる。その結果、
一般にコークと呼ばれる炭素質が触媒上に析出すること
により失活した触媒が、分解生成物から分離され、スト
リッピング後、触媒再生器に移される。触媒再生器に移
された使用済みの触媒は、該触媒上のコークが空気焼成
による除去により再生され、再びクラッキング反応器に
循環される。
【0053】一方、分解生成物は、ドライガス、LP
G、ガソリン留分、および例えば軽質サイクル油(LC
O)、重質サイクル油(HCO)あるいはスラリー油の
ような一種類以上の重質留分に分離される。もちろん、
これらの重質留分を、クラッキング反応器に再循環させ
ることにより、分解反応をより進めることも可能であ
る。
【0054】上記の接触分解装置におけるクラッキング
反応器の運転条件としては、圧力が約常圧〜5Kg/c
、温度が約400〜600℃、好ましくは約450
〜550℃、触媒/原料炭化水素油の重量比が約2〜2
0、好ましくは約4〜15とすることが適している。
【0055】
【実施例】以下に本発明の内容を実施例と比較例により
具体的に説明する。 実施例1 SiO/Alモル比が7、単位格子寸法が2
4.60Å、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.3
重量%の安定化Yゼオライトを、電気炉で、水蒸気10
0%存在雰囲気の常圧下、550℃で20分間焼成し
て、ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩を製造した。
【0056】得られたヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩を分析したところ、Yゼオライトの主要なX線回折
パターンを示し、かつ表4の物性値を有していた。ま
た、結晶化度は、原料の安定化Yゼオライト116%
(基準となるYゼオライトを100%として)に対し、
ヒートショック後では109%(結晶化度低下率6.0
%)であった。このヒートショック結晶性アルミノ珪酸
塩をSZ−1とする。
【0057】
【表4】
【0058】実施例2 水蒸気70%存在雰囲気下の空気中で焼成する以外は、
実施例1と同様にしてヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩を製造した。
【0059】得られたヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩を分析したところ、Yゼオライトの主要なX線回折
パターンを示し、かつ表5の物性値を有していた。ま
た、結晶化度は、実施例1と同じ基準で、ヒートショッ
ク後では110%(結晶化度低下率5.2%)であっ
た。このヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩をSZ−
2とする。
【0060】
【表5】
【0061】実施例3 SiO/Alモル比が7、単位格子寸法が2
4.60Å、アルカリ金属含有量が酸化物換算で1.0
重量%の安定化Yゼオライトを原料として用いる以外
は、実施例1と同様にして、ヒートショック結晶性アル
ミノ珪酸塩を製造した。
【0062】得られたヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩を分析したところ、Yゼオライトの主要なX線回折
パターンを示し、かつ表6の物性値を有していた。ま
た、結晶化度は、実施例1と同じ基準で、ヒートショッ
ク後では110%(結晶化度低下率5.2%)であっ
た。このヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩をSZ−
3とする。
【0063】
【表6】
【0064】実施例4 SiO/Alモル比が7、単位格子寸法が2
4.60Å、アルカリ金属含有量が酸化物換算で2.0
重量%の安定化Yゼオライトを原料として用いる以外
は、実施例1と同様にして、ヒートショック結晶性アル
ミノ珪酸塩を製造した。
【0065】得られたヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩を分析したところ、Yゼオライトの主要なX線回折
パターンを示し、かつ表7の物性値を有していた。ま
た、結晶化度は、実施例1と同じ基準で、ヒートショッ
ク後では109%(結晶化度低下率6.0%)であっ
た。このヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩をSZ−
4とする。
【0066】
【表7】
【0067】比較例1 電気炉で、水蒸気の存在しない空気雰囲気下、750℃
で10分間焼成する以外は、実施例1と同様にしてヒー
トショック結晶性アルミノ珪酸塩を製造した。
【0068】得られたヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩を分析したところ、Yゼオライトの主要なX線回折
パターンを示し、かつ表8の物性値を有していた。ま
た、結晶化度は、実施例1と同じ基準で、ヒートショッ
ク後では110%(結晶化度低下率5.2%)であっ
た。このヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩をHZ−
1とする。
【0069】
【表8】
【0070】比較例2 水蒸気50%存在雰囲気下の空気中で焼成する以外は、
実施例1と同様にして、ヒートショック結晶性アルミノ
珪酸塩を製造した。
【0071】得られたヒートショック結晶性アルミノ珪
酸塩を分析したところ、Yゼオライトの主要なX線回折
パターンを示し、かつ表9の物性値を有していた。ま
た、結晶化度は、実施例1と同じ基準で、ヒートショッ
ク後では111%(結晶化度低下率4.3%)であっ
た。このヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩をHZ−
2とする。
【0072】
【表9】
【0073】実施例5 蒸留水66.7gと濃度30重量%のシリカゾル13
3.3gを攪拌混合し、これにカオリンを乾燥基準で9
6.0g、実施例1で得たSZ−1を乾燥基準で64.
0gおよび蒸留水を306.7gさらに加えて、攪拌混
合した。上記の混合物スラリーを、スプレードライヤー
で乾燥微粒化し、5リットルの蒸留水で洗浄した後、乾
燥して触媒(触媒Aとする)を得た。
【0074】実施例6 SZ−1に代えて実施例2で得たSZ−2を用いた以外
は、実施例5と同様にして触媒(触媒Bとする)を得
た。
【0075】実施例7 SZ−1に代えて実施例3で得たSZ−3を用いた以外
は、実施例5と同様にして触媒(触媒Cとする)を得
た。
【0076】実施例8 SZ−1に代えて実施例4で得たSZ−4を用いた以外
は、実施例5と同様にして触媒(触媒Dとする)を得
た。
【0077】実施例9 触媒Aのうち100gを、10倍量の0.1N塩化ラン
タン水溶液中に、60℃で15分間浸漬してイオン交換
し、その後、濾過し、水洗し、次いで同様の工程をもう
一度行った後、乾燥して触媒(触媒Eとする)を得た。
この触媒Eのランタンの量は、酸化物として触媒Aの重
量を基準として1.25重量%であった。
【0078】比較例3 SZ−1に代えて比較例1で得たHZ−1を用いた以外
は、実施例5と同様にして比較触媒(触媒Fとする)を
得た。
【0079】比較例4 SZ−1に代えて比較例2で得たHZ−2を用いた以外
は、実施例5と同様にして比較触媒(触媒Gとする)を
得た。
【0080】比較例5 触媒Aに代えて比較例3で得た触媒Fを用いた以外は、
実施例9と同様にして比較触媒(触媒H)を得た。この
触媒Hのランタンの量は、酸化物として触媒Fの重量を
基準として1.22重量%であった。
【0081】〔マイクロ活性試験〕ASTM基準の固定
床マイクロ活性試験(Micro−Activity
Test)装置を使用して、同一原料油、同一測定条件
で、触媒A〜Gの接触分解特性を試験した。試験に先立
ち、各供試触媒A〜Hは、模擬平衡化のため、800℃
で6時間、水蒸気100%存在雰囲気下で処理した。原
料油には脱硫減圧軽油を使用し、試験は、反応温度50
0℃、触媒/原料油(重量比)=2.3、3.0、3.
8、WHSV=21.3、16.0、12.8
(h−1)の条件でそれぞれ行った。試験結果を表10
〜表12に示す。
【0082】なお、表10〜表12において、転化率
は、触媒/原料油(重量比)=3.0のときの結果であ
り、また生成物の選択性は、転化率55wt%を基準と
して比較を行ったときの結果(すなわち、生成物の組
成)である。
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】表10〜表12から明らかなように、本発
明によるヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩を使用し
た触媒A、B、CおよびDは、比較触媒FおよびGに比
べて、転化率が高く、LCOの選択性も高く、かつコー
クの生成量が少ないことがわかる。また、希土類金属を
含有する触媒の比較においても、本発明によるヒートシ
ョック結晶性アルミノ珪酸塩を使用した触媒Eは、比較
触媒Hに比べ、転化率はもとより、LCOの選択性も高
く、かつコークの生成量が少ないことがわかる。
【0087】ここで、LCOの選択性とは、接触分解反
応における高沸点留分の分解性を意味し、LCO選択性
が高い触媒は、残渣油の分解性に優れた触媒であること
を明示している。石油精製工業は、大量生産を伴う巨大
装置産業であり、接触分解反応における転化率や生成物
の収率が1%上昇するだけでも、その経済的波及効果は
著しく、技術的にも極めて重要な意味を有する。
【0088】
【発明の効果】以上詳述したように、安定化Yゼオライ
トを原料とし、これに水蒸気存在雰囲気下で所定の熱的
負荷をかけるという本発明の製造方法により得られるヒ
ートショック結晶性アルミノ珪酸塩は、炭化水素油、特
に残渣油の接触分解において、分解活性が高く、残渣油
分解性に優れるとともに、コークの生成を効果的に抑制
することができるという接触分解触媒を提供するための
一構成成分として極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートショック結晶性アルミノ珪酸塩(SZ−
1)の銅Kα線でのX線回折パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大井 満 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成分析によるバルクのSiO
    Alモル比が5〜11、単位格子定数が24.5
    0〜24.72Åである安定化Yゼオライトを、水蒸気
    60〜100%存在雰囲気下、300〜1000℃で、
    かつ上記安定化Yゼオライトの結晶化度低下率20%以
    下にて焼成することを特徴とする結晶性アルミノ珪酸塩
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006503689A (ja) * 2002-10-28 2006-02-02 中國石油化工股▲分▼有限公司 炭化水素クラッキング用の希土類y−ゼオライト含有触媒およびその製造方法
JP2008535652A (ja) * 2005-03-31 2008-09-04 中國石油化工股▲フン▼有限公司 クラッキング触媒及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006503689A (ja) * 2002-10-28 2006-02-02 中國石油化工股▲分▼有限公司 炭化水素クラッキング用の希土類y−ゼオライト含有触媒およびその製造方法
JP4689273B2 (ja) * 2002-10-28 2011-05-25 中國石油化工股▲分▼有限公司 炭化水素クラッキング用の希土類y−ゼオライト含有触媒およびその製造方法
JP2008535652A (ja) * 2005-03-31 2008-09-04 中國石油化工股▲フン▼有限公司 クラッキング触媒及びその製造方法

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